庭の「名脇役」決定版! ナチュラルガーデンを彩るアスペルラを失敗せずに育てるコツ
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欧米のナチュラルガーデンで古くから愛され、初夏の庭を爽やかに彩る「アスペルラ」。日本で特に普及しているアスペルラ・オリエンタリス(和名:タマクルマバソウ)は、涼しげな青紫色の小花をこんもりと咲かせ、他の花を引き立てる名脇役として大人気の植物です。
1年で枯れてしまう一年草ですが、小花がボリュームたっぷりにたくさん咲き、満足度が高い花。コツさえ掴めば初心者でも簡単に育てられ、環境が合えばこぼれ種で毎年咲きます。
今回は、アスペルラ・オリエンタリスの特徴や花言葉をはじめ、「日本の夏の暑さに弱いって本当?」「種まきやお手入れのコツは?」といった疑問に答える育て方のポイント、失敗しない水やり、種まきの方法などを分かりやすく解説します。
目次
アスペルラの基本情報

植物名:アスペルラ・オリエンタリス
学名:Asperula orientalis
英名:annual woodruff、oriental woodruffなど
和名:タマクルマバソウ(玉車葉草)
その他の名前:アスペルラ、オリエンタルウッドラフ
科名:アカネ科
属名:クルマバソウ属
原産地:小アジアからコーカサス地方
形態:一年草
アスペルラ・オリエンタリスはアカネ科に属し、学名はAsperula orientalis。和名では「タマクルマバソウ」と呼ばれ、原産地は小アジアおよびコーカサス地方です。
草丈は25~30cmほどで、主な開花期は秋まきなら5~7月、春まきなら9~10月です。寒さにはやや強いですが暑さには弱く、基本的には秋に種子をまき、翌年の初夏に花を楽しんだ後、夏頃に枯れてしまう一年草です。比較的育てやすい植物で、適切な環境で育てれば、ワンシーズンの間にたくさんの花を楽しむことができます。複数株をまとめて植えることでより見栄えがよくなり、また、爽やかな青紫色の花色でこんもりと育つ姿は、他の草花と混植しても周囲の花々を引き立てる存在になります。
日本ではアスペルラ・オリエンタリスが普及

アスペルラには約200種類もの仲間が存在しますが、日本では特にアスペルラ・オリエンタリスが普及し、アスペルラといえばアスペルラ・オリエンタリスを指すことがほとんどです。
アスペルラ・オリエンタリスはイラン、レバノン、シリア、トルコ、ジョージアなどの地域に自生し、主に草原や落葉樹林帯で見られます。その美しい花姿から観賞用として広く栽培され、ヨーロッパでは鉢植えやコンテナ、ハンギング、花壇などでよく見かける花です。苗からでも種まきからでも育てられ、花期が長く、庭や花壇に植えても目立ちすぎることがないため、主役の草花を引き立てる脇役的な存在として重宝されています。
アスペルラ・オリエンタリスの花や葉の特徴

園芸分類:草花
開花時期:5〜7月
草丈:25〜30cm
耐寒性:強い
耐暑性:弱い
花色:青紫色
アスペルラ・オリエンタリスの開花期は5~7月。春まきの場合は9~10月に花を咲かせることもあります。先端が開いた筒状の青紫色の花は、花茎の頂点に密集して咲き、自然とこんもりとしたブッシュ状になります。茎の節に、茎を囲むように細長い葉が8枚輪生するのが特徴。茎はよく伸びるものの細いため自立性が弱く、開花時期になると半ば倒れたような草姿になります。
アスペルラ・オリエンタリスの名前の由来と花言葉

属名の「アスペルラ」はラテン語の「asper(粗い)」に由来し、葉の表面がざらざらしているという特徴から。種小名の「オリエンタリス」は「オリエント地域産の」という意味で、トルコ周辺地域を指します。和名の「玉車葉草(タマクルマバソウ)」は、花が密集して玉のように見えることと、クルマバソウの仲間であることに由来。クルマバソウという名は、特徴的な葉の付き方に由来しています。茎がすっと伸び、その周囲をぐるりと囲むように細長い葉が8枚ほど付きます。この車輪状の葉の配置が「車葉草(クルマバソウ)」という名前になりました。

アスペルラ・オリエンタリスの花言葉は「至福のひととき」です。青紫色の可憐な花は、見る人の心を和ませ、幸福感をもたらしてくれるような魅力を持っています。その穏やかな雰囲気から、癒やしの花としても人気があります。
アスペルラの種類

日本ではアスペルラ・オリエンタリスが広く普及していますが、ほかにも多くの種類があります。ここでは、いくつかの種類をご紹介します。
グッソネイ(A. gussonei)

シチリア島原産の多年草。葉は多肉質でマット状に広がり、ピンクがかった白花を咲かせます。ロックガーデンなどに利用されます。
ヘクサフィラ(A. hexaphylla)
南ヨーロッパ原産で、6~7月に白い花を咲かせる種類です。切り花や鉢植えとして利用され、日当たり~半日陰の環境で育ちます。
ティンクトリア(A. tinctoria)

中部ヨーロッパ原産で、花色は白。根は染料として利用されることもあります。
オドラータ(A. odorata)

ガリウム・オドラツム(Galium odoratum)とも。5~7月に、香りのある星形の白い小花を咲かせます。やや湿り気のある半日陰を好み、シェードガーデンのグラウンドカバーとしても人気があります。
タウリナ(A. taurina)

長い筒部分を持つ白い花を、花茎の先に密集させて咲かせます。草丈は20~60cm。
ブルーシャンデリア(A.orientalis ‘Blue Chandelier’)
アスペルラ・オリエンタリスの園芸品種で、美しい花を咲かせます。
アスペルラ・オリエンタリスの栽培12カ月カレンダー
開花時期:5〜7月(秋まき)、9~10月(春まき)
植え付け・植え替え:3月上旬〜4月上旬
肥料:3〜6月
種まき:9月下旬~10月中旬(秋まき)、3月中旬~4月中旬(春まき)
アスペルラ・オリエンタリスの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】アスペルラは日照を好む植物なので、日当たりのよい場所で管理することが重要です。
【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。
【置き場所】高温多湿には弱いため、水はけがよく乾燥した場所で管理します。
耐寒性・耐暑性
耐寒温度は0~マイナス5℃程度で、寒さには比較的強いですが、苗が小さい時期は霜に注意が必要です。平地や暖地では秋に種子を播き、春から初夏にかけて花を楽しむのが一般的な栽培方法です。高温多湿に弱く、夏頃に枯れる一年草なので夏越しの対策は特に必要ありません。
アスペルラ・オリエンタリスの育て方のポイント
用土

アスペルラ・オリエンタリスは乾燥気味の土を好むため、水はけのよい土に植えることがポイントです。市販の草花用培養土でも問題なく育ちますが、鉢植えの場合は底に軽石を敷くなど、水はけをよくするのがポイントです。
水やり

地植えの場合は、根付いたら基本的に水やりは必要ありません。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水を与えます。ただし過湿になると根腐れを引き起こすため、水やりは土の表面がしっかり乾いてから。目安としては、鉢土の表面が白く乾いてから与えるようにしましょう。開花中は花に水をかけないよう、株元にそっと水を与えます。
肥料

地植えの場合、肥えた土であれば特に肥料を施す必要はありません。
鉢植えの場合、基本的に培養土には元肥となる肥料分が含まれているため、それ以降は開花中に固形肥料を一度、液体肥料なら数回与える程度で十分です。液体肥料は春~開花時期に適宜与えるとよいでしょう。
注意する病害虫

病害虫の心配はほとんどなく、初心者でも育てやすい植物です。特別な病害虫対策は不要ですが、日頃から適切な環境で管理し、株の状態をチェックすることで健康に育てることができます。
アスペルラ・オリエンタリスの詳しい育て方
種まき

種まきの適期は、秋なら9月下旬~10月中旬、春なら3月中旬~4月中旬です。ただし高温多湿に弱いため、秋に種子を播いて苗で冬越しさせ、初夏に花を楽しむほうが育てやすいです。春まきの場合は苗で夏越しして秋に花を楽しめますが、夏の栽培が避けられないため、寒冷地向きです。発芽率はさほど高くないので、多めに播いておくと安心です。
【種まきの手順】
- ポットに数粒ずつ種子を播き、軽く押し込んだあと薄く覆土する。
- たっぷり水をやり、芽が出てきたら間引きを行いながら苗を育てる。
- ある程度成長したら鉢や地植えで育てる。
苗の選び方
苗を購入する際は、葉の色が鮮やかで引き締まった株を選び、つぼみがたくさんついたものを選ぶのがおすすめです。
植え付け

アスペルラは地植えでも鉢植えでも栽培可能です。購入した苗は植え替えて楽しみましょう。植え付ける際は、暑くなる前に植え付けるとよいでしょう。
茎は自然に分枝し、こんもりとしたブッシュ状に成長するため、花壇のフロント部分や寄せ植え、ハンギングバスケットなどに利用すると見栄えがよくなります。
日常のお手入れ

【花がら摘み】
花がら摘みをこまめに行うことで、花を長く楽しむことができます。花が変色したら、引き抜くようにして取り除きましょう。
夏越し

アスペルラは高温多湿に弱いため、夏を越すことはできません。日本では夏前までの一年草として楽しむ植物であり、基本的には秋に種まきをし、初夏までの間に育てて花を楽しみ、夏には役目を終えます。
増やし方

アスペルラは一年草ですが、その可憐で育てやすい特性から、毎年育てているという人も少なくありません。花が終わったあとにすぐ摘み取らずそのままにしておくと、種子ができるので、採種した種子を使って翌年また育てることができます。
環境に合えばこぼれ種が発芽することも
アスペルラ・オリエンタリスの花をそのままにしておくと種子ができ、その種子が落ちて、適切な環境にあれば自然に発芽する場合もあります。もし発芽しているのを見つけたら、必要に応じて移植をし、育ててみましょう。
採種方法
アスペルラ・オリエンタリスの種子は非常に小さく、採取には少しコツが必要です。花が咲き終わり、茶色く熟したら、花茎から切り取って紙袋などに入れ、乾燥させます。乾いたらもみほぐして種子を取り出しましょう。
アスペルラを栽培する際の注意点

アスペルラは比較的育てやすい植物ですが、高温多湿には弱いため、水の与えすぎには注意が必要です。特に鉢植えの場合は根腐れに注意し、土の表面が乾いてから水やりを行うよう心がけましょう。
実生で育てる場合は、寒冷地以外では秋まきがおすすめです。春まきは夏越しが難しくなるため注意が必要です。
アスペルラの茎は細く繊細で、花の時期には折れやすくなるため、移動や手入れの際はやさしく扱いましょう。開花中の水やりも花にかからないよう、株元から丁寧に与えることがポイントです。
春から初夏の花・アスペルラの栽培を楽しもう

アスペルラは一年草ですが、一度育ててみると毎年でも育てたくなる魅力的な植物です。地植えでも鉢植えでも育てることができるため、場所やスタイルを選ばず取り入れられます。高温多湿に注意して、ぜひアスペルラを育ててみてはいかがでしょうか?
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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