いまい・ひではる/開花に合わせて全国各地を飛び回り、バラが最も美しい姿に咲くときを素直にとらえて表現。庭園撮影、クレマチス、クリスマスローズ撮影など園芸雑誌を中心に活躍。主婦の友社から毎年発売する『ガーデンローズカレンダー』も好評。
今井秀治 -バラ写真家-

いまい・ひではる/開花に合わせて全国各地を飛び回り、バラが最も美しい姿に咲くときを素直にとらえて表現。庭園撮影、クレマチス、クリスマスローズ撮影など園芸雑誌を中心に活躍。主婦の友社から毎年発売する『ガーデンローズカレンダー』も好評。
今井秀治 -バラ写真家-の記事
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みんなの庭
カメラマンが訪ねた感動の花の庭。雑木とバラが調和する庭 静岡・植野邸
SNSをきっかけにバラの専門家と出会う 今月ご紹介するのは、バラの庭の管理のスペシャリストとして活動されている鈴木昌博さんに教えていただいた、静岡県牧之原市の植野史絵さんの庭です。とっても洗練された、オシャレで素敵な庭です。 今回この庭を紹介してくださった鈴木昌博さんは、静岡県島田市在住の自称「バラのお庭のプロフェッショナル」。バラ好きの方ならご存じの‘ハートフル’という可愛いピンクのバラの作出者さんでもあります。 鈴木さんのお名前は、浜松や豊橋のSNS友達の投稿で存じ上げていましたが、初めてお会いしたのは3年前。 鈴木さんが千葉県君津市の「ドリーミングプレイス」でバラの販売会を行うと聞いて、出かけて行った時のことでした。 専門家推薦の庭へご案内いただく バラの販売会の棚には、ハイブリッドティーから、つるバラやオールドローズの名花まで、いろいろなタイプのバラが揃っているのを見て、鈴木さんはバラのことなら何でも知っているバラのスペシャリストなんだなぁと、すぐに分かりました。お客さんとのやり取りを聞いていても、説明は的確で分かりやすく、その日は夕方まで楽しくバラ談義をさせていただきました。 その鈴木さんから連絡があったのが2019年の4月半ばのこと。「牧之原で管理を任されている個人邸で、バラが素晴らしいお庭がありますから、近くを通ることがあったら寄って見てください」とメールをいただきました。鈴木さんの管理されているお庭なら、是非拝見して撮影させていただきたいと思ったので、すぐに訪問の約束をしました。 5月に入って数回、鈴木さんが庭の開花状況をメッセージで知らせてくれたので、これなら撮影のタイミングも間違いがありません。 2019年のバラ最盛期に撮影 撮影日は5月15日。植野さんの庭には、午後3時に到着。いつものように撮影には少し早い時間に着くことができました。出迎えてくださった植野史絵さんにご挨拶をして、まずはお庭を拝見することに。玄関脇のバラのトンネルを潜ると、明るい色のレンガの通路を挟んで、左右にバラと宿根草がきれいに咲いていましたから、撮影にもピッタリのタイミングでした。 咲き終わって汚れた花もなければ、通路には落ち葉一つない、きちんと手入れが行き届いていて、とても気持ちのよいお庭でした。まだ日差しは強すぎるけれど、今すぐにでも撮影を始めたいくらいの気分になりました。下見を終えて、お茶をいただきながら頭の中で撮影のイメージを整理して、午後5時過ぎからイメージ通りの撮影をスムーズにすることができました。 雑木の庭からリニューアル こちらの庭は、以前はご主人の「山の中に住んでいるような暮らしがしたい」という希望があって、雑木林が中心だったそうです。奥様がバラを15株ほど植えてはいたものの、日差しが届かず暗いために、うまく咲かなかったという時代もあったとか。 バラと草花が健やかに育つ庭を得て そんな庭を、ご主人と、一緒に仕事をしていた奥様、2人の退職を機に、7年前に雑木を庭の隅のほうに植え替え、明るくなった庭の中央にバラを植えたのです。そうして、奥様が憧れていたバラと草花が主役となる庭のグランドデザインは、浜松の女性コーディネーターさんに相談して、今のようなモダンなデザインに生まれ変わりました。 現在は、バラの管理を鈴木さんに、そして他に2名の女性が草花や宿根草を担当。樹木の担当の方もいるという、プロフェッショナルが手入れをする素敵な庭です。植野さんご夫妻は「皆さんがよく手入れをしてくれているので、せめて草取りくらいは」と草取りが日々の楽しみになったとか。「このお庭で特にお気に入りの場所はありますか?」とお聞きしてみると、「バラの季節は朝起きるのが楽しみで、サンルームから見える庭のすべてが好きです」と史絵さんは微笑みます。 オープンガーデンの時期は、ガレージでお仲間の洋服や小物の作品展も開催しながら、たくさん訪れるお客さんとこの庭を満喫されている植野さんご夫妻でした。
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みんなの庭
カメラマンが訪ねた感動の花の庭。オープンガーデンのリーダーが丹精する庭 長野・稲葉邸
稲葉さんの庭を訪ねた日のこと 今月は長野市「オープンガーデンオブ信州」会長の稲葉典子さんの庭です。僕もガーデンフォトグラファーを名乗りだしてもう随分と長いので、古いお付き合いの方も多い中、稲葉さんもそんなお一人です。撮影当日の6月5日は「ここが長野ですか?」と言うくらいによく晴れた暑い日でした。 この日は、稲葉さんにご紹介いただいた「オープンガーデンオブ信州」の事務局をなさっていた会員さんの庭を拝見した後、午前10時に稲葉さんの庭に到着しました。庭の入り口のパラソルの下で待っていてくださった稲葉さんのご案内で、早速庭の中へ。回遊式の庭には、バラのアーチのほか塀沿いには高い木もありましたが、日向はギラギラ。日陰は真っ暗に影が落ちていたため、とてもすぐに撮影できる状態ではなかったのです。しかし、よく目を凝らして見ていくと、バラも宿根草もコンディションがとてもよいのです。このまま夕方まで天気がもってくれれば、きっと夕方のきれいな光で最良の撮影ができると確信しながら、久しぶりとなる稲葉さんの庭を拝見しました。 庭づくりに気候もぴったりの信州 稲葉さんに初めてお会いしたのは、2006年に「オープンガーデンオブ信州」の総会にお邪魔した時ですから、もう13年も前のことになります。その頃は、雑誌『花ぐらし』でオープンガーデンのページを妻と2人で担当していたこともあって、その日も稲葉さんにお会いしてすぐに取材の約束を取り付け、改めて翌年の6月に、稲葉さんの庭と他に2軒の計3軒の庭の取材をさせていただきました。以前から信州にはよく通って、庭づくりに気候も適していると分かっていたので、きっとよい庭があるだろうと想像はしていました。予想が的中して、3軒とも想像以上に優れた庭だったことを覚えています。 中でも稲葉さんの庭は、当時としてはちょっと珍しい回遊式のガーデンで、アーチをくぐるたびに違うテーマの植栽がされていたことも印象に残っています。当時撮影した写真は『花ぐらし』でも好評で、その後発行された、夫婦で巡った各地のオープンガーデンをまとめた本の表紙にも稲葉さんの庭の写真を使わせていただきました。 いい光を待って庭の撮影がスタート 稲葉さんに庭をご案内いただいた後も、まだだいぶ時間があったため、近隣で知り合いだった庭にお邪魔して、お茶をご馳走になったり、園芸店のガーデンソイルにも行ったりしながら、夕方まで時間を使いました。そして、午後5時ぴったりに再び稲葉さんの庭へ。稲葉さんは山梨でハンギングバスケットの審査会で留守にしていたため、ここからは僕一人です。午後5時の光はまだ少し強かったのですが、あと30分も待てば、きれいな光が庭を包み込んでくれるのは容易に想像できます。 まずは庭の西側の既に日陰になっているエリアから撮影を開始。きれいな光を求めて庭の中を何周もして、光と影の境界辺りできれいに咲いているバラを撮ったりしていると、時間はあっという間に過ぎました。午後6時を過ぎた頃、庭全体がさーっと明るい影に入っていきます。それまで強い光を浴びてギラギラ見えていたバラたちが、きれいに見えてきたら、いよいよ魔法の時間の始まりです。赤いオールドローズの株元には、青や白の宿根草が優しい逆光に輝いています。また、その奥には紫のバラのアーチが。そうして無心で30分ほどシャッターを切って、撮影は午後7時少し前に終了しました。 毎年、いろいろな所でいろいろな素敵な庭の撮影をさせてもらっていますが、当たり前のことだけれど、庭ってつくり手さんの好みやセンスでみんな違う顔をしていますよね。「ピンクの可愛いバラと小さな青いお花が好き」な方もいれば、甘さを引き算したカッコいい宿根草使いの方もいる。稲葉さんの庭も、回遊式のしっかりしたデザインの中で、オールドローズと宿根草が実にのびのびとよい顔をして咲いていて、楽しく撮影ができた素敵な庭でした。
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ガーデン&ショップ
カメラマンが訪ねた感動の花の庭。岐阜県「ぎふワールド・ローズガーデン(旧 花フェスタ記念公園)」
何年にもわたり通い続ける「バラの聖地」 岐阜県可児市の「花フェスタ記念公園」といえば、バラの品種栽培数日本一で、僕のようなバラのカメラマンにとっては聖地ともいえるバラ園です。ここ数年は毎年伺って、大好きなオールドローズを中心に、さまざまなバラの写真を撮らせていただいています。 雑誌の取材をきっかけに念願の撮影へ 初めてこのバラ園に伺ったのは、多分20年くらい前のことだと思います。雑誌の取材でイングリッシュローズを撮りに行くのがテーマでした。当時はちょうどイングリッシュローズが流行りだした頃で、関東でも‘メアリー・ローズ’や‘グラハム・トーマス’のような初期の有名な品種は案外簡単に見ることができたのですが、もっと新しい花となると、例えば、東京・日本橋三越屋上の「チェルシーガーデン」へ行くとか、イングリッシュローズマニアの方が丹精するお庭に伺うなどしかなく、まだまだ今のように新しい花を簡単に見ることはできませんでした。 そんな時代から、このバラ園には多くのイングリッシュローズが植えられていましたから、岐阜の花フェスタに行けるというのは、バラ好きカメラマンの僕にとっては夢のような話でした。当時、雑誌などの撮影依頼というのは、「取材先近くに住むカメラマンが撮影に行く」のが当たり前の時代でしたから、行きたくても縁がなかった岐阜の花フェスタの取材は「夢が叶った!」と飛び上がるほど嬉しかったのを覚えています。 カタログで見ていたバラの本当の咲き姿に感動 現地に着いて、事務所で担当の方にご挨拶を済ませたら、すぐにバラ園の中へ。頭の中はもう、デビッド・オースチン・ロージズのカタログの写真でいっぱい。広いバラ園の中でも、真っ先にイングリッシュローズが植栽されている「世界のバラ園」に直行しました。 長い通路を抜けて、つるバラのトンネルの先に、目指した「世界のバラ園」はありました。円形の広いバラ園の右側約半分ほどがイングリッシュローズのエリアでした。‘キャンティ’など古い品種から始まって、カタログ写真だけで知っていた花が、1品種3株ずつ植えられ、大株になって、たわわに花をつけています。早速レンズを向けると、ファインダーの中で数輪の花が今を盛りと咲いていて、まさに憧れのデビッド・オースチンのカタログの世界でした。 芝生の園路に片膝をついて香りを嗅いでは、ため息。ファインダーを覗くとお手本のような花があって、幸せな時間のなか夕陽が沈むまで撮影を続けた、僕がイングリッシュローズの魅力に開眼した日でした。 広い園内で数々の品種を撮影 その後も何回かこのバラ園に伺いましたが、次に印象に残っているのが、NHK出版編集、上田善弘さん&河合伸志さん監修の『バラ大百科』のための撮影の時でした。この本の撮影は各地のバラ園に行ったのですが、特に品種数の多い「花フェスタ記念公園」の撮影は、2日ほどかけて行いました。オールドローズあり、ハイブリッドティー、フロリバンダありと、膨大なリストに記載されているバラを一つずつ探しながら、とにかく広い広いバラ園の中で、目的のバラを探し出してはシャッターを切る。隅から隅まで歩き回る過酷なもので本当に疲れましたが、この経験はとても勉強にもなった、僕にとって忘れられない撮影でした。 その後も、雑誌の企画や自分のストックフォトの撮影に度々伺い、その都度担当の方に早朝に門を開けていただいたり、夕方まで撮影させていただいたりと、お世話になっていました。 近年はオールドローズの撮影が楽しみに 4年前にはオールドローズ仲間からガーデナーの西依束さんを紹介していただいたのですが、彼はオールドローズにとても詳しくて、いろいろなことを教えてもらえるのもあり、ますますこのバラ園でのオールドローズの撮影が楽しくなりました。それからは、毎年5月20日前後は「花フェスタ記念公園」で撮影をすると決めているのです。 また、昨年2018年の秋には「バラの写真を美しく撮るための写真講座」も開催させていただきました。今年もまた5月に写真講座を担当させていただいた「花フェスタ記念公園」は、僕にとって本当にお世話になっているバラ園なのです。
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観光ガーデン
カメラマンが訪ねた感動の花の庭。千葉県「京成バラ園」
これまでの人生で一番通ったバラ園 今月、ご紹介する「京成バラ園」は、僕の自宅からは車で約30分。原種のバラからオールドローズ、フロリバンダにハイブリッドティー、イングリッシュローズまで、あらゆるバラを見ることができる、僕が一番お世話になっているホームグラウンド的なバラ園です。そう、ちょうどこの記事が公開される頃は、春バラが見頃を迎えていることでしょう。 僕が初めて京成バラ園に行ったのは、今から26年前。結婚して千葉に引っ越して最初の春のことでした。東京で一人暮らしをしている時は、特にバラに興味を持ったことはなかったのですが、千葉に住んでみると、近隣ではバラを植えている住宅が何軒もあって、春のシーズンになると一斉に咲き出すバラがとてもきれいに見えたものでした。 初めてバラ苗を購入した頃の思い出 中でも、どの家でも咲いている赤い一重の、当時の僕にはとてもバラには見えなかった‘カクテル’という名前のバラに一目惚れ。週末に家内と連れ立ってバラを買いに行ったのが京成バラ園の初訪問でした。よくたとえで「バラといえば高島屋の包装紙」なんていいますが、当時の僕はまさにその程度の知識でしたから、初めて見るバラ園の色とりどりのバラにすっかり魅了されてしまいました。 そして、その場でバラを育てよう! と決心。早速、売り場に直行して、まずは‘カクテル’、次に、ピンクでコロっとした咲き方が可愛い‘アンジェラ’、さらには、家内が気に入った‘ローゼンドルフ・シュパリスホープ’を。他にも、とてもきれいな‘アビゲイル’という名の小さめのバラと、もう名前を忘れてしまった1株。合計5株を買って帰り、マンションの1階の小さなベランダでバラ栽培を始めることになりました。 思い出のバラは今も自宅で開花 とはいうものの、バラどころか植物をまともに育てたこともない、つるバラもハイブリッドティーも分からない人間による“見よう見まねの園芸”。今振り返ると、よく枯らさなかったもんだと自分でも感心します。その時購入した‘カクテル’とフロリバンダの2株は友人に譲りましたが、‘アンジェラ’と‘ローゼンドルフ・シュパリスホープ’は、何度かのテッポウムシの攻撃にもめげず、今でも我が家で無事に咲いています。 書籍化のために数々の撮影を担当 その後、何年かしてNHK『趣味の園芸』テキストの仕事をするようになってから、京成バラ園にはよく行ったのですが、バラ園の関係者に顔と名前を覚えてもらえたのは、2006年春に出版された『バラ大百科』(河合伸志・上田善弘著/NHK出版刊)の撮影以降のことでした。あの時は、河合さんにいただいた何ページもあるリストを抱え、何日もバラ園の中を歩き回ったものです。リストのバラを探し、時には栽培用のハウスの中にも入れてもらいました。バラを見つけてはシャッターを切る大変な撮影でしたが、そのお陰で顔と名前は覚えていただけたのだと思います。 その翌年、2007年秋には鈴木満男先生の『バラを美しく咲かせる とっておきの栽培テクニック』(鈴木満男著/NHK出版刊)という本でも撮影を担当させていただきました。その本は、タイトル通り栽培を解説する内容だったので、ライターのUさんと一緒に、実際にいろいろな栽培のテクニックを見せていただきながらの撮影が基本でした。また同時に、鈴木先生から「今井さん、ちょうど○○が咲いているから」と直接電話をもらって、急いでかけつけて撮影したり、栽培用のハウスのバラまで撮影許可をいただいたりしていました。あの本の撮影の時は、まるで京成バラ園のスタッフカメラマンのように自由に出入りさせてもらいました。 今、活躍するバラ専門家との出会い テレビ放送のNHK『趣味の園芸』や他のTV番組にも近年出演されている、京成バラ園芸所属の村上敏さんに初めてお会いしたのも、もう何年前か分からないくらい昔のことになります。ある園芸の先生から京成バラ園の職員さんを紹介していただいて、販売用のパンフレットか何かの打ち合わせにバラの写真を持参した時に、その担当者の上司だったのが村上さんでした。当時、写真はまだポジフィルムで20枚ずつ透明なシートに入れてお見せしましたが、村上さんは一枚ずつ丁寧に見てくださり「ミニバラの写真がとてもよいですね〜」と褒めてくれたのを今も覚えています。最近では写真展をさせていただいたり、著名な先生方とご一緒してガイドツアーまでさせていただいたりと、村上さんには本当にお世話になっています。 最後に登場するのは、今、僕たちオールドローズファンの仲間たちから絶大な人気の入谷伸一郎さんです。初めてお会いしたのは、鈴木先生の本を撮影している時でしたが、あの時は鈴木先生の部下として、真面目な口数の少ない男性……という印象でした。が、鈴木先生が「入谷は変わったバラのことが詳しくて、なかなか面白い奴なんです」とご紹介くださったように、今では僕たちの間ではオールドローズの「神」と呼ばれています。 バラの最盛期には、早朝のバラ園のオールドローズエリアでよくお会いします。たいてい僕はガリカローズやモスローズを、そして、入谷さんは反対側にあるブルボンローズやティーローズを。お互い背を向け合って一生懸命撮影しているため、挨拶はいつも「咲きましたね〜」くらいです。特にバラの最盛期は入谷さんはとても忙しいでしょうから、僕も一通り撮影を済ませると「今日は○○に行きますので」と言って、慌ただしく帰ります。シーズンオフにお会いする機会があると、珍しいバラや入谷さんのお気に入りのバラの前で、ものすごーくマニアックなお話を聞かせてくれるのですが……。僕の好きなガリカやダマスクといった古いタイプのオールドローズは「ややこしいバラだから」と答える様子を見ると、入谷さんは、あまりお好きじゃないのかな? そこだけが残念でなりません。 余談ですが、京阪園芸の小山内健さんが「TVチャンピオン」でバラ園を走り回っていたあの日も僕は撮影に行っていましたが、よもやあの日のチャンピオンに、まさか10年後、こんなにお世話になるとは思ってもいませんでした。 今、こうしてバラを撮影するカメラマンをしていられるのも、京成バラ園とバラ園でお会いした先生方のお陰だとつくづく思います。今日、この原稿を書き終えたら「京成バラ園」のきれいなバラたちに会いに行こうと思います。
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ガーデン
カメラマンが訪ねた感動の花の庭。新潟県「国営越後丘陵公園 香りのばら園」
小山内さんの勧めをきっかけに撮影へ レンガの柱いっぱいに咲くイングリッシュローズの‘エブリン’(Evelyn)。こんなに咲いているエブリンを見るのは初めて。辺りは濃厚な香りに包まれていた。 今月ご紹介する庭は、新潟県長岡市の「国営越後丘陵公園 香りのばら園」です。今から約8年前のことと記憶していますが、NHK『趣味の園芸』編集部から、「翌年の秋バラの特集用に秋バラのストックフォトを撮っておいてください」と連絡がありました。僕は千葉県に住んでいるので、「京成バラ園」に行くのが都合がよいと思いながらも、ふと「今回はまだ行ったことのないバラ園に行ってみようか」と思い立ちました。 少し青みがかった葉と香りのよいピンクの花が美しいアルバローズ‘ケニギン・フォン・デンマーク’(Königin von Dänemark)。 そこで、当時よく仕事でご一緒させていただいていた京阪園芸の小山内健さんにオススメのバラ園を尋ねてみると、「越後丘陵公園がいいです! 品種も多いし、何より手入れが素晴らしいから」とのことでした。越後丘陵公園は、香りのバラのコンテストが有名なのは知っていましたが、それ以上のことは知りませんでした。小山内さんの勧めなら行ってみようと、教えていただいたガーデナーの石原久美子さんに連絡をしました。 絞りのバラはいっぱいあるけれど‘カマーユ’(Camaieux)は格別美しい。 電話で簡単なご挨拶をして、何日頃がよいかなど打ち合わせをさせていただいた際、石原さんは僕の名前をご存じだったようで、「今井さんに来ていただけるなんて嬉しいです」と言ってくれたのです。僕も何だか嬉しい気持ちで電話を切ったことを覚えています。 初めての地とは思えない歓迎も思い出に [2016.5/28 pm6:45] 「ばらと草花のエリア」のイングリッシュローズの園路。この年は特にイングリッシュローズの咲き具合が素晴らしく、カメラを構えてみるけどレンズは真西を向いてしまい、撮影に苦心した。結局午後7時近くなって奥の山に日が沈むまで待つことで撮れた一枚。2018年のポスターに採用された、忘れられない写真だ。 撮影当日、バラ園の入り口から連絡をすると、すぐにちょっと日焼けした石原久美子さんが笑顔で出迎えてくれました。早速、石原さんの案内で園内に入って行くと、小山内さんが言っていた通り、どのバラも凄い花数で咲いていたのです。さらには、奥の山が借景になっていて、とても気持ちのよいバラ園だなぁと思いました。 オールドローズの中でも人気の高い名花中の名花‘デュセス・ドゥ・モンテベロー’ (Duchesse de Montebello)。 バラを見ながら歩いていると、作業中のボランティアさんとすれ違う際、「今井さん! ようこそいらっしゃいました」と声をかけてくださったり、紹介していただいたマネージャーの渡邊さんも「撮影に必要なことは何でもおっしゃってください」と言ってくださって、ついさっき到着したとは思えないほど、とても居心地がよく好感を持ちました。 [2013.6/10] 「ばらと草花のエリア」。この頃から手入れが行き届いていて、きれいだった。 今回の撮影は「秋バラ」がテーマですから、モダンローズを中心に撮影しつつ、一通りの撮影を済ませた後は、個人的に気に入ったオールドローズの‘粉粧楼’(フンショウロウ)に釘付け状態で撮影を続けていました。すると、バラの作業の合間に様子を見にきてくれた石原さんが「こんなにたくさん今井さんに撮ってもらえて、あなたたちは幸せね」なんて、‘粉粧楼’に話しかけたりして。おだてられた僕は、すっかり良い気分で越後丘陵公園のファンになっていました。 あまり他のバラ園では見ることのない珍しいアルバローズ‘ブランシュ・ドゥ・ベルジーク’(Blanche de Belgique)。 撮影終了後に‘粉粧楼’を熱心に撮る僕の姿を見て思ったのか、「来年はぜひ春のオールドローズも撮りにいらしてください」と石原さんに言っていただき、「絶対に来ます!」と約束をして、その日は帰りました。 新潟のバラの最盛期、6月上旬に再び撮影の旅 [2018.6/4 am 5:00] マネージャーの渡邊さんが「明日は4時半から始めませんか?」と提案してくれたので、いつもより30分早く到着すると、バラ園は今まで見たこともない幻想的な光に包まれていた。夢中でシャッターを切った、お気に入りの一枚。 翌年は5月終盤、関東周辺の撮影が終わった頃から石原さんに連絡をして、オールドローズの開花情報を教えてもらいながら、撮影日を6月10日に決定。当日は夜中に千葉を出発して、5時過ぎにはバラ園近くの事務所まで到着しました。すると、お二人はもう準備万端。すぐにバラ園のゲートを開けてくださり、お目当てのオールドローズのエリアへと直行しました。まずは朝露に濡れた芝の上をゆっくり歩きながら、満開のオールドローズ、一つずつの顔を見ながら撮影に最適なバラを探していきます。 小山内さんが「ここのブラータが日本一」と言う通り、本当に美しいブラータ(Rosa ×centifolia bullata)。 オールドローズエリアの中ほどまで進むと、ロサ・ケンティフォリア・ブラータが見事に咲いていました。このバラは、小山内さんが「日本一のブラータ」といつも言っているバラです。僕もブラータはいろいろな場所で見ていますが、キャベツのような葉っぱであまり花付きはよくないバラで、なかなかうまく撮れないと感じてきました。そんなプラータが、自然樹形で茂り、僕の目の高さで満開に咲いていたのです。美しく咲く花がいくつもあるじゃないですか! 黒赤系のガリカローズの名花‘トスカニー・スパーブ’(Tuscany Superb)。初期のイングリッシュローズで、‘キアンチ’(Chianti)の交配親として使われたことでも有名なバラ。 「素晴らしいな」「どう撮ろうかな」と考えながら角度を変えたりしてブラータを見ていると、後ろのモスローズのコーナーでは、‘コンテス・ドゥ・ミュリネ’が咲いているし、隣にはダマスクローズの‘レダ’に‘イスパハン’、その向こうには、大好きなガリカローズの‘アラン・ブランシャール’に‘トスカニー・スパーブ’が‼️ いったい、どこから撮り出せばよいのやら…。 [2017.6/6 pm 6:30] 「ばらと草花のエリア」のジギタリスも以前のピンク系から大人っぽい色合いに変わって、さらにオシャレなエリアになっていた。 幸い、その日の朝は晴れたり、日中は曇ったり、夕方はまた晴れたりしたので、一日中ほぼオールドローズのエリアにいた気がします。この日以来、毎年6月上旬の僕のスケジュールは、越後丘陵公園の撮影日と決まりました。毎回、開花情報を石原さんに聞きながら、天気の良い日を選んで1泊2日の撮影です。初日の夕方19時までと、翌日の早朝5時からの撮影ですが、いつも僕のわがままに笑顔で応えてくれる渡邊さんと石原さんには本当に感謝しています。 くすんだ薄い紫色の花がブルーイングしてグラデーションになる姿が美しいガリカローズ‘ベル・ド・クレーシー’(Belle de Crecy)。 2014年にはオールドローズの写真展を、そして2017年には僕の写真でバラ園のポスターも作っていただきました。美しいバラと素敵な方々との心地いい関係を思うと、本当にバラのカメラマンをしていてよかったなと思います。 ‘クロッカス・ローズ’(Crocus Rose)。宿根草とイングリッシュローズのコラボレーションは、このバラ園の見所の一つ。 追伸:今回は僕の趣味の話で、オールドローズのことを中心に書きましたが、もちろん国営越後丘陵公園には、イングリッシュローズもハイブリッドティーも、フロリバンダも、どれも石原さんと公園スタッフの方々、そしてボランティアの方々の手入れによりきれいに咲いています。ぜひ、越後のバラに会いに行ってください。 併せて『花の庭巡りならここ! ロザリアンの聖地「国営越後丘陵公園 香りのばら園」』もご覧ください。
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ガーデン&ショップ
カメラマンが訪ねた感動の花の庭。栃木県那須町「コピスガーデン」
クリスマスローズも多数扱うナーセリー 今回ご紹介する庭は、栃木県那須町にあるガーデンショップ「コピスガーデン」です。この庭に初めて行ったのは2015年の2月。この時は、バラが目的ではなく、クリスマスローズの取材でのことでした。「コピスガーデン」の母体は、宿根草や球根、クリスマスローズのナーセリーとしても有名な「大森プランツ」です。クリスマスローズが大好きな僕にとっては、大森プランツといえば、堀切園の樋口規夫さんの「ウィンターシンフォニー」というくらいクリスマスローズの印象が強い会社で、この時の取材もクリスマスローズのイベントに合わせて樋口さんの撮影をするのが目的でした。 フレンチローズが咲くバラ園の一つ 取材が終わって、お世話になった当時の担当だった鈴木さんにご挨拶をした時、「5月末のバラもきれいですから、一度お越しください」とお誘いを受けました。「大森プランツ」でフランスのバラナーセリーである「ギヨー」社などのバラも扱い始めたことは知っていましたし、僕の重要な仕事である『ローズカレンダー』用に、フレンチローズを撮影できるバラ園を探していたこともあり、「5月末、コピスガーデン、ギヨーのバラ」と頭の中にインプットして帰路につきました。 撮影は5月末の15時にスタート 毎年5月末になると、新潟にある「国営越後丘陵公園」のバラの撮影が恒例になっていて、この年も29日に新潟に行き、夕方のバラ園を撮影し、一泊して翌日の早朝のバラ園の撮影を済ませて、お昼から「コピスガーデン」へと向かうことにしました。「コピスガーデン」までの道のりは、日本海側を北陸自動車道を北上して、磐越自動車道に乗り、会津を抜けて東北自動車道を少し南に走るという、総距離約260km、3時間ほどのドライブです。当日は天気も良くて快適なドライブで、15時過ぎに「コピスガーデン」に予定通りに到着。前述の鈴木さんにご挨拶をして、すぐにバラ園へ向かいました。 個性的で主張するバラの魅力をカメラに収める 高い木々に囲まれたショップの建物の間を抜けて、階段を数段下りて道なりに右に進んでいくと、目の前に突然バラの庭が現れました。そこには、さっきまで新潟の越後丘陵公園で見ていたバラとは違う、いつも見慣れているオールドローズとも全然違うバラが。それは、色の強さも形も、咲き方もそれぞれのバラ一本一本が主張し合っているように感じさせる「ギヨー」社のバラが見事に咲いていました。バラの間にはネペタやラムズイヤーの宿根草も自由に咲いていて、大げさに表現するなら「見たこともない美しい世界が広がっていた!」のです。 カメラを担いでワクワクした気分でバラの庭をぐるりと下見をしながら、何周も歩き、バラを眺めながら品種名を覚えたりもして、光が良くなった17時から撮影を開始しました。今回初めて見る「ギヨー」社のバラも多数あって、ファインダーの中のバラを見ては「個性的なバラが多いな」と改めて思ったりしながら、独特な「ギヨー」社のバラの魅力をとらえようと、その日も陽が沈むまで撮影しました。 翌年のバラの最盛期も再び訪れる 翌年の2016年の5月は撮影が立て込んでいて、「コピスガーデン」の様子も気になっていたものの、結局行くことができずにいました。しかし6月上旬のある日、当時、ガーデニング雑誌『BISES』の副編集長だった倉重さんから「今『コピスガーデン』のバラが丁度きれいと聞いたので、撮影をお願いできませんか?」と電話が入りました。『BISES』は花の撮影を始めた頃から憧れの雑誌で、花や庭の撮影のきっかけを作ってくれた媒体なので、断るなんてことはできません。 天気予報を見ると那須の天気は翌日の午前中だけ晴れで、その後はずっと雨マーク。ピークのバラ園に長雨が降ったらバラは終わってしまうし、翌日は午後から別の撮影が入っています。ということは……。暗い内に家を出て、早朝に「コピスガーデン」に到着したら2時間も撮影して帰れば可能だと判断。倉重さんには「大丈夫です!」と返事をして後は翌朝の天気を祈るだけでした。幸い、翌日の「コピスガーデン」は朝から晴天! 美しいバラの庭を前にして『BISES』に載せる写真を撮るぞッと、いつもより高揚した気分で撮影を進め、日が高くなってきた8時過ぎには撮影を終了しました。 ガーデニング雑誌と写真展で注目された一枚 この時の写真は、自分でも納得の写真で、『BISES』掲載の後、東京・六本木の「FUJIFILM SQUARE」で開催された写真展「バラ大国 日本 輝くバラたちの庭」にも大きく引き伸ばされて展示された、僕にとっても記念すべき一枚になりました。 その翌年からは、「コピスガーデン」の皆さんもガーデニング雑誌に掲載された写真を見て喜んでくれたことがきっかけとなって、何度も写真講座を企画してくれたりと、良いお付き合いをさせていただいています。美しいバラやクリスマスローズの咲く「コピスガーデン」。マイフェイバリットなお庭の一つです。
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ガーデン&ショップ
カメラマンが訪ねた感動の花の庭。北海道「大森ガーデン」
宿根草が主役のフォトジェニックな庭 北海道でご紹介する庭として第3弾となるのが、十勝・広尾町の宿根草ナーセリー「大森ガーデン」です。宿根草を1,000品種も扱っているこのナーセリーには、まさにマイブームの宿根草が主役のフォトジェニックな庭があり、ここでお見せする写真は、僕にとって宝物のようなものばかりです。 僕が大森ガーデンを訪ねたのは、今回が2度目になります。初めて訪ねたのは2011年6月の末。この時は、イラストレーターの藤川志朗さんに案内をしていただき、帯広周辺のガーデンを巡っていました。といっても、その日はあいにくの雨模様で、1軒目に訪ねた「六花の森」も、野草の見頃はすでに過ぎていて撮影できずじまいでした。 悪天候の中、初めての訪問 昼食の後、天気も悪いし、予定していたガーデンに行っても多分撮影は無理そう。どうしようか、と思っていると、藤川さんの提案で「ちょっと遠いですが、面白いナーセリーさんにでも行ってみますか」と。そうして連れて行ってもらったのが、大森ガーデンさんでした。その時は天気が回復する見込みもないし、広い庭に宿根草が咲いているのかなと思ったくらいだったので、カメラも出さずにショップに入っただけで、庭を見せていただくこともありませんでした。でも、ショップ内には、たくさんの宿根草の苗がきれいに並べられていて、こだわりが伝わってくる素敵なお店だなと思いました。 ちょうど社長さんもお店にいらして、藤川さんとは久しぶりの再会だったようで、いろいろなお話を聞かせてくれました。「十勝千年の森」のデザイナーである、ダン・ピアソン(Dan Pearson)氏も来道した時には訪ねてくるという、ご自宅のお庭まで見せていただきました。でも、当時の僕には(多分今も変わらずですが)知らない植物名があまりにも多く、話の内容も分からない点が多かったのが残念でした。 宿根草の魅力を知るきっかけ その後、何年か経った頃、BS放送でヨーロッパのガーデニング事情を伝える番組がありました。番組は2部構成のようになっていて、冒頭は、ドイツのケルンの話でした。工業化が過度に進んだケルンでは、華美な花や庭では人々は癒されることはなく、自然の緑が一番美しいとされていて、町中の公園は雑草だらけという解説で、ちょっとショッキングな内容でした。 次の特集は、オランダのガーデンデザイナーがニューヨークの廃線になった地下鉄の線路に、ナチュラルな宿根草の庭を作ってニューヨーカーの憩いの場になっているという「ハイ・ライン」が紹介されていました。今思えば、それってピート・アウドルフ(Piet Oudolf)氏の話だったのですね。ニューヨークの映像は、光も植栽もとても美しく、僕もニューヨークに行って、実際に撮影をしてみたいと思ったものでした。バラやクレマチスばかりでなく、宿根草の庭の魅力に改めて気づいた瞬間でした。 最近では千葉の佐倉市にある「草ぶえの丘バラ園」でも、きれいなグラス類の植栽エリアがあるし、個人の庭でも花壇の中にいろいろなグラス類が入っていることが多くなってきたように思います。Garden Storyにすでに掲載している長野の「GARDEN SOIL」は、ナチュラルにデザインされた、まさに“宿根草の庭”で、僕にとっては宿根草を教えてもらう「教室」のような場所。訪れるたびに学ばせてもらっています。 北海道の撮影地3カ所目となる「大森ガーデン」へ 今回ここにご紹介している写真は、2017年7月14日に撮影したものです。最近は毎年、北海道に行きますが、2017年は今までで一番遅い時期の来道。その狙いは2つ。1つは前々回ご紹介した「イコロの森」のバラ、ハイブリッド・ルゴサの撮影でした。2つ目は、前回ご紹介した「上野ファーム」のノームの庭の撮影でした。幸い天気にも恵まれて、2つの目的は無事クリアしたので、次はどこに行こうかなと考えた時に思いついたのが、宿根草の庭「大森ガーデン」でした。 藤川さんに連絡をして、僕が行くことを大森ガーデンに伝えてほしいとお願いをしたら、いざ十勝へと出発です。途中、北海道の美しい風景を存分に堪能しながらのロングドライブ。寄り道をしながら17時過ぎに大森ガーデンに到着しました。ショップに寄って, 社長夫人でガーデンデザイナーの大森敬子さんにご挨拶を済ませ、ガーデンへと向かいました。 他では見られない宿根草の海を美しく撮る ガーデンエントランスのアーチを抜けると、目の前には美しい宿根草の海! 早くも気分は最高潮です。後は撮影ポイントを探しながら、魔法の時間が訪れ、優しい光がガーデンを包み込むのを待つだけでした。やがてお店のスタッフさんたちも皆帰り、静まり返ったガーデンの中を僕一人で歩き回っていると、右を見ても左を見ても美しいシーンの連続。まだ光が強すぎるのは分かっていても、レンズを向けずにはいられません。 撮影ポイントを探しながらガーデンの中を何周かしていると、太陽が奥の林の向こうに沈みかけ、やがて辺りがオレンジがかった柔らかい光に包まれ始めました。18時30分にようやく撮影スタートです。先ほどから歩き回って決めていた撮影ポイントでファインダーを覗くと、30分前とは違った美しい宿根草の世界が広がっていました。 きれいなガーデンに美しい光が差し込んでくれば、カメラマンはただカメラを構えてシャッターを切るだけです。一人静かに興奮しながら、19時過ぎ、太陽が完全に沈むまで、幸せな時間が続きました。撮影が終わり、カメラを片付けていると、「帰り道はエゾシカに注意してください」と、藤川さんから注意喚起のメールが入っていました。 先日、1月20日は神奈川県横浜でPiet Oudolf氏のドキュメンタリー映画『FIVE SEASONS』の上映会がありました。次々と映し出される秋の黄金色に輝く素敵なガーデンをたくさん観たことが刺激となり、「今年は10月に北海道に行って、イコロの森、上野ファーム、大森ガーデンの秋の庭を絶対に撮ろう!」と、そう心に決めたのです。
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カメラマンが訪ねた感動の花の庭。北海道 上野ファーム
僕にとって特別なガーデンの一つ「上野ファーム」 2016年に撮影した「サークルボーダー」。 2019年最初にご紹介するお庭は、北海道旭川の有名なガーデン「上野ファーム」です。この庭は、いつかしっかりと撮影させていただきたいと思っていた、僕にとっても特別なガーデンです。というのは、遡ること1996〜1997年。2年連続で6月に2〜3週間かけて巡ったイギリス取材でのこと。イギリスで知り合った「B&B for Garden Lovers」のまとめ役の女性、スー・コルクフーン婦人の案内で、毎日素敵なお庭に辿り着けるという夢のような毎日を過ごしていました。 2017年に撮影した「ミラーボーダー」。 そんな中で出合ったお庭の一つが、「上野ファーム」のガーデナーである上野砂由紀さんが当時ホームステイしていた「ブラムディン・ハウス」だったのです。 2017年に撮影した「ノームの庭」の一角。 「ブラムディン・ハウス」に伺った時はあいにく、上野砂由紀さんは留守でお会いできなかったのですが、とってもきれいなミラーボーダーや、ボーダーの中に白いクレマチスのインテグリフォリアを使っているのを初めて見るなど、とても印象深かったことを思い出します。その庭で働いていた日本人女性である上野さんのことは、頭の片隅にずっと残っていました。その時の取材については、単行本『イギリス家庭のガーデニングアイデア200』(編集/ビズ出版)として1998年に出版され、僕と家内との共著で夫婦デビュー作となりました。 白樺からの木漏れ日が美しい「上野ファーム」の小道。2016年撮影。 それから何年経ったか定かではありませんが、ある日、雑誌『BISES』後半の情報ページに「イギリス帰りの女性ガーデナーが、北海道で庭づくりをする実家に戻り、本格的なイングリッシュガーデンづくりをスタートさせる」という内容の記事が出ていました。家内に見せると「きっと、あの時にお会いできなかった女性よ」と教えてくれたのです。 「ノームの庭」では、多数の宿根草がコラボレーションする新鮮な風景が僕を驚かせた。 当時は憧れの雑誌からイギリス関連の本も出版したばかりだし、あちこちのきれいなお庭の撮影にも忙しく通っていたので、イギリス帰りの上野さんのイングリッシュガーデンは、イギリス通のカメラマンと自負していた僕が撮影をさせていただきたいと真剣に思っていました。 何人かの編集者に、そのことを話していたのですが、当時は北海道の取材は各出版社ともなかなかハードルが高かったのか、どこからもお声もかかりませんでした。そのうちに上野さんご自身が写真も撮りながら、『BISES』や『園芸ガイド』で連載をスタートしていて、「上野ファーム」の撮影の機会が巡ってこないかなと願っていました。 逆光が植物を浮き立たせる、夕暮れの美しい瞬間。 その後、北海道のオープンガーデングループ「OPEN GARDEN of HOKKAIDO」も人気になり、2010年からは毎年北海道へ撮影に行きましたが、個人のお庭のレベルが高くて個人邸をメインに撮影をしていました。2016年の6月末、この日も旭川の素敵な個人邸の撮影をして終了後に、お茶をいただきながら庭談義をしていたら「昨日、静岡でバラの庭づくりをしている素敵なご夫婦がお見えになりましたよ」と言うのです。「それはもしや大須賀さんじゃないですか?」と聞くと、僕も撮影に伺ったことのある大須賀さんだというので早速電話してみることに。 2017年6月末に撮影した「ノームの庭」。 大須賀さんは電話口で、「昨日訪ねた『上野ファーム』が素晴らしかったわ! 『ノーム』の庭は絶対に見るべきよ」と強く薦めてくれました。僕もいろいろな雑誌やFacebookなどで「上野ファーム」にできた新しいエリア、「ノームの庭」にも興味があったし、大須賀さんの強い薦めもあったので、急遽、午後の撮影は「上野ファーム」と決めました。 宿根草が伸び伸びとダイナミックに育つ景色も上野ファームの魅力。 そうして、午後3時過ぎに「上野ファーム」に到着。駐車場は車がいっぱいだし、お客さんもたくさんお越しになっているようなので、「これはすぐには撮影ができないな」と思いました。取りあえず入場券を買って中に入ってみると、思った通り、庭もたくさんのお客さんで賑わっていました。まずは上野さんに挨拶をしようと、庭を歩いていると目の前でリヤカーに荷物をいっぱい積んで通り過ぎる砂由紀さんの姿がありました。後を追ってご挨拶をし、閉園後も撮影をさせていただけないかとお願いをすると、「スタッフが残っているので、どうぞ」と了解を得て、まずは一安心。天気もよくて、夕方はきれいになりそうなので、ゆっくり撮影ポイントを探しながら、陰って光の状態がよくなったら本格的に撮影を開始することにしました。 宿根草とバラが美しいカラーコーディネートを見せる「サークルボーダー」。2016年撮影。 「ノームの庭」は太陽の光を遮るものがなく、夕方になってもまだ強い光が差しているので、まずは「マザーズガーデン」、「サークルボーダー」のエリアから撮影を開始。雑誌などで見て知っているつもりでいましたが、実際にガーデンに立ってみると、一つひとつの植物が伸び伸びと大きく育っていて、花色も鮮やか。やっぱり素晴らしいなぁと感心しながら、シャッターを切っているうちに、あっという間に時間が過ぎていきました。 2016年にグランドオープンした「ノームの庭」。とんがり屋根の建物が目印。2017年撮影。 17時近くなると、ガーデンを囲む白樺の林を抜けてきた優しい光が、細い小径を挟んだボーダーを照らして輝き出し、撮影は最高潮。太陽の位置を見ながら、サイド光や半逆光になるようにポイントを決めて、撮影は順調に進みました。太陽が沈みかけてきた頃に、いよいよノームの庭の撮影に移りました。 圧倒的な花数で迫力の庭風景がつくられていた。2017年撮影。 ノームの庭に行くと、もう何十年もイングリッシュガーデンを撮ってきて、分かっていたつもりでいた僕に、一瞬どう向き合ったら上手く撮れるのか分からないというとまどいが起こりました。それまで、僕が好んで撮っていたのはイングリッシュガーデンのほんの一部で、例えば、レンガの塀にピンクのつるバラが咲いていて、手前にはデルフィニウムやジギタリスのような宿根草のボーダー花壇みたいなものでしたが、「ノームの庭」では、半逆光に輝く植物は、名前すら分からないのに、とても魅力的です。こんなに試行錯誤しながら撮影したのは本当に久しぶりでした。結局、日が沈みかけて撮影ができなくなるまで何周も何周も「ノームの庭」を歩き回りながら、最後は上手く撮れた実感もあり、とても幸せな撮影でした。 2017年に日没直前まで撮影した「ノームの庭」の小道。 2017年の7月中旬。2016年より半月ほど遅く伺ってみると、「マザーズガーデン」も「サークルボーダー」も、さらには「ノームの庭」も咲いている花の量が増えたのか、花の色数が増えて、ボリュームも雰囲気も全然違っていました。 庭づくりを助ける守り神、ノーム(小人の姿をした妖精)が「上野ファーム」の植物の中でくつろいでいた! 宿根草が主体の上野ファームのようなお庭は、訪れる時期が少しでもずれると、まったく違う表情を見せてくれることを改めて知りました。次回は8月、その次は9月の秋の庭の撮影に伺いたい。マイフェイバリットのお庭が、また一つ増えてしまいました。 併せて読みたい
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カメラマンが訪ねた感動の花の庭。北海道 イコロの森
青空を願った早朝の撮影 2017年7月15日、午前4時30分。前日、前々日と2日続けて早朝のイコロの森は真っ白な霧に包まれて、ローズガーデンの撮影ができずにいました。今日こそ晴れてくれないか、と願いながらカーテンをあけて窓の外を見ると、森はまだぼんやりとした光の中。霧は出ていないようです。 「晴れたかな?」と思いながら急いで着替えをすませ、機材を持ってガーデンへと走りました。今回は早朝のローズガーデン撮影にそなえて入園許可をもらい、イコロの森のセミナーハウスに宿泊していたため、走ってたった1分でガーデンに到着。 まだ薄暗い森を抜けてガーデンの入り口に着くと、いつものようによく手入れがされた緑の芝生と、少し明るくなってきた青空が出迎えてくれました。「晴れた!」ウキウキとした足取りで入り口のロープをまたぎ、高い針葉樹の塀をくぐり抜けてローズガーデンに入ると、そこはまさに満開。撮影にはベストタイミングでした。 美しい庭を一人占めした時間 まだ少し冷たい空気を感じながら、静まり返ったローズガーデンを、一人ゆっくりと撮影ポイントへ向かいます。途中園路を歩いていると、両側のすべてのバラが「ようこそ」と語りかけてくれている気がしてきて、最高の気分で撮影を始めました。時間とともに東側の木々の間から差し込んでくる朝陽を浴びてローズガーデンはどんどん彩りを増していきます。僕もハイテンションでシャッターを切り続けました。ふだん見慣れているバラたちと比べると、イコロの森のバラに派手さはなく、仕立て方もナチュラル。どの花も本当に可愛く咲いていて、大満足の撮影でした。 初めての北海道の庭撮影 僕が最初にバラや庭の撮影で北海道に来たのは、2010年の8月。『趣味の園芸』の取材でした。その時にガイド&コーディネイターをしてくれたのが、現在はイラストレーターとして有名な藤川志朗さんです。この年は2泊2日の短い取材でしたが、バラと宿根草のきれいな庭を何軒も紹介していただいて、僕はすっかり北海道の魅力に取り付かれてしまい、翌年の取材のガイド&コーディネイトも藤川さんにお願いして帰りました。 翌年は個人の庭数軒と岩見沢のバラ園でオールドローズが撮りたいと思い、藤川さんに連絡して7月のはじめに北海道に向かいました。まずは岩見沢のバラの素敵な個人邸の撮影を済ませ、夕方には岩見沢バラ園で心ゆくまでオールドローズを堪能。すると「明日も素敵なガーデンに行きましょう。多分今井さんお好きだと思います」と、藤川さんが勧めてくれたのが、このイコロの森でした。 イコロの森に初めて行った日 翌日は北海道の雄大な風景を見ながらドライブをしてイコロの森へ向かいました。広いバイパス道路から森の中の細い道に曲がると、そこは突然、別世界へと変わりました。今まで走ったことのない、まるでコマーシャルにでも出てきそうなほど美しい森の中の一本道を走ること10分。センスのよいイコロの森の看板が見えてきました。駐車場に車を止めてガーデンの入り口に向かう小径から、もうすでによい雰囲気を醸し出しています。 入り口でガーデナーの北村さん、高林さんに挨拶をして中へ入ると、正面には緑の芝が美しいレストランガーデン。右手にはコニファーガーデン、針葉樹の塀の中は、整形式のローズガーデンと宿根草のガーデン。宿根草のガーデンを抜けると、信じられないほど美しい芝と宿根草のボーダーガーデン。そのすべてが森の静寂の中にあり、「ここは本当に日本なのかな?」と疑いたくなるほど、センスのよいガーデンで、僕は完全に一目惚れ。藤川さんの予想は正に的中でした。 やっと叶ったバラの最盛期の撮影 2011年以降も、ほぼ毎年のように雑誌の取材などで北海道には来ていますが、千歳空港に近いということもあって、イコロの森には必ずといっていいほど毎回寄らせてもらっていました。しかし、なかなかバラが最盛期のタイミングに合いません。 イコロの森の代表である工藤敏博さんは、北海道の気候に合った耐寒性と耐病性のあるバラを収集していて、ローズガーデンにはハイブリッド・ルゴサをはじめとした、僕たちにはあまり馴染みがないバラが多種植えられていると聞いていました。これは一度しっかり見せていただきたいと思っていたのですが、岩見沢地域に比べると、開花は半月くらい遅いため、なかなかベストタイミングとはいきませんでした。 どうにかしてイコロの森のバラを撮りたいと思っていた時、偶然知り合いの編集者さんが僕のイコロの森の写真が見たいと言ってくれたのを機に、2017年はイコロの森のバラの開花時期にスケジュールを合わせることに。ガーデナーの高林さんにバラの開花状況を随時聞きながら、7月半ばにやっと念願が叶ってローズガーデンの撮影ができました。 こうしてベストな条件とタイミングでローズガーデンが撮れたので、次回は紅葉のイコロの森ですね。木々やグラス類の紅葉の写真を狙ってみたいですが、バラ以上にタイミングが難しそうです。来年、10月半ばから後半に、寒そうだけれどチャレンジしてみたいと思っています。
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カメラマンが訪ねた感動の花の庭。スタイリッシュな園芸店 長野・GARDEN SOIL
庭好き、花好きのオススメで向かったガーデンソイル 僕が初めてガーデンソイルさんにお邪魔したのは、2006年の春のことだったと記憶しています。その頃、僕と妻は雑誌のオープンガーデンを担当していたこともあって、あちこちのオープンガーデンを行っている方々と連絡を取っていました。この時も、「オープンガーデン信州」の清水恵子さん(飯綱高原の「ペンション フィールド・ノート」のオーナーで、日本のオープンガーデンの草分け的存在の方。いつもいろいろなことを教わりました)から「オープンガーデン信州の総会があるので、いらっしゃいませんか?」とお誘いを受け、雑誌の取材を兼ねてお邪魔しました。その時のオープンガーデン信州の事務局をしていたのが、ガーデン・ソイルの田口勇さんと片岡邦子さんでした。清水さんからも、「ガーデンソイルは素敵なお店だから行ってみてください」と言われていたので、総会の後にうかがいますと、お二人と約束しました。そして総会終了後、僕たちは清水さんや会長の稲葉典子さんにご挨拶をすませて、須坂市にあるガーデンソイルへ向かいました。 看板からも伝わってきたセンスのよさ 若い頃、志賀高原でスキー三昧の日々を送っていたことから、長野の道は得意で、須坂市にはすぐに到着。教わった住所をカーナビに入力して出発しました。町から離れて川を渡ると、辺りは一面の梨畑に。「こんな所にガーデンショップがあるのだろうか」と思いながら、ナビ通りに細い道を左に曲がると、道の脇にある小さな納屋に、「Garden Soil」と表示された明るいブルーグレイの看板を発見。センスのよい看板を見ただけで、これから伺う場所は僕が想像しているようなお店とは全然違うのだろうと、すぐに思いました。 イングリッシュガーデンとは違う庭の魅力に出合う 看板を過ぎると、お店はすぐに見つかりました。駐車場に車を止めると、目の前にはさっき見かけた看板と同じブルーグレイに塗られた木造の建物があり、その周辺には苗売り場や宿根草の植栽スペース、奥は広い庭になっていました。高木に囲まれた庭の中には、いくつものオリジナルデザインのパーゴラやガーデンシェッドが点在していて、それらを取り囲むように、草花がナチュラルに植栽されています。 当時の僕は、イングリッシュガーデンこそが美しい庭だと信じていて、イギリスを思わせるレンガの壁に、つるバラやクレマチスが絡んでいたり、ガーデンコテージの前ではシンメトリーにデザインされた花壇の中にジギタリスやデルフィニウムが咲いているようなシーンばかりを追いかけていました。そんな僕にとって「見たこともない」「イングリッシュガーデンじゃない」、でも「魅力が溢れている!」というのが、ガーデンソイルの第一印象でした。 センスのよさは、お店の中や植物選びにも 撮影の許可をもらって庭に立ってみると、どの方向にレンズを向けても絵になってしまうし、見たことがない植物だけれど、ファインダーの中ではフォルムが本当に美しく見える。でも、撮影はとても難しい……。すべてが僕にとって初めての撮影体験をさせてくれた庭。この庭をつくったお二人って、どんな方たちなんだろうと、つくづく思いました。 撮影を終えて建物に戻ると「コーヒーでもどうぞ」と声を掛けていただき、建物の奥に入りました。そこには、大きいテーブルにゆったりとした椅子、壁一面に洋書がびっしりと並ぶ本棚があり、まるでどこかのデザイン事務所の打ち合わせスペースのような空間。ガーデンソイルをつくった人はどんな人物なのだろうとますます思いを募らせながら、コーヒーを飲みました。 お話を伺ってみると、田口さんと片岡さんは、以前は東京・原宿の事務所でインテリア設計の仕事をしていたとのこと。看板がカッコいいのも、お店のインテリアが素敵なのも、庭にフォルムの美しい植物が選ばれていることも、すべてに合点がいきました。この日以来、ガーデンソイルは長野を訪れる際、時間が許す限り必ず立ち寄るマイフェイバリットのお店になりました。 ガーデンソイルの新たな魅力を発見 当時は、どのガーデニング関連の雑誌にも庭紹介のページがあって、盛んに撮影をしていましたから、僕もいつもよい庭を探すアンテナを張って、ガーデンソイルでも情報収集をしていました。この連載でご紹介した山中湖の塚原さんの庭も、田口さんが教えてくれた場所です。 昨年2017年6月のこと。長野でちょっとした撮影の後、天気もよいのでガーデンソイルで夕方の撮影をさせもらおうかなと思い伺ったら、撮影後のコーヒータイムに「この本見た?」と田口さんが手にしていたのはPiet Oudolf氏の美しい写真集でした。以前からガーデニング誌『BISES』の秋号などで見かけて、紅葉した庭がきれいなのは知っていましたが、このPiet Oudolf氏の写真は格別に美しく、思わずため息をつくと、「うちも11月の紅葉はきれいよ」と片岡さんが教えてくれました。そうと聞けば、俄然ガーデンソイルの紅葉の撮影をしたくなって「11月に必ず伺います!」と約束をし、その日は帰りました。 期待を裏切らない秋の美しい風景 夏も終わり秋風が吹き始めると、ガーデンソイルの紅葉の進み具合が気になりだしました。幸い、ガーデンソイルのガーデナーである粟野原さんがフェイスブックに庭の状況の写真をアップしてくれるので、その様子から撮影日の目安をつけつつ、天気予報をチェック。一日晴れの予報だった2017年11月3日に撮影に向かいました。午後3時に駐車場に着くと、周りの落葉樹は黄色く色づき、斜めに傾きかけた夕陽に、枯れた草花は茶色く輝き出していました。お二人にさっと挨拶をして、カメラを抱えて庭の奥まで行って振り向くと、逆光に透けて木々の葉は赤や黄色に。 グラス類は白く輝いて最高にきれいでした。真っ赤に紅葉したミナズキのボーダーにレンズを向けると、奥のカエデは黄色く輝いていました。こんなに素晴らしい光景があることを教えてくれたお二人に感謝しながら、いつものように日が沈むまでガーデンソイルの紅葉を一人で満喫した、とても幸せな一日でした。 Information 「ガーデンソイル」 所在地:長野県須坂市野辺581-1 ☎026-215-2080 http://soilgarden.exblog.jp アクセス:上信越自動車道「須坂長野東I.C.」より車で5分。 Open:10:00〜18:00(4〜7月、9月、10月は無休。その他の月は月曜定休)