触ると葉が閉じる不思議植物「オジギソウ」! 驚きの仕組みと育て方・花の特徴を完全ガイド
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触ると葉をピタッと閉じてお辞儀をするようにうなだれる、不思議な植物オジギソウ。そのユニークな動きから、小学校の教材として人気ですが、夏から秋にかけて咲く可憐なピンクの花や、栽培の手軽さでも注目されています。本記事では、オジギソウの特徴から育て方、種まきによる増やし方、冬越しのコツ、さらには「毒性はある?」「ミモザと何が違うの?」といったよくある疑問まで、初心者にも分かりやすく解説します。
目次
オジギソウの基本情報

植物名:オジギソウ
学名:Mimosa pudica
英名:sensitive plant、touch-me-not plantなど
和名:オジギソウ(含羞草)
その他の名前:ネムリグサ
科名:マメ科
属名:オジギソウ属
原産地:中央アメリカ~南アメリカ
形態:宿根草(多年草)・一年草
オジキソウの学名はMimosa pudica(ミモザ・プディカ)。別名は「ネムリグサ」「ミモザ」など。マメ科オジギソウ属の草花です。葉に触れたり、日が暮れたりすると閉じるために「オジギソウ」「ネムリグサ」と呼ばれ、古くから親しまれてきました。また学名から「ミモザ」と呼ばれることもあります。原産地は中央アメリカ〜南アメリカで、暑さには強い一方で寒さには弱い性質です。原産地では多年草ですが、高温多湿の環境を好み、日本では寒さに耐えられずに枯死することが多いので、一年草として扱われています。ただし霜が降りない暖地では、越年できることもあるようです。
手で触れると刺激に反応してすぐに葉を閉じるオジギソウ。Hadifa Art/Shutterstock.com
オジギソウの花や葉の特徴

園芸分類:草花
開花時期:7〜10月
草丈・樹高:20〜50cm
耐寒性:弱い
耐暑性:強い
花色:ピンク
オジギソウの開花期は7〜10月で、花色はピンク。葉の付け根から花茎を伸ばし、花径1〜2cmのポンポンのような球状の花を咲かせます。開花後にはマメ科らしい莢がついて中に種子ができるので、完熟したら採取しておき、適期に種まきして増やすことも可能です。葉は互生し、羽状複葉で長さは10〜15cmです。葉に触れるなどの刺激を与えると、葉が閉じて垂れ下がるのが特徴。草丈は20〜50cmで、地植えでも鉢植えでも楽しめます。
オジギソウの名前の由来と花言葉

オジギソウの名前の由来は、刺激を受けたり夜になると葉を閉じるという特徴的な性質。葉を閉じてうつむくように垂れ下がる姿が、お辞儀するように見えることに由来しています。英名のsensitive plantもわずかな刺激にも反応することが由来。種小名のpudicaはラテン語で「内気な・恥ずかしがる」を意味し、こちらも葉に触れるとすぐに閉じる様子からつけられたものです。
花言葉は「繊細な感情」「感受性」「謙虚」などで、やはり触れると葉を閉じる性質が由来となっているようです。
オジギソウはなぜ閉じる?

オジギソウは、接触や熱、強風、振動などの刺激を受けると葉を閉じる性質が特徴的です。先端から徐々に閉じ始め、基部まで閉じると葉全体がうつむく動作をします。この仕組みは、オジギソウの葉柄には関節のような役割をする「葉沈(ようちん)」という器官がキーポイントです。葉が刺激を受けると葉沈にカルシウムによる信号が届き、均等に含まれている水が移動することでバランスが崩れ、葉を閉じる動きを起こします。一度閉じた葉は、再び葉沈の水が移動してゆっくりと元に戻ります。元に戻るのには10~20分ほどかかるとされます。葉に触れる行為は植物にとってはストレスとなるようなので、むやみに何度も触らないほうがよいでしょう。
オジギソウとミモザとの違い

オジギソウの学名はMimosa pudica(ミモザ・プディカ)のため、ミモザと呼ばれることがあります。しかし、日本では春に黄色い花を咲かせるアカシアの仲間をミモザと呼ぶことが多く、これはフサアカシアの英名がmimosa(ミモザ)であることがその理由です。フサアカシアの学名はAcacia dealbata(アカシア・デアルバタ)で、まったくの別種なので混同しないようにしてください。特に苗を購入する際には取り違えのないようラベルなどで確認するとよいでしょう。
オジギソウとミモザはどちらも小さな葉が羽のようにつく羽状複葉で、葉の見た目はよく似ていますが、ミモザの葉は刺激を与えても閉じることはありません。また、観葉植物として人気が高いマメ科コホバ属のエバーフレッシュも、オジギソウによく似た葉を持ちます。こちらは葉に触れても変化はありませんが、夜は葉を閉じるという就眠運動を行います。

オジギソウの栽培12カ月カレンダー
開花時期:7~10月
植え付け:5〜7月
肥料:5〜10月
種まき:5月下旬~7月上旬
オジギソウの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日当たり、風通しがよい場所を選びます。日当たりの悪い場所では、花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が乱れたりするので注意しましょう。
【日当たり/屋内】日照を好み、屋外での栽培が基本です。冬越しに挑戦する場合、冬は室内に取り込んで管理します。
【置き場所】多湿を嫌うので、水はけのよい場所を選ぶのがポイント。また、オジギソウは移植を嫌うため、植え場所には十分吟味しておきましょう。
耐寒性・耐暑性
暑さには強い一方で寒さには弱く、原産地では多年草で越年しますが、日本では冬越しが難しく一年草として扱われています。しかし霜が降りない暖地では越年することがあるので、鉢上げして暖かい場所で冬越しさせるのも一案です。
オジギソウの育て方のポイント
用土

【地植え】
日当たり、風通しのよい場所を選び、植え付けの1〜2週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などを施し、土づくりをしておきます。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
草花用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。
水やり

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。
真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。
【地植え】
根付いた後は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまうので注意。土の表面が乾いてから、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
肥料

【地植え】
元肥として緩効性肥料を施してあれば、追肥の必要はありません。株の生育に勢いがないようなら、液肥を与えて様子を見てください。
【鉢植え】
5〜10月に、株の状態を見て勢いがないようであれば、緩効性化成肥料を少量、株の周囲にまきます。スコップなどで軽く耕し、土に馴染ませておきましょう。開花期間中は、緩効性化成肥料をやめて速効性の肥料を与えるのも一案。開花を促すタイプの液体肥料を、10日に1度を目安に与えて株の勢いを保ちます。窒素成分の多い肥料を与えると、茎葉ばかりが茂って花つきが悪くなるので、与える際には注意してください。
注意する病害虫

【病気】
オジギソウは強健な性質で、病気にかかる心配はほとんどありません。
【害虫】
オジギソウに発生しやすい害虫はハダニなどです。
ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5㎜ほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。
オジギソウの詳しい育て方
苗の選び方
苗を購入する際は、節間が短く茎ががっしりと締まって勢いがあるものを選びましょう。
植え付け

オジギソウの植え付けの適期は5〜7月です。ただし、花苗店などでは植え付け適期以外でも苗が出回っていることがあります。入手したら、植えたい場所へ早めに定植します。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗を植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、約30cmの間隔を取っておきましょう。あまり密に植え付けると、風通しが悪くなって株が蒸れることがあるので、余裕を持たせておくのが無難です。植え付けた後は、たっぷりと水やりをしておきましょう。
【鉢植え】
鉢の大きさは、5〜7号鉢を準備します。
用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。植え付けの際は根鉢を崩さないことがポイント。オジギソウは真っ直ぐに伸びる太い根を持ち、これを傷めると著しく生育が悪くなるためです。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきましょう。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えます。
植え替え

オジギソウは夏秋咲きの一年草扱いで、寒くなると枯れてしまうので植え替える必要はありません。枯れて株まわりが汚くなる前に抜き取って処分します。
生育の途中で植え替えたい場合は、根を傷めないように扱うことが大切。オジギソウの根は「直根性」で太くて長く、これを傷めると生育が悪くなるためです。根鉢を崩さないように掘り上げて丁寧に扱いましょう。移植を嫌うため、植え付けの際は植え場所をよく吟味しましょう。
日常の手入れ

【花がら摘み】
オジギソウは次々に花が咲くので、終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。
増やし方

オジギソウは種まきで増やせます。種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなります。
オジギソウの発芽適温は25〜30℃ほどで、種まきの適期は、気温が十分に上がる5月下旬頃〜7月上旬です。黒ポットに十分に湿らせた市販の草花用培養土を入れて数粒ずつ種子をまき、種子が隠れる程度に覆土してください。半日陰の場所に置いて乾燥しないように管理すると、1週間ほどで発芽します。
発芽したら日当たりがよく、風通しのよい場所で管理しましょう。本葉が2〜3枚出始めたら、間引いて1〜2本残します。ヒョロヒョロと伸びて弱々しい苗や葉が虫に食われている苗、葉が黄色くなっている苗などを選んで間引きましょう。本葉が5〜6枚ついてしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植しましょう。定植する際は、根鉢を崩さずに植えるのがポイントです。
開花後に種子を採取したい場合は、開花期が終わりを迎える頃に花がら摘みをやめます。鞘がついて完熟したら種子を採取して密閉容器に入れ、種まきの適期まで保管しておきましょう。
オジギソウの栽培に関するQ&A

この章では、オジギソウを育てている際に困ることや疑問に思うことなど、よくある項目をピックアップして回答します。
オジギソウには毒性があるって本当?
オジギソウには、毒性のあるアルカロイドが含まれています。あまり強い作用が出るわけではなく中毒事例は見られませんが、念のため幼児やペットのいる家庭では、誤って口に入れることのないように管理しましょう。茎葉を触る分には問題ありません。
オジギソウにはトゲがある?
オジギソウの茎には細毛とトゲがあります。小さい苗のうちは目立たず、あまり気になりませんが、大きく成長するとトゲに引っかかる恐れもあるので、植え場所には配慮が必要です。また、葉を触る際にもトゲが刺さらないよう注意しましょう。
オジギソウの花が咲かないのはなぜ?
オジギソウの花が咲かない理由としては、日照不足や水の与えすぎが考えられます。日当たりがよく、風通しのよい場所に植え付けることが大切です。観葉植物として室内に置いている場合は、植物育成ライトを使うことも検討してみてください。また、オジギソウは水はけのよい環境を好みます。鉢栽培している場合は特に、水やりが多すぎると根腐れを起こして株が弱ってしまうことも。常に土が湿った状態にはせず、土の表土がしっかり乾いてからたっぷり与えるように心がけてください。
オジギソウが閉じなくなってしまった!
オジギソウは、触りすぎると閉じなくなってしまうことがあります。葉を閉じる動作にエネルギーを使って消耗してしまうことが原因と考えられます。オジギソウが反応すると意思疎通ができているような楽しさもありますが、触りすぎないように管理してみてください。
冬越しさせたい場合の方法は?
オジギソウは本来多年草なので、越年することは可能です。しかし、日本の厳しい冬の寒さに弱いので、霜が降りたり凍結するような環境では枯死してしまいます。冬越しさせたい場合は、鉢に植え替えて、日当たりのよい室内や温室などに置いて管理するとよいでしょう。
オジギソウを育ててみよう

オジギソウは病害虫の被害が少なく、強健で比較的育てやすいのでビギナーにもおすすめ。触れると葉を閉じる楽しい性質に加え、愛らしいポンポン状のピンクの花が夏から秋まで咲き続けて、庭に彩りを与えてくれます。ぜひ庭やベランダで育ててみてください。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
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