植栽スペースがある家にぜひ取り入れたい「シンボルツリー」についてご存じでしょうか? シンボルツリーとはその庭の顔となる存在で、建物も含め敷地全体の雰囲気を大きく印象づける樹木のことです。ここでは、そんなシンボルツリーの魅力やおすすめのシンボルツリーの品種について、詳しくご紹介します。

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シンボルツリーとは

シンボルツリー

植栽スペースがある家庭なら、ぜひ植えたいのがシンボルツリー。これは、名前の通り、その家を象徴する存在となる樹木のことを指します。新築祝いや結婚祝い、新しい家族の誕生など、記念樹として選ばれることも。その際は、お祝いの時期に見頃を迎える樹木が選ばれることが多いようです。シンボルツリーは何か特定の樹木グループがあるわけではなく、その家を強く印象づける木であればどんな木を選んでも構いません。家族の好きな樹木や、家の外観(和風や洋風など)とほどよく調和する種類がシンボルツリーとして植栽されます。

シンボルツリーのメリット

シンボルツリーのメリット

シンボルツリーは、前述のように結婚や子どもの誕生などの祝いを込めた記念樹として植栽されることがあるとご紹介しました。家族への祝いの気持ちを込めた、特別な木として愛でる以外にも、庭に取り入れるとたくさんのメリットがあります。

シンボルツリーは、その家の目印となる象徴的な存在であることから、一般的には大きく生育する樹木が選ばれます。すると、四方に枝を伸ばす樹木によって敷地内への視線が遮られ、プライバシーが守られるのです。壁やフェンスで囲い込んでガードするよりは、より自然に目隠しの役目を果たしてくれます。それに、大きな樹木が建物を一部隠すことによって家の外観の威圧感が和らぎ、街並みに調和しやすくなることもメリットの一つです。

一方で室内から見れば、樹木が広げる枝葉が強い日差しを遮るとともに風除けにもなる緑のカーテン効果があり、建物内の居心地をよくします。また、耐火性のある樹木は火災の延焼防止に役立つとされ、住宅の周辺で火災が発生した場合に自宅まで火が移るのを防ぐ効果も期待できます。

シンボルツリーの種類

シンボルツリーには、庭の主役として風格がある樹種が向いています。例えば、季節が巡れば花を一斉に咲かせて見応えのある景色をつくるもの、枝葉を四方に大きく伸ばして圧倒的な存在感を放つもの。これらの樹木は、大きく常緑樹と落葉樹に分類することができます。ここでは、それぞれの特徴についてご紹介します。

常緑樹

常緑のシンボルツリー

秋に一斉に落葉することなく、一年中みずみずしい葉を保つ樹木のことを、常緑樹といいます。まったく葉を落とさないわけではなく、葉は一定の期間を過ぎれば枯死して落葉しますが、次々と新芽を出すので、常に葉が茂っている状態を保てるのです。

そのため、人通りの多い道路に面した前庭など、外からの視線を遮りたい場合に向いています。寒い冬が来ても、葉を絶やさずに青々とした葉を茂らせ続けるのもメリットです。

落葉樹

落葉樹のシンボルツリー

秋に紅葉した後、すべての葉を落として冬を迎えるのが落葉樹。春の芽吹き、開花、緑陰、結実、紅葉、落葉と、季節が巡るごとに表情を変えていき、四季の移ろいをはっきりと感じ取れることがメリットです。夏は強い日差しを遮り、庭に緑陰をもたらして涼を呼ぶ一方で、冬にはすっかり葉を落として庭に陽だまりをもたらすので、過ごしやすい環境をつくってくれます。ただし、落葉の季節は掃除のメンテナンスが発生することも想定して、実際に取り入れるかを決めましょう。

おすすめの植える場所

シンボルツリーは、その家の目印にもなる大きな存在感を放つ樹木です。どこに植栽するかによっても、目的や癒し効果は少し異なってきますね。ここでは、家庭でシンボルツリーを植栽するのに、おすすめの場所について取り上げます。

玄関に家の顔として

玄関のシンボルツリー

玄関周りのエクステリアに、シンボルツリーを植えるのがおすすめ。特に交通量の多い道路に面している場合は、外からの視線を遮るために大きめの常緑樹を植栽するとよいでしょう。玄関先は特に、毎日家族が出入りして必ず目にとまる場所。帰宅時にシンボルツリーが見えてくると「ああ、帰ってきたな」という安心感も高まります。常緑樹の中でも、季節によって表情を変える樹木をセレクトすれば「今年も満開になったね」「葉の色が濃くなってきたよ」などと、家族の会話に登場することもしばしばでしょう。また、お客様にはお出迎えの役割を担う、家の顔にもなってくれます。

家の中から見えやすい場所に

窓際のシンボルツリー

家の中で、家族が最も長く過ごす場所はどこでしょう。リビングやキッチン、または個室の窓の先に、シンボルツリーの豊かな枝ぶりが見える位置に植栽すると、癒やしを誘う存在に。例えばサクラのように、満開になって素晴らしい景観をつくり出す花木を選べば、家にいながらにして花見を楽しむことができます。室内からの眺めを楽しみたい場合は、落葉樹を選ぶのがおすすめ。暑い真夏はグリーンカーテンになって直射日光を遮り、冬は葉を落として室内まで陽だまりを届けてくれます。

おすすめのツリー【高木】

ここでは広い敷地に向く、樹高が高くなる樹種をセレクトしました。家のシンボルとなる大きな木に成長すれば、見応えのある景色をつくり出してくれます。

シマトネリコ

シマトネリコ

モクセイ科トネリコ属の常緑高木。原産地は日本(沖縄)、台湾、中国、フィリピンで、寒さには弱い方です。自然樹高は約10mに達しますが、剪定でコントロールすれば、樹高を抑えることもできます。5月下旬〜7月に白い小花が咲き、8〜9月に結実します。流通しているのは、ほとんどが地際から数本の枝を立ち上げる株立ち種。繊細な印象で、光沢のある小さな葉は軽やかで、サラサラと風に揺れる表情に人気があります。日当たり〜半日陰の場所が適地。地植えでは、根づいた後はよほど乾燥が続く日以外の水やりは不要。肥料は2月頃に寒肥として緩効性有機肥料を施します。成長が早く、枝がよく伸びるので、真冬をのぞいて随時切り戻して樹形をキープしましょう。株立ちの美しさを保つためにも、幹の半分くらいまでの高さから出る下枝はすべて切り取ります。

イロハモミジ

イロハモミジ

カエデ科カエデ属の落葉高木。原産地は日本、朝鮮半島、中国、台湾で、古くから日本に自生してきたこともあり、放任してもよく育ちます。自然樹高は5〜10mですが、剪定によって低く仕立てることも可能です。春に新芽を出して、淡いグリーンの葉を揃えた頃はみずみずしい姿を楽しめ、また秋になれば燃えるような紅葉を楽しめる、人気のシンボルツリーの一つです。日当たり〜半日陰が栽培適地。地植えであれば、よほど乾燥が続く日以外、水やりは不要です。落葉後すぐに、緩効性有機肥料を施しましょう。休眠が短いため、剪定は落葉直後から12月下旬までには済ませます。すかし剪定で、自然樹形を保ちましょう。枝の途中で切ると枯れ込みやすいので、分岐点で切るようにします。

ヤマボウシ

ヤマボウシ

ミズキ科ミズキ属の落葉高木。原産地は日本、朝鮮半島、中国で、暑さ寒さに強く放任しても育てやすいため、ビギナーにおすすめ。自然樹高は10mにもなりますが、剪定で樹高をキープすることもできます。5〜6月に開花し、花色は白、淡いグリーンがのる白、ピンクなど。葉が出た後に一斉に開花するので、大変見ごたえがあります。8〜9月に赤い実をつける姿も愛らしいものです。適地は日当たりがよく、西日が当たらない場所。地植えの場合はほとんど水やりは不要ですが、乾燥が続いたら与えましょう。肥料は、2月頃に緩効性有機肥料を施します。7月下旬〜8月には花芽分化が始まるので、この時期の剪定は避けた方が無難。落葉期に剪定し、小さく尖った葉芽と、ふっくらと丸く大きめの花芽とは見分けがつきやすいので、花芽を落とさないようにすかし剪定をし、自然な樹形を保ちます。

おすすめのツリー【中高木】

ここでは、玄関先などの狭いスペースや、ミニサイズのガーデン、小さな庭に向く中高木をご紹介します。葉色が美しいもの、一斉に開花する姿が素晴らしもの、実りを楽しめる樹種をピックアップしました。

オリーブ

オリーブ

モクセイ科オリーブ属の常緑中高木。原産地は地中海沿岸で、暑さには強い方ですが、冬の寒風が苦手です。自然樹高は10mに達しますが、剪定によって樹高をキープできます。シルバーグリーンのさわやかな葉が魅力で、6月頃に白い花が多数開花し、9〜11月頃に結実。果実の収穫を楽しみたい場合は、2品種以上を近くに植えると受粉する率が高くなります。適地は日当たりがよく、水はけのよい場所。地植えの場合はほとんど水やりは不要ですが、乾燥が続いたら与えましょう。施肥は、芽吹く前の2〜3月、果実をつけた後の10〜12月の年2回、緩効性有機質肥料を施します。剪定の適期は2月下旬〜3月。生育旺盛なため、剪定を怠ると樹形が乱れやすくなります。仕立てたい大きさにまで切り戻し、込んでいる部分はすかして風通しをよくしましょう。

サルスベリ

サルスベリ

ミソハギ科サルスベリ属の落葉中高木(矮性の低木もあり)。原産地は中国南部で、暑さに強い性質です。自然樹高は約7mにもなりますが、剪定によってほどよい大きさにコントロールできます。7〜9月が開花期で、真夏の暑さに負けずに開花し続けるのが魅力。花色には赤、ピンク、白があります。適地は、日当たりがよく、水はけのよい場所。地植えでは、根づいたあとは基本的は不要ですが、真夏に乾燥が続くようなら水やりをして樹勢を保ちましょう。2月頃に寒肥として緩効性有機肥料を施しておきます。やや寒さに弱いため、剪定は芽吹き前の3月頃が適期。強めに切り戻して樹高をキープしましょう。カイガラムシがつくことがあるので、見つけ次第歯ブラシなどで擦り落として防除します。

ライラック

ライラック

モクセイ科ハシドイ属の落葉中高木。原産地はヨーロッパ南東部で、寒さには強い一方で、暑さはやや苦手です。自然樹高は約6mになりますが、剪定を適切に行えば樹高を抑えることが可能です。開花期は4〜5月で、花色には白、赤、紫、青紫などがあります。芳香を持つ花を枝先に穂状につけ、満開時は見事です。西日の当たらない、日当たりのよい場所、水はけのよい土壌が適地。庭植えの場合、水やりはほとんど不要ですが、真夏に乾燥が続く時期は朝に水やりをしましょう。肥料は3月と6月に緩効性有機質肥料を施します。開花後は終わった花がらを切り取って樹勢を保ちましょう。花芽分化は7〜8月頃に進むので、開花後すぐに切り戻し剪定を行い、樹高をキープします。枝の途中で切ると枯れ込みやすいので、分岐点を目安に剪定するとよいでしょう。

おすすめのツリー【中低木】

ここでは、剪定の管理によってスマートな樹形を保てるもの、低木ながら華やかに咲いて主役となるものを選びました。いずれも表情豊かで、シンボルツリーとして十分な存在感を発揮できる樹種です。

ジューンベリー

ジューンベリー

バラ科ザイフリボク属の落葉中低木。原産地は北アメリカで、寒さ、暑さともに強い性質です。自然樹高は約5mになりますが、毎年の剪定によって樹高をキープできます。4月頃、小さく白い花をたくさん開花する姿は素晴らしく、人気の花木です。6月頃には赤い実がつき、ジャムなどに加工できて食べる楽しみもあります。日当たり、水はけのよい場所が適地。地植えでは水やりはほとんど不要ですが、真夏の乾燥する時期には樹勢を見て水やりをしましょう。2月頃に寒肥として緩効性有機質肥料を与えます。自然に樹形が整うので、樹高を抑える切り戻しをする以外は、込み合っている部分をすかして風通しをよくする程度の剪定でOKです。

ソヨゴ

ソヨゴ

モチノキ科モチノキ属の常緑中低木。原産地は関東以西の日本、中国、台湾で、昔から日本に自生してきたことから、環境に馴染みやすく手間いらずの樹木です。自然樹高は10mに達することもあるようですが、剪定でコントロールすれば樹高を低く保つことができます。5〜6月頃に小さな白い花が咲き、秋には真っ赤な実がつくので常緑樹ながら季節感を楽しめるのが魅力です。西日の当たらない日向、水はけのよい土壌が適地。地植えでは、根づいた後はほとんど不要です。2月頃に寒肥として緩効性有機質肥料を与えます。樹形が乱れてきたら、6〜7月か10月頃に切り戻し剪定をし、込んでいる場所があれば間引いて風通しをよくしましょう。

アジサイ

アジサイ

アジサイ科アジサイ属の落葉低木。原産地は日本で、梅雨の頃に開花する花として昔から親しまれてきました。環境に馴染みやすく、放任してもよく育つメンテナンスフリーの花木です。自然樹高は2mにもなりますが、剪定で低めに抑えることもできます。開花期は6〜7月上旬頃で、花色は青、紫、ピンク、白など。半日陰でも育ちますが、花つきをよくするなら日当たりのよい場所が適地。湿り気のある土壌を好みます。水やりはほとんど不要ですが、乾燥が続く場合には水を与えて補いましょう。肥料は3月頃に緩効性有機質肥料を施します。花芽分化は9〜10月頃に進むので、剪定は開花後すぐに行いましょう。花の2〜3節下まで切り戻します。

好みのシンボルツリーを植えよう!

シンボルツリー

庭の主役となるシンボルツリーがあると、外観に個性が出て「わが家」へ一層の愛着が増すもの。この記事から、シンボルツリーのメリットやおすすめのツリーの魅力は伝わったでしょうか。シンボルツリーには決まった樹種は特にないので、ぜひ好みの樹木を選んで、暮らしに彩りを添えてはいかがでしょうか。

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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