スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
3and gardenの記事
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樹木

ミニバラを育ててみよう!栽培スタートは一年中OK
ミニバラの魅力 樹形や花の形、大きさなど多種多様なバラの中でも、小型の株で小さな花が咲くグループを「ミニバラ(ミニチュア・ローズ)」と呼びます。正確にミニバラとは、中国の園芸品種「ミニマ」の小型の性質を引き継いでいる品種を指しますが、一般的には小さく育って、小〜中輪の花を咲かせるバラがミニバラとして販売されています。近年は、母の日のギフト用やインテリア飾りとしても見かけるようになりました。 ブッシュローズ(木立性)やシュラブローズ(半つる性)などの四季咲き性のバラは、品種によって約40〜60日の周期で一番花、二番花、三番花と繰り返し咲きます。ミニバラの場合、多くは四季咲き性で、開花の周期は30〜40日。花がらを摘んでから短期間で次の花が咲くのも魅力です。 ミニバラの品種バリエーションを紹介 ‘スイート・チャリオット’ 花径:約3cm 小輪ながら多くの花びらでポンポンのようになる濃いパープルローズの花。しなやかな細い枝が伸び、株が充実すると枝垂れて房咲きになる。花には芳香がある。 ‘八女津姫(ヤメツヒメ)’(別名:‘レンゲ・ローズ’) 花径:約2cm 日本作出のレンゲソウに似た素朴な半八重花。細い枝と小ぶりな葉が茂り、花つきがよく、花もちもよい。近縁に、白花の‘白れんげ’やつる性の‘つる八女津姫’もある。 ‘ミス・ピーチ姫’ 花径:約2〜3cm 花びらの先端が一部尖った、バラらしい花形で華麗。優しいパウダーピンクの花は、もちがよく、長く楽しめる。 ‘テディベア’ 花径:約4cm 花びらの先端が反り返り、ふっくらした花は茶色がかったアンティークカラー。花もちがよいが次第に退色する。 ‘モカフェローズ’ 花径:3〜4cm 落ち着いたアンティークカラーのオレンジ系の花は他のミニバラと比べて少し大きめ。しっかりした葉が茂る。 ミニバラを購入して最初の1週間の育て方 花が咲いた状態の小さな鉢植えを手に入れたら、まず数日はテーブルや窓辺に飾って楽しむこともできますが、植物は日光に当てないと弱ってしまうので、購入してから3〜4日したらベランダの軒下など屋外へ移動し、少しずつ外の気候に慣らしていきます。特に真夏の日差しが強い時期は、室内から急に炎天下に置くとダメージを受けるので注意しましょう。 ミニバラを植え替える手順 栽培スペースが限られているベランダでも、ミニバラのブッシュ(木立性、低木)タイプなら数種類を鉢に寄せ植えて育てることができます。購入後1週間もすると株の成長が進んで、鉢の中の根も伸び始めるため、水切れも早くなります。特に、株の下方の葉が黄色くなっていたら、水切れをしたサイン。一回り大きな鉢に植え替えて、株を育てましょう。 1.土を用意して鉢や器に少し入れる 有機質の肥料を混ぜた用土を用意します。あらかじめ肥料や堆肥がブレンドされたバラ専用の用土の場合は、何も混ぜなくてもOK。植え込む鉢は、底に穴があるものを用意しましょう。用土がこぼれ出るほど大きな穴の場合は、鉢底網を敷いてから用土を入れます。 ミニバラの根鉢(根っことそれが抱えた土)を入れて、鉢の縁から数㎝表土が下がる程度をイメージして鉢底に用土を入れます。深い鉢ならば鉢底石を敷いてから用土を入れます。 2.鉢から根鉢を抜き出して落ち葉は除去 鉢から根鉢を引き抜いてみると、白い根が表面に張って広がり、根が底までよく回っています。これは順調に成長中の証。植え替えは通年可能ですが、生育中の春から秋は、表土を少し崩す程度で、根をなるべく切らないほうがよいでしょう。 根鉢を抜くと、植わっている時よりも株元に手が届きやすく見やすいので、枯れた枝や落ち葉があったら取り除いておきます。 3.鉢に根鉢をすえて隙間に土を入れる 鉢の中央に根鉢を入れて、周囲の隙間にブレンドした土やバラ専用の土を流し入れます。このとき、株が傾かないように注意。 ある程度土が入ったら、根の中に隙間なく土が入り込むように鉢の外を叩いたり割り箸などで土を突くとよいでしょう。 4.仕上げに水やり 株元付近を目がけてジョウロで水をたっぷり与えます。水を注ぐことで、細かな土が鉢底穴から流れ出て、根の隙間に用土がしっかり入ります。 水の量は、鉢底から流れ出るまでたっぷり。初夏から秋の間本は、表土が乾いたらたっぷりと…が水やりの基本です。 ベランダにオススメのバスケットの寄せ植え ひと鉢に1品種を単独で植えたものは管理がしやすく、育てやすいですが、持ち手がついたバスケットに2〜3種植えるのも、オススメです。飾って可愛い見た目も素敵ですが、日が当たる場所が時間帯や季節によって変化するベランダでは、移動も簡単で便利です。 バスケットに植えるときは、用土がこぼれ出ないように内側に麻布やビニールシートを敷き、先が尖ったものでいくつか穴をあけてから植え付けましょう。 植え付ける鉢や器の種類は、『いくつ知ってる? 押さえておきたい基本の植木鉢の種類とその特徴』も参考に。 ミニバラを植え付けた後、開花後や病気発生のトラブルなどを対処するお手入れについては、『ベランダや小さな花壇で育つミニバラのトラブルと対処法』をご覧ください。 併せて読みたい ・バラを育てたい! 初心者さん必見 野生種、オールドローズとモダンローズなどバラの種類を分かりやすく解説 ・バラの専門家が教える! 鉢植えで育てるバラの剪定方法 ・バラの専門家が教える! 生育不良の鉢植えバラの剪定方法 Credit 写真&文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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ガーデンデザイン

小さな庭のガーデニングテクニック「寄せ鉢」アイデア
地植えができない小さな庭こそ「寄せ鉢」ガーデニングを 砂利敷きの空き地を利用して、大中小の鉢を並べたコーナー。竹を組んだ行灯仕立てがアクセントになっています。 土を掘り起こして植物を植える場所がある人も、そうでない人も、誰でも始めることができるのが鉢植えです。例えば、タイルなどで覆われたテラスやベランダ、玄関周り、舗装された場所、芝生を張っている場所など、どんな場所でも、鉢植えならば置くだけで植物が育つスペースになります。どこに花壇をつくるとしっくりくるかが分からず、庭づくりが進まないという人にも、まずは鉢植えを集合させて様子を見るなど、寄せ鉢ガーデニングは役立ちます。 大中小とサイズがバラバラな多肉植物も、コレクションが増えていけば見応えのあるコーナーになります。切り株を台にして、高低差をつけるのもアイデア。 鉢の数も1つからスタートして、2つ、3つと増やしながら組み合わせを楽しみ、置き方をいつでも自由に変更できるのも鉢植えの利点です。写真のように、切り株やレンガなどを下に置いて、高低差を出すと立体感のあるコーナーになります。旬が過ぎてしまった花や調子がよくない株は移動して、次の季節までバックヤード(植物を養生させておく控え室のような場所)で養生しておくこともできます。 季節によって日当たりが変わる環境なら、日が当たる場所に移動したり、暑さを避けるために夏だけは日陰に移動するなど、臨機応変に対応できるのも鉢植えの魅力です。 このほかにも寄せ鉢の利点はいろいろあります。『一鉢の鉢植えから始める「寄せ鉢」ガーデニング』もご覧ください。 寄せ鉢ガーデニングを一鉢からスタート 何も育てていなかった角地に、シンプルに一鉢置くだけで、風を感じる場所になります。大きな鉢に植えておけば、真夏以外は水やりの頻度は少なくてすみ、手間もさほどかかりません。地植えにすると思いがけない場所に根がはびこってしまう竹も、鉢植えで育てればコンパクトに育ち、高さやボリューム、奥行き感が出て、モダンな空間になります。和風の庭にも似合いますね。 ひと鉢の竹を上手に育てられる自信がついてきたら、モミジ、シダ、フウチソウ、ヒマラヤユキノシタ、ヒューケラ、ティアレラなどを少しずつコレクションしていけば、こんな高低差のあるダイナミックな植物空間が完成します。夏場の水切れにだけは気をつけて、葉のバリエーションを眺めて楽しい空間に。 隣家との境に立っているグレーのブロック塀も、明るい色にペイントして、大小の鉢植えを集めたら、瑞々しいコーナーになります。寄せ鉢なら、樹木も宿根草も一年草も、生育環境が多少ばらばらでも1カ所で育てられるのも「寄せ鉢」ガーデニングのよいところ。敷地内に物置になっているだけのデッドスペースがあったら、真似してみたい好例です。 店先に緑をプラスして小さな庭のトレンド感アップ 寄せ鉢ガーデニングは、自宅の庭だけでなく、お店のイメージアップにも役立ちます。イギリスで見つけた、この寄せ鉢ガーデニングの例では、円錐形に整えたツゲのトピアリーを2種ブリキ缶に植え、その間に緑のシダ類や銅葉の西洋ニワトコ、グラス類を配置して、シックなグリーンを演出。白枠の窓に映えて、今っぽさを感じます。 寄せ鉢空間を引いて見ると、軒先につる植物が茂り、重厚な建物に瑞々しさがプラスされていました。どんなお店なのか、植物につられて中に入ってみたくなる効果があります。 アルミ製の大きな缶に、籐で編まれたオベリスクを入れ、クレマチスやトケイソウ、ブーゲンビリアやマンデビラなどのつる植物を育てたら、テラスのアクセントになります。花が咲いていない時期でも、緑が茂るオベリスクがあるのとないのとでは、景色が一変。 蜂蜜色の外壁にマッチするパステルカラーの寄せ鉢 ほぼ同じサイズのテラコッタ鉢をいくつも並べた、可愛い雰囲気の寄せ鉢ガーデニングの例です。 公道に面して、家と道との間に地植えの花壇がつくれない場所でも、花台を置いて、ずらりと鉢植えを並べれば、可愛い花咲くスペースになります。大小の鉢をランダムにレイアウトした場合、統一感がでず上手にできないこともありますが、花台に乗せれば、まとまった印象になります。 2段、3段と段差がある花台なら立体感が出て、風通しもよく、各鉢にしっかり日が当たります。寄せ鉢なのにまとまって見えるポイントは、鉢の素材を揃えて、花色を2色に絞っていること。紫花のキャットミントやサルビア・ネモローサ、ピンク花のバーバスカムやレースフラワーが混ざり咲いて、鉢植えだけでつくったとは思えないナチュラルな春のコーナーです。 いつもの風景に、鉢植えを置いて小さな庭をイメージチェンジ すでにガーデニングを楽しんでいる人も、ちょっとマンネリ気味の景色を変えるのに、寄せ鉢は活躍します。既存の樹木の株元など、特に日々の変化が少なくて見飽きてしまった場所に、寄せ植えや花咲く鉢植えを添えてみるだけで、小さな庭園が生まれて印象が変わりますよ。1鉢、2鉢と置いてみたら、もしかしてこの場所にはこんな色が似合うかも? など、新しいコーナーづくりのアイデアを思いついたり、新しい一歩が見えてくるかも。 鉢植えを活用することで、ガーデニングの腕が上がったり、景色が変わったり…。寄せ鉢のよる植栽法は、暮らしを豊かにするお手伝いをしてくれますよ。
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宿根草・多年草

春の妖精 スプリング・エフェメラル「カタクリ」を咲かせよう
カタクリとは。日本全国で春を知らせる身近なかわいい花 早春の落葉樹林にいち早く花を咲かせるカタクリ。落ち葉の間からそっと芽を出し、やわらかな日差しのもとで透き通るようなピンクの花びらをくるりと反り返らせて揺れている姿は可憐そのものです。カタクリのことを、もう少し詳しくご紹介しましょう。 カタクリとは? カタクリは、ユリ科カタクリ属の多年草。 北東アジア(朝鮮半島、千島列島、ロシア沿海州)と日本に広く分布しています。 学名は、Erythronium japonicum Decne、英名は和名と同じく「Katakuri」です。また、「Dogtooth violet」とも呼ばれています。古語では「堅香子(かたかご)」。花の様子が傾いた籠に似ていることからといわれています。 カタクリの生育環境 カタクリは冬に日光がよく差し込むブナ、ミズナラ、イタヤカエデなどの落葉広葉樹林の林床に群生します。 カタクリが芽を出し花を咲かせ、葉を茂らせて根(鱗茎)に栄養を蓄えることができるのは春先の2カ月という短い期間。この短さが「スプリング・エフェメラル=春のはかない命(妖精)」と称せられ、愛惜されるゆえんです。 カタクリのライフサイクル カタクリは夏に葉を枯らし、翌年の春まで休眠します。光合成ができる期間が短いため栄養を蓄えるのに長い時間を要し、種子から花を咲かせるまでに8、9年もかかります。そのため、カタクリを育てる場合は種子からではなく、球根を手に入れて9〜10月頃植え付けます。通販で芽出しポット苗を購入することもできます。 なお、料理で使う片栗粉の原料はジャガイモやサツマイモのデンプンです。かつてはカタクリの鱗茎から抽出していましたが、製造量がごくわずかであるため、現在はほとんど見られません。本物の片栗粉は、薬局などで漢方薬として扱われています。本物は消化がよく、病後の滋養に用いられています。 カタクリの種類・初心者におすすめの品種も! 前にも述べましたが、カタクリはユリ科カタクリ属の植物。 カタクリ属は北半球に約20種類が分布しており、その大部分は北アメリカに生育しています。また、ヨーロッパアルプスや日本を含む北東アジアに分布している種類があります。 日本でカタクリといえば、ピンクの花を思い浮かべますが、海外では白や黄色の花が多く、早春のガーデンの彩りとしても活躍しています。では、カタクリの代表的な種類をご紹介しましょう。 エリスロニウム・ヤポニカム 日本の自生種。「エリスロニウム」はカタクリ属を表します。「ヤポニカム」は日本産という意味です。夏は日陰になる涼しい場所を好みます。 エリスロニウム・パゴタ 性質強健で暖地でも育てやすい種類です。花は明るい黄色。カタクリを初めて育てる人におすすめです。 エリスロニウム・アメリカヌム 生育環境は日本のカタクリによく似ていますが、花は黄色。 エリスロニウム・ヘンダーソニー 白から薄いピンクで、濃い赤紫の斑紋が入ります。アメリカのカリフォルニア州に分布しています。 エリスロニウム・デンスカニス 日本のカタクリに似たヨーロッパ産の種類。日本のカタクリより花は赤みが強く、また増えやすくて多くの園芸種があります。 カタクリの育て方・落葉樹の下がポイント カタクリの基本的な植え方についてご紹介しましょう。 植え付け時期 カタクリは夏前に休眠に入ります。休眠中の根の出る前が、植え付けの最適期。 7〜10月に球根を入手し、植え付けましょう。植える時期が遅くなると、成長に悪い影響が出る可能性があり、花が咲かないこともあります。 植え付け場所 カタクリは寒さには強いですが、夏の暑さが苦手。枝が粗い落葉樹の東側に植え付けると、適度に木漏れ日や早春の日差しが当たり、夏の地温の上昇を防ぐことができます。自生地に似た環境を用意しましょう。腐植質に富んだ、水はけがよく、かつ乾きすぎない場所を選んでください。 植え付け時の注意点 <地植えの場合> 植え付け場所は40cm程度の深さまで耕しておきます。そして土に対し、堆肥、腐葉土、ピートモスを3割程度入れます。さらに根を傷めにくい緩効性の化成肥料を混ぜます。球根は、5〜6cmくらい土がかかる深さで、10cmくらいの間隔で植え付けます。定植後の乾燥に注意して、適宜水やりをしてください。 ワラや落ち葉をかけてマルチングしておくと、地温が高くなりすぎたり、雨で土が固くなるのを防ぎ、乾きや凍結防止などにも役立ちます。 <鉢植えの場合> 鉢が小さいと乾燥しやすいため、直径15〜18cm、深さ20cm程度の腰高の鉢を使います。腰高鉢を使うことで、根が深く張るようにもなります。用土は腐葉土が3割程度入っている培養土を選び、緩効性の化成肥料を混ぜておきます。 球根は2〜3cmくらい土がかかる深さで、4〜5球植え付けます。植え付け後、軽く水をかけ、2日後くらいにたっぷり水をやります。土が乾くと根張りが悪くなるので、常に湿り気を保つようにします。 冬季、鉢が凍る恐れがある時は、南向きの軒下に埋めておくと、乾きすぎと鉢土の凍結を防げます。 発芽後から開花期の管理 3月、暖かくなってくるとカタクリの2枚ある本葉のうち1枚が開き、霜の恐れがなくなる頃にもう1枚の葉と蕾が出て、短期間のうちに花が咲きます。花は2週間ほど楽しめます。この時期、葉を大きく広げて光合成を行い根に栄養を送るため、しっかり太陽に当てます。葉を1日でも長くもたせるのがポイントです。芽出しから葉が緑色になっている間に、月2回程度の頻度で液肥を水の代わりに与えると効果的です。 また、土は常に湿り気を保つように管理します。鉢植えは特に注意して鉢土を乾かさないようにします。 病害虫 気温が低い時期に成長し開花するため、病気が発生したり、害虫がつくことはほとんどありません。ただし、近くに黄色いパンジーなどを植えている場合、そちらからアブラムシが移動してくる可能性があるので注意しましょう。 2〜3月は、葉に赤茶色の粉がついているように見える「さび病」に注意。さび病になると、葉に異変が起きるだけでなく、花が咲かなくなる恐れがあります。さび病に感染したら、その部分の葉を切り取って焼却してください。 開花後の管理 カタクリが地上で活動するのは2〜3月。短い期間なので、葉をできるだけ長くもたせて、光合成を行い栄養分を根に送ることが大事です。そのため、芽出しと同時に置き肥をしたり、液肥をやるなどの肥培が重要です。 生育中は水を切らさないように、また休眠中も表土が乾かないように管理します。 自生地に近い環境を意識し、開花後の鉢は木漏れ日の当たる場所に置きましょう。 カタクリの寿命は40〜50年と意外に長いです。特に洋種のカタクリは丈夫なため、きちんと環境を整えてやれば、何年も花を咲かせてくれます。 カタクリの自生地に行ってみよう 桜の開花情報が聞かれると同時に、日本全国のカタクリの自生地からカタクリ開花のニュースが流れてきます。木々のこずえが、うっすらと芽吹き始める直前の里山。うらうらと暖かな陽光の差す落葉樹林の足元を一面ピンク色に染めてカタクリは咲き出します。花の寿命は2週間ほど。はかなくも美しい命を輝かせて咲くカタクリとの一年に一度の出会いです。 さっそくカタクリの自生地を調べてカタクリを見に行きましょう。 カタクリの自生地は全国各地にあります。有名な自生地の一例として 北海道 旭川市 男山自然公園 秋田県 仙北市 鎌足カタクリ群生地 千葉県 千葉市 泉自然公園 栃木県 三毳山、佐野市万葉自然公園 神奈川県 相模原市 城山かたくりの里 埼玉県 新座市 牛沢地区 東京都 練馬区清水山の森 / 清瀬市清瀬中里緑地保全地域 などがあります。 これらの自生地では、カタクリだけでなく、早春の山野草のイチリンソウ、ヒトリシズカ、アマナなども見ることができます。なお、カタクリは絶滅危惧種Ⅱ類として保護されている植物ですから、十分注意して観察しましょう。 自生地の環境をじっくり観察すれば、カタクリの育て方のヒントをもらえるはずです。 万葉の昔、大伴家持が 「もののふの八十乙女らが汲みまがふ寺井の上の堅香子の花」 (注)堅香子(かたかご)はカタクリの古名 と詠んだ短歌で知られるように、カタクリは古くから美しい春の花として親しまれてきました。植え方、環境に配慮すれば、毎年花を楽しむことができます。 「スプリング・エフェメラル=春の妖精」との再会を期して、まず球根を手に入れて植えてみませんか。 Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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寄せ植え・花壇

【春の寄せ植え】何年も楽しめるクリスマスローズの寄せ植え
何年も楽しめるクリスマスローズの寄せ植え クリスマスローズは早春、まだ空気に冷たさが残る2月から咲き出し、いち早く春を告げてくれる宿根草です。宿根草とは、何年も繰り返し花を咲かせてくれる植物のこと。寄せ植えは主に一年草を組み合わせ、季節ごとに花を植え替えることが多いですが、クリスマスローズの寄せ植えは、何年も続けて楽しめるのが魅力です。宿根草の多くは冬に地上部がなくなりますが、クリスマスローズは常緑でいつも大きな美しい葉を展開しています。ですから、葉の組み合わせも意識して植物をセレクトすると、花後の初夏以降も美しい鉢が楽しめます。 寄せ植えにできるクリスマスローズは? 寄せ植えにする場合、どんなクリスマスローズを選んだらよいかといえば、ポイントは茎の長さです。クリスマスローズの株元に他の草花を配置したいので、ゴールドネクタリーなど、元来茎の短い品種は寄せ植えには向きません。また、クリスマスローズの草丈が鉢の高さと1対1以上で、少し高くなるほうがグッドバランス。品種によって草丈は異なりますが、多くは30〜40cm程度あるので、寄せ植えにできます。花の咲き始めは茎が短いこともありますが、暖かくなるにつれスッと花茎が伸びてきます。本来は茎が伸びる品種なのになかなか伸びない場合は、葉に栄養を取られていると考えられるので、葉っぱを切って花茎に栄養を集中させるといいでしょう。葉っぱは花後に必ず展開してきますので、切っても大丈夫です。 クリスマスローズに組み合わせる植物は? クリスマスローズの株元で咲くプリムラ。 組み合わせる植物は、自生地の植物が参考になります。クリスマスローズはヨーロッパ全域から地中海沿岸、バルカン半島、黒海沿岸に自生しています。私が訪れた場所では、野生のクリスマスローズがクロッカスなどの小球根とともに咲いていたり、プリムラの花とも一緒によく咲いていました。小さな花々とお喋りをするように、うつむいて咲く姿のなんと愛らしかったことでしょう。自生地で一緒に育つものは、鉢の中でも仲よく育ちます。また、クリスマスローズは半日陰を好むので、夏は特に直射日光を避けて管理する必要があります。同じ半日陰の環境で育つヒューケラやティアレラなどを合わせると、クリスマスローズの花後は次の花が楽しめます。 クリスマスローズの花後に咲き出すティアレラの花。 クリスマスローズと小球根の寄せ植え 優しいピンク色のクリスマスローズに、淡いブルーのムスカリを合わせました。ムスカリは植えっぱなしで何年も繰り返し花が咲いてくれる春の小球根で、来年も同じようにクリスマスローズと一緒に咲いてくれます。今年の春に植えるなら開花している小球根を買いますが、来年からは植えっぱなしで咲いてくれます。秋以降、クリスマスローズの鉢に球根を植え込んでもいいでしょう。 初夏以降に咲くヒューケラの花。 鉢の縁には、赤紫色の葉のヒューケラを入れました。クリスマスローズには赤紫色の模様が入る花が多く、同じ葉色をもつヒューケラも好相性です。5〜7月にかけて、赤いプチプチとした可愛い花を咲かせます。表土を覆うように育つライムグリーンの葉はセダム。クリスマスローズの花とバトンタッチで、4月以降、黄色の小さな花を咲かせます。表土を覆うように這って広がるので、夏に鉢の乾きを防いでくれる役目も果たしてくれます。ヒューケラもセダムも宿根草ですから、植えっぱなしで来年も咲いてくれます。 クリスマスローズとプリムラの寄せ植え グリーンの爽やかなクリスマスローズに合わせて、ホワイト&グリーンの原種チューリップと、小型のスイセン、ブルーのプリムラ・ジュリアンを合わせました。プリムラ・ジュリアンは品種数が豊富で、華やかなものからアンティークカラーまで幅広く揃うので、花の個性が豊かなクリスマスローズとの組み合わせで楽しみは無限大に広がります。プリムラは暑さに弱く夏越しが難しいので、一年草扱いになることが多いですが、春先には園芸店に多くの品種が並びます。 花ばかりでなく、葉の組み合わせも大事です。クリスマスローズの葉は常緑なので、葉の組み合わせも考えて選ぶと花後の楽しみが長くなります。シュッと細長い葉はミスカンサス。ミスカンサスのようなフォルムの違いが際立つものやシルバーリーフ、ブロンズカラーなど色の美しい葉も名脇役として寄せ植えで活躍してくれます。 左/草丈10cm程度の原種チューリップ・ポリクロマとシルバーリーフのサントリナ。右/斑入りの細長い葉が美しいミスカンサスとアッツザクラの小さな花。 ピンク系のクリスマスローズに合わせて同系色のプリムラを。 クリスマスローズの寄せ植えの花後の管理 クリスマスローズは3月には花盛りを迎えます。花と呼んでいる部分は本来ガクなので、4月になっても散ることなくついたままです。しかし、ずっと茎についたままの状態にしておくとタネができ体力を消耗してしまうので、4月から遅くとも5月には花茎をカットしましょう。タネをつけるのに体力を使ってしまうと、夏越しが難しくなります。花後は葉が展開してきて、光合成をして株に栄養を送ります。西日の当たらない場所に置いて、涼しく過ごさせてあげましょう。水は、表土が乾いてからたっぷり与えます。夏は基本的に休眠期になるので、施肥はせずに秋以降、固形肥料を与えましょう。 植え替えは2〜3年に1度でOK 株が生育して太ってくると、根が詰まって花数が少なくなってくることがあります。根張りの状態を見て、秋に植え替えをしますが、目安は2〜3年に1度くらいの頻度です。同じ鉢に植え替える場合は株分けをし、リサイズしてから植え付けます。大きく育てたい場合は、それまでよりも1回り大きな鉢に植え替えましょう。
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宿根草・多年草

バラに似合う草花選び4つのポイント&おすすめ28種
バラに似合う草花選びの大切なポイントは4つ バラが咲くナチュラルな庭を目指す場合、一緒に咲かせる草花を選ぶときの基本的なポイントは4つあるとバラの専門家、河合伸志さんが解説してくれました。では、大切な4つのポイントをご紹介しましょう。 バラの草花選びポイント1 1つめは、バラと合わせるのであれば、バラの好む環境で生育できる植物を選ぶこと(これは絶対にはずしてはいけないポイントです)。肥料分の少ない土地や日陰地、湿地などを好む植物は、バラが栽培できない場所で上手に活用しましょう。 バラの草花選びポイント2 2つめは、バラと喧嘩しない花を選ぶこと。例えば開花期が重なる大輪のシャクヤクや大輪のダリアなどは、バラと主役を奪い合ってしまうのでNGです(小輪など控えめなバラと組み合わせるのであればこれらもOKです)。 バラの草花選びポイント3 3つめは、草花をバラの脇役としたいのならば、バラと開花期が重なるものを選びます。例えば、アグロステンマやヤグルマギクなどの一年草やサルビア・ネモローサ‘カラドンナ’などの宿根草がオススメです。主張のあまり強くない小花や線の細い穂状花はバラに違和感なく合わせられます。 バラの草花選びポイント4 4つめは、可能であればバラの花が終わっても長期間楽しめるカラーリーフや長期咲きの宿根草を選ぶことです。例えば、アメリカテマリシモツケ‘ディアボロ’は晩秋まで銅葉が茂り、背景となって華やかなバラの色を引き立て、さらに最後に紅葉で楽しませてくれます。日本の野草、アラリア(ウド)‘サン・キング’やシュキンハギの明るいライムグリーンの葉も株元を明るくしてくれてオススメです。長期咲きの植物としては、バラの足元で4月中旬から11月まで咲き続けるエリゲロン・カルビンスキアヌスや宿根バーベナ、バラの開花期から11月まで咲くゲラニウム‘アズール・ラッシュ’などは、バラに彩りを添えるだけでなく、バラの開花期の合間も埋めてくれて大変に重宝します。 派手になりがちな赤系のバラと優しいパステルカラーのバラが混ざり咲き、庭全体が調和して見えるのは、カラーリーフや小花が咲く下草が間をつないでいるおかげです。写真右側のシックな銅葉は、スモーク・ツリー(ケムリノキ)。その奥にある明るい黄緑色の葉を茂らせているのは、シュキンハギ。手前右側のグラスの穂(ラグラス・オバタス)は庭に優しさをプラスしています。 暖色系の花が咲く下草 左から、シレネ‘ピンクピルエット’(宿根草/草丈30〜50㎝)、アグロステンマ(一年草/草丈80〜100㎝)、シレネ・ディオイカ(宿根草/草丈約30〜50㎝)、カレンジュラ‘ブロンズ・ビューティ’(一年草/草丈約30㎝)、シレネ・ディオイカ(宿根草/草丈約30〜50㎝) 寒色系の花が咲く草花 左から、サルビア・ファリナセア(一年草扱い(暖地では宿根する)/草丈約30〜40㎝)、サルビア・ネモローサ‘カラドンナ’ (宿根草/草丈約30〜50㎝)、リナム(ペレニアル・フラックス)‘ブルー・ドレス’(宿根草(暖地では一年草扱い)/草丈約30〜50㎝)、ヤグルマギク‘ダブル・ブルー’(一年草/草丈約60〜80㎝)、ラベンダー‘エイボンビュー’ (低木/樹高約20〜50㎝)、カンパニュラ・メジウム‘チャイム・パープル’(一年草/草丈約60〜80㎝)、リナリア・プルプレア(宿根リナリア)(宿根草/草丈約50㎝) ダークなトーンの草花 左から、セリンセ・マヨール(一年草/草丈約30〜50㎝)、ヤグルマギク‘ブラック・ボール’ (一年草/草丈約60〜80㎝)、アメリカテマリシモツケ‘ディアボロ’ (中低木/樹高約100〜200㎝)、ペンステモン‘ハスカー・レッド・ストレイン’ (宿根草/草丈40〜50㎝)、ニシキシダ‘アースラズ・レッド’(宿根草/草丈約20~30㎝)、セイヨウニワトコ‘ブラック・レース’ (中木/樹高約150〜300㎝) 明るいトーンの下草 左から、エリゲロン・カルビンスキアヌス(宿根草/草丈約15㎝)、アグロステンマ・ギダゴ‘オーシャン・パール’ (一年草/草丈約80〜100㎝)、シロタエギク(ダスティー・ミラー)(宿根草/草丈約20~40cm)、ミヤコワスレ(白花)(宿根草/草丈約20〜30㎝)、ニゲラ(一年草/草丈約20〜40㎝)、ツリー・ジャーマンダー(低木/樹高約30〜80㎝)、ラグラス・オバタス(一年草/草丈70㎝)、ヒナゲシ‘ブライダル・シルク’(一年草/草丈約70〜100㎝)、ギボウシ‘ハルシオン’(宿根草/草丈約30〜40㎝)、右上はアラリア(ウド)‘サン・キング’ (宿根草/草丈約30〜60㎝)
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宿根草・多年草

【豪華花】ヤマユリってどんな花? 花言葉は? 栽培方法のコツや増やし方も解説
ヤマユリの主な特徴 YUMIK/Shutterstock.com まず、ヤマユリはどんな姿で育ち、どんな魅力がある植物なのか。基本情報や特徴について解説します。 基本情報 ヤマユリ(Lilium auratum)はユリ科ユリ属の球根植物です。日本原産で、東日本を中心に本州の平地から山地に分布しています。自生地によって箱根百合や吉野百合、叡山百合、鳳来寺百合などといった名前で呼ばれることもあります。 ユリの仲間では最大級の大きさで、草丈は約1~2mほどにもなります。耐暑性や耐寒性は、ともに普通程度です。 ヤマユリは漢字で「山百合」と書き、文字通り山で咲く百合が語源です。ユリの代表的な園芸品種‘カサブランカ’を作るためにも利用された花です。 花言葉 FrentaN/Shutterstock.com ヤマユリの花言葉は、「荘厳」「威厳」「純潔」「飾らぬ美」「飾らない愛」「人生の楽しみ」「高貴な品性」など。 「荘厳」や「威厳」、「高貴な品性」などは、ユリの女王とも称されるヤマユリの花姿からつけられたものでしょう。一方で、山地でひっそりと咲く姿から「飾らぬ美」や「飾らない愛」、山でヤマユリを見つけた人の喜ぶさまから「人生の楽しみ」という花言葉がつけられたといわれています。 花の特徴 jackdreamhd/Shutterstock.com ヤマユリの開花時期は7~8月。花径20cmほどの大きな花を、1本の茎あたり1~10輪ほど咲かせます。 花の色は白地に黄色い筋と帯状の斑点が入るものが多いですが、ほかにもさまざまな色があります。花には強い香りがあり、開花時には芳香が漂います。 球根(鱗茎)の特徴 Irina999petrova/Shutterstock.com ヤマユリの球根は、うろこ状の鱗片が何重にも重なった鱗茎(りんけい)と呼ばれる形をしています。 球根は百合根(ゆりね)とも呼ばれ、苦みが少ないため古くから食用や薬用として用いられてきました。百合根は、ユリの中でもオニユリやコオニユリ、ヤマユリの鱗茎を指します。食用の百合根と、観賞・園芸用の百合根をとでは、栽培時に使用する農薬が異なります。上記の種類の球根でも園芸用として販売されているものは食べないようにしましょう。 ヤマユリの育て方のポイント Pixel-Shot/Shutterstock.com ヤマユリの姿や自生する場所、特徴に由来する花言葉などをご紹介しました。ここからは、さらに自分で咲かせるにはどんなことに気をつければいいか、ヤマユリを育てるのに適した場所や失敗しないポイントを詳しく解説します。 栽培する場所や土壌 Nate.Apol/Shutterstock.com ヤマユリは、鉢植えでも地植えでも育てることができます。植える際は、半日陰や明るい日陰になる場所を選びましょう。終日強い光が当たるような環境は苦手なので注意が必要です。 水はけのよい土壌を好むので、地植えの場合、水はけが悪い場所であれば赤玉土や腐葉土・砂などを混ぜて土壌改良をします。鉢植えの場合は、市販の球根用植物の土や草花用培養土を使うとよいでしょう。 水やり Irene_A/Shutterstock.com ヤマユリの水やりは、地植えの場合は、基本的に自然の降雨のみで十分です。雨が降らない日が続いた時のみ水やりをします。 鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。表土が乾かないうちに水やりを続けていると球根が腐ってしまうことがあるため注意しましょう。 肥料 Natallia Ustsinava/Shutterstock.com ヤマユリの植え付けの際には、元肥として緩効性化成肥料を混ぜておきます。さらに芽が出る4〜5月と、6月に追肥します。追肥は緩効性化成肥料を与えるか固形肥料を置き肥します。 開花後から9月までは、薄めた液体肥料を7〜10日に1回を目安に与え、球根を太らせるようにしましょう。 植え付け Damian Lugowski/Shutterstock.com ヤマユリの植え付けの適期は2〜3月です。 地植えの場合は球根の3倍ほどの深さを掘って植え、たっぷりと水やりをします。 鉢植えの場合は深さのある鉢を選びます。背が高くなるユリは、鉢植えにすると倒れやすいので、なるべく重さのある鉢を選びましょう。 新芽が出てくる5〜6月には支柱を立てて、成長してきたらゆるく括りつけます。 チューリップなどの球根植物は球根の下からのみ根が出ますが、ユリは球根の上から出た茎の途中からも「上根(うわね)」と呼ばれる根が出ます。浅く植えてしまうとこの上根が伸びるスペースがなくなってしまうので、浅植えにならないように気を付けましょう。 植え替え Ken Kojima/Shutterstock.com 鉢植えの場合は、1年に1回植え替えを行います。ヤマユリは連作障害が起こりやすいため、鉢の植え替えの際は、用土を新しいものに変えます。 地植えの場合も、3〜4年に1回植え替えるとよいでしょう。地植えでは連作障害を防ぐために植える場所を変えます。同じ場所で栽培したい場合は、植え場所の土を周囲の土とよく混ぜてすき込みます。腐葉土などの有機質資材を加えることも連作障害の予防につながります。 多様な植物が生えているでは、毎年同じ場所で開花しています。庭などでも、周りにさまざまな植物が植えられているようなところでは、連作障害が出ず、同じ場所で栽培できることもあります。 日常のお手入れ Radovan1/Shutterstock.com 種子を採取しない場合は、花後は花首の付け根から摘み取ります。種子を採取する場合でも、いくつかの花がらだけを残して、ほかは取り除きましょう。落ちた花びらもこまめに取り除きます。 花後も葉っぱは残しておきます。冬になるまでは葉を残して光合成させ、球根を太らせるようにしましょう。 注意すべき病害虫 Kazakova Maryia/Shutterstock.com ヤマユリを育てる際に注意が必要な病気は、ウイルス病や球根腐敗病などです。 ウイルス病にかかると葉や花弁に濃淡のまだら模様ができ、葉がちぢれて生育が悪くなります。治療はできないので、発病したら速やかに発症した個体と用土を処分しましょう。 球根腐敗病は、土中の球根が腐ってしまって発芽しない病気です。保管している球根でも起こりますので、注意しましょう。 害虫ではアブラムシがつきやすいです。できるだけ風通しがよい場所で育て、アブラムシは見つけ次第すぐに駆除しましょう。葉が展開してきたら、株元にオルトランなどの浸透移行性の薬剤をまいておいてもよいでしょう。 ヤマユリの増やし方 roadfair/Shutterstock.com ヤマユリの増やし方には、種まき、分球、木子(きご)、鱗片挿しがあります。ここではそれぞれの方法について詳しくご紹介します。 種まき Piyaset/Shutterstock.com 種まきは4つの増やし方の中で、最も時間がかかる方法です。植えてから開花まで5~6年かかります。 花後に花を摘まずに育てておくと実ができ、10〜11月に種を採取できます。種を採ったらすぐに種まきをする「とりまき」をしましょう。 重ならないように種を播いたら、薄く覆土をして乾燥しないように管理します。種は乾燥させて保存することもできます。 分球 Sarycheva Olesia/Shutterstock.com 分球は球根植物を増やす、最も一般的な方法です。 分球の適期は2〜3月で、植え替えと同時に行うと効率がよいでしょう。掘り上げた球根に2つ以上芽が出ていたら分球できます。球根を分けて新しい用土に植え付けて増やします。手軽で失敗の少ない方法ですが、一度にたくさん増やせないことがデメリットです。 木子(きご) Sarycheva Olesia/Shutterstock.com 木子(きご)とは、球根植物で親球の周りにできる子球についている、さらに小さな球根のことです。 掘り上げた球根に木子がついていたら、これを新しい用土に植えて増やすこともできます。木子は小さいので、植えてから開花するまでには2〜3年かかります。 鱗片挿し jreika/Shutterstock.com 鱗片挿しは、充実した球根の外側の鱗片をはがして用土に挿す増やし方です。 はがした鱗片の上下が逆さにならないように注意して、全体の2/3ほどを土に埋めます。鱗片挿しの適期は、花が咲いた1カ月後から9月頃までです。 植えた鱗片は成長して球根になります。植えてから開花までは、最低でも3年ほどかかります。 ヤマユリの主な品種 Wassei/Shutterstock.com ヤマユリの代表的な品種をご紹介します。 サクユリ サクユリは伊豆諸島のみに分布している品種です。草丈は2m、花径は30cmと非常に大型の品種で、交配親としてもよく利用されます。 ベニスジヤマユリ ベニスジヤマユリはヤマユリの突然変異体です。花びらに鮮やかな紅色の筋が入るのが特徴です。 シロホシヤマユリ シロホシヤマユリの特徴は、斑点が白く花弁の色と同化して、すっきりとした見た目をしていることです。名前のシロホシも白い斑点に由来しています。 育て方のコツを知り美しいヤマユリを栽培しよう Ken Kojima/Shutterstock.com ヤマユリは日本原産の大型のユリで、美しい花姿と育てやすさが魅力の植物です。ぜひこの記事を参考に、ご自宅の庭やベランダなどで育ててみてはいかがでしょうか。
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チオノドクサを育ててみよう! 育てる際のポイントについてご紹介!
チオノドクサの基本情報 「チオノドクサって、どんな漢字を書くのかな?」と疑問に思う方もいるかもしれません。じつは、チオノドクサは学名のChionodoxaをそのまま日本語読みしたものなんです! ですから、チオノドクサにあてられた漢字はありません。ちょっと紛らわしいですね。ギリシャ語で「chino(チオン)」は雪、「doxa(ドクサ)」は輝き、栄光を意味しています。チオノドクサの和名はユキゲユリ(雪解百合)で、英名はグローリー・オブ・ザ・スノウ。学名、和名、英名のいずれも雪が名前の中にあることからも想像がつくように、まだ寒いうちから咲いて春を告げてくれる花です。 チオノドクサは、キジカクシ科(クサスギカズラ科)チオノドクサ属の多年草で、秋植え球根植物に分類されています。原産地は、クレタ島、キプロス島、トルコで、寒さに強い性質が特徴。一度植え付ければ毎年開花を楽しめる息の長い植物です。ライフサイクルは次の通り。秋に球根を植えると生育が始まり、茎葉を出した状態で冬を越します。春になると花を咲かせ、開花後は茎葉だけになり、夏前に地上部を枯らして休眠。秋にまた生育期を迎え、再び新芽を出す……という繰り返しです。したがって、花が終わった、地上部が枯れた、などといって掘り上げて処分せずに、毎年の開花を楽しみましょう。 チオノドクサの特徴 チオノドクサの開花期は、2〜4月です。花色は青、紫、ピンク、白。花茎を立ち上げた頂部に数輪、星形の愛らしいフォルムの花が咲きます。草丈は10〜15cmと低く、コンパクトにまとまります。花壇の前面や縁取り、コンテナの寄せ植えなどに取り入れるとよいでしょう。やさしいパステル調の花色、楚々とした花姿が相まって、ナチュラルガーデンなどに人気の花です。一方で、マス植えにして群植させると、ダイナミックなシーンを作り出すこともできます。 チオノドクサの花言葉 チオノドクサの花言葉には、「栄光」「仲間思い」「たくましさ」「奥ゆかしさ」などがあります。「栄光」は、英名のグローリー・オブ・ザ・スノウに由来しているのでしょう。「たくましさ」や「奥ゆかしさ」は、寒い冬を元気に乗り越え、可愛らしい花を楚々と咲かせる姿からと想像できます。ちなみに、チオノドクサは1月11日の誕生花です。 チオノドクサの種類 チオノドクサは、5〜6種類の分布が確認されています。日本には昭和の初め頃に導入されたといわれ、まだ歴史の浅い草花の一つです。主にガーデニングで栽培されているのは、チオノドクサ・フォーベシー(Chionodoxa forbesii) とチオノドクサ・ルシリアエ(Chionodoxa luciliae)です。 チオノドクサ・フォーベシーは、草丈15cm・花径2cmほどの花を数輪咲かせます。花色は淡いブルーで、中心に白がのるのが特徴。ピンク花の‘ロゼア’、白花の‘アルバ’もあります。 チオノドクサ・ルシリアエは、チオノドクサの発見者であるボワシエの妻の名前、リュシールにちなんで名付けられました。花数がやや少なめで1茎に3〜5輪が開花。園芸品種の‘ギガンテア・アルバ’は、白花で花弁の幅が広い特性があります。 チオノドクサを育てる環境 チオノドクサは、高山植物に分類されています。そのため、寒さには強いものの暑さには弱い性質で、暖地よりも高冷地など涼しい環境を好み、生育も盛んになるようです。東に面した場所や落葉樹の足元など、開花時には日当たりがよく、真夏は半日陰になるような場所を選んで植えるとよいでしょう。鉢植えの場合、夏は涼しく風通しのよい場所に移動して管理します。 また、水はけのよい土壌を好むので、土作りの際にも水はけをよくする土壌改良資材を混ぜ込むなど、ひと工夫しておくと安心です。 チオノドクサの育て方 ここまで、チオノドクサの基本情報や特徴、花言葉、種類、好む環境についてご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、育て方についてご案内しましょう。球根の植え付けからスタートし、水やりや肥料、花がら摘みなど日頃の管理、増やし方などについて、詳しく解説していきます。 土づくり 【地植え】 球根を植え付ける1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材と緩効性化成肥料を投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておきます。水はけの悪い場所では、川砂やパーライトなどを施し、周囲より土を盛って土壌改良しておくとよいでしょう。事前に土づくりをしておくことで、分解が進んで土が熟成します。 【鉢植え】 市販の山野草用の培養土を利用すると便利です。自身でで培養土をブレンドする場合は、赤玉土6、腐葉土3、川砂1の配合でつくります。 植え付け 球根植物であるチオノドクサは、球根を入手して植え付けます。植え付け適期は、9月下旬〜11月です。 花苗店などで開花株を買い求めた場合は、植えたい場所へ早めに定植します。植え付けの際は根鉢を崩さずに作業しましょう。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、深さ5〜6cmの穴を掘って球根を植え付けます。複数球を植える場合は、約5cmの間隔を取りましょう。最後にたっぷり水を与えます。 【鉢植え】 鉢のサイズは4〜5号鉢がよく、7〜8球を目安に植え付けましょう。一つの球根から咲く花の数は少ないので、やや密に植えたほうが見映えがよくなります。 用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから山野草用の培養土を入れます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。球根の上部が隠れるくらい浅植えにするのがよく、間隔を均一に取って植え付けていきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。 水やり 株が蒸れるのを防ぐために、株全体にかけるのではなく株元の地面を狙って与えてください。 【地植え】 水やりは、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、長い間雨が降らず乾燥が続く場合は、水やりをして補いましょう。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、多湿にすると株が弱るので、水の与えすぎには注意。土の表面が白く乾くまで待ち、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。成長期を迎えてぐんぐん茎葉を広げ出すと、水を欲しがるようになります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 また、冬は夕方に水やりすると凍結の原因になるので、十分に気温が上がった真昼に水やりしましょう。夏は地上部を枯らして休眠しているので、水やりは不要です。 肥料 【地植え・鉢植えともに】 植え付けの際にしっかり土づくりをしてあれば、肥料は必要ありません(鉢植えで使用する市販の培養土にはほとんどの場合肥料が配合されています)。しかし、葉色が冴えなかったり、株に勢いがなかったりした場合には、液体肥料を施して様子を見ましょう。 開花後の管理 【花がら摘み】 チオノドクサの球根を太らせるためにも、終わった花は早めに摘み取りましょう。花茎を残して、花首の下で切り取ります。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まるので注意してください。 【花が終わった後の管理】 チオノドクサは、一度球根を植え付ければ毎年開花して息の長いライフサイクルをたどるので、花が終わっても抜き取って処分せず、そのままにしておきましょう。しばらくは葉だけが残りますが、残った葉にしっかりと日光を当てて光合成を促すと、球根に養分が送られて株が充実し、夏前には地上部を枯らして休眠します。花が終わったからといってないがしろにしないで、その後の生育も見守ることが大切です。 病害虫 病害虫の心配はほとんどありませんが、生育期にアブラムシが発生します。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。 植え替え 植え替えの適期は、9月下旬〜11月です。 【地植え】 数年は植えたままにしたほうが充実した株になるので、放任してもかまいません。年月が経って、込み合って窮屈になっているようであれば、掘り上げて球根を分球して植え直します。 【鉢植え】 鉢栽培では、植えたままにしておくと根詰まりして生育が悪くなるので、1〜2年に1度を目安に、植え替えます。休眠期から生育期に移行して芽を出す前に、土に埋まっている球根を掘り上げましょう。古い土は処分し、新しい培養土を使って植え直します。やり方は前述の「植え付け」の項目を参照してください。 球根の保存の仕方 チオノドクサは、夏前には地上部を枯らして休眠します。チオノドクサの球根は乾燥に弱いので、本来は植えたままにしておいたほうがいいのですが、休眠している時期に別の草花を植えて花を楽しみたい、限られたスペースなので球根を別の場所で保管し、同じ鉢で夏花の寄せ植えを作りたい、といった事情もありますよね。球根を掘り上げて保存する場合は、乾燥させないように注意します。おがくずやバーミキュライトの中に入れ、涼しい場所で管理するとよいでしょう。 増やし方 【分球】 チオノドクサが属する球根植物は、茎や根の一部に養分をためて肥大化させる植物です。この球根の形状もさまざま種類があるのですが、チオノドクサは球状で、親球から子球ができて年を追うごとに増えていきます。球根が込み合ってきたら掘り上げて、親球から子球をはずして分球して増やすことができます。子球をそれぞれ親球として植え直せば、分球した分だけ球根が増えるというわけです。 最初に親球を植え付けてから数年が経ち、茎葉が込み合って窮屈に見えたら、分球して更新をはかりましょう。植え替え適期の9月下旬〜11月に球根を掘り上げ、親球から子球を切り分けて、それぞれに植え直します。分球して増やすと、親球とまったく同じ性質のクローンになります。 チオノドクサは、種を採取して播いて増やすこともできますが、発芽まで時間がかかり、さらには花が咲くまで4〜5年の育苗が必要です。冷涼な気候でなければ失敗しがちなので、分球で増やすのが一般的です。 チオノドクサを自分の手で育ててみよう! チオノドクサは花のフォルムが端正で、きらめくような美しさがあり、早春からガーデンやコンテナをみずみずしく彩ってくれます。ライフサイクルが長く、一度植え付ければ毎年花を咲かせて、季節の到来を告げてくれるのもうれしい点です。寒さに強いので植えっぱなしにしてもよく、メンテナンスの手間がかからないので、ビギナーにもおすすめ。ぜひガーデンやベランダの寄せ植えなどに取り入れてみてはいかがでしょうか? Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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イチゴの花の特徴や花言葉は? 家庭菜園で育てて完熟の味を楽しもう!
イチゴについて知ろう イチゴとは、どんな植物なのでしょうか。ここでは、イチゴの基礎知識についてガイドしていきます。 イチゴの基礎知識 lzf/Shutterstock.com イチゴはバラ科イチゴ属の多年草です。一度植え付ければ毎年開花して果実を収穫できる息の長い植物で、コストパフォーマンスに優れています。イチゴのライフサイクルは次の通りです。植え付けの適期は10月中旬〜11月中旬。秋にできた花芽が冬の寒さにあうことで覚醒する性質があるので、そのまま冬越しさせます。春になると生育期を迎えて葉をよく茂らせるようになり、3月中旬〜4月に開花。果実を収穫できるのは5〜6月です。初夏からはつるのようなランナーを旺盛に伸ばして子株を作ろうとします。冬になると生育が止まりますが、常緑のまま越冬し、また春を迎えると生育期に入って葉を茂らせる……という繰り返しです。 野生種のイチゴは石器時代から食されていたようですが、栽培イチゴの原産地はオランダで、現在のような品種ができたのは18世紀頃。北アメリカ原産のバージニアイチゴとチリ原産のチリイチゴが交雑して、現在の栽培イチゴが生まれたとされています。 イチゴの種類 KYONGSOO OH/Shutterstock.com 日本は品種改良の技術が高く、甘くて大粒の品種が次々と作出されていますが、青果店やスーパーなどで手に入る人気のイチゴの品種は、ほとんどがハウス栽培用です。したがって、一般家庭でイチゴを育てる際は、家庭菜園で栽培できる品種、たとえば‘宝交早生’ ‘章姫’ ‘さちのか’ ‘越後姫’ ‘あかねっ娘’ ‘あまごこち’などから選ぶことになります。 イチゴの名前の由来 Dzung Vu/Shutterstock.com 昔、イチゴは「イチイガシ」「イチビコ」と呼ばれていました。それがなまって「イチゴ」と呼ぶようになったといわれています。 英名の「strawberry」は、「ワラのベリー」という意味で、イチゴがワラに巻かれたり、敷かれたりして売られていたからという説があるようです。 イチゴは野菜? 果物? Ievgenii Meyer/Shutterstock.com イチゴは人気の高いフルーツですが、野菜の仲間の果菜類(実を収穫する野菜)に分類されています。実際のイチゴの実は、甘くて美味しい果肉ではなく、表面にゴマのようについている「そう果」という部分で、さらにその中に種が入っています。赤い果肉部分は、子房を支える土台の「花托」という器官です。 イチゴの花の特徴 Valentsova/Shutterstock.com イチゴの開花期は3月下旬〜4月。花茎を伸ばした先に、数輪の花を咲かせます。基本的には白の一重咲きですが、中にはピンクの花を咲かせる品種もあります。 イチゴの花言葉 Anake Seenadee/Shutterstock.com イチゴの花言葉には、「尊重と愛情」「完全なる善」「先見の明」「甘い香り」「幸福な家庭」「あなたは私を喜ばせる」などがあります。 イチゴを育ててみよう ここまで、イチゴの基礎知識や種類、特徴、花言葉など、幅広くご紹介してきました。では、ここからは家庭菜園の実践編として、イチゴの育て方について詳しく解説していきます。 品種と苗を選ぶ Photographee.eu/Shutterstock.com イチゴの栽培は、苗の植え付けからスタートします。苗は花苗店やホームセンターなどで入手できます。初心者でも育てやすい品種は、‘章姫’、‘宝交早生’、‘とちおとめ’、‘あかねっ娘’などです。 苗は本葉が4〜5枚ついた、節間が詰まって勢いのあるものを選びましょう。また、ウイルスフリーの苗を選ぶのも失敗を少なくするポイント。ウイルスフリー苗とは、成長点培養でウイルス病に冒されないように育苗された、病気を持っていない苗のことです。 土作り blueeyes/Shutterstock.com 【菜園】 苗を植え付ける2〜3週間以上前に、苦土石灰を1㎡当たり100〜150g散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおいてください。さらに植え付けの1〜2週間前に、1㎡当たり堆肥約2㎏、緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)約100g、熔リン約50gを均一にまいて、よく耕しましょう。畝の幅を約60cm取って、高さ10cmほどの畝をつくります。畝の長さは苗の数や広さに応じて自由に決めてかまいません。表土は平らにならしておきましょう。事前に土づくりをしておくことで、分解が進んで土が熟成し、植物の生育がよくなります。 【プランター栽培】 野菜の栽培用にブレンドされた市販の培養土を利用すると便利です。 植え付け OlegDoroshin/Shutterstock.com イチゴの植え付け適期は、10月中旬〜11月中旬です。これ以外の時期に花苗店などで苗を購入した場合は、すぐに植え付けてください。 植え付けの際は、イチゴの苗の地際の部分をよく見てください。親株から伸びたつるの「ランナー」が残っています。イチゴは、このランナーの反対側に花が咲いて実をつける性質を持っているので、ランナーを揃えて植えると、人工授粉や収穫などの管理がしやすくなります。また、イチゴの苗は、葉が付け根から放射状に伸びますが、この付け根の膨らんだ部分を「クラウン」といいます。このクラウンは成長点のため、地面に深く植えて埋めてしまうと、成長しなくなります。イチゴを植え付ける際は、クラウンを埋めないように浅植えにするのがポイントです。 【菜園】 土作りの際に設けた畝に、株間(株と株の間)・条間(隣の列との間)ともに約30cmの間隔を取って苗を植え付けます。畑の内側にランナーを揃えると、畝の外側に実がつき、管理がしやすくなります。最後にたっぷりと水やりをしておきましょう。 【プランター栽培】 横幅60〜70cmほどの標準的な長方形型プランターで、3株を目安に植えるとよいでしょう。 底穴に鉢底網を敷き、底が見えなくなるくらいまで鉢底石を入れ、その上に野菜用にブレンドされた培養土を入れます。水やりの際に水があふれ出ずに済むように、ウォータースペースを鉢縁から2〜3㎝残しておきましょう。15〜20cmの間隔を取って苗を植え付けます。最後に底から水が流れ出すまで、たっぷりと水やりをしましょう。 水やり Osetrik/Shutterstock.com 【菜園】 地植えの場合は地下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、雨が降らず乾燥が続く場合は水やりをして補いましょう。 【プランター栽培】 日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 夏は気温の高い時間帯に水やりすると、直射日光で地熱が上がり、お湯のように熱くなって株が弱るので、涼しい朝か夕方に与えるようにしてください。 冬は、気温が十分に上がった昼ぐらいに与えましょう。夕方以降に水やりすると凍結の原因になるので注意します。 枯れ葉の除去 mihalec/Shutterstock.com 【菜園・プランター栽培ともに】 植え付けたあとは成長点のクラウンから葉が増え、その分古い葉は枯れていきます。この枯れた葉は、まめに取り除いておきましょう。いつまでも残しておくと病害虫が蔓延する原因になるので、枯れ葉を取って株まわりを清潔に保ってください。 肥料 Pawel Beres/Shutterstock.com 【菜園】 1回目の追肥を、1月下旬〜2月上旬に行います。1㎡当たり約30gの緩効性化成肥料を株の周囲にばらまき、移植ゴテなどでよく土になじませて株元に寄せておきましょう。 2回目の追肥は、花が咲き始めた頃に行います。マルチの穴を広げ、緩効性化成肥料を1株当たり1つまみほどばらまき、土になじませましょう。 【プランター栽培】 イチゴの花が咲いた頃、緩効性化成肥料10gほどを均一にばらまき、土になじませましょう。 マルチングする pausestudio/Shutterstock.com 【菜園】 3月上旬〜中旬に、黒のマルチフィルムを畝にかける「マルチング」を行います。マルチフィルムを畝全体にかけ、ピンと張って四方を土で盛って固定します。苗の真上あたりをカッターかハサミでバツ印に切り、すべての葉を地上に引き出してください。マルチングには、雨の跳ね返りを防いで病気が蔓延するのを予防したり、実が土にあたって傷まないようにする目的があります。 【プランター栽培】 プランターで栽培する場合は、マルチングの作業は不要です。 人工授粉 Pressmaster/Shutterstock.com 【菜園・プランターともに】 イチゴは虫が媒介して受粉します。しかし確実に収穫を目指すなら、人工授粉をすると安心です。花が咲いたら、筆などで花の中央をまんべんなくなでてください。特にプランター栽培で、なかなか虫が来ない環境では必ず行っておきたい作業です。 収穫 Michelle Sha/Shutterstock.com 【菜園・プランターともに】 イチゴの収穫期は、4月中旬〜6月上旬です。実がヘタの部分まで赤くなったら、切り取って収穫しましょう。完熟果の甘くてジューシーな味わいは、家庭栽培ならではですよ。 増やし方 Kazakova Maryia/Shutterstock.com 【菜園・プランター栽培ともに】 イチゴは収穫を終えた後、初夏頃から次々と長いつるのようなランナーを伸ばし始めます。このランナーから新しい葉や根を出して、次々に子株を増やしていく性質を持っているんです。すごい生命力ですね! この性質を利用して、株を増やしてみましょう。 親株から出たランナーにできる1株目は、生育が不安定になりやすいので使いません。1株目からさらにランナーを伸ばして2節目にできる子株を採取することにします。2節目から葉と根が出てきたら、ポリポットに培養土を入れてランナーをつけたまま植え付けましょう。そのまま3週間ほど経つと、根がしっかり活着するので、親株とつながっているランナーを切り取って独立させます(植え付けの際に、ランナーの向きを揃えて植えると説明しましたが、それはこの切り取った跡のことです)。子株は秋まで育苗し、植え付け適期に定植しましょう。 イチゴの繁殖能力は旺盛で、1株からランナーを旺盛に伸ばし、15〜20株ほどの子株を採取することができます。プランター栽培などでは、「邪魔だな」と思うこともあるほど。増やす必要がない場合は、ランナーが伸び始めたら早めに切り取ってもかまいません。 病害虫 nechaevkon/Shutterstock.com 【病気】 イチゴの栽培で注意したい病気は、うどんこ病、灰色かび病などです。 うどんこ病は、かびの一種が原因で発症します。葉と茎に発生し、全体に白い粉を吹いたような状態になるので、発見しやすい病気です。発症しても枯死するまでには至りませんが、生育が止まってしまいます。7〜9月に発生しやすく、気温が低下すると収束するのが特徴。畑では乾燥気味の状態で発生しやすいので、水の管理に注意しましょう。また、多肥によって軟弱になった株や、繁茂しすぎて風通しが悪くなった株も発生しやすくなります。 灰色かび病は、花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。多湿で風通しが悪く、込み合っていたり、枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなります。枯れ葉をこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は間引いて風通しよく管理しましょう。症状の出た花や葉はすぐに取り除いてください。 【害虫】 イチゴの栽培で注意したい害虫は、アブラムシ、ヨトウムシなどです。 アブラムシは、新芽が出る頃から多発しやすく、放置するとすぐに増えて、びっしりと茎葉を覆うまでになります。ウイルス病を媒介する厄介者なので、プランター栽培などでは発生初期に水で洗い流すなどの対処を。キラキラと光るものを嫌う性質があるので、地植え栽培では植え付け時に、被覆資材のシルバーマルチを畝に張っておくのもよいでしょう。 ヨトウムシには、ヨトウガ、ハスモンヨトウ、シロシタヨトウ、オオタバコガの幼虫なども含まれます。漢字では「夜盗虫」と書き、文字通り夜に現れて、旺盛に食害します。幼虫が大きくなると被害も大きくなるので、食害の痕跡を発見したら、夜にパトロールして捕殺しましょう。 花も実も魅力的なイチゴ! さっそく育ててみよう Real_life_Studio/Shutterstock.com イチゴは、初心者でも簡単に家庭栽培できるので「収穫できる植物を育ててみたい」と考えている方におすすめです。真っ赤に完熟した果実を収穫できるのは、家庭栽培ならではの贅沢。お子さんのいる家庭では、イチゴが花を咲かせた後に実をつける過程を一緒に観察すれば、食育にもつながります。ぜひ庭やベランダで育ててみてはいかがでしょうか?
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宿根草・多年草

タンポポ(たんぽぽ)についてもっと知りたい! 特徴や種類についてご紹介
タンポポとは? タンポポは、キク科タンポポ属の草花の総称で、主に3~4月にかけて、黄色い花を咲かせる野草です。春の野草といえば、このタンポポを思い浮かべる方も多いでしょう。もっとも、セイヨウタンポポは一年中花を咲かせることができるので、春以外の季節でも花を見ることができます。毎年花を咲かせる多年草で、生命力が強く、根が残っていれば茎を刈られてもまた伸びてきます。タンポポは根が長く、50cm以上まで深く伸ばすこともあるので、ガーデニングや家庭菜園では、根絶しにくいちょっと厄介な雑草でもあります。江戸時代には園芸愛好家にも人気のある花で、園芸品種もつくられました。 タンポポの特徴 それでは、タンポポの特徴について詳しく解説していきましょう。 特徴1.花 Maxstockphoto/Shutterstock.com まずはタンポポの花の特徴を見ていきましょう。 タンポポの花といえば、茎の先に咲く丸い花を思い浮かべますよね。でもじつは、これは花の集合体。1枚1枚の花弁のように見えている小さな花が集まった、花の塊(頭状花)なのです。小さな花が集まって、一つの大きな花のように見せることで、より昆虫の目を引くようにしているのだそう。 タンポポの花の蜜を吸うミツバチ。花弁のように一つひとつの小さな花が、実際のタンポポの花で、そこからしべが伸びているのが分かります。Yunhyok Choi/Shutterstock.com この小さな花を一つ取って観察してみましょう。小さな花の上部は舌のように伸び、下部は筒状になっていて、中にはちゃんとおしべとめしべがつくられています。このような形の花は、合弁花の一つで舌状花と呼ばれ、タンポポと同じくキク科のコスモスやヒマワリにも見られますが、タンポポはこの形の花だけが集まっているのが特徴です。 タンポポの花が咲く期間は約3日。花は朝につぼみを開き、夕方には閉じています。初めは太陽の光が差し込み、15~25℃ほどの温度がある状態で咲き始めますが、2日目以降は太陽の光だけでも咲いたり、3日目になるとどちらもなくても花が開くこともあり、まだ花の動きについてはよく分かっていないことも多いようです。 特徴2.葉 Maren Winter/Shutterstock.com 次に、タンポポの葉を見ていきましょう。 タンポポの葉は、ぎざぎざと切れ込みが入った形が特徴的。この葉は、育つ場所によって少し形が変わってくることもあります。日当たりが悪い、日陰の場所に咲くタンポポの葉は、少しでも太陽の光を多く浴びることができるように、葉の枚数が少なく、切れ込みが浅くなります。一方、日当たりのよい場所に咲くタンポポは、重なった葉の隙間から差し込む光でも光合成ができるため、葉の切れ込みは深くなり、重なり合うように多く茂る傾向にあります。 また、夏の間は他の植物もよく茂るので、草丈の低いタンポポはあまり光を浴びることができません。そこで、夏の間は葉を少なくして活動量を減らし、秋頃になって他の植物の活動量が落ちてくると、葉をロゼット状に茂らせて寒さや乾燥から身を守りながら冬を越します。 特徴3.綿毛 maoyunping/Shutterstock.com 続いて、タンポポの種子である綿毛について。タンポポといえば、黄色い花もさることながら、白くふわふわとしたこの綿毛姿も可愛らしいですよね。茎を折り取って、息を吹きかけて飛ばしたことがある人も多いはず。 タンポポの綿毛の部分は冠毛といい、風に乗って飛ばされやすいよう、羽に似た形をしていて、雨の日になると濡れないように閉じてしまいますが、晴れるとまた元通りになって飛んでいきます。冠毛を一つ取って見てみると、綿毛の下にタネのようなものがついています。これはタンポポの果実(痩果)で、この中にタネが入っています。 さて、先述の通り、タンポポの花は小さな花の集合体。そのため、花が咲いた後はその一つひとつが果実をつくり、あのように綿毛がついたたくさんの果実が集まった姿になります。こうしてつくられた果実は、離れた場所で繁殖するために飛んでいくのです。 タンポポは繁殖力が強く、タネが落ちたところが土の上でなくても成長することがあります。アスファルトの隙間などから顔をのぞかせている姿などもよく見かけますね。 特徴4.茎 Tatyana Mi/Shutterstock.com タンポポの茎は、よく見ると葉がついていません。この茎は花茎と呼ばれ、葉をつけるのではなく花を咲かせるための茎です。タンポポのつぼみは葉のつけ根にでき、成長するごとに花茎が伸びて花を咲かせます。花が咲き終わった後は、茎の成長は止まりますが、葉や根の養分が送られてタネが育ち、2週間ほどで白い綿毛姿が見られます。ちなみに、タンポポの茎を折ると出てくる白い乳液は、細菌やカビの侵入を防ぎ、傷口の修復をする作用があると考えられています。 特徴5.根 vainillaychile/Shutterstock.com タンポポは地中深くまで長い根を伸ばしています。長さは30~50cmほどで、時に1mを超えることもあります。タンポポの根はとても太く丈夫で、地上部がなくなっても根があれば再生できるため、生命力の強い野草です。長い根を完全に取り切るのは難しいため、雑草としてはなかなか厄介な存在です。この根を焙煎してつくるたんぽぽコーヒーは、コーヒーの代替品として使われていることもあります。味はコーヒーそのもの、という訳ではありませんが、ノンカフェインで、健康や美容によい効果があるとされているため、現在でも多くの人に飲用されています。 タンポポの種類 よく知られているように、タンポポには大きく分けて、日本に自生するニホンタンポポと、外来種であるセイヨウタンポポの2つがあります。ここでは、それぞれの特徴や違いを解説します。 二ホンタンポポ カントウタンポポ。ikwc_exps/Shutterstock.com ニホンタンポポは、もともと日本に生息していた自生種です。ニホンタンポポと一口にいっても、カントウタンポポやエゾタンポポ、シロバナタンポポなど、いくつもの種類がありますが、どれも花のつけ根にある総苞が閉じているのが大きな特徴で、花の後ろを確認すれば、セイヨウタンポポと簡単に見分けることができます。稀に冬にも咲くことがありますが、基本的に開花するのは春のみ。綿毛のついた果実はセイヨウタンポポよりも大きく重く、量も少ないため、広範囲に飛ぶことが少なく、また、セイヨウタンポポとは違い、単為生殖によって増えることも少ないため、分布している範囲は局地的です。最近ではセイヨウタンポポに押され、目にすることが少なくなりましたが、神社のそばなど昔ながらの自然が残っている場所では、自生している姿を見ることができます。しかしながら、じつはニホンタンポポは、環境適応能力はセイヨウタンポポよりも上で、非常に強いと考えられています。もっとも、セイヨウタンポポとの交雑が多く起こっているため、純粋なニホンタンポポは次第に数を減らしているようです。 ニホンタンポポの一つ、シロバナタンポポ。花の下の総苞片は反り返りません。High Mountain/Shutterstock.com セイヨウタンポポ 花の下の総苞片が反り返っているのが特徴。F_studio/Shutterstock.com セイヨウタンポポはもともと外来種ですが、現在では日本各地に分布。日本で確認されるタンポポの8割ほどがセイヨウタンポポか、その交雑種だといわれていて、普段見かけるタンポポも、多くがセイヨウタンポポになっています。セイヨウタンポポは、ニホンタンポポとは違い、総苞片が反り返っているという特徴があります。ただし、ニホンタンポポとの交雑種には見分けがつきにくいものもあります。また、タネの量が非常に多く、果実も小さく軽いので、風に乗って広範囲に広がり、アスファルトの隙間など、生活に身近なところにも多く分布しています。単為生殖によりクローン体をつくって多数に増える半面、環境適応力はニホンタンポポに比べてやや低いそう。一年中開花することができるので、季節を問わず花を楽しむことができます。 タンポポの名前の由来 Cyrustr/Shutterstock.com あの可愛らしい花にぴったりなタンポポという名前ですが、この名前の由来をご存じでしょうか。ここでは、タンポポの名前の由来を、日本語と英語に分けて解説しましょう。 和名「蒲公英(たんぽぽ)」の由来 タンポポという、なんだか心が弾むような可愛い名前ですが、この名の由来は諸説あります。 由来の一つは、白い綿毛が丸く集まった様子が、綿などを丸めて布で包んだ「たんぽ」に似ていることから、「たんぽ穂」となったというもの。田んぼの道に生えていることが多かったことから「田菜」と呼ばれていたものが、徐々に「たん」という音に変わり、綿毛がほほける(ほつれる)という特徴から「ほほ」と組み合わさって、「たんぽぽ」になったという説もあります。ほかに、タンポポの異名の一つである「鼓草(つつみぐさ)」から、鼓をたたいた音が「タンタン、ポンポン」であることから、タンポポという名前の由来になったという説もあります。どの説が正解かは分かっていませんが、いずれにせよ、春の明るい雰囲気を伝える黄色い花にぴったりの名前ですよね。 また、タンポポは漢字では蒲公英と書きます。これは中国から伝わった言葉で、開花前に収穫したタンポポを乾燥させた漢方を「蒲公英(ほこうえい)」と呼ぶことから、この漢字を使うようになったと考えられています。 英名「Dandelion(ダンデライオン)」の由来 タンポポは英語で「Dandelion(ダンデライオン)」。タンポポの黄色い花が、ライオン(lion)のたてがみに似ていることからこの名がついたとされることもありますが、じつは名前の由来となったのは花ではなく葉。ギザギザと切れ込みが入ったタンポポの葉を、荒々しいライオンの歯並びに見立てた名前となっているそうです。 タンポポの花言葉 Shukaylova Zinaida/Shutterstock.com タンポポの花言葉は、「愛の神託」「別離」など。「愛の神託」は、ヨーロッパにあるたんぽぽの綿毛を使用した占いに由来しています。「好き、嫌い」を唱えながら最後に残った綿毛がどちらになるかという占いで、恋の行方を神に託したことから「愛の神託」という花言葉がついたそうです。また、「別離」はタンポポの綿毛が風に乗って飛んでいく姿からつけられました。 タンポポは優れた野草! nada54/Shutterstock.com 明るい黄色の、元気が出る花を咲かせてくれるタンポポは、私たちの暮らしの中でも親しみのある花です。花を楽しむだけでなく、タンポポは明治時代頃まで、花を天ぷらにしたり、茎をきんぴらにして食べられていた、食用できる野草でもあります。たんぽぽを乾燥させたものは、生薬「蒲公英」として利用されています。可愛らしい見た目とは裏腹に、とても実用的な花でもあるのです。 タンポポの葉や茎には、ちょっと苦みがあって好き嫌いの分かれる味ですが、野草の一つとして食べてみるのもいいですね。もし野生のタンポポを食べてみる場合は、汚染がなく食用にできるものかをよく確認しましょう。また、刺激が強いので、食べ過ぎにはご注意ください。 参考文献:「小さな園芸館」http://dp29197713.lolipop.jp/index.htm「ベネッセ 教育情報サイト」https://benesse.jp/「おしえて!田舎センセイ!」https://inakasensei.com/「トレンドピックアップ」https://santa001.com/「花言葉-由来」https://hananokotoba.com/
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樹木

【桜の盆栽】 小スペースで咲かせる! コンパクトな桜の盆栽の育て方
桜の盆栽とは? PhotoMik/Shutterstock.com まずは桜の盆栽とはどんなものか、魅力や特徴、品種などについてご紹介します。 桜の盆栽の魅力 Tammyiho/Shutterstock.com 桜を小さな鉢に植え付けて「盆栽仕立て」にすることで、通常は大きく成長する桜がコンパクトに楽しめます。盆栽のなかには、樹高が10cmにも満たない小ぶりなものもあるので、ベランダやテラス、庭の一角、窓辺などの限られたスペースにも置きやすいのがメリットです。 桜は、春は華やかな花が咲き、夏は葉桜など、四季ごとに異なる姿を見せてくれます。盆栽の種類もいろいろで、桜と藤の花を組み合わせ、寄せ植えにしたものもあります。販売されている桜の盆栽の価格帯は、3,000〜10,000円が中心で、比較的お手頃なのも魅力です。 盆栽に使われる桜の種類 blubird/Shutterstock.com 桜には大きく分けて里桜と山桜の2種類があります。 里桜は公園や道路、庭などに植えられた野生種から園芸用に品種改良されたものを指します。ひと口に里桜といってもいくつかの品種があり、立派な樹形が特徴で接ぎ木苗から育てるソメイヨシノや、垂れた枝が特徴のしだれ桜、春と秋に花が咲き、1年に2回花が楽しめる十月桜、初心者向けとされている旭山桜などがあります。 山桜は野山に自生している桜の品種で、こちらもいくつかの種類がありますが、盆栽仕立てでは富士桜がよく用いられます。 桜の盆栽の管理方法 AMJ Fotografia/Shutterstock.com 桜の盆栽は、時期に合わせた適切な管理が必要です。 3月中旬から下旬に花が咲き終わったら剪定し、形を整えます。開花期間中は花がら摘みも忘れずに行いましょう。肥料は春から秋にかけて施しますが、梅雨と真夏の時期は避けたほうが無難です。 9月頃になったら必要に応じて植え替えをします。11〜12月、桜が休眠する寒くなる時期よりも前に、本格的な剪定を終わらせておくとよいでしょう。 桜の盆栽を育てるポイントは? Mila Supinskaya Glashchenko/Shutterstock.com ここからは、置き場所や水やり、針金掛けなど、桜の盆栽を育てる際のポイントを解説します。 置き場所 Sergey Rybin/Shutterstock.com 桜の盆栽は、基本的に屋外で管理します。 管理がしやすいのは半日陰ですが、立派な花を咲かせるためには、よく日に当てたほうがよいでしょう。屋内や軒下で管理する場合は、日中に時々窓を開けて風通しをよくし、日照が不足しないように気をつけましょう。 冬は、寒冷地の場合は寒さから守るため、一時的にであれば室内管理も可能ですが、ソメイヨシノのように、ある程度長い期間寒さにあてないと、翌春の花が咲かないものもあります。樹に冬が来たことを知らせるため、冬の間に2〜3回霜にあたるような環境で育てるほうがよいでしょう。 水やり New Africa/Shutterstock.com 桜の盆栽は根の成長が旺盛なので、水を好みます。表土が乾いていたら、たっぷりと水やりをしましょう。季節に応じて水やり方法を変えると、根腐れを防いだり、花の咲き具合をよくしたりといった効果があります。夏場は1日に2回、春や秋は1日に1〜2回、冬場は2〜3日に1回が目安です。 針金掛け khuntapol/Shutterstock.com 桜の幹や枝は水分が多く、柔らかくて折れやすい性質です。枝の形を整えるために施す針金掛けを行う場合、枝や幹肌を傷めないように、針金に紙を巻いてから掛ける方法もおすすめです。古い枝ほど折れやすいので、針金を掛ける場合は、伸びてまもない、しなやかな若い枝を選びましょう。 樹の形はこまめな剪定で整えて作っていきます。針金はあくまでも補助的なものと考えたほうがよいでしょう。針金を掛けるのに適切な時期は6月頃で、休眠前の寒い時期に掛けてしまうと枝が枯れる場合もありますので注意が必要です。 植え替え tete_escape/Shutterstock.com 植え替えの適期は、春または秋です。桜は成長が早いので、毎年植え替えをしたほうがよいでしょう。 植え替えの前には水やりを控えると作業しやすく、根も傷めにくくなります。鉢から取り出した根株の古い根や傷んだ部分を切り取り、小さな鉢の中で新しい根が成長しやすいように整えます。古い土は7割ほど取り除いて新しい土を足してから鉢に植え込みましょう。 病気や害虫の予防と対策 ALX1618/Shutterstock.com 剪定後は木が弱っていますので、切り口に防腐剤を塗るなどのひと手間が重要です。また、花がらはこまめに摘み取り、株を清潔に保つことが病気の予防になります。 新芽や若葉が伸び出す頃にはアブラムシや毛虫、葉がしっかりしてくる頃にはカイガラムシやワタムシに注意が必要です。もしカイガラムシやワタムシが発生してしまった場合は、歯ブラシなどで除去したり、適用のある殺虫剤を使うのも有効です。 桜の盆栽を整えるには剪定が大切 TONG2519/Shutterstock.com 盆栽らしい樹形をつくるためには、剪定の仕方がポイントです。ここからは桜の盆栽の剪定について解説します。 若木の剪定 Monika Wisniewska/Shutterstock.com 若木のうちは樹の形を決めるために積極的に剪定しましょう。花芽は意識せずに芽摘みを繰り返し、不要な枝は思い切って切り詰めましょう。太い枝を切る場合は、切り口から病気に感染したり、害虫に蝕まれたりするリスクが高いので、もし切り落とす必要がある場合は、前述のように切り口には防腐剤を塗るとよいでしょう。 形が整ってきた頃の剪定 nikita kuznetsof/Shutterstock.com 形が整ってきたら、花が咲き終わった後と、休眠期に入る前の2回に分けて剪定を行います。形を整える程度であれば、枝の先端を切るだけでも十分です。混み合っている場合は、枝分かれをしている付け根から間引きましょう。太い枝は切りすぎないように剪定します。 綺麗な桜を咲かせるコツは? Alexey Malkov/Shutterstock.com 綺麗な花を咲かせるためには、水やりが重要です。夏場の水やりは加減が難しく、水が少ないと翌年の咲き具合が悪くなってしまいますが、与えすぎると茎や葉が成長しすぎる原因になります。冬に水切れを起こすと花芽を傷めてしまいますので、水を切らさないようにしましょう。 花が咲いた後は栄養が不足している状態なので、肥料が必要不可欠です。また、植え替え後に伸びた枝には新芽がよくつくので、枝の伸びが止まるまで切り詰めないようにしましょう。盆栽をよく光に当てることも重要です。 自分でも桜の盆栽は作れる? MNStudio/Shutterstock.com 自分で1から桜の盆栽を育てる場合は、種子を播く方法と、挿し木をする方法があります。 種子から育てる場合は、種子を1〜3カ月間冷蔵庫で冷やして擬似的に冬眠のような状態にします。その後、12月から1月に種まきします。 挿し木の場合は、3月から4月に行います。はじめは苗用ポットで発根させ、半年ほど育てて鉢に植え替えます。 綺麗に桜の盆栽を仕立てるには日々のお手入れが大切 Matthieu Tuffet/Shutterstock.com 桜の盆栽を育てて美しい花を咲かせるためには、日頃のお手入れが最も大切です。水やりや肥料、日当たりに注意して、見ごたえのある花を咲かせる盆栽に仕立てましょう。 また、桜は枝が柔らかく傷つきやすい植物ですので、剪定や針金掛けの際は、樹を傷めないよう十分注意して育ててくださいね。




















