イチゴの花の特徴や花言葉は? 家庭菜園で育てて完熟の味を楽しもう!

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「イチゴを育ててみたいな」と考えている方は多いのではないでしょうか。じつはイチゴは、家庭でも簡単に栽培できるフルーツの一つです。プランターを使えばベランダでも育てられますよ! この記事では、イチゴの基本情報や種類、詳しい育て方まで幅広くご紹介していきます。
目次
イチゴについて知ろう
イチゴとは、どんな植物なのでしょうか。ここでは、イチゴの基礎知識についてガイドしていきます。
イチゴの基礎知識

イチゴはバラ科イチゴ属の多年草です。一度植え付ければ毎年開花して果実を収穫できる息の長い植物で、コストパフォーマンスに優れています。イチゴのライフサイクルは次の通りです。植え付けの適期は10月中旬〜11月中旬。秋にできた花芽が冬の寒さにあうことで覚醒する性質があるので、そのまま冬越しさせます。春になると生育期を迎えて葉をよく茂らせるようになり、3月中旬〜4月に開花。果実を収穫できるのは5〜6月です。初夏からはつるのようなランナーを旺盛に伸ばして子株を作ろうとします。冬になると生育が止まりますが、常緑のまま越冬し、また春を迎えると生育期に入って葉を茂らせる……という繰り返しです。
野生種のイチゴは石器時代から食されていたようですが、栽培イチゴの原産地はオランダで、現在のような品種ができたのは18世紀頃。北アメリカ原産のバージニアイチゴとチリ原産のチリイチゴが交雑して、現在の栽培イチゴが生まれたとされています。
イチゴの種類

日本は品種改良の技術が高く、甘くて大粒の品種が次々と作出されていますが、青果店やスーパーなどで手に入る人気のイチゴの品種は、ほとんどがハウス栽培用です。したがって、一般家庭でイチゴを育てる際は、家庭菜園で栽培できる品種、たとえば‘宝交早生’ ‘章姫’ ‘さちのか’ ‘越後姫’ ‘あかねっ娘’ ‘あまごこち’などから選ぶことになります。
イチゴの名前の由来

昔、イチゴは「イチイガシ」「イチビコ」と呼ばれていました。それがなまって「イチゴ」と呼ぶようになったといわれています。
英名の「strawberry」は、「ワラのベリー」という意味で、イチゴがワラに巻かれたり、敷かれたりして売られていたからという説があるようです。
イチゴは野菜? 果物?

イチゴは人気の高いフルーツですが、野菜の仲間の果菜類(実を収穫する野菜)に分類されています。実際のイチゴの実は、甘くて美味しい果肉ではなく、表面にゴマのようについている「そう果」という部分で、さらにその中に種が入っています。赤い果肉部分は、子房を支える土台の「花托」という器官です。
イチゴの花の特徴

イチゴの開花期は3月下旬〜4月。花茎を伸ばした先に、数輪の花を咲かせます。基本的には白の一重咲きですが、中にはピンクの花を咲かせる品種もあります。
イチゴの花言葉

イチゴの花言葉には、「尊重と愛情」「完全なる善」「先見の明」「甘い香り」「幸福な家庭」「あなたは私を喜ばせる」などがあります。
イチゴを育ててみよう
ここまで、イチゴの基礎知識や種類、特徴、花言葉など、幅広くご紹介してきました。では、ここからは家庭菜園の実践編として、イチゴの育て方について詳しく解説していきます。
品種と苗を選ぶ

イチゴの栽培は、苗の植え付けからスタートします。苗は花苗店やホームセンターなどで入手できます。初心者でも育てやすい品種は、‘章姫’、‘宝交早生’、‘とちおとめ’、‘あかねっ娘’などです。
苗は本葉が4〜5枚ついた、節間が詰まって勢いのあるものを選びましょう。また、ウイルスフリーの苗を選ぶのも失敗を少なくするポイント。ウイルスフリー苗とは、成長点培養でウイルス病に冒されないように育苗された、病気を持っていない苗のことです。
土作り

【菜園】
苗を植え付ける2〜3週間以上前に、苦土石灰を1㎡当たり100〜150g散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおいてください。さらに植え付けの1〜2週間前に、1㎡当たり堆肥約2㎏、緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)約100g、熔リン約50gを均一にまいて、よく耕しましょう。畝の幅を約60cm取って、高さ10cmほどの畝をつくります。畝の長さは苗の数や広さに応じて自由に決めてかまいません。表土は平らにならしておきましょう。事前に土づくりをしておくことで、分解が進んで土が熟成し、植物の生育がよくなります。
【プランター栽培】
野菜の栽培用にブレンドされた市販の培養土を利用すると便利です。
植え付け

イチゴの植え付け適期は、10月中旬〜11月中旬です。これ以外の時期に花苗店などで苗を購入した場合は、すぐに植え付けてください。
植え付けの際は、イチゴの苗の地際の部分をよく見てください。親株から伸びたつるの「ランナー」が残っています。イチゴは、このランナーの反対側に花が咲いて実をつける性質を持っているので、ランナーを揃えて植えると、人工授粉や収穫などの管理がしやすくなります。また、イチゴの苗は、葉が付け根から放射状に伸びますが、この付け根の膨らんだ部分を「クラウン」といいます。このクラウンは成長点のため、地面に深く植えて埋めてしまうと、成長しなくなります。イチゴを植え付ける際は、クラウンを埋めないように浅植えにするのがポイントです。
【菜園】
土作りの際に設けた畝に、株間(株と株の間)・条間(隣の列との間)ともに約30cmの間隔を取って苗を植え付けます。畑の内側にランナーを揃えると、畝の外側に実がつき、管理がしやすくなります。最後にたっぷりと水やりをしておきましょう。
【プランター栽培】
横幅60〜70cmほどの標準的な長方形型プランターで、3株を目安に植えるとよいでしょう。
底穴に鉢底網を敷き、底が見えなくなるくらいまで鉢底石を入れ、その上に野菜用にブレンドされた培養土を入れます。水やりの際に水があふれ出ずに済むように、ウォータースペースを鉢縁から2〜3㎝残しておきましょう。15〜20cmの間隔を取って苗を植え付けます。最後に底から水が流れ出すまで、たっぷりと水やりをしましょう。
水やり

【菜園】
地植えの場合は地下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、雨が降らず乾燥が続く場合は水やりをして補いましょう。
【プランター栽培】
日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
夏は気温の高い時間帯に水やりすると、直射日光で地熱が上がり、お湯のように熱くなって株が弱るので、涼しい朝か夕方に与えるようにしてください。
冬は、気温が十分に上がった昼ぐらいに与えましょう。夕方以降に水やりすると凍結の原因になるので注意します。
枯れ葉の除去

【菜園・プランター栽培ともに】
植え付けたあとは成長点のクラウンから葉が増え、その分古い葉は枯れていきます。この枯れた葉は、まめに取り除いておきましょう。いつまでも残しておくと病害虫が蔓延する原因になるので、枯れ葉を取って株まわりを清潔に保ってください。
肥料

【菜園】
1回目の追肥を、1月下旬〜2月上旬に行います。1㎡当たり約30gの緩効性化成肥料を株の周囲にばらまき、移植ゴテなどでよく土になじませて株元に寄せておきましょう。
2回目の追肥は、花が咲き始めた頃に行います。マルチの穴を広げ、緩効性化成肥料を1株当たり1つまみほどばらまき、土になじませましょう。
【プランター栽培】
イチゴの花が咲いた頃、緩効性化成肥料10gほどを均一にばらまき、土になじませましょう。
マルチングする

【菜園】
3月上旬〜中旬に、黒のマルチフィルムを畝にかける「マルチング」を行います。マルチフィルムを畝全体にかけ、ピンと張って四方を土で盛って固定します。苗の真上あたりをカッターかハサミでバツ印に切り、すべての葉を地上に引き出してください。マルチングには、雨の跳ね返りを防いで病気が蔓延するのを予防したり、実が土にあたって傷まないようにする目的があります。
【プランター栽培】
プランターで栽培する場合は、マルチングの作業は不要です。
人工授粉

【菜園・プランターともに】
イチゴは虫が媒介して受粉します。しかし確実に収穫を目指すなら、人工授粉をすると安心です。花が咲いたら、筆などで花の中央をまんべんなくなでてください。特にプランター栽培で、なかなか虫が来ない環境では必ず行っておきたい作業です。
収穫

【菜園・プランターともに】
イチゴの収穫期は、4月中旬〜6月上旬です。実がヘタの部分まで赤くなったら、切り取って収穫しましょう。完熟果の甘くてジューシーな味わいは、家庭栽培ならではですよ。
増やし方

【菜園・プランター栽培ともに】
イチゴは収穫を終えた後、初夏頃から次々と長いつるのようなランナーを伸ばし始めます。このランナーから新しい葉や根を出して、次々に子株を増やしていく性質を持っているんです。すごい生命力ですね! この性質を利用して、株を増やしてみましょう。
親株から出たランナーにできる1株目は、生育が不安定になりやすいので使いません。1株目からさらにランナーを伸ばして2節目にできる子株を採取することにします。2節目から葉と根が出てきたら、ポリポットに培養土を入れてランナーをつけたまま植え付けましょう。そのまま3週間ほど経つと、根がしっかり活着するので、親株とつながっているランナーを切り取って独立させます(植え付けの際に、ランナーの向きを揃えて植えると説明しましたが、それはこの切り取った跡のことです)。子株は秋まで育苗し、植え付け適期に定植しましょう。
イチゴの繁殖能力は旺盛で、1株からランナーを旺盛に伸ばし、15〜20株ほどの子株を採取することができます。プランター栽培などでは、「邪魔だな」と思うこともあるほど。増やす必要がない場合は、ランナーが伸び始めたら早めに切り取ってもかまいません。
病害虫

【病気】
イチゴの栽培で注意したい病気は、うどんこ病、灰色かび病などです。
うどんこ病は、かびの一種が原因で発症します。葉と茎に発生し、全体に白い粉を吹いたような状態になるので、発見しやすい病気です。発症しても枯死するまでには至りませんが、生育が止まってしまいます。7〜9月に発生しやすく、気温が低下すると収束するのが特徴。畑では乾燥気味の状態で発生しやすいので、水の管理に注意しましょう。また、多肥によって軟弱になった株や、繁茂しすぎて風通しが悪くなった株も発生しやすくなります。
灰色かび病は、花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。多湿で風通しが悪く、込み合っていたり、枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなります。枯れ葉をこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は間引いて風通しよく管理しましょう。症状の出た花や葉はすぐに取り除いてください。
【害虫】
イチゴの栽培で注意したい害虫は、アブラムシ、ヨトウムシなどです。
アブラムシは、新芽が出る頃から多発しやすく、放置するとすぐに増えて、びっしりと茎葉を覆うまでになります。ウイルス病を媒介する厄介者なので、プランター栽培などでは発生初期に水で洗い流すなどの対処を。キラキラと光るものを嫌う性質があるので、地植え栽培では植え付け時に、被覆資材のシルバーマルチを畝に張っておくのもよいでしょう。
ヨトウムシには、ヨトウガ、ハスモンヨトウ、シロシタヨトウ、オオタバコガの幼虫なども含まれます。漢字では「夜盗虫」と書き、文字通り夜に現れて、旺盛に食害します。幼虫が大きくなると被害も大きくなるので、食害の痕跡を発見したら、夜にパトロールして捕殺しましょう。
花も実も魅力的なイチゴ! さっそく育ててみよう

イチゴは、初心者でも簡単に家庭栽培できるので「収穫できる植物を育ててみたい」と考えている方におすすめです。真っ赤に完熟した果実を収穫できるのは、家庭栽培ならではの贅沢。お子さんのいる家庭では、イチゴが花を咲かせた後に実をつける過程を一緒に観察すれば、食育にもつながります。ぜひ庭やベランダで育ててみてはいかがでしょうか?
Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
参考文献
『やさしい家庭菜園』 監修者/藤田智、加藤義松 発行/家の光協会 2006年3月1日第1刷
『別冊やさい畑 野菜づくり名人 虎の巻』発行/家の光協会 2009年2月1日発行
『甘やかさない栽培法で野菜の力を引き出す 加藤流絶品野菜づくり』著者/加藤正明 発行/万来舎 発売/エイブル 2015年5月25日発行第2刷
『はじめての野菜づくり コンテナ菜園を楽しもう』著者/藤田智 発行/日本放送出版協会 2007年5月25日発行
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