【プロが解説】土は不要! コップやペットボトルで簡単にできる「クレソン」水耕栽培のコツ
avoferten/Shutterstock.com
家庭菜園に興味はあるけれど、土の準備が面倒……という方必見! 水辺に自生する植物であるクレソンなら、土は一切不要です。おうちのコップやペットボトルに水を入れるだけで、初心者でも簡単に育てられます。この記事では、クレソンの基本的な知識や性質、栄養や利用の概要、適した環境や植え付けの方法、管理法に加え、室内で1年中フレッシュな葉を収穫できる水耕栽培のポイントもご紹介します。
目次
クレソンの基本情報

植物名:クレソン
学名:Nasturtium officinale
英名:Watercress
和名:オランダガラシ(和蘭芥子)
別名:ミズガラシ
科名:アブラナ科
属名:オランダガラシ属
原産地:ヨーロッパ、中央アジア、アラビア半島、北アフリカ
形態:多年草
クレソンは、ヨーロッパなどで古くから食用とされてきた水生野菜です。ピリッとする辛味成分があり、肉料理などと相性がよいです。また、栄養価も高く、ハーブとしても利用されます。
ヨーロッパからアジア、北アフリカなど、地中海に比較的近い地域が原産で、河原や池などの水辺に自生します。繁殖力が強く、世界の温帯に広く帰化しています。国内には明治初期に導入され、現在は全国の水辺で野生化しています。生活用水が多く流れ込むような用水路の周辺でもよく群生します。
国の安全委員会から、野生のクレソンには危険な寄生虫がいる危険性が喚起されています。必ず加熱して食べるようにしてください。
クレソンの若い芽が成長する様子。O_Solara/Shutterstock.com
クレソンの特徴・性質

園芸部類:野菜
開花時期:4~7月
草丈:20~60cm
耐寒性:強い
耐暑性:やや弱い
春から夏に白い花を枝先に咲かせ、花後に種子がよく結実します。乾燥に注意すれば、種まきから育てるのは比較的容易です。
茎は60cmほどに伸び、茎の内部は中空で水面に浮きます。浮遊状態でも育つので、水を張ったバケツやコップに入れるだけで栽培できます。
茎が水に浸かった部分からは、根がよく生えてきます。野菜の中でも挿し芽による増殖が最も簡単な1つです。増やしながらさまざまな容器で水耕栽培も可能です。
涼しい気候を好み、夏は生育がやや衰えます。寒さには強く、冬は室内で育てれば1年中収穫できます。
クレソンの仲間

国内では、小型でクレソンによく似たコバノオランダガラシ(N. microphyllum)と、クレソンとコバノオランダガラシの交雑種で葉が紫色になりやすい、ムラサキオランダガラシ(N. × sterile)が帰化しています。変異が多く見分けるのは困難ですが、両種ともクレソンと同様に食用できます。
クレソンの栄養と効能

特有のさわやかな辛味成分は、フェニールエチルカラシ油です。ビタミンCなど各種ビタミン類が豊富で、カリウムやカルシウムなどのミネラルなども多く含まれます。
古くから薬草やハーブとしても利用され、発熱時などに乾燥した葉をハーブティーとして飲用します。増血作用があり、貧血を予防する効果があるともいわれています。
クレソンの利用方法

多く含まれるビタミンCやカリウムは水に溶けやすいです。クレソンが持つ栄養を逃さないためには、肉の付け合わせやサラダなどに生で食べるようにします。生で食べるには、葉や柔らかい新芽付近の茎が適しています。
他にサッと茹でておひたしにしたり、スープや天ぷら、ソースなどに利用します。たくさん収穫した場合は、炒め物にするのがおすすめです。
クレソンの栽培12カ月カレンダー
種まき: 4月中旬~5月
植え付け:4~6月、9月
肥料:4~6月、9月中旬~10月
収穫:6月以降
クレソンの栽培環境

適した環境・置き場所
日当たりがよく、湿った場所が適します。半水生植物なので、乾燥に弱いです。水やりできる場所で必ず育ててください。水田に植えると手間がかかりません。
暑さにやや弱く、夏に直射日光に当てると生育が衰えやすいです。風通しのよい明るい日陰に置いて育てれば、夏でも葉を収穫できます。
間延びしますが、1年中室内でも栽培可能です。葉焼けしにくい11月から3月までは、窓際に置いてよく日光に当てるとよいでしょう。
土壌
アルカリ性の土壌を好み、強い酸性土壌は嫌います。軽度の連作障害があるので、同じ場所で1年は栽培しないほうがよいです。
生育温度
生育温度の目安は5~30℃です。涼しい気候を好み、15~20℃が生育適温です。春と秋に最もよく育ちます。
冬越し
北海道などの寒冷地でもひどく凍結しなければ、春に芽がでてきます。冬でも流れのある川では、越冬しやすいです。5℃以上を保つと生育を続けます。
クレソンの種まき

種まきの適期
苗が多く必要な場合は、種まきから育てるとよいでしょう。発芽適温は10~30℃で、4月中旬~5月が種まきの適期です。2カ月後の6月中旬以降が収穫期の目安となります。
種まきの方法
乾燥を嫌うので、育苗箱に用土を入れて種まきします。用土は種まき用の配合土か、赤玉土小粒と川砂を等量ずつ混ぜたものなどを使います。種子をバラまき、種子が軽く隠れる程度に覆土してください。クレソンの種子はやや小さく流れやすいので、水やりは底面から給水させるとよいでしょう。発芽まで、5~10日かかります。
本葉が4~5枚になったら、3号ポットに1~2株鉢上げしてください。
クレソンの挿し芽

茎を10~15cmほど切り、新しい葉を2~3枚ほど残して水挿しすると、簡単に発根します。葉が多いと水分不足になり、下葉が枯れます。短く切った茎は、湿らせたキッチンペーパーなどの上に置けばよく発根します。
春と秋が挿し芽の適期ですが、室内の部屋などではあまり時期に関係なく、挿し芽してもよいでしょう。ただし温度が高いと腐るので、夏は直射日光の当たらない明るい日陰か、北側の窓際などに置いてください。また冬に室内でも水が凍結する場合は、避けてください。
クレソンの植え付け

植え付けの適期は、春の4~6月、秋の9月です。
植え付け2~3週間前に、1㎡当たり堆肥2㎏、苦土石灰80g、化成肥料40gを混ぜておきます。
4~5cm以上に育った苗を、株間20cm間隔で植えてください。
クレソンの鉢植え・プランター栽培

鉢植えやプランターに植えても栽培できます。プランターに植える場合は、深型を用意する必要はありません。65cm角のプランターの場合、3~4株を目安に植えてください。
乾きやすい鉢植えやプランターは、腰水栽培するのがおすすめです。受け皿となる容器に浅く水を張り、鉢植えやプランターを置きます。受け皿の水は月1回以上取り替えるようにします。夏に水温が高くなると腐りやすいので、半日陰や遮光下などの涼しい場所で管理してください。
用土
花や野菜に広く使える一般的な培養土か、赤玉小粒7と腐葉土3を混ぜた用土などを使います。
腰水で栽培する場合は、肥沃な用土は避けたほうがよいです。赤玉土小粒と川砂を等量、さらにくん炭を1割程度配合した用土などを使います。
クレソンの簡易的な水耕栽培

クレソンは水耕栽培がおすすめです。コップやペットボトルなどに茎を入れておくだけでも栽培できます。ただし夏は腐りやすいので、水替えはこまめに行ってください。
ザルなどを用意して簡易的な水耕栽培装置を作ると、手間がかからず多くの葉が収穫できます。クレソンの苗と目の細かいザル、ザルの受け皿となるプラスチック製などの容器、砂利を用意します。ザルに砂利を5~10cmほど敷き詰めて苗を植え、容器にザルを入れます。容器に水を入れ、ザルの底の部分が水に浸かるようにします。水を月1回入れ替えるだけでよく育ちます。ただし夏に水温が高くなりやすい場合は、水替えは頻度を増やして行ったほうがよいです。
クレソンの育て方

水やり
水分を多く必要とするので、春と秋は土の表面が乾いてきたら水やりしてください。自動灌水装置などで定期的に水やりするようにすると、手間がかかりません。
肥料
生育期の4~6月、9月中旬~10月に、有機配合化成肥料を月1回与えると生育が旺盛になります。または液体肥料を10日に1回、小さな苗は15日に1回与えます。
水耕栽培では肥料を与えなくても育ちますが、よく生育させたい場合は肥料を与えます。液体肥料を月に1~2回、やや控えめに与えてください。温度が高い時期に液体肥料の濃度が高いと、根が傷みやすいです。
病害虫
家庭菜園などでは、病害虫の被害は少ないです。
ただし、新芽付近にアブラムシが発生したり、黒いイモムシのようなカブラハバチの幼虫によって葉が食害されることがあります。密植して風通しが悪かったり、日照不足や多肥料などで軟弱気味に育つと、発生しやすいです。多く発生した場合は、適用のある薬剤で防除します。クレソンに使用できる薬剤は、モスピラン顆粒水溶剤やスピノエース顆粒水和剤などがあります。
クレソンの収穫

花の咲く前が最も美味といわれます。花が咲くと茎が硬くなるので、花芽は摘み取るとよいでしょう。
先端部分を10cmほど切って収穫します。先端を切っても、脇芽がよく伸びてきます。
夏は明るい日陰などの涼しい場所に置けば生育するので、収穫できます。また、冬は5℃以上を保てば生育するので、鉢植えを室内の窓際に置けば収穫可能です。なお、寒さに当たると辛味が強くなります。
クレソンの栽培ポイント

- 日当たりのよい場所を好む
- 夏は明るい日陰などの涼しい場所に置く
- 冬は室内で管理すると葉を収穫できる
- 乾燥に弱い
- 挿し芽で簡単に増える
- 水生植物なので、水耕栽培がおすすめ
栽培のポイントを知れば、クレソンの栽培は非常に簡単です。特に水耕栽培はあまり手間をかけずに、多く収穫が期待できます。室内で栽培可能なのも魅力です。手持ちのビンやペットボトル、イチゴパックなど、工夫次第でさまざまな容器で栽培できます。
また食材として購入したクレソンの余った茎などから、簡単に根が出てきます。どんどん増えて成長する様子を眺めるのも楽しめます。窓辺やキッチンなどで、気軽にクレソンの栽培に挑戦してみてください。
Credit
文 / 小川恭弘 - 園芸研究家 -

記事をシェアする
季節のおすすめアイテム
テーブルクランプ -GARDEN STORY Series-
これからの時期のガーデンパーティーにぴったり! テーブルに取り付けるだけで簡単にデコレーションスペースを作れるテーブルクランプ。室内・屋外を問わず使用でき、ガーデンの装飾アイデアが広がります。
新着記事
-
イベント・ニュース

【5月のGWは横浜へ!】日本最大級の花と緑の祭典「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2026」開催
「GREEN×EXPO 2027」開幕1年を切り、盛り上がりを見せる横浜で、今年も日本最大級の園芸イベント「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2026(通称:横フラ)」が5月2日(土)〜4日(月)の3日間、開催されます。…
-
ガーデン&ショップ

まちまるごとローズガーデン!広島・福山市、100万本のバラと400の庭を巡る春の旅PR
広島県福山市は「ばらのまち」として知られ、市内には約100万本のバラが咲きます。公園や街路、学校、企業、そして個人の庭まで——。市内には400以上のバラ花壇が点在し、まるでまち全体が一つのローズガーデンのよ…
-
育て方

春に迎えたい香りのバラ8選|初心者でも失敗しない「新苗」の育て方と土づくりPR
桜の開花が待ち遠しいこの季節。バラ科の桜が咲き始めると、いよいよバラのシーズンももうすぐ。春は、手頃な価格で入手でき、1から育てる楽しみがある「新苗」が出回る時期です。バラを育てはじめるのにもベストタ…
























