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カラーリーフも美しいアマドコロ栽培 植えっぱなしでよく育つ! 水やり・肥料のコツ

カラーリーフも美しいアマドコロ栽培 植えっぱなしでよく育つ! 水やり・肥料のコツ

piximage/Shutterstock.com

アマドコロは、初夏にスズランに似たベル形の小さな白い花を咲かせ、楚々とした姿で目を楽しませてくれます。葉姿もみずみずしく、斑入り種はカラーリーフプランツとしても活躍。この記事では、アマドコロの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、種類やよく似た植物、育て方、食用の仕方など、幅広くご紹介します。

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アマドコロの基本情報

アマドコロ
Daisuke Nishioka JP/Shutterstock.com

植物名:アマドコロ
学名:Polygonatum odoratum var. pluriflorum
英名:Solomon’s seal
和名:アマドコロ(甘野老)
その他の名前:ナルコラン(鳴子蘭)、キツネノチョウチン、アマナ、イズイなど
科名:キジカクシ科(クサスギカズラ科)
属名:ナルコユリ属(アマドコロ属)
原産地:日本、朝鮮半島、中国
形態:宿根草(多年草)

アマドコロの学名はPolygonatum odoratum var. pluriflorum。アマドコロは和名で、漢字では「甘野老」と書きます。別名は「鳴子蘭(ナルコラン)」で、ナルコユリと見た目がそっくりなため、ナルコユリの名前で流通することもあり、混同しやすくなっています。

アマドコロはキジカクシ科(クサスギカズラ科)ナルコユリ属(アマドコロ属)の多年草。原産地は日本、朝鮮半島、中国。国内の野山に自生してきた植物で、暑さや寒さに強く、日本の気候によく馴染んで放任しても育ちます。草丈は30〜60cmほど。冬には地上部を枯らす落葉性多年草で、休眠後は根茎が地中に残って越年し、生育期に入れば再び芽吹いて毎年開花する、息の長い植物です。根茎や新芽は食用にできますが、果実には毒があります。

明るい覆輪葉に、鈴なりに連なって揺れるベル形の花が映えるアマドコロの斑入り種。carlosramos1946/Shutterstock.com

アマドコロの花や葉の特徴

アマドコロ
Iva Vagnerova/Shutterstock.com

園芸分類:草花
開花時期:4〜5月
草丈:30〜60cm
耐寒性:強い
耐暑性:普通
花色:白

アマドコロの開花期は、4~5月。葉の付け根から太い茎を伸ばし、小さな白い花を連ね、野趣感漂う花姿を楽しめます。花はベル形で、1つの花梗に1~2個つき、白い花弁の先端にはグリーンが入るのが特徴です。

アマドコロは葉の観賞価値も高く、基本種は緑葉ですが美しい斑が入る園芸品種が出回っており、カラーリーフプランツとしても活躍。整った葉はフラワーアレンジの花材としても利用できます。

また、春先に出る若芽と、秋に収穫する根茎は食用できます。ただし、花後にできる黒い実は毒を持っているので、幼い子どもやペットのいる家庭では、誤って口に入れることのないように注意しましょう。

アマドコロの実
毒性のある黒い果実。venars.original/Shutterstock.com

アマドコロの名前の由来や花言葉

アマドコロ
Kurkul/Shutterstock.com

アマドコロの名前の由来は、太い根茎がヤマイモ科のつる植物で食用されるトコロに似ており、甘みを含むことから名づけられたとされています。学名のPolygonatumはギリシア語の「ポリス(多い)」と「ゴヌ(節)」からつけられたもので、地下茎に節が多いことが由来です。

アマドコロの花言葉は「元気を出して」、「心の痛みのわかる人」など。

別名はナルコユリとナルコランのどっち?

アマドコロ
アマドコロ。Gerry Bishop/Shutterstock.com

アマドコロの別名はナルコランです。しかし、外見がそっくりのナルコユリと混同されることが多く、アマドコロがナルコユリとして販売されることもあります。なんだかややこしくなっていますが、ナルコランとナルコユリは別種であることは覚えておきたい点です。

アマドコロとナルコユリの大きな違いは茎と葉の形。アマドコロ(ナルコラン)の茎は角ばっていて、ナルコユリは丸いので、触るとすぐに分かります。また、アマドコロ(ナルコラン)の葉は長楕円形で、ナルコユリは披針形であることも異なる点です。

ナルコユリ
ナルコユリ。Lia_Russy/Shutterstock.com

アマドコロの代表的な種類とよく似た植物

アマドコロに似た植物
Maglido Photography/Shutterstock.com

アマドコロには基本種となる緑葉の品種のほか、ガーデニングではカラーリーフが美しい品種がよく利用されます。特に白覆輪種は主に利用される人気品種。「斑入りアマドコロ」「ナルコラン」などの名前で流通するほか、「斑入りナルコユリ」と呼ばれることもありますが、前述の通りアマドコロとナルコユリは別種です。

アマドコロ
葉の縁に白く斑が入る白覆輪種。Maggie Kuo/Shutterstock.com

ナルコユリ

ナルコユリ
High Mountain/Shutterstock.com

ナルコユリは山林や草原に自生するキジカクシ科の多年草。初夏に白色で先端が緑に染まる長いベル形の花を吊り下げます。1つの花梗に咲く花はアマドコロよりも多く、3~5個の花を吊り下げる傾向にあります。日本に自生する植物なので栽培しやすく、環境に合えば特に手入れの必要もありません。若芽や花、地下茎は食用でき、また根茎は生薬として利用されてきた歴史があるなど、食べられる野草の1つとして知られています。

ホウチャクソウ

ホウチャクソウ
acchity/Shutterstock.com

アマドコロは、ホウチャクソウにも見た目がよく似ています。ホウチャクソウは落葉樹林の下などで多く見られるイヌサフラン科の多年草で、緑白色の花が下向きに咲きます。花の形が、堂や塔の四隅の軒先に吊す宝鐸(ほうちゃく)に似ていることからこの名がつきました。

アマドコロは食用できますが、ホウチャクソウは毒性があり、食べるとめまいや吐き気、下痢を起こしてしまうので、誤食に注意が必要です。見分けるポイントは、アマドコロは太い根茎がのびていますが、ホウチャクソウの根は細かく枝分かれしている点。また、摘んだときに独特の悪臭があるので、参考にしてください。

アマドコロの栽培12カ月カレンダー

開花時期:4〜5月
植え付け・植え替え:3月、10~11月
肥料:3月頃

アマドコロの栽培環境

アマドコロ
piximage/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日向〜明るい日陰を好みます。シェードガーデンにも向きますが、あまりに日当たりが悪い場所では、ひょろひょろと徒長した軟弱な株になり、また花つきも悪くなるので注意しましょう。また、真夏の直射日光は避けたほうがよいでしょう。

【日当たり/屋内】一年を通して屋外での栽培が基本です。

【置き場所】適度に水はけ、水もちのよい土壌を好みますが、痩せた乾燥地でも生育するほど強健です。真夏は半日陰になる落葉樹の下や朝のみ日がさす東側で栽培するのがベターです。

耐寒性・耐暑性

アマドコロは寒さに強く、冬でも戸外で問題ありません。むしろ冬の寒さにあわせないと越年後の生育が悪くなるので注意します。また、耐暑性も普通程度にありますが、真夏は直射日光の当たらない風通しがよく涼しい場所で管理するとよいでしょう。

アマドコロの育て方のポイント

用土

土
blueeyes/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの約2週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕してください。乾燥気味の環境を好むので、水はけの悪い場所では、川砂やパーライトなどを施して土壌改良し、周囲より土を盛っておくとよいでしょう。土に肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。

【鉢植え】

市販の草花用培養土を利用すると手軽です。または、赤玉土小粒7、腐葉土3の割合でよく混ぜて用います。

水やり

水やり
Osetrik/Shutterstock.com

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

真夏は、気温が上がっている昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。

また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。

【地植え】

根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

鉢栽培では、日頃の水やりを忘れずに管理しましょう。ただし、いつもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまうので注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。特に生育期に入って旺盛に茎葉を伸ばしている最中は、水切れしないように注意します。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

肥料

肥料
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【地植え】

強健な性質なので、植え付け時に元肥として緩効性肥料を施してあれば、追肥の必要はありません。しかし、芽出し前の3月頃に緩効性肥料を株の周囲にまき、土に馴染ませておくと株が大きく育ちます。

【鉢植え】

元肥として緩効性肥料を施した後は、毎年3月、6月、9月頃に緩効性化成肥料を少量、株の周囲にまきます。スコップなどで軽く耕し、土に馴染ませておきましょう。

注意する病害虫

農薬
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【病気】

アマドコロに発生しやすい病気は、さび病、褐色斑点病などです。

さび病は、かびによる伝染性の病気です。葉にくすんだオレンジ色で楕円形の斑点が現れます。この斑点は、やや細長くイボ状に突起するのが特徴です。症状が進むと斑点が破れ、中から粉のように細かい胞子を飛ばします。発症すると株が弱り、枯死することもあるので注意。発病した葉は見つけ次第切り取って処分し、適用のある薬剤を散布して防除します。

褐色斑点病は、20℃前後の雨が多い時期に発生しやすくなります。カビが原因で発生する病気で、葉に5mm前後の褐色の斑点が発生し、やがて大きくなって不揃いの円形の斑点が多発。病気が進行すると、株は枯れてしまいます。予防としては、水はけのよい土づくりをし、チッ素成分の多い肥料を過度に与えないようにしましょう。土壌から感染しやすいので、水やりの際に泥はねして土が茎葉につかないように注意します。

【害虫】

アマドコロに発生しやすい害虫は、コウモリガやヒゲナガクロハバチなどです。

コウモリガは蛾の一種です。秋頃、地上に産卵されて越冬し、孵化した幼虫は草花などを食べて生育します。食害が進むと、株が弱って枯死することもあるほど。春以降、周辺に雑草がはびこらないように草取りをまめにしておくと予防につながります。見つけたらエアゾールタイプの薬剤を散布して駆除しましょう。

ヒゲナガクロハバチは、ハチ目ハバチ科の昆虫です。体長は10〜12mmで、翅も含めて全身が黒いのが特徴です。主な発生時期は、5〜9月。茎葉に産卵した後、孵化したイモ虫が寄生し、葉を旺盛に食害します。成虫同様に昆虫も真っ黒で発見しやすいので、葉に穴があいているなど異変が見られたら、葉裏などをチェック。見つけ次第補殺するか、適用のある薬剤を散布して駆除しましょう。

アマドコロの詳しい育て方

苗の選び方

アマドコロのポット苗を購入する際は、葉が厚くハリがあり、節間ががっしりと締まって勢いのあるものを選びます。葉が傷んでいるものや、ヒョロヒョロと間のびしているものは避けたほうが無難です。

植え付け・植え替え

ガーデニング
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購入した苗は、一年を通していつ定植しても構いません。入手したら早めに植え付けましょう。株分けして植え替える場合は、3月か10〜11月が適期です。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。複数の苗を植える場合は、20〜30cmくらいの間隔を取ってください。

庭で育てている場合、環境に合えば植え替える必要はありません。しかし、大株になると込み合いすぎて弱ってくることがあるので、4〜5年に1度は掘り上げて株分けし、植え直しましょう。

【鉢植え】

鉢で栽培する場合は、5〜6号の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して軽く根鉢をくずし、鉢の中に入れて仮置きして高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。

鉢植えで楽しんでいる場合、生育旺盛なために根詰まりしやすいので、2〜3年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取り、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、それまで育てていた鉢よりも大きい号数の鉢を準備し、根鉢を軽くほぐす程度にして植え替えるとよいでしょう。

日常のお手入れ

アマドコロ
krolya25/Shutterstock.com

アマドコロは古くから日本に自生している植物なので、環境に馴染みやすく、放任してもよく育ちます。

夏越し・冬越し

マルチング
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ただし、真夏は直射日光を浴びさせないほうがよく、庭植えでは落葉樹の株元や朝のみ日が差す東側などに植えるのがおすすめです。そのような場所がない場合は、遮光ネットなどを張って、半日陰を作ってもよいでしょう。鉢栽培の場合は、真夏は半日陰の場所に移動して夏越しさせます。

また冬の寒さにも強いので、特に手をかける必要はありませんが、寒冷地ではバークチップやもみ殻などでマルチングをしておくとよいでしょう。

増やし方

ガーデニング
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アマドコロは、株分けをして増やします。株分け適期は3月か10〜11月です。

株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りを図ります。根茎が分かれていくつかの芽を作って増えているので、分岐部で折り取り、それぞれを再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。

アマドコロは食べられる植物

アマドコロ
Carmen Rieb/Shutterstock.com

アマドコロは、春先に出る若芽や、秋に掘り上げる根茎は食用できます。ここでは、若芽と根茎の食べ方や保存法についてご紹介します。

若芽の選び方と食べ方

若芽を採取する際にはまだ葉が開いておらず、丸く閉じているものを選んでください。掘り上げる際は、毒を含むホウチャクソウなどと間違わないように、根茎があることを確かめましょう。若芽はバター炒めや卵とじ、天ぷらなどに向くほか、お浸しにして辛子や酢味噌、マヨネーズで和えるのもおすすめです。

根茎の食べ方

根茎は年中掘り上げてもかまいませんが、秋に成熟したものを採取するのがおすすめです。

煮物や油炒め、天ぷらなどに好適。ヤマイモと一緒にとろろ汁にするほか、短冊切りにしてわさび醤油で食べても美味です。

保存方法

アマドコロは、収穫したら早めに食べ切りましょう。保存する場合は密閉袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保管します。

アマドコロの美しい葉と可憐な花を楽しもう

アマドコロ
weha/Shutterstock.com

可憐な白い花を咲かせるアマドコロは、斑入り種もあってカラーリーフとしての観賞価値も高い植物です。日本の野山に自生していることから、あまり手間がかからずよく増えるので、ビギナーにおすすめ。ぜひ庭やベランダに取り入れてはいかがでしょうか。

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