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ブーゲンビリアの育て方。コツとお手入れ、植え替えや寄せ植えを一挙紹介します

ブーゲンビリアの育て方。コツとお手入れ、植え替えや寄せ植えを一挙紹介します

初夏から秋までの長期間、開花するブーゲンビリア。夏の庭を華やかに彩ってくれるのが魅力です。花びらに見える、美しく着色した部分は苞(ほう)で、鮮やかな色が多く揃います。花は、その中心に咲く白色の小さな筒状のもの。ここでは、ブーゲンビリアの基本的な育て方、日々のお手入れを紹介しましょう。NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する、園芸研究家の矢澤秀成さんにお聞きしました。

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ブーゲンビリアを育てる前に知っておきたいこと

ブーゲンビリアは熱帯地域に分布する蔓性の低木です。トロピカルな雰囲気満点で、色が非常に鮮やかなので庭木としてもおすすめ。育てる際には日当たりや水やりを注意深く管理する必要があるため、中級者向けの植物といえるでしょう。

ブーゲンビリアの基本データ
学名:Bougainvillea
科名:オシロイバナ科
属名:ブーゲンビリア属
原産地:中央アメリカ、南アメリカ
和名: 筏葛(イカダカズラ)
英名:Bougainvillea
開花期:4~5月、10~11月(育て方により異なる)
花色:赤、ピンク、黄、オレンジ、白、紫、複色
発芽適温:20℃
生育適温:5℃以上

日本では、春から秋は屋外で育てることができます。冬で外気温が5℃を下回る場合は、日当たりのよい室内で温度管理をしましょう。

種類を知ると、選び方がわかります

ブーゲンビリアは、鮮やかで豊富な花色が特徴ですが、じつはこの色づいた花びらに見える部分は花を取り巻く葉で、前述したように苞(ほう)といいます。実際の花は、苞の中央にある小さな白い部分。ただし、本記事では苞を「花びら」とわかりやすく表記します。花びらは、大きさや咲き方にバリエーションがあり、非常に多くの園芸品種が流通しています。

日本では、ブラジル原産のグラブラ、スペクタビリス、ペルー・コロンビア原産のペルウィアナの3原種と、これらを掛け合わせたバッティアナタイプ、ハイブリッドタイプの5系統が流通しています。ここでは、代表的な6つの品種を紹介しましょう。

ミセスバッド
グラブラとペルウィアナの自然雑種で、鮮やかな赤の花が特徴的な品種です。地植えにも適しているので、育てやすいです。その華やかさからギフトに用いられることが多く、バッティアナタイプの元祖といわれています。

ピンクレディー
ピンクレディーは、ピンクと白の、やさしい色みがかわいらしい品種です。母の日のプレゼントとしても人気があります。

エリザベスアンガス
紫色の花を咲かせるエリザベスアンガス。ブーゲンビリアのなかでも、代表的な品種です。寒さに強く、地植えにも適しています。日本では、沖縄の家屋の庭先などでよく見かけます。

サンデリアナホワイト
市場に多く流通する、サンデリアナ系ブーゲンビリアを代表する品種のひとつです。まっ白な花を咲かせる品種で、夏の暑さに強く、沖縄では「珊瑚礁」という名で、多くの人に愛されています。

オレンジアイス
透け感のあるオレンジ色の花を咲かせます。黄金色の斑があり、華やかで美しい見た目が人気です。育てやすい品種でもあります。

ブライダルブーケ
八重咲きタイプです。グラデーションのかかった花色が特徴的な品種です。ピンクレディーとも似た淡いピンクで、中心に向かって白から緑色に変化します。結婚式でも人気のある品種です。

ブーゲンビリアを育てるときに必要な準備は?

ブーゲンビリアを育てるときは、以下のものを用意しましょう。

準備するもの
・ブーゲンビリアの苗
・鉢
・鉢底ネット
・鉢底石
・土

ブーゲンビリアを育てるときは、初心者の場合、鉢植えからのスタートがおすすめです。根が横に伸びず下に伸びていく性質をもつため、鉢はできるだけ縦長で深さのあるものを選んでください。鉢底には鉢底石(軽石)を敷いて、水はけをよくしましょう。

ブーゲンビリアは、日当たりのよい明るい場所を好みますので、鉢の置き場所についても先に考えておくのがベターです。

適した土作りが、育てるコツの第一歩

ブーゲンビリアの栽培には、排水性、通気性のある土が最適です。

市販の培養土を使う場合は、草花用を選ぶといいでしょう。培養度や地植えの土に、赤玉土を少し混ぜると、水はけがさらによくなります。

自分で単粒の土をブレンドして作る場合には、赤玉土(小粒)4:腐葉土3:軽石(小粒)2:鹿沼土(小粒)1の割合で混ぜます。土は植えつけの2週間くらい前に作り、植えつけまで寝かせます。

ブーゲンビリアの育て方にはポイントがあります

ブーゲンビリアは、市販の株を購入して育てるのが一般的です。植物栽培に慣れていない方でも失敗が少ないでしょう。

ブーゲンビリアの育て方~苗から始める~

苗の選び方

ブーゲンビリアの苗は、春から夏にかけて園芸店やホームセンターなどで販売されています。葉の色が鮮やかで、艶があるものを選んでください。葉先が黄色くなって萎れているものは、根が弱っている可能性があるので避けましょう。また病害虫(アブラムシ、すす病など)がいないかしっかりと確かめましょう。

植えつけ時期と方法

ブーゲンビリアの植えつけに最適な時期は、5~7月です。気温が20℃以上の暖かい日に行うのが理想的です。

植えつけ手順は下記のとおりです。

① 苗をプラポットから抜きます。
② 鉢の底に鉢底ネット入れ、鉢底石を入れます。
③ 培養土を入れ、苗を鉢の中心に置き植え付けます。

ブーゲンビリアは根が傷つきやすいので、扱いには注意しましょう。プラポットから抜いたあとは根の土をはらわずに、そのまま新しい鉢に植えてください。

ブーゲンビリアと仲よくなる日々のお手入れ

水やりのタイミング

春~秋にかけては、土が乾いたら都度水やりをしましょう。土が完全に乾燥したタイミングで、たっぷり水をあげてください。

冬の水やりは、土の乾き具合に応じて、週に1回程度に抑えます。この時期に水をあげすぎてしまうと、根腐れの原因となるためです。

水やりをするときは、鉢底から流れ出るくらい、たっぷり水をあげましょう。土の中に溜まった不要物を取り除き、新鮮な空気を取り入れてくれます。

一方、ブーゲンビリアには、水をあげすぎると開花しないという性質があります。乾燥と水やりのメリハリをつけることがとても重要です。土が乾いて、葉がやや萎れかかってきたら水をあげるイメージでも大丈夫です。

肥料の施し方

ブーゲンビリアは、肥料は控えめにあげることがポイントです。チッ素成分の多い肥料をあげすぎると枝葉のみが成長し、開花しない原因となるので、注意しましょう。

成長期の春から夏の間、月1~2回の頻度で肥料を与えます。肥料はP(リン酸)の割合が高いものを選びます。時間をかけてゆっくり作用する、固形の緩効性化成肥料がおすすめです。

立派に育てるための、植え替え時期と方法

ブーゲンビリアは鉢が手狭になると、根が詰まって根腐れを起こしてしまいます。2~3年にいちどくらいの割合で、成長期の5~7月にひと回り大きな鉢に植え替えを行ってください。鉢の底から根が飛び出すような場合は、できるだけ早めに植え替えるようにしましょう。

ただし、つぼみができているときや、花が咲いているときの植え替えは、苗が弱ってしまう可能性が高いので避けてください。また、気温が20℃以上の暖かい日に行うようにしましょう。

剪定を行うときは、時期に注意しましょう

ブーゲンビリアは枝がどんどんと伸び広がるので、見た目よく楽しむには、剪定が欠かせません。伸びすぎた枝先は都度切り落として問題ないですが、大規模な剪定は6~8月、開花がひと段落したタイミングで行いましょう。

ブーゲンビリアの剪定は「切り戻し」という方法で行います。言葉どおり、不要な部分を切って、元の状態に戻す剪定方法です。具体的な手順は下記のとおりです。

①枯れている枝は、根元から切り落とします。
②トゲだらけになっている枝、花や葉がまばらについている枝を、根元から切ります。
③上方向に伸びる枝の先端を切り、幹の全体に日が当たるようにバランスを整えます。

ブーゲンビリアは枝の真上に花がつく性質があるので、できるだけ横に誘引して育てていくと、全体にバランスよく花がつきます。葉が茂りすぎても開花の妨げになるので、幹ができるだけ日に当たるように調整しましょう。

知りたい! ブーゲンビリアの増やし方

種の採取の時期と方法

ブーゲンビリアは種から育てることもできますが、種自体が市場で流通しておらず、手に入れるのが容易ではありません。また、種をまいてから発芽まで1か月以上かかります。後述するように、ブーゲンビリアを増やしたいときは、挿し木を行うといいでしょう。

挿し木の時期と方法

ブーゲンビリアは、挿し木で増やすのが一般的です。剪定で切り落とした枝が使用できるので、剪定を行った後にはぜひ、挿し木にチャレンジしてみましょう。剪定を行う6~8月は新芽が出やすい季節なので、挿し木を行うのに最適なタイミングです。

手順は下記のとおりです。

①切り落としたブーゲンビリアの枝を、先端から10cm程度の長さに、切り口が斜めになるように切ります。
②先端の葉4~5枚を残して、残りの葉は全て摘み取ります。
③水をためたコップに、枝の切り口を1時間程度つけておきます。
④水からあげて、切り口に発根促進剤(ルートン、メネデール等)を塗ります。
⑤パーライトや川砂を鉢に入れ、中央に指で穴を開けます。2/3程度が埋まるくらいまで枝を挿します。
⑥直射日光が当たらない明るい場所に置き、土が乾いたらたっぷりの水をあげながら管理します。
⑦新芽が出て、根がしっかり生えたら、新しい鉢へ植え替えます。

毎日の観察が、病気や害虫を防ぐコツです

育てるときに注意したい病気

ブーゲンビリアには、特別に気をつけなければならない病気はありません。水の与えすぎによる根腐れに気をつけていれば、病気に悩まされることは少ないといえるでしょう。

育てるときに注意したい害虫

ブーゲンビリアは、害虫にも比較的強い植物ですが、絶対に虫がつかないというわけではありません。毎日観察し、異変がないかチェックするようにしましょう。

アブラムシ
緑色の小さな虫で、葉や茎につきます。栄養を吸い取り苗を弱らせたり、すす病の原因となったりします。アブラムシがついたときは、水で洗い流すか、殺虫剤で駆除しましょう。

風通しの悪い場所で発生しやすいので、屋外や通気性のよい窓際に鉢を置くようにしましょう。また反射光を嫌う性質があるので、苗の根元にアルミ箔を敷いておくのも予防策として有効です。

併せて読みたい

 ・ブーゲンビリアの正しい剪定方法。時期やコツを知れば、初心者でも簡単にできます
ブーゲンビリアの水やり方法。適切なタイミングと頻度で、根腐れを防ぎます
ブーゲンビリアを元気に育てるには、適した土作りと、植え替えが必要です
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記事協力

監修/矢澤秀成
園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長
種苗会社にて、野菜と花の研究をしたのち独立。育種家として活躍するほか、いくとぴあ食花(新潟)、秩父宮記念植物園(御殿場)、茶臼山自然植物園(長野)など多くの植物園のヘッドガーデナーや監修を行っている。全国の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う一方、「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、「花のマイスター養成制度」を立ち上げる。NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」をはじめとした園芸番組の講師としても活躍中。

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