おうち時間が増え、チャレンジする人も増えている家庭菜園。でも、うちには庭がないからできない、と諦めている方も多いのではないでしょうか? そんな方におすすめなのが、水耕栽培の室内家庭菜園です。この記事では、水耕栽培とはどんなものなのか、そして、栽培におすすめの野菜まで詳しくご紹介します。
目次
水耕栽培とは

水耕栽培とは、土を使わずに、水と液体肥料を混ぜた養液で植物を育てる方法です。植物の根を肥料が入った養液に浸し、植物の成長に必要な水分・養分と酸素を根から吸収させます。
水耕栽培は養液栽培、ハイドロカルチャー、ハイドロポニクスなどとも呼ばれています。太陽光でも、LED照明でも生育可能なので、室内の狭いスペースでも栽培することができます。近年さまざまな地域で建設されている植物工場は、水耕栽培方式が主流。その手軽さから家庭はもちろん、一人暮らしの方にも人気で、キッチンなど限られたスペースで楽しむ人が増えています。
水耕栽培の歴史

じつは水耕栽培の歴史は古く、始まりはなんと古代エジプトの頃までさかのぼるといわれています。土壌の代わりに水を使う育て方は当時から行われていましたが、なぜ植物が水だけで育つのかまでは判明していませんでした。
その後、1842年にザックスというドイツの植物学者が栽培に関するさまざまな研究を行い、ようやく植物は必要な栄養素を与えることで育つことを突き止めました。ザックスとその後継者は水耕栽培による実験から、窒素、リン、カリウムなどの無機栄養分がイオン化して植物の根から吸収されることも発見しました。
1930年代にはさらに研究が加速し、現在の水耕栽培の元となる技術が確立しました。日本では第二次世界大戦の真っただ中に水耕栽培が始まったとされています。
水耕栽培のメリット

水耕栽培にはたくさんのメリットがあります。ここからは、どのようなメリットがあるのかについて、詳しくご紹介します。
小さなスペースで栽培可能

ベランダや庭で野菜を育てる場合、用土を使う土耕栽培で大きなプランターや畑が必要になり、広いスペースがなくてはできません。一方、水耕栽培は育てたい野菜に合った容器を使えば、簡単に小さなスペースで始めることができます。キッチンや出窓などを有効活用していろいろな作物を育てる水耕栽培なら、庭のないマンションやアパートでも気軽に挑戦できますね。
無農薬栽培が可能

水耕栽培は無農薬でも栽培しやすいのも特徴です。
小さな子どもがいるご家庭や、健康に気をつかいたいという方の中には、野菜の農薬が気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。水耕栽培では土を使わないため、土壌からくる病気にはかからず、元気に成長します。さらに、室内で育てる水耕栽培は虫が付きにくいため、害虫対策もほとんど必要がなくなります。このため無農薬で自宅で手軽に野菜を育てられるというわけです。
土づくりがいらない

畑で野菜を育てる場合は、野菜の種類に合わせて堆肥や肥料を組み合わせ、土づくりをする必要があります。しかし、水耕栽培では水に液体肥料を混ぜるだけで栽培のための養液ができるので、難しい作業はありません。土の代わりに、水とコットン、スポンジ、ココピートなどを使い、土耕栽培のように野菜や植物を育てることが可能です。わざわざ重たい土をたくさん運ぶ必要がない点も、水耕栽培のメリットです。
野菜が安定して作れる

露地栽培など屋外で野菜を育てると、どうしても天候や気温に左右されて生育不良になったり、枯らしてしまったりすることがあります。屋内の水耕栽培では、室温を管理すれば、天候や気温を問わずに育てることが可能。さらに、土を使わないので害虫や細菌も付きにくく、ある程度の味や大きさなど、質の揃った野菜を収穫できます。
このように、水耕栽培は急な天候不良にも慌てることなく、安定した栽培環境を作ることができるので、食べたい野菜を一年中育てることが可能です。
衛生的

土を使って野菜を育てる場合、どうしても害虫が発生しやすく、衛生面に注意が必要となります。ベランダや庭で野菜を育てたいけれど虫が苦手、という方も多いのではないでしょうか。その点、養液を使う水耕栽培は衛生的で、虫が発生することもほとんどありません。手が泥だらけになる心配もなくなります。
水耕栽培におすすめの野菜

たくさんのメリットがある水耕栽培ですが、どのような野菜を育てるのに向いているのでしょうか。ここからは、水耕栽培におすすめの野菜についてご紹介します。
レタス

リーフレタス、サニーレタス、ベビーレタスなどのレタス類は、どれも水耕栽培に適した野菜です。種子から育て始めれば、収穫できるまでには1カ月半から2カ月ほどかかりますが、その後収穫できる期間は長いので、じっくり楽しめます。また、水耕栽培で育てられたリーフレタスを購入し、育てることもできます。
バジル

バジルなどのハーブも水耕栽培で育てやすく、失敗も少ないのでおすすめです。特にバジルは水耕栽培でも8割は発芽するといわれ、発芽率の高さから初心者でも育てやすいハーブです。小さな容器で育ち、ペットボトルでも栽培可能なので、非常に手軽に始めることができます。
ミニトマト

葉物野菜だけでなく、ミニトマトも水耕栽培ができます。上手に育てるためには容器選びが重要です。ミニトマトはつるが長く伸びるため、支柱を立てて株を支えられるものがよいでしょう。さらにこまめに水を取り替え、しっかりと光を当ててやることがポイントです。また、結実促進剤を使うことで実がつきやすくなります。
ネギ

ネギはスポンジなどを使わずに、水を張った容器に浸けておくだけでもグングン伸びて簡単に育てることができます。種子から育てるよりも、お店で根付きのものを買ってきて再生栽培をすると早く収穫できます。太陽の当たる場所に置いておくと、驚くほどグングン伸びていきますよ。
カイワレ大根

カイワレ大根などのスプラウト野菜は、水耕栽培の中でも一番シンプルで、初心者でも育てやすくおすすめの種類です。適当な容器とコットンなどを用意して種子を播けば、液体肥料なども必要なく、水だけであっという間に収穫できます。
畑がなくても家庭菜園は楽しめる!

家庭菜園の一つとして、室内でできる水耕栽培についてご紹介してきました。水耕栽培なら小さなスペースで野菜を手軽に育てることができます。畑がなくても野菜の収穫を楽しめるだけでなく、無農薬で手間がかからないなど、さまざまなメリットもありますよ。皆さんもぜひ、手軽にできる水耕栽培に挑戦してみてはいかがでしょうか?
Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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