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ドライフラワーにも! レモンの香りも楽しめるエルサレムセージ|育て方・剪定・増やし方まで徹底解説

ドライフラワーにも! レモンの香りも楽しめるエルサレムセージ|育て方・剪定・増やし方まで徹底解説

Josie Elias/Shutterstock.com

鮮やかな黄色の花と、甘いレモンのような香りで人気のエルサレムセージ。丈夫で育てやすく、ドライフラワーやポプリにも活用できる万能なハーブ系植物です。本記事では、エルサレムセージの特徴や名前の由来、花言葉、育て方のコツから剪定や増やし方まで、ガーデニング初心者でもわかりやすく解説します。ナチュラルガーデンやロックガーデンにもぴったりです!

エルサレムセージの基本情報

エルサレムセージ
Esin Deniz/Shutterstock.com

植物名:エルサレムセージ
学名:Phlomis fruticosa
英名:Jerusalem Sage
和名:エルサレムセージ
その他の名前:フロミス・フルティコサ
科名:シソ科
属名:フロミス属
原産地:地中海沿岸地域
形態:常緑性低木

エルサレムセージはシソ科フロミス属の低木です。日本では多年草として扱われることもありますが、ローズマリーやラベンダーのように何年も育てていると茎が木質化します。学名はPhlomis fruticosa (フロミス・フルティコサ)。名前に「セージ」が入っていますが、シソ科アキギリ属のセージとは別属です。葉姿が似ていることからエルサレムセージと呼ばれるようになりました。

エルサレムセージの原産地は地中海沿岸。乾燥した気候を好み、暑さには強いのですが、日本の高温多湿の環境下では株が弱ることがあります。蒸れないように切り戻したり、枝をすかしたりして、風通しよく管理するのがポイントです。寒さには強く、マイナス5℃くらいまで耐えるので、温暖地では戸外で越冬できます。一度植え付ければ毎年開花し、常緑性のため冬もみずみずしい葉姿を保ちます。

エルサレムセージ
乾燥した環境を好み、ロックガーデンにも向きます。Gestiafoto/Shutterstock.com

エルサレムセージの花や葉の特徴

エルサレムセージ
James Nature Pics/Shutterstock.com

園芸分類:草花
開花時期:5〜9月
樹高:90〜150cm
耐寒性:強い
耐暑性:強い
花色:黄

エルサレムセージの開花期は5〜9月で、花色は明るい黄色です。花茎を伸ばした先に多数の花がまとまって咲き、さらに茎を伸ばしてまた花がついて段々に開花していくのが特徴。全草に香りがあり、花は甘いレモンのような香りを放ちます。乾燥しても花色が褪せにくく、花茎を切り取って風通しのよい場所に逆さに吊しておくとドライフラワーになるので、飾ったりクラフトに利用したりするのもおすすめ。花弁が落ちた後に現れる星形のガクも美しく、観賞価値があります。

90~150cmほどの高さに育ち、大株になると株幅のボリュームが増すので、ある程度大きくなることを前提にスペースを確保するとよいでしょう。葉は細長い楕円形で、全体に白いうぶ毛に覆われ、触り心地がいいのが特徴です。うぶ毛に覆われているために、シルバーグリーンに見え、カラーリーフプランツとしても活躍します。

エルサレムセージの名前の由来と花言葉

エルサレムセージ
IRCDPT/Shutterstock.com

エルサレムセージはシソ科でセージという名前を持ちますが、アキギリ属のセージ類とは属が異なります。原産地と、香りがあることや葉の形がセージに似ていることからこの名がつけられたようです。

エルサレムセージの花言葉は、「前向きな心」「記憶」「清楚」などです。

エルサレムセージの仲間

エルサレムセージ
tamu1500/Shutterstock.com

エルサレムセージを含む、フロミス属は約60種が確認されています。ここでは、フロミス属の種類についてご紹介します。

ツベロサ

チューベローサ
Emilio100/shutterstock.com

学名はPhlomis tuberosa。チューベローサとも呼ばれています。原産地はトルコ。初夏に花茎を長く伸ばし、ピンクの花を段々につけます。草丈は80〜100cmほどの多年草。耐寒性があり、冬は落葉します。

パープルエルサレムセージ

パープルエルサレムセージ
Diego Grandi/Shutterstock.com

学名はPhlomis purpurea(フロミス・パープレア)。原産地はスペイン。草姿はエルサレムセージに似ており、淡いピンクの花が咲きます。草丈は80〜100cmほどの常緑低木で、多年草として扱われることもあります。

フロミス・サミア

フロミス・サミア
Bremar/Shutterstock.com

学名はPhlomis samia。原産地はヨーロッパ。落ち着いたモーブピンクの花が段々に咲きます。かなりの寒さに耐え、寒冷地でも庭植え可能。草丈は120〜150cmほどの多年草で、冬は葉を落とします。

フロミス・ルッセリアナ

フロミス・ルッセリアナ
LianeM/Shutterstock.com

学名はPhlomis russelianaで、別名ラージエルサレムセージ。原産地はトルコです。パステルイエローの花が段咲きになります。寒さに強いので寒冷地でも戸外で越冬可能。地下茎で増えるので、群生すると見応えがあります。草丈は80〜100cmくらい。多年草で冬は落葉します。

エルサレムセージの栽培12カ月カレンダー

開花時期:5〜9月
植え付け・植え替え:4〜6月
肥料:特になし
種まき:4月下旬~6月中旬、9月下旬~10月上旬

エルサレムセージの栽培環境

エルサレムセージ
tamu1500/shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。日当たりが悪い場所では、花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が間のびしたりするので注意しましょう。ただし、西日が強く当たる場所は避けたほうが無難です。

【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。

【置き場所】産毛に覆われているせいで蒸れやすく、日本の夏の高温多湿の環境を苦手です。夏は風通しのよい半日陰など、涼しい場所で管理します。鉢植えの場合は、長雨が続く時期は軒下など雨の当たらない場所に移動するとよいでしょう。

耐寒性・耐暑性

寒さには比較的強くてマイナス5℃くらいまで耐え、温暖地なら戸外で越冬できます。株元にバークチップなどを敷き詰めて霜よけをしておくとよいでしょう。冬は落葉することもありますが、根が生きていれば越年して生育期に入ると再び新芽を出すので、すぐに枯れたと判じて処分せずに様子を見守ってください。暑さには強いですが、高温多湿に弱いので、夏は風通しよく管理しましょう。

エルサレムセージの育て方のポイント

用土

土
funnyangel/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの1〜2週間前に堆肥や腐葉土などを施してフカフカの土づくりをしておきます。また、水はけのよい土壌を好むので、植える場所は斜面の低い位置よりは高い場所や、少し土を盛って周囲より少し高くした場所に植えるとよいでしょう。

【鉢植え】

草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。

水やり

水やり
Ivanko80/Shutterstock.com

エルサレムセージは細かな産毛をまとっているため、茎葉に水がかかると蒸れやすくなるので水やりの際には注意してください。株全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えるようにしましょう。

真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。

また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。

【地植え】

植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃から水やりを忘れずに管理します。ただし、多湿を嫌う性質のため、与えすぎには注意し、いつもジメジメしている環境にならないようにしてください。

土の表面が十分に乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。冬は生育が止まって表土も乾きにくくなるので、控えめに与えるとよいでしょう。

肥料

肥料
Sarycheva Olesia/Shutterstock.com

【地植え】

土づくりの際に、有機質肥料を十分にすき込んであれば、植え付けた年の追肥は不要です。越年して再び生育が盛んになり始めた頃に、緩効性化成肥料を周囲にばらまいて軽く耕し、土寄せしておきましょう。

【鉢植え】

3月中旬〜6月と9〜10月に、月に1〜2回を目安に液体肥料を与えて、株の勢いを保ちます。真夏と真冬は不要です。

注意すべき病害虫

エルサレムセージ
tamu1500/Shutterstock.com

エルサレムセージは病気や害虫が発生しにくく、管理しやすい植物です。

エルサレムセージの詳しい育て方

苗の選び方

苗を購入する際は、節間が間のびしていなくて、がっしりと締まって勢いのあるものを選びましょう。

植え付け・植え替え

ガーデニング
AlenKadr/Shutterstock.com

植え付けの適期は、4〜6月です。植え付け適期でない時期でも、花苗店などで苗を購入したら入手次第植え付けてかまいません。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、根鉢よりもひと回り大きな穴を掘って苗を植え付けます。複数の苗を植える場合は、40〜50cmの間隔を取っておきましょう。植え付けた後に、たっぷりと水やりします。

地植えの場合、エルサレムセージが順調に育っていれば、植え替えの必要はありません。

【鉢植え】

鉢のサイズは、8〜10号鉢を準備します。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットのまま鉢に仮置きし、高さを決めたら、軽く根鉢をくずして植え付けましょう。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。

鉢栽培している場合は、根詰まりを防ぐために毎年植え替えましょう。植え替えの際は、しばらく水やりを控えて土を乾かしておき、作業しやすいようにしておきます。鉢から株を取り出して根がびっしりと詰まっていたら、根鉢を少しずつ崩して古い根や土を取り除きましょう。株分けして数鉢に植え直して増やしてもいいですし、根を崩して1/2〜1/3まで小さくし、ひと回り大きな鉢に植え替えてもかまいません。

日常のお手入れ

エルサレムセージ
Martin Hibberd/Shutterstock.com

【花がらの除去】

エルサレムセージの終わった花は、早めに取りましょう。株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。

剪定・切り戻し

旺盛に生育して一通り咲き、草姿が乱れてきたら剪定を。込み合いすぎると株が蒸れて枯れ上がってきてしまいます。草丈の半分〜1/3くらいまでを目安に全体を刈り込む「切り戻し」をするとよいでしょう。すると再び株が勢いを取り戻して生育し始めます。蒸れに弱いエルサレムセージは真夏の高温多湿を嫌うので、暑くなる前に切り戻して風通しよく管理することがポイントです。また、寒くなる前に草丈の半分くらいまで刈り込んで冬越しに備えます。

増やし方

種まき
Montana Isabella/Shutterstock.com

エルサレムセージは種まき、挿し木で増やすことができます。

【種まき】

種まきは4月下旬〜6月上旬か9月下旬〜10月上旬が適期です。種まき用のトレイに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れ、種子同士が重ならないようにばらまきします。種が隠れる程度に土を薄くかけましょう。種が流れ出すことがないように、トレイより一回り大きな容器に浅く水を張り、トレイを載せて底面から吸水させます。明るい半日陰の場所で乾燥しないように管理し、発芽を待ちます。

発芽したら日当たりがよく、風通しのよい場所で管理しましょう。本葉が2〜3枚出始めたら、黒ポットに植え替えて育苗します。10日に1度を目安に、液肥を与えると生育がよくなります。ポットに根が回ってしっかりした株に育ったら、植えたい場所に定植しましょう。春に種まきした場合は、翌年に開花します。

【挿し木】

挿し木とは、枝を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し木ができないものもありますが、エルサレムセージは挿し木で増やすことができます。

エルサレムセージの挿し木の適期は、6月〜7月上旬頃です。その年に伸びた新しい枝を10cmほどの長さで切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を2〜3枚切り取ります。3号くらいのポットを用意して鉢底にゴロ土を入れ、さらに新しい培養土を入れて水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理し、その後は日当たりのよい場所に置いて育苗します。大きく育ったら植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

ドライフラワーやポプリとしても人気! エルサレムセージを育ててみよう

エルサレムセージ
tamu1500/Shutterstock.com

輝くような黄色い花を咲かせるエルサレムセージは、ドライフラワーにしても鮮やかな色が残りやすく、香りがよいのでポプリを作るのもおすすめです。ダイナミックな花姿を楽しめるエルサレムセージの栽培にチャレンジしてはいかがでしょうか。

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