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イタリアンパセリの育て方! 初めて栽培する際のヒントや楽しみ方をご紹介

イタリアンパセリの育て方! 初めて栽培する際のヒントや楽しみ方をご紹介

Alekskan12/ Boryana Manzurova/ kazoka/Shutterstock.com

イタリアンパセリは平葉で葉姿が美しく、一般的に知られている縮れ葉のモスカールドパセリよりも苦みが少なく爽やかな香りがします。生育旺盛であまり手がかからず育つので家庭菜園初心者にもおすすめです。この記事では、イタリアンパセリの基本情報や育て方のポイントについて解説します。

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イタリアンパセリの基本情報

イタリアンパセリ
Sarah Macor/Shutterstock.com

植物名:イタリアンパセリ
学名:Petroselinum crispum var. neapolitanum
英名:Italian parsley、Flat-leaved parsley、Plain-leaved parsley、Petroselinum crispum ‘Italian’、French parsleyなど
和名:イタリアンパセリ
その他の名前:フラットパセリ、プレーンリーブド種
科名:セリ科
属名:オランダゼリ属(ペトロセリウム属)
原産地:地中海沿岸
形態:一・二年草

イタリアンパセリは、セリ科オランダゼリ属(ペトロセリウム属)の一年草、または二年草です。原産地は地中海沿岸地域で、暑さが苦手な一方で、寒さに強い性質を持っています。生育適温は15~20℃。25℃以上になると葉が硬くなり、生育が悪くなります。草丈は20~30cmほど。日本では縮れ葉のモスカールドパセリのほうがパセリとして一般的に浸透していますが、ヨーロッパではこのイタリアンパセリのほうがホピュラーです。モスカールドドパセリよりも苦みが少なく、料理の香味づけによく利用されています。

イタリアンパセリの葉や花の特徴

イタリアンパセリの花
Varts/Shutterstock.com

園芸分類:ハーブ
開花時期:5〜7月
草丈:20〜30cm
耐寒性:普通
耐暑性:強い
花色:白、黄色

イタリアンパセリの葉は平葉で、パセリの縮れた葉とは異なり、羽のように深い切れ込みの入る三角形の平らな葉が特徴。柄は3つに分枝して茂ります。花はクリーム色で、セリ科らしい散形花序の小さな花を咲かせます。ただし、花が咲くと種子を作って枯れていくので、ハーブとして葉を利用している場合は、花茎が伸びてきたらすぐに切り取ると、長く収穫を楽しめます。

イタリアンパセリの名前の由来と花言葉

イタリアンパセリ
Boryana Manzurova/Shutterstock.com

パセリという名前は、ギリシャ語で石や岩を意味する「Petro」とセロリを意味する「Selinon」を組み合わせた「Petroselinon」、つまり岩場のセロリという言葉に由来します。イタリアンパセリは、イタリア料理によく利用されていることからイタリアンと名付けられたと考えられています。

イタリアンパセリの花言葉は「お祭り」「小さな愛」「勝利」「祝祭」「万能」などです。

イタリアンパセリの近縁の仲間や似た植物

イタリアンパセリの仲間や見た目が似ている植物から、代表的なものをご紹介します。

パセリ

パセリ
Oksana Shufrych/Shutterstock.com

葉がくるくるとカールする一般的なパセリとイタリアンパセリは近縁の仲間。イタリアンパセリに比べるとやや葉が硬く、味わいも苦みやえぐみが強いのが特徴です。

チャービル

チャービル
Robert Buchel/Shutterstock.com

チャービルはフランス料理によく使われるハーブで、イタリアンパセリと同じくセリ科の一年草。甘く爽やかな香りを持ち、明るい緑色の切れ込んだ葉はイタリアンパセリによく似ています。パセリよりも癖が少なく、葉も柔らかくて食べやすいことから、「美食家のパセリ」とも呼ばれています。

コリアンダー

コリアンダー
jeep2499/Shutterstock.com

コリアンダーもセリ科のハーブの一つ。切れ込みが入る平たい葉が、イタリアンパセリによく似ています。別名はパクチーやシャンツァイ(香菜)など。独特な強い香りがあり、好き嫌いが分かれますが、エスニック料理などには欠かせないハーブです。

イタリアンパセリの栽培12カ月カレンダー

開花時期:5〜7月
植え付け:4~5月、10月頃
肥料:3〜11月
種まき:4~5月、9月~10月上旬

イタリアンパセリは、苗の植え付け後、4月頃から生育が旺盛になり、本葉が13〜15枚ついたら頃から収穫できます。開花期は5~7月頃ですが、開花させると株が消耗するので、花芽が見えた茎は地際で切り取りましょう。枯れたら抜き取って処分します。

イタリアンパセリの栽培環境

イタリアンパセリ
Cheryl Ann Meola/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】適度な日当たりと、風通しのよい場所を好みます。日照が不足すると葉が黄色くなりますが、夏に日向で育てると葉が硬くなることがあるので注意しましょう。

【日当たり/屋内】日光が入る場所であれば、室内でも栽培することができます。ただし、夏場の直射日光に当てると葉焼けする場合があるため、レースのカーテン越しの光が入る場所などがおすすめです。

【置き場所】酸性の土を嫌い、土壌酸度はpH5.5〜6.0、肥沃で水はけ、水もちのよいふかふかとした土壌を好みます。

耐寒性・耐暑性

イタリアンパセリの生育適温は15〜20℃です。暑さには強いですが、乾燥すると葉が硬くなりやすいので水切れに注意しましょう。涼しい半日陰などに移動するのも一案です。耐寒性はマイナス5℃程度で、暖地では屋外でも冬越しできますが、強い寒波や寒風に当たると枯れてしまうこともあります。

イタリアンパセリの育て方のポイント

用土

土づくり
Sleepyhobbit/Shutterstock.com

【菜園】

イタリアンパセリに適した土壌酸度はpH5.5〜6.0です。種まきの2〜3週間以上前に、必要に応じて苦土石灰を1㎡当たり約100g散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおいてください。さらに植え付けの1〜2週間前に、1㎡当たり堆肥2㎏、緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)100〜150gを植える場所に均一にまいて、よく耕しましょう。

畝の幅を約60cm取って、高さ10cmほどの畝を作ります。畝の長さは作りたい量や広さに応じて自由に決めてかまいません。表土は平らにならしておきましょう。土づくりは植え付け直前ではなく、数週間前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成し、植物の生育がよくなります。

【プランター栽培】

野菜やハーブの栽培用にブレンドされた市販の培養土を利用すると便利です。

水やり

水やり
cam3957/Shutterstock.com

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。

【菜園】

地植えの場合は、下から水が上がってくるので、天候にまかせてもよく育ちます。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補いましょう。

【プランター栽培】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

肥料

肥料
New Africa/Shutterstock.com

【菜園】

苗を植え付けた後、1カ月に1度を目安に1㎡当たり30gを目安に緩効性化成肥料を株の周囲にばら撒きます。その際に株の周囲をクワで軽く耕し、株元に土を寄せておきましょう。

【プランター栽培】

苗を植え付けた後、1カ月に1度を目安に緩効性化成肥料をひとつまみ程度、株の周囲にばら撒きます。その際に株の周囲をスコップで軽く耕し、土に馴染ませておきましょう。

注意する病害虫

幼虫
M.V.Photography/Shutterstock.com

【病気】

イタリアンパセリに発生しやすい病気は、うどんこ病、灰色かび病などです。

うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢、つぼみに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放任するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。窒素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発生しやすくなります。うどんこ病が出たらただちに病気の葉を摘み取って処分しましょう。

灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下にて発生しやすい病気です。ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。

【害虫】

イタリアンパセリに発生しやすい害虫は、アブラムシ、キアゲハなどです。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。

キアゲハはアゲハチョウ科の昆虫で、春から秋にかけて発生しやすく、主に幼虫がセリ科の植物を好んで食害します。幼虫がまだ若いうちは黒字に白斑が入る姿でまだ小さく見つけづらいのですが、大きくなると5cmほどのビッグサイズになって黒と黄緑の横縞にオレンジの斑点が散りばめられた姿を現し、よく目立ちます。若芽や葉を好み、幼虫が大きくなると旺盛に葉を食べて一晩で被害が拡大することもあるので注意。葉の裏表をチェックし、葉に穴が空いていないかチェックしておきましょう。幼虫は見つけ次第補殺します。成虫は花の蜜をエサとするので、近くに花が咲く植物を植えないこともポイントです。

イタリアンパセリの詳しい育て方

苗の選び方

イタリアンパセリは種まきからでも育てられますが、手軽に苗から育てる場合は、ヒョロヒョロと頼りなく伸びているものや、虫食い痕があるものなどを避け、節間が短くがっしりと締まって勢いのあるものを選びましょう。

種まき

種まき
Vladyslav Lehir/Shutterstock.com

種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなりますね。イタリアンパセリの苗は花苗店やホームセンターなどで入手できるので、手軽にスタートしたいなら、苗の植え付けからのスタートがおすすめです。「2〜3株あれば十分だから、苗の植え付けから始めたい」という方は、苗を購入するとよいでしょう。

イタリアンパセリの種まき適期は「春まき」が4〜5月で、「秋まき」が9月〜10月上旬頃。発芽適温は約20℃です。

種まきから栽培する場合、菜園などに種子を直まきすると幼苗のうちに病気や虫の害にあいやすく、天候不順に左右されやすくなります。セルトレイに清潔な市販の種まき用の培養土を使って種をまき、適した場所で管理すると、より確実です。

種まき用のセルトレイに市販の種まき用の培養土を入れて水で湿らせ、数粒ずつ重ならないようにまきます。好光性の性質のため覆土はごく薄くにしておきましょう。霧吹きで水をかけるか、容器に水を張ってセルトレイの底から水を吸水させるなどし、発芽までは乾燥させないように水の管理をしてください。14〜20日ほど経つと発芽し、双葉が揃います。

発芽したら日の当たる場所で管理し、数本が込み合っている部分などがあれば抜き取って間引きましょう。もったいないからといって密になっている部分をそのままにしておくと、ヒョロヒョロと間のびした徒長苗になってしまうので、ご注意を。間引いた苗はベビーリーフとして利用できます。

本葉が2〜3枚ついたら、セルトレイから抜いて鉢上げします。黒ポットに野菜用の培養土を入れて、苗を周りの土ごと抜き取って植え付けましょう。日当たりのよい場所に置き、表土が乾いたら水やりして育成します。多湿になると根の張りが悪くなり、ヒョロヒョロと頼りなく伸びる徒長苗になったり、病気が発生したりするので注意。適切な水分管理をすることがポイントです。本葉が7〜9枚つくまでを目安に育苗します。

植え付け

ガーデニング
OlegDoroshin/Shutterstock.com

【菜園】

イタリアンパセリの苗の植え付け適期は、種まきをした場合は春まきが6月頃、秋まきが10月頃。花苗店やホームセンターなどでも春先から入手できるので、苗を購入したら早めに植え付けましょう。

植え付けの1〜2週間前に土づくりしておいた畝が少しくずれていたら、幅約60cm、高さ約10cmになるようにもう一度クワを入れて調整し、表土を平らにしておいてください。畝に2列植えとし、列の間隔は30cm取ります。1列ごとに約30cmの間隔を取って穴を掘り、苗を植え付けていきます。最後にたっぷりと水やりをしておきましょう。

【プランター栽培】

6〜7号鉢に1株、標準サイズのプランターに3株を目安に植え付けます。

底穴に鉢底網を敷き、底が見えなくなるくらいまで鉢底石を入れ、その上に野菜用にブレンドされた培養土を入れます。水やりの際に水があふれ出さないように、ウォータースペースを鉢縁から2〜3cm残しておきましょう。苗の根鉢より一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をくずして苗を植え付けます。最後に底から水が流れ出すまで、たっぷりと水やりをしましょう。

摘心・摘葉

剪定
mihalec/Shutterstock.com

【菜園・プランター栽培ともに】

植え付け後、幼苗のうちに茎の先端を切り取る「摘心」を繰り返すと、わき芽が出てこんもりとした株姿に成長し、花数も多くなります。

摘葉は、葉を摘み取ることです。込み合ってきたら収穫を兼ねて茎葉を摘み取ります。また、枯れた葉や傷んだ葉を見つけたら、早めに摘み取りましょう。

収穫

イタリアンパセリ
kazoka/Shutterstock.com

【菜園・プランター栽培ともに】

春まきした場合の収穫適期は7月下旬〜12月上旬、秋まきした場合は、翌年の3月〜6月上旬頃です。

本葉が13〜15枚ついたら、適宜収穫します。外葉から順にハサミで切り取っていきましょう。一度にたくさん収穫すると株が弱るので、バランスを見ながら行いましょう。

増やし方

イタリアンパセリ
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イタリアンパセリは、種まきのほかに挿し芽でも増やすことができます。

【挿し芽】

勢いのある茎葉を切り取り、切り口からの水の吸い上げと葉からの蒸散のバランスを取るために、下葉を取ります。水を張った容器に挿し、明るく風通しのよい場所に置いておきましょう。毎日水を替えてしばらくすると、発根してきます。十分に根が出たら、菜園やプランターに植え付けます。

【種まき】

花後に種子を採取して増やすことができます。種子を採取する場合は、花がら摘みをやめて枯れるまでそのまま育てます。種子が黒く熟し、完全に立ち枯れたら種子を採取し、播き時のタイミングを逃さずに播いて育てましょう。

イタリアンパセリを栽培する際のヒント

イタリアンパセリ
Natalia Vostrikova/Shutterstock.com

イタリアンパセリを初めて栽培する方のために、知っておきたいポイントをご紹介します。

乾燥を防ぐ

パセリは乾燥しすぎるのを嫌う性質をもっています。プランター栽培では特に、水切れに注意しましょう。株元に乾燥防止のための敷きワラをしておくのもおすすめです。

初めての場合は苗から育てる

パセリは発芽までに2〜3週間かかるうえ、植え付けに適した苗に成長するまで、70日ほどかかり、一般の草花や野菜よりも育苗期間が長いといえます。また、発芽適温は約20℃で、25℃以上になると発芽不良になりやすく、発芽率は60〜70%と、割と低いほうです。パセリの種まきは手がかかるともいえるので、初めて栽培するならホームセンターなどで販売されている苗を購入し、苗の植え付けからスタートするとよいでしょう。

イタリアンパセリの楽しみ方

イタリアンパセリの使い方
OlgaBombologna/Shutterstock.com

イタリアンパセリを採取したら、ぜひ暮らしに役立てましょう。栄養成分や利用の仕方、保存方法についてガイドします。

栄養

イタリアンパセリにはクロロフィル、β-カロテン、ビタミンB群やC、E、Kなど多くのビタミンを含んでいます。ほかにも亜鉛、カルシウム、鉄分、カリウム、マグネシウムなどがバランスよく含まれており、ヨーロッパではメディカルハーブとして重宝されています。

使い方

クセが少なく食べやすいイタリアンパセリは、さまざまな用途に利用可能です。そのまま葉をトッピングに使っても、刻んで混ぜても料理が鮮やかに仕上がります。刻んでサラダに入れたり、魚介料理やパスタに添えたりするのもおすすめ。におい消しや香味づけに、煮込み料理に入れてもよいでしょう。

保存方法

イタリアンパセリは必要な分だけ摘み取り、新鮮なうちに使い切るのが一番ですが、保存することも可能です。容器に水を張ってイタリアンパセリを挿し、水の中で切り口を斜めに切り取ってしばらく水揚げしておきます。コップなどに水を入れ、水揚げしたイタリアンパセリを葉が水に浸からないように活け、涼しい場所か冷蔵庫に入れて保存します。水は毎日取り替えましょう。または、水で湿らせたキッチンペーパーで包み、密閉できる保存袋に入れて冷蔵庫で保存してもかまいません。いずれも、香りを楽しむには2~3日のうちに使い切りましょう。

栄養豊富なイタリアンパセリを上手に栽培しよう

イタリアンパセリ
PUDRA/Shutterstock.com

料理の彩りや風味づけなど、香味野菜として常備しておくと便利なイタリアンパセリ。プランターで容易に育てることができ、メンテナンスの手間もあまりかからない野菜の一つです。ぜひ庭やベランダで栽培にチャレンジしてみてください。

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