春の庭や道端を彩る黄色いタンポポ。フランス語の「ダン・ド・リオン(ライオンの歯)」を語源とする英名「ダンデライオン」としても親しまれるこの植物は、じつは根から葉まで余すところなく活用できる優秀なハーブです。ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法を学ぶ海野美規さんも、ダンデライオンを暮らしに取り入れている一人。焙煎すれば香ばしい「たんぽぽコーヒー」として、また有用なハーブとして活用されるタンポポについて、その力強いパワーを取り入れる方法をご紹介します。
目次
飼い主さんのための「たんぽぽコーヒー」

たんぽぽコーヒーとは、セイヨウタンポポの根を使った飲料のことで、たんぽぽ茶とも呼ばれます。じつはコーヒーではありませんが、コーヒーに似た味わいをしていることからたんぽぽコーヒーと名付けられました。

セイヨウタンポポの根(ルート)を乾燥させ、香ばしく焙煎して淹れるたんぽぽコーヒー。ノンカフェインながら、コーヒーに近いコクと苦味が楽しめます。
私は小さめのカップに濃いめに淹れて飲むのがお気に入りです。

本物のコーヒーとは異なり、ノンカフェインで味もまろやかなので、妊娠・授乳中の女性や子どもなど、幅広い方が気軽に楽しめるのも嬉しいですね。
「リーフ」と「ルート」 それぞれの役割

ハーブとしてのダンデライオンは、ビタミンやミネラルを豊富に含み、栄養価が高いだけでなく、消化をサポートする働きがあるといわれています。また、内側からのスッキリを助ける、代表的なクレンズハーブ。さまざまな作用が穏やかに働いてくれるので、健やかな毎日を維持したい方におすすめのハーブとされています。

ダンデライオンは部位によって成分や働きが異なり、利尿作用はリーフ(葉)のほうが強く、胆のうや肝臓、消化器に対する作用はルート(根)のほうが強いとされています。
その時の自分の体調に合わせて選べるようになると、活用の幅が広がりますね。

愛犬への活用法

焙煎の強さや刺激の問題から、愛犬にコーヒーとしての提供は厳禁ですが、ダンデライオンそのものは犬の健康維持にも役立ちます。
与える際は、ドライハーブを粉末にして食事にふりかけるのが簡単でおすすめ。

愛犬あんには、ダンデライオン・リーフを細かくして、好物の焼いた鶏もも肉とブロッコリーにふりかけて与えています。
大好きなお肉にふりかけると、少々「?」と思ところもあるようですが、残さず食べてくれます。

「巡り」を整える どんよりと気分が晴れないときに

かつて、頭が重く、どんよりとした気分が続いていた時のこと。一杯のタンポポコーヒーを飲んだところ、すーっと霧が晴れるようにリフレッシュし、気分が楽になった経験があります。
なぜ効いたのかと調べてみると、ダンデライオンは古くから「肝臓の友」と呼ばれ、体内の余分な水分や老廃物を排出するデトックス効果に優れているとのこと。特に、体内の「巡り」が滞ることで起きる重だるい不調は、この排出を促す力が優しくサポートしてくれるのだそうです。
また、ダンデライオンの花には、穏やかな鎮痛作用もあると考えられているそうで、その作用も働いてくれたのかもしれません。
※キク科アレルギーの人は使用しないでください。
もうひとつ、知っておきたい定番ハーブ「フィーバーフュー」

もうひとつ、季節の変わり目や、気圧の変化でどんよりしがちな不調をサポートするお守りハーブとして、ぜひ知っておいてほしいのがフィーバーフューです。和名ではナツシロギクと呼ばれ、ヨーロッパでは古くから民間療法に用いられてきました。「パルテノライド」という成分が豊富に含まれ、注目が集まっている植物です。
シングルティー(単体)で飲むよりは、レモンバームやミントなどとブレンドすると飲みやすくなります。

※妊婦、2歳以下の幼児、キク科アレルギーの人は使用しないでください。
ハーブと向き合う、自分を労わる時間

ハーブは決して魔法の薬ではありません。けれど、カップから立ち上る湯気を深く吸い込み、温かい一杯をゆっくりと味わう。そのひとときが、痛みの背景にある強張った心身をふわりと解きほぐしてくれるようです。
タンポポコーヒーの香ばしさと苦味。それが喉を通り過ぎる頃には、頭痛もいつの間にかどこかへ。
『あ、少し疲れが溜まっていたのかな?』
そんな自分の小さなサインに気づいたら、庭やキッチンのハーブに手を伸ばしましょう。自分を労わるほんのひとときを、隣に座る愛犬と一緒にこれからも大切にしていきたいものです。

参考/
『犬と猫のためのメディカルハーブガイド』金田俊介著
『メディカルハーブの事典』林真一郎(編)
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 海野美規 - フラワー&フォトスタイリスト -

うんの・みき/フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
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