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ナメクジが発生したらどうする? 塩は有効? 庭の不快害虫ナメクジ撃退法4選!

ナメクジが発生したらどうする? 塩は有効? 庭の不快害虫ナメクジ撃退法4選!

雨が降るとにわかに存在感を発揮しだすナメクジ。種子から育てた花の幼苗が一晩で丸坊主にされたり、ギボウシの葉がボロボロに食い荒らされたり、ポストに配達された新聞や郵便物が食われて意味不明になってしまったり…。いろいろやらかしてくれるナメクジをいかに撃退するか、その生態に即した確実な方法をご提案します。

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ナメクジ被害の実態

ナメクジ被害
ナメクジにかじられたイチゴ。Azovsky/Shutterstock.com

花や葉っぱがボロボロになっていたり、イチゴに穴があいていたり、発芽したばかりの芽がなくなっていたり…。気づいたら、育てている植物がこのような状態になっていることはありませんか? 「気づいたら」なっているこれらの被害、ナメクジの仕業かもしれません。それがナメクジによる食害だと気づきにくいのは、ナメクジが夜行性だからです。ナメクジは乾燥と高温が苦手。ジメジメとした湿気のある場所が大好きで、太陽が降り注ぐ日中は鉢の下や落ち葉の下などに身を潜ませています。活動時間は主に夜。ですから、草花や野菜を食べている姿を目撃することは少なく、「気づいたら」ボロボロになっていることが多いのです。

ナメクジは優れた嗅覚を持ち、なんでも食べる雑食性

ナメクジの食害
ナメクジの食害を受けたギボウシ。Tony Baggett/Shutterstock.com

暗い時間に活動する夜行性のため、ナメクジが外界を認識する感覚は主として嗅覚です。嗅覚は、ナメクジの行動をコントロールするのに重要な役割を果たしています。ナメクジは草食性で柔らかい葉や果物を好むと思われていますが、落ち葉や虫の死骸などなんでも食べるたくましい食欲の持ち主です。虫の死骸などを食べてタンパク質を摂取しているナメクジは、成長スピードが早いといわれています。

ナメクジの卵
ナメクジの卵。Apurv Jadhav/Shutterstock.com

さて、もりもり食べ太ったナメクジは、生まれて3〜4カ月で産卵を開始し、1〜2年でその寿命を終えるまで産卵を何度も繰り返します。だから、増える…。ナメクジが卵から孵化するのは春先です。ナメクジは一年中見られますが、4〜7月、9〜10月に野菜や草花の食害が目立ってきます。

ナメクジの仕業を見抜く方法

ナメクジの跡

草花がボロボロになっているのを見つけたら、周辺に銀色の筋がないか、いろいろな角度から確認してみてください。銀色の筋があれば、それがナメクジが犯人である証拠です。ナメクジの皮膚はとても柔らかく摩擦に弱いため、ヌメヌメとした粘液を出して体を保護しています。歩行の際には粘液を出してその上を移動し、皮膚が傷つかないようにしているのです。キラキラ光る銀の筋は粘液が乾いたもので、ナメクジが出没した証拠。

ナメクジとカタツムリの違い

オカチョウジガイ
陸の貝の仲間のオカチョウジガイ。

ちなみに、ナメクジは一般に不快害虫として認識されていますが、「虫」ではありません。ナメクジは陸に生息する巻き貝(軟体動物門・腹足鋼)のうち、殻が退化しているものの総称。エスカルゴやカタツムリと同じ仲間です。長い進化の過程で殻を失い(脱ぎ捨て?)自由に運動し、狭い空間を利用できるメリットを得たのがナメクジです。殻があるかないかの違いで、カタツムリもナメクジと同じように草花を食害します。

さて、そんなナメクジの被害を最小限に食いとめるため、有効な方法を考えていきましょう。

塩は有効? ナメクジを駆除・防除する方法

乾燥に弱くジメジメした湿気のある環境を好む、夜行性、嗅覚が鋭い…こういったナメクジの生態を把握したうえで、効率的に確実に駆除しましょう。またナメクジの駆除方法としてよく「塩」が使われます。塩は確かにナメクジには効きますが、植物には塩害をもたらし枯らしてしまう可能性がありますので、ガーデンでの使用はやめましょう。

ナメクジを駆除① 捕まえる

ナメクジ

パンジーの花びらの縁がボロボロに食い荒らされ、葉っぱの陰にナメクジの姿を見たらすぐ捕まえてください。ナメクジの動きは決して素早くありません。簡単に捕まえられます。でも、素手は絶対いけません。必ずトングか箸を使ってください。ナメクジには広東住血線虫という大変危険な血線虫が寄生していることがあるからです。広東住血線虫が人間の体内に侵入し、重症になると死に至ることもあります。ナメクジに食べられた跡のある野菜は食べないほうが安全です。

ナメクジは夜行性ですから、捕まえる効率的な時間帯は、夜間。夜間ですから何か明かりが必要で、懐中電灯を片手に箸でナメクジを捕まえなくてはなりません。これはなかなか大変!! 両手が自由に使えるヘッドランプを使うのがおすすめです。

早朝でも結構たくさんナメクジを捕まえられる、とおっしゃるガーデナーさんもおられます。朝仕事に捕まえたナメクジを見て「これでうちの草花やレタスは大丈夫!」と安心し、一日が気分よく始まるそうです。

単純ですが、意外に有効な駆除方法です。

ナメクジを駆除② おびき寄せる

ナメクジは、ビールの匂いが大好き。飲み残しのビールを、捨ててもよい容器に注ぎ、ナメクジが出没しそうな場所に一晩置いておきます。酔っ払ってそのまま昇天したナメクジを容器ごと捨てればいいわけです。容器はペットボトルの上部を切り、コップ状にしたものがおすすめ。この時コップの上部内側に油を塗っておくのがコツです。ナメクジは酔っ払っても逃げるのが得意なので、逃げられないようにするためです。

発泡スチロールなどの浅い容器では、せっかく集まったナメクジに呑み逃げされる恐れがあります。

労せずして一網打尽にする方法として、一度お試しを。

ナメクジを駆除③ ラベンダーで寄せ付けない

ラベンダー
tilialucida/Shutterstock.com

雨に濡れた紫陽花の花を見ながら朝刊を取り出した時、新聞にナメクジがくっ付いているのを発見したら、朝の気分は台無しです。

こんな時に駆除するのではなく、平和的に撃退、つまり郵便受けに寄せ付けない「とっておきの方法」があります。ナメクジの鋭敏な嗅覚を利用したエレガントな方法です。

ラベンダーを染み込ませた布を郵便受けの箱の中に入れておくと、ナメクジはやってきません。木酢液でも効果があります。人間には癒やし効果があるラベンダーがナメクジは大嫌いとは不思議です。

ナメクジの近くにラベンダーオイルを1滴垂らすという実験をやってみたところ、ラベンダーの匂いを触角がとらえるや否や、ピタリと動きが止まり回れ右とばかりに逃げ出したそう!!!

お風呂場に侵入してくるナメクジにも効果があります。ラベンダーのアロマキャンドルを灯してみましょう。揺れる炎と香りを楽しみながらゆったりバスタイムを過ごせば、ストレス解消にも最適です。

ナメクジを駆除④ 農薬

農薬
Dean Clarke/Shutterstock.com

大きな庭や本格的な家庭菜園を楽しんでいる方は、被害が大きくならないうちに農薬を使用しましょう。やはり効果は抜群です。しかし、成分を確かめ最適な農薬を使ってください。犬や猫などのペットを飼っている方は、特に注意が必要です。

この被害はナメクジ? ダンゴムシ?

害虫被害

紫色の葉が美しいオキザリス・トリアングラリス。花以上に存在感を放っていましたが、暖かくなるにつれ、葉が何者かにボロボロにされてしまいました。すわナメクジの仕業かと思ったのですが、いたのは“ダンゴムシ”。

ダンゴムシは動物や虫の死骸から野菜・花まで、なんでも食べる雑食性の虫。枯れ葉が主食です。なんでも食べて分解し、土壌を豊かにしてくれる益虫として認識されています。しかし、オキザリス・トリアングラリスのように大事にしている草花を食べてしまうこともあります。

でも、突っつくとクルリと丸まって、文字通り団子のようになるダンゴムシは、なんとなく愛敬があって憎めません。ヌメヌメしているナメクジのほうが気持ちが悪いという人は多いです。ですから、愛する花を食い散らかすのはナメクジに違いない、となってしまいがちです。

損ですね…、ナメクジ。

ナメクジはひそかに愛されてる?

岩波科学ライブラリー『ナメクジの言い分』(足立則夫著)には、文学に扱われたナメクジを眺めると、人間とナメクジの関係がわかると書かれています。

よく引用される清少納言の『枕草子』。「いみじうきたなきもの ナメクジ」。千年の昔からナメクジは汚いものの代表でした。

時代が下って江戸時代の末期になると、ナメクジに対する視線が少し変化してきます。松尾芭蕉の弟子、内藤丈草は武士から出家したときの心境を「長年カタツムリのように殻を背負って生きてきたが、殻を脱ぎナメクジになり自由を得た」と述べています。

さらに現代になると、落語家の古今亭志ん生の半世記『なめくじ艦隊』、中村草田男の俳句、ロックシンガーの忌野清志郎の詩、手塚治虫の漫画、などナメクジに好意的目線を寄せた作品たちが現れてきます。『ガンバレ!!まけるな!!ナメクジくん』(偕成社、三輪一雄著)という絵本もあります。

あれ?! ナメクジって意外に親しまれ、愛されているみたいではありませんか。

庭掃除もナメクジ回避に効果的

花と野菜を育てているガーデナーにとって、やはりナメクジは困った存在。ナメクジはジメジメした草藪のような環境が大好きですから、まずは庭をきちんと掃除し、落ち葉を取り除き、雑草を引き抜きましょう。それだけでもナメクジの数は少なくなるはず。

ナメクジとの残念な出会いをできるだけ減らせるように、環境整備にも努めたいものです。

Credit

文/二方満里子(ふたかたまりこ)
早稲田大学文学部国文科卒業。CM制作会社勤務、専業主婦を経て、現在は日本語学校教師。主に東南アジアや中国からの語学研修生に日本語を教えている。趣味はガーデニング、植物観察、フィギュアスケート観戦。

写真/3and garden(記載外)

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