ペットと暮らす庭づくり Vol.1「高齢化した愛犬のための快適な庭」

愛犬には長生き以上に、常に元気でいてほしいものです
庭をペットの遊び場にしている愛犬家の方は多いものです。ガーデンエクステリアの専門店に15年勤務し、ガーデン業界のノウハウを学んだCLAFTrenovation.studioの江口礼奈さんは、愛犬パピヨンとの暮らしを通し、犬も楽しめる庭作りを得意としています。愛犬やたくさんの犬をハッピーにしたいと日々奮闘する江口さんに、ペットと暮らす庭について伺いました。
目次
ペットによりよい生活をさせたいと考える人が増加

5、6年ほど前から犬猫の飼育数が15歳未満の子どもの数を超え、ペットブームと少子化の関連性が唱えられるようになりました。
「私も因果関係は実際にあると思っています」と江口さんは話します。
「私は結婚して9年目になりますが、いまだに子どもはおりません。だからといって悲観的にはなっていません。家族の時間を、大好きな愛犬と楽しく過ごしているからです」。
江口さんの愛犬のパピヨンは14歳。人間で計算すると70歳代ですが、元気いっぱいです。
ペットフード協会の統計によれば、猫は横ばいですが、犬の飼育数は減少。犬猫合わせたペット数は減少傾向です。一方で総務省の家計調査をみると、ペット関連費はこの十数年間で約1.5倍に増加。特に女性35~59歳の単身世帯では2倍以上に増加しています。
ペットの家族化

2002年頃の小型犬ブーム以来、チワワをはじめ、あちこちでトイプードルやミニチュアダックスフントなどを見かけるようになりました。近年は、ホームセンターやショッピングモールもペット同伴可になってきています。休日になると、ベビーカーに赤ちゃん、反対側にはペットカートに乗ったわんちゃん、なんて光景も。少し前なら「カートに犬?」と違和感を覚える風景も、いまでは当たり前になりつつあります。
「ペットを子ども同様と考え、家族として一緒に暮らす現代。人間でも犬でも、家族であれば同じ愛情・幸せを感じられるという証なのではないでしょうか」と江口さんは語ります。
高齢化した愛犬のためにできる、庭のリフォーム

ブームをきっかけに家族になった愛犬たちも、どんどん高齢化してきています。30年ほど前までは犬の寿命は8~10歳くらいといわれていましたが、現在は16歳くらいまで生きる犬が珍しくありません。
「個人的には、『目指せ20歳!』と思っています。獣医学の発展や、ペットフードの改良とともに犬の寿命も延びています。できる限り長生きして一緒に過ごしたいですね」と江口さん。
江口さんが請け負った仕事で、ここ数年、ペットのための住宅・ガーデンリフォームの相談で多かったのは、以下のような案件でした。
■玄関の段差を上がれなくなったのでなんとかしてほしい
■年を取って足が悪くなったので、スロープを作ってほしい
■白内障が進んであちこちぶつかるので、安全な庭にしてほしい
高齢化したペットの日常生活を心配しての相談が多いことが分かります。
暑さ対策に厚み40mmの人工芝

そんな悩みを解消してくれるのが、足腰の負担を軽減してくれる人工芝です。最近の人工芝は非常にリアルで、遠くから見ると本物と間違うほど高クオリティな商品がたくさんあります。
なかでも江口さんのおすすめは、厚み40mmの人工芝。空気層がしっかり確保できるため、夏の暑い時期に水をかけてしばらく置いておくだけで、お庭全体がぐっと涼しくなるそう。「お腹をペタンとくっつけて涼んでいる子もたくさんいますよ」と、庭で遊ぶペットにも気に入られているようです。
スロープをつくって、段差を減らす

「さらに庭で快適に過ごしてもらうためには、犬種、個体に合わせたスロープも欠かせません」。
ダックスフントやコーギーなど足の短い犬種やヘルニアになりやすいペットには、階段は一苦労。幅は取りますが、体の負担を減らすために、できるだけ緩やかな傾斜にする必要があります。また、高齢化が進むとふらつきが出るため、体を支えられる側面壁をスロープに作っておくと良いそうです。
「ペットが暮らしやすい庭はペットの体への心配が減り、ペットだけでなく、飼い主にとってもストレスフリーです。今後も、快適なお庭ライフのお手伝いができるとうれしいです」と江口さんは力を込めます。
Information
(一社)犬と住まいる協会 九州エリアマネージャー/㈱クラフト・リノベーションスタジオ
江口礼奈
https://www.instagram.com/claft_renovation.studio/
Credit

執筆/株式会社グリーン情報
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