チオノドクサは、早春から咲き始める球根植物で、春の訪れを告げる花として大変人気があります。寒さに強く、植えっぱなしにしても毎年花を咲かせてくれるので、ガーデニングのビギナーにもおすすめ。この記事では、チオノドクサの基本データや特徴、花言葉、種類、詳しい育て方について、ご紹介していきます。

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チオノドクサの基本データ

チオノドクサ
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「チオノドクサって、どんな漢字を書くのかな?」と疑問に思う方もいるかもしれません。じつは、チオノドクサは学名のChionodoxaをそのまま日本語読みしたものなんです! ですから、チオノドクサにあてられた漢字はありません。ちょっと紛らわしいですね。ギリシア語で「chino(チオン)」は雪、「doxa(ドクサ)」は輝き、栄光を意味しています。チオノドクサの和名はユキゲユリ(雪解百合)で、英名はグローリー・オブ・ザ・スノウ。学名、和名、英名のいずれも雪が名前の中にあることからも想像がつくように、早春から咲いて春を告げてくれる花です。

チオノドクサは、キジカクシ科(クサスギカズラ科)チオノドクサ属の多年草で、秋植え球根植物に分類されています。原産地は、クレタ島、キプロス島、トルコで、寒さに強い性質が特徴。チオノドクサは、一度植え付ければ毎年開花を楽しめる息の長い植物です。ライフサイクルは次の通り。秋に球根を植え付けると、生育が始まり茎葉を出した状態で冬を越します。春になると花を咲かせ、開花後は茎葉だけになり、夏前に地上部を枯らして休眠。秋になると生育期になり、再び新芽を出す……というサイクルを毎年繰り返します。したがって、花が終わった、地上部が枯れたからといって掘り上げて処分せずに、毎年の開花を楽しみましょう。

チオノドクサの特徴

チオノドクサ
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チオノドクサの開花期は、2〜4月です。花色は青、紫、ピンク、白。花茎を立ち上げた頂部に数輪、星型の愛らしいフォルムの花が咲きます。草丈は10〜15cmで低く、コンパクトにまとまります。花壇の前面や縁取り、コンテナの寄せ植えなどに取り入れるとよいでしょう。やさしいパステル調の花色、楚々とした花姿が相まって、ナチュラルガーデンなどに人気の花です。一方で、マス植えにして群植させると、ダイナミックなシーンを作り出すこともできます。

チオノドクサの花言葉

チオノドクサ
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チオノドクサの花言葉には、「栄光」「仲間思い」「たくましさ」「奥ゆかしさ」などがあります。「栄光」は、英名のグローリー・オブ・ザ・スノウに由来しているのでしょう。「たくましさ」や「奥ゆかしさ」は、寒い冬を元気に乗り越え、可愛らしい花を楚々と咲かせる姿に由来すると想像できます。ちなみに、チオノドクサの誕生花は、1月11日です。

チオノドクサの種類

チオノドクサ
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チオノドクサは、5〜6種類の分布が確認されています。日本には昭和の初め頃に導入されたといわれており、まだ歴史の浅い草花の一つです。主にガーデニングで栽培されているのは、チオノドクサ・フォーベシー(Chionodoxa forbesii) とチオノドクサ・ルシリアエ(Chionodoxa luciliae)です。

チオノドクサ・フォーベシーは、草丈は15cmほどで、花径2cmほどの花を数輪咲かせます。花色は淡いブルーで、中心に白がのるのが特徴。ピンクの花の‘ロゼア’、白い花の‘アルバ’の品種などがあります。

チオノドクサ・ルシリアエは、チオノドクサの発見者であるボワシエの妻の名前、リュシールにちなんで名付けられました。花数がやや少なめで1茎に3〜5輪が開花。園芸品種の‘ギガンテア・アルバ’は、白花で花弁の幅が広い特性があります。

チオノドクサを育てる環境

チオノドクサ
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チオノドクサは、高山植物に分類されています。そのため、寒さには強いものの暑さには弱い性質で、暖地よりも高冷地など夏は涼しい環境を好み、生育も盛んになるようです。東に面した場所や落葉樹の足元など、開花時には日当たりがよく、真夏は半日陰になるような場所を選んで植えるとよいでしょう。鉢植えの場合、夏は涼しく風通しのよい場所に移動して管理します。

また、水はけのよい土壌を好むので、土作りの際にも水はけをよくする土壌改良資材を混ぜ込むなど、ひと工夫しておくと安心です。

チオノドクサの育て方

ここまで、チオノドクサの基本データや特徴、花言葉、種類、好む環境についてご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、チオノドクサの育て方についてご案内しましょう。球根の植え付けからスタートし、水やりや肥料、花がら摘みなど日頃の管理、増やし方などについて、詳しく解説していきます。

土作り

土
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【庭植え】

球根を植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材と緩効性化成肥料を植え場所に投入し、よく耕してふかふかの土を作っておきます。水はけの悪い場所では、川砂やパーライトなどを施し、周囲より土を盛って土壌改良しておくとよいでしょう。土作りは植え付け直前ではなく、数週間前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成します。

【鉢植え】

市販の山野草用の培養土を利用すると便利です。自身で土をブレンドする場合は、赤玉土6、腐葉土3、川砂1の配合で培養土を作ります。

植え付け

ガーデニング
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球根植物であるチオノドクサは、球根を入手して植え付けます。球根の植え付け適期は、9月下旬〜11月です。

花苗店などで開花株を買い求めた場合は、植えたい場所へ早めに定植します。植え付けの際は根鉢を崩さずに作業しましょう。

【庭植え】

土作りをしておいた場所に、深さ5〜6cmの穴を掘って球根を植え付けます。複数球を植える場合は約5cmの間隔を取りましょう。最後にたっぷり水を与えます。

【鉢植え】

鉢のサイズは4〜5号鉢がよく、7〜8球を目安に植え付けましょう。一つの球根から咲く花の数は少ないので、やや密に植えたほうが見映えがよくなります。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから山野草用の培養土を入れます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。球根の上部が隠れるほどの浅植えにするのがよく、間隔を均一に取って球根を植え付けていきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

水やり

水やり
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株が蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。

【庭植え】

水やりは、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いて乾燥が続く場合は、水やりをして補いましょう。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、多湿にすると株が弱るので、水の与えすぎには注意。土の表面が白く乾いたのを見はからってから、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。成長期を迎えてぐんぐん茎葉を広げるようになると、水を欲しがるようになります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

また、冬は夕方に水やりすると凍結の原因になるので、十分に気温が上がった真昼に水やりしましょう。夏は地上部を枯らして休眠しているので、水やりは不要です。

肥料

液肥
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【庭植え・鉢植えともに】

植え付けの際にしっかり土作りをしてあれば、肥料は必要ありません(鉢植えで使用する市販の培養土にはほとんどの場合肥料が配合されています)。しかし、葉色が冴えなかったり、株に勢いがなかったりした場合には、液体肥料を施して様子をみましょう。

開花後の管理

園芸バサミ
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【花がら摘み】

チオノドクサの球根を太らせるためにも、終わった花は早めに摘み取りましょう。花茎を残して、花首の下で切り取ります。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まるので注意してください。

【花が終わった後の管理】

チオノドグサは、一度球根を植え付ければ毎年開花してくれる、息の長いライフサイクルをたどるので、開花後に抜き取って処分せずに、そのままにしておきましょう。夏前には地上部を枯らして休眠しますが、その前の開花後は葉だけが残る時期になります。この葉にしっかりと日光を当てて光合成を促すと、球根に養分が送られて株が充実するので、花が終わったからといってないがしろにしないで、その後の生育も見守ることが大切です。

病害虫

アブラムシ
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病害虫の心配はほとんどありませんが、生育期にアブラムシが発生します。

アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目にも悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。

植え替え

土
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植え替えの適期は、9月下旬〜11月です。

【庭植え】

数年は植えたままにしたほうが充実し株になるので、放任してもかまいません。年月が経って、込み合って窮屈になっているようであれば、掘り上げて球根を分球して植え直します。

【鉢植え】

鉢栽培では、植えたままにしておくと根詰まりして生育が悪くなるので、1〜2年に1度を目安に、植え替えます。休眠期から生育期に移行して芽を出す前に、土に埋まっている球根を掘り上げましょう。古い土は処分し、新しい培養土を使って植え直します。やり方は前述の「植え付け」の項目を参照にしてください。

球根の保存の仕方

ガーデニング
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チオノドクサは、夏前には地上部を枯らして休眠します。チオノドクサの球根は乾燥に弱いので、本来は植えたままにしておいたほうがいいのですが、休眠している時期に別の草花を植えて花を楽しみたい、限られたスペースなので鉢にそのままおかずに別の場所で保管し、同じ鉢では夏花の寄せ植えを作りたい、といった事情もありますよね。球根を掘り上げて保存する場合は、乾燥させないように注意します。おがくずやバーミキュライトの中に入れ、乾燥させないように涼しい場所で管理するとよいでしょう。

増やし方

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【分球】

チオノドクサが属する球根植物は、茎や根の一部に養分をためて肥大化させる植物です。この球根の形状にはさまざまに種類があるのですが、チオノドクサは球状で、親球から子球ができて年を追うごとに増えていきます。球根が込み合ってきたら掘り上げて、親球から子球をはずして分球して増やすことができます。子球をそれぞれ親球として植え直せば、分球した分だけ球根が増えるというわけです。

最初に親球を植え付けてから数年が経ち、茎葉が込み合って窮屈に見えたら、チオノクドクサの球根を分球して更新をはかりましょう。植え替え適期の9月下旬〜11月に球根を掘り上げ、親球から子球を切り分けて分球し、それぞれに植え直します。分球して増やすと、親球とまったく同じ性質のクローンになります。

チオノドクサは、種を採取して種まきして増やすこともできますが、発芽まで時間がかかり、さらには花が咲くまで4〜5年の育苗が必要です。冷涼な気候でなければ失敗しがちなこともあり、チオノドクサは分球で増やすのが一般的です。

チオノドクサを自らの手で育ててみよう!

チオノドクサ
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チオノドクサは花のフォルムが端正で、きらめくような美しさがあり、早春からガーデンやコンテナをみずみずしく彩ってくれます。ライフサイクルが長く、一度植え付ければ毎年花を咲かせて、季節の到来を告げてくれるのも美点です。寒さに強いので植えたまま放任してもよく、メンテナンスがかからないのでビギナーにもおすすめ。ぜひガーデンやベランダの寄せ植えなどに取り入れてみてはいかがでしょうか?

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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