栄養満点で料理に大活躍の「ニラ」。じつは多年草であり、一度植えれば数年にもわたって何度も繰り返し収穫できる、家庭菜園にぴったりの野菜です。
丈夫で病害虫の心配も少なく、プランターを使えば省スペースで栽培できるため、園芸初心者の方にもおすすめです。この記事では、切ってもまた生えてくるニラを長期間たっぷり楽しむための、育て方や収穫のコツを栽培のプロが分かりやすく解説します。
目次
ニラの基本情報

植物名:ニラ
学名:Allium tuberosum
英名:Chinese chive
和名:ニラ(韮)
科名:ヒガンバナ科
属名:ネギ属
原産地:中国
形態:多年草
野菜のニラは、中国西部が原産の多年草で、アジアでは古くから食用として栽培されてきました。葉が主に食用とされますが、花茎とつぼみも食べることができます。
欧米やヨーロッパでは、夏頃に咲く花が美しい多年草の観賞用植物として主に栽培されています。
日本には9~10世紀頃に伝来し、古くから利用されてきた植物です。ただし葉の強い匂いから、戦前まで食材として多くは使われませんでした。戦後に中華料理の普及とともに栽培が急速に広がり、ギョウザの材料として、また、モツやレバーなどの肉料理に欠かせない野菜として人気です。近年人気の韓国料理でも定番の野菜でもあります。
一般に流通するのは施設栽培されたニラで、旬は冬から春とされます。生産が最も多いのは高知県で、温暖な気候がニラの生育に適しています。他に栃木県や群馬県、東北地方や北海道などでも多く生産されています。
ニラの特徴・生育サイクル

草丈:30〜35cm
開花期:7~8月
耐寒性:強い
耐暑性:普通
春の3~4月が種まきの適期で、その後5月中旬から6月に苗を定植します。生産農家での栽培の場合、1年間は収穫せず、株の充実を図ります。家庭菜園では、秋に収穫してもよいでしょう。
11月くらいから葉が枯れ始め、冬は地上部が枯れた状態で休眠します。2月下旬頃から根が動き始め、3月になると芽が出てきます。
春に生育が盛んになり、冬越しした株は4~7月まで収穫期を迎えます。夏頃に花茎が伸びて花を咲かせますが、花が咲くと株が弱ります。また、夏頃の葉は細く、厚みも薄くなり、収穫に適しません。
秋になると葉が充実して生育したら、収穫が可能です。
ニラの栄養・利用方法

栄養成分が豊富で、カロテンや各種ビタミン類、カリウムやカルシウム、食物繊維などが含まれます。血流を促進して体を温めたり、免疫力向上、美肌効果、腸の働きを整える効果などが期待できます。
ニラの特有な香りは、硫化アリルによるものです。ネギやニンニクなどにも含まれ、ビタミンB1の吸収を促進し、疲労回復効果なども期待できます。
ビタミンB1を豊富に含む、豚肉やレバーなどと食べると、ビタミンB1を効果的に取り入れることができます。
特有の香りは肉との相性がよい他、炒めのものやスープ、鍋の具などさまざまに利用が可能です。
硫化アリルは熱に弱いので、生のまま細かく刻んで醤油漬けにするのがおすすめです。他にゴマ油やミリンなどを入れ、好みで唐辛子やニンニクを入れます。いろいろな料理と相性のよい調味料になり、長期間保存できます。
硫化アリルの香味成分は根元の白い部分に多く含まれます。香りを和らげたい場合は、葉先を利用するのがおすすめです。また油で炒めたり、卵とじなどにすると、香りを抑えることができます。
多く収穫した場合は、使いやすい大きさに切って冷凍保存してください。約1カ月保存でき、解凍せずにそのまま使えます。
ニラの品種
品種は、冬に休眠する大葉系と小葉(細葉)系、休眠しない花ニラに分けられます。
大葉系の品種
現在主流のニラで、葉の幅が広く、厚みもあります。休眠は浅く、栽培しやすいです。ただし乾燥に弱い傾向があります。
小葉系の品種
在来種の系統で、全体的に小型で葉が細いです。日持ちが悪く栽培されることは少ないですが、暑さに強くやさしい甘味があるのが特徴です。苗やタネの入手は困難です。現在となっては希少価値があるかもしれません。
花ニラ

花茎とつぼみが食用できますが、葉は食用に適しません。長期間花茎が出てきますが、春から夏にかけての時期が最も収穫量が多いです。休眠せず、比較的高温を好みます。「テンダーポール」や「マルイチポール」などの品種があります。
黄ニラとは?

黄ニラは、暗い場所で葉ニラを育てたものです。ニラの香りが少なく、いろいろな料理に使えます。柔らかいので、サラダにも適しています。
黄ニラの作り方
収穫した後のニラに、バケツや箱を被せて暗くして栽培すれば収穫できます。株に負担がかかるので、2年目以降の充実した株を使います。また同じ株を連続して黄ニラ栽培に使うのも避けてください。
ニラの栽培12カ月カレンダー
植え付け:5月中旬~6月中旬
植え替え:2月下旬~3月上旬
肥料:6~9月
ニラの栽培環境

適した環境・置き場所
日当たりと水はけがよく、肥沃な土壌を好みます。有機物の多い肥沃な土壌は、白絹病などの発生が少なくなります。雨が降った後に水が溜まりやすい場所は、避けてください。
連作
連作障害は少ないとされますが、連作によりネダニの被害が深刻になることがあります。最低1~2年はあけて植えると安心です。
生育温度
15~25℃が生育温度の目安です。春と秋に最もよく生育します。暑さで弱ることがありません。
冬越し
真冬は地上部が枯れた状態で越冬します。寒さで枯死することはありません。
ニラの苗の入手

種まきするか、市販のポット苗などを入手して植えます。種まきすることで、安価で大量の苗を入手できますが、本格的な収穫は2年目以降になります。初心者は手軽ですぐ収穫できる、ポット苗などを入手するのがおすすめです。
種まきの方法
発芽適温は20℃が目安になりますが、最低温度が10℃以上あればおおよそ発芽します。
3~4月が種まきの適期です。育苗箱などに種まきする場合は、深さと幅がともに1cmほどの溝を作り、溝の間は10cm程度あけます。溝の間にすじまきし、土をかぶせて軽く手などで押さえます。
プランターに植える場合は、直播します。5cm間隔で1cmの穴をあけ、種子を3~4粒ずつ播きます。種まき後はたっぷり水をやってください。
ニラの植え付け

苗の植え付け適期は、5月中旬~6月中旬です。地植えする場合は、同じ場所で数年にもわたって収穫を続けるためには、有機物をしっかりすき込んで土づくりを行ってください。
植え付け準備
2週間以上前に植え付け場所の準備をします。1㎡あたり、3要素が等量の化成肥料150g、腐葉土や堆肥などの有機物3kgを混ぜて耕しておきます。
酸性土壌では生育が悪くなります。苦土石灰などを適量施し、適した土壌酸度(pH)6.0~7.0に調整してください。
植え付け
株間を15~20cmあけ、深さ5cmほどの植穴を掘ります。1穴に3~5株まとめて植えます。適度にまとめて植えたほうが、生育がよくなります。購入したポット苗は、株分けせずにそのまま植えます。浅めに覆土して、植え穴の部分が周囲より低いようにします。後に土寄せしていきます。
土寄せ
地植えした場合は、植え付け後3週間ごとに2~3回、2~3㎝の厚さで土寄せします。
鉢やプランターへの植え付け
ポット苗を入手した場合は、株分けせずに7~8号鉢に2株、65cmプランターに4株を目安に植えてください。深型のプランターや鉢を使う場合は、鉢底石を入れて排水をよくしてください。
用土
弱酸性から中性の、肥沃で排水のよい用土を好みます。野菜用の培養土が気軽に利用できます。
ニラの育て方・日常の手入れ

水やり
強い乾燥は嫌います。土壌の乾燥が激しい場合、たっぷり水やりしてください。
鉢植えやプランターは、表土が乾いたら水やりしてください。水やりが多いと根腐れするので注意しましょう。夏の乾燥が激しい場合は、晴れた日は毎日水やりしてもよいでしょう。
肥料
6~9月が、肥料を与える時期の目安です。収穫後に1㎡あたり化成肥料を30g追肥し、土寄せしてください。追肥を怠ると、生育が衰えます。種まきして1年目の株は、秋に追肥します。
地上部が枯れる12月~翌年1月に、株の周囲に堆肥をまいておくとよいでしょう。土壌改善効果があり、生育がよくなります。
病害虫
比較的病害虫は少ない野菜です。夏頃にアブラムシが発生することがあるので、見つけ次第、早めに防除します。
病気はさび病や乾腐病などが発生するので、見つけ次第防除してください。
ニラの収穫

種まきから育てた場合は、本格的な収穫は2年目からになります。生育の早い「グリーンロード」など、品種によっては1年目の秋からの収穫が期待できます。
葉は1年の間に、4~5回収穫できます。葉が20cm以上伸びたら、地際から3~4cmの位置で切ります。夏は収穫すると株が弱るので、控えたほうがよいでしょう。
夏頃に花茎が伸びて花が咲きますが、つぼみのうちに地際から3cmの位置で切れば、花ニラとして食べることができます。
ニラの作業

捨て刈り
古い葉を刈り取って、質のよい新しい葉を出させるための作業です。夏に収穫しなかった古い葉などを、地際から3~4cmの位置で切ります。秋の収穫の15日前を目安に行いますが、作業は9月上旬までに済ませてください。
植え替え(改植)・株分け
植えたままにすると、葉が小さくなってきます。植えてから3~4年後の春か秋に掘り上げ、株分けしてから別の場所に植えます。
根が動き始める2月下旬~3月上旬に行うのがおすすめです。根から5cmくらい残して残りの葉は切り、1株ずつに分けます。2週間前から土づくりしておいた場所に3株くらいずつまとめて植えますが、葉が触れ合わないように少し間隔をあけてください。
ニラの栽培ポイント

- 日当たりのよい場所で育てる
- 肥沃で排水のよい土壌を好む
- 種まきから1年目は多く収穫できない
- 柔らかい葉を多く収穫するには、肥料をしっかり与える
- 花を咲かせると、株に負担がかかる
- 3~4年ごとに植えなおす
鉢やプランターで栽培できるので、ベランダなどでも育てられ、新鮮なニラを繰り返し味わうことができます。栄養豊富で多く収穫できるので、重宝することでしょう。病害虫も少なく、栽培に失敗することも少ないです。ポット苗などを入手すれば栽培は簡単なので、気軽に挑戦してみてください。
Credit
文 / 小川恭弘 - 園芸研究家 -

記事をシェアする
季節のおすすめアイテム
ホースガイド ジョウロ -GARDEN STORY Series-
庭にホースを伸ばして水まきをする際、ホースが大切な植物をなぎ倒してしまうのを防ぎます。地面にスッと差し込むだけで、花壇の縁やアプローチ横など、ホースが通るルートに手軽に設置できます。ジョウロのモチーフが庭の風景によくマッチ!
新着記事
-
ガーデン&ショップ

【成長が進む6月】宿根草等を使用する都立公園の花壇コンテスト「第4回 東京パークガーデンアワード」夢の…
宿根草等を生かした花壇デザインを競うコンテストとして注目されている「東京パークガーデンアワード」。第4回コンテストが、都立夢の島公園(東京都江東区)を舞台に、スタートしています。2025年12月、5人の入賞者…
-
ガーデン&ショップ

虹色アンブレラと花々の絶景!横浜で見つけた初夏の最強フォトスポット「横浜イングリッシ…PR
全国各地にあるアジサイの名所とはひと味違うと評判の、神奈川県横浜市「横浜イングリッシュガーデン」は現在、遅咲きのバラと早咲きのアジサイが同時に楽しめる貴重なシーズンを迎えています。300品種ものアジサイ…
-
園芸用品

夏野菜の収穫量は5~6月の対策で決まる⁉ 初心者でも簡単にできる「病害虫バリア」の作り方PR
日差しが一段と強くなり、気温も上昇する5月。庭やベランダ、そして家庭菜園の植物たちがぐんぐん育つ嬉しい季節ですが、じつは「害虫たちの繁殖」もピークを迎える時期であることをご存じでしょうか? 「昨日まで…

























