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ハゴロモジャスミンはどんな花? 特徴や花言葉、育て方を解説

ハゴロモジャスミンはどんな花? 特徴や花言葉、育て方を解説

Patrick Civello/Shutterstock.com

春になるとピンク色のつぼみを株いっぱいに立ち上げ、まるで雪をかぶったように白い花が満開になる姿を楽しめるハゴロモジャスミン。その魅力は、なんといっても甘くて濃い香りでしょう。「香りのよい植物を庭に取り入れたい」という方におすすめです。この記事では、ハゴロモジャスミンのプロフィールや魅力、品種、花言葉、詳しい育て方など、有用なガーデニング情報をお届けします。

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ハゴロモジャスミンの基本情報

ハゴロモジャスミン
tamu1500/Shutterstock.com

植物名:ハゴロモジャスミン
学名:Jasminum polyanthum(ヤスミウム・ポリアンツム)
英名:Pink Jasmine
和名:ハゴロモジャスミン(羽衣素馨)
その他の名前:ハゴロモソケイ、アラビアンジャスミン、ボルネオソケイ、 ピンクジャスミン
科名:モクセイ科
属名:ソケイ属
原産地:中国雲南省
形態:半常緑性つる性低木

ハゴロモジャスミンは、モクセイ科ソケイ属の半常緑性つる植物。ジャスミンティーなどに利用されるマツリカなどと同じジャスミンの仲間です。原産地は中国南部で、暑さには強いものの寒さにはやや弱い性質です。暖地では地植えにしても越冬しますが、冬に0℃以下になる地域では、鉢栽培にするか、地植えにしても冬は鉢上げして日当たりがよく暖かい場所で管理するとよいでしょう。

ハゴロモジャスミンは、つるを絡ませながら旺盛に生育します。つるの長さは2mほどになるので、植え付ける際は、支柱やフェンス、アーチ、オベリスクなど、つるを絡ませるための構造物を用意しておきましょう。

ハゴロモジャスミンの花や葉の特徴

ハゴロモジャスミン
Deni Williams/Shutterstock.com

園芸分類:庭木・花木
開花時期:4~5月
樹高:2m
耐寒性:やや弱い
耐暑性:強い
花色:白

ハゴロモジャスミンの花色は白。ピンクまたは白のつぼみを立ち上げ、純白の5弁花が咲きます。花径は1〜2cmと小さいのですが、花数が多く一斉に開花するので、つるを伸ばした面を覆い尽くし、大変見ごたえがあります。花が咲くと甘い香りが辺りに漂うのも魅力。上品な芳香ではありますが、かなり強く香るので、敏感な方は気分が悪くなってしまうこともあるようです。

開花期には小花が煙るように咲いて、それは見事な景色を作り出しますが、じつは葉のフォルムも繊細で美しく、開花期以外の葉姿にも観賞価値があります。庭で育った花を花瓶などに活ける際には、飾り葉として利用しても素敵ですよ!

ガーデンフェンスに絡んでたわわに咲くハゴロモジャスミン。Pavel105/Shutterstock.com

ハゴロモジャスミンの名前の由来と花言葉

ハゴロモジャスミン
ViktoriaIvanets/Shutterstock.com

ハゴロモジャスミンの名前の由来は、昔から日本で言い伝えられている「天女の羽衣」です。淡いピンクのつぼみから咲き進んで、やわらかな質感の白い花が咲く様子が、天女がまとう羽衣を連想させることから名づけられました。

ハゴロモジャスミンの花言葉は、「誘惑」「官能的な愛」「優しさを集めて」など。芳醇な香りを放ち、人を魅了することに由来しています。「あなたは私のもの」という花言葉もあり、これはインドで恋人から贈られたハゴロモジャスミンの花を、女性の髪に編み込む風習にちなんだものとされています。

なお、ジャスミンは、「Jasmine」と書きます。「神様からの贈り物」という意味のペルシャ語「ヤーサマン(ヤースミーン)」が語源となっているようです。

ハゴロモジャスミンの代表的な種類

ハゴロモジャスミンには、いくつかの品種があります。

ミルキーウェイ

ミルキーウェイは、葉を縁取るようにミルキーカラーの斑が入る品種です。開花していない時期は、カラーリーフプランツとして存在感を発揮します。

レッドスター

レッドスターは、つぼみが赤いのが特徴で、開花した白い花とのコントラストが美しい品種です。

ハゴロモジャスミンの香り

ハゴロモジャスミン
simamusume/Shutterstock.com

ハゴロモジャスミンは「香りの王様」と表現されるほど、強い芳香を持っています。フローラル系の甘い香りで、「姿は見えないけれど、どこかにハゴロモジャスミンが咲いている気配がある」といわれるほど広範囲に存在感をアピールします。じつはハゴロモジャスミンは虫媒花で、受粉を虫に頼っているため、強い香りを放って虫を誘い出しているのです。特に夜になると香りが濃くなるのが特徴です。

ハゴロモジャスミンの栽培12か月カレンダー

ハゴロモジャスミン
Ness.BD/Shutterstock.com

開花時期:4〜5月
植え付け・植え替え:3月中旬〜4月中旬、9月下旬~10月下旬
肥料:2月上旬~3月下旬、5月下旬~6月下旬

ハゴロモジャスミンの栽培環境

ハゴロモジャスミン
simamusume/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】

ハゴロモジャスミンは日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。屋外に植える場合はほかの植物が密集していない、日光がよく当たる場所を選びましょう。

 【日当たり/屋内】

ハゴロモジャスミンは屋内でも栽培可能です。屋外と同じく、日当たり・風通しがよい場所に鉢植えを置いておきましょう。

 【置き場所】

ハゴロモジャスミンは水はけのよい環境を好みます。地植えの場合は水はけがよい土壌を選び、鉢植えの場合は土や鉢の水はけにも注意しましょう。

耐寒性・耐暑性

ハゴロモジャスミンは寒さにやや弱く、暑さに強い植物です。冬は北風が吹く場所を避け、気温が0℃を下回る場合は屋内に移動しましょう。

鉢植えの場合は春〜秋に屋外で十分に日を浴びさせて、冬のみ屋内に移すのもおすすめです。

ハゴロモジャスミンの育て方のポイント

ハゴロモジャスミン
Olga Ilinich/Shutterstock.com

用土

【地植え】

地植えの場合は腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んだ用土を使います。肥料などを混ぜ込んだ後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。土壌が粘土質や砂質、水はけの悪い場合は、腐葉土や堆肥を多めに入れておきましょう。

【鉢植え】

鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)7、腐葉土3の割合でよく混ぜ、配合土を作ります。手軽に用土を手に入れたいなら、市販の草花用培養土もおすすめです。水やりのときに水があふれないよう、鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安に土を入れましょう。

水やり

水やり
wavebreakmedia/Shutterstock.com

【地植え】

植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、真夏に晴天が続いて乾燥しすぎる場合は水やりをして補いましょう。真夏は昼間に水やりするとすぐにぬるま湯になり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。

【鉢植え】

日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチすることが、枯らさないポイントです。

また、真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないようにします。真夏は気温が上がっている昼間に水やりするとすぐにぬるま湯になり、株が弱ってしまうので、朝夕の涼しい時間帯に行うことが大切です。冬は鉢内が乾きにくくなるので、水やりを控えめにして管理します。

肥料

肥料
New Africa/Shutterstock.com

地植え、鉢植えともに、2月上旬〜3月下旬に緩効性化成肥料を株周りに施し、土によくなじませます。春からの生育期を迎える前に肥料を与えることで、新芽を出すエネルギーとなり、旺盛に枝葉を広げることにつながります。

また、地植え、鉢植えともに5月下旬〜6月下旬頃、開花が終わったら緩効性化成肥料を与え、土によくなじませます。これは花を咲かせてエネルギーを消耗した植物に、体力を回復させる目的で与える肥料で、「お礼肥(おれいごえ)」といいます。「たくさん花を咲かせてくれてありがとう」という気持ちを込めて与えましょう。

注意する病害虫

アブラムシ
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【病気】

発生の心配はほとんどありません。

【害虫】

4〜10月にアブラムシが発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせてしまいます。見た目も悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、シャワーではじき落としたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒剤を利用するのがおすすめです。

ハゴロモジャスミンの詳しい育て方

ハゴロモジャスミンの育て方
tamu1500/Shutterstock.com

苗の選び方

ハゴロモジャスミンの苗を選ぶ際は、茎が太くしっかりとしたものがおすすめです。葉色がよい、カビや虫がいないかどうかもチェックしましょう。

植え付け・植え替え

植え付け
wavebreakmedia/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの2〜3週間前に、直径、深さともに30〜40cm程度の穴を掘り、掘り上げた土と肥料などを混ぜ込んで戻します。

植え付けの段階では、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘ります。つるを伸ばして生育するので、フェンスやオベリスクなどの構造物に誘引しておきましょう。植え付けの最後には、たっぷりと水を与えます。

一般地への地植えでは、植え替えは特に必要ありません。冬の寒さが厳しく0℃以下になる場合は、10月頃に鉢に植え替えて、室内の日当たりのよい場所で管理しましょう。霜の心配がなくなった頃に、再び庭に植え付けます。

【鉢植え】

植え替え
Nataly Studio/Shutterstock.com

鉢植えの場合、8〜10号鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。

次に、苗木をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。地植えと同じく、フェンスやオベリスクにつるを誘引しておくとよいでしょう。

最後に、鉢底から流れ出すまで十分に水を与えます。一年を通して日当たり、風通しのよい場所に置いて管理しましょう。

花が終わる頃、根詰まりしそうになったら植え替えのタイミングです。

支柱やフェンスなどにつるを誘引している場合は、枝先から出ている枝を切り取ってつるを丁寧にはずします。根鉢を1/3くらいまで崩して、一回り大きな鉢に植え替えましょう。

日常のお手入れ

【花がら摘み】

ハゴロモジャスミンは、花が終わっても花弁を地面に散らすことがなく、茶色く枯れ込んで枝葉にそのまま残ります。放置すると見た目が悪いので、終わった花はまめに摘み取りましょう。ハサミを使う必要はなく、花弁を手でつまむとポロリと取れるのが特徴です。株周りを清潔に保つことで病害虫を抑制することができ、また株の勢いが保たれて、次から次へと花が上がってきます。

剪定・切り戻し

ハゴロモジャスミン
Shigeyoshi Umezu/Shutterstock.com

ハゴロモジャスミンの剪定の適期は、花が終わった後です。

つるが旺盛に茂りすぎて樹形を乱していたり、勢力を伸ばしすぎてほかの植物に悪い影響を及ぼすようであれば、株全体の2/3くらいまでを目処に切り戻してかまいません。剪定後もバランスを崩しているようであれば、込みすぎている場所を適宜間引くようにして切り取り、風通しをよくします。

ハゴロモジャスミンの花芽は、成長が止まった後の晩秋から冬にかけて形成されます。それ以降に剪定すると花数が少なくなってしまうので、注意しましょう。

仕立て方

ハゴロモジャスミン
Photology1971/Shutterstock.com

ハゴロモジャスミンは、つるを支柱やフェンス、トレリスなどに誘引することで、好みの形に仕立てることができます。ハゴロモジャスミンのつるが伸びてきたら、麻ひもや専用のクリップを用意して、仕立てに挑戦してみましょう。

仕立てるときは、ハゴロモジャスミンの茎にひもをかけて1~2回交差させ、ひもの残りを支柱に結びます。つるの成長を妨げないように、茎と支柱は密着させず、余裕を持って結びましょう。

植える場所に合わせて、育てながらデザインできるのが仕立ての魅力です。つるの絡ませ方や広げ方を工夫して、素敵な空間を演出しましょう。

夏越し・冬越し

ハゴロモジャスミンは暑さに強いので、夏越しは必要ありません。

冬は0℃以下にならない場合、冬越しは不要です。ただし、冬に0℃を下回る地域では室内に移動しましょう。花芽がついた後、霜が下りる前が冬越し準備の目安です。

増やし方

増やし方
Taras Garkusha/Shutterstock.com

ハゴロモジャスミンは、挿し木で増やすことができます。挿し木の適期は9月頃です。春から伸びた若くて勢いのある枝を選び、2〜3節つけて切り取ります。水を入れたコップなどに挿して水揚げした後、草花用培養土を育苗用トレイなどに入れて、採取した枝葉を挿しておきます。直射日光の当たらない明るい場所で、水切れしないように管理しましょう。発根したら黒ポットなどに植え替えて育成します。大きく育ったら、植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、採取した株のクローンになることです。

家庭でハゴロモジャスミンを育ててみよう

ハゴロモジャスミン
Esin Deniz/Shutterstock.com

開花期には一気に満開になり、強く芳醇な香りを放つため「春がきた!」と強く感じることのできるハゴロモジャスミン。咲き姿も香りも素晴らしく、ガーデナーに人気の植物です。ぜひハゴロモジャスミンを庭に迎え入れてはいかがでしょうか。

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