えんどう・ひろこ/東京出身。慶應義塾大学卒業後、エコール・デュ・ルーヴルで美術史を学ぶ。長年の美術展プロデュース業の後、庭園の世界に魅せられてヴェルサイユ国立高等造園学校及びパリ第一大学歴史文化財庭園修士コースを修了。美と歴史、そして自然豊かなビオ大国フランスから、ガーデン案内&ガーデニング事情をお届けします。田舎で計画中のナチュラリスティック・ガーデン便りもそのうちに。
遠藤浩子 -フランス在住/庭園文化研究家-
えんどう・ひろこ/東京出身。慶應義塾大学卒業後、エコール・デュ・ルーヴルで美術史を学ぶ。長年の美術展プロデュース業の後、庭園の世界に魅せられてヴェルサイユ国立高等造園学校及びパリ第一大学歴史文化財庭園修士コースを修了。美と歴史、そして自然豊かなビオ大国フランスから、ガーデン案内&ガーデニング事情をお届けします。田舎で計画中のナチュラリスティック・ガーデン便りもそのうちに。
遠藤浩子 -フランス在住/庭園文化研究家-の記事
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ストーリー

オリーブの収穫期を迎えた南仏プロヴァンス便り
南仏プロヴァンスのオリーブの木々 プロヴァンスの風景の象徴、オリーブの木々。 世界で栽培されているオリーブの樹種は1,000種以上あるそうですが、大きく分けると果実加工用とオイル加工用の2種類になります(両方兼ねる場合も)。太陽がいっぱいのプロヴァンス地方ですが、冬場は氷点下となることもあるので、栽培に向く樹種としては耐寒性が高いことが必須です。 収穫されたばかりのオリーブの実。 例えばプロヴァンス地方、ヴォークリューズ県で最も多く栽培されているのが、オイル加工用のアグランドー種。喉越しがピリリとするフリュイテ・ヴェール(Fruité vert)と呼ばれるオイルになります。そのほか、ピショリーヌ種、レロナック種、グロサンス種なども多く栽培されています。また、オリーブの木は自家結実性が低いので、受粉用に2種類以上の樹種を植えるのが通常です。 オーナメンタルと実用を兼ねるオリーブの木 プロヴァンス地方のオリーブの木は、オーナメンタルと実用を兼ねた植栽樹として選ばれていることが多いのが特徴です。アマチュアのオリーブ栽培家たち(専業農家ではない)がたくさんいることも、その理由の一つに挙げられると思います。シンボルツリーとして植えられるのはもちろん、広い敷地であれば、周囲の景観と調和させるために、庭がオリーブの木々を何千本と植えたオリーブ畑になっているのを目にするのも珍しくありません。 オリーブの栽培には、もちろん施肥や消毒、剪定などの定期的な手入れが必要です。しかし、例えばブドウ畑を作ってワインを醸造するのは素人にはかなり難しいことですが、比べてオリーブ栽培はだいぶハードルが低く、自家製オリーブオイルを味わうことができるのが大きな魅力にもなっています。 みんなが集まってオリーブ収穫祭り 友人知人が集まったオリーブの収穫。 そしてプロヴァンス地方のオリーブ栽培の隠れた魅力は、なんといっても収穫のとき。集約農業のオリーブ畑の収穫は、機械化されトラクターで行われていますが、アマチュア栽培家の景観重視のオリーブ畑は機械が入れないような地形になっていたり、また、個人宅ではそこまでは必要ない規模であることも多く、収穫は手作業で行います。たくさんオリーブの木があれば人手も必要ということで、家族や友人・知人が集まって、ワイワイと収穫作業を行う絶好のお祭りイベントになるのも、プロヴァンスの特徴かもしれません。 テラスの太陽の下、長いテーブルでわいわいとランチタイム。 午前中から集まって収穫を始め、ランチをしっかり楽しんだ後は、また暗くなるまで収穫作業。といっても、この時期は日暮れも早く、午後17時にはすでに暗くなるので、そのままお開きだったり、さらにディナーが用意されていることも。 オリーブの収穫はどんな風に? ラトー(熊手またはレーキ)かペーニュ(櫛の意味)と呼ばれる道具を使って収穫します。 収穫作業に活躍するのがラトーと呼ばれる小さなプラスチックの熊手です。地面にはネットを敷いて、この熊手でオリーブの枝を梳かして実を落とします。背が高い木は、梯子を使ったり、木に登ったり、それでも手の届かない場所は枝をググッと引っ張って(よくしなって滅多に折れない)たわわになった実を梳かし、地面のネットの上に落としていきます。 ネットの上に落ちたオリーブの実を集めているところ。まるで地引き網のよう。 全体にくまなく実を落としたら、次は地面のネットを引っ張って実を1カ所に集め、ケースに移していきます。手作業の収穫は人出も時間も必要ですが、機械よりはずっと木に優しいという利点もあります。 オリーブの搾油所(ムーラン) 「O comme Olive」というお洒落な名前のオリーブ搾油所。地元の人々が次々と訪れます。 さて、収穫したオリーブの実は、その日のうちか、遅くとも翌日にはムーランと呼ばれる搾油所に運びます。というのも、搾油するまでの酸化度が、オリーブオイルのクオリティーの違いの重要なポイントになるのです。収穫した実の酸化が進まないうちに、できる限り迅速に搾油工程に入るのが美味しいオリーブオイルを抽出する秘訣です。 オリーブ搾油の工程。洗浄ののち粗砕・撹拌に向かうたくさんのオリーブの実。 洗浄ののち、粗砕・撹拌されてペースト状になったオリーブの実は、加熱などの加工をせずにそのまま遠心分離機にかけ、オイルを抽出して、エクストラ・ヴァージン・オイルが出来上がります。 また、若いグリーンのうちに収穫した実のオイルは、喉越しが辛口のパンチが効いた味、黒っぽくよく熟した実は、まろやかな味のオイルになるのだそう。どちらがよいかは好みですが、オリーブオイル愛好者には、前者の角の立った味が好まれる傾向があるのだとか。 アグランドー種のグリーンの実。 オリーブ10kgから採れるオイルはおよそ5ℓ。収穫量が少ない場合、一般には搾油の際に他の畑のオリーブとのミックスになってしまうことが多いのですが、こちらは他とは混ぜずに、オリーブ50kgと小ロットからオリジナルのオリーブオイルを作ってくれるので、アマチュア栽培家たちに人気の地元のムーラン。最盛期の週末の夕方~夜には、日中収穫したオリーブを持ち込む客が列を作ることも。 夕刻、収穫したオリーブのケースを運び込む人々。最盛期には長蛇の列ができることも。 ちなみに、大きなオリーブの木からは、1本で70~80kgほどの実が収穫できることもあるそうですが、オリーブ50kgというと、通常でも10年くらいの木から平均10kgのオリーブの実を収穫したとして5本あれば到達する量で、ハードルはそれほど高くないといえます。畑とはいわないまでも、しっかりしたオリーブの木が自宅の庭に何本かあれば、オリジナルの自家製オリーブオイルを楽しむことができるなんて、なかなかに素敵です。 ピクチャレスクなオリーブの木々。 自家製オリーブオイルは、収穫場所からのアクセス圏内に搾油所がないとなかなか実現が難しいですが、オリーブの木々が南仏プロヴァンスの風景に、また人々のライフ・スタイルに深く根付いているのだなあと改めて感じるのがこの収穫の季節です。プロヴァンス料理では日常的にオリーブオイルをよく使いますが、温かいお米にも塩胡椒を振ってオリーブオイルを混ぜてメインの肉や魚への付け合わせにしたり、冷えたお米はサラダにしたりします。美味しいエクストラ・ヴァージンのオリーブオイルは、加熱せずに生で使うのもポイントです。 小さな若木はまだ実が少なく、ネットを敷くほどでもないのでカゴで収穫。ちなみに長靴は「日本野鳥の会」で販売している折りたためるタイプ。フランスの人々にも好評です。 鉢植えでも育つオリーブの木 オリーブオイルは栄養豊富なばかりでなく、抗酸化作用が高いことでも知られていますが、葉っぱにも抗酸化作用があり、花にはリラックス・癒やしの効果があるそうです。また生命力の象徴ともいわれるオリーブの木、じつは鉢植えでも十分育てることができるので、果実加工用の樹種などを選んで自宅でトライしてみるのもよいかもしれません。 プロヴァンスの白っぽい石壁の色合いが、オリーブによく似合う。 併せて読みたい Credit 写真・文/遠藤浩子 フランス在住、庭園文化研究家。東京出身。慶應義塾大学卒業後、エコール・デュ・ルーヴルで美術史を学ぶ。長年の美術展プロデュース業の後、庭園の世界に魅せられてヴェルサイユ国立高等造園学校及びパリ第一大学歴史文化財庭園修士コースを修了。美と歴史、そして自然豊かなビオ大国フランスから、ガーデン案内&ガーデニング事情をお届けします。田舎で計画中のナチュラリスティック・ガーデン便りもそのうちに。 blog|http://www.hirokoendo.cominstagram|moutonner2018
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家庭菜園

本場フランスでも再注目の家庭菜園「ポタジェ」を解説
ポタジェって何? SNHF(全仏園芸協会)のポタジェ大賞(2016年)を受賞したシャトー・コルベールのポタジェ。18世紀のポタジェをリノベーション。 「ポタジェ」や「ポタジェガーデン」という言葉、耳にしたことがあるでしょうか。ポタジェ(Potager)という呼称はフランス語のポタージュ(Potage, スープのこと)からきたもので、スープの材料となる野菜を育てる場所、つまり菜園のこと。野菜だけでなく、果樹やハーブや花なども栽培する美観を備えた庭を意味します。 「ポタジェ・ガーデン」の魅力 サン・ジャン・ド・ボールギャール城のポタジェで見られるエスパリエ仕立て。 実用的な野菜や果実を栽培するにしても、いわゆる畑とは違った、オーナメンタルなガーデンとして景色に馴染むのがポタジェのよさ。植栽の仕切りには果樹のエスパリエを仕立てたり、レイズドベッドにも野菜や花を取り混ぜてみたりと、自由な発想で庭づくりの楽しさと収穫の喜びの両方を満喫できるのが嬉しいところです。 ポタジェの歴史 秋のポタジェ・デュ・ロワ。さまざまなエスパリエ仕立ての果樹が並ぶ。 「ポタジェ」の歴史は古く、果樹や花々が美しくあふれる聖書のエデンの園もポタジェの祖先といわれます。中世の修道院ではすでに薬用や食用になる植物を育てるハーブ園があり、17~18世紀のフランスの王侯貴族の城館の庭には、必ず「ポタジェ」がありました。 ポタジェ・デュ・ロワ。グラン・カレと呼ばれる中心部は野菜栽培が中心。 もっとも名高いポタジェは、17世紀、太陽王ルイ14世の食卓のために野菜や果樹を栽培したヴェルサイユの「王の菜園(ポタジェ・デュ・ロワ)」でしょう。完璧なフレンチ・フォーマル・スタイルで構成されたこのポタジェは、果樹栽培に関心を寄せていた王自らがしばしば散策に訪れ、お気に入りの庭師と語らったという場所。当時最先端の栽培技術でさまざまな珍しい野菜や果樹を生産するばかりでなく、散策が心地よいものになるような美観を備えた場所でした。さすが美オタクのフランス人の矜持を感じさせる「ポタジェ・デュ・ロワ」ですね。 秋のポタジェ・デュ・ロワ、手前は多年草のフェンネル。 もちろん、ポタジェが営まれた城館や宮殿はヴェルサイユにとどまりません。現在もフランス各地の城館にポタジェがありますので、庭園見学の際にはぜひ覗いてみたいものです。実用と装飾を兼ねた、まさに用の美ともいえるガーデニングは、美オタク的かつケチケチ精神もたくましいフランス人の性格にしっくりきたのでしょうか。この習慣はブルジョワ階級に受け継がれ、広く一般化していきます。 フランスでも「ポタジェ」がブーム 春秋にはガーデニングショーも開かれるサン・ジャン・ド・ボールギャール城のポタジェ。 このように伝統あるフランスのポタジェですが、じつはこのところ特にフランス人たちの間で、再び「ポタジェ」人気が高まっています。きっかけは、コロナ禍による数カ月のロックダウン。自宅に引きこもらざるを得ない厳しい外出制限下で、フランス人の10人中6人、なんと人口の半数以上がガーデニングに勤しんだという調査結果があります。 パリのカトリーヌ・ラヴレ公園の一角にあるポタジェ。夏には水着で日光浴をする人も。 ロックダウンの中で、期せずして、庭で、あるいはテラスやバルコニー、キッチンの窓辺でも、とにかく植物を育てて親しむ人が増えました。そして、それは植物との触れ合いが生活にいかに潤いを与えてくれるかということに多くの人々が気付き、深く実感するきっかけになったのです。 南仏にある田舎家のポタジェの初夏。手前はコンパニオンプランツとしても優秀なナスタチウム。花はサラダに入れたりして食べられます。 じつは何を隠そう、フランスの田舎にある我が家でも、やはり2年前のロックダウン中に、パートナーが突如としてポタジェづくりを始めました。試行錯誤を重ねつつ、2期目に入ろうとしているところです。 また一方で、温暖化対策の一環としてパリなどの大都市では都市緑化が推進され、都会暮らしのパリジャン・パリジェンヌの間でも、ガーデニングへの関心が高まっています。オーガニックへのこだわりも一般化していることから、初心者ガーデナーたちにとっても、自宅でガーデニングを始めるにあたり、安心して食べられる緑を育てられれば一石二鳥。満足度も高く、子どもの教育にもよい、と「ポタジェ」ブームがどんどん広がっています。 さまざまなポタジェ 毎年春から秋にかけてガーデンショーも行われる、ショーモン・シュル・ロワール城のポタジェ。アーティチョークの花はポタジェのオーナメンタルとしても優秀。 例えば庭がなくとも、バルコニーやテラスの限られた空間でも、コンテナや植木鉢を上手に使って小さなポタジェを楽しむことができます。最近、パリの街中では、市民のためのシェア・ガーデンとしてのポタジェを方々で見かけるようになりました。シェア・ガーデンでは、隣り合う人々の間でコミュニケーションが生まれ、人の繋がりが自然と育まれていく、そうしたことも都会では貴重な収穫と捉えられています。また、ある有名百貨店の屋上には社員の福利厚生目的でつくられた、とってもお洒落なポタジェがあったりもします。ちょっと羨ましいかも。 最近オープンした、ホテル・グランドコントロール内のアラン・デュカスのレストランテラスとポタジェ。お客さんはポタジェも見学できます。 一方、ポタジェが大ブームになる以前から、ガストロノミーな高級レストランの間では、こだわりの採れたてオーガニック野菜を使った料理という最高の贅沢を追求するために、自前のポタジェを持つのが流行っていました。そんな訳で、ミシュラン星付きレストランのポタジェというのも、珍しくないほどになっています。 ポタジェはオーガニックが基本 ショーモン・シュル・ロワール城のポタジェ。 これらのポタジェに共通するのは、いわゆるオーガニックな栽培です。なるべく環境に負荷をかけない自然な方法を志向するガーデニングが当たり前になっているフランスでは、食卓に直結する食物を育てるポタジェではことさら、化学肥料や農薬を使わないナチュラル・ガーデニングが主流。自然素材のマルチングを使ったり、コンポストを利用したり、廃品パレットでアウトドア・ファニチャーを作ってみたり。ポタジェは、さまざまな創意工夫の場でもあります。 昆虫ホテル。 ところで、ポタジェで目にするアイテムの一つに、昆虫ホテルなるものがあります。受粉を媒介する昆虫たちは、ポタジェの植物にとって大切な存在。ポタジェでは、植物たちの美観と実用のみならず、その周りの昆虫やらさまざまな自然の働きにも目が向くようになってきます。ひいては生き物の多様性やエコロジーの大切さに思いを馳せるきっかけにもなる、まさに人と自然をつなぐ、日々の癒やしの場がポタジェ。収穫の後の食卓の料理に思いを馳せながら、あなたの「ポタジェ」を、さっそく始めてみませんか?
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ガーデン

シャンティイ城のガーデニングショー【フランス庭便り】
シャンティイ城のガーデニングショー 秋は暖かな季節の名残を惜しみつつも、来春の植栽などを考え始める、ガーデナーにとってある意味心躍る季節ではないでしょうか。そんな時期、フランスの園芸好きの人々が心待ちにしている年中行事の一つが、ジュルネ・デ・プラント(プランツデー/植物の日)。毎年春と秋に開催されるシャンティイ城のガーデニングショーです。 なぜお城でガーデニングショー開催? シャンティイ城といえば、ルーヴル美術館に次ぐほどレベルの高い美術コレクションや、ル・ノートル設計のフォーマル・ガーデンがあることでも有名なお城です。パリから車で1時間ほど。電車でもアクセスできるので、観光スポットとしても人気です。 そんな場所で、なぜガーデニングショー? と思われるかもしれませんね。このガーデニングショーの発端は、30年以上前に遡ります。最初はクルソン城という別のお城で、全仏植物園協会の会合が開かれた際に、その余興として植物の交換会をやろうという計画が立ち上がります。会員の中にはナーサリーを営む人もいて、最終的には植物の販売会が開催されることになりました。すると、隣国イギリスでしか売っていないと思われていた植物をフランスのナーサリーでも扱っていたなど、さまざまな嬉しいサプライズがあって大成功! これがきっかけとなって恒例開催されることになったのだそう。その後、庭好き・植物好きのクルソン城の城主夫妻が主導して32年続いたガーデニングショーは、シャンティイ城に引き継がれ、この城での開催は2021年で6年目となります。 会場そのものが魅力的 ちなみにフランスのお城は、仏文化省に文化遺産として登録されているものだけでも11,000件。登録されていないものも含めれば45,000件ほどと推測されています(その8割以上は個人所有)。膨大な面積の森と広い庭園に囲まれたフランスのお城は、じつは豪華な結婚式や企業イベントなどに最適な場所として利用されることが多くあります。このガーデニングショーの会場でも、お城の建物や庭園、森の木々を背景に、販売スタンドやショーガーデンが立ち並ぶ風景には、自然の美しさばかりではない非日常感があって、ウキウキ度も倍増です。 遠方のナーサリーの植物を一度に見られる 毎年、春秋の週末3日間に行われるこのガーデニングショーには、いつも2~3万人の来場者があるそうです。まずその魅力の一つは、普段はなかなか見て回ることができない遠方のナーサリーが一堂に集まること。フランス国内だけでなく、ベルギーやドイツなど近隣諸国からも国境を越えて出展者が集まり、全部合わせると180ほどにもなります。 また、ナーサリーの出店資格は専門家コミッティーによって厳正に審査されるので、その質の高さも折り紙付き。普段あまりお目にかかれないバラ専門、アジサイ専門、多年草専門、カエデ専門などさまざまな専門ナーサリーが集まるうえ、おしゃれかつ実用的なガーデニング道具やウェアなどのショップも並びます。 最近はパリ市内でもおしゃれなガーデニングショップが増えてきましたが、季節の植木苗などを購入するのには、一般的なチェーンのガーデニングショップやホームセンターが一番近い、ということも多いのが実情です。そうした一般的なショップでは見つかりにくい珍しい植物がその場で選べるのは、本当に魅力的。そんな訳で財布の紐もゆるゆるになりがちな、大変危険な場所でもあります。 生産者や専門家たちと直接コミュニケーション 遠方のナーサリーが集まっているガーデニングショーは、植物好きの交流の機会であることも大きな魅力です。業界人の間でのコミュニケーションもあれば、顧客側にとっても、直接生産者に質問をしたり、育て方のアドバイスを聞いたりというコミュニケーションの中で仕事への姿勢が分かり、その後彼らの通信販売をなども安心して利用することができます。また、会場では「果樹の剪定の仕方」など、さまざまなワークショップや講演、親子向けのアクティビティなどもプログラムされていますので、ずっと気になっていた植物を入手したり、新しい品種を発見したり、興味のある項目を学んだり、と飽きることなく丸一日楽しむことができます。 シャンティイ城の隠れ名物デザート「クレーム・シャンティイ」 会期中はお城の敷地内、英国式庭園部分の広い芝生のエリアがショー会場となり、出店スタンドのテントなどのほかに、軽食を販売するトラックがいたり、休憩所などが設けられていたり。青空の下でのランチやおやつも完備されています。なかでも有名なシャンティイ城の名物デザートは、元祖クレーム・シャンティイ。 クレーム・シャンティイとは、生クリームを泡立てた、つまりホイップクリームのことなのですが、この城で17世紀コンデ公に仕えた有名な料理人ヴァテールが考案したのが始まりといわれています。すでに18世紀には、シャンティイ城を訪れた海外の王族をはじめ多数のゲストが、庭園内の田舎家風の園亭で軽食の際にサーヴされるクレーム・シャンティイの美味しさに感動の言葉を残していて、その噂は国境を越えて広がっていたとか。 毎回、このガーデニングショーを訪れるたび、植物探しに熱中するあまり、その味を知らずに終わってしまいます。今回は、ぜひこの元祖クレーム・シャンティイを味わってみなければと心に決めていました。ショー会場を少し離れて、アングロ=シノワ風と呼ばれる自然風の庭園の中を歩いて行くと、マリーアントワネットの王妃の村里にあるような田舎家風の園亭が見えてきます。内部は現在レストランになっており、天気のよい日には、庭で食事やお茶を楽しめます。 期待のクレーム・シャンティイは………ボリューム満点、通常のホイップクリームよりさらにしっかりどっしりとした感じで、味が濃くて美味しかったです! 甘みをつけるにはバニラ風味の砂糖を混ぜる。ポイントは極限までホイップすること。それ以上ホイップするとクリームが分離してバターになってしまうという、その直前までホイップするのがポイントなのだそう。定番は、イチゴやフランボワーズなどの赤い果実や、シャーベット、アイスクリームなどに添えて出されるのですが、冷静になってカロリーを考えると、ちょっと恐ろしくもあり。でも、今日はたくさん歩いたから、まぁよしとしよう! と心の中でかなり言い訳をしてしまいました(笑)。 ちなみに私の今回の主な戦利品は、これからが植え時のスイセンなどの春の球根類と巨大なアガパンサス。それに大好きなワイルドチューリップの球根も見つけて大満足です。




















