初心者でも上手にできる家庭菜園! 始め方は? おすすめの野菜は?

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自宅で栽培した野菜をそのまま食卓で味わうことのできる家庭菜園。初心者でも上手にできる方法があります。
家庭菜園におすすめの野菜についてもご紹介します。
目次
これなら簡単!
初心者でもできる家庭菜園の始め方

寒くなってくると、食べたくなるのが鍋料理。薬味の一つとして重宝されるのが「小ねぎ」です。
家庭菜園初心者の方は、まずは「小ねぎ」で自宅での野菜づくりを始めましょう。
やり方は、以下にご紹介するように、とっても簡単!
小ねぎのプランター栽培
(1)長さ35cm、深さ15cmぐらいの小ぶりのプランターを用意します。
(2)プランターに野菜用の培養土を8分目ほどまで入れます。
(3)小ねぎは根の付いた状態で売られていますので、根の5cmほど上で青い部分を切り離し、鍋料理の薬味として利用します。
(4)小ねぎの根をプランターの中の培養土に植え付け、水やりをします。
その後、培養土の表面が乾いたのを確認して水やりを続けます。すると、2週間後くらいに新しい小ねぎが生えてきますので、それを収穫!
このようにして、繰り返し小ねぎの栽培と収穫を続けることができます。
小ねぎのプランター栽培をして、自宅で野菜を育てる楽しさを知ったら、他のいろいろな野菜にもぜひ挑戦してみましょう。
手軽に始められる家庭菜園

家庭菜園というと、広い庭や畑が必要というイメージがありますが、じつは狭いベランダでも野菜の栽培は可能。先にご紹介した小ねぎのプランター栽培などは、日当たりのいい窓辺でも十分できます。
初心者でも簡単に育てられる野菜もいろいろとありますから、気軽に家庭菜園を始めてみましょう。
家庭菜園に必要なもの
ベランダなどで家庭菜園を始めるときは、ひとまず次のようなものを用意しましょう。
- プランター
いろいろなサイズがあります。栽培する野菜に合わせて選びましょう。 - 野菜用の培養土
野菜の生育に必要な肥料分を含み、酸性度を適切に調整した用土です。野菜は酸性度が強いと生育が阻害されます。 - 鉢底石
プランターの底から用土が洩れるのを防ぎます。また水はけをよくする効果もあります。 - 肥料
追肥として使う化成肥料や液肥。 - 移植ゴテ
用土をすくったり、植え穴をあけたりする作業に使います。
- ポリポット
種を播いて育苗するのに使います。一番小さいサイズは直径3cm。これを1号ポットといいます。 - 鉢底ネット
ポットの底穴から用土が洩れ出るのを防ぎます。 - ジョウロ
水やりに必要。 - 園芸用ハサミ
収穫や生育途中の管理作業に必要。 - 紐
100円ショップで売っている園芸用の細い紐がおすすめ! - 支柱
野菜の中には生育に合わせて支えが必要となるものがあります。例えばトマト、ミニトマト、ソラマメなど。
プランターの選び方は?

広い畑がなくても、プランターがあれば庭先やベランダで手軽に家庭菜園を始めることができます。
【大きさ】
プランターにはいろいろなサイズのものがありますので、栽培する野菜に合わせて大きさを選びましょう。
先にご紹介した小ねぎなら、幅35cm、深さ15cmぐらいの小ぶりのプランターで十分。ラディッシュ(ハツカダイコン)や小カブもこのサイズでOKです。
ホウレンソウや小松菜はもう少し大きいサイズ。
ソラマメ、トマト、ミニトマトなどは根が十分に張れるよう、深さ35cm以上の大型のプランターが必要となります。
十分な深さがあり、立って作業できるイギリス生まれの「ベジトラグ」という製品も便利です。高さが80cmあり、ダイニングテーブルのように4隅に脚がついており、テーブル部分が土を入れられるプランターになっています。プランターは中央に向かって三角形になる形状で、深さが最大40cmになります。この深さがあれば、じゃがいもや人参などの根菜類も十分栽培できます。
【材質】
プランターは材質もいろいろですが、軽くて持ち運びがしやすいプラスチック製がおすすめです。
どんな用土がいいの?
(1)野菜用の培養土
ホームセンターなどで売られている野菜用の培養土を使うのが最もお手軽です。
培養土は野菜の生育に必要な肥料分が含まれていて、強すぎると生育を阻害する酸性度も適切に調整されていますので、プランターに入れてすぐに使うことができます。
(2)自家製培養土
赤玉土、腐葉土、堆肥などをブレンドして、自分で培養土をつくることもできます。
【自家製培養土のつくり方】
- 赤玉土(小粒)と腐葉土を7対3の割合でブレンドする。
- 堆肥(牛糞堆肥、馬糞堆肥など)を両手で2すくい加える。
- もみ殻燻炭(排水性をよくする働きがある)を両手でひとすくい加える。
- 苦土石灰(土壌の酸性を中和する働きがある)を片手でひとつかみ加える。
- 以上をよく混ぜ合わせる。
- 薄い液肥をつくり、ジョウロで用土全体がしっとり湿るくらいまで散布する。
そのまま3週間〜1カ月寝かせておけば、野菜用の自家製培養土の出来上がり!
家庭菜園におすすめの野菜は?
家庭菜園を始めるときは、以下の2つの方法があります。
(1)自分で種を播いて、苗から育てる。
(2)ホームセンターなどで売っている野菜の苗を購入して植え付ける。

トマト、ミニトマト、ナス、ピーマン、シシトウなどは春先に苗が出回りますので、それを購入して植え付けることができます。
しかし、ラディッシュ(ハツカダイコン)、小カブ、ホウレンソウ、シュンギクなどは苗が市販されることはありません。
なので、自分で種を播いて苗からつくって育てる必要があります。
【種を播いて育てるのにおすすめの野菜】
自分で種を播いて、苗から野菜を育てるときは、発芽率のよいものを選ぶようにすることがポイントです。
種の発芽率がよく、育てやすい野菜を以下に挙げてみましょう。

レタス、ラディッシュ、小カブ、ミニ人参、ミニ白菜、ホウレンソウ、小松菜、青唐辛子、青ジソ、ビーツ、ブロッコリー、シュンギク、ソラマメ、パクチー(コリアンダー)、バジル
上手な種まきの方法は?
失敗しない種まきの方法を、ぜひ覚えておきましょう。
【種まきの適期】
野菜の種には、播くのに最も適している季節、「適期」があります。
種の袋に適期や発芽までの日数などが書いてありますので、播く前にその説明をよく読むようにしましょう。
【春まき、秋まき】
野菜の多くは春まきです。しかし、秋まきもできるものや、秋にしか種まきができないものもあります。
【秋まきもできる野菜】

小カブ、ホウレンソウ、小松菜、シュンギク、ビーツ
【秋にしか種まきができない野菜】

ソラマメ
【種まき専用土】
用土は、清潔な種まき専用のものを使います。
【種まきと育苗】
- 3号ポットに用土を入れ、3〜4粒ずつ播いて水やりをします。
- 発芽したら水やりをしながら育苗を続け、本葉2〜3枚の頃に間引いて1本立ちにします。
- 本葉5〜6枚になったら、プランターの中の用土に定植します。
【直まき】
以下に挙げる野菜は、プランター内の用土に種を直まきして育てます。
レタス、ラディッシュ、小カブ、ホウレンソウ、小松菜、ビーツ、パクチー、シュンギク
【苗が市販される野菜】
トマト、ミニトマト、ナス、ピーマン、シシトウ、パセリなど
ただし、トマトとミニトマトはプランター内の用土に種を直まきして育てることもできます。
【それ以外の野菜】

- ジャガイモ
春と秋に出回る種イモを購入して植え付けます。
- ラッキョウ、ニンニク
8月下旬から10月初めにかけて市販される種球を購入して植え付けます。
家庭菜園はどんな場所がいいの?
庭先やベランダなど、日当たりがよくて風通しのいい場所を選びましょう。
特に風通しが悪いと、病害虫が発生するリスクが高まります。あまり日の当たらない庭もおすすめできません。
南向きで日当たりのいい窓辺は、小ぶりのプランターでの小ねぎやラディッシュの栽培に利用できます。
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Credit
文/岡崎英生(文筆家・園芸家)
早稲田大学文学部フランス文学科卒業。編集者から漫画の原作者、文筆家へ。1996年より長野県松本市内四賀地区にあるクラインガルテン(滞在型市民農園)に通い、この地域に古くから伝わる有機栽培法を学びながら畑づくりを楽しむ。ラベンダーにも造詣が深く、著書に『芳香の大地 ラベンダーと北海道』(ラベンダークラブ刊)、訳書に『ラベンダーとラバンジン』(クリスティアーヌ・ムニエ著、フレグランスジャーナル社刊)など。
家庭菜園についてよくある質問
家庭菜園でトマトを育てています。甘くするにはどうしたら良いでしょうか?
太陽の光をたっぷり浴び、ガーデンで育ったトマトはとても美味しいもの。そんな家庭菜園のトマトを、さらに甘く濃厚な味にするコツが水分です。水分を多く与えられたトマトは、成長が早い反面やや味が薄くなってしまう傾向にあります。トマトを育てる時には、水を控えめにしてゆっくり成長させることで味が濃く甘いトマトを楽しむことができます。完熟するまでしっかり育ててから収穫するのもポイントです。実が柔らかく、濃厚で甘いトマトを楽しめます。また、実の表面がひび割れてしまう「裂果」という現象は、水分を一気に吸収するとなりやすいので、水分を控えめに一定量与えることでこれを防ぐという効果もあります。
家庭菜園を狭い場所で手軽に始める方法はありますか?
敷居が高いと思われがちの家庭菜園ですが、実は、100円均一などで販売されているプラスチックのカップや野菜などが売られている容器、牛乳のパックなどを鉢にして育てることができます。育てる野菜は、バジルやルッコラやミズナなど小さな葉物の野菜がおすすめ。数週間でタネまき、もしくは、苗植えから収穫まで楽しむことができますよ。大きな野菜を育てたい場合は、ある程度の大きさになったら、大きな鉢に植え替えてください。まず、プラスチックカップなどの底に、キリや千枚通しを使って水抜き用の穴をいくつかあけます。これで、小さな鉢が完成です。ここに土を入れ、タネをまいていきます。鉢の縁の2㎝下くらいまでタネまき用の土を入れたら、水抜き穴から水が出るまでたっぷりと水をやり、タネをまきます。そこに軽く土をかぶせ、もう一度、水をやります。土の表面が乾いたら、水やりをしてください。日当たりのよい窓辺やベランダなどで育ててくださいね。
日当たりが悪い庭でも家庭菜園で野菜を育てられますか?
家庭菜園でよく育てられるトマトやナスなどの果菜類の多くは、基本的に日当たりがよい場所を好むため、日当たりの悪い場所での栽培には向きません。でも、日当たりの悪い庭で栽培できる野菜にも、たくさんの種類がありますよ。日当たりが悪い場所を好む野菜には、セリやミツバ、フキ、ニラ、ミョウガなどがあります。これらの野菜は、乾燥や高温に弱いものが多く、日当たりのよい庭ではうまく育てることが難しい植物で、半日陰から日陰を好み、少ない日照時間でも育てることができます。また、一日中日陰ではなく、午前中は日が当たるなどの半日陰の場所なら、ホウレンソウやコマツナ、レタスなどの葉菜類や、サトイモ、カブなどの栽培もできます。果菜類の中でもサヤインゲンは比較的光量の少ない場所でも栽培できます。
日当たりの悪い庭だからといって諦めてしまわず、環境に合った植物で家庭菜園を楽しんでくださいね。
プランターで初心者でも育てられるカラフルな野菜はありますか?
スーパーなどでは買えない珍しい野菜を育てるのは、家庭菜園の醍醐味ですね。育てやすくカラフルな野菜といえば、スイスチャードがおすすめです。フダンソウ属の葉野菜で、茎の色がピンクや黄色、白色などで庭を彩ります。丈夫で育てやすいので初心者にも向いています。もちろんプランター栽培もOK。さらに暑さ寒さ両方に強いので、5~11月頃までの長期間収穫できるのもうれしいところです。スイスチャードのタネは皮が固いので、一晩水につけて水分を含ませると、発芽率が上がります。草丈が4~5センチになったら「ベビーリーフ」としても楽しめるので、間引き菜もサラダとして楽しめますよ。本葉が大きく育ち、収穫するときは外側の葉から収穫していくと、長く収穫を楽しめます。おひたしや炒め物など、さまざまな料理で楽しんでみてください。