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【果樹栽培のコツ】果樹の成長には適切な新梢管理が必要! 樹木別に具体的な方法を解説

【果樹栽培のコツ】果樹の成長には適切な新梢管理が必要! 樹木別に具体的な方法を解説

M. Schuppich/Shutterstock.com

みなさんは果樹栽培をする中で、新しく伸びてきた枝をどうしていますか? そのままにしていたり、剪定の時期を間違えたりと適切な管理をしていないと、収穫量が減少することがあります。ここでは人気のある樹木を中心に、春以降に新しく伸びてきた枝(新梢:しんしょう)の適切な管理方法について、具体的に解説します。

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新梢(しんしょう)の意味と管理する目的

新芽
Galina Mokhnatkina/Shutterstock.com

多くの果樹はしっかりと収量を確保するために、新梢管理が大切です。ここでは新梢とは何か、また新梢を管理する意味と目的について解説します。

新梢とは

新芽
Sergei Leto/Shutterstock.com

新梢とは、その年の春以降に新しく伸びた枝を指します。次の春までは、この枝のことを、一年枝、一年生枝、当年枝ともいいます。その中で頂芽から出た新梢を頂生枝、側芽から出た新梢を側枝ともいいます。いずれも、健全に成長していれば、ほぼ毎年必ず出てきます。

新梢を管理する必要性や目的

剪定
Happy Lenses/Shutterstock.com

新梢を必要に応じて残したり、剪定したりすることを新梢管理といいます。新梢管理をすることで、全体の成長や結実のバランスが整い、果実の品質向上に繋がります。また、それぞれの枝を充実させることにもなります。新梢をそのままにしておくと徒長枝となり、生育期には繁りすぎてしまいます。繁りすぎた枝は光を遮り、果実の結実などを阻害することに加え、全体のバランスも悪くなって、病害虫を呼び寄せたり、農薬の効果の低下を招いたりもします。新梢管理によって、それらの問題を防ぐことができます。

落葉果樹の新梢管理をするときの主な方法

剪定
Roman023_photography/Shutterstock.com

落葉果樹の新梢管理には、成長の段階に合わせたいくつかのステップがあります。ここではその主な方法について解説します。

芽かき

剪定
Alexander Knyazhinsky/Shutterstock.com

芽かきとは、不要な芽を伸びる前にかきとることです。枝になるよりも早い段階で新梢管理をすることで、植物への負担も少なく、枝ぶりをすっきりさせることができます。必要な枝だけに水や養分を行き届かせることができるので、木を充実させることにもつながります。芽かきの場所は主枝や亜主枝の上や背面、剪定箇所付近から発生した不要な芽の部分。元の枝や樹木全体に対して枝が多くなりすぎるようなときも、あらかじめ芽かきをするとよいでしょう。かきとる際は、基部から綺麗に取り除くようにしましょう。

捻枝

果樹栽培
Vladdon/Shutterstock.com

捻枝とは、茎や枝の根元を捻って曲げ、成長を抑えたり、果実の充実をはかるために行う作業です。枝は上に伸びるときは枝自体の伸長に力を使ってしまうため、花や果実がつきにくくなります。しかしこうした枝も、横倒しにしたり下に向けて引っ張ったりすることで勢いが削がれ、花や実の数を増やすことができます。捻枝作業は、茎や枝の根元が木質化すると折れてしまうため、枝が柔らかい時期に行いましょう。リンゴやナシなどの果樹農家では、上に伸びる枝を切り落としたり横に誘引して収穫量を増やしています。つるバラを上に伸ばさず、横に誘引したり蛇行させて誘引するのも同様のテクニックです。

摘心

摘心
Bits And Splits/Shutterstock.com

摘心とは、新梢の先端部を切除することです。摘心によって成長をコントロールし、花穂に向かう養分をより多くする効果があります。摘心は、芽かきをせず、伸ばした新梢の中で徒長して過繁茂の状態になった部分に対して行います。例えばウメの木であれば、横に向けて強く伸びる枝を1/3〜1/4ほど切り詰めることで先端から複数の枝が出て、枝全体の勢いを抑えることができます。枝の生育の勢いが抑制されることで、花や果実へとエネルギーが振り分けられ、実つきがよくなります。

夏季剪定

剪定
PhotoJuli86/Shutterstock.com

果実の多くは日が当たることで色付きもよくなります。そのため果樹の多くは樹冠内部や果実に日が当たるように、基部から生えている勢いの強い新梢を剪定する必要があります。具体的な方法として、樹冠内部の新梢であれば、基部から20cmあたりを中心に剪定します。モモやスモモは収穫前の6月上旬に行い、ウメは収穫後の7月上旬から中旬に行いましょう。ただし、果樹の場合は果実1つあたりに何枚の葉があればよいかという適切な比率があります。この比率のことを「葉果比(ようかひ)」といいます。それぞれの果樹によって葉果比は異なるので、自分が育てている果樹の葉果比を調べておき、十分な葉が残るように剪定しましょう。

果樹別の新梢管理

フルーツ
leonori/Shutterstock.com

果樹によって新梢の管理方法は異なります。ここでは、果樹に応じたそれぞれの具体的な方法について解説します。

モモ・スモモ

モモ
Africa Studio/Shutterstock.com

幼木や若木は新梢の勢いが活発で、放っておくと樹冠内部が過繁茂になりやすいため、内部を中心に、基部から20cmほど残して剪定したり、捻枝を行いましょう。主枝に競合するような新梢も捻枝や剪定をしましょう。また成木や老木は太陽光が木全体に効率よく当たるように摘心し、枝が下垂しているようであれば、支柱を添えて立て直します。強い枝を摘心することで、果実が実る短い枝がつきやすくなります。

ミカン

ミカン
Cegli/Shutterstock.com

ミカンはその年にできた新梢の先端部に翌年花を咲かせ、結実します。そのため、春に伸びた新梢は切らないようにすることで、実付きがよくなります。新梢の剪定は、充実している新梢の横にある弱い新梢を間引く程度にしましょう。春以降の夏枝、秋枝は先端部から1/3程度まで切り戻し剪定を行い、花芽の付く新梢の発生を促しましょう。

ブドウ

ブドウ
mythja/Shutterstock.com

1つの節から新梢が2〜3本出てくるので、初めに動き出した新梢以外はかき取ります。芽かきの時期は、新梢が8cmほど伸びた頃と、新梢を誘引する前がよいでしょう。1新梢に1房のほうが実付きがよくなるため、花穂が開花する5~7日前、新梢から伸びる葉が6~8枚になったら摘心を。その際、巻きづるは切り取ります。また、果房に日が当たらないと黒ブドウ品種は色付きが悪くなるので、日が当たるように葉を適宜取り除きましょう。

サクランボ

サクランボ
Nitr/Shutterstock.com

5月頃に新梢が活発に伸び始めます。この新梢を放置すると来年の花付きが悪くなり、また果実に十分な日が当たらず色付きも悪くなってしまうため、主枝の後ろから生えている新梢は剪定します。その際、各枝に葉が3~5枚残るように切り取りましょう。また、サクランボは成長とともに樹勢が弱まります。この時期に勢いのない木や老木は剪定しなくても大丈夫。7月になったらコンパクトな形にしたいなど、樹形を整える目的で新梢の剪定や摘心を行います。

リンゴ

リンゴ
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早期の収穫を目的とした矮化品種の台木を用いた矮化栽培の場合、樹勢の強い品種は茂りすぎになりやすいため、注意が必要です。主枝の背面から出てくる新梢については、剪定して整理しましょう。枝の生育が旺盛なため、夏場は摘心や捻枝などを含め適度に新梢を切り詰め、花芽の生育を促す必要があります。しかし、新梢から出た枝を頻繁に切り詰めすぎると花芽が付かなくなるため注意しましょう。枝を下向きに誘引したり、夏季剪定を行って成長を抑えることで花芽を付けるようになります。冬季に、株元から直径1mほど離れたところを、ぐるりと深さ20cmほど耕すと、樹勢を抑えることができます。

果樹の新梢に付きやすい害虫

害虫
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ここでは、果樹の新梢に付きやすい害虫と対処法について解説します。

ナシヒメシンクイムシ

シンクイムシ
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ウメやモモ、リンゴに発生しやすい害虫です。孵化した幼虫は新梢先端の茎から枝の内部を食害しながら成長します。その枝は、食入部から枯れて折れ曲がり、「芯折れ」と呼ばれる被害を出します。また果実も食害し、穴をあけてしまいます。早期の対応が必要で、芯折れや被害果は発見したらすぐに取り除き、土の中深くに埋めるか、水につけるなどして殺虫しましょう。幼虫は樹皮の間や枝などの隙間で越冬するため、予防策としてそのような箇所の粗皮を削り、越冬できないようにしておきましょう。

リンゴワタムシ

ワタムシ
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体が綿状の蝋物質で覆われるアブラムシで、リンゴに付く害虫として古くから知られています。枝や幹の間で越冬した幼虫が、5月頃に新梢の基部や剪定後の切り口などに移動して樹液を吸います。加害部はこぶ状に膨らみ、養水分の流れを妨げて樹勢が衰えてしまうことがあります。予防は、徒長枝や茂りすぎた枝を剪定し、風がよく通るように整理することです。また発生が多い場合は、薬剤散布で防除しましょう。

クワコナカイガラムシ

カイガラムシ
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ブドウやリンゴ、柑橘類に発生します。発生の防除が難しい害虫です。体は白い蝋物質で覆われ、雌は4mm程度。一回り小さな雄には羽根があって飛ぶことができ、一見すると、アブラムシに似ています。集団で発生し、新梢や葉柄の基部、葉裏、果房内など、特に日の当たらない場所を好み、さまざまな場所で害を及ぼします。また余剰な糖分を含んだ排泄物がベトベトとしており、付着するとすす病を誘発する原因にもなります。すす病にかかった植物は、枝や幹、葉が黒いすすのようなもので覆われ、美観や品質が大きく損なわれるだけでなく、すすに覆われた葉は光合成が阻害されるため、生育にも影響があります。防除には薬剤散布を行いますが、体の表面に付いている蝋物質により薬剤がはじかれ、効果が低下する場合があります。

ミカンハモグリガ

ハモグリガ
Kritchai7752/Shutterstock.com

柑橘類に発生し、幼虫は葉の内部に潜り込み、食害しながら葉の中を進んでいきます。そのため葉の表面に食害痕が筋となって残り、被害は容易に判明します。被害が多発すると葉が巻かれたようになり、また食害部から雨水などが浸入するとかいよう病を誘発し、新梢の生育が著しく悪くなるため、早めの対処が必要です。早期であれば食害された葉ごと幼虫を除去し、多発している場合は指定の薬剤散布で防除しましょう。

果樹の新梢に発生する病気

さび病
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果樹の新梢や葉に発生する病気には、斑点性病害、うどんこ病、炭疽病、すす病などがあります。病気を誘発する害虫の防除や、樹冠剪定による風通しや日当たりの改善、土壌の状態を定期的に調べるなど環境面を整えることが大切です。また予防の目的や早期の発病であれば、薬剤散布が効果的です。日頃から様子を観察し、病気の正確な診断が必要です。対象の病気に対して予防効果のある薬剤を使用しましょう。被害が進んでいる箇所は切除し、入念に薬剤散布を行ってください。

適切な新梢管理で果樹の生育促進を

果樹栽培
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新梢を適切に管理することで樹木は健全に育ち、実付きや味もよくなります。樹種によって管理方法が違うため、家庭菜園などでいろいろな果樹を育てている場合、それぞれに合った剪定や病害虫の防除に努めましょう。

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