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多くの種類がある宿根草(しゅっこんそう)の中でも、初夏に花がきれいに咲き、とりわけ丈夫で育てやすい品種を宿根草ショップの店長がセレクト。ビビッドなカラー、涼しげな花、優しいパステルカラー、カラーリーフとして重宝するものなど。初夏の庭を眺めながら、植えてよかった!と思えるオススメの宿根草を5種ご紹介します。

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初夏は宿根草が一番輝くシーズン!

植えっぱなしで毎年開花する宿根草は、気温の高くなり始める初夏が開花のピーク。さまざまな宿根草の花が庭で咲き誇り、競演する姿が美しいシーズンを迎えています。秋冬から苗を植えたり、草取りをしたり、お手入れをしながら準備してきた庭も、いよいよ待望の見頃。ガーデンは集大成といえるシーズンです。

多くの種類がある宿根草の中でも、とりわけ丈夫で育てやすく、花がきれいなもの、初夏の庭を眺めながら、植えてよかったと思えるオススメの宿根草を5種ご紹介します。

初夏の庭で鮮やかに輝く花
モナルダ・ディディマ

春が過ぎて気温が高くなってくる頃に、庭でビビッドな花色がよく目立つ宿根草です。背が高くなり、一斉に咲くモナルダはガーデンの後方で存在感を発揮して、美しい背景をつくり出します。

モナルダの和名は「タイマツバナ」。まさに名前のように頂点部に花を咲かせます。モナルダは「ベルガモット」と呼ばれるハーブとしても有名。全草に爽やかな香りがあり、古くからハーブティーや薬用として用いられてきました。

花色は赤の他に、白や紫、ピンクなど多彩で、庭の雰囲気に合わせて選べます。

白花のモナルダ。
紫花のモナルダ。
ピンク花のモナルダ。

モナルダ・ディディマ 生育の様子

暑さ、寒さに強い宿根草で、植えっぱなしで問題ありません。日向で水はけのよい場所を好みますが、夏に暑い地域では西日を避けられる環境がオススメ。一度植えると年々広がるように殖えて、大きな株になります。こぼれダネで殖える場合もありますが、あまり広範囲にはならず、移植することもできます。花が咲いた後は、通常は短く切り戻しますが、こぼれダネに期待したり、冬の枯れ姿を楽しんだりするために、わざわざ切らずに残しておくのが本場ヨーロッパ流です。

【DATA】
■ シソ科  宿根草(耐寒性多年草)
■ 草 丈 : 1m前後(花丈も含む)
■ 耐寒性 : 強い(約−30℃まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向

新しい小型の種類が人気!
アキレア‘ピーチセダクション’

アキレアはノコギリソウとも呼ばれ、とにかく丈夫で長命な宿根草のため、古くから栽培されてきました。以前の種類は背が高くなりすぎたり、増えすぎたり、というイメージがありましたが、最近は草丈が低く、株もまとまりがよく、花もたくさん咲くという優秀な性質の種類が多くあり、人気が高まっています。特にこの‘ピーチセダクション’は、咲き始めがピンク色でだんだんとアプリコット、イエローへと変化し、パステルカラーの色調が可愛らしく、人気があります。

アキレアにはとても多くの品種、花色があります。庭の雰囲気に合わせて選んでみてください。

‘テラコッタ’

‘レッド・ベルベット’

‘ヘラ・グラショフ’

アキレア 生育の様子

暑さ、寒さ、どちらにも極めて強く、一度植えればほとんど手入れもなく、毎年きれいに花を咲かせてくれます。日当たりがよく、少し乾き気味の場所を好み、痩せた土地でもよく育ちます。逆に水分が多い場所や、土が肥えすぎている場所では蒸れにより腐ったり、間延びしてしまったりと、生育が悪くなるので注意してください。

【DATA】
■ キク科 : 宿根草(耐寒性多年草)
■ 草 丈 : 60㎝前後(花丈も含む)
■ 耐寒性 : 強い(約-30℃まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向

シックな葉色と白花のおしゃれな組み合わせ
ペンステモン‘ハスカーレッド’

数あるペンステモンの中で、最も丈夫といえる種類で、放任でも毎年花を咲かせてくれます。初夏の派手めの花々の中で、シックで落ち着きのあるブロンズ色の葉と白花は引き立って目立ち、コントラストが効いて、ガーデンに引き締め効果をもたらしてくれます。

ペンステモン‘ハスカーレッド’の実。

花後につく黒い実は、切り花やドライフラワーに活用できる点も人気があります。花が咲く時期以外も、夏や冬も含めて一年中常緑なので、カラーリーフとして重宝します。

‘ダークタワー’

同じ系統には、葉色の赤みが強く、ピンクの花を咲かせる‘ダークタワー’という品種もあります。

ペンステモン 生育の様子

育てやすさが特に魅力の宿根草です。寒冷地でも常緑で越冬し、暖地でも問題なく夏越しできます。植えっぱなしで育ち、お手入れも花後に花茎を切る程度なので、ほとんど手間がかかりません。日向、乾き気味の場所を好み、日陰、湿気が多い場所は苦手なので、ご注意ください。

【DATA】
■ オオバコ(ゴマノハグサ)科 : 宿根草(耐寒性多年草)
■ 草 丈 : 1m前後(花丈も含む)
■ 耐寒性 : 強い(約-30℃まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向

串団子のような咲き方がとても可愛い!
フロミス・チューベローサ

背が高くなる宿根草で、初夏の花壇の後方でインパクトのあるユニークな花を咲かせます。段々になって咲き進む花はリズミカルなイメージで、個性派の庭にもぴったりです。花後はそのままタネになり、ドライフラワーにできます。タネは冬まで残るので、枯れ姿を楽しむ「ウィンターガーデン」にもおしゃれです。

フロミス・チューベローサ 生育の様子

フロミスの中ではエルサレムセージと呼ばれる木立性の黄花が有名なのですが、本種は木立ではなく草本性。冬になると地上部が枯れて越冬し、春に再び芽吹いて初夏頃に花を咲かせます。木立性に比べて耐寒性が強く、寒冷地でも栽培可能です。日当たり、水はけのよい場所を好み、有機質が多い肥沃な土壌を好みます。一度植えれば放任でよく、ほとんど手間がかかりません。

【DATA】
■ シソ科 : 宿根草(耐寒性多年草)
■ 草 丈 : 1m前後(花丈も含む)
■ 耐寒性 : 強い(約-20℃まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向

最も暑さに強いフウロソウ
ゲラニウム・サンギネウム

宿根草ファンにとって憧れの花でもあるゲラニウム(フウロソウ)は、夏に涼しい気候を好むため、日本の高温多湿に負けてしまう種類も多くありますが、このサンギネウムの系統は、驚くほど暑さに強いので、猛暑地でも栽培が可能な種類として人気があります。ヨーロッパの冷涼な地域の原産でありながら、日本の気候にも馴染むため、古くから和名「アケボノフウロ」と呼ばれて親しまれてきました。

大株になると、ふんわりとしたドーム状の草姿になり、数えきれないほどの花を咲かせます。花の一輪一輪をよく見ると、花弁がとても薄く、透き通るようでとても繊細。押し花にも最適です。その可憐さは和、洋問わず、さまざまな庭に似合います。

サンギネウムの系統は数種あってそれぞれに美しく、丈夫で育てやすいのが特徴です。

サンギネウム‘アルバム’

サンギネウム・ナヌム(小型品種)

サンギネウム・ストリアタム

ゲラニウム・サンギネウム 生育の様子

基本的に日当たり、水はけのよい場所を好みます。暑さに強いものの、高温多湿は嫌うので、風通しが確保できて西日を避けられると、よりベター。花後は半分ほどの高さに切っておくと通気が保てるうえ、草姿もコンパクトに茂ります。秋には紅葉し、冬に落葉して越冬します。春になると再び芽吹いて生育を始めます。

【DATA】
■ フウロソウ科 : 宿根草(耐寒性多年草)
■ 草 丈 : 20~40㎝前後(品種によりさまざま)
■ 耐寒性 : 強い(約-30℃まで)
■ 耐暑性 : 強い
■ 日 照 : 日向~やや半日陰

宿根草は年々株が大きくなり、こんもりボリュームアップして、たくさんの花を咲かせてくれるようになります。春夏秋冬、気候の変化が大きい日本でも丈夫で育てやすい、今回ご紹介した品種から育て始めて、庭に新しい花が咲く景色をつくってみませんか?

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