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拾ったドングリから育てられる? 丈夫な常緑樹「アラカシ」の増やし方と栽培ガイド

拾ったドングリから育てられる? 丈夫な常緑樹「アラカシ」の増やし方と栽培ガイド

主に関西地方を中心に、庭木や目隠しの生け垣として古くから親しまれてきた「アラカシ(粗樫)」。1年を通して青々とした葉を楽しめ、秋にはかわいらしいドングリを実らせる丈夫な常緑高木です。しかし、「拾ったドングリから育てられる?」「成長が早くて剪定方法が分からない」「シラカシと何が違うの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、アラカシの基本情報から、失敗しない育て方・剪定のタイミング、目隠し生け垣の作り方、シラカシとの簡単な見分け方まで分かりやすく解説します。ご自宅の庭木選びや日常のお手入れにぜひお役立てください。

アラカシの基本情報

アラカシ
Vahan Abrahamyan/Shutterstock.com

植物名:アラカシ
学名:Quercus glauca
英名:ring-cupped oak
和名:アラカシ(粗樫)
その他の名前:アラガシ、クロカシ、オオガシ、ナラバガシなど
科名:ブナ科
属名:コナラ属
原産地:日本(東北地方以南)、朝鮮半島、中国などの東アジア
形態:常緑性高木 

アラカシは漢字で「粗樫」と書き、学名はQuercus glauca (クエルカス・グラウカ)。ブナ科コナラ属の常緑高木で、原産地は中国、朝鮮半島、日本などの東アジア。国内では本州、四国、九州・沖縄に分布しています。暑さや寒さには強く、一般地では周年戸外で管理できます。コナラ属の常緑樹に分類されるカシの木の中でも代表的存在で、地域によってはカシといえばアラカシを指すことも多いようです。自然樹高で15〜20m、幹は60㎝ほどになり、放任してもよく育つので、公園や街路などによく利用されていて、ドングリがなる樹木の代表格としても知られています。また、盆栽に仕立てることもできます。

本州以南地域に分布するアラカシ

アラカシ
tamu1500/Shutterstock.com

アラカシは本州の宮城県~石川県以西、四国、九州・沖縄に分布しており、カシの仲間では最も広い範囲に自生しています。日本以外では韓国の済州島、中国、ヒマラヤ地方などに分布していることが確認されています。年間を通じて温暖で降水量が多い地域でよく育つため、日本では主に西日本で庭木としてよく栽培されています。

特に関西方面で生け垣用として好んで植栽されており、カイズカイブキやウバメガシと並んで、関西の三大生け垣用樹とされてきました。生育スピードがはやく、大きく成長することもあってか、現在では庭木として植栽されることは少なくなっていますが、常緑のため道路側や隣家側などの目隠し用に重宝します。

アラカシの花や葉、実の特徴

アラカシ
Hank Asia/Shutterstock.com

園芸分類:庭木
開花時期:4~5月
樹高:15〜20m
耐寒性:普通~やや強い
耐暑性:強い
花色:淡緑色

アラカシは雌雄同株で、開花期は4~5月。花色は淡いグリーンで、雄花と雌花がつきます。雄花序は新枝の基部から5~10cm垂らして多数の雄花をつけ、雌花序は新枝の上部の葉腋から1花序ずつ直立し、3~5個の雌花をつけます。

アラカシ
tamu1500/Shutterstock.com

アラカシの葉は長さ5~13cm、幅3~6cmの楕円形で、縁にはギザギザとした鋸歯が入って互生につきます。

アラカシのドングリ
JamesHou/Shutterstock.com

アラカシは、10~11月になると茶色く熟したドングリを落とします。アラカシのドングリは直径2cm弱で、帽子(殻斗)には同心円状に多層の横縞があるのが特徴。鱗状の模様のあるナラ類のドングリとの見分けポイントになります。

アラカシのドングリ
帽子(殻斗)に同心円状の模様が入るアラカシのドングリ。kenjii/Shutterstock.com
アラカシの樹皮
This_is_JiHun_Lee/Shutterstock.com

アラカシの樹皮は暗灰色で、幹には皮目や浅いくぼみが見られます。基本的に幹肌はなめらかで大きく割れ目が入ることはなく、樹齢が古くなってもごく浅い割れ目が入る程度です。

アラカシの名前の由来と花言葉

アラカシ
tamu1500/Shutterstock.com

アラカシは漢字で「粗樫」と書きますが、「粗」は、葉の縁に入る切れ込みが粗いこと、枝の出方が粗いことなどにちなんでいます。また、カシという名は「堅し木」に由来するとされ、材が堅いことにちなみます。

アラカシの花言葉は「力」「勇気」「長寿」などです。

アラカシとシラカシの違い

アラカシとシラカシ
左はアラカシ、右はシラカシ。Hank Asia、yosmoes815/Shutterstock.com

シラカシはブナ科コナラ属の常緑樹で、自然樹高が10〜20mにも達する高木で、生育スピードは速いほうです。原産地は、日本、朝鮮、中国、台湾で、国内では主に福島県〜新潟県以西の本州、四国地方、九州地方に分布。主に関東地方で庭木として利用されています。

アラカシとシラカシの違いは、葉の縁に入る切れ込みが葉のほとんどに付くシラカシに対し、アラカシの葉は幅広で卵形、鋸歯は葉の半分から先につく点です。葉裏を見るとシラカシは灰緑色で、アラカシは緑灰褐色で絹毛があります。またどんぐりでは、シラカシはやや細長ですが、アラカシはふっくらしているのが相違点です。

アラカシの仲間の種類

アラカシ
Hank Asia/Shutterstock.com

アラカシにはいくつかの仲間や品種があるので、主なものをご紹介します。

ヒリュウガシ

漢字で「飛龍樫」と書きます。主に関西地方で庭木として利用されており、葉の縁が深く切れ込んでいるのが特徴です。あまり多くは流通していません。

ヨコメガシ

アラカシの変種で、野生では見られない園芸品種。葉脈の間にクリーム色の斑が入るのが特徴です。

アマミアラカシ

アラカシの変種で灰岩質の土壌を好み、沖縄などに分布。沖縄を代表するどんぐりの木で、ドングリはアラカシよりも大きくて細長いのが主な相違点です。

アラカシの用途

アラカシ
Marinodenisenko/Shutterstock.com

アラカシは和庭やナチュラルガーデンによく馴染む庭木で、次のような楽しみ方があります。

和風の庭の雰囲気づくりに

主に関西方面で庭木としてよく用いられているアラカシ。常緑樹で冬も葉を落とさないため、人通りが多い道路側や隣との境界などに向いています。年に2回は透かし剪定をして風通しがよく自然な樹形を保てば、和庭などで魅力を発揮する庭木です。

里山の野趣を感じられる庭木として

アラカシは秋にドングリを落とすため、自然たっぷりの里山の雰囲気を感じることができます。落葉樹をメインに植栽している庭では、常緑のアラカシを加えると冬もみずみずしい葉姿を楽しめます。またソヨゴやシマトネリコ、ギンヨウアカシアなど、異なる樹種の常緑樹も加えると、一年を通して緑豊かな庭を維持できます。

生け垣にする場合は範囲を限定するとよい

アラカシを列植して生け垣に利用する場合は、30〜100cmの間隔を取るようにし、樹高1.5〜1.8mほどを維持する剪定を行いましょう。あまり大きくなりすぎると手入れがしにくくなるためです。奥行きを維持することは難しいので、幅は80㎝以上の余裕があるとよいでしょう。生育旺盛なので、年に2回の剪定で樹形が乱れないように管理します。

アラカシの栽培12カ月カレンダー

開花時期:4〜5月
植え付け・植え替え:3〜5月、10月頃
剪定:5〜7月、10月頃
種まき:10~11月

アラカシの栽培環境

アラカシ
Marinodenisenko/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日当たり、風通しのよい場所が最適です。半日陰の場所でも生育しますが、あまりに暗い場所では生育が悪くなります。

【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。

【置き場所】水はけ、水もちがよく、腐植質に富んだふかふかとした土壌を好みます。生け垣の場合は、あまり薄く育てることはできないため、奥行き80cm以上のスペースを確保するとよいでしょう。

耐寒性・耐暑性

アラカシの耐寒温度はマイナス8℃程度と、ある程度寒さには耐えますが、栽培適地は東北地方南部から九州・沖縄にかけてです。耐暑性は強く、特に夏越し対策は必要ありません。

アラカシの育て方のポイント

用土

土
blueeyes/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの2〜3週間前に、直径・深さともに50㎝程度の穴を掘りましょう。掘り上げた土に腐葉土、堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。粘土質などの水はけの悪い土壌であれば、腐葉土や堆肥を多めにすき込んで土壌改良し、土を盛って周囲よりも高くしておくとよいでしょう。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

樹木用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。

水やり

水やり
Vladimir Gjorgiev/Shutterstock.com

水やりの際は、木の幹や枝葉全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えてください。真夏は気温が高い昼間に行うと、水がすぐにぬるま湯になって木が弱ってしまうので、夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。

【地植え】

植え付け後にしっかり根づいて枝葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後はほとんど不要です。ただし、晴天が続いてひどく乾燥する場合は水やりをして補いましょう。

【鉢植え】

日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。また、枝葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、水切れに注意が必要です。冬は生育が止まり、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。

肥料

肥料
sasimoto/Shutterstock.com

【地植え・鉢植えともに】

アラカシは生育旺盛に育つので、植え付け時に元肥を施してあれば肥料はほとんど必要ありません。しかし、苗木がまだ幼い場合には、生育期に入る少し前の2月頃に有機質肥料を株元から少し離れた周囲にまいて、スコップで軽く耕して土に馴染ませておきましょう。

注意する病害虫

カイガラムシ
Decha Thapanya/Shutterstock.com

【病気】

アラカシに発生しやすい病気は、うどんこ病、すす病などです。

うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢などの表面が、白く粉を吹いたような状態になります。放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。

すす病は、一年を通して葉や枝などに発生する病気です。葉に発生すると表面につやがなくなり、病状が進むと黒いすすが全体を覆って見た目がよくないだけでなく、光合成がうまくできなくなって樹勢が衰えてしまいます。カイガラムシ、アブラムシ、コナジラミの排泄物が原因ですす病が発生するので、これらの害虫を寄せ付けないようにしましょう。込んでいる枝葉があれば、剪定して日当たり、風通しをよくして管理します。

【害虫】

アラカシに発生しやすい害虫は、テッポウムシやカイガラムシなどです。

テッポウムシは、ゴマダラカミキリの幼虫です。成虫が幹などに産卵し、木の内部に入って食害します。幼虫は1〜2年にわたって木の内部を食害し、木は徐々に樹勢が弱り、枯死することも。木の周囲にオガクズが落ちていたら、内部にテッポウムシがいることが疑われます。発見次第、侵入したと見られる穴に薬剤を注入して駆除しましょう。

カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mm。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

アラカシの詳しい育て方

植え付け・植え替え

ガーデニング
Jurga Jot/Shutterstock.com

アラカシの植え付け・植え替えの適期は3〜5月と10月頃ですが、基本的には真夏と真冬以外の生育期ならいつ植え替えてもよいでしょう。移植が苦手で大きく成長した木は根付きにくいため、地植えの場合は植え付け場所をよく検討してから植えましょう。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗木の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。列植して生け垣にする場合は、30〜100cmの間隔を取るようにしてください。根づくまでは支柱を立てて誘引し、強風による倒伏を防ぎましょう。最後にたっぷりと水を与えます。アラカシを栽培適地で地植えにする分には、健全に育っていれば植え替える必要はありません。

【鉢植え】

鉢で栽培する場合は、入手した苗が植えられている鉢よりも1〜2回り大きなサイズの鉢を準備します。鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木をポットから取り出して軽く根鉢をくずし、鉢の中に入れて仮置きし、高さを決めます。少しずつ土を入れて、植え付けていきましょう。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。

土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。根づくまでは支柱を立てて誘引し、強風による倒伏を防ぎましょう。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えます。

鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりしてくるので、1〜2年に1回は植え替えましょう。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から木を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を整理して小さくし、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。

剪定

剪定
Opas Chotiphantawanon/Shutterstock.com

アラカシの剪定適期は5〜7月か、10月頃です。生育が早く、樹形を崩しやすいので放任せずに定期的に手入れすることが大切です。

【樹姿を楽しむ剪定】

アラカシの自然な樹形を楽しむ場合は、透かし剪定や切り戻し剪定を中心に行います。まず、幹の先端で複数の枝が出ている場合は、1本のみ残してほかは切り取りましょう。次に勢いよく伸びすぎている徒長枝、垂直に伸びる立ち枝、ほかの枝に絡んでいるふところ枝、下向きに伸びている下がり枝、内側に向かって伸びている枝、株元から伸びているひこばえなどを切り取ります。また込み合いすぎている部分があれば、適宜透かすように剪定し、風通しをよくします。これ以上樹高を大きくしたくない場合はだいたいのアウトラインを決め、はみ出している枝があれば分岐部まで遡って切り取りましょう。

【生け垣の剪定】

生け垣にしている場合は、年に1回の剪定では枝がかたくなって作業しづらくなるので、5〜7月と10月頃の年に2回は行うようにしましょう。

まず、高さを決めて先端を刈り込みバサミでカットします。太くて切れない枝はノコギリで切り取るとよいでしょう。次に、側面のアウトラインを決めて、はみ出している枝をカットしていき、生け垣の形を整えます。

拾ったドングリの育て方&株の増やし方

ドングリ
JamesHou/Shutterstock.com

アラカシは秋に採取したドングリを播いて小さな苗から育てたり、株を増やすことができます。ドングリは乾燥に弱く、乾燥すると発芽率が低下するため、拾ったドングリはすぐに播くとよいでしょう。すぐに植えられない場合は湿らせた砂などに入れて保管します。水に入れて浮かぶドングリは虫食いや乾燥で発芽しないことが多いため、水に沈むものを選び、培養土や赤玉土などに1~2cmの深さで横向きに埋め、乾かさないように管理しましょう。

日本で親しまれてきたアラカシを自宅の庭に

アラカシ
Vipul1989/Shutterstock.com

日本に自生し、古くから利用されてきたアラカシは強健な性質で、放任してもよく育つのでビギナーにもおすすめ。秋になればどんぐりを落とすので、里山のような野趣あふれる雰囲気も楽しめます。冬でも葉姿を楽しめるアラカシを、庭に植栽してはいかがでしょうか。

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