「ブランデースナップ」は、その魅力的な名前とは裏腹にブランデーは不使用ながら、古くから英国で愛されてきた伝統菓子です。たっぷり使うゴールデンシロップが織りなすキャラメル風味と、ほんのりピリリと香る生姜の絶妙なハーモニーが特徴で、一口食べれば病みつきになるパリパリとした食感が魅力。今回は、生地作りは簡単なものの、特徴的な「くるくる巻く」形を作るのに少しコツがいるこの伝統菓子を、イギリス菓子研究家でパティシエのTomoさんに教えていただきます。
目次
魅惑的な名前のお菓子「ブランデースナップ」

ブランデースナップというお菓子。聞いたことのある方は、なかなかの英国通かもしれません。イギリスには不思議な名前のお菓子が沢山あります。
ブランデースナップといっても、ブランデーが入っているわけではありません。ではなぜブランデースナップというの? というと、昔は”brandy”は“branded”、すなわち”burnt”、焦げたお菓子ということだったようです。
具体的にどんなお菓子かというと、キャラメル風味のパリパリしたお菓子で、最後に生姜の風味がほんのりピリリとくる味わいで、日本人も好む味だと思います。
キャラメルのような風味は、材料にたっぷり使うゴールデンシロップからきています。
ゴールデンシロップについては、ジンジャーブレッドの記事で少し触れましたが、輸入食品店や製菓材料店などで購入可能です。テクスチャー(質感)は、はちみつと同じなのですが、このシロップがブランデースナップの風味のカナメになるので、ゴールデンシロップを使うことをお勧めします。どうしても手に入らないという場合は、はちみつで代用できます。
くるくると巻くのはコツがいる!

この特徴的なくるくると巻かれた特徴的な形は、イギリスのお菓子作りでよく使う木のスプーン、木ベラの柄を使って形作ります。
じつはこのお菓子、生地を作るのは簡単なのですが、焼いてからが少し大変!
焼いた後1分ほど置いて、少し冷めた頃に木ベラの柄に巻きつけて、この形を作ります。焼きたての熱すぎる状態だと、生地が破れてしまうし、冷めすぎると巻けずに割れてしまいます。なので、コツを掴むまでは一度に焼くのは3枚くらいがいいかもしれません。

木ベラがない場合は、菜箸を束ねて直径1cmくらいにして代用するのも1つの方法です。
形を変えてブランデースナップバスケット

くるくる巻くだけでなく、違う形にしてデザートにすることもできます。
上写真は、同じ生地を焼いて少し冷めたところで、ココット型を裏返してその上に生地を被せて形作ったもので、ブランデースナップバスケットと呼ばれています。私が働いていたホテルでも、ブランデースナップバスケットを作って出していました。このバスケットにはアイスクリームを乗せることが多いです。
ちなみに、くるくる巻いた方には泡立てた生クリームを絞り入れて仕上げます。こちらもシンプルにブランデースナップの味を楽しめて、とっても美味しいです。
ブランデースナップバスケット
材料(小さじ1ずつ焼いて約15個分)

<生地>
- 無塩バター 50g
- きび砂糖 50g
- ゴールデンシロップ 50g
- 薄力粉 50g
- ジンジャーパウダー 少々
<トッピング>
- 泡立てた生クリーム 適量
*ブランデーバスケットを作った際はバニラアイスクリームなど

バター、砂糖を計り入れた片手鍋の上に、ゴールデンシロップを流し入れながら計量すると簡単です。
作り方

1. オーブンを180℃に予熱する。その間に、バター、砂糖、ゴールデンシロップを入れた鍋を弱火にかけ、全てを溶かす。

2. 溶けたら火からおろし、薄力粉とジンジャーをふるい入れる。


3. さっくり混ぜる。

4. 混ざったら、オーブンペーパーを敷いた天板に、生地同士がくっつかない程度離れた場所に小さじ1ずつ生地を落として、180℃のオーブンで8〜10分焼く。

作り始めは生地が熱いため小さじを使いますが、冷めれば手でコロコロ丸めることもできます。丸く形づくるのは、熱くても冷めても、どちらの状態でもかまいません。


5. 焼けたら1分ほど冷まして、パレットナイフで生地を動かしても破れないか確認したら、木ベラの柄に巻きつけて冷ます。
冷ます時は、写真のようにフライパンの縁を利用するなど、生地を少し浮かしておくと、より丸く仕上がります。

ブランデースナップの味わい方

泡立てた生クリームを絞り入れて出来上がり!
ブランデースナップのジンジャーやキャラメルの風味を味わうなら、断然こちらがお勧め。


ブランデースナップバスケットも見た目が華やか。アイスを乗せてエディブルフラワーや自家製ジャムを乗せれば、ガーデンの恵みで彩られたオリジナルのデザートになります。
クッキーとはまた違った、パリパリした食感とのコントラストが美味しい、イギリスの昔ながらのお菓子です。

焼いたら密閉容器に入れておけば2週間ほど持ちます。乾燥剤を入れるとよりよいです。湿気には弱いので、注意してくださいね!
Credit
写真&文 / The Pudding Party Tomo - イギリス菓子研究家/パティシエ -

イギリスのプディングの美味しさをもっと多くの人に知ってもらいたいと活動する、イギリス菓子研究家、パティシエ。ル・コルドン・ブルー横浜校にて菓子ディプロムを取得。英国コッツウォルズのスリーウェイズ・ハウス・ホテルにてイギリス伝統菓子作りの腕を磨く。
〈The Pudding Party Tomoとイギリス菓子作り〉 https://youtube.com/channel/UCV1hGcG5t0SELBBiuJ1GqBA
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