トロピカルな雰囲気が魅力的なブーゲンビリアは、その華やかさから庭木としても人気の高い植物です。水やりの仕方が生長に大きく影響するため、注意深い水分管理が必要です。今回はブーゲンビリアの水やりの方法や注意点について、NHK『趣味の園芸』などの講師としても活躍する、園芸研究家の矢澤秀成さんにお聞きしました。水やりのタイミングや頻度に気を配り、ブーゲンビリアの花をたっぷり楽しみましょう。

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ブーゲンビリアを育てる前に知っておきたいこと

ブーゲンビリアは、ハイビスカスと並んで南国を代表する花として知られ、色が鮮やかで華やかな雰囲気があります。育てるときは、日当たりや水やりを注意深く管理する必要があるため、中級者向けの植物といえるでしょう。

ブーゲンビリアの基本データ
学名:Bougainvillea
科名:オシロイバナ科
属名:ブーゲンビリア属
原産地:中央アメリカ、南アメリカ
和名: 筏葛(イカダカズラ)
英名:Bougainvillea
開花期:4~5月、10~11月(育て方により異なる)
花色:赤、ピンク、黄、オレンジ、白、紫、複色
発芽適温:20℃
生育適温:5℃以上

ブーゲンビリアという名前は、フランス人探検家ブーガンヴィルが、1768年にブラジルで見つけたことに由来しているとされます。

ブーゲンビリアには3種類の原種があり、現在ではそれらを元に品種改良された多くの園芸品種が誕生しています。なかには、八重咲きや、葉に班が入ったものなどもあります。

通常、私たちが花だと思っている美しく着色した部分は、苞(ほう)と呼ばれる葉の一種です。実際の花は中央にある、白く小さなものです。花を取り囲むように、苞が広がっています。

苞の色は、赤や白のほかに、ピンク、黄、オレンジ、紫などさまざま。この色彩の鮮やかさが、ブーゲンビリア最大の特徴であり、人気の秘密といえます。

水やりの方法と、そのタイミング

ブーゲンビリアは、前述したように、水やりの仕方が生長に大きく影響します。ほとんどの品種が、水やりが多いほど枝葉が増え、花芽の生育が鈍る性質をもっています。まだ木が若く、枝をたくさん伸ばしたい場合には水をたっぷりと与え、反対に伸びすぎに感じる場合には、水やりを控えめにするとよいでしょう。

園芸店で買い求めた鉢植えは、水やりの頻度は少なめで、乾燥ぎみに育てて問題ありません。土をしっかりと乾燥させてから、たっぷりと水やりをしてください。乾燥と水やりを交互に繰り返すことで、開花しやすくなります。

また、開花している間は、水やりを控えめにするのがベストです。この時期の水やりが多すぎると、生長できずに残った花芽がトゲになって枝についてしまうことがあります。

気温が下がる冬はさらに水やりの頻度を控えることで、株の耐寒性をあげることができます。ただし、暖房が効いた室内では、この限りではありません。

水やりは朝のうちに

水やりの時間帯は、朝がベストです。早朝から、日が高くなるまでのあいだ、比較的涼しい時間帯のうちに、水やりを行います。鉢の土やブーゲンビリア自体の状態をよく観察して、水やりをするかどうかの判断をすることが大切です。

ブーゲンビリアは、鉢植え、地植えのどちらでも栽培できますが、年間を通して温暖な地域を除き、植木鉢やプランターで育てるのが一般的です。次の項からは、鉢植えの場合の水やりについて紹介しましょう。

鉢で育てている場合の、ブーゲンビリアの水やり

水やりの頻度

過去にブーゲンビリアの水やりに失敗して、花がつかなかったり枯らしてしまったりした、という経験をもつ人もいるのではないでしょうか。前項で紹介したとおり、ブーゲンビリアの育て方の基本は、乾燥ぎみに育てることです。水やりのタイミングは、土が完全に乾いたのを確認してから、行うようにしましょう。

水やりのコツ

水やりをするときは、「鉢底から水が流れ出てくるまで、たっぷりと与える」のがコツです。

ブーゲンビリアに限らず、植物の根は土の中で呼吸をしています。鉢底から流れ出るほどたくさんの水を与えることで、根が土中に排出した老廃物を洗い流し、新鮮な水と空気を補うことができます。

また、土の表面が湿っていても、鉢底まで水が届いていないと水切れを起こす恐れがあります。水の吸い上げが活発になる夏は、特に注意しましょう。反対に、南国の花だからと水を与えすぎると、花が咲きにくくなるだけでなく、根の呼吸を妨げ、腐って枯れてしまうことがあります。

水やりの確認方法

水やりをする最適なタイミングを逃さないためには、ブーゲンビリアの状態を常に把握しておくことが大切です。

その最適なタイミングを逃さないために、土が完全に乾いた状態の鉢の重さを覚えておきましょう。この重さを覚えておけば、鉢を持つことで、ベストタイミングかどうかがわかります。

株が大きく、鉢を持ちあげて、重さを確認するのが難しい場合は、葉の状態を見て確認する方法もあります。鉢の土が乾いてくると、それまでピンとしていた若い葉が、少しずつしおれてくるのです。葉がしおれた状態は、水やりに最適なタイミングです。ブーゲンビリアは、葉が少々しおれた程度では枯れる心配はありません。

水やりは、季節によっても多少変わります

ブーゲンビリアの水やり方法は、鉢の置き場所やその時期によって、多少の違いがあります。この項では、年間を通しての水やり方法を、季節ごとに解説していきます。

春(鉢植え)

冬越しした株が目覚めて、新芽が出てきます。秋に剪定を行っている場合には、枝葉を伸ばす必要があります。この時期に水やりが少なすぎると、生長が遅れる恐れがあるので、土の乾きを確認したら、たっぷりと水を与えましょう。ある程度、葉が茂ったら、花つきをよくするために水やりを控えめにします。

夏(鉢植え)

夏は水の吸い上げが、もっとも活発な時期です。乾燥ぎみに育てることを常に意識しましょう。日差しが強い夏は、土の表面があっという間に乾きます。表面だけを見て水やりをしてしまうと、水分過多になる可能性があります。鉢の重さや葉のしおれ具合を、忘れずに確認してください。夕方に葉水して植物の体温を下げてあげることも、夏を元気に乗り越える方法の一つです。

秋(鉢植え)

秋はブーゲンビリアの花が、いちばん見ごろになる季節です。ただし、枝葉はそれ以上育ちません。特に、最低気温が20℃を下回るようになると、水の吸い上げが徐々に落ちてきます。水やりの頻度を、少しずつ減らしていきましょう。

冬(鉢植え)

冬に入ると、ブーゲンビリアが水を吸い上げる力は、一層弱まります。他の季節に比べ、根腐れを起こしやすいので、水やりは極力控えめにします。土が乾いたのを確認したら、そこからさらに、数日おいて与えるようにしましょう。ブーゲンビリアは、冬季の冷たい水を嫌います。水やりは出来る限り暖かい室内で汲み置きした水を使いましょう。

水やりを控えることは、ブーゲンビリアの耐寒性アップにも繋がります。また、気温低下が著しい冬は、日が昇って、少し暖かくなった午前中の時間帯に水やりを行いましょう。

秋から冬にかけての水やりで、ひとつ注意点があります。水やりを控えるといっても、いちどの水やりで与える水量を減らすわけではありません。春や夏と同じ、鉢底から流れ出るまでたっぷりと与え、水やりをしない期間を長めに取るようにします。

ブーゲンビリアの水やり、注意点が知りたい

鉢植えの場合の注意点

ブーゲンビリアは比較的乾燥に強い花なので、水やりの頻度は多く必要ありません。ただし、生育期に入る春から夏は、水の吸い上げが盛んになるので、水切れには注意しましょう。

ブーゲンビリアの水やりで、もっとも気をつけたい注意点は、水の与えすぎによる根腐れです。生育期であれば、多少水やり頻度が多くても、根が腐る心配はありませんが、活動が緩慢になる時期に水やりが多すぎると、根腐れを起こしやすくなります。

株の大きさや飼育環境などによる多少の違いはありますが、ブーゲンビリアを育てる際に大切なのは、メリハリのある水管理です。そのためには、土の乾きや葉のしおれ具合などを注意深く観察することが必要不可欠です。

水切れや根腐れに気をつけて、元気で色鮮やかなブーゲンビリアを育てていきましょう。

Credit

記事協力

監修/矢澤秀成
園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長
種苗会社にて、野菜と花の研究をしたのち独立。育種家として活躍するほか、いくとぴあ食花(新潟)、秩父宮記念植物園(御殿場)、茶臼山自然植物園(長野)など多くの植物園のヘッドガーデナーや監修を行っている。全国の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う一方、「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、「花のマイスター養成制度」を立ち上げる。NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」をはじめとした園芸番組の講師としても活躍中。

文・ランサーズ

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