地植えではない方法で植物を育てるのに欠かせない容器「植木鉢」。コンテナガーデニングや屋内の観葉植物を育てる際にも必須の鉢は、庭の景色やインテリアの雰囲気を簡単に変えることができるガーデニングアイテムです。バリエーションが豊富に揃う鉢のなかでも、使い勝手がよく、おしゃれな演出に重宝する「鉢カバー」のアイデアを、ガーデンプロデューサーの遠藤昭さんに教えていただきます。
目次
植物を植えるのは軽いプラ鉢がベスト

私は自宅の庭で大小、100以上の植物を鉢植えで育てていますが、ほとんどはプラスチック製の軽い鉢を使用しています。理由は、移動したり、鉢増ししたりするにはプラスチック製がとても便利だから。一時、テラコッタの鉢に凝った時期もありますが、やはり、大きな鉢は移動するにも植え替えするのにも大変。強風で倒れて壊れたりした経験からも、たどり着いたのが、植物はプラスチック製の軽い鉢に植えて、風で倒れない重量のある鉢カバーに入れるというスタイルです。
植物園勤務時代は、プラ鉢を隠すため、木製のボックスケースを鉢カバーとして作り、美観の保持に心がけていました。
栽培用の鉢と飾り用の鉢を使い分ける

写真上が栽培時のクリスマスローズで、多くはプラスチックのスリット鉢で育てています。開花シーズンが来たら、下写真のようにプラ鉢のまま鉢カバーの中に移動。かなりドレスアップした印象になります。

園芸店で植物を購入すると、ほぼ100%、プラスチック製の鉢に植えられていますが、生産者が育てやすくて運搬がしやすく、コスト面も考えての結果です。それをそのまま家庭に持ち帰ったら、多くの場合、鉢増しをしたり、鉢を美観のよいものに替えたりしているかと思います。

私も、玄関などに飾るときに見栄えのよい鉢に都度植え替えていた時期もありましたが、いつしか効率のよい方法として、見栄えのよい鉢を鉢カバーとして用意しておいて、栽培用のプラ鉢をそのまま鉢カバーに入れてしまうという方法に落ち着きました。
季節の植物が引き立つ鉢カバーあれこれ

我が家には、かなり昔に入手した重い白いコンクリート製の鉢がいくつかあります。この鉢の名称は、「カップ状プランター」や「トロフィーカッププランター」、「スタンドカップ」などメーカーによってさまざま。

最初は直接、草花等を植えこんでいましたが、用土もたくさん入れる必要があるうえ水はけが悪く、非実用的でした。そこである時ひらめいて、中にプラ鉢を入れ、鉢カバーとして使うようになりました。

定位置に鉢カバーを置いておき、季節ごとに見頃のプラ鉢に入れ替えれば、植え替えの手間もなく、とっても楽ちんなのです。
鉢カバーによって見栄えも変わります

瑞々しい葉が展開するホスタ‘寒河江’です。この株は、かなり前からテラコッタの鉢で育ててきましたが、鉢カバーに入れるだけで豪華な印象に。

次にワイヤープランツです。プラ鉢で立派に茂った株を高さのある鉢カバーに入れたら、葉が枝垂れて緑が引き立ち、見栄えがアップ。さらに成長した後は、大ぶりの白いコンクリートの鉢カバーに。趣が異なりますね。

鉢カバーでどれだけ印象が変化するかを見ていきましょう。素焼きの安物の鉢で育ててきたリュウゼツランを、白いコンクリートの鉢カバーに入れてみました。なかなか重厚感があります。

園芸店で入手できるもの以外にも、鉢カバーになるアイデアです。こちらは、ステンレスのワインクーラーを鉢カバーにしてみました。とてもモダンなインテリアプランツに変化したと思いませんか?

銅製のワインクーラーにコウモリランもカッコいいですね。

室内なら、ハンギングスタイルの鉢カバーでインテリアのアクセントにおすすめ。

昔、イギリス旅行に行った時に、カッコイイテラコッタの鉢を買って帰りたかったのですが、重くて諦めました。代わりに小さな鉢カバーを2つ、思い出に持ち帰りました。重宝しています。海外旅行では、植物は持ち帰れないので、このように鉢カバーは実用的な海外土産です。

すでにお気づきかと思いますが、鉢カバーは銅、鉄、ステンレス、ガラス、陶器など素材は選ばず、不要になった壺や蓋が壊れたデシケーター(乾燥保存用ガラス容器)など廃物利用もしています。
DIYで鉢カバーを作るのも方法

さて、最後にリーズナブルにDIYで、統一感がでる鉢カバーを紹介しましょう。
花はきれいなのに、白いプラポットだとは少々興ざめですね。6号ポットで、直径は18cmだったので、奥行き20cm×幅120cmの木枠を作り、仕上げに好みの色でペンキを塗ります。そして、その中にプラポットを入れるとスッキリ!

もう一つ、簡単にできる木製の鉢カバーです。
鉢のサイズに合わせて枠を作り、バーナーで表面を軽く焼いてナチョラル風に仕上げます。ペンキ代も掛からず、簡単で安上がりです。これは屋内の観葉植物にも使用できますね。

プラスチック鉢が剥き出しだと植物の魅力が半減すると感じませんか? 鉢カバーをプラスするだけで豪華に変身します。
楽しておしゃれにガーデニングを楽しもう!

ガーデニングは小さい配慮の積み重ねで、見応えのある庭になります。植物ごとに凝った鉢を揃えるのは大変な労力がかかりますが、栽培はプラ鉢で行って、飾るときは鉢カバーでお、めかしすれば、日々の作業がとっても楽になります。楽をして楽しむガーデニングに鉢カバーをお試しください。
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 遠藤 昭 - 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー -

えんどう・あきら/30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。
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