スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
3and gardenの記事
-
ストーリー

春の庭を歩いて摘んで、野の花ハーブのほっこりお昼ごはん
春は黄色から始まる 「これはクロモジの花。枝にいい香りがあって高級楊枝の材料として有名ですけど、うーん、花には香りがないですね〜。でもこの黄色の花を見ると、春だなあってうれしくなります。ほら、あっちはトサミズキの花」と春の庭を楽しそうに歩くのは、鈴木さちよさん。ハーブを利用した茨城県の化粧品メーカー「鈴木ハーブ研究所」の社長で、社屋の隣に500種以上のハーブが育つ庭をつくっています。 「この庭はハーブを利用して化粧品を作る私たちが、実際のハーブがどのような姿形をして、どんな香りがするのかを観察したり、実際に食べたり利用したりするためのサンプルガーデンなんです」 トサミズキの輝くような黄色の花。 山菜は代謝を促す春のハーブ 春の庭では、フキノトウやコゴミ、ウルイなどが顔を出し始めました。山菜は春のハーブ。独特の苦味には、植物性アルカロイドが含まれており、腎臓や肝臓の機能を高め、冬の間に低下した代謝を促し、老廃物を体外へ排出する作用があります。 「ハーブというと西洋の文化と思われがちですが、日本の野山にも昔から暮らしの中で利用されてきた植物、つまりハーブがいっぱいあります。山菜は春のハーブです。私は幼い頃、春になるといつも祖母と山菜を摘みに行っていたんですが、そういう体験を子どもたちや社員にもしてほしくて、この庭にはフキノトウやコゴミ、アシタバなど山菜もいっぱい植えているんです」 落ち葉をかき分けると、フキノトウが。 庭を歩きながら、フキノトウやヨモギ、菜の花、クコの若芽、カラスノエンドウなどを摘んでいく鈴木さん。ひと回りすると、手の中が摘み草でいっぱいになりました。 「カラスノエンドウって雑草として嫌われることも多いですが、若芽を湯がいていただくと豆苗みたいなコクがあっておいしいんですよ。クコの若芽も栄養たっぷり。杏仁豆腐にのってるあの赤いクコの実は、ビタミンやポリフェノールが豊富に含まれることで知られていますが、葉っぱも漢方やお茶などで古くから利用されているんです。結構、野山に自然に生えているんですよね」 庭の縁に生えていたカラスノエンドウを摘んで。 クコの葉おにぎり、フキノトウ味噌、カラスノエンドウのお浸し クコの若芽はサッと湯がいてごはんと混ぜ、おにぎりにしました。フキノトウはフキノトウ味噌に、カラスノエンドウはお浸しにして柚子味噌のタレでいただきます。凝った料理にしなくても、今しがた庭から摘んだばかりの野のハーブは香り豊かで野趣あふれる味わいです。 フキノトウはサッと塩茹ですると、こんなに鮮やかな緑に。刻んで柚味噌と和えます。 春の花の彩りサラダ カレンデュラやスイートバイオレット、菜の花など、春の花はエディブルフラワーとしてサラダの彩りに。花の基部はやや苦味があるので、花びらをちぎって散らします。カレンデュラは皮膚のガードマンとも呼ばれ、外用では湿疹や火傷、日焼けに効果があります。内服では胃の不調や喉の炎症などに用いられ、古くから使用されるハーブの代表です。甘い香りのスイートバイオレットは鎮静作用やデトックス作用があり、お茶でも利用されます。また、ハプスブルク家の皇妃エリザベートが愛したスミレの砂糖漬けも有名です。菜の花はつぼみをいただくのが一般的ですが、黄色のかわいい花も美味しく、料理の彩りとしても重宝します。 春になると必ず庭に顔を出すスイートバイオレット。 ハーブバターと春の花のクラッカー チャイブやイタリアンパセリを細かく刻んでバターと混ぜれば、香りのよいハーブバターがすぐ完成します。これにニンニクを混ぜたものはエスカルゴバターとしてフランス料理でよく使われますが、今回は入れずに軽やかに仕上げました。クラッカーに塗って、エディブルフラワーを飾ったら、見た目も可愛い一口おやつです。 クラッカーにはフキノトウ味噌もよく合います。 植物の力を借りて、楽しく強く 毎週火曜日は庭の手入れを担当するスタッフとともに、庭でお昼ごはんが定例に。この日は社屋から社員も呼んで、野の花ハーブを味わうお昼ごはんです。「フキノトウ味噌、いい香り!」「その香りには胃腸の働きをよくする成分があるんだよ」「作り方教えてください!」「カラスノエンドウも食べてみて」と、にぎやかで穏やかな時間が流れます。 「この庭は化粧品を作る私たちが素材を理解するための場でもあるのですが、若い人たちに普段の暮らしの中でも上手に植物の力を借りる方法を伝えたいとも思っているんです。はっきり病気というわけではないけれど、ちょっと変だな? って心身に違和感を感じたり、不安感が強くなったりすることって、誰にでもあるものです。そういうときに、庭や野山の身近な植物を使って、自分で自分をケアできたら、右往左往しなくて済みますよね。予期せぬ事態というのは、どんな時代にも誰の人生にも起きると思いますが、そういうときにただ動揺するだけでなく、どうしたらいいかという術(すべ)を知っていたら心強いですよね。そういうことをこの庭を通して、若い人たちに楽しく伝えていければなと思っています」
-
寄せ植え・花壇

【春の寄せ植え】おしゃれカラー満載のオステオスペルマムの寄せ植え6実例
おしゃれカラー満載のオステオスペルマム 左上から時計回りに/‘3D バナナシェイク’ ‘セレニティ ロジータ’ ‘3D バイオレットアイス’ ‘3D ナヌーク’ ‘フラワーパワー ローズサイプラズ’。 オステオスペルマムは、早春から初夏まで咲き継ぐキク科の花。草丈は品種にもよりますが、多くは20〜50cmで、寄せ植えでも扱いやすいサイズです。パッと開いた上向きの花姿は、鉢の中でも存在感抜群。春から初夏まで次々に花を上げ、丈夫で育てやすいオステオスペルマムですが、一番の魅力は、なんといっても多彩でユニークな花色です。 左/咲き進むにつれ黄色から赤色に変化する‘マスカレード’。右/パープル&オレンジの‘ピンクアイビューティー’。 おしゃれなくすみレッドや桜貝のような淡いピンク色、チョコレート&アプリコットカラーの2色咲き、咲き進むにつれ色が変化するものなど、目を奪われる花色ばかり。オステオスペルマムだけでも見応えのある1鉢になりますが、寄せ植えで花色の組み合わせを考えるのは、クリエイティブで楽しい時間です。 花言葉は「元気」! 春の門出の贈り物にもぴったり お星さまを散りばめたような花心がかわいい‘3D 268’。 オステオスペルマムの花言葉は「元気」「無邪気」「変わらぬ愛」。ポジティブな言葉と、笑いかけるように咲く上向きの丸い花は、春の門出のお祝いにもぴったりです。入園、入学、入社など、新生活を始める人にオステオスペルマムの寄せ植えを贈ってあげましょう。元気で愛らしい花が、大切な人のそばで新しい暮らしを応援してくれることでしょう。 オステオスペルマムの寄せ植えのコツ 左はアネモネ。右はオステオスペルマム。どちらも主張が強い花なので、小さな鉢の中ではどちらか一つを主役にしたほうがまとまりやすい。 オステオスペルマムは、寄せ植えの花材の中でも花径が比較的大きい花です。さらに、全ての花が上向きで一斉にこちらを向いて咲くため、主張も強く寄せ植えの中では間違いなく「主役」級。ですから、組み合わせる植物は「脇役」として活躍してくれる小花やリーフが向いています。例えば、オステオスペルマムと同じくらいの花径で色も鮮やかなアネモネを小さな鉢内で組み合わせると、どちらも主張して見所のわからない寄せ植えになってしまいます。1鉢に主役は1つが基本です。 桜貝色のオステオスペルマムの寄せ植え 桜貝のような淡いピンク色のオステオスペルマム‘セレニティ ロジータ’を中央に配し、同系色のアルメリア ピンクを後方両サイドへ。花と花の間にオレガノ‘ミルフィーユリーフ’を入れて、2つの花色が際立つようにしています。鉢縁に配した細かなリーフはキンギョソウ‘ムーンライトオブトリニティ’。クリーム色の斑が入り、起毛してふわふわの感触がオステオスペルマムのやさしい雰囲気にぴったりです。暖かくなってくるとミルキーホワイトのかわいい花が咲きます。手前中央には次第に枝垂れ咲いてくるスイートアリッサムを、後方中央には白色のネメシアを。鉢色もやさしい水色を選んでトータルコーディネート。 それぞれの花が咲き進むにつれ全体的にボリュームがアップし、華やかさが増してきます。 花心がブルーグレーのオステオスペルマムに合わせて、やや青みがかったアルメリアをセレクト。 プーさんカラーのかわいい寄せ植え 花心がチョコレート色で花弁が黄色というコントラストがおしゃれなオステオスペルマム‘3D バナナシェイク’を主役にした寄せ植えです。オステオスペルマムは、このように花色に2色入っているものが多くあります。この場合の色合わせはとても簡単。脇役の植物に、チョコレート色か黄色を選べば失敗はありません。くまのプーさんのような愛らしい雰囲気の1鉢が出来上がりました。 ここでは、葉色がチョコレートカラーのプリンセスクローバー‘エステル’とヒューケラ、クリームイエローの斑入り葉のシレネ・ユニフローラ、黄色の花のプリムラ・ジュリアン‘キャンディマジック’を組み合わせました。全体的に丸くこんもりとしたフォルムに、ハゴロモジャスミンのつるで動きを与えて軽やかさをプラスします。 サンセットカラーのおしゃれな寄せ植え 水平線に沈む夕日のようなサンセットカラーのオステオスペルマム‘ピンクアイビューティー’。自然の発色の美しさに見惚れるバイカラー(2色咲き)の花を際立たせるために、小花のブラキカム・ブラスコバイオレットとライムイエローのリーフ、リシマキア‘リッシー’、オレガノ‘ミルフィーユリーフ’を合わせました。 円形の鉢に、上の図のように植物をそれぞれ3株ずつ三角形を組み合わせるように配置します。花と花の間に入れたリーフ類は、緩衝材のような役目を果たし、花をより際立たせて美しく見せる効果があります。 発色の鮮やかなオステオスペルマムとブラキカムには、発光するようなライムグリーンのリーフ類が似合います。 オステオスペルマムの花色を生かす鉢を選んで 黒のブック形プランターに白花を集めたシックな寄せ植え。 オステオスペルマムの最大の魅力である花色を生かすには、鉢の色もトータルで考えると寄せ植えの完成度が格段に上がります。植木鉢は赤茶色のテラコッタカラーが一般的ですが、近年はブリキや樹脂製で、カラフルでユニークなデザインのものも増えています。ブリキや樹脂製の鉢は比較的安価で軽量なので、扱いやすいのも魅力です。ただし真夏は、ブリキだと高温になり植物の根を傷めるため、別の素材を使ったほうがよいでしょう。オステオスペルマムの咲く3~5月は、ブリキの鉢でも安心です。暑い日が続くときは、少し日陰に移動してあげるといいでしょう。 ブリキ製のアンブレラプランターに寄せ植え。鉢色に合わせてブルーとイエローで組み合わせ、メルヘンチックな雰囲気に。持ち手があり移動も楽。 オステオスペルマムの赤い花色に合わせて、同色のブリキの鉢でコーディネート。 多彩な花色が魅力のオステオスペルマムで春の寄せ植えを楽しんでくださいね。次回はオステオスペルマムをより可愛く見せる植え方のコツをご紹介します。
-
家庭菜園

アブラムシやコガネムシ…家庭菜園で気をつけたい病害虫と対策は?
啓蟄を過ぎたら虫たちの季節! Zoran Kompar Photography/Shutterstock.com 春が近づくと、日を追うごとに植物たちもエネルギーを増し、成長を始めます。さまざまな草木が葉を伸ばし、花を咲かせる春は、ガーデナーにとっては嬉しい季節。ですが、この時期に活発に動き出すのは植物だけではありません。二十四節気では、3月6日頃を「啓蟄(けいちつ)」といい、冬ごもりをしていた虫たちが地上に出てくる季節とされています。庭でもアブラムシやテントウムシなどが動き始める時期ので、きれいな庭を保つためには、病害虫対策が欠かせません。特に、これから植え時を迎える家庭菜園では、病害虫が発生すればそれだけ収穫できる量が少なくなってしまうので、病害虫対策は避けては通れない問題です。そんな病害虫の被害を防ぐためには、まずは相手を知ることが大切です。 虫や病気が発生する理由と被害を防ぐポイント PHATTARAWATOUM/Shutterstock.com 本来、植物が生育している自然環境では、生態系の中で一定のバランスが保たれているため、特定の病害虫が大発生することはあまりありません。しかし、庭や家庭菜園で植物を栽培すると、特定の植物に偏って生態系が崩れた状態になったり、また同じ科のものを続けて栽培することで起きる連作障害などにより、病気や害虫が発生しやすい状態になってしまいがち。そのため、庭や菜園で病害虫が発生してしまうのは、ある意味必然なのです。 病害虫の被害を防ぐには、まずは病原菌や害虫を庭に持ち込まないことが大切。苗や種を購入する際は、病害虫の被害が出ていないか、状態を確認し、健全で丈夫なものを選びましょう。また、間引きや剪定で風通しよく栽培することも、病害虫の活動を抑えるポイントです。 病害虫の予防にはタイミングが重要! Kent Sievers/Shutterstock.com 害虫や病気は、季節によって発生しやすいものが異なります。害虫はそれぞれのライフサイクルを知ることで、効率的に予防することができます。例えばバラの害虫としても名高いコガネムシ。コガネムシにもいろいろな種類がいますが、基本的に成虫は葉を食べ、幼虫は根を食べる厄介な害虫です。このコガネムシの成虫が現れる時期は6~9月。この時期に成虫を寄せ付けなければ、その後の幼虫による被害も防ぐことができますね。捕殺するほか、有機質の多い土を好む成虫が寄り付かないよう堆肥などの使用を減らしたり、土壌に適応する殺虫剤を混ぜ込むことも有効です。同じように、病気もその発生サイクルを知れば、被害が発生する前に対処したり、病気の発生初期の部分を取り除くことで被害が深刻になるのを防ぐことができます。 家庭菜園で発生しやすい害虫と病気 Jennifer Wallace, AJCespedes, Algirdas Gelazius, Tomasz Klejdysz/Shutterstock.com 家庭菜園ではいろいろな害虫や病気が発生します。よく発生する害虫は、植物の汁を吸うアブラムシや、葉を食べるアオムシやヨトウムシ、ナメクジなど。葉に穴があいたり、線状の模様が現れたり、葉がかすり状になったりしていたら、害虫発生のサインかもしれません。虫が付いていないかを確認し、見つけたら捕殺するか適応する殺虫剤で対処しましょう。害虫は葉の裏側に潜んでいることが多いので、裏面の確認も忘れずに。また、ナメクジやヨトウムシなど、夜間に活動する害虫もいるので、夜にパトロールをするのもおすすめです。 野菜に発生しやすい病気では、葉が白く粉が吹いたようになるうどんこ病や、花弁や果実に灰色のカビが生える灰色かび病などがあります。症状に気づいたら、発症した部分を取り除き、適応する薬剤で対処するとよいでしょう。また、ウイルスを原因とし、葉にモザイク状の斑が入るモザイク病も発生しやすい病気ですが、治療する薬剤がないため、発症した株は抜き取って処分します。 家庭菜園の必携本! 病害虫のライフサイクルや対処法がまるごと分かる『決定版 野菜の病気と害虫対策BOOK』 2023年3月20日発売の『決定版 野菜の病気と害虫対策BOOK』(草間祐輔著/家の光協会)は、こうした野菜に発生しやすい病気や害虫のメカニズムや、その対処法が分かる、家庭菜園を楽しむガーデナー必携の書籍です。家庭園芸薬品や肥料を製造販売する住友化学園芸に在籍し、植物全般の病気や害虫を知り尽くした病害虫防除のプロが、野菜の病害虫に特化して解説しているので、家庭菜園で起こりやすい病気や害虫のトラブルは、この1冊でバッチリ対応できます。 1章「病害虫が発生するメカニズムとは」では、病害虫の発生のメカニズムやライフサイクル、病害虫のサインなどを、分かりやすいイラスト付きで詳しく解説。病害虫が発生する原因や基本的な対処法から、虫や病気が発生しにくい菜園づくりのコツを知ることができます。病害虫の予防時期が一目で分かる「病気と害虫の発生カレンダー」は、実際の野菜の栽培でお世話になること間違いなし! 2~4章では、家庭菜園でよく栽培される野菜について、それぞれに発生しやすい病気や害虫の発生時期や特徴、対処法などについて種類ごとに詳しくまとめています。収録されている野菜は、イチゴやトマトなどの果菜類18種、コマツナやミントなどの葉菜類・ハーブ20種、カブやジャガイモなどの根菜類7種の計45種。身近な野菜や果物が網羅されているので、栽培時の病害虫対策の手引きとして大いに活用しましょう。 5章「栽培の工夫と薬剤の使い方」では、ガーデニング初心者が不安に思いがちな農薬について、目的に応じた選び方や上手な使い方を解説。農薬は正しく使えば家庭菜園の強い味方になってくれるので、ぜひ選び方や使い方のポイントを押さえておきましょう。次の6章「野菜に使える主な薬剤」では、具体的な農薬のデータや特徴が解説されているので、薬剤選びの参考に役立てて。より環境や体にやさしいオーガニック栽培(有機JAS規格)に対応した自然派薬剤も紹介されています。 野菜の病害虫を知るにはこの1冊を! 家庭菜園では、病気や害虫によるトラブルが発生することもあります。でも、その特徴や対処方法を知っておけば、不安に思う必要はありません。病害虫対策のプロの知恵が詰まった『決定版 野菜の病気と害虫対策BOOK』を片手に、家庭菜園にチャレンジしてみませんか? 著者/草間祐輔 1960年長野県松本市生まれ。千葉大学園芸学部卒業。園芸研究家。千葉大学園芸学部非常勤講師。ロサンゼルス郊外のガーデンセンターに勤務したのち、家庭園芸用薬品・肥料を製造販売する住友化学園芸に在職。家庭園芸での薬剤の使い方について研鑽を積み、講習会などで広く実践的な指導を行っている。テキスト『NHK 趣味の園芸』(今月の管理・作業)の執筆も担当。『最新版 植物の病気と害虫 防ぎ方・なおし方』(主婦の友社)、『別冊 NHK 趣味の園芸 植物別ですぐわかる 病気と害虫ハンドブック』(NHK出版)ほか、著書多数。 協力/一般社団法人 家の光協会 http://www.ienohikari.net
-
育て方

【果樹栽培のコツ】果樹の成長には適切な新梢管理が必要! 樹木別に具体的な方法を解説
新梢(しんしょう)の意味と管理する目的 Galina Mokhnatkina/Shutterstock.com 多くの果樹はしっかりと収量を確保するために、新梢管理が大切です。ここでは新梢とは何か、また新梢を管理する意味と目的について解説します。 新梢とは Sergei Leto/Shutterstock.com 新梢とは、その年の春以降に新しく伸びた枝を指します。次の春までは、この枝のことを、一年枝、一年生枝、当年枝ともいいます。その中で頂芽から出た新梢を頂生枝、側芽から出た新梢を側枝ともいいます。いずれも、健全に成長していれば、ほぼ毎年必ず出てきます。 新梢を管理する必要性や目的 Happy Lenses/Shutterstock.com 新梢を必要に応じて残したり、剪定したりすることを新梢管理といいます。新梢管理をすることで、全体の成長や結実のバランスが整い、果実の品質向上に繋がります。また、それぞれの枝を充実させることにもなります。新梢をそのままにしておくと徒長枝となり、生育期には繁りすぎてしまいます。繁りすぎた枝は光を遮り、果実の結実などを阻害することに加え、全体のバランスも悪くなって、病害虫を呼び寄せたり、農薬の効果の低下を招いたりもします。新梢管理によって、それらの問題を防ぐことができます。 落葉果樹の新梢管理をするときの主な方法 Roman023_photography/Shutterstock.com 落葉果樹の新梢管理には、成長の段階に合わせたいくつかのステップがあります。ここではその主な方法について解説します。 芽かき Alexander Knyazhinsky/Shutterstock.com 芽かきとは、不要な芽を伸びる前にかきとることです。枝になるよりも早い段階で新梢管理をすることで、植物への負担も少なく、枝ぶりをすっきりさせることができます。必要な枝だけに水や養分を行き届かせることができるので、木を充実させることにもつながります。芽かきの場所は主枝や亜主枝の上や背面、剪定箇所付近から発生した不要な芽の部分。元の枝や樹木全体に対して枝が多くなりすぎるようなときも、あらかじめ芽かきをするとよいでしょう。かきとる際は、基部から綺麗に取り除くようにしましょう。 捻枝 Vladdon/Shutterstock.com 捻枝とは、茎や枝の根元を捻って曲げ、成長を抑えたり、果実の充実をはかるために行う作業です。枝は上に伸びるときは枝自体の伸長に力を使ってしまうため、花や果実がつきにくくなります。しかしこうした枝も、横倒しにしたり下に向けて引っ張ったりすることで勢いが削がれ、花や実の数を増やすことができます。捻枝作業は、茎や枝の根元が木質化すると折れてしまうため、枝が柔らかい時期に行いましょう。リンゴやナシなどの果樹農家では、上に伸びる枝を切り落としたり横に誘引して収穫量を増やしています。つるバラを上に伸ばさず、横に誘引したり蛇行させて誘引するのも同様のテクニックです。 摘心 Bits And Splits/Shutterstock.com 摘心とは、新梢の先端部を切除することです。摘心によって成長をコントロールし、花穂に向かう養分をより多くする効果があります。摘心は、芽かきをせず、伸ばした新梢の中で徒長して過繁茂の状態になった部分に対して行います。例えばウメの木であれば、横に向けて強く伸びる枝を1/3〜1/4ほど切り詰めることで先端から複数の枝が出て、枝全体の勢いを抑えることができます。枝の生育の勢いが抑制されることで、花や果実へとエネルギーが振り分けられ、実つきがよくなります。 夏季剪定 PhotoJuli86/Shutterstock.com 果実の多くは日が当たることで色付きもよくなります。そのため果樹の多くは樹冠内部や果実に日が当たるように、基部から生えている勢いの強い新梢を剪定する必要があります。具体的な方法として、樹冠内部の新梢であれば、基部から20cmあたりを中心に剪定します。モモやスモモは収穫前の6月上旬に行い、ウメは収穫後の7月上旬から中旬に行いましょう。ただし、果樹の場合は果実1つあたりに何枚の葉があればよいかという適切な比率があります。この比率のことを「葉果比(ようかひ)」といいます。それぞれの果樹によって葉果比は異なるので、自分が育てている果樹の葉果比を調べておき、十分な葉が残るように剪定しましょう。 果樹別の新梢管理 leonori/Shutterstock.com 果樹によって新梢の管理方法は異なります。ここでは、果樹に応じたそれぞれの具体的な方法について解説します。 モモ・スモモ Africa Studio/Shutterstock.com 幼木や若木は新梢の勢いが活発で、放っておくと樹冠内部が過繁茂になりやすいため、内部を中心に、基部から20cmほど残して剪定したり、捻枝を行いましょう。主枝に競合するような新梢も捻枝や剪定をしましょう。また成木や老木は太陽光が木全体に効率よく当たるように摘心し、枝が下垂しているようであれば、支柱を添えて立て直します。強い枝を摘心することで、果実が実る短い枝がつきやすくなります。 ミカン Cegli/Shutterstock.com ミカンはその年にできた新梢の先端部に翌年花を咲かせ、結実します。そのため、春に伸びた新梢は切らないようにすることで、実付きがよくなります。新梢の剪定は、充実している新梢の横にある弱い新梢を間引く程度にしましょう。春以降の夏枝、秋枝は先端部から1/3程度まで切り戻し剪定を行い、花芽の付く新梢の発生を促しましょう。 ブドウ mythja/Shutterstock.com 1つの節から新梢が2〜3本出てくるので、初めに動き出した新梢以外はかき取ります。芽かきの時期は、新梢が8cmほど伸びた頃と、新梢を誘引する前がよいでしょう。1新梢に1房のほうが実付きがよくなるため、花穂が開花する5~7日前、新梢から伸びる葉が6~8枚になったら摘心を。その際、巻きづるは切り取ります。また、果房に日が当たらないと黒ブドウ品種は色付きが悪くなるので、日が当たるように葉を適宜取り除きましょう。 サクランボ Nitr/Shutterstock.com 5月頃に新梢が活発に伸び始めます。この新梢を放置すると来年の花付きが悪くなり、また果実に十分な日が当たらず色付きも悪くなってしまうため、主枝の後ろから生えている新梢は剪定します。その際、各枝に葉が3~5枚残るように切り取りましょう。また、サクランボは成長とともに樹勢が弱まります。この時期に勢いのない木や老木は剪定しなくても大丈夫。7月になったらコンパクトな形にしたいなど、樹形を整える目的で新梢の剪定や摘心を行います。 リンゴ Evgeny Karandaev/Shutterstock.com 早期の収穫を目的とした矮化品種の台木を用いた矮化栽培の場合、樹勢の強い品種は茂りすぎになりやすいため、注意が必要です。主枝の背面から出てくる新梢については、剪定して整理しましょう。枝の生育が旺盛なため、夏場は摘心や捻枝などを含め適度に新梢を切り詰め、花芽の生育を促す必要があります。しかし、新梢から出た枝を頻繁に切り詰めすぎると花芽が付かなくなるため注意しましょう。枝を下向きに誘引したり、夏季剪定を行って成長を抑えることで花芽を付けるようになります。冬季に、株元から直径1mほど離れたところを、ぐるりと深さ20cmほど耕すと、樹勢を抑えることができます。 果樹の新梢に付きやすい害虫 David Moreno Hernandez/Shutterstock.com ここでは、果樹の新梢に付きやすい害虫と対処法について解説します。 ナシヒメシンクイムシ Kritchai7752/Shutterstock.com ウメやモモ、リンゴに発生しやすい害虫です。孵化した幼虫は新梢先端の茎から枝の内部を食害しながら成長します。その枝は、食入部から枯れて折れ曲がり、「芯折れ」と呼ばれる被害を出します。また果実も食害し、穴をあけてしまいます。早期の対応が必要で、芯折れや被害果は発見したらすぐに取り除き、土の中深くに埋めるか、水につけるなどして殺虫しましょう。幼虫は樹皮の間や枝などの隙間で越冬するため、予防策としてそのような箇所の粗皮を削り、越冬できないようにしておきましょう。 リンゴワタムシ Kazakov Maksim/Shutterstock.com 体が綿状の蝋物質で覆われるアブラムシで、リンゴに付く害虫として古くから知られています。枝や幹の間で越冬した幼虫が、5月頃に新梢の基部や剪定後の切り口などに移動して樹液を吸います。加害部はこぶ状に膨らみ、養水分の流れを妨げて樹勢が衰えてしまうことがあります。予防は、徒長枝や茂りすぎた枝を剪定し、風がよく通るように整理することです。また発生が多い場合は、薬剤散布で防除しましょう。 クワコナカイガラムシ Protasov AN/Shutterstock.com ブドウやリンゴ、柑橘類に発生します。発生の防除が難しい害虫です。体は白い蝋物質で覆われ、雌は4mm程度。一回り小さな雄には羽根があって飛ぶことができ、一見すると、アブラムシに似ています。集団で発生し、新梢や葉柄の基部、葉裏、果房内など、特に日の当たらない場所を好み、さまざまな場所で害を及ぼします。また余剰な糖分を含んだ排泄物がベトベトとしており、付着するとすす病を誘発する原因にもなります。すす病にかかった植物は、枝や幹、葉が黒いすすのようなもので覆われ、美観や品質が大きく損なわれるだけでなく、すすに覆われた葉は光合成が阻害されるため、生育にも影響があります。防除には薬剤散布を行いますが、体の表面に付いている蝋物質により薬剤がはじかれ、効果が低下する場合があります。 ミカンハモグリガ Kritchai7752/Shutterstock.com 柑橘類に発生し、幼虫は葉の内部に潜り込み、食害しながら葉の中を進んでいきます。そのため葉の表面に食害痕が筋となって残り、被害は容易に判明します。被害が多発すると葉が巻かれたようになり、また食害部から雨水などが浸入するとかいよう病を誘発し、新梢の生育が著しく悪くなるため、早めの対処が必要です。早期であれば食害された葉ごと幼虫を除去し、多発している場合は指定の薬剤散布で防除しましょう。 果樹の新梢に発生する病気 Tunatura/Shutterstock.com 果樹の新梢や葉に発生する病気には、斑点性病害、うどんこ病、炭疽病、すす病などがあります。病気を誘発する害虫の防除や、樹冠剪定による風通しや日当たりの改善、土壌の状態を定期的に調べるなど環境面を整えることが大切です。また予防の目的や早期の発病であれば、薬剤散布が効果的です。日頃から様子を観察し、病気の正確な診断が必要です。対象の病気に対して予防効果のある薬剤を使用しましょう。被害が進んでいる箇所は切除し、入念に薬剤散布を行ってください。 適切な新梢管理で果樹の生育促進を Mythja/Shutterstock.com 新梢を適切に管理することで樹木は健全に育ち、実付きや味もよくなります。樹種によって管理方法が違うため、家庭菜園などでいろいろな果樹を育てている場合、それぞれに合った剪定や病害虫の防除に努めましょう。
-
ガーデン&ショップ

第1回 東京パークガーデンアワード 代々木公園【舞台裏レポ】5つの庭づくり大公開
コンテストの舞台は都立代々木公園の花壇 コンテストガーデンが作られる以前のオリンピック記念宿舎前広場。2022年10月中旬の様子。 都市公園を新たな花の魅力で彩るプロジェクトとしてスタートした「東京パークガーデンアワード」。第1回の舞台となるのは、都内でも屈指の利用者数がある「都立代々木公園」の中です。アクセスがとてもよく、JR山手線「原宿」駅から徒歩3分の原宿門から入ってすぐ右手の「オリンピック記念宿舎前広場」に、5つのコンテストガーデンと吉谷桂子さんによるモデルガーデン「the cloud」があります。 通路に沿った細長い敷地を花壇に変え、A〜Eの5つの植栽スペースが設けられました。1エリアにつき広さは72〜85 ㎡。 コンテストガーデンが作られる以前、この場所は通路に沿ってハナミズキやオリーブが植わり、地面は芝生に覆われていましたが、2022年10月には今回のコンテスト開催に先駆けて、5つのエリアが同じ土壌条件になるように花壇スペースが整地されました。 10月、花壇スペースを縁取る木枠を設置する様子。 花壇の整地は、既存の表土にある雑草とその種子を駆除する意味から厚み5cm分取り去ったあと、花壇用土には人工軽量土壌を厚み20cm客土し、ベースの土壌として整えられました。 木枠で縁取られた花壇内に所々ある四角い石は、既存の照明設備。灰色に見える土が人工軽量土壌。 「第1回 東京パークガーデンアワード」第1回作庭【12月】 「持続可能なロングライフ・ローメンテナンス」をテーマに、各ガーデナーが提案するガーデンコンセプトは、各人各様。それぞれが目指す庭のコンセプトに沿って、2022年12月5日から9日まで行われた第1回目の庭づくりの様子をレポートします。 *コンテスト開催の概要や各庭の月々の様子は、こちらをチェック! コンテストガーデンAChanging Park Garden ~変わりゆく時・四季・時代とともに~ 畑や かとうふぁーむ 渡部陽子(新潟県新潟市)さん率いる作庭チーム。 Aエリアは、培養土と肥料(かんとりースーパー緑水)を全体に敷き詰め、表面をならして基本の用土づくりは完了。この段階で耕さないのは植え付け時に耕すことを想定したためで、手間を最小限にしています。 平らにならした表土に、次々と苗が配置されて、あっという間に地面が隠れるほど数々の植物で埋め尽くされました。Aエリアは、大苗に仕立てられた根張りのよい丈夫な宿根草を用意。品種によって異なりますが、圃場で1~3年以上育てられた苗なので、一般で販売されているサイズの何倍も大きな株ばかりです。 大苗は育成管理に時間がかかりますが、その分株が充実しているといいます。大苗を使う利点は、4つ。① 既存植物とのバランスがとりやすく、周囲の環境にすぐに馴染む。② 植えた年から植物本来の個性が発揮され、しっかり開花する。 ③ イメージがすぐにカタチになるので、庭施工の際もお客様の満足度が高い。④ 大苗なら1ポットで十分ボリュームがでる場合も、市販の小さなサイズの苗だと数多く植栽しがちで、経済的にも苗の生育環境的にもよい。さらに、見頃を迎えた大苗は、ショーガーデンでも活用されることからも、この花壇には大苗が多数使われています。 配置が終わったら、端から順に次々と植え付けを開始。苗は、現地の土壌にスムーズに活着できるよう根の処理(根をほぐしたり、根きりをするなど)を事前に施していたため、現場では、ポットから抜いてすぐに植栽でき、作業時間短縮とストレス軽減になりました。 選ばれた植物は、春から秋に次々とバトンタッチして花を咲かせるものや、風に揺れるグラス類、雑草抑制が期待できるグラウンドカバープランツなど。どれも、特徴や性質を見極めることができる花卉生産者により選ばれているので、ロングライフでローメンテナンスでありながら、美しい花壇となる組み合わせ。 苗を植え付けたあと、原種チューリップやアリウム、カマシア。エレムルスなど、1,500球の球根も植え付けられました。 中段左から/スティパ・イチュー/ストケシア・ラエヴィス/スタキス・ビザンティナ(ラムズイヤー)/ユーフォルビア・ウルフェニー 下段左から/オレガノマルゲリータ/エリムス・アレナリウス/スタキス・オフィシナリス/ペンステモン‘ハスカーレッド 配置にこだわり、交互や列植、斜めなど、ほどよい距離感で植わる小さな植物は、小さいながらも青みがかった緑や銀がかった緑、赤や黄など彩り豊か。合計84種の植え付けが完了しました。 1回目の作庭が終了して1週間後、12月中旬の様子。 コンテストガーデンBLayered Beauty レイヤード・ビューティ 鈴木 学(宮城県伊具郡)さん率いる作庭チーム。 Bエリアは、作庭前の花壇の土壌を独自に検査した結果、pH調整用として無調整ピート(ラトビア産ピート)をまいた上に、肥料もちを高めたい理由から培養土(ベストブレンド)を追加して耕運機で攪拌。 平坦な花壇を山状に盛り上げるためにも、40ℓ200袋という多くの用土が追加されました。結果、元の地表よりも15〜10cm高い土壌が完成。植物を配置するガイドとして、グリッド状に水糸が張られました。 上写真の白く囲まれた部分(図内A)に、パニカム、ユーパトリウムやアガスターシェなどが配置されている。 「さまざまなレイヤーを組み合わせて美しさを構築する」という考えのもと、季節を感じる宿根草ガーデンを作庭。背の高いグラス類と宿根草で作る4つの島(図内A)が通路から眺めた時に奥行きを感じられるような視覚効果も狙って配置されました。 上左/用意された苗の一部。上右/花壇の中には、天然石のステッピングストーンを配置。下左/植物の配置が記された図面。下右/多くの苗がどんどん配置されていきます。 3月から10月まで、月ごとに見頃が移り変わるように選ばれた植物は、合計142種。丈夫な植物、持久性のある植物、病害虫予防、密植に耐える植物、耐陰性の高い植物、観賞期間の長い植物などを考慮して選ばれています。また、こぼれ種で増えたり、宿根草の生育の邪魔にならない一年草も入っています。 球根は、拳以上の大きなアリウムから、小さなクロッカスまで、全部で約5,200球。小球根は、器に小分けしてから配置したことで、植え付け位置の手直しや微調整がしやすい効果がありました。写真左上のオレンジ色の器具は、アリウムやフリチラリアなどを深く植える際に穴を掘るホーラー。フリチラリアは、高温の影響を受けずに長生きさせるため、通常より一段深く植えられました。 3月までに咲くフリチラリアとクロッカスなどの小球根、遅れて咲くアリウムやカマッシアを置いた後、最後にチューリップ、スイセン、アリウム‘パープルセンセーション’をばらまきし、配置具合を確認したあと植え付けられました。アリウム‘サマードラマー’のみ、このタイミングで植え付けると翌年(審査のある2023年)に開花しないと予想して、芽出しのポット苗を植え付けています。 球根の植え付けがすべて完了した後、表土に有機質肥料の「グアノ」と「モルト滓」を散布。どちらも長期的な効果を狙ったもので、グアノはリン酸とカルシウムで植物を丈夫にする目的、モルト滓はチッソ分の補給と土壌の微生物環境の改善を目的としています。最後にバーク堆肥でマルチングをして終了。所々にラベルがついた小枝が刺さっているのは、2月末に行われる2度目の作庭で植え付ける予定の植物の場所を示しています。 1回目の作庭が終了して1週間後、12月中旬の様子。 コンテストガーデンCGarden Sensuous ガーデン センシュアス GreenPlace(埼玉県朝霞市)代表の高橋三和子さんと山越健造さん(山越健造デザインスタジオ、宮城県仙台市)率いる作庭チーム。 園路を挟んで、対になったL字形のCエリアは、黒土と小粒の軽石、バーク堆肥、木酢液入り木炭を表土にまいたあと、耕運機で耕して基本の用土づくりは完了。基本用土は乾燥すると砂状になり、マウンドや窪みといった高低差を付けるのが難しそうだったため、造形をしやすいように黒土を追加。軽石は、黒土を加えたので通気性の向上のために、木炭と堆肥は保水性をよくし、有機物を足すことで土中微生物を増やすために加えられました。 丸の中に印を。「−(マイナス)」が書かれている場所は穴を掘り、「+(プラス)」の場所は盛り上げる。 土を攪拌してフカフカにしたあと、山越さん自ら有機石灰が入ったボトルを手に、図面を見比べながら花壇に数カ所、丸印が描かれました。これは、多様な植生と生物の場を創出するために作られる「マウンド(築山)」と「低地(レインガーデン)」、「フラット(平地)」という、凹凸のある地盤作りのためのガイドラインとなります。 この庭でいう「マウンド(築山)」とは、Hugel mound(Mound culture:ドイツなどが発祥の農法)と雑木林の循環管理方法を融合させたもので、土中に剪定枝などを埋めてから土を盛り上げて山のようにします。このマウンドを作ることで、① ゴミを焼却することにより、発生する二酸化炭素を削減する。② 保水性を高めることにより、水の使用を軽減。③ 微生物など生き物の棲処になる。④ 高さを出すことで周囲の低地に水が集まり、植生の異なる豊かな植栽が可能になるという4つの効果を狙っています。 窪ませた場所の底には、さらに軽石、木炭を入れて透水性を高める。 「低地」は、窪ませることで ① 降雨時の急激な下水道への排水を緩和。② 植栽や土壌によって水質を浄化。③ ヒートアイランド現象の緩和という3つの効果が期待できるレインガーデンとしてのデモンストレーションになっています。 起伏のある地盤が完成すると、全体にニームケーキ(植物性土壌改良材)と元肥をまいて、植物を配置するガイドに沿ってポット苗を配置し、1株ずつ植え付け。 図は審査時に対象だったBエリアの現状分析をベースにした植生ゾーニング例。実際に施工したCエリアに合わせたゾーニングで配置された。 植物は、地表面の形状や湿度、日照などを考慮したA〜Eの5つのエリアに区分され、それぞれに適したものを配置。 上左/築山とその周辺部分。下左/低地とその周辺部分。上右/用意された苗の一部。下右/小さな苗の生育を補うため、木酢液(キクノール)と天然活性液(バイオゴールドバイタル)を希釈した液を仕上げに散布。 盛り上がった築山には、乾燥に耐え、あまり背の高くならないレモンバームやオレガノなどを。窪んだ低地には、アスチルベやユーパトリウムなど、湿度や水に耐性のある種類が選ばれています。また、平地には、築山と低地との緩衝地帯としても機能する安定した植栽スペースとして、多様な表情が見られるようにと、エキナセアやイトススキ、ガウラ、バーベナなどが選ばれ、2〜3月の最終植え付けまでに合計65種が植えられます。 1回目の作庭が終了して1週間後、12月中旬の様子。 コンテストガーデンDTOKYO NEO TROPIC トウキョウ ネオ トロピック 西武造園 永江晴子 (東京都豊島区) さん率いる作庭チーム。 Dエリアは、植物性完熟堆肥(黒い堆肥)と赤玉土、ピートモスを表土にまき、しっかりスコップで耕して基本の用土づくりが行われました。有機質を混ぜ込む土壌改良を行って保水力や保肥力を高め、根を生育させることで、翌年からの灌水を抑える効果を狙っています。 レイズドベッドの枠に使うヤマハギの枝を仕分ける作業を行いながら、枠作りも進行。 また、土づくりと同時進行で、自然素材を使った「ウィービングレイズドベッド」作りもスタートしました。レイズドベッドとは、枠を設けて地面より高い位置に植える場所を作る手法で、ここでは地温を確保し、冬の寒さによるダメージを軽減する目的や、花壇をリズミカルに表現する目的で設置されました。 今回、この「ウィービングレイズドベッド」のイメージに近づけるためには、曲がりが少ない枝を見つける必要がありました。現場での枝選びの後、さらに事前にモックアップ制作。施工の手順やイメージ通りの仕上がりになるように太さの確認をしてから、実作業に臨んだといいます。レイズドベッドやコンポストの位置を決める角棒が枠の四隅に立てられたあと、黒竹を等間隔で挿し、その間を縫うようにヤマハギの細い枝を下から順に編み上げながら縁取りを作ります。手作業でレイズドベッドが1つ、また1つと組み上がっていきます。 レイズドベッドの枠を自然素材にしたことで、周囲の植物とも馴染み、通気性や排水性を確保。枠の内側に防草シートを張り、底には約10〜20cmほど軽石を敷き詰めてから用土を入れていきます。 高さや形状が異なるレイズドベッドが9個完成。金網の枠(写真上右)はコンポスト用で、この花壇から出る枯れ葉や枯れ枝、花がらなどを堆肥化するために設けられます。レイズドベッドの上とその外側などに苗と球根を配置。高低差がある花壇の中に次々と植え付けられました。 選ばれた植物は、ローメンテナンス・ロングライフであるコンセプトに合わせた宿根草を中心に、サブトロピカルな植物をポイントにしています。個性豊かな植物が東京の地で力強い姿を見せてくれるのを予想し、アロカシア、パンパスグラス、カンナ、アスパラガス、アガベなど合計40種超の植物が選ばれました。昆虫の棲処にもなるバイオネストの設置や一部のサブトロピカルの植物、芝生などは2月の作業で追加されます。 通常、亜熱帯系の植物は、暖かい時期に植栽すれば問題なく越冬するものですが、今回指定された施工時期(12月、2月)は亜熱帯系植物の植栽時期としてはベストなタイミングではありませんでした。そこで、屋外での植え付け時に植物がなるべくダメージを受けないようにと、養生も温室から無加温の温室に移動するなどの配慮がされました。 仕上げに、針葉樹の樹皮(バーク)を粉砕加工したリサイクルマルチング材(ランドアルファ)を表土全体に敷き、金網の内側に不織布が設置されたあと、レイズドベッドを作る際に出た不要な枝などをコンポストに投入して、作業は完了しました。 1回目の作庭が終了して1週間後、12月中旬の様子。 コンテストガーデンEHARAJUKU 球ガーデン 平間淳子(東京都目黒区)さん率いる作庭チーム。 コンテストガーデンのエリアで一番奥に位置し、「オリンピック記念宿舎」の前にあるエリアE。初日は雑草を丁寧に取り去ったあと、根が伸びやすくなるように、また、排水性を高めるためにシャベルで全体を掘り起こしました。それから日頃の庭づくりで使い慣れているという赤玉土と腐葉土を40ℓずつ各12袋を投入。少量のくん炭と元肥もプラスして、基本の用土づくりは完了。 ずらりと揃った植物を前に、どの場所に何を配置するか、段取りを整理しながら、傷んだ部位を切除するなど、苗の手入れも同時進行しました。 多数の植物の中から、まず骨格となる植物を選び、その配置からスタートします。このガーデンの作品タイトルは「HARAJUKU 球ガーデン」。某超有名ガーデンを原宿ならではの遊び心でもじったタイトルで、初夏にはまん丸の花が咲くアリウム、そして秋にポンポン状の花がダイナミックに咲くダリアまで、球状の花を多数組み合わせました。ポップに楽しく見せる植物が選ばれています。 配置図を頼りに、まず苗を配置。離れて見たり、角度を変えて眺めたりしながら、育った姿を想像して位置を微調整。植え付けて半年で見応えが出るように、骨格となるニューサイランやディエテスなどは、一般的なサイズよりも大きな株が用意されました。また、これらの草丈が高く大きな縦のラインとなるニューサイランやディエテス、グラスなどを多めに入れることで、メインとなる丸い花々を引き立てる効果を狙っています。 地面に置かれたレンガは、植え付け時の足場として。植え付けるまでに苗がいたずらされないようにと、一時的にカラス除けのCDが吊されました。 霧のような穂を立ち上げているのは、ミューレンベルギア・カピラリス。ほかにもディスカンプシア‘ゴールドタウ’など、秋にダリアが咲いた頃、幻想的に調和する効果を狙ったグラスが選ばれました。普段は“甘やかさず育てる派”ですが、テーマ通りの庭に最短で仕上げるため、1つずつ植え穴に肥料を入れながら植え付けています。また、植物によっては排水性を高めるために、パーライト、軽石などを植え込みました。 最終日は、全体に球根を配置して一気に植え付け。仕上げにバーク堆肥でマルチングして冬に備えます。特に多くの種類を植えたのがアリウムで、開花期間が少しでも長くなるようにと、球根で16種、苗は2種の合計18種が植えられました。 長く伸びていたディスカンプシアなどは短く切り戻し、常緑のニューサイランやカレックス‘エヴェレスト’などは、そのまま越冬させます。 1回目の作庭が終了して1週間後、12月中旬の様子。 日々成長するコンテストガーデンに注目を ご紹介の「第1回 東京パークガーデンアワード」は、5つの庭の魅力を競うコンテストですが、参加するガーデナーたちは、仕上がっていく互いの庭を見て刺激を受けたり、人手が足りないチームの植え付けを助ける場面もありながら、期間内に無事1回目の作庭が完了しました。 代々木公園を舞台に行われた「第1回 東京パークガーデンアワード」。5つの庭を一度に見学できるこの場所は、公共ガーデンに新しい息吹を吹き込むことが期待された2023年において東京の最新のガーデンでした。2023年11月からは舞台を神代植物公園(東京・府中市)に移し、「第2回 東京パークガーデンアワード」が開催されています。
-
家庭菜園

初心者でも上手にできる家庭菜園! 始め方は? おすすめの野菜は?
これなら簡単!初心者でもできる家庭菜園の始め方 Joshua Resnick/Shutterstock.com 寒い冬に美味しい鍋料理や、うどんやそばといった麺料理の薬味の一つとして重宝されるのが「小ねぎ」です。この小ねぎ、じつはとても簡単に育てることができます。 家庭菜園初心者の方は、まずは小ねぎで自宅での野菜づくりを始めましょう。 やり方は、以下にご紹介するように、とっても簡単! 小ねぎのプランター栽培 (1)長さ35cm、奥行き13cm、深さ15cmぐらいの小ぶりのプランターを用意します。 (2)プランターに野菜用の培養土を8分目ほどまで入れます。 (3)小ねぎは根の付いた状態で売られていますので、根の5cmほど上で青い部分を切り離し、下部を苗として、上部を鍋料理の薬味として利用します。 (4)小ねぎの根をプランターの中の培養土に植え付け、水やりをします。 その後、培養土の表面が乾いたのを確認して水やりを続けます。すると、2週間後くらいに新しい小ねぎが生えてきますので、それを収穫! このようにして、繰り返し小ねぎの栽培と収穫を続けることができます。 小ねぎのプランター栽培をして、自宅で野菜を育てる楽しさを知ったら、他のいろいろな野菜にもぜひ挑戦してみましょう。 手軽に始められる家庭菜園 Franz Peter Rudolf/Shutterstock.com 家庭菜園というと、広い庭や畑が必要というイメージがありますが、じつは狭いベランダでも野菜の栽培は可能。先にご紹介した小ねぎのプランター栽培などは、日当たりのいい窓辺でも十分できます。 初心者でも簡単に育てられる野菜もいろいろとありますから、気軽に家庭菜園を始めてみましょう。 家庭菜園に必要なもの ベランダなどで家庭菜園を始めるときは、ひとまず次のようなものを用意しましょう。 プランターいろいろなサイズがあります。栽培する野菜に合わせて選びましょう。野菜用の培養土野菜の生育に必要な肥料分を含み、酸性度を適切に調整した用土です。野菜の多くは弱酸性の土を好みます。鉢底石プランターの底から用土が洩れるのを防ぎます。また水はけをよくする効果もあります。肥料苗を植付けたり種まきする時に予め土に混ぜ込む「元肥」と生育に合わせて追加する「追肥」があります。プランターなどでは元肥に粒状肥料、追肥には液体肥料などを使います。病害虫対策資材殺虫殺菌スプレーなど、病害虫の被害を抑えるために使います。移植ゴテ用土をすくったり、植え穴をあけたりする作業に使います。 ポリポット種を播いて育苗するのに使います。一番小さいサイズは直径3cm。これを1号ポットといいます。鉢底ネットポットの底穴から用土が洩れ出るのを防ぎます。ジョウロ水やりに必要。園芸用ハサミ収穫や生育途中の管理作業に必要。紐園芸用の麻ひもがおすすめ!支柱野菜の中には生育に合わせて支えが必要となるものがあります。例えばトマト、ミニトマト、ソラマメなど。 プランターの選び方は? Mark S Addy/Shutterstock.com 広い畑がなくても、プランターがあれば庭先やベランダで手軽に家庭菜園を始めることができます。 【大きさ】 プランターにはいろいろなサイズのものがありますので、栽培する野菜に合わせて大きさを選びましょう。 先にご紹介した小ねぎなら、幅35cm、奥行き13cm、深さ15cmぐらいの小ぶりのプランターで十分。ラディッシュ(ハツカダイコン)や小カブもこのサイズでOKです。 ホウレンソウや小松菜はもう少し大きいサイズ。 ソラマメ、トマト、ミニトマトなどは根が十分に張れるよう、深さ35cm以上の大型のプランターが必要となります。 十分な深さがあり、立って作業できるイギリス生まれの「ベジトラグ」という製品も便利です。高さが80cmあり、ダイニングテーブルのように4隅に脚がついており、テーブル部分が土を入れられるプランターになっています。プランターは中央に向かって三角形になる形状で、深さが最大40cmになります。この深さがあれば、じゃがいもや人参などの根菜類も十分栽培できます。 【材質】 プランターは材質もいろいろですが、軽くて持ち運びがしやすいプラスチック製がおすすめです。 虫がついたりしない? 植物を育てると病害虫の発生はつきものです。でも、病害虫を理由に家庭菜園を諦めるのはもったいない! そこで病害虫対策資材を上手に活用することで、ストレスなく美味しい野菜を育てることができます。家庭用の病害虫対策資材にはたくさんの種類があります。「せっかくの家庭菜園だから、なるべくナチュラルに育てたい」と思っている方も、オーガニックな資材を効率よく活用して家庭菜園を楽しみましょう。 どんな用土がいいの? (1)野菜用の培養土 野菜に適した配合になっている市販の野菜用の培養土であれば、そのまますぐにプランターで使えて手軽です。 (2)自家製培養土 赤玉土、腐葉土、堆肥などをブレンドして、自分で培養土をつくることもできます。 【自家製培養土のつくり方】 赤玉土(小粒)と腐葉土を7対3の割合でブレンドする。堆肥(牛糞堆肥、馬糞堆肥など)を両手で2すくい加える。もみ殻燻炭(排水性をよくする働きがある)を両手でひとすくい加える。苦土石灰(土壌の酸性を中和する働きがある)を片手でひとつかみ加える。以上をよく混ぜ合わせる。元肥として野菜用の粒状肥料(マイガーデン粒状肥料など)を適量加えて混ぜ込んで完成! 家庭菜園におすすめの野菜は? 家庭菜園を始めるときは、以下の2つの方法があります。 (1)自分で種を播いて、苗から育てる。 (2)ホームセンターなどで売っている野菜の苗を購入して植え付ける。 Agenturfotografin/Shutterstock.com 春先にはトマト、ミニトマト、ナス、ピーマン、シシトウなどの夏野菜、晩夏にはブロッコリーやイチゴなど、園芸店では植え付け適期を迎えたさまざまな野菜苗が出回りますので、それを購入して植え付けることができます。 しかし、ラディッシュ(ハツカダイコン)、小カブ、ホウレンソウ、シュンギクなどは苗が市販されることはありません。 なので、自分で種を播いて苗からつくって育てる必要があります。 【種を播いて育てるのにおすすめの野菜】 自分で種を播いて、苗から野菜を育てるときは、発芽率のよいものを選ぶようにすることがポイントです。 種の発芽率がよく、育てやすい野菜を以下に挙げてみましょう。 koodesnica71/Shutterstock.com レタス、ラディッシュ、小カブ、ミニ人参、ミニ白菜、ホウレンソウ、小松菜、青唐辛子、青ジソ、ビーツ、ブロッコリー、シュンギク、ソラマメ、パクチー(コリアンダー)、バジル 上手な種まきの方法は? 失敗しない種まきの方法を、ぜひ覚えておきましょう。 【種まきの適期】 野菜の種には、播くのに最も適している季節、「適期」があります。 種の袋に適期や発芽までの日数などが書いてありますので、播く前にその説明をよく読むようにしましょう。 【春まき、秋まき】 野菜の多くは春まきです。しかし、秋まきもできるものや、秋にしか種まきができないものもあります。 【秋まきもできる野菜】 Dionisvera/Shutterstock.com 小カブ、ホウレンソウ、小松菜、シュンギク、ビーツ 【秋にしか種まきができない野菜】 Brent Hofacker/Shutterstock.com ソラマメ 【種まき専用土】 市販の種まき専用土を使うのが手軽です。 【種まきと育苗】 3号ポットに用土を入れ、3〜4粒ずつ播いて水やりをします。発芽したら水やりをしながら育苗を続け、本葉2〜3枚の頃に間引いて1本立ちにします。本葉5〜6枚になったら、プランターの中の用土に定植します。 【直まき】 以下に挙げる野菜は、プランターの培養土に種を直接まいて育てます。 レタス、ラディッシュ、小カブ、ホウレンソウ、小松菜、ビーツ、パクチー、シュンギク 【苗が市販される野菜】 トマト、ミニトマト、ナス、ピーマン、シシトウ、パセリなど ただし、トマトやミニトマトはプランターの培養土に種を直まきして育てることもできます。 【それ以外の野菜】 ineta udre/Shutterstock.com ジャガイモ春と秋に出回る種イモを購入して植え付けます。ラッキョウ、ニンニク8月下旬から10月初めにかけて市販される種球を購入して植え付けます。 家庭菜園はどんな場所がいいの? 庭先やベランダなど、日当たりがよくて風通しのいい場所を選びましょう。 特に風通しが悪いと、病害虫が発生するリスクが高まります。あまり日の当たらない庭もおすすめできません。 南向きで日当たりのいい窓辺は、小ぶりのプランターでの小ねぎやラディッシュの栽培に利用できます。 家庭菜園についてよくある質問 家庭菜園でトマトを育てています。甘くするにはどうしたらよいでしょうか? 太陽の光をたっぷり浴び、ガーデンで育ったトマトはとても美味しいもの。そんな家庭菜園のトマトを、さらに甘く濃厚な味にするコツが水分です。水分を多く与えられたトマトは、成長が早い反面やや味が薄くなってしまう傾向にあります。トマトを育てる時には、水を控えめにしてゆっくり成長させることで味が濃く甘いトマトを楽しむことができます。完熟するまでしっかり育ててから収穫するのもポイントです。実が柔らかく、濃厚で甘いトマトを楽しめます。また、実の表面がひび割れてしまう「裂果」という現象は、水分を一気に吸収するとなりやすいので、水分を控えめに一定量与えることでこれを防ぐという効果もあります。 家庭菜園を狭い場所で手軽に始める方法はありますか? 敷居が高いと思われがちの家庭菜園ですが、じつは、市販されているプラスチックのカップや野菜を入れて売られている容器、牛乳パックなどを鉢がわりに育てることができます。まず、プラスチックカップなどの底に、キリや千枚通しを使って水抜き用の穴をいくつかあけます。これで、小さな鉢が完成です。ここに土を入れ、タネをまいていきます。鉢の縁の2cm下くらいまでタネまき用の土を入れたら、水抜き穴から水が出るまでたっぷりと水をやり、タネをまきます。そこに軽く土をかぶせ、もう一度、水をやります。土の表面が乾いたら、水やりをしてください。日当たりのよい窓辺やベランダなどで育ててくださいね。 育てる野菜は、バジルやルッコラやミズナなど小さな葉物の野菜がおすすめ。数週間でタネまき、もしくは、苗植えから収穫まで楽しむことができますよ。大きな野菜を育てたい場合は、ある程度の大きさになったら、大きな鉢に植え替えてください。 日当たりが悪い庭でも家庭菜園で野菜を育てられますか? 家庭菜園でよく育てられるトマトやナスなどの果菜類の多くは、基本的に日当たりがよい場所を好むため、日当たりの悪い場所での栽培には向きません。でも、日当たりの悪い庭で栽培できる野菜にも、たくさんの種類がありますよ。比較的日当たりが悪い場所でも良く育つ野菜には、セリやミツバ、フキ、ニラ、ミョウガなどがあります。これらの野菜は、乾燥や高温に弱いものが多く、日当たりのよい庭ではうまく育てることが難しい植物で、半日陰から日陰を好み、少ない日照時間でも育てることができます。また、一日中日陰ではなく、午前中は日が当たるなどの半日陰の場所なら、ホウレンソウやコマツナ、レタスなどの葉菜類や、サトイモ、カブなどの栽培もできます。果菜類の中でもサヤインゲンは比較的光量の少ない場所でも栽培できます。 日当たりの悪い庭だからといって諦めてしまわず、環境に合った植物で家庭菜園を楽しんでくださいね。 プランターで初心者でも育てられるカラフルな野菜はありますか? スーパーなどでは買えない珍しい野菜を育てるのは、家庭菜園の醍醐味ですね。育てやすくカラフルな野菜といえば、スイスチャードがおすすめです。フダンソウ属の葉野菜で、茎の色がピンクや黄色、白色などで庭を彩ります。丈夫で育てやすいので初心者にも向いています。もちろんプランター栽培もOK。さらに暑さ寒さ両方に強いので、5~11月頃までの長期間収穫できるのもうれしいところです。スイスチャードのタネは皮が固いので、一晩水につけて水分を含ませると、発芽率が上がります。草丈が4~5cmになったら「ベビーリーフ」としても楽しめるので、間引き菜もサラダとして楽しめますよ。本葉が大きく育ち、収穫するときは外側の葉から収穫していくと、長く収穫を楽しめます。おひたしや炒め物など、さまざまな料理で楽しんでみてください。
-
宿根草・多年草

色鮮やかな花が春から秋まで楽しめる! ゼラニウムの特徴や育て方を解説
ゼラニウムってどんな植物? ヨーロッパの街並みを鮮やかに彩る花といえば、まず思い浮かべるのがゼラニウムではないでしょうか。南アフリカ原産のゼラニウムは、乾燥に強く丈夫な植物。夏場でも高温多湿になりにくいヨーロッパでは栽培しやすく、プランターや吊り鉢、ウィンドウボックスなどあらゆる場所で活用されています。 ゼラニウムはフウロソウ科ペラルゴニウム属(Pelargonium、和名はテンジクアオイ属)の植物を交配してつくられた園芸植物の総称。かつてゼラニウムはゲラニウム属(Geranium、和名はフウロソウ属)に分類されていました。当時の属名を英語読みした「ゼラニウム」が、現在も呼称(園芸名)として残っています。 ペラルゴニウム属は南アフリカのケープ地方を中心に多くの野生種があります。それらが17世紀末から18世紀にかけてヨーロッパに渡り、19世紀に入ると本格的に品種改良が進み、園芸植物化されました。 園芸植物として普及しているペラルゴニウム属の植物は、大きく4つのグループに分けられます。①ゼラニウム、②アイビーゼラニウム、③センテッドゼラニウム、④ペラルゴニウムです。以下にそれぞれの特徴をまとめました。 ①ゼラニウム 南アフリカ・ケープ地方原産のペラルゴニウム・ゾナレ(P. zonale)とペラルゴニウム・インクイナンス(P. inquinans)との交配をもとに改良が進められた系統。18世紀初頭にイギリスで品種改良されて以降、ドイツやアメリカで多くの品種が作出されてきました。P. zonaleは和名が「モンテンジクアオイ」というように、葉に輪紋があるのが特徴。園芸品種の中にも輪紋葉を持つものが多いのは、この血を受け継いでいるからでしょう。一方、P. inquinans譲りの特徴は、「ゼラニウム・レッド」と呼ばれる独特な鮮紅色。欧米では、この鮮やかな色が、ゼラニウムを象徴する花色として愛されています。 ゼラニウムは四季咲き性のため、温度さえ保てれば一年中美しい花が楽しめます。茎は多肉質で太く、高性種では半低木状になります。花色が豊富で、鮮紅色、暗赤、ピンク、サーモン、白、赤紫、淡黄色などがあります。花形も一重咲きのほか、半八重咲き、八重咲き、花心まで花びらが重なる千重咲きとバラエティ豊富です。 当初は挿し木で増やす栄養系品種が主流でしたが、1960年代から種子から育てても早期に開花する品種が開発されて、現在では花壇やプランターに適した実生系品種が主流となっています。 ②アイビーゼラニウム 南アフリカのケープ地方原産のペルターツム(P. peltatum)を中心に改良された品種グループ。西洋ヅタのように光沢のある葉を持ち、枝が下垂することから「アイビーゼラニウム」「ツタバゼラニウム」と呼ばれています。茎は細く多肉質にならず、横に這う性質があるので、地植えには向きませんが、ウォールバスケットやハンギングバスケット、脚付きのコンテナなどに植えると、あふれるように花を咲かせて見栄えがします。 ③センテッドゼラニウム 葉に芳香を持つ品種群で、「ハーブゼラニウム」「ニオイゼラニウム」とも呼ばれています。開花期は主に春から初夏ですが、花はおおむね地味で、“ハーブ”の名にふさわしく野趣あふれる姿が特徴です。改良種の中にはやや大輪の花も見られますが、そうすると葉の香りが弱く、「芳香を楽しむ」とはいかなくなるようです。欧米では、庭や玄関先などにセンテッドゼラニウムを植えて、通るときに葉をなでて香りを漂わせて楽しむ風習があります。香りの成分によって、ローズ、ミント、レモン、アップル、パイン(松ヤニ)などに分けられ、エッセンシャルオイルやお菓子の材料などに利用されています。 ④ペラルゴニウム 南アフリカ・ケープ地方原産のククラーツム(P. cucullatum)とグランディフロールム(P. grandiflorum)を主な親とし、これにほか数種を交雑して作り出された品種群。多くが春から夏にかけて咲く一季咲きで「ナツザキテンジクアオイ」の和名を持ちます。アザレアのような大輪の花を房状に咲かせ、弁の縁がフリルのように波打つものが多くゴージャスな印象を与えます。深紅色や藤色など他のゼラニウムにはない花色、花弁の中心に黒や赤色の斑紋や線状の模様が入る花、ビオラに似た小輪花、センテッド系との交配種など種類が豊富です。 ゼラニウムを管理するポイントは? 日当たりを好む半面、高温多湿を嫌うという性質はあるものの、ほとんどの種類は丈夫で育てやすいゼラニウム。美しくきれいな花を咲かせるための栽培方法のコツをご紹介します。 置き場所 園芸品種として出回っているゼラニウムの仲間は、南アフリカのケープ地方原産の品種が親となっているため、乾燥した気候を好みます。亜熱帯性植物なので、凍結すると枯死しますが、凍らなければ冬でも枯れることはありません。寒冷地では霜が降りる前に室内に取り込む必要がありますが、温暖地では「軒下に入れる」など、ちょっとした防寒対策をすれば、戸外での越冬も可能です。 生育に十分な日光を必要とする陽性植物なので、できれば半日以上は日が当たる場所が理想。屋外に植え付けるなら、3~4時間程度は日が当たる場所に。室内なら、十分に日が差し込む窓際などに置きましょう。 高温多湿を嫌うので、一年を通して風通しがよい場所に。特に弱りやすい真夏は、西日が当たらない場所に移動するなど注意が必要です。 植え付け・植え替え 多湿を嫌うので、通気・水はけのよい土が適しています。酸性に傾いた土壌では生育が悪くなるので、鹿沼土ではなく弱酸性の赤玉土を使用するとよいでしょう。赤玉土6に、腐葉土またはpH調整済みのピートモス3、水はけをよくするバーミキュライトなどを少々混ぜます。用土1リットルにつきスプーン2杯程度の苦土石灰を混ぜておくとよいでしょう。市販の草花用培養土を使用することもできます。 真夏と真冬を避ければ、いつでも植え付け・植え替えができますが、多くの品種が出揃い、コンディションがよい株が入手しやすいのは、春から初夏にかけて。枝葉が硬くしっかりと締まり、つぼみが多くついた株を選ぶのがポイントです。 1年以上植え替えをしていない株は、3月に入ったら植え替えを行います。「下葉が黄色くなった」「すぐに鉢土が乾く」「株を持っても鉢から抜けない」といった状態が見られたら根詰まりを起こしている合図。鉢から抜いて根鉢を崩したら、根を1/3程度切って一回り大きな鉢(大きくしたくない場合は同じ鉢)に、新しい培養土で植え付けます。植え付け後は水をたっぷりと与え、1~2週間程度は強い日差しや強風を避けて養生させましょう。一方、一季咲きのペラルゴニウムの植え替えは、花後の6月頃が適期。春には根詰まりがひどい株のみ、根鉢を崩さないように注意して鉢増しするとよいでしょう。 水やり 過湿を嫌うものの、生育が旺盛になる春から秋に水が不足すると成長が悪くなるため、この期間は、鉢土の表面が乾き始めたら、鉢底から水が出てくるまでたっぷりと与えます。とはいえ梅雨から真夏にかけては過湿になると根腐れを起こすので、やりすぎは厳禁。また、花に水がかかると、灰色カビ病を誘発しやすくなるので、株全体にかけるのではなく、根元に注ぎ込むように与えるのがコツです。成長が鈍る冬は、寒くなるにつれ水やりの回数を徐々に減らして、乾燥気味に管理します。鉢土の表面全体が乾いてから、温度が上がってくる午前中に与えましょう。 剪定 成長しながら枝の先端に花芽をつけるゼラニウムは、植え付けて半年以上経過すると草姿が乱れてくるため、剪定を行います。枝の下のほうに新芽が出ていたら、新芽を残すように切り詰めればOK。新芽が見えないときは、葉を数枚残すように切り詰めておくと、やがて新芽が出てきます。とはいえ花芽が付く4月以降に強い剪定をしてしまうと、見頃に花を楽しめなくなるので、伸びすぎた枝を揃える程度にしましょう。センテッドゼラニウムやペラルゴニウムなど一季咲きのものは花が終わった後に剪定しておくと、新芽がよく伸びます。 また、咲き終わった花をそのままにしておくと、見た目が悪いだけでなく、灰色カビ病の原因にもなるため、花がらは適宜摘み取ります。花房の一部をピンセットなどで取り除くか、ほとんど咲き終わった花房は、花茎の付け根を押さえながらもぎ取ると簡単に取り除けます。 肥料 植え付けのときに、リン酸を多く含む緩効性化成肥料を用土に混ぜておくとよいでしょう。油かすのように窒素分の多い肥料は、葉や茎ばかりが茂って、花付きが悪くなるので与えません。花付きをよくするためには、リン酸分の含有量が高い草花向けの液体肥料を1,000倍に薄め、月に数回与えます。真夏や冬越し前の秋には、カリ分の多い液体肥料に切り替えます。また、三要素等量の錠剤型緩効性肥料を施しておくのもよいでしょう。こちらは3カ月程度効果が持続します。成長が緩やかになる冬期は、温室などで管理する以外、肥料を施す必要はありません。 ゼラニウムの病害虫対策は? 真夏の高温期に、葉が斑入り葉のように黄白色になることがありますが、これは高温による障害で病気ではなく、秋になって涼しくなると自然に戻ります。 病気 ゼラニウムでしばしば見られるのが、株元の茎が黒変してつぶれたようになり、やがて上部まで枯れてしまう「茎腐病(ブラックレッグ)」です。症状がある茎を付け根で切り落として処分します。過湿状態や窒素分の多い肥料を与えると発生しやすくなるので、水はけのよい土を使い窒素肥料を控えます。 芽先が委縮して本来の花が咲かなくなるのは「モザイク病」の可能性があります。ウイルス性の病気のため、治療法はなく処分するしかありません。発病した株を切ったハサミで、他の健康な株を切ると伝染するので、ハサミを使うときにはその都度消毒するようにしましょう。 害虫 害虫の被害を最小限にするためには、虫が幼齢のうちに退治することが大切。その姿を探すより、葉や鉢の周りに残った糞や、食害を見つけるほうが簡単なので、日頃からよく観察する習慣をつけましょう。 春から夏にかけて葉の一部が巻いたり、引きつったりする症状が見られるのはハマキムシが原因。また、葉にかじられた痕があるのはヨトウムシによるもので、春から初冬にかけて発生しやすくなります。幼虫は見つけ次第捕殺して、オルトラン水和剤などの殺虫剤を散布します。またアブラムシやワタカイガラムシもつくので、こちらは粒剤タイプの浸透移行性殺虫剤を鉢土の表面に撒いておくと予防になります。 気を付けるべきは、冬の寒さよりも、夏の高温多湿 からりと乾燥した気候を好むゼラニウムは、高温多湿の日本の夏が苦手。梅雨の時期は湿度が高く鉢土も乾きにくくなるため、水やりは控えめに。盛夏に水を切らすと株が弱るので、1日1回はたっぷりと水やりを。ただし土が乾いていないのに与えると根腐れの原因になるので、こまめなチェックを心がけましょう。 秋になっても元気がないようであれば「夏バテ」を起こしていることも。「新芽が伸びない」「鉢土が湿っているのに葉がしおれ気味」「葉の色が悪くなってきた」といった症状があれば、根腐れを起こしている可能性が大。古土と傷んだ根を落として、新しい培養土でやや小さめの鉢に植え替えましょう。蒸散を抑えるために地上部を軽く切り戻すことも忘れずに。切り取った枝から挿し穂を取り、挿し木をしておけば、「もしもの時の保険」にもなって一石二鳥です。 ゼラニウムの増やし方は? ゼラニウムの繁殖は挿し芽が一般的ですが、花後に種子が付いていたら、採って播くこともできます。一代交雑種の種子からは、親とは異なる性質の株が生まれるので、我が家だけのオリジナルの花を楽しむことができます。ここでは、種まきと挿し芽の手順をご説明します。 種子から育てる ゼラニウムの仲間の種子は、なかなかユニークな形をしています。以前の属名Geraniumはギリシャ語で鳥の「ツル」の意味、一方、現在の属名Pelargoniumは「コウノトリ」を意味します。これは、両属の植物ともに、実の先端に長い針状の突起があることから、ツルやコウノトリの長いくちばしを連想してつけられたといわれています。熟すと傘のように広がり、羽毛状の毛がついた種子を飛ばします。種子にはらせん状の突起があり、着地するとネジのようにくるくると回りながら土中に潜ります。 播種するときは、毛と突起は取り除いておくと発芽が揃います。採取したての鮮度のよいものを播くときには、つけたままでも発芽率は悪くないようです。小粒の赤玉土にバーミキュライトを等分で混ぜたもの、または市販の種まき用土に、その種子が重ならないように置き、種子が隠れるように薄く土をかけます。発芽するまで2水を切らさないように。鉢皿に水を張り、鉢底をつけておく底面灌水がおすすめです。2週間程度で発芽するので、本葉が出揃ったら培養土を用いて3号程度のポリポットに鉢上げします。 播種の適期は4~5月、または9月下旬~10月にかけて。高温期の夏は適さないので、秋播きするときには採種後に冷暗所などで保管します。また、年内に播かない場合は、冷蔵庫に保管しておきましょう。 挿し木で育てる 丈夫な品種では、切り花のように水に挿しておくだけでも発根するゼラニウム。お気に入りの花を増やしたいのであれば、挿し木がおすすめです。挿し木の適期は春と秋。八重桜が咲く頃から5月が最も活着しやすく、梅雨の前まで可能です。一方秋挿しの適期は9月下旬~10月下旬にかけて。センテッドゼラニウムやペラルゴニウムは、春ではなくこの時期のみが適期となります。 挿し穂を取るのは、硬くしっかりと育った枝から。開いた葉が3~4枚ついた長さで茎頂部を切り取り、切り口を鋭利な刃物で切り戻しておきます。種まきと同様の土に、下の1節が埋まり挿し穂が倒れない程度に浅く挿します。 2~3週間程度で発根が始まりますが、この期間は日が当たらない場所に置き、水を切らさないように。根が出揃うまでは、種まきと同様の底面灌水がいいでしょう。ピートモスを原料に作られた圧縮ピートでもよくつきますが、その場合、発根後鉢上げするときには培養土にピートモスを混ぜないと新根の活着が悪くなることがあります。 芽先が伸び始めたら、根が生え揃ってきた合図。培養土を用いて4号程度の鉢に鉢上げします。作業の2日前から水やりを止め、鉢土を乾き気味にしておくと根切れを防ぐことができます。植え終わったら水をたっぷりと与え、頭頂部を切る摘心をしておくと、脇芽が伸びてボリュームのある株に仕上がります。 大事に育てれば長く咲く! ゼラニウムの花を楽しもう 夏越しに失敗しなければ、丈夫で育てやすいゼラニウム。数年かけて育て上れば、たくさんの花をつけて見応えも十分な株に仕立てられます。近年人気のある低木性やアイビー系の品種は、寄せ植えやハンギングバスケットなど、季節の草花と組み合わせて植えても素敵です。お気に入りの品種を見つけてみてはいかがでしょうか。 Credit 文/3and garden ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。 Photo/ 1) David Franklin 2) MaCross-Photography 3) OksanaBgn 4) Florence Zamsky 5) Ariene Studio 6右) Sulla Mino 6左) simona pavan 7) MaCross-Photography 8) alybaba 9) aniana 10) aniana 11) Derek Harris Photography 12) Jose Juan Nogueron 13) Tony_Traveler85 14) Tibanna79 15) Okrasiuk 16) Whiteaster 17) Toru Arioka 18) Sarah2 19) ChiccoDodiFC 20) Natalia van D 21) Nataliamarc 22) Zanete 23) iva 24) Ratda 25) Taiga /Shutterstock.com 参考文献:『NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月 ゼラニューム』(柳宋民著・NHK出版刊)
-
宿根草・多年草

【重宝する植物】丈夫で日陰でもよく育つハラン! 特徴や育て方を一挙公開
丈夫で品種も豊富! ハランについて Alex maschtakov/Shutterstock.com ハランは、キジカクシ科(クサスギカズラ科)ハラン属の多年草です。以前はユリ科に分類されていましたが、近年キジカクシ科に変更されました。また漢字では「葉蘭」と書くので、ランと関連するようにも思えますが、ランの仲間ではありません。 ハランの原産地は日本、主に中国・九州地方で、昔から日本の野山に自生してきた植物なので、環境に馴染みやすく、放任しても旺盛に育つ特性があります。暑さには強いほうですが、主に中国・九州地方が原産地であることから分かるように、寒さにはやや弱い傾向。寒冷地では寒さ対策が必要です。また、半日陰の環境でもよく育つので、北側の庭や日が差し込みにくい樹木の足元などにも植栽でき、シェードガーデンで活躍する一面もあります。 地際に咲くハランの花。 ハランの開花期は、3月下旬〜5月上旬。地際に花径4cmほどの紫色の花が咲きますが、葉に隠れてしまうのでほとんど目立ちません。そのため、ハランは主に葉姿の美しさを楽しむ植物とされています。草丈は20〜100cmで、幅広の長い葉を地際から放射状に広げます。常緑性で、一年中みずみずしい葉を保つので、冬の庭も寂しくなることがありません。 ハランは古典園芸の時代から愛されてきた植物で、古くから品種改良が行われてきたため、品種が豊富なのも魅力です。葉脈の方向にストライプ状に白い斑が入るものや、葉の先端のみ白い斑が入るもの、蛍が飛んでいるかのような幻想的な斑が入るものなどバラエティーに富み、選ぶ楽しみがあります。個性的なカラーリーフや、観葉植物として利用可能です。 ハランは昔から日本で親しまれてきた yuri-ss/Shutterstock.com お弁当に、おかず同士がくっつかないようにする仕切りとして入っているグリーンのシート「バラン」は、もともとはハランに由来するものです。ハランには殺菌作用があるため、昔は実際にハランの葉をお弁当などに使用していました。現在も料亭や寿司店ではハランの葉を細工し、盛り付けの飾りとして登場しています。江戸時代から流行した古典園芸の世界では、ハランの斑入り種が多数作出され、葉を愛でる植物として親しまれてきた歴史を持っています。ちなみに、ハランの花言葉は、「平癒」「強い心」「強い意志」などです。 置き場所や水やりはどうする? ハランの育て方 ここまで、ハランの基本情報や特徴、名前の由来、花言葉などについてご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、適した栽培環境や植え付け、水やりや施肥、気をつけたい病害虫、増やし方など、育て方について詳しく解説します。 ハランは日差しの強い場所が苦手 Peter Turner Photography/Shutterstock.com ハランは、強い日差しに当たると葉焼けしやすくなるので、午前のみ日が差す東側か、一日中チラチラと木漏れ日が差すような半日陰の場所を選んで栽培しましょう。ただし、あまりに暗い場所では、間のびした草姿になるので注意。観葉植物として室内で育てるなら、明るい窓辺などで管理します。 ハランは本来湿り気のある土壌を好みますが、乾燥に耐える性質もあります。土壌を選ばずよく育ちますが、水はけ・水もちのよい有機質に富んだ土づくりをしておきましょう。ハランは暑さには強いのですが、寒さをやや苦手とする性質。暖地なら戸外で越冬できますが、凍結の心配がある場合はバークチップや敷きワラなどでマルチングをし、寒さ対策をしておきましょう。寒冷地では鉢に植え替えて凍結しない場所へ移動して管理するのが無難です。 土は水はけのよいものを funnyangel/Shutterstock.com 【地植え】 植え付けの約2週間前に、腐葉土や堆肥、緩効性肥料少量を混ぜ込んでよく耕してください。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 草花用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。 植え付け・植え替えのポイント AlenKadr/Shutterstock.com ハランの植え付け・植え替えの適期は、3月下旬〜6月中旬か、9月下旬〜10月です。ただし、ほかの時期にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。最後に、たっぷり水を与えましょう。複数の苗を植える場合は、40〜60cmの間隔を取ってください。 庭で育てている場合、環境に合えば植え替える必要はありません。ただし、植え付けから数年経って株が込み合ってきたら、掘り上げて株分けをしてください。改めて植え直し、株の若返りはかりましょう。 【鉢植え】 鉢で栽培する場合は、6〜7号の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。ハランの苗をポットから取り出して軽く根鉢をくずし、鉢の中に入れて高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。 鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出してみて、根が詰まっていたら、根鉢をくずして古い根などを切り取りましょう。根鉢を1/2〜1/3くらいまで小さくして、元の鉢に新しい培養土を使って植え直します。 水やりはたっぷり! 季節によってメリハリを topseller/Shutterstock.com 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 真夏に水やりする場合は、気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。 また、真冬に水やりする場合は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に与えるようにしましょう。 【地植え】 根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、ハランは湿り気のある土壌を好むので、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。また、冬は土が乾燥しづらくなるので、与える頻度を控えめにしつつ、適宜水やりを続けてください。 枯れた葉・傷んだ葉を手入れしよう Andrii Zastrozhnov/Shutterstock.com ハランの葉は、茶色く枯れこんだり、傷んだりしても自然に落ちることはないので、見栄えのよさを保つためにも、随時取り除くようにしましょう。枯れた葉がいつまでも残っていると、病害虫が発生しやすくなるので、株周りはいつも清潔に保つようにしてください。 また、葉がたくさんついて込み合っているようなら、適宜間引くように切り取って、風通しをよくします。あまり葉を取りすぎると株の勢いが弱るので、バランスよく調整しましょう。 肥料は冬の間に寒肥を vladdon/Shutterstock.com 【地植え・鉢植えともに】 強健な性質なので、植え付け時に元肥として緩効性肥料を施します。その後は、毎年12〜2月に緩効性肥料を株の周囲にまき、スコップなどで軽く耕し、土に馴染ませておきましょう。斑入り種は、肥料が多すぎると斑の出方が悪くなるので、与えすぎに注意します。 鉢植えの場合、水やりとともに肥料成分が流亡しやすくなるので、株に勢いがないようであれば、液肥を与えて様子を見てください。 ハランがかかりやすい病気と対策 Happy_Nati/Shutterstock.com ハランが発症しやすい病気は、円星病、褐色斑点病、炭疽病などです。 円星病は、20〜30℃前後の時期に発生しやすくなります。カビが原因で、葉に5〜10mm程度の円形の斑点が現れます。大きくなると斑点同士が融合して、大きく不規則な形の斑点が多発。斑点の縁は褐色で、中央は灰色をしているのが特徴です。病気が進行すると、やがて株は枯れてしまいます。発症した株があれば、周囲に病気が蔓延しないように、土ごと処分してください。予防としては、水はけのよい土づくりをし、密植や繁茂のしすぎを避けて風通しよく管理します。また、窒素成分の多い肥料を過度に与えないようにしましょう。土壌から感染しやすいので、水やりの際に泥はねして土が茎葉につかないように注意します。 褐色斑点病は、20℃前後の雨が多い時期に発生しやすくなります。カビが原因で、葉に5mm前後の褐色の斑点が現れ、やがて大きくなって不揃いの円形の斑点が多発。病気が進行すると、株は枯れてしまいます。予防としては、水はけのよい土づくりをし、窒素成分の多い肥料を過度に与えないようにしましょう。土壌から感染しやすいので、水やりの際に泥はねして土が茎葉につかないように注意します。 炭疽病は、春や秋の長雨の頃に発生やすくなります。カビが原因で、葉に褐色で円形の斑点が現れるのが特徴です。その後、葉に穴があき始め、やがて枯れ込んでいくので早期に対処することが大切です。斑点の部分に胞子ができ、雨の跳ね返りなどで周囲に蔓延していくので、被害を見つけたらすぐに除去して土ごと処分しておきましょう。密植すると発病しやすくなるので、茂りすぎたら葉を間引いて風通しよく管理してください。水やり時に株全体に水をかけると、泥の跳ね返りをきっかけに発症しやすくなるので、株元の表土を狙って与えるようにしましょう。 ハランにつきやすい害虫と対策 Decha Thapanya/Shutterstock.com ハランに発生しやすい害虫は、カイガラムシです。 カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mm。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。 ハランの増やし方は株分けと種まき Kunlanan Yarist/Shutterstock.com ハランは、株分けと種まきで増やすことができます。 【株分け】 ハランの株分けの適期は、3月下旬〜4月上旬か9月中旬〜10月下旬です。株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りをはかります。株を掘り上げて4〜6芽ずつ付けて根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、株が増えていくというわけです。 【種まき】 種まきするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなります。 ハランの種は市販されていませんが、植え付けたハランが開花した後につけた種を採取し、種まきして増やすことができます。開花した後、株元に丸い実ができるので、熟したら中から種を取り出し、そのまま播きます。 3号鉢に市販の草花用培養土を入れ、指で穴を数カ所あけ、種まきをします。土をかぶせて最後にたっぷりと水やりをしましょう。発芽までは風通しのよい半日陰に置き、乾燥しないように適度な水管理をしてください。発芽後は日当たりがよく、風通しのよい場所で管理します。本葉が2〜3枚ついて込み合ってきたら、適宜間引いて生育のよい苗を残しましょう。本葉が数枚ついてしっかりした苗に育ったら、植えたい場所に定植します。 ※園芸品種の場合、親と同じ草姿になるとは限りません。 初心者向けのハラン! 豊富な品種を楽しもう mizy/Shutterstock.com ハランは、古くから日本で親しまれてきた植物で、環境に馴染みやすく手をかけずとも旺盛に育つので、ビギナーさんにもおすすめ。品種も豊富に揃い、斑の入り方がさまざまなので、美しいカラーリーフプランツとしても活躍します。ぜひ庭に取り入れて、美しい葉姿を楽しんではいかがでしょうか。
-
宿根草・多年草

一度植えれば数十年毎春咲き続ける宿根草「オダマキ」
春と夏をつなぐ花 繊細ながら強く育ちます 自然がどれほど精巧で美しく、不思議に満ちているかを教えてくれるのが、このオダマキという花。花弁の底がクルリと巻いたり、シューっと流れ星のように伸びたり、個性的な花姿はなんと2,000種あまり。日本にもミヤマオダマキなどの自生種が古くから知られていますが、バリエーション豊かなこれらの花は西洋オダマキです。色もとても豊富で、ブルーのグラデーションや赤ちゃんのほっぺのような優しいピンク色、あたたかな陽だまり色まで選ぶのが悩ましいほどです。繊細な造形とは裏腹に、性質は格別と言えるほどに丈夫です。 見とれてしまう複雑精緻なオダマキの花姿。つぼみはまるでアクセサリーのよう。Valor, Warren Price Photography, Zheltyshev/shutterstock.com 繊細な花姿は群生させると、より美しい。右/Crystal Schumacher-Cox/shutterstock.com 球根花との組み合わせも人気 オダマキは宿根草の中でもとても長生きする植物で、一度植えると20年以上変わらず美しい姿で咲き続けるものも珍しくありません。さまざまな環境に適応して育ち、日向でもそうでないところでも育ちます(完全な日陰は除きます)。ですから、栽培に苦労することはほとんどなく、ガーデニングの初心者にもおすすめ。もちろん、鉢植えでも育ちます。 花の美しさはもちろん、ベテランガーデナーの間では少しブルーがかった葉の魅力もよく話題になります。オダマキの花は春と夏の間にかけて、ちょうど春の球根花が咲き終わる頃にバトンタッチするように花を咲かせます。春の球根花はよく年も花を咲かせるために葉が枯れるまで庭においておく必要がありますが、その枯れゆく姿を隠すのに、オダマキの少しブルーがかった美しい葉が活躍してくれます。そのため、春の球根花と組み合わせる方法もおすすめです。 一輪でもアクセントになる花。オルレアの白い花の中で咲くオダマキ‘ブラックバロー’。 初夏の花を集めて。オダマキは切り花としてほとんど流通していませんが、ベル型の愛らしい花はアレンジに素朴な美しさを添えてくれます。ぜひお庭で育てて使いたいですね。rina Rosina/Shutterstock.com
-
果樹

ヤマモモは桃とは違う? 特徴や育て方のコツは? 主な品種もご紹介
主な特徴 forest pictures/Shutterstock.com ヤマモモは日本にも自生していることで、古くから食用はもちろん、さまざまな用途に利用されてきました。一見すると似た植物も多いため、違いを理解することも大切です。ここでは、そんなヤマモモの主な特徴について解説します。 基本情報 tamu1500/Shutterstock.com ヤマモモは学名をMorella rubraといい、ヤマモモ科ヤマモモ属の常緑性高木で、樹高は5~10m、ときには20mを超えることもあります。原産地は中国~インド、日本にも自生しています。その地の環境に馴染みやすく、大気汚染にも強いため、道路沿いの街路樹や都市の緑化植物として、さまざまなところに植栽されています。温暖地の山に自生する樹木で、寒さにはやや弱い特徴がありますが、耐暑性に優れていて、関東地方以西では問題なく育てることができるでしょう。 花や葉の特徴 Picmin/Shutterstock.com ヤマモモの花期は3~4月で、枝の先端に穂状の細かい花を多数付けますが、あまり目立ちません。果実は6~7月に実りますが、雄花と雌花がある雌雄異株のため、果実は雌株にのみ付きます。果実は球形で、直径1〜2cm。多数の小さな突起があり、6月頃に暗い紅紫色に熟します。甘酸っぱく、独特の風味があり、生食できますが、日もちしないため、ジャムや果実酒などの加工品として流通することが多いです。葉は5~10cmの楕円形で、艶のある深緑色。密に互生し、枝先に束生します。 桃とヤマモモの関係 Pukao/Shutterstock.com モモもヤマモモも日本に自生しており、遠目に見るとモモの果実に似ていたことから、「山に生えるモモ」ということでヤマモモという名前が付けられました。しかしながらモモはバラ科であり、ヤマモモ科のヤマモモとは関係がなく、全くの別種です。 育て方の基本 amenic181/Shutterstock.com さまざまなところで植栽されるヤマモモは、大きくなることと、果実が収穫できるまでに時間がかかることに留意すれば、一般の家庭でも簡単に育てることができます。ここでは育て方の基本について解説したいと思います。 栽培環境・用土 G-Stock Studio/Shutterstock.com ヤマモモは日当たりがよく、肥沃な土壌を好みます。耐陰性もある程度あるため、スペースさえあれば植える場所はそれほど慎重になる必要はないでしょう。また、用土は通気性と保湿性に優れたものがベストです。ヤマモモは根に共生菌をすまわせ、大気中の窒素を共生菌経由で利用することができるため、痩せた土地でも生育します。 水やり・肥料 Maysee/Shutterstock.com 鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷり与えましょう。地植えの場合は、しっかり根が張ったあとであれば自然の降雨で問題ありません。夏場の乾燥がひどいときは水やりしてください。肥料はそれほど必要としません。生育が遅いなど、気になる場合は、有機肥料を果実の収穫後と寒い時期に施しておきましょう。 植え付け・植え替え A3pfamily/Shutterstock.com ヤマモモの植え付けは3~4月が適期です。日当たりと高木になることを想定し、スペースのある場所に植え付けましょう。植え付け後、根付くまではしっかりと水やりし、風で倒れないよう支柱を立てておきましょう。鉢植えで栽培する場合は2年に1度、あるいは鉢内に根が回り、根詰まりを起こしていたら植え替えを行います。枯れた古い根を整理し、一回り大きな鉢に植えるようにしましょう。 剪定・摘果 Marcel Paschertz/Shutterstock.com ヤマモモは、放っておくと樹高が高くなりすぎ、とても大きくなって管理しにくくなります。また葉が密に付くことで風通しや実付きが悪くなるため、毎年の剪定を行うようにしましょう。剪定方法としては、枝が密集しないよう不要な枝を切り取る、透かし剪定が一般的です。春に全体の枝を減らすことで風通しと実付きの調整ができ、毎年安定した果実を収穫することができます。 また、ヤマモモは隔年結果といって、実が多く付いた年の翌年は実付きが悪くなるという性質があります。安定した収量の果実を毎年確保したい場合は、摘果(摘花)が必要になります。房状の花や花後の未成熟な果実を間引き、1枝に2果程度の実付きにしておくとよいでしょう。 収穫 zhang sheng/Shutterstock.com 収穫時期は6~7月、果実の赤みが増し、黒っぽくなってくる頃が収穫のタイミングです。前述のように、放っておくと隔年結果といって実付きのよい年とそうでない年を繰り返します。凶作時には全く実が付かないこともあるので注意しましょう。また雌雄異株のため、実を付けさせるためには雄株と雌株を近くに植える必要があります。基本的には風媒花といって風に花粉が運ばれて受粉する性質のため、開花期が重なれば自然と実が付くようになります。ただし、苗木で購入し、植え付けた場合は、実がなるまで最低10年は必要です。 増やし方 Akira Shimizu/Shutterstock.com ヤマモモは挿し木や接ぎ木で増やすこともできますが、成功しにくいため、種まきで増殖するのがよいでしょう。6月に落ちた果実を拾って、よく水洗いしたあと冷暗所や冷蔵庫など低温の場所に保存しておきます。翌春、3~4月に種まき用の用土とポットを用意して播きましょう。種まき後は用土が乾かないように水やりを続けます。発芽までに時間を要する場合もあるため、数週間様子を見ましょう。 病害虫 Rajkumar Thorat/Shutterstock.com 菌が幹や枝に入り込み、こぶ状の病変となる、こぶ病に注意しましょう。多湿環境で発生しやすいことから、定期的な不要枝の剪定を行い、風通しよく管理することで予防できます。もしこぶができてしまったら、早めに切り取りましょう。またハマキムシにも注意が必要です。このハマキムシは蛾の幼虫で、吐き出す糸で葉を丸めたり、2枚をくっつけるなどし、中に棲みつきながら葉を食害します。見つけ次第、葉ごと取り去るなどして取り除きましょう。 主な品種 kariphoto/Shutterstock.com ヤマモモには、収量の多い種や食味のよい種など、いろいろな品種があります。ここではそれらについて解説します。 シロモモ(シロヤマモモ) Traveller Baba/Shutterstock.com 大きな実と酸味のない甘い実が特徴です。ヤマモモほど赤くならず、ピンク色で熟します。4月から開花を始め、6月中旬から下旬にかけて実を収穫することができます。 ヒメヤマモモ Lartos_82/Shutterstock.com 中国原産の品種です。ヤマモモよりコンパクトに育ち、樹高30cm程度から実を付け始めるため、鉢植えなどでも栽培可能です。 食べて楽しむ Traveller Baba/Shutterstock.com ヤマモモは爽やかな酸味と甘みがあり、生食はもちろん、ジャムや果実酒などいろいろな利用方法があります。ここではヤマモモの活用方法について解説します。 ジャムの作り方 AlenKadr/Shutterstock.com ヤマモモ(250g)をよく水洗いします。水気を切って鍋に入れ、ヤマモモがひたひたになるくらいの水を加えて中火で煮ます。沸騰して5分ほど経ち、ヤマモモが柔らかくなったら火から下ろして湯切りをし、ザルで漉しながら種子を取り除きます。その後鍋に移して、グラニュー糖(100g)、レモン汁(大さじ1)を加え、木べらを使って弱火で焦げ付かないように混ぜながら煮ます。20分ほどして、分量が元の2/3ほどになったら、火から下ろします。煮沸消毒した瓶に入れて粗熱を取れば完成です。 果実酒の作り方 Parkova/Shutterstock.com ヤマモモ(1.6kg)を水洗いし、熱湯消毒した広口のビンに入れます。氷砂糖(1kg)を加え、焼酎(1.8L)を注ぎ、2カ月ほど保存します。焼酎にヤマモモの赤みが移ったら実を取り出し、濾過して別のビンに詰めればヤマモモ酒の完成です。 自宅で栽培してヤマモモを味わおう 4045/Shutterstock.com ヤマモモは苗木から果実を収穫できるまで時間はかかりますが、栽培は比較的簡単で、たくさん収穫できる果樹です。日もちしないヤマモモの実をそのまま味わえるのは、自宅で育てている人の特権。ぜひお庭に植えて、生食はもちろん、ジャムや果実酒などいろいろな楽しみ方をしてみてはいかがでしょうか。




















