【桜の盆栽】 小スペースで咲かせる! コンパクトな桜の盆栽の育て方

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盆栽といえば松がポピュラーですが、桜の盆栽は四季折々でそれぞれ異なる姿を見せてくれる所が魅力です。地植えでは大きくなる桜の木も、盆栽ならコンパクトに仕立てることができ、華やかで見応えのある花を咲かせてくれます。とはいえ、適切な手入れをしないと枯れてしまったり、花が咲きにくくなってしまうことも。この記事では桜の盆栽の特徴から管理方法まで詳しくご紹介します。ぜひコツを覚えて、桜の盆栽を楽しみましょう。
目次
桜の盆栽とは?

まずは桜の盆栽とはどんなものか、魅力や特徴、品種などについてご紹介します。
桜の盆栽の魅力

桜を小さな鉢に植え付けて「盆栽仕立て」にすることで、通常は大きく成長する桜がコンパクトに楽しめます。盆栽のなかには、樹高が10cmにも満たない小ぶりなものもあるので、ベランダやテラス、庭の一角、窓辺などの限られたスペースにも置きやすいのがメリットです。
桜は、春は華やかな花が咲き、夏は葉桜など、四季ごとに異なる姿を見せてくれます。盆栽の種類もいろいろで、桜と藤の花を組み合わせ、寄せ植えにしたものもあります。販売されている桜の盆栽の価格帯は、3,000〜10,000円が中心で、比較的お手頃なのも魅力です。
盆栽に使われる桜の種類

桜には大きく分けて里桜と山桜の2種類があります。
里桜は公園や道路、庭などに植えられた野生種から園芸用に品種改良されたものを指します。ひと口に里桜といってもいくつかの品種があり、立派な樹形が特徴で接ぎ木苗から育てるソメイヨシノや、垂れた枝が特徴のしだれ桜、春と秋に花が咲き、1年に2回花が楽しめる十月桜、初心者向けとされている旭山桜などがあります。
山桜は野山に自生している桜の品種で、こちらもいくつかの種類がありますが、盆栽仕立てでは富士桜がよく用いられます。
桜の盆栽の管理方法

桜の盆栽は、時期に合わせた適切な管理が必要です。
3月中旬から下旬に花が咲き終わったら剪定し、形を整えます。開花期間中は花がら摘みも忘れずに行いましょう。肥料は春から秋にかけて施しますが、梅雨と真夏の時期は避けたほうが無難です。
9月頃になったら必要に応じて植え替えをします。11〜12月、桜が休眠する寒くなる時期よりも前に、本格的な剪定を終わらせておくとよいでしょう。
桜の盆栽を育てるポイントは?

ここからは、置き場所や水やり、針金掛けなど、桜の盆栽を育てる際のポイントを解説します。
置き場所

桜の盆栽は、基本的に屋外で管理します。
管理がしやすいのは半日陰ですが、立派な花を咲かせるためには、よく日に当てたほうがよいでしょう。屋内や軒下で管理する場合は、日中に時々窓を開けて風通しをよくし、日照が不足しないように気をつけましょう。
冬は、寒冷地の場合は寒さから守るため、一時的にであれば室内管理も可能ですが、ソメイヨシノのように、ある程度長い期間寒さにあてないと、翌春の花が咲かないものもあります。樹に冬が来たことを知らせるため、冬の間に2〜3回霜にあたるような環境で育てるほうがよいでしょう。
水やり

桜の盆栽は根の成長が旺盛なので、水を好みます。表土が乾いていたら、たっぷりと水やりをしましょう。季節に応じて水やり方法を変えると、根腐れを防いだり、花の咲き具合をよくしたりといった効果があります。夏場は1日に2回、春や秋は1日に1〜2回、冬場は2〜3日に1回が目安です。
針金掛け

桜の幹や枝は水分が多く、柔らかくて折れやすい性質です。枝の形を整えるために施す針金掛けを行う場合、枝や幹肌を傷めないように、針金に紙を巻いてから掛ける方法もおすすめです。古い枝ほど折れやすいので、針金を掛ける場合は、伸びてまもない、しなやかな若い枝を選びましょう。
樹の形はこまめな剪定で整えて作っていきます。針金はあくまでも補助的なものと考えたほうがよいでしょう。針金を掛けるのに適切な時期は6月頃で、休眠前の寒い時期に掛けてしまうと枝が枯れる場合もありますので注意が必要です。
植え替え

植え替えの適期は、春または秋です。桜は成長が早いので、毎年植え替えをしたほうがよいでしょう。
植え替えの前には水やりを控えると作業しやすく、根も傷めにくくなります。鉢から取り出した根株の古い根や傷んだ部分を切り取り、小さな鉢の中で新しい根が成長しやすいように整えます。古い土は7割ほど取り除いて新しい土を足してから鉢に植え込みましょう。
病気や害虫の予防と対策

剪定後は木が弱っていますので、切り口に防腐剤を塗るなどのひと手間が重要です。また、花がらはこまめに摘み取り、株を清潔に保つことが病気の予防になります。
新芽や若葉が伸び出す頃にはアブラムシや毛虫、葉がしっかりしてくる頃にはカイガラムシやワタムシに注意が必要です。もしカイガラムシやワタムシが発生してしまった場合は、歯ブラシなどで除去したり、適用のある殺虫剤を使うのも有効です。
桜の盆栽を整えるには剪定が大切

盆栽らしい樹形をつくるためには、剪定の仕方がポイントです。ここからは桜の盆栽の剪定について解説します。
若木の剪定

若木のうちは樹の形を決めるために積極的に剪定しましょう。花芽は意識せずに芽摘みを繰り返し、不要な枝は思い切って切り詰めましょう。太い枝を切る場合は、切り口から病気に感染したり、害虫に蝕まれたりするリスクが高いので、もし切り落とす必要がある場合は、前述のように切り口には防腐剤を塗るとよいでしょう。
形が整ってきた頃の剪定

形が整ってきたら、花が咲き終わった後と、休眠期に入る前の2回に分けて剪定を行います。形を整える程度であれば、枝の先端を切るだけでも十分です。混み合っている場合は、枝分かれをしている付け根から間引きましょう。太い枝は切りすぎないように剪定します。
綺麗な桜を咲かせるコツは?

綺麗な花を咲かせるためには、水やりが重要です。夏場の水やりは加減が難しく、水が少ないと翌年の咲き具合が悪くなってしまいますが、与えすぎると茎や葉が成長しすぎる原因になります。冬に水切れを起こすと花芽を傷めてしまいますので、水を切らさないようにしましょう。
花が咲いた後は栄養が不足している状態なので、肥料が必要不可欠です。また、植え替え後に伸びた枝には新芽がよくつくので、枝の伸びが止まるまで切り詰めないようにしましょう。盆栽をよく光に当てることも重要です。
自分でも桜の盆栽は作れる?

自分で1から桜の盆栽を育てる場合は、種子を播く方法と、挿し木をする方法があります。
種子から育てる場合は、種子を1〜3カ月間冷蔵庫で冷やして擬似的に冬眠のような状態にします。その後、12月から1月に種まきします。
挿し木の場合は、3月から4月に行います。はじめは苗用ポットで発根させ、半年ほど育てて鉢に植え替えます。
綺麗に桜の盆栽を仕立てるには日々のお手入れが大切

桜の盆栽を育てて美しい花を咲かせるためには、日頃のお手入れが最も大切です。水やりや肥料、日当たりに注意して、見ごたえのある花を咲かせる盆栽に仕立てましょう。
また、桜は枝が柔らかく傷つきやすい植物ですので、剪定や針金掛けの際は、樹を傷めないよう十分注意して育ててくださいね。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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