【犬の胃腸ケア】ストレスでお腹がゴロゴロ…言葉を持たない愛犬のSOSを優しく包む「マーシュマロウ」のハーブケア
新緑が眩しく、過ごしやすい5月。一方で、気温の変化や気圧の変動、環境の変化によるストレスから、愛犬の食欲が落ちたり、お腹がゴロゴロ・ゆるくなったりしやすい時期でもあります。「お薬を飲むほどではないけれど、お腹の調子を優しくケアしてあげたい…」そんなときに取り入れたいのがハーブによるケア。ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法を学ぶ海野美規さんが、デリケートな愛犬の胃腸の健康を自然の「とろみ(粘液)」の力で優しく守ってくれる注目のハーブ「マーシュマロウ」の魅力と、自宅での簡単な取り入れ方をご紹介します。
目次
マーシュマロウとは?

マーシュマロウの和名はウスベニタチアオイ。ビロードアオイという別名もあり、7~9月に薄桃色の花を咲かせるアオイ科の多年草です。古くから薬用ハーブとして知られていて、古代ギリシャでは、季節の変わり目の呼吸器の健康維持に用いられていたそう。根に含まれる多糖類が水分と混ざることで豊かな粘液質を作り、それが体内のデリケートな粘膜を優しく保護するようにアプローチしていると考えられています。
お菓子のマシュマロは、かつてこのハーブの根から作られた喉のための民間薬が原形とされており、名前の語源もこのハーブからです。

愛犬への活用シーン〜こんな時に取り入れたい

- 胃腸の健康維持に:お腹がゆるくなりやすいときや、環境の変化で食欲が落ちてしまうときに。消化器の粘膜を優しく守ることで、健やかなお腹の環境をサポートしてくれます。
- 喉や気道の乾燥対策に:カサカサ・イガイガしやすいとき、粘膜の乾燥を防ぐのにも有効。デリケートな呼吸器に潤いを与え、健やかな状態を保ちます。
- シニア犬の日々のサポートに:年齢とともに消化機能が変化してきたシニア犬の、日々の食事のサポートとして。内側のスッキリを促し、毎日の健康維持に役立ちます。
マーシュマロウとカモミールのブレンドティー

我が家の柴犬あんは、お腹を壊すことは滅多にありませんが、時々すっきりしないときがあります。 そんな時や、お腹が張って少しソワソワしている時におすすめのハーブティーが、マーシュマロウとカモミール、またはダンデライオンとのブレンドです。

カモミールはお腹を優しく労わる役割があり、またホッと気持ちを落ち着かせるリラックスタイムにも作用します。気圧の変化やストレスで食欲が落ちたり、お腹がごろごろなっているようなときに試してみましょう。
ダンデライオンは、巡りを助けるハーブ。内側からスムーズな排出を助けてくれるため、毎日のスッキリに繋がります。

水出し?お湯出し?

マーシュマロウは基本的には水出しがおすすめ。熱湯で抽出すると、粘液質の構造が壊れてしまい、特徴であるとろみが出にくくなってしまうためです。
マーシュマロウだけで飲む場合は、ティースプーン山盛り1杯(約3g)に冷水50mlを注ぎ、時々攪拌しながら30分置いて出来上がり。
カモミールとのブレンドティーの場合は、カモミールティーをお湯で抽出してからマーシュマロウ(粉末状)を加えてかき混ぜ、とろみをもたせて与える方法もあります。
また、ハーブティー(茶葉)の種類やメーカーによっては、お湯での抽出を推奨しているところもあります。今回使用したマーシュマロウはお湯出しにも対応しているタイプだったので、カモミールと一緒にお湯出ししました。

シニアの犬には、胃腸に負担をかけないように、水出ししたハーブティーは少しだけお湯を足すか、レンジで「人肌(30〜37℃)程度」に温めるといいですね。冷たすぎると逆に腸を冷やして動きを鈍くしてしまうため、ほんの少し温めてあげましょう。
まずは大さじ1杯程度から、いつものご飯にかけて与えてみてください。

マーシュマロウとブルーマロウの違い

マーシュマロウと名前が似ているハーブに、ブルーマロウ(マロウブルー)があります。混同しやすいので、表にしてみました。
| マーシュマロウ | ブルーマロウ | |
| 植物名 | ウスベニタチアオイ | ウスベニアオイ(コモンマロウ) |
| 科名 | アオイ科 | アオイ科 |
| 主な使用部位 | ルート(根) | フラワー(花) |
| 主な特徴 | 強い粘液質。とろみが強い | お湯を入れると青色になり、レモンを入れるとピンク色に変化 |
| 主な用途 | 胃腸・喉の粘膜ケア(実用的ケア) | 色の変化を楽しむ、喉の消炎(観賞・癒やし) |

言葉を持たない愛犬のSOSに寄り添うために

ここまでマーシュマロウの魅力をお伝えしてきましたが、じつは、私がこのハーブの心強さを改めて実感した出来事がありました。
わが家でエアコンの取り替え工事があり、業者の方が家に入られる機会があったときのこと。普段は滅多に吠えない愛犬あんなのですが、この日ばかりは落ち着かない様子でソワソワと部屋をうろうろ。知らない人が大きな機材を持って動く姿に緊張したのか、珍しく声をあげて吠えたりと、大忙しの時間を過ごしていました。
すると、作業が始まってしばらくした頃、あんのお腹から「ゴロゴロ、ギュルギュル」と大きな音が鳴り出したのです。
さっき、作業が始まる前までは、いつも通り元気だったのに――。
急な体調の変化に驚きましたが、これこそが「ストレス」による胃腸のSOSでした。犬の心と胃腸は自律神経で密接につながっていて、緊張や不安といった精神的な負荷がかかると、一気に胃腸の働きに影響が出てしまいます。人間もプレッシャーで胃がキリキリ痛むように、犬も言葉にできない不安をお腹の不調で表現することがあるのだそうです。
そんな時、薬に頼る手前のマイルドなケアとして、デリケートな内側を優しく包み込んでくれるマーシュマロウのような植物の力は、本当に心強いお守りになります。
日々、ベランダや庭で植物を育てること。そして、その植物の恵みを愛犬の心と体のケアに還元していくこと。それは単なる体調管理を超えて、言葉を持たない愛犬との「静かな対話」の時間でもあるのだと感じています。
5月の環境の変化を機に、みなさんも愛犬のための優しいハーブケアを、小さな一鉢から始めてみませんか?
参考:
『メディカルハーブの事典』/林真一郎(編)
『犬と猫のためのメディカルハーブガイド』/金田俊介(著)
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 海野美規 - フラワー&フォトスタイリスト -

うんの・みき/フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
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