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日本のシダとは全く違う! 直射日光OK・冬も枯れない「オーストラリアの木生羊歯」の魅力

日本のシダとは全く違う! 直射日光OK・冬も枯れない「オーストラリアの木生羊歯」の魅力

「シダ植物=日陰でジメジメ」という日本の常識を覆すのが、オーストラリア原産の「木生羊歯」ディクソニア・アンタルティカです。直射日光に耐え、雪をかぶっても枯れない強靭さを持ち、成長すると葉の長さは2メートル超えに。自宅の庭を「ジュラシックガーデン」に変えてしまう規格外の魅力と、胞子から20年かけて育てた驚きのストーリーをガーデンプロデューサーの遠藤昭さんに解説していただきます。

 

オーストラリアの木生羊歯

日本で羊歯(シダ)というと、風鈴と一緒に軒下に吊り下げられた石つきのシノブや、日陰に育つメシダなどのやや暗いイメージがあるかもしれないが、これからの日本のガーデニングに僕がオススメしたいのは、オーストラリア原産の木生羊歯のディクソニア・アンタルティカ(Dicksonia Antarctica)だ。写真中央が自宅の庭で生き生きと葉を広げる木生羊歯である。

海外でダイナミックに育つ木生羊歯

最近、ようやく日本の大手園芸店でも木生羊歯のディクソニア・アンタルティカを見かけるようになった。英国王立園芸協会の機関誌『The Garden』では以前から頻繁に写真が登場しているほど、イギリスでは人気の羊歯だ。もちろん原産地のオーストラリアやニュージーランドではポピュラーな植物で、山林やユーカリ林の中をはじめ、住宅の庭や玄関脇などでも、よく見かけた。

羊歯の本場ニュージーランドでは、ラグビーチームのオールブラックスのロゴが羊歯の葉をモチーフにしていたり、クライストチャーチのボタニカルガーデンには「Fern House」という羊歯をコレクションした温室もあった。羊歯がメジャーなのである。イギリスでは、羊歯は知的階級に人気があるとか(ロンドンのスモッグ時代、都会に住むインテリ層が、弱い光で育つ植物を求めたらしい)。

近年のイングリッシュガーデンブームで、イングリッシュローズと共にカラーリーフやグラス類は日本でも取り入れられるようになったが、羊歯はなぜかあまりガーデニングには使用されていないように思える。それは、ジメジメした日陰が適しているという思い込みによるものなのだろうか。

常緑で耐寒性のある羊歯

雪をかぶったこんな姿を見たら、木生羊歯の認識が変わるのではないだろうか? もちろん羊歯は日陰でも育つので、シェードガーデンにも適しているが、木生羊歯は比較的直射日光が当たってもちゃんと育つ。日本の羊歯は多くが冬には上部が枯れて越冬するが、ディクソニアは葉も硬くて艶があり、常緑で耐寒性のある羊歯なのだ。だから、冬にこんなレースのように白く葉が浮き上がる風景も見られる。

一年中、常緑で生き生きと葉を広げる木生羊歯、Dicksonia Antarctica。我が家では1997年に胞子から育て始めて、かれこれ20年になる。5月には新緑が吹き、バラとグレヴィレア‘ロビンゴードン’の鮮やかなピンク色に対比して、背丈以上に緑葉を伸ばしている。とっても丈夫で長生きなのをお分かりいただけるだろう。

おかげで我が家の庭はジュラシックガーデンになりつつある。トカゲなんかが葉の上を歩いている様子を見かけると、ここが日本であることを忘れてしまう。葉の長さは2mを超えている。羊歯は微細な胞子で何万年も生命を受け継いだ不思議な植物である。人類が生まれる遥か以前の太古の昔から、この地球で育ち、悠久の時を経て、最適な形として残った羊歯。

微細な胞子から育てて20年

そして、このディクソニアも約20年前に微細な胞子から育ったものだ。カレー粉のような胞子の一粒が20年で変貌を遂げた。神秘に満ちている。最近でこそ、通販等でも購入できるようになったが、僕が育て始めた20年前は、きわめて入手が難しく、国内で購入しようとすると、一株20万円くらいした。それで僕は胞子をオーストラリアから輸入して育てたのだ。まさかと思ったが、発芽に成功。あれから20年が経った。夏には葉の裏に胞子をいっぱいつける。恐らく何億という数だろう。そのうちの一粒が、また成長する。約3億年も、これを繰り返してきた羊歯である。

左:胞子は、最初は、苔のように出てくる。右:発芽3年目の羊歯。
羊歯は他の植物を引き立たせる。春はバラ、初夏は紫陽花、真夏にはストレリチアなど、花の写真を撮るときの背景には最高の植物である。

胞子からゴマンと生えたが、生き残ったのは10本程度。何しろ狭い庭なので、15年位経つと、大きくなりすぎてしまい、スペースが足りない。数年前には、オーストラリア大使館へ一株嫁入りした。まさに、我が娘を嫁に出す気分だ。大使館の庭に無事、移植したその年、7月のテレビ番組、NHK「趣味の園芸」で、このオーストラリア大使館の羊歯も「庭で育てるオーストラリアの植物」として出演した。移植の時に初めて羊歯の葉の裏に胞子が実っているのを発見! ああ~、正しく成人したのだと嬉しかったことも思い出される。

今ではオーストラリア大使館で、母国を離れ日本に駐在しているスタッフたちを和ませている羊歯だが、英語の俗名もいろいろあるようだ。その一つに「Fiddlehead fern」があるが、「フィドルヘッド」とは、バイオリンの先のクルクル巻いた部分のことだ。なるほど、近いものがある。

大自然の中で研ぎ澄まされた美しさは、人間によって品種改良でつくり出された園芸植物の比ではない。自然の中には美しい造形があり、庭で過ごしていると、ふと感心させられる。木生羊歯のディクソニアはきっと近い将来、日本でもガーデニング素材として愛されること、間違いなしだ。

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