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【最新版】スカビオサの育て方完全ガイド|初心者でも長く楽しめる基本ケアと人気の品種

【最新版】スカビオサの育て方完全ガイド|初心者でも長く楽しめる基本ケアと人気の品種

Debu55y/Shutterstock.com

風に揺れる美しい姿が魅力のスカビオサは、近年、豪華な大輪や多彩な花色の品種が著しく進化し、その魅力を高めています。鉢植えでも気軽に楽しめるコンパクトなタイプも登場しており、初心者の方でも長く美しい花を楽しむことが可能です。この記事では、そんなスカビオサの基本的な育て方や長く楽しむコツ、そして最新の人気品種まで、栽培に必要な情報を網羅して栽培のプロがご紹介。涼しい気候を好みますが、夏の管理に少し注意を払うことで、驚くほど長期間にわたってその可憐な花を咲かせ続けることができるでしょう。

スカビオサの基本情報

スカビオサ
S.H.exclusiv/Shutterstock.com

植物名:スカビオサ
学名:Scabiosa
英名:Scabious. Pincushion Flower
和名:マツムシソウ(松虫草)
別名:リンポウギク(輪宝菊)
科名:スイカズラ科
属名:マツムシソウ属
原産地:ヨーロッパ、アジア、アフリカ
形態:多年草、一年草、二年草

スカビオサは、高原などに自生するマツムシソウの仲間です。ヨーロッパやアジア、アフリカなどに約70種が知られ、地中海沿岸地域に多くの種類が自生します。

涼しい気候を好み、多年草と花後に枯れる一年草または二年草があります。ヨーロッパ原産の種類が多く栽培されます。日本のマツムシソウよりも育てやすく、花壇や鉢花、切り花などとして楽しめます。

以前はマツムシソウをはじめとしたブルー系の花色が定番でしたが、現在は驚くほど多彩な花色の品種があります。特に切り花用の品種は大輪で豪華な印象の品種が多く登場し、イメージを一新するほど進化しています。以前は清楚なイメージが強かったですが、現在はダリアを連想させるような派手な豪華さやボリューム感がある花の品種が流通するようになりました。スカビオサの革新的な品種の育成と生産農家として、長崎県のフラワーガーデン寺尾さんが有名です。矮性で育てやすい品種も多く登場し、鉢植えや寄せ植え、花壇の前面などに最適です。楽しみ方が増えて魅力が高まっているスカビオサは、今後さらに人気が上昇することでしょう。

丸いつぼみも寄り添って可愛く咲くスカビオサ。QualityHD/Shutterstock.com

スカビオサの特徴・性質

スカビオサ
Lea Cabrera/Shutterstock.com

園芸分類:草花
草丈:10~120cm
開花時期: 4~6月、9月中旬~10月
耐寒性: 強い
耐暑性:やや弱い(種類によってはやや強いものがある)
花色:白、黄、赤、ピンク、紫、青

秋に種子を播くと、ロゼット状の株姿で冬越しし、春頃に株元から枝分かれして茎を伸ばし、多数の花を秋まで咲かせます。多くの栽培品種は四季咲き性がありますが、夏に暑さが厳しいと咲かなくなることが多いです。一年草または二年草のタイプは、花後に枯れます。多年草の老化した株は、夏越しできずに枯れることが多いです。

花色は定番の青色や紫色の他、ピンクや赤、黒に近い紫、黄色、白色などがあり、非常に豊富です。

寒さには強く、寒冷地でも栽培できます。高温多湿に弱いですが、夏に強い品種が徐々に増えています。

スカビオサの仲間

セイヨウマツムシソウ(スカビオサ・アトロプルプレア) Scabiosa atropurpurea

セイヨウマツムシソウ(スカビオサ・アトロプルプレア)
Danny Hummel/Shutterstock.com

地中海沿岸地域が原産の多年草で、草丈60~90cmほどになります。中央が盛り上がった形の花をたくさん咲かせます。園芸品種が多く、花色が豊富です。

‘エースオブスペード’(=‘ブラックナイト’) Scabiosa atropurpurea ‘Ace of Spades’

スカビオサ‘エースオブスペード’
Ritvars/Shutterstock.com

黒に近い花色がユニークな園芸品種です。連続開花性に優れ、草丈60~100cmほどになります。

コーカサスマツムシソウ(スカビオサ・コーカシカ) Scabiosa caucasica(=Lomelosia caucasica

コーカサスマツムシソウ(スカビオサ・コーカシカ)
Iva Vagnerova/Shutterstock.com

コーカサスやイラン、トルコが原産です。花弁が広い大輪の花を咲かせ、セイヨウマツムシソウと同様に園芸品種が多いです。草丈60~90cmほどになり、株の寿命は比較的長いです。現在はロメロシア属に分類されることが一般的です。

セイヨウイトバマツムシソウ Scabiosa columbaria

コーカサスやイラン、トルコが原産です。花弁が広い大輪の花を咲かせ、セイヨウマツムシソウと同様に園芸品種が多いです。草丈60~90㎝ほどになり、株の寿命は比較的長いです。現在はロメロシア属に分類されることが一般的です。

セイヨウイトバマツムシソウ
Gabriela Beres/Shutterstock.com

ヨーロッパ、アラビア半島、アフリカなどの温帯地域が原産です。背丈が低く、四季咲き性が比較的強いです。この種類から鉢植え向きの矮性品種が多く育成されています。

‘フラッターローズピンク’ Scabiosa columbaria ‘Flutter Rose Pink’

‘フラッターローズピンク’
Gurcharan Singh/Shutterstock.com

明るいピンクの花を咲かせる園芸品種です。草丈30~40cmとコンパクトなサイズです。

マツムシソウ Scabiosa japonica

マツムシソウ

日本固有種で、北海道から九州までの高原などに自生する二年草です。マツムシが鳴く頃に花が咲くことが名前の由来で、晩夏から秋にかけて開花します。春に芽が出てロゼット状の株姿で越冬し、翌年の開花後に枯れます。

変種に高山性で背丈の低いタカネマツムシソウがあり、山野草として栽培されます。

‘リッツブルー’ Scabiosa japonica var. alpina  ‘Ritz Blue’

マツムシソウ‘リッツブルー’
Zoya Pustovoyt/Shutterstock.com

タカネマツムシソウの園芸品種で、比較的短命な多年草、または二年草です。草丈は20cmほどと非常にコンパクトで、6月から9月まで花が咲きます。夏に暑さが厳しい場合は、午前中だけ日光が当たる半日陰に移動するとよいでしょう。

スカビオサの栽培12か月カレンダー

開花時期: 4~6月、9月中旬~10月
植え付け:3月中旬~4月、9月中旬~10月
植え替え・株分け: 3月中旬~4月
肥料:3月中旬~5月、9月中旬~11月
種まき:9月中旬~10月、3月中旬~4月

スカビオサの栽培環境

スカビオサ
Marina Lohrbach/Shutterstock.com

適した環境・置き場所

日当たりと風通し、水はけのよい場所を好みます。多くは夏の高温多湿を嫌うので、多年草のものでも一年草として栽培されることもあります。

鉢植えは、夏は午前中だけ日光が当たる場所か明るい日陰に移動すれば夏越しが容易になります。また棚の上など、高い場所に置くとよいでしょう。地面からの照り返しの熱や湿気を防ぎ、風通しよく栽培できます。

生育温度

生育温度の目安は、5~25℃です。春と秋に最もよく生育します。

冬越し

寒さには強いので、北海道まで栽培できます。ただし寒冷地では凍結で根が傷むことがあるので、敷き藁などでマルチングすると安心です。

スカビオサの庭への植え付け・植え替え

スカビオサの苗
Amalia Gruber/Shutterstock.com

土壌

中性から弱アルカリ性の、水はけのよい土壌を好みます。酸性の土壌でも育ちますが、短命になりがちです。背丈の低い種類はロックガーデンなどに適しています。

植え付け

春の3月中旬~4月、秋の9月中旬~10月が植え付けの適期です。腐葉土などの有機物をすき込んでから植え付けます。高性種は株間を30cm程度、矮性種は株間15~20cm程度あけてください。例えば、直径65cmのプランターでは株間はやや狭くてもよく、3~4株を目安にしてください。

水はけがあまりよくない場所では、周囲より土を高く盛って植えます。専用のガーデンフレーム等を使うと手軽です。

植え替え・株分け

多年草のタイプは2~3年に1回、3月中旬~4月に株分けを兼ねて植え替えてください。株を掘り上げ、2~3株に分けてから植えます。花付きがよくなり、蒸れて枯れることが少なくなります。

スカビオサの鉢植えの植え替え

スカビオサの鉢植え
Scabiosa ‘Butterfly Blue’ Peter Turner Photography/Shutterstock.com

鉢植えの植え替え

多年草のタイプは、1~2年に1回、3月中旬~4月に植え替えてください。根鉢を軽く落としてから一回り大きな鉢に植えるか、株分けしてやや小さい鉢に植えてください。

用土

水はけのよい用土が適します。多くの草花に使える一般的な用土と、山野草用の用土を半分ずつ混ぜた用土などを使います。高温多湿になりやすい場所や高山性の種類は、山野草向けの用土だけを使って植えるとよいでしょう。

スカビオサの育て方・日常の管理

スカビオサ
Joanne Dale/Shutterstock.com

水やり

乾燥には強いですが、過湿には弱いです。水やりしすぎると、根腐れするので注意してください。

鉢植えは、用土の表面が乾いてから水やりしてください。ただし強く乾燥させると弱るので、夏などは水切れに注意してください。地植えした場合は、根付けば水やり不要です。

肥料

春の3月中旬~5月、秋の9月中旬~11月に、控えめに肥料を与えます。肥料を多く与えたり、窒素分の多い肥料を与えると、葉ばかり茂って花が咲きにくくなったり、草丈の高い種類は倒れやすくなります。肥沃な土壌では、ほとんど肥料を与えなくても問題ありません。

3要素が等量程度含まれた緩効性化成肥料などを、規定量の半分程度、春と秋に1回ずつ与えてください。鉢植えは、規定倍率の半分程度に薄めた液体肥料を月に2~3回与えてもよいでしょう。

病害虫

高温多湿や風通しが悪いと、灰色カビ病が発生します。雨が長く続いた時は特に注意してください。葉や茎にカビが生えて腐り、全体に広がると枯れます。見つけ次第、発生個所はすぐに取り除くようにしてください。株間をあけて適切に剪定し、老化した下葉は早めに切るとよいでしょう。

スカビオサの手入れと作業

スカビオサ
cristo95/Shutterstock.com

花がら摘み

咲き終わった花は、早めに摘み取ってください。そのままにすると見た目も見苦しくなります。こまめに花がら摘みすると、開花期間が長くなります。

剪定

伸びた茎は夏前に、1/2~1/3程度の高さまで切り戻してください。風通しがよくなって夏越ししやすくなり、秋から再び花を咲かせやすくなります。秋の開花後も切り戻すとよいでしょう。

支柱立て

切り花用など草丈の高くなる品種は、強風で倒れることがあります。茎が伸びてきたら支柱を立てるようにしてください。

スカビオサの種まき

スカビオサの種まき
Sheryl Watson/Shutterstock.com

大手種苗会社などから、種子が市販されています。9月中旬~10月、3月中旬~4月が種まきの適期です。発芽適温は15~20℃なので、早春に種まきする場合は室内で管理してください。バーミキュライトなどの清潔な用土にまき、種子が隠れる程度に薄く土をかけます。明るい場所で乾燥させないように管理すると、7~20日ほどで発芽します。本葉が2~3枚になったら、3号ポットなどに鉢上げしてください。

スカビオサの栽培ポイント

スカビオサ
Sheryl Watson/Shutterstock.com
  • 日当たりと風通しのよい場所を好む
  • 高温多湿に注意
  • 多年草としては比較的短命なことが多い
  • 2~3年おきに植え替えと株分けを行う

長期間咲き続けるスカビオサの花は、庭やベランダを美しく彩り、風にそよぐ様子は風情があります。茎の先に咲く花はよく目立ち、切り花としても楽しめます。

夏の高温多湿には注意が必要ですが、涼しい場所で管理すれば意外と夏越しは難しくありません。丈夫な多年性の品種を選んで花がら摘みをこまめにすれば、驚くほど長期間花を咲かせることもあります。花色が豊富で、大輪咲きや丈夫な品種が登場して魅力が高まっているスカビオサを、ぜひ育ててみてはいかがでしょうか。

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