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【おしゃれな庭木】アメリカテマリシモツケの魅力とは?人気品種と失敗しない育て方

【おしゃれな庭木】アメリカテマリシモツケの魅力とは?人気品種と失敗しない育て方

Apugach/Shutterstock.com

手毬のような愛らしい花と、豊富なカラーリーフで庭をおしゃれに彩るアメリカテマリシモツケは、近年とても人気が高まっている庭木です。寒さや暑さに強く丈夫なので、ガーデニング初心者さんにもおすすめ。この記事では、そんなアメリカテマリシモツケの魅力、人気の品種、そして失敗しない育て方のポイントを詳しくご紹介します。

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アメリカテマリシモツケの基本情報

アメリカテマリシモツケ
Cristina Ionescu/Shutterstock.com

植物名:アメリカテマリシモツケ
学名:Physocarpus opulifolius
英名:common ninebark
和名:アメリカテマリシモツケ(亜米利加手鞠下野)
その他の名前:ナインバーク、キンバコデマリ、キンヨウシモツケ
科名:バラ科
属名:テマリシモツケ属
原産地:北アメリカ東部
形態:落葉性低木

アメリカテマリシモツケの学名は、Physocarpus opulifolius(フィソカルプス・オプリフォリウス)。バラ科テマリシモツケ属の落葉樹です。原産地は北アメリカ東部。暑さや寒さに耐え、育てやすい花木の一つです。愛らしい花を咲かせ、黄色やライムグリーン、ブロンズ色の葉を持つカラーリーフの品種もあることから、人気の高い樹種となっています。

白くふんわりとした手毬のような花には、ミツバチもよくやってきます。woff/Shutterstock.com

アメリカテマリシモツケの花や葉の特徴

アメリカテマリシモツケ
Marinodenisenko/Shutterstock.com

園芸分類:庭木
開花時期:5月中旬~6月
樹高:1.5〜2m
耐寒性:強い
耐暑性:強い
花色:白

アメリカテマリシモツケの樹高は1.5〜2mほどの低木で、地際から枝が多数出る株立ちの樹形が特徴です。放任すると株幅が大きくなって場所を取りがちになりますが、毎年の剪定によって程よい株幅にコントロールすることができます。

アメリカテマリシモツケの開花期は5月中旬〜6月で、花色は白。花径1cmほどの5弁花で、一つひとつの花は小さいのですが、花茎の頂部に集まって咲いてドーム状になり、手毬のような花をたくさんつけるので、満開の頃には大変華やかです。葉は浅めに切れ込みの入る3〜5裂葉で、葉色はグリーンのほか黄、ブロンズなどのカラーリーフの品種もあります。晩秋になると葉を落として休眠します。

アメリカテマリシモツケの名前の由来や花言葉

アメリカテマリシモツケ
ElenVik/Shutterstock.com

アメリカテマリシモツケという名前は、アメリカを原産として日本に伝わったことと、シモツケに似た手毬のような丸い花を咲かせることから。英名のナインバークは、幹の樹皮(バーク)がはがれることに由来します。

アメリカテマリシモツケの花言葉は「努力」です。

アメリカテマリシモツケの代表的な種類

人気の高い花木として注目を集めているアメリカテマリシモツケは、園芸品種も見つかります。中でもポピュラーな品種をご紹介しましょう。

‘ルテウス’

アメリカテマリシモツケ‘ルテウス’
delobol/Shutterstock.com

明るい黄金葉を持つ品種。芽吹いた頃が特に発色がよく、まるで花が咲いたかのように見えます。花つきもよく、花、葉ともに楽しめる品種です。

‘ディアボロ’

アメリカテマリシモツケ‘ディアボロ’
KanphotoSS/Shutterstock.com

アメリカテマリシモツケのなかでも特に人気の高い品種で、黒みがかったブロンズ色の葉を持つことで知られています。白い花とのコントラストも美しく、ガーデンで目を引く存在に。

‘タイニーワイン’

アメリカテマリシモツケ‘タイニーワイン’
Maria Evseyeva/Shutterstock.com

従来のアメリカテマリシモツケよりもコンパクトにまとまる品種で、限られたスペースなどに向いています。明るいブロンズ色の葉をもつ品種です。黄金葉の‘タイニーワインゴールド’もあります。

‘サマーワイン’

アメリカテマリシモツケ‘サマーワイン’
photowind/Shutterstock.com

黒みがかったブロンズ葉を持つ‘ディアボロ’と矮性種の‘ナナ’を親にもつ品種。優秀な両親の血を引き継ぎ、コンパクトにまとまり、黒みがかった深いブロンズ色の葉を持ちます。花色は白に淡いピンクがのります。

‘ダーツ・ゴールド’

アメリカテマリシモツケ‘ダーツ・ゴールド’
Dave Harrison-Ward/Shutterstock.com

芽吹いた頃は黄色の葉を展開し、季節が進むと明るいライムグリーンになります。樹形もやや小さめにまとまり、扱いやすい品種です。

アメリカテマリシモツケの栽培12カ月カレンダー

開花時期:5月中旬〜6月
植え付け・植え替え:3〜4月、10~11月
肥料:1〜3月、6月~7月上旬
剪定:6月~7月中旬

アメリカテマリシモツケの栽培環境

アメリカテマリシモツケ
Cristina Ionescu/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日当たりと風通しがよい場所で管理します。ただし、夏の強い日差しを浴び続けると葉焼けすることがあるので注意しましょう。

【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。

【置き場所】水はけ、水もちがよく腐植質に富んだ肥沃な土壌を好みます。アメリカテマリシモツケは低木ではありますが、株立ちタイプで横に広がりやすいので、広めの場所を確保しておくとよいでしょう。

耐寒性・耐暑性

日本の気候に馴染みやすく、耐寒性はマイナス15~25℃程度と暑さ・寒さに耐えるので、一年を通して戸外で管理でき、夏越し・冬越し対策などは特に必要ありません。

アメリカテマリシモツケの育て方のポイント

用土

土
bluedog studio/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの2〜3週間前に直径・深さともに50cm程度の穴を掘ります。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきましょう。土づくりの後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

花木用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。

水やり

水やり
Vladimir Gjorgiev/Shutterstock.com

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために枝葉全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えてください。

真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、木が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。

また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。

【地植え】

植え付け後にしっかり根づいて枝葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いて乾燥している場合は水やりをして補いましょう。

【鉢植え】

日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。枝葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。冬は休眠し、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。

肥料

肥料
Pawel Beres/Shutterstock.com

【地植え・鉢植えともに】

1〜3月に緩効性肥料を与え、土によくなじませましょう。生育期を迎える前に肥料を与えることで、新芽を出すエネルギーとなり旺盛に枝葉を広げることにつながります。

また、開花後の6月〜7月上旬に緩効性肥料を与えます。開花によって木が消耗したタイミングで与えるので「お礼肥」といいます。忘れずに与えて、体力回復を促してあげましょう。

注意する病害虫

カイガラムシ
Decha Thapanya/Shutterstock.com

【病気】

アメリカテマリシモツケに発生しやすい病気は、うどんこ病、黒星病などです。

うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。

黒星病は、カビによる伝染性の病気です。雨が多い18〜20℃の環境を好むため5〜7月に発生しやすく、葉、枝、果実に被害が現れます。黒っぽくて丸い斑点が全体に広がっていくのが特徴です。日当たり、風通しが悪いと発病しやすくなるので、込み合っている枝などはすかすように剪定して発生を防ぎましょう。病気にかかった後に剪定した枝や落ち葉は、地中に残らないように処分することも大切です。また、適用する殺菌剤を葉の表と裏に散布して防除します。

【害虫】

アメリカテマリシモツケに発生しやすい害虫は、ハダニ、カイガラムシなどです。

ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。

カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mmほど。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。

アメリカテマリシモツケの詳しい育て方

苗の選び方

苗を購入する際は、葉色が鮮やかで病害虫の痕がなく、茎がしっかりとしたものを選ぶとよいでしょう。

植え付け・植え替え

植え付け
wavebreakmedia/Shutterstock.com

アメリカテマリシモツケの植え付け適期は3〜4月か、10〜11月です。ただし、花苗店などでは植え付け適期以外でも苗木が出回っていることがあります。入手したら、植えたい場所へ早めに定植します(ただし真夏・真冬を除く)。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘って、根を傷めないように植え付けます。苗木がぐらつくようであれば、しっかり根付くまでは支柱を設置してビニタイや麻ひもなどで誘引し、倒伏を防ぎましょう。最後にたっぷりと水を与えます。

庭植えの場合は、環境に合って順調に育っているようであれば、植え替えの必要はありません。

【鉢植え】

鉢で栽培する場合は、8〜10号鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから花木用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗木をポットから取り出して根鉢をあまり崩さずに鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。

鉢植えで楽しむ場合は、成長とともに根詰まりしてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出し、軽く根鉢をくずして新しい培養土を使って植え直しましょう。

剪定

アメリカテマリシモツケ
Irina Borsuchenko/Shutterstock.com

アメリカテマリシモツケは株立ち状で、地際から細めの枝を放射状に伸ばす樹形が特徴です。

アメリカテマリシモツケの剪定は、「すかし剪定」を基本とします。アメリカテマリシモツケは自然に樹形が整うのですが、放任していると次々に新しい枝が地際から伸びて込み合い、風通しが悪くなってしまいます。そこで、古い枝や細くて弱々しい枝、生育の邪魔になっている枝を選び、枝の途中で切らずに地際から切り取りましょう。

剪定の適期は開花後の6月〜7月中旬。伸びた枝に翌年花が咲くため、花をたくさん楽しみたい場合は花芽を落とさないよう花後すぐに剪定を行い、晩夏~秋冬の剪定は避けましょう。花よりも葉を楽しみたい場合は、随時切り戻しをすることで、整った姿で葉をこんもりと茂らせることができます。

夏越し・冬越し

冬越し
MariMarkina/Shutterstock.com

●夏越し

【地植え】

アメリカテマリシモツケは、夏の暑さには強いのですが、強い日差しを浴び続けると葉焼けすることがあります。美しい葉姿を保つなら、遮光ネットを張って対策しておくとよいでしょう。植え付ける際に西日が当たる場所を避け、朝のみ日が差す東側や高木の株元などを選ぶのも一案です。

【鉢植え】

暑さには強いのですが、強い日差しが当たり続けると葉焼けすることがあります。真夏は直射日光が当たらない、半日陰の場所に移動して葉焼けを防ぎましょう。

●冬越し

【地植え・鉢植えともに】

アメリカテマリシモツケは、寒さに大変強い性質を持っています。寒冷地でも戸外での越冬が可能で、特に対策の必要はありません。

増やし方

種まきポット
Kunlanan Yarist/Shutterstock.com

アメリカテマリシモツケは、挿し木、株分けで増やすことができます。

【挿し木】

挿し木とは、枝葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し木ができないものもありますが、アメリカテマリシモツケは挿し木で増やせます。

アメリカテマリシモツケの挿し木の適期は、6〜7月です。新しく伸びた枝を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、蒸散のバランスを取るために下葉を取り、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。発根後は日当たり、風通しのよい場所に移動し、鉢上げしながら育成し、十分な大きさになったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じクローンになることです。

【株分け】

アメリカテマリシモツケの株分けの適期は4〜6月か10月〜11月上旬です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら「株分け」をします。株を掘り上げて地際から出ている枝を4〜5本ずつつけて根をスコップなどで差し込んで切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。

アメリカテマリシモツケが咲かない原因

アメリカテマリシモツケ
M. Schuppich/Shutterstock.com

アメリカテマリシモツケの花が咲かない場合、主な原因として次の2つが考えられます。

  • 剪定時期
  • 日照不足

よくあるケースが剪定の時期が遅れて花芽を落としてしまっていること。花を楽しみたい場合、花後すぐの6月~7月中旬に剪定を済ませましょう。秋以降に深く剪定すると花芽を落としてしまい、翌年の開花が減ってしまいます。

また、日照不足も花付きが悪くなる要因の1つです。光が足りないと葉色も悪くなりやすいため、日当たりのよい場所で育てるのが美しい花や葉を楽しむポイントです。花が咲きにくいと感じたら、生育環境を見直してみましょう。

ガーデニングビギナーにもおすすめの低木! 季節の移ろいを楽しもう

アメリカテマリシモツケ
Anna Gratys/Shutterstock.com

アメリカテマリシモツケは、近年とても人気が高まっている庭木。初夏に愛らしい花を咲かせるだけでなく、ブロンズ色やライム色など、魅力的なカラーリーフの品種も豊富にあり、ガーデンの骨格づくりやカラーコーディネートに活躍します。庭やベランダのアクセントとして、取り入れてはいかがでしょうか。

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