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ナメクジ対策の決定版|匂いの好み・嫌いな植物・自然な駆除方法まで解説

ナメクジ対策の決定版|匂いの好み・嫌いな植物・自然な駆除方法まで解説

ナメクジは匂いに反応して植物を選ぶって知っていましたか? 本記事では、ナメクジの習性から見た効率的な対策方法を、匂い・植物・グッズの観点から詳しく解説。ナメクジの防除・駆除の際に気をつけたいポイントや、ペットや子どもがいるご家庭でも使えるナチュラルな駆除法も紹介します。

ナメクジが発生しやすい条件とは?

◾️気温と湿度/ナメクジが好む気温は15〜25℃。高湿度・低光量を好み、梅雨どきや秋雨などの長雨の時期、朝晩の涼しい時間帯によく活動します。

◾️出やすい場所/雨のあとの湿った土や落ち葉の下・石の裏や鉢底など、日陰で湿った場所・水はけが悪い場所や密植された花壇

ナメクジは匂いで植物を選ぶ?その習性とは

ナメクジは植物の匂い(揮発性有機化合物:VOCs)に反応し、過去に美味しかった匂いを覚えて行動することが分かっています。一度食べて「美味しい!」と学習した植物には、次回以降、匂いだけで一直線に向かってくるというわけです。味よりも匂いがポイントです。

ナメクジとペチュニア
ナメクジに食べられボロボロになったペチュニアの花。

<ナメクジの好む匂いの傾向>

好きな匂いの植物嫌いな匂いの植物
レタス、ナズナ、ペチュニア、イチゴなどサルビア類、ラベンダー、ローズマリー、タイム、パセリ、フェンネル
やわらかい新芽や若い茎葉、傷んだ葉・花・果実、湿った有機物精油成分が多く含まれ、なおかつ葉が硬いもの
サルビア
同じ環境下でもナメクジの被害にあいにくいサルビア。

庭にナメクジを寄せつけない方法

上記の生態を踏まえた対策のポイントをご紹介します。その前に知っておきたいのは、ナメクジを庭から一掃する必要はないということ。ナメクジには落ち葉や枯れ葉、傷んだ植物を分解する「分解者」としての大事な役割があり、健全な土壌の生態系の一部です。ですから、完全に排除するのではなく「寄せつけない環境づくり」と「被害を防ぐ植物配置」を意識すると、ガーデナーにもナメクジにも平和な庭になります。

嫌いな植物を活用する(ゼラニウム、ラベンダーなど)

ゼラニウムとペチュニアの寄せ植え
匂いの強いゼラニウムとペチュニアの寄せ植え。寄せ植え/面谷ひとみさん

ナメクジに好まれやすいペチュニアなどの植物を植えるときは、ハーブ類と混植すると被害が防げます。例えば、上の写真のように匂いの強いゼラニウムと混植したり、花壇の縁にラベンダーやタイムなどを植栽しておくのも有効です。

ペチュニアの寄せ植え
鉢縁をクリーピングタイムで囲ったペチュニアの寄せ植え。面谷内科・循環器内科クリニックの庭より。

銅テープや忌避剤を使う

ナメクジは粘液を介して銅に触れると、微弱な電気的刺激(ガルバニック反応)を感じます。これは人間には無害ですが、ナメクジにとっては不快な感覚となり、物理的に「近づけないバリア」になります。銅テープや銅製の鉢底網が園芸コーナーに並んでいるので、それらを活用すると防げます。また、ナメクジ専用の忌避剤も有効です。

銅テープ
ナメクジ避けの銅テープをキッチンガーデンに張り巡らせて。Mulevich/Shutterstock.com

餌トラップで捕獲

ビールはナメクジを強く誘引することで知られています。これは前述した通り、ビールの麦芽や酵母由来の発酵した匂いをナメクジが好むからです。匂いで引き寄せられたナメクジが、容器に落ちて溺死するという捕獲方法です。

ただし、効果範囲は半径1m程度とごく狭く、捕まるのは「活動的な個体」だけで、さらに毎晩取り換える必要がある(発酵臭が弱まると誘引力が落ちる)のであまり効率的ではありません。

環境整備で防ぐ

対策解説
通気性・日当たりの確保草丈の高い植物を密植しすぎない。風通しの良いレイアウトで乾燥しやすく
朝に水やり夜間の湿度上昇を避け、ナメクジの活動時間を乾燥状態に
敷き藁やマルチの見直し有機マルチはナメクジの隠れ家になりがち。砕石などで代用可能
落ち葉や枯れ草の清掃見落としがちなプランターの下や裏も清掃する
銅テープの導入物理的に寄せ付けない防御ラインを設置

ナメクジの駆除で注意すべきこと

メタアルデヒドを含むナメクジ駆除剤は使用注意

一部のナメクジ駆除剤にはメタアルデヒドという成分が含まれています。これは犬・猫などペットや小さな子どもにとっては中毒リスクが高く、万が一食べてしまうと命に関わるため、ペット・お子さんがいるご家庭では使用を避ける or 用法を厳守。

②塩は植物の近くで使わない

ナメクジ退治にしばしば塩を使うことがありますが、植物が「塩害」で枯れてしまうリスクがあるので、ガーデンでの使用はやめましょう。

③ 駆除の“場所”に注意(食用植物の近くはNG)

レタス・イチゴ・ハーブなどの食用植物の近くで薬剤を撒くのは避けましょう。特に粒状タイプや液剤タイプは土に吸収され、植物体に影響を与える可能性があります。

④ “湿った時間帯”を狙う(乾燥時は効果が落ちる)

ナメクジは夜間・雨上がり・早朝など湿度が高い時間に活動します。乾いている時間帯に薬剤をまいても、ナメクジが出てこず無駄になることも。 雨の翌朝 or 夕方〜夜に仕掛けるのが効率的です。

⑤ 物理トラップや忌避法でも油断しない

ビールトラップや銅テープなどの防除は、完全に駆除できるわけではなく、“予防的な効果”が中心です。すでに発生している場合は別の駆除法と併用が必要です。

素手で触らない

ナメクジの体表や粘液には、以下のような人に有害な微生物や寄生虫が付着していることがあります。一部地域(沖縄・九州)で確認されている寄生虫が広東住血線虫(こうとうじゅうけつせんちゅう)。体内に取り込むと好酸球性髄膜炎を起こす可能性があり、ナメクジやカタツムリが中間宿主になっています。また、ナメクジがはい回った場所には、糞便や腐敗物からの細菌が付着していることもあるので、素手で触らずにピンセットや割り箸、園芸用手袋などを使い、触れた器具は洗うか、使い捨てにしましょう。

Q&A|ナメクジ対策に関するよくある質問

ナメクジは夜だけ活動する?

ナメクジは主に夜間や湿度の高い時間帯に活動します。特に夕方から夜、明け方の早朝に活発になり、日中は乾燥を避けて落ち葉の下や石の裏などに潜んでいます。ただし、雨の日や梅雨時は日中でも活動することがあるため、油断は禁物です。駆除や対策を行う場合は、湿っている時間帯に仕掛けるのが効果的です。

室内に入ることはある?

はい、ナメクジは住宅の中にも侵入することがあります。特に古い家や隙間のある窓枠・玄関のドア下・水回りなどから入ってくるケースがあります。室内で見かけた場合、排水口や洗濯機の裏、観葉植物の鉢が潜伏場所になっている可能性があります。対策としては、隙間を塞ぐ・出入り口に銅テープを貼る・湿気を取り除くといった方法が効果的です。

ナメクジの卵はどうする?

土の下に産みつけられたナメクジの卵。Tomasz Klejdysz/Shutterstock.com

ナメクジの卵は直径1〜2mm程度の白くて半透明のゼリー状の粒で、落ち葉の裏や鉢の底、プランターの隙間などに密かに産みつけられます。駆除の際に成体だけでなく卵も見つけて取り除かないと、数週間後に再発する原因になります。見つけた卵は袋に入れて密閉し、可燃ごみとして廃棄するのが安全です。また、用土や鉢底石の乾燥・交換を行うことで卵の定着を防ぐことができます。

まとめ|匂い・環境・植物の工夫で、ナメクジと上手に付き合う

ナメクジは庭や家庭菜園でよく見かける害虫ですが、匂いや湿度、植物の種類に敏感な性質を持つため、習性を理解すれば被害を減らすことは十分に可能です。

たとえば、

  • 匂いを嫌う植物(ゼラニウム、ラベンダーなど)を植える
  • 銅テープやビールトラップで侵入・発生を防ぐ
  • 湿度管理や卵の除去など、環境面からの対策を行う

といった方法で、化学薬剤に頼らずにナメクジを抑えることもできます。

大切な植物を守るためにも、駆除だけでなく“ナメクジの発生しづらい庭づくり”を意識することが、長期的な対策につながります。

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