シルバーレースはどんな植物? シロタエギクとは違う? 特徴や育て方を詳しく解説

Tamara Kulikova/Shutterstock.com
シルバーレースは、その名のとおりレースのような繊細な造形と白色の葉が美しい人気のリーフプランツ。寄せ植えや花壇のアクセントとしても活用されています。この記事では、シルバーレースの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、シロタエギクとの違い、育て方などについて、詳しくご紹介します。
目次
シルバーレースの基本情報

植物名:シルバーレース
学名:Tanacetum ptarmiciflorum (syn. Gonospermum ptarmiciflorum)
英名:Silver lace bush、 Silver feather、Senecio Cineraria ‘Silver lace’
和名:シルバーレース
その他の名前:セネシオ、タナセツム
科名:キク科
属名:ヨモギギク属(タナセツム属)
原産地:カナリア諸島
分類:常緑性多年草
シルバーレースは、キク科ヨモギギク属(タナセツム属Tanacetum属)に分類される植物で、草丈は20~60cmです。原産地は、アフリカ大陸北西の大西洋にあるカナリア諸島で、現地ではIUCNレッドリストにEN(絶滅の危機)として登録されています。
セネシオ属のシロタエギク(ダスティミラー)と葉の色や姿がよく似ているため、混同されてシルバーレースもシロタエギクの名で流通することがあります。
シルバーレースの葉や花の特徴

園芸分類:草花
開花時期:5〜6月
草丈:20〜60cm
耐寒性:普通
耐暑性:強い
花色:白
シルバーレースは、美しい銀色の葉が人気のリーフプランツです。葉の形は羽状複葉で、シダ植物のような細かな切れ込みがある繊細な姿が魅力です。葉には産毛が密生しており、柔らかな手触りです。基部から何本も茎を伸ばし、茎は次第に木質化して灌木状に生育します。
伸びた茎の頂部に、キク科らしい小さな白い花弁の花を咲かせます。ただし、シルバーリーフとして葉をメインに観賞するため、株が弱らないように、つぼみがついたときは切り取るのが基本です。

名前の由来や花言葉

シルバーレースの英名は、シルバーレースブッシュ(silver lace bush)。透けたレースのような見た目から名がついたと考えられます。花言葉は「あなたを支える」で、シロタエギクと同じです。
シルバーレースとシロタエギクとの違い

シルバーレースと混同されがちな植物にシロタエギクがあります。
シルバーレースはキク科ヨモギギク(Tanacetum)属、シロタエギクはキク科セネシオ(Senecio)属で、同じキク科ですが別属です。
シルバーレースはシロタエギクよりも葉の切れ込みが多く、葉も薄くて柔らかく、より繊細な印象です。また成長もゆるやかで、ややコンパクトに育ちます。一方のシロタエギクはシルバーレースよりも暑さや寒さに強く、丈夫で育てやすいのが特徴。花の色にも違いがあり、シルバーレースは白い花、シロタエギクは黄色の花を咲かせます。
このように違いはありますが、全体的な草姿や用途がよく似ているため、シロタエギクがシルバーレースと呼ばれたり、シルバーレースがシロタエギクと呼ばれて流通している場合もあります。
シルバーレースの栽培12カ月カレンダー
開花時期:5〜6月
植え付け・植え替え:4月、9~11月
肥料:3〜4月、9~11月
シルバーレースの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日当たりと風通しのよい場所が適しています。半日陰でも育ちますが、徒長し葉色も悪くなります。
【日当たり/屋内】1年を通して屋外での栽培が基本です。ただし、強い霜にあたると枯れる恐れがあるので注意しましょう。
【置き場所】水はけがよければ土質は選びません。鉢植えの場合、冬は霜が降りない軒下などに移動させると安心です。
耐寒性・耐暑性
関東地方以西の平野部であれば戸外で冬越しできますが、霜に注意が必要です。寒冷地では冬は霜よけをしたり、鉢植えであれば霜が降りない場所に移動させるなどの対策を行うことが重要です。また、暑さには強いですが、蒸れや高温多湿には弱いため、夏は風通しよく乾燥気味に管理するのがポイントです。
シルバーレースの育て方のポイント
用土

シルバーレースは、水はけがよければ土質は選びません。地植えする場合は、植え場所を深さ30cmほど掘り返して腐葉土を混ぜ、水はけをよくしておきましょう。鉢植えの場合は、市販の培養土で問題ありません。
水やり

シルバーレースは過湿を避けて乾かし気味に育てることが重要です。過湿な状態が続くと、下葉が傷んだり根腐れしたりする可能性があります。
地植えの場合は基本的に自然の雨のみでよいのですが、長雨が当たるような場所は避けましょう。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えるようにしましょう。
肥料

シルバーレースはあまり肥料を必要としないため、元肥として緩効性化成肥料を施しておけば、追肥はほとんど不要です。生育が悪い場合は、春と秋に緩効性化成肥料を置き肥して様子を見ましょう。寄せ植えしている場合は、ほかの植物の施肥に合わせるとよいでしょう。
注意する病害虫

【病気】
シルバーレースの栽培では、特に気をつける病気はありません。
【害虫】
シルバーレースには、まれにアブラムシが発生することがあります。
見つけ次第駆除することが重要、数が少ないうちは粘着テープなどでぺたぺた取り除くことができます。量が多いときは薬剤を使って駆除しましょう。オルトランなど適応する殺虫剤を株元にまいておくと、しばらくするとアブラムシはいなくなります。
シルバーレースの詳しい育て方
苗の選び方
下葉が枯れたり、株元がぐらついているものは避け、葉色がきれいで徒長していない苗を選ぶとよいでしょう。
植え付け・植え替え

植え付けは、真夏と真冬以外ならいつでもできます。
植え替えは、4月か9~11月がおすすめです。鉢植えが根詰まりを起こしているようなら植え替えましょう。植え替えの際は根鉢をくずし、新しい用土に入れ替えます。
地植えの場合は、植え替える必要はありません。
日常のお手入れや注意点

花が咲くと株が弱るため、初夏につぼみを付けたら切り取るようにします。
梅雨の時期は、鉢植えを雨の当たらない場所に移します。地植えの場合は雨よけをしてもよいですが、ほかの植物の陰など、あらかじめ多少雨が避けられる場所に植えておくのがおすすめです。
剪定・切り戻し

大きく育ってくると下葉が枯れて見た目が悪くなるので、株元から5~6cmのところでばっさりと切り戻しましょう。切り戻すことでわき芽が伸び、これを育てれば元のこんもりした葉姿に戻ります。株姿が乱れた場合、必要に応じて挿し芽で株を更新してもよいでしょう。
増やし方

シルバーレースは挿し芽で増やすことができます。
挿し芽の適期は4~6月、9~10月です。切り戻した茎を使ってもよいでしょう。
先端を7~10cmほどの長さに切って挿し穂にし、下の葉を取り除いて水揚げします。挿し木用の用土に挿し、明るい日陰で水を切らさないよう管理しましょう。
シルバーレースが枯れる4つの原因

シルバーレースは、ちょっとした管理のコツを知っているとよく育ちます。枯れてしまった場合は、いくつかの原因が考えられます。
ここでは、その原因別に、対処法をご紹介します。
1.水のやりすぎ

水をやりすぎると根腐れを引き起こし、根が呼吸できず枯れてしまいます。また夏場は高温多湿で蒸れて枯れることもあります。水やりは控えめにし、風通しのよい場所で乾燥気味に管理することが重要です。
2.肥料の施しすぎ

肥料のやりすぎも根が傷み、枯れる原因の1つです。
シルバーレースは肥料焼けを起こしやすい植物です。あまり肥料を必要としないので、与えすぎに注意することが重要です。
3.根詰まり

長期間同じ鉢で育てていると鉢の中が根でいっぱいになる、根詰まりを起こすことがあります。
そのままにしていると水分や養分が吸収できず、枯れる原因となります。鉢底から根が見えている、水が土になかなか染み込まないといったときは植え替えをしましょう。
4.気温の低さ

シルバーレースは多少の耐寒性があり、関東地方以西の平地では特に対策をしなくても戸外で冬越し可能ですが、強い霜にあたると枯れることがあります。
育てる際の適温は15~25℃です。寒さが厳しい地域や暖地でも、寒波が来るときは霜の降りない軒下や室内に入れたり、不織布で覆って寒風から守るなどの霜よけ対策が必要です。
シルバーレースの繊細な草姿を楽しもう

シルバーレースは葉の繊細な形や淡い色が美しいリーフプランツです。乾燥ぎみに管理するなど、ちょっとしたポイントを押さえると上手に育てることができます。特に寄せ植えに使えば、葉の美しさが引き立ち、シルバーの葉色がアクセントになるのでおすすめ。ぜひご自宅などで試してみてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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