「実がならない」「収穫時期が分からない」を解決! カボチャ栽培で初心者がつまずかないための基本ポイント
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ほんのり甘くて美味しいカボチャ。家庭菜園でも大人気ですが、「つるばかり伸びて実がならない」「いつ収穫すればいいの?」と悩む初心者の方も少なくありません。
本記事では、失敗しない土づくりから、確実に実をつける「人工授粉」のコツ、甘みを引き出す収穫・追熟のタイミングまで分かりやすく解説します。今年こそ、ホクホクで美味しいカボチャをご自宅で収穫してみませんか?
目次
カボチャの基本情報

植物名:カボチャ
学名:Cucurbita maxima(西洋カボチャ)、Cucurbita moschata(日本カボチャ)、Cucurbita pepo(ペポカボチャ)
英名:Pumpkin、Squashなど
和名:カボチャ(南瓜)
その他の名前:ナンキン(南京)、トウナス(唐茄子)、ボウブラなど
科名:ウリ科
属名:カボチャ属
原産地:南北アメリカ
形態:一年草
カボチャはウリ科カボチャ属の果菜類です。学名は、西洋カボチャがCucurbita maxima、日本カボチャがCucurbita moschata、ペポカボチャがCucurbita pepo。原産地は南北アメリカで、暑さには強いものの寒さには弱い性質で、生育適温は20〜25℃。つるを長く伸ばして生育する一年草です。
カボチャの由来・歴史

カボチャの栽培は、紀元前7000〜5500年にメキシコで始まったとされています。大航海時代の探検家・コロンブスがアメリカ大陸から欧州に持ち帰ったことで広く普及したようです。日本には1541年にポルトガルの船が大分県に漂着した際、日本カボチャがもたらされました。また西洋カボチャは1863年にアメリカから、ペポカボチャは明治初期に伝わったとされています。
カボチャの特徴

園芸分類:野菜
開花時期:6〜7月
収穫時期:6月下旬~9月
つるの長さ:2~2.5m
生育適温:17~20℃ほど
耐寒性:弱い
耐暑性:やや弱い
花色:黄色
カボチャはつるを長く伸ばして成長します。畝につるを這わせる「地這い栽培」が一般的で、広いスペースが必要です。ミニカボチャなら支柱を立ててネットを張り、つるを仕立てる「立体栽培」ができます。
カボチャの葉は大きくて縁は丸みを帯び、表面や茎には細かいトゲがあるのが特徴です。雌花と雄花が咲き、雌花は子房が丸く膨らんでおり、雄花は子房が膨らんでいないので見分けるのは容易です。早朝に雄花を取って雌花に人工授粉すると、確実に結実できます。
カボチャのつるが伸びるタイムラプス。Petr Ganaj/Shutterstock.com
カボチャの栄養価

カボチャは、β−カロテン、食物繊維、たんぱく質、カリウム、カルシウム、ビタミンC、ビタミンB₂、ビタミンEなどを豊富に含んでいます。長期保存ができるため、野菜が不足する冬の貴重な栄養源として食されてきました。「冬至にカボチャを食べると風邪をひかない」ともいわれ、風邪の予防、長生き、お金に困らないなど、厄落としのような意味合いもあったようです。
カボチャはサラダやスープ、煮物、天ぷらなどに調理されるほか、パンプキンパイやパンプキンプディングなどお菓子づくりにも利用されています。じつのところ、種子やワタも食べられます。種子は炒めたり、オーブンで焼いたりしておつまみにできるほか、クッキーやパウンドケーキ、サラダのトッピングなどに用いるのもおすすめです。また、中国やベトナムなどのアジア諸国では若いつるも食用に利用されています。

カボチャの名前の由来と花言葉

カボチャという名前は、ポルトガル語の「Cambodia abbora(カンボジャ・アボボラ)」が由来で、「カンボジアのウリ」という意味。ポルトガル人がカンボジアの産物として持ち込んだ際に呼ばれた「カンボジャ」がなまって「カボチャ」と呼ばれるようになったようです。
漢字では「南瓜」と書き、これは「南蛮から持ち込まれた瓜」を意味しています。別名に「南京(なんきん)」がありますが、これは中国の寄港地「南京」に由来。また、「唐茄子(とうなす)」の別名は、「中国から来たナス」としてこう呼ばれるようになりました。
英名では「Pumpkin(パンプキン)」や「Squash(スクワシュ)」。日本ではカボチャといえばパンプキンですが、一般的に食用に利用される皮が緑色のカボチャを含むカボチャの総称は「Squash」、ハロウィンによく見られる皮がオレンジ色のカボチャなど、一部のペポカボチャのみ「Pumpkin」と呼ばれます。
カボチャの花言葉は「広大」。ずっしりと重いカボチャの存在感が由来とされています。諸説ありますが、7月31日、12月21日、12月31日の誕生花です。
カボチャの種類
カボチャ属には11系統があり、そのうち5系統が栽培されています。日本では西洋カボチャ、日本カボチャ、ペポカボチャの3系統が栽培されているので、今回はそれらの特性や主な品種などについてご紹介します。
西洋カボチャ

日本で最もポピュラーに栽培されているカボチャです。アンデス山脈高地の冷涼な地域で栽培されてきたため、暑さに弱いとされてきましたが、近年は品種改良が進んで暑さに強い品種が出回るようになりました。甘みがあり、ほくほくとした実で、「えびすカボチャ」、「栗カボチャ」とも呼ばれています。果皮は一般的な濃いグリーンのほか、白皮カボチャもあります。主な品種は‘グラッセ’、‘えびす’、‘ロロン’、‘夢味’など。
日本カボチャ

主に近畿地方以西で作られ、「日向カボチャ」や「鹿ヶ谷カボチャ」、「縮緬カボチャ」などさまざまな地方品種がありますが、最近はあまり作られなくなっています。メキシコ~中央アメリカの熱帯地域で栽培化された系統で、暑さに強いのが特徴です。西洋カボチャよりは小ぶりで、ねっつりとした食感が楽しめます。主な品種は、‘はやと’、‘早生小菊’など。
ペポカボチャ

ズッキーニや、茹でると素麺状になるそうめん南瓜、オモチャカボチャ、ハロウィンで飾られるジャック・オ・ランタン用の大きなカボチャなどがペポカボチャに属しています。北アメリカ南部の乾燥した気候のもとで栽培化されました。ズッキーニでは‘ダイナー’、‘オーラム’などが主な品種です。
カボチャの栽培12カ月カレンダー
開花時期:6〜7月
収穫時期:6月下旬~9月
種まき:3月下旬〜5月中旬
植え付け:4月下旬〜5月
肥料:6月中旬頃~7月中旬
カボチャの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい環境で栽培します。
【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。
【置き場所】カボチャはつるを伸ばして生育する性質があります。地面につるを這わせる「地這い栽培」にするなら、2㎡ほどのスペースを確保する必要があります。
耐寒性・耐暑性
ウリ科の中では比較的耐寒性はあるものの、寒さにはあまり強くないため、最低気温8~10℃、最低地温が12℃以上になった頃を目安に定植しましょう。
カボチャの育て方のポイント
用土

土づくりは種まき、または苗の植え付けの2〜3週間前にスタートします。
1株につき2㎡のスペースを取り、その中央に畝幅40〜50cm、長さ70〜80cmを取って四隅に支柱などを立てておき、畝の目印にしておきます。畝にする場所に苦土石灰を100〜150gを散布してよく耕し、土に混ぜ込みましょう。
さらに、植え付けの1〜2週間前に目印をつけておいた畝の中央に深さ約15cm、長さ50〜60cmの溝を掘り、堆肥0.5L、有機配合肥料180〜200g、熔リン肥50g、緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)50gを均一にまき、埋め戻します。目印にしておいた場所に高さ15cmの畝を作ります。
土づくりは植え付け直前ではなく、数週間前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成し、根張りがよくなります。
種まき

カボチャはビギナーでも種まきから育てられます。種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなります。
ただし、カボチャの苗は5月頃から花苗店に出回り始めるので苗の植え付けからスタートするのもよく、「1〜2株あれば十分だから、苗の植え付けから始めたい」という方は、「植え付け」の項に進んでください。
カボチャの種まき適期は、一般地で3月下旬〜5月中旬。発芽地温は25~30℃です。
【直まき】
土づくりをしておいた場所に、点まきします。1カ所に2〜3粒を目安に、平らな面を上に向けて播きます。覆土は種の厚みの3〜4倍を目安にしましょう。発芽地温が高めなので、ビニールトンネルやホットキャップなどで保温するとよいでしょう。はす口をつけたジョウロで高い位置からやわらかい水流で水やりし、種が流れ出さないようにします。発芽後、本葉が2〜3枚ついたら1本残してほかは間引いてください。間引く際は、弱々しく徒長している苗、葉色が冴えない苗、葉に虫喰いの跡がある苗などを選びます。
【ポットまき】
まず、3〜4号の黒ポットに十分に湿らせた野菜用培養土を入れ、種を3粒ずつ平らな面を上に向けて播きます。覆土は種の厚みの3〜4倍を目安にしましょう。発芽地温が高めなので、25~30℃前後になるよう保温すると確実です。最後にたっぷりと水やりしておきます。発芽後、本葉が1枚ついた頃に、1本を残してほかは間引きます。間引く際は、弱々しく徒長している苗、葉色が冴えない苗、葉に虫喰いの跡がある苗などを選びます。順調に生育し、本葉が3〜4枚ついたら定植します。
植え付け

カボチャの植え付け適期は5月~6月中旬。種まき後30日前後、本葉が4~5枚になったタイミングを目安に定植します。
畝の中央に苗を植え付け、たっぷりと水を与え、竹ひごなどで仮支柱を立てておきます。株元には敷きわらをしておくとよいでしょう。
水やり

菜園の場合は、下から水が上がってくるので、天候にまかせてもよく育ちます。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補いましょう。
親づるの摘心・子づるの整枝

本葉が5〜6枚ついたら、親づるの先端をハサミで切り取って芯を止めます。すると子づるが伸びてくるので、勢いのある子づるを3本のみ残し、ほかは元から切り取りましょう。残した子づるは、3方向へ伸ばしてUピンで止め、伸ばしたい方向へ誘導します。
追肥

成長初期に窒素肥料分が多いと、つるばかり伸びて花や実がつかない「つるぼけ」になりやすくなります。そのため、元肥はやや控えめにし、追肥でコントロールするとよいでしょう。
子づるを整枝した後と果実がついた頃に、化成肥料を40〜50gほど、つるの先に与えます。
人工授粉

カボチャには雄花と雌花があります。雌花は花の下に子房の膨らみがあり、雄花にはないのが見分けるポイントです。人工授粉は、花が新鮮なうちがよく、午前9時頃までに行いましょう。雄花を切り取って花弁をはずし、雌花の柱頭に花粉をしっかりとこすりつけます。
摘果

1株につき、4〜5個に絞って収穫すると、充実したカボチャになります。多くなりすぎるようであれば、傷がついたものや変形しているものなどを選んで、まだ実が小さいうちにハサミで切り取っておきましょう。
実の保護と玉直し

残した実は、地面についたままにしていると傷んでしまう恐れがあるので、ワラやもみ殻を実の下に敷いて保護しておきましょう。また、実の向きを変えずにいると、日の光が果実に当たるのが偏るので、まんべんなく光を当てるために時々果実をひっくり返す「玉直し」をしましょう。玉直しをせずにいると、光が当たらない場所が白くなって色むらができることがあります。
収穫

収穫の適期は6月下旬〜9月で、地域により異なります。西洋カボチャは開花後40~45日経って、カボチャのヘタがコルク状になっていること、日本カボチャは開花後25~40日でヘタが褐色になり、果面に白い粉が吹き出してくることが収穫タイミングの目安なので、ヘタをハサミで切り取って収穫します。カボチャは、収穫後すぐに食べるよりはしばらく置いて追熟したほうが、味がよくなります。風通しのよい涼しい場所に2週間ほど置いて追熟しましょう。
注意する病害虫

【病気】
カボチャの栽培で発生しやすい病気は、うどんこ病、モザイク病などです。
うどんこ病は、カビによる伝染性の病気で、葉やつぼみの表面が白く粉を吹いたような状態になります。放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、茎葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発生しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。
モザイク病はウイルス性の病気で、アブラムシやアザミウマ、コナジラミなどの虫が媒介となって発症します。したがって、発生しやすい時期はアブラムシなどの活動が活発な春から秋にかけて。主に花や葉に被害が発生し、モザイク模様が現れます。症状が進むとウイルスの種類によっては葉などが縮れてきたり、湾曲して変形したりし、株の生育が著しく悪くなります。治療効果のある薬剤はないので、発症したら抜き取って土ごと処分し、周囲に蔓延するのを防ぎましょう。アブラムシ対策をしておくことが、病気を抑制することにつながります。
【害虫】
カボチャの栽培で発生しやすい害虫は、アブラムシ、ウリハムシなどです。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。
ウリハムシは、特にウリ科の野菜に発生しやすい害虫です。黄褐色の成虫は体長1cmほどで4〜5月、7〜8月で葉や果実を網目状に食害します。白い幼虫は体長1cmほどで6〜7月に根を食害します。いずれも多発すると日中にしおれるようになり、やがて枯死します。見つけ次第補殺するか、適用する薬剤を散布して防除しましょう。黄色い色を好むので、市販の黄色い粘着シートを配して誘引補殺する方法もあります。
料理でも観賞用でも楽しめる! 育てやすいので栽培してみよう!

カボチャは栄養価が高く、煮物やスープ、揚げ物、サラダ、お菓子づくりにと用途が広い野菜の一つです。家庭菜園で、ほくほくとしたおいしいカボチャづくりにチャレンジしてはいかかでしょうか。
参考文献/
『甘やかさない栽培法で野菜の力を引き出す 加藤流 絶品野菜づくり』発行/万来舎、発売/エイブル 2015年4月21日発行第1刷
『別冊やさい畑 野菜づくり名人 虎の巻』発行/家の光協会 2009年2月1日発行
食品成分データベース 食品詳細 【出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年】|文部科学省
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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