ジャスミンは甘い香りを放つことでよく知られる人気の植物。家庭でも簡単に育てることができますよ! この記事では、ジャスミンの基本情報をはじめ、花名の由来や花言葉、ジャスミンティーの楽しみ方、ジャスミンの育て方まで、幅広く取り上げて解説していきます。

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ジャスミンとは

ジャスミン
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ジャスミンは、モクセイ科ソケイ属に分類されるつる性植物の総称で、約300種があるとされています。日本で主に苗が流通しているのは、アラビアンジャスミン(マツリカ)、ハゴロモジャスミンなど。カロライナジャスミン、マダガスカルジャスミン、スタージャスミンなどは、花の形や香りのよさが似ていることから名前に「ジャスミン」がつきますが、植物の分類上ではまったく別の科に属する植物です。

ジャスミンの原産地はアジア〜アフリカの熱帯、または亜熱帯地方。暑さには強い一方で、寒さには弱い性質をもっています。基本的には冬でも葉を落とさない常緑性の植物ですが、日本の厳しい寒さのもとでは葉を落とすこともあります。春の生育期を迎えると新芽が動き出すことがあるので、枯れたと早々に判断せず、春まで見守ってみてください。

ジャスミンはつる性の植物なので、育てる際にはつるを這わせるための構造物が必要です。フェンスやオベリスク、アーチなどを準備しておくとよいでしょう。つるが伸びる範囲は150〜300cmにも及びますが、邪魔になるようであれば適宜剪定して伸びる範囲をコントロールしてもかまいません。

ジャスミンは独特の甘くて強い香りを持っており、開花期にはやや離れたところからでも「ジャスミンが咲いている」と、存在感を強くアピールしてきます。ただ、香りに敏感な方には頭痛を起こしてしまう原因になるので、植える場所には注意するとよいでしょう。

ジャスミンの名前の由来

ジャスミン
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ジャスミンの名前は、ペルシャ語の「ヤースミーン」からきているとされています。この言葉は「神からの贈り物」という意味。花の香りがよくてリラックス効果があり、昔から精油にして利用されてきたことに由来しています。

ジャスミンの花言葉

ジャスミンの花
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ジャスミンの花言葉は、「優美」「愛想のよい」「愛らしさ」「官能的」など。世界三代美女のクレオパトラがジャスミンの香りを愛し、その美しさに華やぎを添えたという逸話からこれらの言葉が与えられたようです。

ジャスミンの見頃

ジャスミン
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前述したように、ジャスミンは300種以上が分布しているため、種類によって開花期は異なります。ハゴロモジャスミンやコモンジャスミンは4〜5月、アラビアンジャスミン(マツリカ)は7〜9月頃です。ジャスミンは夜に開花し始めるので、昼よりも夜に濃い香りを漂わせます。

ジャスミンティーを楽しめる

ジャスミンティー
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アラビアンジャスミンは、ジャスミンティーを手軽に楽しめるジャスミンの一つです。反対にカロライナジャスミンは「ジャスミン」という名前がついていますが、毒を持っているので、利用しないでください。また、飲料用として利用するなら薬剤散布はせずに、無農薬で栽培するのがおすすめです。

ジャスミンティーの作り方は簡単です。咲いた花を数輪採取し、烏龍茶または緑茶と一緒にティーバッグに入れてお茶を淹れます。香りを濃くしたい場合は、花数を多めに入れてもかまいません。好みの香りの量を見つけて、オリジナルレシピを作るのもいいですね。

ジャスミンの育て方

ここまで、ジャスミンの特性や名前の由来、花言葉など、多岐にわたってご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、ジャスミンの育て方について詳しく解説していきます。

ソケイ属に分類されるジャスミンの仲間は300種以上があるとされ、範囲が広いのでここではジャスミンの代名詞となっている、アラビアンジャスミン(マツリカ)の育て方に絞って解説していきます。近年はジャスミンといえばカロライナジャスミンを想起する方も多くなっていますが、こちらは『ハゴロモジャスミンはどんな花? 特徴や花言葉、育て方について』 に詳しいので、ご参照ください。

栽培場所

ジャスミンの育て方
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日当たり、風通しのよい場所を好みます。半日陰の場所でも生育しますが、花つきが悪くなってしまうようです。水はけ、水もちがよく、有機質に富んだ状態を好み、やや酸性よりの土壌を好みます。

アラビアンジャスミンは暑さには強いのですが、寒さに大変弱い性質をもっています。最低気温は10℃以上が必要です。庭に植えて楽しみたい場合は、5〜9月頃までは地植えにし、寒くなる前の10月頃に鉢に植え替えて、室内などの暖かい場所へ移動して管理しましょう。沖縄などの暖地では、庭植えのまま越冬させることができます。ただし、いつも寒風にさらされるような環境は避けてください。

土づくり

土
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【地植え】

植え付けの1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を植え場所に投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておきます。土づくりは植え付け直前ではなく、数週間前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成します。

【鉢植え】

草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。自身で配合土を準備したい場合は、赤玉土小粒7対ピートモス3、そこに元肥として緩効性化成肥料を入れてよく混ぜ合わせて使用するとよいでしょう。

植え付け

植え付け
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アラビアンジャスミンの植え付けの適期は5〜6月か9月頃です。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗よりもひと回り大きな穴を掘って、苗木を植え付けます。アラビアンジャスミンはつるを伸ばして生育するので、誘引するためのフェンスやオベリスクなどをしつらえておきましょう。最後に、たっぷりと水やりします。

【鉢植え】

鉢の大きさは、8〜10号鉢を準備しましょう。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。アラビアンジャスミンの苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。苗木をポットから出し、やや根鉢を崩して植え付けましょう。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。

アラビアンジャスミンは生育旺盛で根詰まりしやすく、長くそのままにしておくと株が弱ってくるので、1〜2年に1度は植え替えてください。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を整理して小さくし、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。根鉢を小さくした分、地上部も切り戻しておいてください。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢を崩す程度にして植え替えます。

水やり

水やり
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株が蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。冬は十分気温が上がった真昼頃に与えてください。夕方に水やりすると夜から朝にかけて冷える原因になり、株が弱るので避けましょう。

【地植え】

しっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続いて乾燥するようなら、水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。成長期を迎えてぐんぐん茎葉を広げるようになると、水を欲しがるようになります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がってきたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。また、冬は生育が止まるので水やりを控えめにしてください。鉢受け皿に常に水が溜まっているような状態を避けて、乾燥気味に管理しましょう。

肥料

肥料
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【地植え・鉢植えともに】

4月頃に緩効性化成肥料を株の周囲にまき、スコップなどで軽く耕して土に馴染ませましょう。5〜10月に液体肥料を、10日〜2週間に1度を目安に与え、株の勢いを保ちます。冬は生育が止まるので施肥の必要はありません。

注意したい病害虫

アブラムシ
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【病気】

アラビアンジャスミンは病気にかかる心配はほとんどありませんが、まれにアブラムシがウイルスの媒介となってすす病を発症することがあります。

すす病は、カビの一種が原因となる病気で、植物に黒い粉が吹いてすすがついたような状態になるのが特徴です。樹勢が衰えるうえに見た目に悪いので、発見次第適用する薬剤を散布して防除しましょう。

【害虫】

アラビアンジャスミンに発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目にも不愉快なので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、シャワーではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。ただし、収穫を目的とする場合は特に、薬剤の用量・用法を守って使用してください。

ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要です。繁殖力が高く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけて予防するとよいでしょう。

花がら摘み・剪定

剪定
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【花がら摘み】

アラビアンジャスミンの終わった花は、早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。

【剪定】

アラビアンジャスミンの剪定適期は、開花後の10月頃です。

込み合いすぎている部分があれば、透かし剪定をして枝数を減らして風通しをよくします。繁茂しすぎて持て余すようであれば、のびた枝の半分から1/3くらいまで切り戻しましょう。また生育期であれば、開花期でも邪魔になっている枝があれば切り取ってもかまいません。

増やし方

ガーデニング
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アラビアンジャスミンは挿し木で増やすことができます。

挿し木とは、枝を切り取って地面に挿しておくと、発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し木で増やせないものもありますが、アラビアンジャスミンは挿し木で増やすことができます。

アラビアンジャスミンの挿し木の適期は、7〜9月です。その年に伸びた新しい枝を10cmほどの長さで切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を2〜3枚切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて水で十分に湿らせておきます。培養土に3カ所の穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。その後は日当たりのよい場所に置いて育苗し、大きく育ったら植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。

ジャスミンティーを楽しもう

ジャスミン
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ここまで、ジャスミンの基本情報や特性、花名の由来や花言葉、ジャスミンの育て方まで、多岐にわたってご紹介してきました。楚々とした愛らしい白花からは素晴らしい香りが漂い、庭に個性をもたらしてくれるジャスミン。たくさん花が咲いたら、自家製のジャスミンティーを作ることもできますよ! 冬越しさえできれば初心者でも容易に育てることができるので、ぜひ庭に取り入れてはいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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