スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
3and gardenの記事
-
宿根草・多年草

ローダンセマムは花もシルバーリーフも楽しめる! 特徴や綺麗に咲かせるコツをご紹介
ローダンセマムの基本情報 croquette/Shutterstock.com 植物名:ローダンセマム学名:Rhodanthemum英名:Moroccan daisy和名:ローダンセマム科名:キク科属名:ローダンセマム属原産地:北アフリカ、スペイン分類:宿根草(多年草) ローダンセマムの学名は、Rhodanthemum。学名がそのまま流通名となっています。キク科ローダンセマム属の常緑性多年草で、冬でもみずみずしい葉姿を保ちます。原産地は北アフリカ、スペインで、耐寒温度はマイナス10℃ほど。寒さに強い一方、夏の高温多湿を苦手とするので、夏越しの管理に注意が必要です。草丈は10〜30cmで、花壇の前方に向いています。マーガレットによく似た可憐な花姿で、より低温に強いため、冬も管理しやすいのが魅力です。ただし、日本では夏越しが難しいため、一年草として扱われる場合もあります。 ローダンセマムの花や葉の特徴 iPlantsman/Shutterstock.com 園芸分類:草花開花時期:3〜6月草丈:10〜30cm耐寒性:強い耐暑性:やや弱い花色:白、クリーム、ピンク ローダンセマムの開花期は3〜6月で、花色は白、クリーム、ピンク。花茎を伸ばした頂部に3〜4cmのマーガレットに似た花が1輪ずつ咲きます。葉には細かく切れ込みが入っており、レースのような繊細な表情が魅力です。白い産毛に覆われたシルバーリーフで、開花期以外はカラーリーフとして利用可能。ただし、品種によってはグリーンのものもあるようです。 愛らしいピンク花も人気。haldy-01/Shutterstock.com ローダンセマムの名前の由来や花言葉 Bex Pix/Shutterstock.com ローダンセマムの名前は、ギリシャ語のバラ「Rhodon」と、花「Anthemon」をミックスしたもので、バラのように美しい花という意味になります。花言葉は「永遠の愛」「気丈に」「誠実」など。「永遠の愛」は開花期が長いこと、「気丈に」は花茎をまっすぐ伸ばした先端に、上向きに咲く姿が由来のようです。 ローダンセマムの人気の種類・品種 Nahhana/Shutterstock.com ローダンセマムは多様な種類や品種が出回っています。ここでは、特に人気の高い品種についてご紹介します。 ローダンセマム・ホスマリエンセ Ibtissam H/Shutterstock.com ポピュラーに出回っているホスマリエンセ種は、黄色い筒状花と白い舌状花のコンビが美しい、定番ともいえる花姿。ほかの種よりも花が1回り大きく華やかです。切り込みが深く入った繊細なシルバーリーフです。 ローダンセマム‘アフリカンアイズ’ LFO62/Shutterstock.com ホスマリエンセから作出された園芸品種で、中央の茶褐色の筒状花と、周囲を囲む白い舌状花とのコントラストが美しい。花茎が硬く、倒れにくいのも特徴。 ローダンセマム‘リルピンク’ 甘やかなパステルピンクの花を咲かせる園芸品種。褐色の筒状花とピンクの舌状花のコントラストも美しく、目を引きます。葉はシルバーリーフです。 ローダンセマム‘アプリコットジャム’ アプリコット色の舌状花は、濃いピンクからだんだんと淡いピンクへ変化していくので、1株で色のグラデーションが楽しめます。筒状花は褐色で、花径は4cmほど。花つきがよく、花茎を長めに伸ばして次々に開花します。葉はシルバーリーフです。 ローダンセマム・カタナンセ カタナンセはあまり流通していない種です。筒状花は黄色。ごく淡いクリーム色の舌状花の先端には、軽く切れ込みが入ります。 ローダンセマムの栽培12カ月カレンダー 開花時期:3〜6月植え付け・植え替え:3〜5月、10〜11月肥料:2〜5月、10〜11月種まき:5月頃 ローダンセマムの栽培環境 Lee ArtPhotos/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所を好みます。日照が不足すると花つきが悪くなり、ひょろひょろと徒長ぎみに伸びて軟弱な株になるので注意しましょう。 【日当たり/屋内】一年を通して屋外での栽培が基本です。 【置き場所】水はけのよい環境を好みます。夏の高温多湿は苦手なので、午前のみ日が差す東側などに植え、鉢植えの場合は雨が当たらず、風通しのよい半日陰に移動して夏越しするとよいでしょう。 耐寒性・耐暑性 寒さには強いので、基本的に戸外で冬越しできますが、寒冷地では室内に取り込むほうが無難。寒風に当たると傷むことがあるので注意が必要です。また、夏の高温多湿が苦手なので、土を盛って周囲より高くしたり、レイズドベッドや傾斜地に植え付けたりするなど、水はけよく育てましょう。鉢に植え替え、雨が当たらず風通しのよい半日陰に移動して夏越しするのも一案です。 ローダンセマムの育て方のポイント 用土 blueeyes/Shutterstock.com 【地植え】 植え付けの約1カ月前に、苦土石灰を散布してよく耕しておきます。2週間前に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、有機質に富み水はけ・水もちのよい土壌をつくります。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 市販の草花用培養土を利用すると手軽です。 水やり wavebreakmedia/Shutterstock.com 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。 【地植え】 根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。 【鉢植え】 日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になるので、与えすぎに注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。特に開花期間中は水を欲しがるので、水切れしないように管理しましょう。また、冬でもカラカラに乾燥させることのないように、適宜水やりを続けてください。 肥料 sasimoto/Shutterstock.com 【地植え・鉢植え共に】 2〜5月と10〜11月に、月に1度を目安に緩効性化成肥料を少量施します。 注意する病害虫 schankz/Shutterstock.com 【病気】 発生しやすい病気は、立ち枯れ病です。 立ち枯れ病は、根や地際の茎から感染し、だんだん生育が悪くなります。進行すると葉が黄色くなって株全体に病気が広がり、やがて腐って枯れてしまいます。発生初期に適用のある殺菌剤をかけて防除しましょう。病気が広がるようなら、抜き取って処分します。 【害虫】 発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。 ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にはスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。 ローダンセマムの詳しい育て方 苗の選び方 苗を購入する際は、株元の葉が蒸れて枯れ落ちていたり、ヒョロヒョロとして葉が少ないものは避け、葉色がよく、株全体に葉が茂ってつぼみが多いものを選ぶとよいでしょう。 植え付け・植え替え OlegDoroshin/Shutterstock.com 植え付け・植え替えの適期は、3〜5月か、10〜11月です。ただし、ほかの時期にも苗は出回っているので、花苗店などで入手したら早めに植え付けるとよいでしょう。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも1回り大きな穴を掘り、根鉢を軽くくずして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えましょう。複数の苗を植える場合は、20〜30cmの間隔を取っておきます。水やりや降雨時の泥はねによって病気が発生するのを防ぐために、表土をバークチップなどでマルチングするとよいでしょう。 地植えにしている場合は、数年は植えたままにしてもかまいません。しかし、大株に育って込み合ってきたら、掘り上げて株分けして植え直し、株の若返りをはかるとよいでしょう。 【鉢植え】 鉢で栽培する場合は、5〜6号の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗をポットから取り出して鉢の中に仮置きし、高さを決めたら、根鉢を軽くほぐし、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。水やりや降雨時の泥はねによって病気が発生するのを防ぐために、表土にバークチップなどを敷いておくとよいでしょう。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えます。 鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、2〜3年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して根鉢をくずし、新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、前よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。 日常のお手入れ mihalec/Shutterstock.com 【花がら摘み】 終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫の抑制につながります。また、いつまでも花がらを残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。 【切り戻し】 開花がひと通り終わった6〜7月に、草丈5cmくらいまで深く切り戻すと、高温多湿による蒸れを防いで夏越ししやすくなります。また、9〜10月、夏を乗り切って草姿が乱れていたら、草丈の半分くらいまで切り戻すとよいでしょう。その後わき芽が出て、こんもりと茂る株姿になります。 増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com ローダンセマムは、挿し芽で増やします。挿し芽とは、茎葉を切り取って土に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し芽ができないものもありますが、ローダンセマムは挿し芽で増やすことができます。 挿し芽の適期は、4〜5月か、9月下旬〜10月です。新しく伸びた茎を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります。採取した茎(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を数枚切り取ります。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。発根後は日当たり・風通しのよい場所に移動し、十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 ローダンセマムの夏越しの注意点 InfoFlowersPlants/Shutterstock.com ローダンセマムは乾燥した山岳地帯を原産とするため、日本の高温多湿の気候が苦手で枯れやすく、一年草として扱われることがあるほど夏越しが難しいのが注意点の1つです。地植えの場合は、風通しをよくし、蒸れを防ぐために地際から5cmほど残して深く切り戻して乗り切るのがおすすめ。または、鉢に植え替えて養生させるのも一案です。鉢栽培の場合は、雨の当たらない涼しい半日陰に移動して、暑い時期を乗り切ります。 蒸れに注意すれば夏越しは可能ですが、高温多湿な日本の夏は傷みやすいため、一年草と割り切るのも一案。初夏までであれば、手間がかからず管理もしやすいです。 ローダンセマムの花が咲かない原因と対処法 Graeme L Scott/Shutterstock.com ローダンセマムの花が咲かないのは、蒸れが原因として考えられます。花や茎葉に水がかかると傷みやすいため、開花期の水やりの際は株元の土を目がけて与えてください。梅雨時は特に注意が必要で、鉢栽培の場合は雨の当たらない場所に移動するとよいでしょう。 ローダンセマムの花とシルバーリーフで庭を彩ろう shins/Shutterstock.com 可憐な花姿が魅力のローダンセマムは、高温多湿に注意さえすれば、毎年開花を楽しませてくれます。フォルムの美しいシルバーリーフはエバーグリーンで、冬もみずみずしい葉姿を楽しめるのも美点です。ぜひ庭やベランダに迎え入れてみてください。
-
ガーデン&ショップ

「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」1年の取り組み
毎日見学者が訪れる第2回コンテスト会場は「神代植物公園」正門手前プロムナード[無料区域] コンテスト会場となった神代植物公園の正門手前プロムナード[無料区域]の1年間の景色の移り変わり(右上/4月 左下/7月 右下/11月)。入口付近に設置されたガーデンの案内板(左上)が目印。 第1回の都立代々木公園での開催に続き、第2回の舞台は、武蔵野の面影が残る都立神代植物公園。広大な敷地を有する園内には、四季折々に咲き継ぐ10万本もの花木のコレクションに加え、ばら園や貴重な植物が育つ大温室などがあり、歴史ある植物公園として知られています。第2回のコンテスト会場は、公園の正門手前のプロムナード[無料区域]。書類審査を通過した5名の入賞者がそれぞれ約70㎡のスペースにガーデンを制作し、3回の審査を経て2024年11月にグランプリが決定しました。 第2回コンテストのテーマは「武蔵野の“くさはら”」 5人が作庭した花壇は、プロムナード(公道)を挟んで向かい合う日向と日陰の2つのエリアに設けられました。日陰の花壇(写真手前側)は、常緑高木のシラカシが日を遮ります。11月の様子。 今回のコンテストのテーマは「武蔵野の“くさはら”」です。 かつて、ここ調布市を含む武蔵野エリアは見渡す限りの原野でした。ススキやハギなどが背を超えるまでに茂り、視界を遮る 山や木もなく、野から出た月が野に沈む、月見の名所としても知られていました。そんな背景に現代的な解釈を加えることで、挑戦者であるガーデナーたちは、豊かな色彩も取り入れながら新しい風景=ガーデンを制作しました。 コンテストガーデンが作られている敷地の平面図。A〜Eの各面積は約70㎡ 。どのエリアでガーデンを制作するかは、2023年11月に抽選により決定しました。 第1回に引き続き、“持続可能なロングライフ・ローメンテナンス”であることが「東京パークガーデンアワード」の外せないルールです。丈夫で長生きする宿根草を中心に選び、季節ごとの植え替えをせず、四季ごとに花の彩りがあることが求められています。今回の植栽は、1名ごとに北側(日向)と南側(日陰)の異なる環境に花壇を制作されたのも特徴でした。 2023年12月に行われた5つのガーデン制作に関わった皆さん。 【第2回 東京パークガーデンアワード in 神代植物園 最終審査までのスケジュール】 「東京パークガーデンアワード」は、5名の参加者決定から最終審査の結果発表まで1年かけて行われる、新しい試みのコンテストです。2023年12月上旬にはそれぞれの区画で1回目の作庭が完了。2024年2月下旬には、2回目の作庭日が設けられ、切り戻しなどのメンテナンスや追加の植栽など、花壇のブラッシュアップ作業が行われました。5つのエリアがそれぞれ日増しに彩りがあふれる4月は『ショーアップ審査』、梅雨空の7月中旬には『サステナブル審査』、11月上旬に秋の見ごろの鑑賞性と年間の管理状況を審査する『ファイナル審査』が行われました。酷暑を乗り越え、晩秋のガーデン風景へと移り変わったコンテスト会場をぜひご覧ください。 「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」すべての審査が終了しました! 審査員は以下の6名。福岡孝則(東京農業大学地域環境科学部 教授)、正木覚(環境デザイナー・まちなか緑化士養成講座 講師)、吉谷桂子(ガーデンデザイナー)、佐々木珠(東京都建設局公園緑地部長)、植村敦子(公益財団法人東京都公園協会 常務理事)、松井映樹(神代植物公園園長) 4月、7月、11月の3回の審査では、6名の審査委員による採点と協議により行われました。審査基準は、以下の項目です。【審査基準】公園の景観と調和していること/公園利用者が美しいと感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること(ロングライフ) /メンテナンスがしやすいこと(ローメンテナンス)/デザイナー独自の提案ができていること/総合評価 ※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。 「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」授賞式 2023年12月のガーデンの施工から約1年が経過し、3回目の審査となる『ファイナル審査』が2024年11月7日に行われ、入賞5作品の中より「グランプリ」、「準グランプリ」、「審査員特別賞」が決定。晴天の2024年11月24日、東京都江東区にある清澄庭園内の大正記念館にて授賞式が行われました。式典では、賞状とクリスタルメダルの贈呈、6名の審査員による講評、授賞者5名による喜びのコメントが発表され、参列者より大きな拍手が贈られました。 「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」の受賞者と審査員。 審査委員長の講評 審査委員長 福岡孝則さん(東京農業大学地域環境科学部 教授) パークガーデンというのはパブリックな場であり、私的な庭とは異なります。誰でも来ること、使うことができ、色々な方に体験していただけるのが最大の特徴かと思います。今年の「東京パークガーデンアワード」を通して感じたことをお伝えします。 東京パークガーデンアワードでは、植物の持っている美しさを単体の植物として見るだけではなく、植物全体で作る雰囲気やそのフィールドの色、テクスチャーや形などが見せる魅力を大いに感じることができました。成長前の春先などは、植物の下に設けられた小さな地形のアンジュレーションのつくる変化や水の動き、植物と地形でつくる全体のボリュームなどの細かい配慮からも作者の目的や意図を感じながら、審査しています。 私の専門はランドスケープアーキテクトなので、都市緑地などの屋外空間を計画設計するのが仕事で、植栽も含めた空間の全体像に重点をおいて考える傾向にありました。しかし今回改めて感じたことは、成長する過程のその瞬間瞬間にその植物を中心とした世界が輝いている瞬間があり、そこに感動があるということ。そして、ガーデンを訪れる人たちの実に多様で自由な感じ方、捉え方があることも強く感じました。パブリックガーデンは植物好きな人だけではなくて、多くの人に訴求していく必要があります。このような中で、出展者のみなさんが植物の形やテクスチャーで創意工夫を凝らし、繊細なものや明るいもの、そして渋いものなど、個性あふれるガーデンを創り出し、多くの人を惹きつけていました。私も含めて、改めて植物やガーデンの偉大さを考えさせられ、多くを学んだ審査となりました。 今年の夏は非常に暑かったですね。庭をつくる上で、サステナブルであることはとても大切なことです。一方で、「自然の下では、私たちで全てコントロールできず、思い通りにならないこともある」ということも学び、知る必要があります。日々、植物の状態を見たり、土の状態を学んだりして、その変化の中で自分たちが少しずつその土地に手を入れる感覚が大切だと考えます。今年は私の大学でも、研究室で設計に関わってきた食の庭プロジェクトで、土づくりからキャンパス内の庭や緑地のメンテナンスをするところまで取り組んでみました。ここでも意外な発見がありました。あれこれ試行錯誤しているうちに、いつもより学生同士のコミュニケーションが生まれていること。ガーデンづくりはサステナビリティを学ぶ実験場にもなると同時に、コミュニケーションが生まれるきっかけの場になるのです。夏の暑い日も、秋の心地よい日も、屋外で自然と向き合う時間をもつことで、新しい関係が生まれます。そう思うと、この東京パークガーデンアワードというのは、素晴らしい取り組みであり、まだ大きな可能性が隠されているといえるでしょう。 有名なガーデナーもランドスケープアーキテクトも、1人でできることは限られていると思います。ですから、皆さんがご自身が生活されている地域で、そしてチームでプラットフォームをつくっていただき、今回の東京パークガーデンアワードを基に日本中にパークガーデンが広がっていくような礎となって頂きたいと思います。また、ガーデンの技術とか、高い知識を持った公園管理者や造園技術者同志で切磋琢磨することも大事ですが、同時に、植物の育て方をまだ知らない人たちも含めて、いろんな人たちと関わりながら、このパークガーデンを広げていくということが大切だと感じております。 5名の授賞ガーデンと審査員講評 グランプリ コンテストガーデンAGrasses and Leaves, sometimes Flowers ~草と葉のガーデン〜 ⚫︎コンテストガーデンAの月々の変化は、こちらからご覧いただけます。 審査員講評 公園のエントランスにふさわしく、華やかさのある“のはら”でした。グラスや葉のテクスチャーの流れの中で、花が踊っているようにも感じられました。特に日陰の庭は植物の選定がしっかりしていて、多様な植物が秋まで乱れず、花後の姿も美しく見せていました。日向の庭は、混みあって見える時季もありましたが、流れを持たせたデザインコンセプトが秋にはしっかり生きてきました。シードヘッドもきれいに残り、キラキラしたグラスも印象的でした。全体に葉や花の色彩の対比が美しく計算されていて、光と風を感じさせてくれるステキな庭でした。 古橋 麻美さん コンテストを終えた受賞者のコメント 自身の今までの経験をうまく生かせたと思っています。当初、皆さんのプランを見たときにその素晴らしさに怖気づいたのですが、自身が長年メンテナンスをしている強みを生かし、きれいな庭に仕上げることができました。多くの人々に見て頂けるガーデンをつくりたいと長年思っていたので、1年間とても有意義な時間でした。 準グランプリ コンテストガーデンC草原は、やがて森へ還る。 ⚫︎コンテストガーデンCの月々の変化は、こちらからご覧いただけます。 審査員講評 「武蔵野の“くさはら”」というテーマに向き合う真摯な姿勢が伝わってきました。低木を植え、背景となるカシの木も利用し、限られた敷地で自然の景色をうまく表現していました。地形に起伏をもたせ、風の通り道も作り、「奥に何かあるのではないか」と草を分け入っていきたくなるような雰囲気を感じました。赤い実・ワイルドオーツ・ミズヒキなどとの出会いが楽しい一方、花壇手前に小花を枝垂れさせるなど、遠景も含めてバランスがよく、立体的で透明感のある景観になっていました。夏から秋にかけてやや繁りすぎ、地形のアンジュレーションなど細かな部分に目が届きにくくなる面もありましたが、「草原は、やがて森へ還る。」というタイトルに向き合った結果とも感じます。 吉野 ひろきさん コンテストを終えた受賞者のコメント 普段は個人邸をメインに、木を植えて森のような庭をつくっていますが、今回は宿根草メインということで当初はアウェー感があり、私自身にとって大きなチャレンジでした。思った通りには行かず失敗もありましたが、普段やっていることを表現できました。途中、審査員の厳しい言葉に一喜一憂しましたが、それをアドバイスとして捉えて、その後に生かすことができました。 審査員特別賞 コンテストガーデンE武蔵野の“これから”の原風景 ⚫︎コンテストガーデンEの月々の変化は、こちらからご覧いただけます。 審査員講評 日本の在来種を大胆に使って風通しよく配置していました。多様な葉の形やテクスチャーの違いが面白く、じっくり見ていたくなりました。草(くさ)感が強いので、花壇とは思われないかも…と心配してしまうくらいでしたが、緑から青色まで一年を通じて植物の葉の表情の変化が美しかったです。その辺の草っぱらだって、見ようによっては美しい! ということを気付かせてくれたともいえます。メンテナンスの回数を少なくする努力も見られ、日本における宿根草ガーデンの一つのスタイルとして、可能性を感じる庭でした。 清水 一史さん コンテストを終えた受賞者のコメント 都内の緑地をする仕事では、いつも『人々の背景になりそこに生き物がいること』を想像して計画していますが、よく言われるのが『在来種は地味』。今回、そんな在来種の魅力に焦点を当てた庭づくりは意義のある試みでした。ただコンセプトに寄りすぎたことで難しい点もありましたが、見に来てくれた人たちとの交流を通して、多くの学びを得ることができました。 入賞 コンテストガーデンB花鳥風月 命巡る草はら ⚫︎コンテストガーデンBの月々の変化は、こちらからご覧いただけます。 審査員講評 日向の庭は、草原の広々とした感じが伝わってきました。高さの違う植物を連ね、黄色の色あいにも強弱があって、見て楽しい華やかな庭になっていました。日陰の庭は近くで見ると、流れのような小道の周りに色々な花が咲いています。春から初夏にかけての優しい白、黄色系の花と多様な表情をもつグラスが作り出す世界は圧巻でした。グラウンドカバーにしている葉の微細なテクスチャーやグラデーションも美しかったです。ウィットに富んだ作り手のオリジナリティーを感じる庭でした。 メイガーデンズ 柵山 直之さん コンテストを終えた受賞者のコメント 今回『命巡る草はら』というコンセプトでしたが、一番の成果としては、1年で命の巡りが見られたということです。ツマグロヒョウモンの幼虫がたくさんついていて、数カ月後にはたくさんの成虫が飛び交う光景が見られました。人々の心を潤わせる街なかの楽園・パークガーデン。街の中にたくさんあったら、世の中が変わるのではと思います。 入賞 コンテストガーデンDfeeling garden ~伝え感じる武蔵野の新しい風景づくり~ ⚫︎コンテストガーデンDの月々の変化は、こちらからご覧いただけます。 審査員講評 季節の花がいつも咲いていて、多くの来園者を喜ばせてくれるすてきなガーデンでした。くさはらにポップなテイストを入れるというアイデアも秀逸で、日向の庭はゴージャスな植物のかたまりが連なり、春のチューリップなどが来園者をワクワクさせました。秋には多様なグラスの穂も美しく、ススキとアスター‛ジンダイ’の取り合わせがステキでした。日陰の庭は、グラウンドカバーも含めさまざまな色合いが混じりあい、光の明暗などデザインの狙いがよく伝わってきました。1年を通じてボリューミーでエネルギッシュ、色鮮やかな表情が印象的なガーデンでした。 藤井 宏海さん コンテストを終えた受賞者のコメント 私は中学3年生の時からこの仕事をしたいと思っており、いつも『笑顔になるような風景を作りたい』と考えてきました。今回はそれと併せて、小さい時に遊んだ草原などを基にデザインしました。庭を一から作って管理してみて、植物の成長の旺盛さに驚かされましたし、メンテナンスの大切さも改めて実感し、あらゆる視点で発見がありました。 Pick up 月々の植物の様子 11月の植物の様子 左から/サルビア‘ファイヤーセンセーション’(A日向エリア)、清澄白山菊(A日向エリア)、コレオプシス‘レッドシフト’(B日向エリア)、ミューレンベルギア・カピラリス(B日向エリア) 左から/ノコンギク‘夕映え’(C日向エリア)、バーベナ・オフィシナリス‘ハンプトン’(C日陰エリア)、シュウメイギク‘クイーンシャーロット’(D日陰エリア)、カライトソウ(E日向エリア) 10月の植物の様子 左から/ヒガンバナ(A日向エリア)、コルチカム(A日陰エリア)、ヘリアンサス‘レモンクイーン’(B日向エリア)、ホトトギス(B日陰エリア) 左から/アスター'アポロ'(C日向エリア)、アスター‘ジンダイ’(D日向エリア)、ヤマハギ(E日向エリア)、ノダケ(E日向エリア) 9月の植物の様子 ルドベキア‘タカオ’(Aエリア日向)、ペニセタム‘ルーメンゴールド’(Aエリア日向)、モミジアオイ(Bエリア日向)、アスター‘トワイライト’(Cエリア日陰) ムラサキシキブ(Cエリア日陰)、ユーパトリウム‘グリーンフェザー’(Dエリア日陰)、シュウメイギク(Eエリア日陰)、ツリガネニンジン(Eエリア日陰) 8月の植物の様子 左から/リグラリア‘ミッドナイトレディ’(Aエリア日陰)、ルエリア‘パープルシャワー’(Bエリア日向)、オミナエシ(Bエリア日向)、バーノニア'クリニタ'(Cエリア日向) 左から/カノコユリ(Cエリア日向)、オトコエシ(Dエリア日向)、ユーパトリウム‘ベイビージョー’(Dエリア日向)、トウテイラン(Eエリア日陰) 7月の植物の様子 左から/ミソハギ(Aエリア日向)、ヤマユリ‘オーラタムゴールドバンド’(Aエリア日陰)、ツルバギア(Bエリア日陰)、エキノプス‘プラチナムブルー’(Cエリア日陰) 左から/アンジェリカ‘エボニー’(Cエリア日陰)、ヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’(Dエリア日向)、シキンカラマツ(Eエリア日向・日陰)、シラヤマギク(Eエリア日向) 6月の植物の様子 左から/カンパニュラ・ラプンクロイデス(Aエリア日陰)、トリテレイア‘ルディ’ と ‘クイーンファビオラ’ (Bエリア日向)、ヤマアジサイ‘藍姫’(Bエリア日陰)、エキナセア‘プレーリーブレイズグリーン’(Cエリア日向) 左から/シャスタデージー(Cエリア日陰)、アリウム‘レッドモヒカン’(Dエリア日向)、アガスターシェ‘ビーリシャスピンク(Dエリア日向)、コオニユリ(Eエリア日向) 5月の植物の様子 左から/ツツジ ホンコンエンシス(Aエリア日陰)/ダッチアイリス(Bエリア日向)/バイカウツギ(Cエリア日向)/ゲラニウム‘ジョンソンズブルー’(Cエリア日陰) 左から/オーニソガラム・アラビカム(Dエリア日向)/アリウム‘パープルセンセーション’(Dエリア日陰)/ミツバシモツケ(Eエリア日向)/チョウジソウ(Eエリア日陰) 4月の植物の様子 左から/カマッシア・ライヒトリニー(Aエリア日向)/スイセン‘タリア’(Aエリア日向)/ヒマラヤユキノシタ(Bエリア日向)/チュューリップ‘クルシアナシンシア’(Bエリア日向) 左から/ゲラニウム'チュベロサム'(Cエリア日陰)/リクニス‘フロスククリ’(Cエリア日向・日陰)/ラナンキュラス ラックスシリーズ(Dエリア日向・日陰)/シラー・シビリカ(Eエリア日陰) 3月の植物の様子 左から/バイモユリ(Aエリア日陰)/クロッカス‘ホワイトウェルパープル’(A・Cエリア日向)/スイセン‘イエローセイルボート’(Bエリア日向)/チューリップ‘アルバコエルレアオクラータ’(Cエリア日向) 左から/クリスマスローズ(Cエリア日陰)/ベロニカ‘オックスフォードブルー’(Dエリア日向)/原種チューリップ・トルケスタニカ(Eエリア日向)/フクジュソウ(Eエリア日陰) 2月の植物の様子 左から/リナリア・プルプレア(Aエリア日向)/ヤブラン’シルバードラゴン’(Aエリア日陰)/スイセン‘ペーパーホワイト’(Bエリア日向) /メリアンサス・マヨール(Bエリア日陰) 左から/カレックス・ペンデュラ(Cエリア日陰) /ツワブキ(Dエリア日陰) /ディアネラ・ブルーストリーム(Eエリア日陰) /タマシダ(Eエリア日陰) 1月の植物の様子 左から/カラスバセンリョウ(Aエリア日陰)/黒葉スミレ(Bエリア日陰)/ホトトギス(Bエリア日陰) /アシズリノジギク(Cエリア日陰) 左から/シュウメイギク(アネモネ‘ホノリージョバート’)(Cエリア日向) /リョウメンシダ(Dエリア日陰) /タイニーパンパ( Dエリア日向) /カタクリ(Eエリア日向) 全国から選ばれた5人のガーデンコンセプト 「持続可能なロングライフ・ローメンテナンス」をテーマに、各ガーデナーが提案するガーデンコンセプトは、5人5様。それぞれが目指す庭のコンセプトや図面、植物リストの一部をご紹介します。 コンテストガーデンAGrasses and Leaves, sometimes Flowers ~草と葉のガーデン〜 【作品のテーマ・制作意図】武蔵野のくさはらを表現するにあたり、オーナメンタルグラスとカラーリーフ、特徴的な葉を持つ植物をメインにしたガーデンをつくってみたいと思いました。「グラスガーデン」は馴染みが薄かったり、地味にとらえられたりすることもあるかと思いますが、宿根草に加え、球根植物も多用し華やかさをプラスすることで、多くの方に楽しんでいただけるガーデンを目指しています。 【主な植物リスト】〇北側(日向)グラス類…イトススキ/カラマグロスティス/ペニセタム/パニカム/モリニア など季節の花…アガスターシェ/フロックス/ルドベキア/アガパンサス など和の花…キキョウ/オミナエシ/フジバカマ類/ヤブカンゾウ/ヒオウギ など球根…ユリ類/スイセン/カマッシア/ダッチアイリス/アリウム など〇南側(日陰)グラス・葉物類…フウチソウ/ベニチガヤ/ギボウシ類/クジャクシダ/クサソテツ など季節の花…アスチルベ/プルモナリア/ティアレラ/ムラサキツユクサ など和の花…イカリソウ/ヤマブキショウマ/シュウメイギク/チョウジソウ/ミヤコワスレ など球根…ユリ類/スイセン/コルチカム など コンテストガーデンA 月々の変化 11月の様子 【11月の日向エリア】 見応えたっぷりの、スパイク状に穂を伸ばすカラマグロスティス ‘カールフォースター’や空間を埋めるミスカンサス‘モーニングライト’、そして無数の花をつける清澄白山菊が晩秋の庭の見どころ。そのほか、暗赤色に色づくミソハギやペンステモン‘ダークタワーズ’のシックな葉色が風景に深みを添え、初夏から咲き続けているフロックス‘ブルーパラダイス’が華やかさを加えています。 【11月の日陰エリア】 カラーリーフとオーナメンタルなフォルムの植物が最後まで崩れることなく、季節の花とともに整然とした美しさをキープ。赤や茶色に染まる風景の中で、初夏から咲いているカンパニュラ・ラプンクロイデスやムラサキツユクサ‘スイートケイト’がちらほら名残の花をつけ、ヤマラッキョウの小さな花とともに、秋のひなびた風情を強めています。 10月の様子 【10月の日向エリア】 秋の陽に輝くたくさんのグラス類の中で、夏の名残りのルドベキアやフジバカマなどの花が美しく映えています。派手な印象を与えがちな黄×ピンクの組み合わせも、グラス類の絶妙な配分によって、落ち着きのあるナチュラル感を漂わせています。植栽の手前一角では、白いタマスダレとヒガンバナが瑞々しいアクセントを効かせています。 【10月の日陰エリア】 10月に入り花壇の手前側で人目を引いているのは、コルチカム(イヌサフラン)。透明感のあるピンクの花が、トーンの低い色彩の中で効果的なコントラストを生み出しています。暗くなりがちな後方では、オトコエシの白花やホスタの白斑が明るい印象を与えていることで奥行き感が高まり、花壇の見応えが増しています。 9月の様子 【9月の日向エリア】 9月に入ると黄×ピンクの花々とグラスのボリュームが半々となりました。ルドベキア‘タカオ’やミソハギの鮮やかな花が、落ち着いたトーンの中で輝くように咲いて見えます。数本枯れ始めた株もありますが、さまざまな形のグラスの穂によく馴染み、情趣あふれる風景が生まれています。 【9月の日陰エリア】 真夏のダメージがなく、気持ちよい眺めが楽しめるリーフガーデン。整然と立ち並ぶアスチルベの穂はややかたい印象ですが、風をはらんだベニチガヤやフウチソウが点在していることで硬軟のバランスをキープ。オトコエシと共にガーデンが軽やかに見えます。 8月の様子 【8月の日向エリア】 先月に続き旺盛に花々が群れ咲き、草丈のあるグラス類が加わってきたことで、ぐっと野趣に富んできました。グラス類の中でも特に、エラグロスティス・スペクタビリスのエアリーな穂が株と株の間を埋め、カラマグロスティス ‘カールフォースター’が背後を目隠しし、花々の引き立て役として効果を発揮しています。 【8月の日陰エリア】 瑞々しかった春~夏の花々は終わりを迎え、ひと足早く秋を感じる風景となりました。この時期は、オレンジがかった黄花のリグラリア‘ミッドナイトレディ’や深紅のペルシカリア ‘ブラックフィールド’の濃厚な花色が、植栽に深みを与えています。 7月の様子 【7月の日向エリア】 野趣あふれたガーデンは、花真っ盛り。バーベナ・ボナリエンシスやミソハギなどの花が奔放に広がり、隣り合う植物がうまく交わりながら、それぞれの美しさを発揮しています。一角では、ピンク×黄の色彩の中に、カノコユリ‘ブラックビューティー’の濃ワイン色がスパイスを効かせて、花壇の存在感をより一層高めています。 【7月の日陰エリア】 清楚さと華やかさをもたらしていたヤマユリが上旬で咲き終わり、下旬からはリーフで魅せる時期となりました。フウチソウなどのグラスが細いラインを、リグラリアやホスタの葉が広い面を描き、色や形が異なるリーフ類の対比の妙が楽しめます。株張りが大きく旺盛に伸びる日向の花壇とは対照的に、日陰の花壇は、花色は控えめながら、全体的にまとまりを感じさせます。 6月の様子 【6月の日向エリア】 6月の庭で最も目を引くのは右前面のコーナーで盛りを迎えるフロックス‘ブルーパラダイス’。植わるのは1カ所のみですが、同じ花色のバーベナ・ボナリエンシスで背景を埋めることで、まとまりと見応えが生まれています。後半になるとアリウム‘丹頂’とヒオウギが開花。濃いワインレッドと反対色となる黄花が、ガーデン全体のピリリとしたスパイス的存在となっています。 【6月の日陰エリア】 ピンクのアスチルベ‘タケッティスペルバ’や‘ビジョンズインピンク’、そしてカンパニュラ・ラプンクロイデスの花穂があちこちで上がり、縦のラインを強調したデザインが楽しめます。後方ではホスタやリグラリアなどのカラーリーフが明るさや陰影を生み出し、植栽の表情に深みを与えています。 5月の様子 【5月の日向エリア】 すらりと伸びて高くなった草丈が、初夏の風に揺られながらワイルドなうねりを見せています。中旬になるとリナリア・プルプレアやバーベナ・ボナリエンシス、フロックス‘ブルーパラダイス’、ペンステモン‘ダークタワーズ’ の花が一斉に開花。後方ではカラマグロスティス‘カールフォスター’がブルーグリーンの花穂を上げ、ガーデンは青みを帯びたピンクに色づきました。 【5月の日陰エリア】 ティアレアやムラサキツユクサ‘スイートケイト’、アスチルベなどの、明るくやわらかい葉色が美しいガーデンを構成。上旬はピンクの花を咲かせるツツジ ホンコンエンシスがアクセントになり、下旬になるとリーガルリリーの大輪花が開花して、初夏到来のインパクトを高めています。ホスタやリグラリアなどの葉物がガーデンに落ち着いた印象を与えるなか、手前ではルズラ・ニベアが幻想的な風景を描いています。 4月の様子 【4月の日向エリア】 4月前半に咲いていた白や黄色のスイセンが中旬には終わり、後方のブルーのカマッシア‘ライヒトリニー’にバトンタッチ。スラリと伸びる花穂が乱立するように広がり、この時季らしい勢いを見せています。まだ花をつけていないその他の宿根草も、形の異なるリーフをこんもりと茂らせ、共演する様子も見どころです。 【4月の日陰エリア】 4月上旬はコンパクトなスイセン‘ベビームーン’が主役で、緑が少なく素朴な風景でしたが、中旬には白いスイセン‘タリア’とプルモナリア‘トレビファウンテン’が咲き始め、ぐっと華やさが増してきました。また、手前ではイカリソウやティアレラの小さい花が咲き、デザイナーがイメージする‘春の森の景色’が表現されています。 3月の様子 【3月の日向エリア】 日向のエリアでは、上旬はクロッカス‘ホワイトウェルパープル’が彩りを添えるものの、表土がまだ寂しい印象でしたが、後半になると随所に散らしたスイセン‘ベビームーン’の明るい黄花が咲いて、春らしさがぐんとアップ。一方、数か所に植わる銅葉のペンステモン‘ダークワーズ’のダークカラーが引き締め役となり、アイリス類の細い葉が青々と伸び始め、空間を埋めています。 【3月の日陰エリア】 日陰のエリアでは、上旬はカレックスや銅葉のティアレラ‘ピンクスカイロケット’の葉の間から球根の芽色が確認できる程度でしたが、下旬になると日なたと同じスイセン‘ベビームーン’が開花をスタート。まとめて数か所に植えられた小さなシラー・ミスクトスケンコアナも満開を迎え、原生地の林床のような風景を描いています。奥の方ではユリがニョキリと芽を上げ始め、穏やかながらも秘めたパワーを感じさせています。 2月の様子 【2月上旬】 日向のエリアでは、リナリア・プルプレアの銀葉やペンステモン‘ダークワーズ’の紫の葉がアクセントになって、パニカムやペニセタムの枯れ色の葉が風に揺れています。地際をよく見ると小さな芽が伸び始めています。日陰のエリアでは、イカリソウやティアレラの赤紫の葉が寒さに耐え、花壇の奥では、ヤブラン’シルバードラゴン’が細葉を伸ばして明るい彩りになっています。日向・日陰とも後方に剪定枝で形作ったバイオネストが備えられ、メンテナンス時に出た枯葉などが入れられています。 1月の様子 「Grasses and Leaves, sometimes Flowers ~草と葉のガーデン〜」作庭後、1月の様子。 コンテストガーデンB花鳥風月 命巡る草はら 【作品のテーマ・制作意図】ガーデンの美しさは緑量や花の色目や形状だけで測れるものでなく、空や光や風や生きもの全ての関わり合い、生命の尊さを感じることでガーデンがより輝いて見えます。ガーデンに長く根付いて、地域に馴染む風景、生態系の一部になることを想定し、植えっ放しに耐えられる丈夫な品種を中心に、蜜源植物や、風や光の動きを反映しやすい植物を多く取り入れ、地味な在来種でも組合せや配置で奥行ある豊かな草はらの表現を目指します。 【主な植物リスト】〇北側(日向)フジバカマ/パニカム‘ブルージャイアント’/ノリウツギ‘ライムライト’/ヘリアンサス‘レモンクイーン’/パブティシア/キキョウ/アヤメ/バーベナ・ボナリエンシス/ダイアンサス・カルスシアノラム/ペニセタム・マクロウルム/ジャーマンアイリス/ルドベキア‘ゴールドスターム’/ヒオウギ(オレンジ花・キバナmix)/ペンステモン‘ハスカーレッド’/スティパ、カッコウセンノウ/ミニスイセン・ティタティタ(球根)/オミナエシ/ダッチアイリス(球根)/アリウム‘丹頂’(球根)/ミューレンベルギア・カピラリス/カマッシア(球根)/イトススキ/ロシアンセージ〇南側(日陰)ラナンキュラス‘ゴールドカップ’/カレックス・オメンシス・エバリロ/アジュガ/ベニシダ/フウロソウ/ツワブキ/ユキノシタ/ジャノヒゲ/ヤブラン/ハナニラ(球根)/スイセン各種(球根)/フリチラリア(球根)/ペンステモン/ホタルブクロ/ヒヨドリバナ/アスチルベ/カレックス/アガパンサス(青花・白花mix)/クサソテツ/ヤツデ/スミレ/セキショウ コンテストガーデンB 月々の変化 11月の様子 【11月の日向エリア】 黄×パープルの植栽が、秋からぐんぐんと美しい色彩を放ち始めました。下旬になるとシードヘッドが増え、ぐっと大人っぽい印象へと移り変わり、その朽ちた立ち姿は絵になる風景となっています。後方では、アスター‘ジンダイ’が見ごろを迎え、ミューレンベルギア・カピラリスやパニカム‘ブルージャイアント’のなかで、幻想的な景色を作っています。 【11月の日陰エリア】 日向と同様、秋にクライマックスを迎えたナチュラルガーデン。2種のホトトギスと清澄白山菊のピンクの落ち着いた彩りが、青々としたグラウンドカバーとのコントラストで、ひときわガーデンを引き立てます。今月目を引いているのが、明るさをもたらしているツワブキの黄色い花。ノリウツギの枯れた花穂との対比も見どころです。秋の小道を歩いているような雰囲気のある、愛らしい風景が広がっています。 10月の様子 【10月の日向エリア】 勢いよく成長する草丈のある植物が、秋空に向かって伸びるさまが爽やかで印象的です。ユニークな穂を揺らすペニセタム・ピロサム‘ギンギツネ’などのグラス類が、この時期ならではの黄×紫の艶やかな色彩を一層引き立てています。手前ではクリーム色のヒガンバナが開花しました。 【10月の日陰エリア】 先月のツルバキアからバトンを受け、今月はホトトギスが咲き始めました。右側端では、ディスカンプシア‘ゴールドタウ’の乾いた穂がふわふわと風に揺れています。野原のような風景に、可憐な彩りとオーナメンタルな植物がほんの少し加わっていることで、このガーデンの大きな魅力となっています。 9月の様子 【9月の日向エリア】 上旬までは8月に続いて明るい黄色が目をひく風景でしたが、下旬になると深みのある色味に変化し始めました。青花のルエリア‘パープルシャワー’が鮮やかに開花を進め、後方では、パニカム‘ブルージャイアント’やバーベナ・ボナリエンシスが爽やかに空間を埋め、ライムグリーンのノリウツギの花穂がオーナメンタルな存在感を発揮しています。 【9月の日陰エリア】 瑞々しかった風景も下旬になると、少し色みに深みが増し始めました。通路沿いの右角ではグラス類のディスカンプシア‘ゴールドタウ’とカレックス・フラジェリフェア‘キウイ’が、メリアンサス・マヨールと共にワイルドに葉や穂を展開。それとは対照的に花壇の左右手前ではピンクのツルバギアの花が愛らしい彩りをプラス。コントラストの妙が楽しめます。 8月の様子 【8月の日向エリア】 オミナエシやヒオウギ、ルドベキア‘ブラックジャックゴールド’、ヘリアンサス‘レモンクイーン’の黄花がメインの季節を迎えています。ルドベキアの黒い花心が、ペンステモン‘ハスカーレッド’の茶褐色の枯れ穂に呼応。紫花のルエリア‘パープルシャワー’が、きりりとした大人っぽいアクセントとなり、対比的な美しい配色が絵画的な印象を与えています。 【8月の日陰エリア】 ジャノヒゲやヤブランなどのグラウンドカバーが地面をみっちりと覆い、猛暑期間であっても、以前からの瑞々しさを維持しています。ディスカンプシア‘ゴールドタウ’やカレックスなどのグラス類が涼しげな動きをもたらし、静と動のコントラストを強調。のどかな風景が広がっています。 7月の様子 【7月の日向エリア】 ルドベキア‘ゴールドスターム’やヒオウギ、オミナエシ、コレオプシス‘レッドシフト’などたくさんの黄色い花があちらこちらで開花し、パワーあふれる夏の植栽を演出。やわらかい穂のペニセタム・ビロサムやペニセタム・マクロウルムがふわりとした動きをもたらして、花壇全体に強弱をつけています。 【7月の日陰エリア】 アジサイ‘アナベル’が明るさを、ツルバギアが愛らしさをプラスしています。下旬になるとアジサイに代わって、メリアンサス・マヨールが数々の葉を広げ、彫刻的な造形で特異な雰囲気を醸し出します。ともすると唐突感が出てしまいそうですが、その手前でさらさらとした穂を上げるディスカンプシア‘ゴールドタウ’が配されていることで、ナチュラルなガーデンにまとまりを持たせています。 6月の様子 【6月の日向エリア】 春の見せ場だったアイリスに代わり、涼しげなブルーの花を咲かせるトリテレイア‘クイーンファビオラ’が咲き始めました。後半になるとルドベキア‘ゴールドスターム’の黄色い花が鮮やかさをプラス。青×黄にアリウム‘丹頂’やダイアンサス・カルスシアノラムの濃いピンクが寄り添い、色彩豊かな風景となりました。 【6月の日陰エリア】 青々としたヤブラン、ジャノヒゲが広がる野原のような植栽に、2種のアジサイが開花し、立体感をもたらしています。手前に咲くヤマアジサイ‘藍姫’の青花と後方で咲くアジサイ‘アナベル’の白花が、涼やかな彩りをプラス。中央を横断する溝は、小道のような雰囲気を維持しています。 5月の様子 【5月の日向エリア】 春のガーデンは数種のアイリスが主役で、上旬はアヤメや各色(青・黄・白)のダッチアイリス、ジャーマンアイリスが随所で咲き乱れていました。主役と混ざり咲いていたダイアンサス・カルスシアノラムは、中旬になるとペンステモン‘ハスカーレッド’とともに、主役級の存在感を発揮。背後ではパブディシア トワイライトが開花し、シモツケのライム葉と共にガーデンに奥行きを感じさせています。 【5月の日陰エリア】 一面に咲いていた黒葉スミレが終わり、ヤブランやジャノヒゲが広がる草原のような風景に。そこに清らかな華を添え続けているのは、白いレースのような花を咲かせるオルラヤ。絶妙な透け感とふわふわとした草姿が、風の動きをもたらし、素朴な野草の雰囲気があります。中旬には、ガーデン中央に植わるヤマアジサイ 藍姫が咲き始め、オモトやツワブキとともに、どことなく和の雰囲気を漂わせています。 4月の様子 【4月の日向エリア】 線状の葉を持つアイリスなどが溝に沿って多数立ち上がり、緑と花のコントラストによって花壇のデザインが際立ってきました。上旬に咲いていたスイセンは咲き終わり、中旬にはカッコンセンノウやシラー・ペルビアナのブルーがアクセントに。アイリスのつぼみもぐんぐんと膨らんできているので、一斉に咲く5月は風景が一変すると予感させます。 【4月の日陰エリア】 上旬はリュウノヒゲと黒葉スミレが春の庭の骨格となって、スイセン・テタテートがアクセントとして効果的に見えていましたが、中旬になると前方で淡い黄色のミニチューリップが開花。差し色としての役割も担いながら、黒葉スミレの紫との反対色で彩りにコントラストをつけます。また、ペンステモンやオルラヤが大きくなりはじめ、立体感が出てきました。 3月の様子 【3月の日向エリア】 日向のエリアでは、上旬はカットバックしたグラスのドーム型のフォルムが目立っていましたが、下旬になるとアイリスの細い葉やペニセタム・マクロウルムの緑が瑞々しく展開。黄色いスイセン‘イエローセイルボート’やチューリップ‘シルベストリス’が、あちこちでにぎやかさを放っています。また、中央を渡る溝に沿って植物が並ぶ規則性が、気持ちの良さを感じさせます。 【3月の日陰エリア】 日陰のエリアは、上旬はノシランやリュウノヒゲ、ツワブキなど常緑のリーフ類+スミレの小花で覆われるのみでしたが、下旬になると黄花のスイセン‘ティタティタ’や、大輪のスイセン‘ラスベガス’、そのまわりには青花のムスカリが開花をスタート。やわらかい花色が加わることで、春の訪れが少しずつ感じられるようになりました。 2月の様子 【2月上旬】 日向のエリアでは、イトススキやミューレンベルギア・カピラリスのダイナミックな枯れ姿がアクセントになりながら、等間隔に植る常緑アヤメやダッチアイリスの芽吹きが緑のアクセントになっています。奥では早くもスイセン‘ペーパーホワイト’が咲き始めました。日陰のエリアでは、ツワブキや黒葉スミレ、ヤブラン、メリアンサス・マヨール、ヤツデなど、さまざまな常緑の葉が花壇に彩りを添えています。 1月の様子 「花鳥風月 命巡る草はら」作庭後、1月の様子。 コンテストガーデンC草原は、やがて森へ還る。 【作品のテーマ・制作意図】森では、様々な木々が壮絶な生存競争を繰り広げています。しかしそれは草原もまた同じ。草原は生命力に溢れる草花たちの戦いの場です。そしてやがて、草原の中から樹木が芽生え、最終的には森へと遷移していきます。私は、草原から森へと還るこのはじまりの瞬間を、美しくもドラマティックに演出したいと思いました。ここは、森が好きなガーデンデザイナーが解釈し表現したペレニアルガーデンです。 【主な植物リスト】〇北側(日向)グラス類:アオチカラシバ/エラグロスティス‘スペクタビリス’/カレックス‘フェニックスグリーン’/スティパ‘テヌイッシマ’/ディスカンプシア‘ゴールドタウ’ など球根類:コオニユリ/カノコユリ/スノーフレーク/ハナニラ(イフェイオン)‘ジェシー’/原種系チューリップ ‘アルバコエルレアオクラータ’/クロッカス‘ホワイトウェルパープル’/アリウム‘カメレオン’/アリウム‘グレースフルビューティー’ など宿根草:ノカンゾウ/アヤメ/ミソハギ/ウツボグサ/シュウメイギク/チョウジソウ/ワレモコウ/フジバカマ/ハゴロモフジバカマ/オミナエシ/ノコンギク‘夕映え’/アスター‘アポロ’/シオン‘ジンダイ’/エキナセア‘パープレア’/エキナセア‘ロッキートップ’/ルドベキア‘ヘンリーアイラーズ’/セントーレア‘ニグラ’/オルレア(一年草)/ガウラ‘クールブリーズ’/ペルシカリア‘ブラックフィールド’/フロックス‘フジヤマ’ など低木類:ガマズミ/バイカウツギ/コバノズイナ/テマリシモツケ など 〇南側(日陰)グラス類:カレックス‘ペンデュラ’/カレックス‘テスタセア’/シマカンスゲ/ワイルドオーツ/フウチソウ など球根類:ヒアシンソイデス‘ヒスパニカエクセルシオール’/シラー・シベリカ‘アルバ’/フリチラリア‘バイモユリ’/フリチラリア‘エルウィシー’/カマシア‘クシキー’/ゲラニウム‘チュベロサム’/コリダリス・ソリダ‘ベスエヴァンス’ など宿根草:キチジョウソウ/ヤブラン/ギボウシ/オカトラノオ/ホタルブクロ/イカリソウ/ミツバシモツケ/クリスマスローズ/シュウメイギク/チョウジソウ/ハゴロモフジバカマ/ベニシダ/ニシキシダ/クサソテツ/アスター‘トワイライト’/アスター‘リトルカーロウ’/ワイルドチャービル/サラシナショウマ(シミシフーガ)‘ブルネット’/カラマツソウ(タリクトラム)‘ヒューイットダブル’/モウズイカ(バーバスカム)‘ビオレッタ’/ペンステモン‘ミスティカ’ など低木類:ナツハゼ/ノリウツギ/ムラサキシキブ/ヤツデ‘スパイダーウェブ’/コバノズイナ など コンテストガーデンC 月々の変化 11月の様子 【11月の日向エリア】 秋の代表格であるキク科のアスター‘夕映え’や、初夏から咲き続けるガイラルディア、ふわりと咲く花々が多様なグラスと渾然一体となり、晩秋の情緒たっぷりの風景となっています。先月に引き続き、ブラシのような穂を上げるアオチカラシバが、ランドマークのような存在感を発揮。反対側に植わるクランベ・マリティマとともに、オーナメンタルで面白味のあるアクセントとなって、見応えある景観をつくり出しています。 【11月の日陰エリア】 爽やかなピンクやブルーの小花が咲く植栽のなかで、赤く色づくナツハゼの紅葉が温かみを与えています。その傍らで秋風になびくワイルドオーツの乾ききった穂や、後方に植わるノリウツギの枯れた花穂が、自然の秋の美しさを引き立て、山の谷筋の風景を切り取ったような風情が楽しめます。 10月の様子 【10月の日向エリア】 今月に入り、ペニセタム(アオチカラシバ)のボリュームのある穂が勢いよく上がり、見事な存在感を放ち始めました。全体的に夏から咲き続けている花がより一層花数を増やし、たくさんの蝶が飛来しています。なかでも長期に渡りピンクの花をつけているガイラルディア‘グレープセンセーション’が道行く人の目を引いています。 【10月の日陰エリア】 手前のナツハゼが植わるゾーンとその向かいのノリウツギの植わるゾーンが、谷合に見立てた溝を挟んで見事に調和。アガスターシェ‘ブラックアダー’やアスター‘トワイライト’、ムラサキシキブの実などのブルートーンの彩りが、爽やかな秋の空気に美しく映えています。 9月の様子 【9月の日向エリア】 どっしりとした株のフロックス‘フジヤマ’(オイランソウ)やルドベキア‘ブラックジャックゴールド’、アガスターシェ‘ブルーフォーチュン’が、左右・中央の3カ所で開花。そのまわりの空間をガウラやバーベナ・オフィシナリス‘バンプトン’などのふわりと広がる草花が美しく咲き乱れています。後方では、ガマズミの赤く色づいた実が静かに秋らしさをアピール。 【9月の日陰エリア】 ナツハゼやノリウツギなどの低木のまわりでフウチソウやワイルドオーツが流れるように葉や穂を揺らすさまは、いつまでも暑さが残る9月の風景に清涼感をプラス。後方ではノリウツギの枯れた花穂と共にムラサキシキブやアスター‘トワイライト’が繊細な初秋の風景を描いています。 8月の様子 【8月の日向エリア】 押し寄せる大波のごとく茂っていた上旬。成長しすぎた植物がざっくりと刈り込まれた下旬は、それまでとはひと味異なる風景が楽しめるようになりました。この時期は、鮮やかな花色のバーノニア'クリニタ'やフロックス‘フジヤマ’(オイランソウ)、ルドベキア‘ブラックジャックゴールド’が、まわりを牽引するように華やかに咲き誇っています。 【8月の日陰エリア】 日向エリアと同様に、下旬までに大胆な剪定が行われ、前側と後側の区分けがはっきり見えるようになりました。その効果で、ノリウツギの花房がアクセントとなり、中央でアガスターシェ'ブラックアダー'がどっしりとした安定感を強調。眺めていて心地よい風景が生み出されています。 7月の様子 【7月の日向エリア】 7月に入ると花数は減ったものの、全体のボリュームはさらにアップ。宿根草に加えて数本の低木が植えられているガーデンは、ゆうに人の背丈を越し、迫りくるような迫力を感じさせます。それはまるで植物と虫の聖域。その旺盛に茂る植物を目の前にすれば、思わず奥へとかき分けて入って行きたくなる衝動に駆り立てられます。コオニユリに代わりカンゾウのオレンジ色がアクセントとなっています。 【7月の日陰エリア】 フウチソウやワイルドオーツなど、さらさらとした穂が風に揺れるさまが涼を感じさせます。下旬になると、ガーデン中央部にアンジェリカ‘エボニー’のシックな花穂が上がり、植栽に大人っぽい表情が見られるように。そのほか、白や淡いブルーなど楚々とした花が随所に咲きはじめ、小さな変化を見つける楽しさもあります。 6月の様子 【6月の日向エリア】 前半は淡いトーンで優しい印象でしたが、中旬になると全体的に深みのあるトーンに変化。ガイラルディア‘グレープセンセーション’やエキナセアなどのキク科の花が、素朴ながらも賑やかさをプラスしています。また、オレンジ色のコオニユリがアクセントとなり、品の良さを保ちつつワイルドな風景となっています。 【6月の日陰エリア】 6月の主役はシャスタデージーとリクニス・コロナリアの白花。バリエーション豊富なリーフ類が旺盛に茂り、大きなうねりを見せていますが、中央に横断させた深めの溝がデザインを切り替え、ボリュームのある植栽をすっきりと見せています。 5月の様子 【5月の日向エリア】 コバノズイナやバイカウツギ、アメリカテマリシモツケ‘サマーワイン’などの低木が開花の時期を迎えました。中旬になると草花は人の背丈を超えはじめ、溝の部分がけもの道のような雰囲気を醸しています。印象深いのは、ガーデン右側半分にたくさん植わるスティパ・テヌイッシマ(エンジェルヘアー)。風に吹かれて波のような動きを作り、どこかファンタスティックなシーンとなっています。 【5月の日陰エリア】 こんもりと茂る植栽の中で、随所で多種多様な姿の花が咲いているのが印象的です。手前ではゲラニウム‘ブームショコラッタ’やサルビア・ネモローサ‘スノーヒル’、ヒメケマンソウ、中央ではシャスターデージー‘スノードリフト’、脇・後方ではペンステモン・ミスティカ、シシリンシウム・ストリアタム、カマッシア・ライヒトリニー‘セミプレナ’などが開花し、見る人を飽きさせない初夏の植栽プランが楽しめます。 4月の様子 【4月の日向エリア】 低木のガマズミが柔らかな葉を展開し始め、より立体的な風景に変化しています。中央の谷溝にはブルーの小花のベロニカ‘ウォーターペリーブルー’が咲き広がり、投げ込まれた木片と相まって野趣たっぷりに。後方ではフェスツカやフェンネルなどの茂みの中からアリウム・リグラムがつぼみを上げ、手前ではピンクのシャボンソウやシレネなどの花が下垂、幻想的な風景を描いています。 【4月の日陰エリア】 上旬はクロッカス‘ホワイトウェルパープル’とクリスマスローズのピンク色が主役となり、愛らしさを感じる風景でしたが、中旬になると全体的にボリュームが出て、ワイルドさを感じさせる風景に。リクニス'フロスククリ'やゲラニウム'チュベロサム'などの繊細な小花が存在しながら、季節が進むとヒメケマンソウやシラーカンパニュラータ、ワイルドチャービルが存在感を放ちはじめ、主役が次々と移り変わっています。 3月の様子 【3月の日向エリア】 日向のエリアは、上旬はクロッカス‘ホワイトウェルパープル’が一番乗りで開花を謳歌していましたが、下旬ともなると原種のチューリップ‘アルバコエルレアオクラータ’やスノーフレークが群生するように開花。株姿をコンパクトに、かつ白花で統一することで、野趣あふれる早春の風景が実現しています。 【3月の日陰エリア】 日陰のエリアは、上旬の開花は数株あるクリスマスローズのみでしたが、下旬になると、クロッカス‘ホワイトウェルパープル’が加わり、楚々としながらも華やかさのある風景が見られるようになりました。クリスマスローズは花色や咲き方にバリエーションがあるので、うつむいて咲く花を一輪一輪見比べるのも一興です。 2月の様子 【2月上旬】 日向のエリアでは、敷き詰められた落ち葉や杉皮樹皮バークの間からシレネやガウラ、オルレア、サルビアなどが少しずつ緑を増やし、つんつんと球根の芽吹きも出始めています。日陰のエリアでは、細葉を放射状に伸ばすキチジョウソウが緑のラインを作り、小高い場所ではクリスマスローズが生き生きと茂っています。ひと際明るいライムグリーンの葉を茂らせているのは、ワイルドチャービル(ヤマニンジン)。 1月の様子 「草原は、やがて森へ還る。」作庭後、1月の様子。 コンテストガーデンDfeeling garden ~伝え感じる武蔵野の新しい風景づくり~ 【作品のテーマ・制作意図】人々の心に残る武蔵野の情景を骨格に、新たな要素を組み足して、これからの愛される武蔵野の風景を植物の魅力や武蔵野の風景を「伝え」「感じる」ことを軸に提案しました。武蔵野の草原を連想させるグラスをベースに、季節の流れの中で、さまざまな色や形の草花がガーデンを彩っていくような配置を心がけました。自然との距離が遠くなった現代で、このガーデンが少しでも自然と人とが寄り添うきっかけになればと思っています。 【主な植物リスト】〇北側(日向)イトススキ/カラマグロスティス/カレックス/ユーパトリウム ‘ベイビージョー’/ムギ/ソバ/ダンギク/ベルガモット/オミナエシ/ワレモコウ/ルドベキア‘ブラックジャックゴールド’/エキナセア/バーベナ・ボナリエンシス/アリウム/チューリップ 〇南側(日陰)カレックス/ギボウシ/ツワブキ/クサソテツ/アカンサス・モリス/バプティシア/ユーパトリウム’チョコレート’/ペルシカリア‘ファイヤーテール’/アジサイ‘アナベル’/オトコエシ/オミナエシ/カクトラノオ/ペンステモン/アリウム/チューリップ コンテストガーデンD 月々の変化 11月の様子 【11月の日向エリア】 ホットな雰囲気があったヘレオプシス‘ブリーディングハーツ’の花や銅葉の色に、ぐっと深みが増し始めました。ソバの花やイトススキ‘パープルフォール’、アスター‘ジンダイ’と相まって、若々しさやひなびた印象を併せ持つ、重層的な風景が広がっています。 【11月の日陰エリア】 アネモネ‘クイーンシャーロット’(シュウメイギク)の花が盛りを迎えた晩秋のガーデン。花色のピンクが一般的な品種よりもやや濃い花色のため、つややかなグリーンの植栽にあたたかい印象を与えています。また、こんもりとした葉群れにダークな色合いのペンステモン等のシードヘッドが混在し、変化を与えながら落ち着いた印象をもたらしています。 10月の様子 【10月の日向エリア】 夏から旺盛に咲いていたヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’やルドベキア‘ブラックジャックゴールド’の花の勢いが衰えていく一方で、後方のアスター‘ジンダイ’の花がピークを迎えました。イトススキの華奢な穂と相まって、やさしい雰囲気を紡いでいます。 【10月の日陰エリア】 先月から存在感を見せ始めたユーパトリウム‘グリーンフェザー’の丈がさらに高くなり、リーフで作る植栽の見応えを高めながら、背後を隠す独特な世界観を確立。線の細い葉が秋の陽光に透けて、きらめいています。また、ペンステモン‘ダコタバーガンディ’やアスチルベ‘ダークサイドオブザムーン’、アジュガなど銅葉のリーフ類が、植栽に深みを与えています。 9月の様子 【9月の日向エリア】 無数の花を咲かせて元気いっぱいに存在感を発揮していたルドベキア‘ブラックジャックゴールド’の開花も落ち着きを見せてきました。花数が減った分、カレックス・テヌイクルミスのオレンジ味のあるブラウンが際立つようになり、イトススキの穂も上がり始めました。暑さが残るものの、一気に季節が進んでいます。 【9月の日陰エリア】 9月も引き続き瑞々しい風景を維持しつつ、全体的に深みのあるトーンに変化し始めました。依然ノリウツギとアジサイアナベルのライムグリーンの花穂がシーンに明るさをもたらし、そこにダークな枯れ穂をつけるペンステモン‘ダコタバーガンディ’がピリリとスパイスを効かせています。 8月の様子 【8月の日向エリア】 メインカラーとなる赤×黄の中で、バーベナ・ボナリエンシスの紫ピンクやオトコエシなどの白花が加わって、植栽の表情がより変化に富んでいます。ススキ‘パープルフォール’やカラマグロスティス‘カールフォースター’など、随所で穂を伸ばす多様なグラス類が存在感を出し始めました。 【8月の日陰エリア】 ノリウツギとアジサイ‘アナベル’×リーフ類で織り成す夏の植栽は、ずっと瑞々しいシーンを提供。その中で、白花のオトコエシと赤花のペルシカリア‘ファイヤーテール’が、さりげないアクセントになっています。この時期は、花壇の後方でぐんぐん伸びているユーパトリウム‘グリーンフェザー’も見どころ。 7月の様子 【7月の日向エリア】 色彩豊かな時期が過ぎ、トーンに落ち着きを見せる7月のガーデン。先月に引き続き、ヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’やルドベキア‘ブラックジャックゴールド’の鮮やかな花色が目を引いています。奥と両脇の草丈が高くなるように設計された花壇は、波のうねりのようなダイナミックな高低差を感じさせ、迫力と同時にリズム感も生み出しています。 【7月の日陰エリア】 瑞々しかったアジサイ‘アナベル’が下旬になるとくすみはじめ、グリーンのグラデーション×ダークカラーのシックな組み合わせが際立つようになりました。まるで大波が押し寄せてくるかのようなボリューム感で見る人を圧倒する植物群。手前に広がるシダ類は明るさと動きをもたらしながら、ワイルドさもプラス。艶やかな葉や雫をつける葉が輝き、雨も似合うガーデンです。 6月の様子 【6月の日向エリア】 アキレア‘パイナップルマンゴー’やモナルダ(赤)、ヘレオプシス‘ブリーディングハーツ’など、ホットな彩りでまとめられた初夏の植栽。その中で、アガスターシェ‘クレイジーフォーチューン’やベロニカ・ロンギフォリアのブルーが爽やかなアクセントとなっています。ボルドー色のアリウム‘レッドモヒカン’の球体の花が、あちこちで浮遊するように顔を出しているのもユニーク。 【6月の日陰エリア】 盛りを迎えたアジサイ‘アナベル’。大きな白い花が植栽の背景となり、さまざまな色形のカラーリーフが各々の魅力を発揮しています。ツワブキやペンステモン‘ダコタバーガンディ’、アジュガなど、緑×ダークトーンを基調としたリーフ合わせの中に、リョウメンシダなどの明るいグリーンを入れ込むことで、コントラストを効かせています。また、白い小花を咲かせるニホンムラサキが株間を埋めているのも見どころ。 5月の様子 【5月の日向エリア】 春の庭を牽引していたチューリップから、アリウム類にバトンタッチ。上旬は‘パープルセンセーション’、中旬は‘クリストフィー’ が主となり、それを支える花もラナンキュラス ラックスからアキレア‘パイナップルマンゴー’に移り変わりました。ポイントで植えたスティパ・テヌイッシマ(エンジェルヘアー)の輝きが、初夏の植栽をふんわりと支えています。 【5月の日陰エリア】 日向のガーデンと同様、チューリップが終わり、愛らしかった植栽はぐっと大人っぽい表情を見せ始めました。上旬は左側がラナンキュラス ラックスシリーズが間を埋めていましたが、中旬になると花が終わり、アリウム‘パープルセンセーション’や‘フォーロック’の開花がスタート。銅葉のアスチルベ‘ダークサイドオブザムーン’やペンステモン‘ダコタバーガンディ’が瑞々しい植栽を引き締めています。 4月の様子 【4月の日向エリア】 上旬は、赤・白・オレンジのチューリップ×ラナンキュラス ラックスシリーズの愛らしいカラーリングから、赤とブラックに花色が移り変わり、きりりとした表情が加わりました。また、それらを引き立てるように淡い花色のアネモネの株がボリュームアップ。スラリと縦に伸びるムギが瑞々しいアクセントになって、春を謳歌する花々の競演が楽しめます。 【4月の日陰エリア】 上旬にはほとんど咲いていなかったチューリップが中旬には一斉に開花し、日向に少し遅れて春爛漫の風景に変化しました。低い場所ではアジュガが小さなブルーのつぼみを無数につけ、後方ではノリウツギ類が柔らかい葉を少しずつ展開。春の見せ場から次の見せ場へと移りゆく季節の流れが、そよ風にのってふんわりと感じられます。 3月の様子 【3月の日向エリア】 日向のエリアは、上旬は最前列や溝の縁に咲くベロニカ‘オックスフォードブルー’の青い小花がナチュラルな彩りを添えていました。下旬になると、コンパクトなチューリップ‘スワラ’(赤)、‘ショーグン’(オレンジ)、‘ホワイトバレー’(白)がラナンキュラス‘ラックス’とともに咲き始め、一気に春本番のにぎやかさを演出。ムギやスティパ・テヌイッシマのやわらかい葉が、花の可憐さを一層引き立てています。 【3月の日陰エリア】 日陰のエリアは、上旬は冬から常緑性の濃い緑葉のリーフ類が青々と茂っているので、既に瑞々しい風景です。数センチほど芽が出始めていたチューリップの葉が、下旬になると20cmを超えるまでに成長。全体的にリーフの色にバリエーションが生まれ、変化のある表情になってきました。ポツンぽつんと植えられたラナンキュラス ラックスの赤や白い花が、アクセントになっています。 2月の様子 【2月上旬】 日向のエリアでは、スティパやカレックス、タイニーパンパ、セスレリアなどさまざまな細葉が風に揺れるなか、地際ではベロニカの銅葉やルドベキアなどが少しずつ葉を増やし、多数の球根類の芽も出始めています。日陰のエリアでは、アナベルの株元にアカンサスの鮮やかな葉が茂り、ツワブキやリョウメンシダなどの常緑の葉がリズミカルな彩りになっています。立ち上がる細葉や地面を這うように広がる丸葉など、フォルムの違いが楽しめます。 1月の様子 「feeling garden ~伝え感じる武蔵野の新しい風景づくり~」作庭後、1月の様子。 コンテストガーデンE武蔵野の“これから”の原風景 【作品のテーマ・制作意図】世界的に"Climate Change(気候変動)"が叫ばれ、日本でも夏の猛暑、雨不足による水ストレスが植物を苦しめました。農業技術である完熟した堆肥をはじめ有機資材を使い、微生物に富み団粒構造を持つ土壌を作ることからはじめ、これまで武蔵野の草原風景を担ってきた在来植物を中心にガーデンを構成します。都市の暮らしの中でこぼれ落ちてきた技術、植物でこれからの武蔵野の風景を模索していきます。 【主な植物リスト】〇北側(日向)ヤマハギ/ミソハギ/オミナエシ/ノガリヤス/チカラシバ/フジバカマ/オトコエシ/コマツナギ/ワレモコウ/シラヤマギク/カワミドリ/フジアザミ/ノダケ/ヒヨドリバナ/キセワタ/マツムシソウ/クララ/オカトラノオ/ヤマホタルブクロ/ツルボ/キキョウ/アサマフウロ/タカノハススキ/ミスカンサス‘モーニングライト’/ミツバシモツケ/カタクリ/ムラサキ/カライトソウ/タムラソウなど 〇南側(日陰)フクジュソウ/ヒトリシズカ/フタリシズカ/ツリガネニンジン/キバナノアキギリ/チダケサシ/シュウメイギク/クジャクシダ/ナチシダ/クサソテツ/ヒトツバ/ナキリスゲ/ゲンノショウコ/ナガボノシロワレモコウ/ヤグルマソウ/キョウガノコ/チョウジソウ/アキカラマツ/フシグロセンノウ/キリンソウ/エゴポディウム・バリエガータ/ツワブキ・アージェテリウム‘浮雲錦’など コンテストガーデンE 月々の変化 11月の様子 【11月の日向エリア】 チカラシバの穂がさらに開き、赤みを帯びたイトススキとともに、秋風を強く感じさせるようになりました。ガーデンの隅ではこんもりと茂るヤマハギが、11月下旬もたくさんのピンクの花をつけています。植栽の奥をのぞき込むと、小さな小菊やコマツナギが最後の花を咲かせており、まさに晩秋の草むらといった味わいです。タムラソウのシードヘッドもユニーク。 【11月の日陰エリア】 ナチシダやイトシマススキが晩秋まで勢いよく茂り、どこか原始的な雰囲気を漂わせています。中央ではシキンカラマツやシラヤマギクの枯れ姿が荒涼とした風情を、それとは反対に奥ではエゴボディウム‘バリエガータ’やツワブキ・アージェテリウム‘浮雲錦’の一塊が、明緑色のホスタとともに明るいアクセントをつくり、デザイン性を感じさせます。 10月の様子 【10月の日向エリア】 ボリュームのある穂を上げるチカラシバが案内板の傍らでこんもりと広がり、訪れる人を出迎えているよう。初夏から咲いているキキョウやカライトソウ、秋の花のオトコエシやヤマハギが素朴な彩りを添え、この時期ならではの和の風情がたっぷり楽しめます。 【10月の日陰エリア】 奔放に広がるナチシダやヒヨドリバナなどのワイルドな趣と、シキンカラマツなど地上部が枯れ始めた植物のひなびた趣とが見事に調和し、深みのある表情を見せています。日向のエリアと同様に、チカラシバの赤みを帯びた穂がメリハリを生み、効果的なアクセントとなっています。 9月の様子 【9月の日向エリア】 成長期を終えてすっかり丈が高くなった植物によって、背景が見えなくなりました。9月の開花は小さなピンクの花をつけるコマツナギと白い小花をつけるキセワタ。花は少ないですが、初秋の風にそよぐ景色には、どこか郷愁を感じます。 【9月の日陰エリア】 日向の植栽とは異なる趣で、ダイナミックに株を広げる山野草。上旬にはシラヤマギクやトウテイラン、シュウメイギクが見頃を迎えました。下旬になると、ラインを描くイトススキやギザギザの葉を展開するナチシダなどが見せる“組み合わせの妙”がより分かりやすく楽しめます。 8月の様子 【8月の日向エリア】 8月に入ると全体的に丈が高くなり、迫力のあるシーンが楽しめるようになりました。下旬になると花数は少し減りましたが、人の背丈ほどあるノダケやキセワタがつぼみや花をつけ始め、山野草をセレクトしているからこそのユニークな花が観賞できます。 【8月の日陰エリア】 シラヤマギクの白花が満開となり、つぼみをつけたヒヨドリバナやナチシダなどが量感たっぷりに枝葉を伸ばしています。一方、手前ではクールなトウテイランのシルバーリーフと青花が引き締め役となり、ひねりを効かせたデザイン性が植栽の表情を深めています。 7月の様子 【7月の日向エリア】 ますます草丈が高くなり、見応えが出てきました。紫の穂をたくさん上げるカワミドリや、繊細な白花を咲かせるシラヤマギクによって爽やかな風景が楽しめる中、キキョウやタムラソウが可憐な彩りを加えています。先月に引き続きフジアザミが個性的な姿を見せ、道行く人の足を止めています。 【7月の日陰エリア】 上旬は、丈のあるシキンカラマツが控えめながらも目を引いていましたが、下旬になるとフシグロセンノウとオオバギボウシの花にバトンタッチ。鮮やかなオレンジ花が加わって、よりにぎやかになりました。中央から四方に向けて、リーフの緑のグラデーションが伸びやかに広がり、見る人に心地よさを与えています。 6月の様子 【6月の日向エリア】 上旬は前面のホタルブクロや寺岡アザミがメインでしたが、中旬になるとシキンカラマツ、コマツナギ、シラヤマギクなどが開花。オレンジ色のコオニユリの花がポツンポツンと点在する様は野趣にあふれ、自然な風景を思わせています。右手前コーナーでは、彫刻的な形の花を咲かせているフジアザミが道行く人の目を引き、山野草ガーデンの奥深い世界へといざなっているようです。 【6月の日陰エリア】 つややかな緑のグラデーションの中央でピンクの花をつけるシキンカラマツが、楚々としながらもシンボリックな存在感を放っています。まわりにはシマイトススキやホスタなどが瑞々しく成長。スカビオサ‘ムーンダンス’の薄クリーム色の花を無数に上げる様子は、幻想的な雰囲気たっぷりです。 5月の様子 【5月の日向エリア】 山野草たちの開花がスタートしました。前面ではほかの宿根草に先立ち、ヤマホタルブクロ‘アケボノ’や寺岡アザミ、ミツバシモツケが開花のピークを迎えています。中でも目を引くのが黄色い花をつける多肉質のキリンソウ。フジアザミの尖った葉とともに、ユニークな雰囲気を醸しています。植栽奥では、赤花のアストランティア‘ベニス’が彩りをプラス。 【5月の日陰エリア】 木漏れ日の下でやわらかな山野草が広げる姿は、林床を思わせます。上旬はチョウジソウが可憐な花を咲かせていましたが、中旬になるとミツバシモツケやタマガワホトトギスが開花。後方では、繊細な切れ込みが入るナチシダが瑞々しい野性味を放っています。 4月の様子 【4月の日向エリア】 他よりも少し遅れて芽吹きはじめた山野草も、春の日差しに誘われて成長を進め、中旬になると繊細な葉をあちこちで展開させているのがわかります。花壇の前方で一番早く成長し、存在感を出していた寺岡アザミ。そこに追いつく勢いで、シキンカラマツやフジバカマが柔らかい葉を旺盛に茂らせます。武蔵野の野原を感じさせる瑞々しい風景が見られるようになりました。 【4月の日陰エリア】 日向のエリアと同じく、あちこちで芽吹きが進み、さまざまな葉が展開し始めています。白い華やかなスイセンと野趣のある小さな花を下げるスノーフレークが清楚な彩りをプラス。こちらでもシキンカラマツが茂り、日向との共演が予想できます。山野草の芽吹きの楚々としたたたずまい、繊細な葉の違いなどをじっくり眺められるのは、この季節ならではの楽しみ。 3月の様子 【3月の日向エリア】 日向のエリアは、上旬はまだまだ表土が見える場所が多いですが、最前列に原種チューリップ・トルケスタニカが咲き始め、道行く人を楽しませています。下旬になると奥の方でシキンカラマツなどの葉が展開をスタート。ガーデンの前方コーナーでピンクのカタクリが愛らしい花の楚々とした姿が楽しめるようになりました。 【3月の日陰エリア】 日陰のエリアは、ガーデンの中央高台に植わる常緑のディアネラ‘ブルーストリーム’が中心となり、この時期のアクセントになっています。上旬にはまだ地上部に出てくる野草の数は少なかったのですが、下旬になるとガーデンのあちこちで各種の植物が成長を開始。野草は成長が遅いだけに、やっと顔をのぞかせる姿が見る人の心を和ませているよう。上旬に咲いていたフクジュソウは花後、繊細な葉を茂らせています。 2月の様子 【2月上旬】 日向のエリアでは、地上部が残されていたフジバカマなどの株元をよく見ると、新芽が吹き始めています。また、ところどころで原種チューリップの芽も確認できます。1月は小さかったノアザミ(寺岡アザミ)が地面を這うように葉を広げています。日陰のエリアでは、小高い場所でディアネラ・ブルーストリームが力強く葉を茂らせ、その背景にはタマシダやナキリスゲ、ヒトツバなどが緑の彩りとなっています。 1月の様子 「武蔵野の“これから”の原風景」作庭後、1月の様子。 第2回 東京パークガーデンアワードの入賞者によるオンライン座談会イベント開催 2024年8月6日(火)15:30〜オンラインで開催された「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」の入賞者5名による座談会では、自身の応募書類の紹介、植物の調達から造園、メンテナンス、コンテストに参加して得たことなどがたっぷり語られました。アーカイブ動画はYouTubeにて公開中。以下バナーよりご覧いただけます。 5つの花壇のコンセプトや作庭の詳しいレポートはこちらをチェック! コンテストガーデンを見に行こう! Information 神代植物公園での東京パークガーデンアワード開催に伴い、園内の宿根草園のリニューアル、人にも環境にも優しいガーデン「JINDAIペレニアルガーデンプロジェクト」を市民のみなさんと進すすめていま す。3分の1がリニューアルを終え、こちらでもガーデンをお楽しみいただけます。プロジェクトの詳しい内容は こちらから! https://note.com/jindai_perennial 都立神代植物公園(正門手前プロムナード[無料区域])所在地:東京都調布市深大寺元町5丁目31-10https://www.tokyo-park.or.jp/jindai/電話: 042-483-2300(神代植物公園サービスセンター)開園時間:9:30〜17:00(入園は16:00まで)休園日:月曜日(月曜日が祝日の場合、翌日が休園日、年末年始12/29~翌年1/1)アクセス:京王線調布駅、JR中央線三鷹駅・吉祥寺駅からバス「神代植物公園前」下車すぐ。車の場合は、中央自動車道調布ICから約10分弱。
-
宿根草・多年草

日本水仙を毎年きれいに咲かせるには? 育て方や特徴、咲かないときの対策を解説
日本水仙の基本情報 zzz555zzz/Shutterstock.com 植物名:ニホンスイセン学名:Narcissus tazetta var. Chinensis英名:Japanese Narcissus和名:ニホンスイセン(日本水仙)その他の名前:日本寒水仙、寒咲き日本水仙、スイセン(水仙)、フサザキスイセン(房咲き水仙)、ノズイセン(野水仙)など科名:ヒガンバナ科属名:スイセン属原産地:地中海沿岸分類:宿根草(多年草) 日本水仙の学名は、Narcissus tazetta var. chinensis(ナルシサス・タゼッタ・シネンシス)。 ヒガンバナ科スイセン属の球根植物で、房咲きスイセンの変種です。原産地は地中海沿岸で、房咲きスイセンが改良されて中国で作出されました。日本水仙と呼ばれますが、実際には日本が原産地ではありません。日本水仙を指して単にスイセンということもあり、日本ではスイセンといえばこの種類です。草丈は30〜40cmです。 zzz555zzz/Shutterstock.com スイセンは秋植え春咲き球根植物に分類されていますが、その中でも日本水仙は早咲きで、12月末頃から開花します。日本水仙のライフサイクルは、以下のとおり。秋に球根を植え付け、発芽させます。年内から開花期を迎えるので、植え付けは遅くならないように注意し、9月下旬~10月上旬に行うとよいでしょう。暖かい場所に取り込んだりせずに寒さにあわせて管理すると、12〜翌年4月に白い花を次々と咲かせます。花が終わると葉だけが残り、6月頃になると葉が黄色く枯れ込んで地上部は姿を消し、休眠に入ります。ここで「枯れたから」といって処分しないでくださいね。夏を越えて涼しい秋になると、再び芽を出し始めます。一度植え付ければ毎年花を咲かせてくれるライフサイクルの長い植物で、コストパフォーマンスが高いともいえます。大変丈夫な植物で、手をかけずに植えっぱなしにしていてもOK。ただし、大株に育って窮屈そうになってきたり、茂りすぎて邪魔になってきたりしたら、数年ごとに掘り上げて分球し、植え直すメンテナンスが必要です。 日本水仙の花や葉の特徴 traction/Shutterstock.com 園芸分類:草花開花時期:12〜翌年4月草丈:30〜40cm耐寒性:強い耐暑性:強い花色:白(副花冠は黄) 日本水仙の開花期は12~翌年4月。長く伸ばした花茎の先端に、4〜8個の花を咲かせます。花は副花冠が黄色くて短く、萼片と花弁はクリーム色がかった白色。一重咲きのほか、八重咲きもあります。また、甘い香りを強く漂わせるのも特徴です。地際からニラのような細長く厚みがある葉を多数立ち上げます。 雄しべが花弁化した八重咲き日本水仙。Iva Vagnerova/Shutterstock.com スイセンの名前の由来や花言葉 Farukh siyab/Shutterstock.com 水仙という名前は、原産地の中国の古典「仙人は天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙」に由来。水の仙人という意味で、美しい花姿と芳しい香りを、尊い仙人にたとえたものとされています。 花言葉は「うぬぼれ」「自己愛」「報われない恋」など。学名のNarcissusはナルシストと語源が同じで、ギリシア神話のナルキッソスから来ています。水面に映る自身の姿に見惚れて焦がれ死に、スイセンの花になったというエピソードから、これらの花言葉が与えられたようです。 スイセンの種類や系統 スイセンの園芸品種は非常に豊富で1万以上あり、咲き姿も多彩です。ここでは、世界的に用いられている、英国王立園芸協会による分類法をご紹介しましょう。この分類法は便宜的なもので、植物学上の分類ではありません。 ラッパスイセン 原種ラッパスイセン。Krzysztof Bubel/Shutterstock.com 1茎1花、副花冠(ラッパ)が花被片(花弁)の長さと同じか、それよりも長いのが特徴です。主な花期は3~4月。品種は‘キングアルフレッド’ ‘マウントフット’など。 大杯(たいはい)スイセン ‘アイスフォーリス’ Ole Schoener/Shutterstock.com 1茎1花、副花冠が花被片の長さ以下で、1/3以上のスイセン。カップ咲きスイセンとも呼ばれます。主な花期は3~4月。品種は‘アイスフォーリス’ ‘サロメ’ ‘フォーチュン’など。 小杯(しょうはい)スイセン ‘ドクターヒュー’ Walter Erhardt/Shutterstock.com 1茎1花で、副花冠が花被片の1/3より短いもの。日本ではあまり流通していません。品種は‘シノペル’ ‘ドリームライト’ ‘ポーラアイス’など。 八重咲きスイセン ‘タヒチ’ sebastianosecondi/Shutterstock.com 副花冠と花被片のどちらか、あるいは両方が八重咲きのもの。たっぷりとした花弁が豪華な雰囲気です。品種は‘ウィンストンチャーチル’ ‘タヒチ’ ‘ブライダルクラウン’など。 トリアンドルス系 ‘アイスウィング’ S.O.E/Shutterstock.com 1茎に複数の花を、うつむくように咲かせます。花被片がわずかに反り返るのが特徴です。品種は‘アイスウィング’ ‘タリア’ ‘ハウエラ’など。 キクラミネウス系 ‘スナイプ’ Walter Erhardt/Shutterstock.com 1茎1花で、花被片がシクラメンのように反り返っているのが特徴。シクラメン咲きスイセンとも呼ばれます。品種は‘ジェットファイヤー’ ‘フェブラリーゴールド’など。 ジョンキル系 Cristi Croitoru/Shutterstock.com 1茎に1~5個の、芳香のある小さな花を咲かせます。品種は‘スプリングビート’ ‘ベビームーン’など 房咲きスイセン(タゼッタ系) Olha Solodenko/Shutterstock.com 茎が先端で複数に分かれ、1茎に3輪以上の芳香のある花を房咲きに咲かせるタイプ。日本水仙もここに含まれます。品種は日本水仙、‘ガリル’ ‘クラッグフォード’など。 口紅スイセン(ポエティクス系) SusaZoom/Shutterstock.com 副花冠はごく小さく、その縁に紅色や濃い黄色の縁取りが入るのが特徴です。品種は‘アクテア’ ‘ピンクチャーム’など。 バルボコディウム(ペチコート咲き) Alex Manders/Shutterstock.com 大きな副花冠が特徴で、花被片は目立たず、筒状の楚々とした雰囲気が魅力です。品種は‘ゴールデンベル’ ‘ジュリアジェーン’など。 スプリットコロナ(バタフライ咲き) ‘ボシニー’ Walter Erhardt/Shutterstock.com 副花冠の長さ1/3以上が裂けているもの。‘オランジェリー’ ‘ブロードウェイスター’など その他 上記に当てはまらないもの。‘テタテタ’など。 原種や野生種、自然交配種 学名により区別されるもの。スピシーズ、ミニチュアスイセンなど。 日本水仙の歴史 traction/Shutterstock.com スイセンの原産地は地中海沿岸地域です。日本水仙は中国で品種改良されたものが、日本に伝わったとされています。いつ日本に渡ってきたかは分かっていませんが、国内で日本水仙が群生しているエリアはいずれも海岸近くのため、海流に乗って漂着した球根が野生化したのではという説があります。日本水仙は平安時代に描かれた絵が残っており、室町時代以降は茶花や切り花として用いられてきました。 日本水仙の栽培12カ月カレンダー 開花時期:12〜翌年4月植え付け・植え替え:9月下旬〜10月肥料:特になし球根の掘り上げ:6月頃 日本水仙の栽培環境 High Mountain/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たり・風通しがよい場所を好みます。日照が不足すると花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が乱れたりするので注意しましょう。 【日当たり/屋内】一年を通して屋外での栽培が基本です。寒さにあわないと開花しないことがあるので、必ず戸外で管理しましょう。 【置き場所】水はけ・水もちのよい、有機質に富むふかふかとした環境を好みます。暑さには強いですが、鉢栽培の場合は、夏は涼しい半日陰に移動するとよいでしょう。 耐寒性・耐暑性 日本水仙は寒さに強く、地植えにしたままで冬越しできます。開花を促すためにもしっかりと寒さに当てましょう。また、真夏の暑い時期は休眠するため、夏越し対策は必要ありません。ただし、鉢栽培の場合は涼しい半日陰で管理するとよいでしょう。 日本水仙の育て方のポイント 用土 funnyangel/Shutterstock.com 【地植え】 植え付けの約2週間前に、腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕し、有機質に富む水はけ・水もちのよい土壌を作ります。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 市販の草花用培養土を利用すると手軽です。 水やり wavebreakmedia/Shutterstock.com 水を与える際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 【地植え】 下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。 【鉢植え】 鉢栽培では乾きやすくなるので、日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 夏は葉を落として休眠するので、水やりを控えます。冬は、十分に気温が上がった日中に水やりをしましょう。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。 肥料 Sarycheva Olesia/Shutterstock.com 【地植え】 特に必要はありません。しかし、株の勢いがなく葉色が冴えないようであれば、液体肥料を与えて様子を見てください。 【鉢植え】 生育期は、チッ素成分が少ない液体肥料を2週間に1度を目安に与えます。また、花が終わったあと、球根を太らせる目的でカリ成分の多い液体肥料を与えます。 注意する病害虫 muroPhotographer/Shutterstock.com 【病気】 発生しやすい病気は、軟腐病やモザイク病などです。 軟腐病は細菌性の病気で、高温時に発生しやすくなります。特に梅雨明けから真夏が要注意。 球根や成長点近くの茎、地際の部分や根が腐って悪臭を放つので、発症したのを見つけたら、周囲に蔓延しないようにただちに抜き取り、周囲の土ごと処分してください。予防としては、連作(同じ科に属する植物を同じ場所に植え続けること)を避け、水はけをよくしていつもジメジメとした環境にしないことがポイント。また、害虫に食害されて傷ついた部分から病原菌が侵入しやすくなるので、害虫からしっかり守ることもポイントになります。 モザイク病はウイルス性の病気で、アブラムシやアザミウマ、コナジラミなどの虫が媒介します。したがって、発生しやすい時期は、アブラムシなどの活動する春から秋にかけて。主に花や葉に発生し、モザイク模様が現れます。症状が進むとウイルスの種類によっては葉などが縮れてきたり、湾曲して変形したりして株の生育が著しく悪くなります。治療効果のある薬剤はないので、発生したら抜き取って土ごと処分し、周囲に蔓延するのを防ぎましょう。アブラムシ対策をしておくことが、抑制につながります。 【害虫】 発生しやすい害虫は、アブラムシです。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。 日本水仙の詳しい育て方 球根の選び方 球根がふっくらとして充実し、重みのあるものを選ぶとよいでしょう。 植え付け・植え替え Vlyaks/Shutterstock.com 花苗店やホームセンターなどで販売されている球根を入手し、植え付けることからスタートするのが一般的です。球根の植え付け適期は、9月下旬〜10月です。 球根ではなく開花株などを入手した場合は、早めに植え付けます。その場合は、ポットから出した苗の根鉢をくずさずにそのまま植え付けましょう。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、深さ6〜10cmの穴を掘って球根を植え付けます。複数個を植え付ける場合は、10〜20cmの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水を与えます。 【鉢植え】 5〜6号鉢に5〜6球の球根を目安に植え付けます。 用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用培養土を入れます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。深さ5cmほどの穴を掘り、鉢内で等間隔に球根を植え付けます。鉢植えの場合は、密に植えたほうが、花が咲いたときの見栄えがよくなりますよ! 最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 日常のお手入れ Early Spring/Shutterstock.com 【花がら摘み】 日本水仙は花つきがよいので、終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫の抑制につながりますよ! 【花後の管理】 開花が終わった後は、ニラに似た細長い葉が地上に残ります。「邪魔になるからしばっておこう」と、紐などで小さくまとめてしまう姿もしばしば見られますが、これはNGです! 日本水仙は花が終わった後に葉が光合成を行って、球根に養分を送って太らせることで、来年の春に再び花を咲かせるエネルギーにします。そのため、葉全体にしっかりと太陽の光を当てることが大切なのです。小さくまとめてしまうと葉に光が当たる部分が少なくなって、光合成が十分にできません。球根に養分が送られず、来年に咲く花も充実しなくなるので注意しましょう。 【休眠・掘り上げ】 夏前になると葉が黄色くなり、地上部は枯れて休眠します。全体が枯れてしまうと景観が悪くなるので、地際で刈り取りましょう。数年は植えっぱなしにしたほうが、球根が増えてその分株数が増え、花の数も多くなるので、見栄えがよくなります。しかし何年もそのままにしておくと株が衰えてくるので、込み合っているようであれば、掘り上げて分球し、植え直しましょう。「来春は別の場所で咲かせたい」という場合は、掘り上げて雨の当たらない風通しのよい場所で保存し、秋に植え付けてもかまいません。 増やし方 Nataly Studio/Shutterstock.com 日本水仙は球根植物で、地下の球根が分かれて増えていくので、掘り上げて分球し、増やすことができます。大株に育って込み合っているようなら、一度掘り上げてみてください。適したタイミングは、地上部が枯れて休眠に入る6月頃です。たくさんついている球根を分けて、ネットなどに入れて風通しのよい半日陰などに吊り下げて保存しておきましょう。9 月下旬〜10月の植え付け適期に植え直します。 日本水仙には毒がある traction/Shutterstock.com 日本水仙が属すヒガンバナ科の植物は、ヒガンバナアルカロイドという毒性物質を含んでいます。日本水仙の葉はニラやノビルに、鱗茎はタマネギに似ていることから、誤食して体調をくずすケースが報告されているので注意しましょう。見分ける点は、日本水仙の葉にはニラのような強いにおいがないこと、日本水仙の葉は中央が浅くくぼんでいるのに対し、ニラは平たく厚みがあること、日本水仙には鱗茎があり、ニラにはないことなどです。家庭菜園の場合は、ニラの近くには日本水仙を植えないなど、事故を未然に防ぐ配慮も大切です。 日本水仙の花が咲かないときの原因と対処法 yoko_ken_chan/Shutterstock.com 日本水仙を植えたのに、咲かないという困りごとはありませんか? ここでは、日本水仙が咲かない原因や対処法についてまとめました。 主な原因 日本水仙の花が咲かないときは、以下の4つの原因が考えられます。 1.日当たりが悪い 日本水仙は、十分な日光を受けないと花芽が作られにくくなってしまいます。 2.肥料分が不足している 養分を吸収できずにいると、球根に養分を備蓄できずに花が咲かなくなってしまうことがあります。 3.花後に葉を切ってしまった 花後に葉を切ってしまうと、光合成不足によって十分に球根に養分が蓄えられず、花芽が作られなくなってしまいます。 4.球根が密集しすぎている 日本水仙は、成長とともに球根が分球して増えていきます。植えっぱなしにして数年経つと大株に育ち、分球が密集しすぎることで株が衰え、花数が少なくなることがあります。 対処法 1.日当たりが悪い 日当たりの悪い場所で管理している場合は、日当たりのよいところに移動させます。春の開花頃には日当たりがよくても、季節が進むと同じ場所でも日陰になることもあるので、観察してみてください。鉢栽培でも、開花が終わったからといって日当たりの悪い場所へ移動せずに、休眠するまでは日なたで管理します。 2.肥料分が不足している 開花後に、お礼肥として株を回復させるために液肥を与えます。また、地上部が枯れて休眠するまでは、球根を太らせる目的で液肥を与えて様子を見てください。 3.花後に葉を切ってしまった 花後に花茎は切り取りますが、葉はそのまま自然に枯れるまで残しておきましょう。邪魔になるからといって、葉を切ったり、しばったりするのは禁物です。 4.球根が密集しすぎている 球根を植え付けてから数年が経っていれば、一度掘り上げて球根の整理をしましょう。 日本水仙は育てやすく初心者でもおすすめ TOMO/Shutterstock.com 日本水仙は一度植え付ければ、手間をかけずとも毎年開花を楽しめる、ビギナーにおすすめの植物です。花が咲いたら、芳しい香りを漂わせるのもいいですね。ぜひ庭やベランダに迎えてみてください。
-
園芸用品

【冬のうちに庭の悩みを一挙解決】生育、花つき、実つきを変える土壌資材とは⁈
冬の大鉢の植え替えに活躍するバイオマイスター 庭にはいくつかの大鉢の寄せ植えを置いています。特に彩りが少なくなる冬は、大鉢の寄せ植えは庭に華やかさをもたらしてくれる存在として欠かせません。同じ土を使うと、前の植物についた有害菌が潜んでいたり、土壌の環境が悪くなっていることがあるので、植え替える際は、土も入れ替える必要があります。ただし、大鉢の土を全部入れ替えると大変なので、前の植栽を引き抜いてから1/3ほどの土を入れ替えるに留めます。その際、有害菌から植物の根を守るための有効微生物類が含まれているバイオマイスターを使うことで、安心して次の植物が育てられます。バイオマイスターは土壌環境を良くしてくれるうえに、最低限必要な肥料成分も含まれており、土壌改良と施肥がこれ一つで完結するので、土が全部入れ替えられない大鉢の植え替えには重宝します。特に山陰は冬の日照が少なく、花が生育しにくいのでこうした資材はガーデニングには欠かせません。いつもクリスマス用に大鉢を植え替えますが、ひと冬越えた後の春の生育の素晴らしさには感動します。(鳥取県・面谷ひとみさん) 前の植物を引き抜いて、1/3ほど土を入れ替える。 土の入れ替えの際に、バイオマイスターをブレンド。 左は12月の植栽直後の様子。右は翌年4月。パンジーが盛り上がるようにボリュームたっぷりに。 開花に体力が必要な八重咲きのパンジーもふわふわに。 多彩な使い方ができる万能土壌資材「バイオマイスター」 『植物活力素メネデール』を販売して約70年。活力剤の普及活動を中心に植物の生育をサポートしてきたメネデール社が、そのノウハウを活かして生み出したアイテムが『土の活力素バイオマイスター』です。バイオマイスターは、根が生息する根圏の環境を良好に整えるために作られた土壌資材で、配合している素材の組み合わせと含有微生物や各種栄養素の働きにより、新鮮な空気と水分を根圏に確保します。最大の特徴はその絶妙な配合バランスで、これにより植物の生育を強力にサポートするのです。そして、このバイオマイスターにはさまざまな使用方法があります。 <培養土の素として> バイオマイスターは植物が健全に育つための基本資材に使用できます。植物の特性に合わせて、配合量を変えることで、オリジナルの専用培養土が作れます。 <マルチング> バイオマイスターはマルチ資材として使用できます。良質な腐葉土とバイオマイスターを等量混ぜ、土の表面に2~3cm敷き詰めると、土壌環境を整えるとともに、夏の地温上昇を抑制したり、土の跳ね返りによって病原菌が蔓延するのを防ぐことができます。表土に敷き詰めるだけという手軽さでしっかりと効果も出るので冬場の土壌改良には特にオススメで、最も人気の使用方法です。 <追肥や元肥として> 用土にバイオマイスターを20~30%混合して追肥や元肥のように使えます。その場合、他の堆肥や元肥は必要ありません。 <古土の再生> 古土を再生したい場合には、消毒をした後、バイオマイスターを古土に対して30%混ぜると良質な培養土へ蘇ります。 キクが大株に育ち花いっぱいに! 友人からいただいたキク‘桃華’を植える際、一握り程度、庭土にバイオマイスターを混ぜて育てたところ、春の芽吹きの勢いがよく、想像以上に立派に育ちました。友人の‘桃華’よりはるかに株が大きく花もたくさんついて、友人も私もバイオマイスターの効果にびっくり! クレマチスが思うように育っていないので、今年は鉢植えのクレマチスのマルチングに使ってみようと思っています。(栃木県・もこもこさん) 無農薬バラ栽培の花つきを変えたバイオマイスター 植栽から3年目で旺盛に伸びて茂ったつるバラ‘マダム・アルフレッド・キャリエール’。https://www.instagram.com/p/C63q8F8yaUN/ ‘ソフィーロシャス’、‘プロスペリティ’、‘ピンクプロスペリティ’、‘ギスレーヌ・ドゥ・フェリゴンド’、‘つるピンクシフォン’、‘つるホワイトクリスマス’、‘グランデアモーレ’、‘マダム・アルフレッド・キャリエール’など30品種ほどのバラを無農薬で育てています。土壌改良とマルチングのために、冬剪定の後に馬糞堆肥をまいていましたが、寒肥として冬にバイオマイスターを追加。土の上にパラパラまくだけで、春の花つきがすごくよくなりました! 今は植え込みの際に庭土とバイオマイスターと培養土を混ぜています。品種により堆肥が合わないバラもあるので、バイオマイスターのみの使用で様子を観察しているところです。来春の花がますます楽しみです。(愛知県・lalalaさん) 前年の4倍ほど花が咲いたフロントガーデンの‘ピンクプロスペリティ’。 鉢植えのバラの土壌環境を改善 つるバラの‘マダム・プランティエ’の鉢植えにバイオマイスターを使用しました。バイオマイスターはふんわりしているのに、水分を含むと株元にしっかりとどまってくれるので使いやすいです。植物が健全に育つには通気性と水はけ、そしてそれらと背反するような保水性を両立する必要がありますが、バイオマイスターはその希望を同時に叶えてくれます。‘マダム・プランティエ’の花つきも◎でした!(岡山県・yukkyさん) ‘マダム・プランティエ’の株元にバイオマイスターを。 枝が細くしなやかで誘引しやすい‘マダム・プランティエ’。明るく小ぶりの葉もオールドローズらしい雰囲気。参考写真Sergey V Kalyakin/Shutterstock.com 猛暑をバイオマイスターのマルチングで乗り越え 鉢植えで栽培しているブルーベリーのマルチングとしてバイオマイスターを使いました。ブルーベリーは土の表面のほうに浅根を張る性質があり、水切れに注意する必要があります。特に春先の生育旺盛になる頃に水切れを起こすと、株の回復に時間がかかり、実つきが極端に悪くなるのですが、近年は春に急に温度が高くなったり、暑さが得意ではないブルーベリーには夏の猛暑も厳しく、これまでとは違う対策が必要だと感じていました。そこで、バイオマイスターがマルチング材として使えること知り、株元に敷きつめてみたところ、水切れが防げただけでなく、株の生育もとてもよくなりました。ブルーベリーは酸性土壌を好みますが、バイオマイスターはブルーベリーに安心して使え、肥料としての効果もあり、水切れ対策のマルチングとしても活躍し、とても便利でした。夏の気温は年々激しさを増し、ブルーベリー以外も鉢植えの植物は夏越しが厳しいと感じていましたが、バイオマイスターがあれば安心して夏を乗り切ることができそうです。(岐阜県・ベリーさん) 夏にブルーベリーをたっぷり収穫。 バイオマイスターは果樹農家やバラ園など、プロも信頼を寄せる土壌資材です。軽くて扱いやすく、臭いもほぼないので、庭はもちろん、ベランダガーデニングでも安心して使えます。これからの時期は春・夏の開花や実りに向けて土壌改良や植え替えをする機会も増えます。植物がうまく育たない、生育が衰えてきた、猛暑が悩みという方は、バイオマイスターを試してみてはいかがでしょうか。
-
観葉・インドアグリーン

クロトンはエキゾチックな観葉植物! 特徴や育て方、知っておきたい注意点・トラブルの対処法を解説
クロトンの基本情報 Saeedatun/Shutterstock.com 植物名:クロトン学名:Codiaeum variegatum英名:croton、fire croton、garden croton、variegated croton和名:ヘンヨウボク(変葉木)その他の名前:クロトンノキ科名:トウダイグサ科属名:クロトンノキ属(コディアエウム属)原産地:マレー半島、太平洋諸島分類:常緑性低木 クロトンの学名はCodiaeum variegatum(コディアエウム・バリエガツム)。「クロトンノキ」「変葉木(ヘンヨウボク)」の別名もあります。日本には江戸時代に伝来したといわれており、品種改良などによって多くの品種が誕生しています。 クロトンはトウダイグサ科クロトンノキ属の常緑樹です。原産地はマレー半島、太平洋諸島。暑さに強いものの、寒さには大変弱いので、鉢栽培にして季節によって適した場所に移動しながら管理するのがポイントです。温暖な地域であれば屋外でも育つため、沖縄ではポピュラーな観葉植物となっています。 樹高は10〜200cm。ただし鉢栽培ではそれほど大きくならず、まめに剪定すれば樹高をコンパクトに保つことができます。 クロトンのライフサイクルは、以下のとおりです。4月頃から新芽を出して生育期に入り、7〜8月に開花。常緑樹のため、冬でもみずみずしい枝葉を保ちますが、生育は止まります。越年してまた春になると生育し始める……という繰り返しです。 クロトンの葉や花の特徴 SOLEHUDIN DHEA/Shutterstock.com 園芸分類:樹木開花時期:7〜8月樹高:10〜200cm耐寒性:弱い耐暑性:強い花色:白 クロトンは葉色や葉姿を楽しむカラーリーフプランツです。100種以上あるといわれ、さまざまな品種が流通しているので、選ぶ楽しみがあります。つややかな光沢のある葉が特徴で、葉色は赤、黄、緑、斑入りなどがあり、トロピカルな雰囲気。日差しの当たり具合によって色が変化するものもあり、さまざまな表情を見せてくれるのが魅力です。葉の形状によって7つの系統に分類されており、広葉系、細葉系、鉾葉系、長葉系、らせん系、有角系、飛び葉系があります。また品種によってサイズにも幅があり、ミニサイズから大鉢で育てて映える大株まで揃います。 葉の形も模様もさまざま。Verra Widhi/Shutterstock.com クロトンの開花期は、7~8月。雄花と雌花があり、長く伸ばした花茎に、ボール状の白く小さな花が連なって咲きます。 クロトンの花。adul24/Shutterstock.com クロトンの名前の由来や花言葉 Aamir Amber/Shutterstock.com クロトンという名前は、英名から付けられたもの。以前はクロトン属に分類されていましたが、現在はコディアエウム属に分類され、名前だけが残りました。和名のヘンヨウボク(変葉木)は、突然変異しやすく、多彩な葉の色や形のバリエーションがあることが由来です。 クロトンの花言葉は「妖艶」「艶っぽい」など。 クロトンの種類は? Tita Wi/Shutterstock.com バラエティーに富むクロトンの中でも、人気の種や品種についてご紹介します。 ‘アケボノ’ SILENTVISION/Shutterstock.com 広葉系で、赤や黄色などが混じるカラフルな葉は、インテリア用としても人気があります。寒さに大変弱く、15℃以上は保つ必要があるため、冬場は暖かい室内で育てましょう。 ‘サマー・プリンス’ 広葉系で、アケボノの枝変わり種。ライムイエローの美しい葉が特徴的です。流通が少ないといわれる、希少な品種の1つです。 ‘ゴールドスター’ 細葉系で、別名「オウゴンリュウセイ」。夜空に輝く星のように、グリーンの葉に黄色い斑点がたくさん入っているのが特徴です。小型の品種で、狭いスペースでも育てられます。 ‘エクセレント’ PaulSat/Shutterstock.com 鉾葉系で、鉾(ほこ)のような形をした長い葉が特徴です。グリーンの葉に黄色やオレンジ、赤などの鮮やかな葉脈が入ります。エキゾチックな雰囲気を醸し、インテリアグリーンとしても人気です。 ‘キラセン’ らせん系。螺旋状にくるくると巻いたグリーンの葉に、明るい黄色が差します。ユニークな観葉植物が欲しい人におすすめです。「キンセンコウ」とも呼ばれています。 トビハ 飛び葉系。長い楕円形の葉先がつる状に細くなり、その先端に再び丸みのある葉をつける個性的な姿をしています。葉に鈴をつけているように見えることから「グリーンベル」とも呼ばれています。市場にはあまり出回っていない、希少種です。 ユニークな葉姿の飛び葉系クロトン。Sugianto88/Shutterstock.com クロトンの栽培12カ月カレンダー 開花時期:7〜8月植え付け・植え替え:5月中旬〜8月肥料:5〜10月剪定:5~8月 クロトンの栽培環境 Elzloy/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たりを好み、気温が高い春から秋は戸外で育てるときれいな葉色になります。寒さに弱いため、基本的に鉢で栽培しますが、夏花壇の素材としても活用できます。 【日当たり/屋内】日光に当たるほど葉の発色がよくなるので、一年を通して日当たりのよい場所に置きます。日照が不足すると葉色が悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い枝葉が茂って樹形が間のびしたりするので注意しましょう。ただし、葉の厚みが薄い品種などは真夏の強い日差しを浴びると葉焼けすることがあるので、レースのカーテンなどで遮光するとよいでしょう。 【置き場所】寒さに弱く、日本の真冬の厳しい気候を苦手とするため、基本的に鉢栽培とします。季節に応じて室内に取り込むなど、移動しながら管理しましょう。 耐寒性・耐暑性 耐暑性が強い反面寒さには大変弱く、冬は10℃を下回る場所では木が弱ることがあるので、室内に取り込みましょう。乾燥しすぎると葉を落とすことがあるので注意します。 クロトンの育て方のポイント クロトンは温暖な地域では庭植えでも育てられますが、日本では鉢での栽培が基本です。クロトンの鉢栽培について、育て方を詳しく解説します。 用土 Wstockstudio/Shutterstock.com クロトンは、水はけのよい土壌を好みます。市販の観葉植物用の培養土を利用すると便利です。 水やり Osetrik/Shutterstock.com 鉢栽培では、日頃の水やりを忘れずに管理しましょう。ただし、常に湿った状態にすると根腐れすることがあるので、水の与えすぎには注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと与えましょう。水を与える際は、蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、株元の土を狙って与えてください。 成長期を迎えてぐんぐん茎葉を広げるようになったら、気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。 真夏は乾燥しやすいので、水切れには特に注意しましょう。また、気温の高い日中に水やりすると、太陽の熱によって土の温度が上がり、株が弱ってしまいます。真夏の水やりは、気温の低い朝か夕方に行いましょう。 一方で、冬は回数を控えめにし、真冬は十分に気温が上がった日中に水やりをすませておくことがポイントです。 肥料 Vitalii Stock/Shutterstock.com 【元肥】 苗を植え付ける際に施す肥料が、元肥です。元肥を施すことで苗の初期生育を助け、茎葉をしっかり茂らせることにつながります。植え付けの際に、培養土に緩効性化成肥料を施しておきましょう。ただし市販の培養土を利用する場合、元肥配合済みのものであれば不要です。 【追肥】 植え付けた苗が順調に生育し、元肥の効き目が切れた頃に与えるのが追肥です。鉢栽培の場合は、水やりとともに肥料成分が流亡しやすいので、追肥をして株の勢いを保つようにします。肥料を与える期間は、盛んに生育する5〜10月。2カ月に1度を目安に緩効性化成肥料を表土にばらまき、軽く土になじませます。もしくは10日に1度を目安に、速効性の液肥を与えてもよいでしょう。 注意すべき病害虫 Decha Thapanya/Shutterstock.com 【病気】 ほとんど病気の心配はありませんが、褐斑病や白絹病などが発生することがあります。 褐斑病は、カビによる伝染性の病気です。主に葉に褐色またはくすんだ茶色の斑点が現れ、下葉から枯れ上がっていきます。雨が多い時期に発生しやすいのが特徴です。発症した葉を見つけたら、早々に切り取って処分し、周囲に蔓延するのを防ぎましょう。適用のある薬剤を葉の表と裏に散布して、防除します。 白絹病はカビが原因の周囲に伝染しやすい病気です。根や茎に発生しやすく、初期は地際あたりに褐色の斑点が見つかります。進行すると株元の土に白いカビがはびこり、やがて枯れてしまうので注意が必要です。土づくりの際に、水はけのよい環境に整えることが予防につながります。 【害虫】 発生しやすい害虫は、カイガラムシ、ハダニなどです。 カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mm。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われて薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。 ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期には葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。 クロトンの詳しい育て方 苗の選び方 苗を購入する際は、ヒョロヒョロとしたものは避け、葉の色彩や模様が濃く鮮やかで、全体にがっしりとした幹の太いものを選びましょう。 植え付け・植え替え Nataly Studio/Shutterstock.com クロトンの植え付け・植え替えの適期は、5月中旬〜8月です。 鉢の大きさは、入手した苗よりも1〜2回り大きい鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢に仮置きし、高さを決めたら、苗をポットから出し、軽く根鉢をくずして植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。 鉢栽培の場合、成長とともに根が詰まって生育が悪くなってしまうので、2〜3年に1度を目安に植え替えましょう。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。前よりも大きな鉢を用意して株を大きくしてもよいですし、同じ鉢を用いてサイズ感をキープしてもかまいません。鉢から株を出したら、古い根を切り取って整理し、根鉢を徐々にくずして小さくしてから植え直します。 剪定 Andrii Zastrozhnov/Shutterstock.com 剪定適期は5~8月で、生育している時期に行います。どこで切り取ってもよく、切り口の下の節目から新芽が出てきます。枝葉が込み合っている部分を透かすように剪定していきましょう。傷んでいるものや伸びすぎているもの、内側に向かって伸びているもの、ほかの枝に絡んでいるものなどを選んで切り取ります。また、クロトンは成長に従って下葉の色があせたり、下葉が落ちてくるものも多くあります。樹形が乱れていたら、深めの位置まで切り戻して仕立て直すとよいでしょう。 増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com クロトンは、挿し木で増やします。 挿し木とは、枝葉を切り取って土に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木ができないものもありますが、クロトンは挿し木で増やせます。 クロトンの挿し木の適期は、5〜7月です。新しく伸びた枝を10〜15cmほど切り取り、白い樹液が出てこなくなるまで流水で洗い流します。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。3号くらいの鉢を用意し、底にゴロ土を入れてから新しい培養土を入れてます。湿らせた培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。乾かないように水の管理をし、発根して生育し始めたら日当たりのよい場所に移動しましょう。十分に育ったら、サイズに見合った鉢に定植します。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 クロトンの樹液には毒性があるので注意する Alina Troeva/Shutterstock.com クロトンの栽培で注意したいのは、毒を持っている特性についてです。クロトンの茎を折ったり切ったりすると、白い樹液が出てきます。この樹液が皮膚に付着すると皮膚がかぶれたり、かゆみが出たりするので注意しましょう。幼児やペットのいる家庭では、誤って口に入れることのないようにしてください。剪定などの手入れをする場合は、ガーデニング用のゴム手袋やエプロンを着用するなどの対策が必要です。樹液が皮膚についたら、すぐに流水で洗い流してください。毒があることを把握して、十分注意して取り扱えばそれほど恐れる必要はありません。 クロトンは観葉植物や贈り物としてもおすすめ! Vickie Warpas/Shutterstock.com カラフルで南国的な雰囲気を漂わせる葉が魅力のクロトンは、インテリアグリーンとして好まれ、贈答にも利用されています。日差しがたっぷり入る明るい場所に置き、寒さ対策さえきちんとしていれば、すくすく育つのでビギナーにもおすすめ。インテリアやベランダに取り入れて、スタイリッシュに彩ってはいかがでしょうか。
-
樹木

スキミアの魅力と育て方〜真冬&日陰&寄せ植えに最適な植物
スキミアの基本情報 Debu55y/shutterstock.com 植物名:スキミア学名:Skimmia japonica英名: Skimmia和名:ミヤマシキミ科名:ミカン科属名:ミヤマシキミ(スキミア)属原産地:日本、台湾分類:常緑低木 Elena Rostunova/Shutterstock.com スキミアは、ミカン科ミヤマシキミ(スキミア)属の常緑低木。晩秋から冬にかけてプチプチとしたつぼみや赤い実をつけた可愛い姿を保ち、春になると花が咲く植物で、冬から春にかけての花壇や寄せ植えで活躍してくれるガーデンプランツです。 チェッカーベリーやコニファーとスキミアを合わせたクリスマスイメージの寄せ植え。Natalia Greeske/Shutterstock.com スキミア、という名前ではピンとこなくても、ミヤマシキミといえば馴染みがある方も多いかもしれませんね。じつはスキミアは、日本原産のミヤマシキミが、ヨーロッパに渡って品種改良されたもの。スキミアという名前も、和名のミヤマシキミから付けられたものだそうで、シキミアと呼ばれることもよくあります。時々、シキミと呼ばれることもありますが、スキミアとシキミはじつは別種の植物です。シキミはイリシウム(Ilicium anisatum)の和名、スキミアは学名のカナ読みです。 日本に届くスキミアの苗は、オランダの良好な気候で日本向けの苗として育てられています。写真は、オランダのスキミア生産者「ヌナップファンガース社」。 海外ではガーデンプランツとして高い人気があるスキミア。近年は冬に活躍する植物として日本でも注目されるようになり、園芸店などで販売される苗数も増えてきました。日本で販売されている苗の多くは、オランダなどの海外から輸入されたもので、少々値段が高く、やや植え場所にも気を使うところがあります。しかし、スキミアは観賞期間が長く、育てやすさから寄せ植えや花壇に人気の花木として人気が高まっています。 Anita van den Broek/Shutterstock.com 樹高は80~100cmほどとコンパクトに生育するので、花壇やコンテナガーデンに取り入れやすい植物です。花期は春の3月頃ですが、11月頃に花芽ができはじめ、冬はつぼみのまま全く変わらない姿を観賞でき、手をかけなくてもきれいな姿を保つことができるのが嬉しいところ。つぼみがついた枝を切れば、クリスマスやお正月の花飾りにも活用できます。 Totokzww/Shutterstock.com 実をつける雌株か、つぼみ&花を楽しむ雄株どっちを選ぶ? 左/鮮やかな赤い実が美しいスキミア‘リーベシアーナ’。実をつけるタイプは雌株。中/スキミア‘ルベラ’。晩秋から冬まではこの赤いつぼみの状態で、春には白い花を咲かせます。花を咲かせるのは雄株です。右/春に開花したスキミアの花。小花が房状になって咲きます。Del Boy/ Dave Debby/ Tom Meaker/Shutterstock.com 園芸分類:花木開花時期:3月樹高:80~100cm耐寒温度:マイナス5℃耐暑性:弱い花色:白(つぼみの外側の色は白、ピンク、薄黄色、薄緑、いぶし銀な茶色など) スキミアには、大きく分けて実をつけるタイプと花を咲かせるタイプがありますが、どちらも冬の庭に鮮やかな彩りを添えてくれます。 実をつけるのは雌株で、代表的な品種に、スキミア‘リーベシアーナ’と、より実が大きい‘テンプテイション’の2品種があります。ツヤツヤした鮮やかな赤い実はクリスマスやお正月の雰囲気を演出するのにもオススメ。11月頃から鉢植えが出回り始めますが、翌年以降も実をつけるには受粉が必要なので、実つきタイプのものを選ぶ際は後ほど説明する花の咲く雄株も合わせて入手しましょう。一方、晩秋から冬にかけてプチプチとしたつぼみをつけ、春になると花が咲くのは雄株です。 左/スキミアの代表品種、‘ルベラ(Rubella)’。右/緑のつぼみが美しい‘フィンチー(Finchy)’。 雌株は別名ハナスキミアとも呼ばれ、赤や緑のつぼみなど品種が豊富にあります。 代表的な品種は、鮮やかな赤いつぼみが美しい‘ルベラ’、爽やかなグリーンのつぼみをつける‘フィンチー’があります。春には白や薄ピンクの花が株全体を覆うようにふんわり咲いて、まるで衣替えをしたようにイメージが一変します。 左から、レッドドワーフ(Red Dwarf)、ホワイトグローブ(White Globe)、マジックマルロー(Magic Marlot)。 近年では寄せ植えに使いやすい矮性(わいせい)種が人気で、赤いつぼみの‘レッドドワーフ’、緑のつぼみの‘ホワイトグローブ’や、クリスマスに合わせてつぼみの色がグリーンからピンクに遷り変わりする‘マジックマルロー’などシーンや使い方に合わせた品種が選べるのも魅力です。 違いを楽しむスキミアの品種解説 「ルベラタイプ」のスキミア。左からルベラ、フィンチー、ペローサ。 スキミアには、つぼみの形状で「ルベラタイプ」と「ドワーフタイプ」に分けられます。 ルベラタイプとは、つぼみの房(集合体)が比較的大きく、粒々したつぼみが散状になります。このタイプにあたる品種には、ルベラ、フィンチー、ペローサが代表的です。 「ドアーフタイプ」のスキミア。左から、レッドドアーフ、ホワイトグローブ、マジックマルロー、セレブレーション。 ドワーフタイプとは、つぼみの房がギュッと詰まっているので、つぼみがボール状に集合した姿になります。このタイプにあたる品種には、レッドドワーフ、ホワイトグローブ、マジックマルローがあり、セレブレーションはドアーフタイプの中でもキャンドル系と呼ばれ、つぼみがキャンドル(ロウソク)状に集まっている特殊な品種です。 スキミアの色合いは鮮やかというよりも、アンティークカラー。落ち着いた色合わせがしっくり馴染みます。他の植物と組み合わせた際、健康的で濃いグリーンの葉色が全体の色調を整えてくれます。 近くで眺めるような寄せ植えなどには、ドワーフタイプを、花壇や景観に使う場合は、ルベラタイプが向いています。また、ドワーフタイプの葉はルベラタイプに比べて短いため、つぼみが隠れないところからも、寄せ植えの花材に向いています。 スキミアの品種バリエーション 代表的品種「ルベラ(Rubella)」 つぼみ(左)から開花まで長く楽しめる。Eurybia/rebaix-fotografie/Shutterstock.com スキミアのなかで最も人気が高く、一番入手しやすい品種。赤と緑を貴重としたカラーリングで、クリスマスやお正月の飾りとして季節感を演出するのにピッタリ。 グリーンのつぼみ「フィンチー(Finchy)」 つぼみから開花の色変わりが楽しめるのも魅力。 Traveller70/Wiert nieuman/Shutterstock.com クリスマスの新しい雰囲気をプラスできる演出用花材として、フローリストを中心に人気がある品種。つぼみの形はルベラタイプ。爽やかなグリーンのつぼみが、他の植物との色合わせのしやすさから、近年爆発的な人気に。花は白からクリーム色。 斑入り葉の「ペローサ(Perosa)」 Wiert nieuman/Shutterstock.com 大柄なマーブル模様とアンティークカラーの葉が他にはないスペシャルな印象があるスキミア。つぼみの形はルベラタイプ。ピンクのつぼみと斑入り模様の葉が新鮮な印象をプラスする花材として、新しい使い方で花業界に注目されています。 コンパクトな「レッドドワーフ(Red Dwarf)」 代表的品種のルベラに比べて、樹高は半分ほどと低く、つぼみが上向きの矮性種。つぼみの集まり具合がほどよく、プリッとした花房が特徴的。ルベラより主張の強い鮮やかさがあり、メリハリのあるカラーリング。 緑色のコンパクト種「ホワイトグローブ(White Globe)」 レッドドアーフと同様に、ルベラに比べて半分ほどの草丈でつぼみが上向きにに咲く矮性種。つぼみの集まり具合がほどよく、レッドドワーフと同様にプリッとした花房が特徴的。つぼみの色もフィンチーの緑とは異なる主張の強い鮮やかさで美しい。 色変わりが魅力の「マジックマルロー(Magic Marlot)」 晩秋は、クリームがかった緑系のつぼみは、クリスマス頃になると右写真のように鮮やかなピンクに色が移り変わる。 くっきりと白く縁取られる斑入り葉を茂らせながら、つぼみが色変わりするという特別な個性をもつ品種。クリーミー系のライトグリーンのつぼみが、徐々に寒さを感じながらピンクに移り変わり、楽しみが多い魅力的なスキミアです。 花付きがよい新品種「セレブレーション(Celebrations)」 つぼみがボール状に集合するドワーフタイプでありながら、レッドドワーフやホワイトグローブとは異なるつぼみの形状。なんといっても、花付きが倍以上優れているので、今までにないスキミアの使い方が期待できる、2023年に試験輸入をスタートしたばかりの新品種。 スキミア5つの魅力 ヨーロッパの庭で地植えされているスキミア。日本より冷涼な環境のため日なたに植えられている。Oleksandr Sokurenko/Shutterstock.com スキミアは彩りの美しさ以外にも、育てる上で嬉しい点がいくつもあります。5つのポイントに絞ってスキミアの魅力をご紹介します。 ① 一年中緑 スキミアはミカン科の常緑低木。一年中美しい緑を庭に提供してくれます。 ② 鑑賞期間が長い 11月頃からつぼみが膨らみ始め、桜が咲きはじめる少し前に開花するまで、半年以上もつぼみの状態のままで楽しめます。彩りの変化も魅力です。常に美しく保っておきたい玄関先などの鉢植えにもおすすめ。 ③ 管理が楽 特に注意しなければならない病害虫はなく、生育はとてもゆっくりなので、特別な手入れの必要がありません。花がらは自然に風でポロっと落ちるので、花がら摘みの必要もなく、数年放置していても、株姿が極端に暴れないので管理しやすいです。 ④ 日陰で活躍 周囲に障害物のない明るい日陰に植えるとよいでしょう。スキミアは日本原産の植物ですが、近年の日本の猛暑と強い日差しは大敵です。西日が長く差し込む場所や直射日光の当たりやすい場所では葉焼けになりやすく、かといって、鬱蒼とした日陰では、つぼみがつきづらくなります。そのため、夏は、明るい日陰を選んで鉢を移動したり、植え場所を選ぶようにしましょう。 スキミアは地表近くにも根を張るので、暑さ対策としてバークチップなどを株元に2〜3cmの厚さで敷き詰めると夏越ししやすくなります。 ⑤ ドーム状に仕立てて、単体で楽しむ 最大樹高は1mほどとコンパクトです。周囲に障害物がなく日陰具合が均等であれば、枝が放射状に伸び、株を取り囲むようにつぼみがついて、ドーム状に株姿が整います。そのように自然樹形を楽しみたい場合は、単体で地植えにすることをおすすめします。 スキミアの育て方のコツ 冬の寄せ植えに活躍するスキミア。 栽培環境 スキミアは苗から育てるのが一般的。スキミアの苗が園芸店に出回る時期は、主に11~12月です。この時期に苗を入手したら、植え付けをします。植え付けの際には、植え場所の確認をすることが大切です。スキミアは元々山の中で育つような植物なので、日陰を好みます。その反面、夏の暑さや直射日光が苦手なので、地植えにする場合は風通しのよい明るい日陰の環境に植えましょう。寒冷地では、極端な寒さに当たらないように鉢植えにして移動できるようにするのもよいでしょう。 11月から園芸店やガーデンセンターに並ぶスキミアの苗。 植え付けの注意 植え付けの際には、根を傷つけないように注意します。スキミアは成長が遅いため、根を傷つけてしまうとダメージが大きくなることがあります。苗をポットから出したら、根をいじらないように、土を落とさずにそのまま植え付けましょう。 用土 スキミアは水はけのよい、やや酸性(pH5.5-6.5)の土壌を好みます。日本の土は基本的に酸性に傾くため、地植えの際は用土は特に気にしないでも大丈夫ですが、コンクリートの近くでは土がアルカリ性に傾きやすいので、中和剤として、酸性土である鹿沼土などで酸度調整をするとよいでしょう。 水やり 地植えの場合は基本的には水やりは必要ありません。夏場の乾燥に注意し、雨が降らない日が続いた時はたっぷりと水を与えましょう。 乾燥に強いイメージがあるスキミアですが、極端な過湿と乾燥の繰り返しはよくありません。スキミアにとって日本の夏は気温が高く、表土が高温かつ乾きやすくなるので、保湿の目的として、株元を完熟たい肥やバークチップなどで覆うようにするとよいでしょう。 肥料 スキミアは、あまり肥料を必要としない植物ですが、足りなすぎたり、施しすぎないように注意が必要です。スキミアの生育期は3~6月です。生育期間中の過度な施肥は、花が咲かなかったり、肥料やけを起こして枯れてしまうこともあります。また、“葉の黄化”は肥料の欠乏が原因なので、肥料が生育期に切れると葉が黄化します。しかし、肥料が多すぎると肥大、徒長などを引き起こすので、与えすぎないように気をつけましょう。 増やし方 スキミアは、挿し木と種まき(実生)で増やすことができます。挿し木で増やす場合は、5~6月に元気そうな枝を切り、下葉を取って吸水させ、鹿沼土に挿して乾かないように管理します。根が出て成長を始めるまで時間がかかるので、根気よく育てましょう。切り口に発根促進剤を塗ると成功率が上がります。 種まきで育てる場合は、雌株につく実からタネを取って播きます。この実は有毒なので、絶対に口にしないように注意してください。発芽率はそれほど悪くなく、こぼれ種から芽が出ることもあります。 スキミアが枯れる原因とは スキミアは調子が悪くなると、葉が黄色くなったり落ちたりというように、葉に変調が現れます。スキミアが枯れてしまう原因として、よく考えられるのは、肥料が多すぎて肥料やけを起こしている場合や、強い日や暑さに当たって弱ってしまった場合、水のやりすぎで土の中が常に湿っている場合など。いずれの場合も、スキミアの葉の状態をよく観察して早めに不調に気づき、管理する場所を変えたり、土をしっかり乾かしたりなどの対処をすることが大切です。
-
果樹

ユスラウメは真っ赤な果実も楽しめる! 上手な栽培方法や収穫時期、活用方法を詳しく解説
ユスラウメの基本情報 LutsenkoLarissa/Shutterstock.com 植物名:ユスラウメ学名:Prunus tomentosa英名:Nanking cherry、downy cherry和名:ユスラウメ(山桜桃梅、桜桃、梅桃、朱桜)その他の名前:ユスラ、ユスラゴ、南京チェリーなど科名:バラ科属名:サクラ属原産地:中国北部、朝鮮半島分類:落葉性低木 ユスラウメの学名はPrunus tomentosa(プルヌス・トメントサ)。漢字では「山桜桃」「桜桃」「梅桃」などと書き、ユスラゴ、南京チェリーなどの別名もあります。バラ科サクラ属の低木で、樹高は2〜3m。比較的コンパクトに生育し、細い幹が複数生じて株立ち状に生育するのが一般的です。小さく仕立てたい場合は、剪定によって樹高をコントロールできます。 ユスラウメの原産地は中国北部、朝鮮半島で、寒さには大変強い性質を持っています。冬になると葉を落とし、越年して春になると芽吹き始めます。開花、新緑、結実、黄葉と、季節によって表情を変えていくので、四季の移ろいを感じることのできる庭木です。 ユスラウメの花・葉・実の特徴 romiri/Shutterstock.com 園芸分類:庭木・果樹開花時期:4月頃樹高:2〜3m耐寒性:強い耐暑性:普通花色:白、ピンク ユスラウメは、4月頃にウメに似た5弁の白または淡いピンクの花を咲かせます。花は葉が展開する前か同じ時期に咲くので、観賞しやすく華やかな姿が楽しめます。花の後にはサクランボに似た、光沢のある赤または白い実がつきます。この果実は生食でき、水分を多く含んで酸味と甘みがほどよいバランスで口に広がります。果実酒やジャムへの加工も可能です。若い枝や葉は柔毛で覆われていて、若い枝は赤褐色、成熟すると暗褐色~灰褐色となり、樹皮が不規則に剥がれ落ちるのが特徴です。 ユスラウメの名前の由来や花言葉 Marija Rutkovska/Shutterstock.com ユスラウメという和名の由来は諸説あり、果実を収穫するために木をゆすったことからという説や、風に揺れる様子から名付けられたという説、移植に強く朝鮮語の移徒楽(いすら)に由来するという説などがあります。ちなみに、現在ではサクランボを意味する桜桃や、サクラを意味する櫻は、もともとユスラウメのことを指していたそうです。 ユスラウメの花言葉は「喜び」「ノスタルジー」「輝き」など。また、4月17日、4月28日、6月23日の誕生花です。 ユスラウメの代表的な種類や似た植物 alexkoral/Shutterstock.com ここでは、ユスラウメの種類や似た植物についてご紹介します。 ユスラウメ Alex Coan/Shutterstock.com ユスラウメの開花期は4月頃で、花色は白〜淡いピンク。葉を展開する前、もしくは同時期に、直径2cmほどの5弁花を咲かせます。葉は3〜5cmの卵形で、表と裏に産毛があるのが特徴です。秋には黄葉し、冬になると落葉します。果実がつくのは6月頃。直径1cmほどの艶やかな球形の赤い実がたくさんつきます。 シロミノユスラウメ(キミノユスラウメ) 花色は白。開花後に白か淡紅色の艶やかな実がつくのが特徴で、果実の色で見分けます。その他の特徴はユスラウメと同じです。ユスラウメ同様に、江戸時代に中国から日本に入ってきたといわれています。 ニワウメ EQRoy/Shutterstock.com バラ科ニワウメ属の落葉樹で、原産地は中国北部。開花期は4月頃で、原種の花色はピンクですが、白花の品種も出回っています。直径1cmほどの5弁花で、多数の雄しべが見られます。葉は5〜7cmほどの卵形で先端が尖り、葉裏に産毛があるのが特徴。秋には紅葉し、冬は落葉します。果実は6〜7月につき、ユスラウメにそっくりな赤い実です。 ユスラウメの栽培12カ月カレンダー 開花時期:4月頃植え付け・植え替え:12〜翌年3月上旬(真冬を除く)肥料:2月頃、5月下旬〜6月剪定:12〜翌年3月上旬種まき:5月頃 ユスラウメの栽培環境 Marija Rutkovska/Shutterstock.com 日当たり・置き場所 【日当たり/屋外】日当たりと風通しがよい場所を選びます。半日陰でも育ちますが、あまりに暗い場所だと花つきや実つきが著しく悪くなるので注意しましょう。 【日当たり/屋内】一年を通して屋外での栽培が基本です。 【置き場所】水はけ・水もちがよく腐植質に富んだ土壌を好みます。西日が当たる乾燥地でも育ちますが、湿り気の土壌は避けましょう。 耐寒性・耐暑性 日本の気候に馴染みやすく、暑さ寒さに耐えるので、一年を通して戸外で管理でき、冬越し対策なども特に必要ありません。 ユスラウメの育て方のポイント 用土 bluedog studio/Shutterstock.com 【地植え】 植え付けの2〜3週間前に、直径・深さともに50cm程度の穴を掘ります。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。粘土質など水はけの悪い土壌であれば、腐葉土や堆肥を多めに入れるとよいでしょう。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。 【鉢植え】 樹木用にブレンドされた、市販の培養土を利用すると手軽です。 水やり Afanasiev Andrii/Shutterstock.com 水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。 真夏は、気温が高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がって木が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。 また、真冬は、気温が低くなる夕方に行うと凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。 【地植え】 植え付け後にしっかり根づいて枝葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、過度に乾燥が続く場合は水やりをして補いましょう。 【鉢植え】 日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。枝葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。冬は休眠し、表土も乾きにくくなるので控えめに与えるとよいでしょう。 肥料 New Africa/Shutterstock.com 【地植え・鉢植えともに】 開花後の5月下旬〜6月にお礼肥として緩効性肥料を与え、土によくなじませましょう。また、2月頃にも緩効性肥料を与えます。生育期を迎える前に肥料を与えることで、新芽を出すエネルギーとなり、旺盛に枝葉を広げることにつながります。 注意する病害虫 Decha Thapanya/Shutterstock.com 【病気】 発生しやすい病気は、灰色かび病、ふくろみ病などです。 灰色かび病は花や葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下で発生しやすく、ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれます。風通しが悪く込み合っていたり、終わった花や枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。 ふくろみ病はカビによる伝染性の病気です。比較的低温下の4〜6月、雨が多い時期に発生しやすくなります。まだ幼い果実に被害が現れ、肥大して変形するのが特徴です。症状が進むと白い粉に覆われたのち茶褐色になって落果します。日当たり・風通しが悪いと発病しやすくなるので、込み合っている枝などはすかすように剪定して予防しましょう。病変を見つけたら、周囲に広がらないようにただちに切り取って処分します。また、適用のある殺菌剤を葉の表と裏に散布して防除します。 【害虫】 発生しやすい害虫は、アブラムシ、カイガラムシなどです。 アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mmの小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。 カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mm。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われて薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。 ユスラウメの詳しい育て方 苗の選び方 ユスラウメの苗木は、時期によっては葉や枝がついていない場合もありますが、落葉中や休眠中のものなので問題ありません。また、ユスラウメは自家結実性があり、1本でも実がつきます。 植え付け・植え替え wavebreakmedia/Shutterstock.com 植え付け・植え替え適期は、休眠期の12月〜翌年3月上旬です。ただし、寒さが特に厳しくなる1〜2月は避けたほうが無難です。 【地植え】 土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも1回り大きな穴を掘って植え付けます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引し、倒伏を防ぐとよいでしょう。最後にたっぷりと水を与えます。 環境に合って健全に育っていれば、植え替えの必要はありません。 【鉢植え】 鉢で栽培する場合は、10号くらいの鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから樹木用の培養土を半分くらいまで入れます。苗木をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めてから植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。しっかりと根づくまでは、支柱を立てて誘引しておくとよいでしょう。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えます。一年を通して日当たり・風通しのよい場所に置いて管理しましょう。 成長とともに根詰まりしてくるので、2〜3年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出し、軽く根鉢をくずして新しい培養土を使って植え直しましょう。 剪定 Opas Chotiphantawanon/Shutterstock.com 剪定適期は、休眠中の12〜翌年3月上旬です。 旺盛に生育し、比較的枝葉をよく伸ばすほうですが、自然に樹形が整います。そのため刈り込んだり、大きく切り戻したりというよりは、込み合っている部分を切り取って風通しをよくすることを目的とした剪定を基本にするとよいでしょう。地際から立ち上がっている「ひこばえ」は元から切り取ります。木の内側に向かって伸びている「逆さ枝」、垂直に立ち上がっている「立ち枝」、勢いよく伸びすぎている「徒長枝」も元から切り取ります。1カ所から3本以上の枝が出ていたら、間引いて枝を透かすとよいでしょう。 あまり大きくしたくない場合は、大体のアウトラインを決めて、そこからはみ出している枝を、分岐点までさかのぼって切り取ります。 増やし方 Kunlanan Yarist/Shutterstock.com ユスラウメは、種まき、挿し木で増やすことができます。ここでは、それぞれの方法について解説します。 【種まき】 ユスラウメは開花後に果実をつけ、6月頃に熟します。そのタイミングで果実を採取し、種子を取り出して流水でよく洗い流しておきましょう。黒ポットに新しい培養土を入れて十分に水で湿らせ、種を数粒播きます。軽く土をかぶせ、明るい日陰で水切れしないように管理。越年して春の生育期を迎えると発芽するので、その後は日当たりのよい場所に置きましょう。本葉が2〜3枚ついたら勢いのある苗を1本のみ残し、ほかは間引いて育苗します。ポットに根が回るまでに成長したら、少し大きな鉢に植え替えて育苗します。苗木として十分な大きさに育ったら、植えたい場所に定植しましょう。種まきから開花までは数年かかるので、それまでは木の育成に努めます。 【挿し木】 挿し木とは、枝を切り取って土に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木ができないものもありますが、ユスラウメは挿し木で増やすことができます。 挿し木の適期は、7月頃です。その年に伸びた新しくて勢いのある枝を10cmほどの長さで切り取ります。採取した枝(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を数枚切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて水切れしないように管理します。その後は日当たりのよい場所に置いて育苗し、ポットに根が回るまでに成長したら、少し大きな鉢に植え替えて育苗します。苗木として十分な大きさに育ったら、植えたい場所に定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。 ユスラウメの実の収穫時期と活用法 LapaiIrKrapai/Shutterstock.com ユスラウメの収穫適期は6月頃です。実が赤くなり、ツヤが出たものから摘み取ります。力を入れすぎると潰れることがあるので、丁寧にもぎ取りましょう。果肉にはほどよい酸味と甘味があり、生食できます。実は傷みやすいため、収穫後は早めに食べましょう。ジャムや果実酒などに加工して保存することもできます。 Elena M. Tarasova/Shutterstock.com 初めて果実がなる樹木を育てる人にはユスラウメがおすすめ! JAZ STUDIO/Shutterstock.com ユスラウメは暑さや寒さに強く、放任してもよく育つので、ビギナーにおすすめの果樹です。比較的コンパクトに生育するので、スペースが限られた家庭の庭で育てるホームフルーツにぴったり。春に咲く花はウメに似て美しく、秋には黄葉も楽しめます。四季の移ろいをはっきりと感じられるユスラウメを、庭に植栽してはいかがでしょう。
-
ガーデン&ショップ

グランプリ決定!「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」の『ファイナル審査』を迎えた11月の庭と審査の様子をご紹介
年3回審査を行うガーデンコンテスト「東京パークガーデンアワード」 5人のガーデナーが手掛ける日向と日陰の2つのガーデン。最終的な結果が決まるまでに4・7・11月の3回に渡り審査が行われますが、ガーデンの施工から約1年が経過した今回は、最終回となる『ファイナル審査』です。審査日:2024年11月7日。 審査員は以下の6名。福岡孝則(東京農業大学地域環境科学部 教授)、正木覚(環境デザイナー・まちなか緑化士養成講座 講師)、吉谷桂子(ガーデンデザイナー)、佐々木珠(東京都建設局公園緑地部長)、植村敦子(公益財団法人東京都公園協会 常務理事)、松井映樹(神代植物公園園長) 事前に公表されているコンテスト審査基準 公園の景観と調和していること/公園利用者が美しいと感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること(ロングライフ) /メンテナンスがしやすいこと(ローメンテナンス)/デザイナー独自の提案ができていること/総合評価 ※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。 「ファイナル審査」は、秋の見ごろの観賞性と年間の管理状況を見る審査。これまで行われた審査は、春の見ごろの観賞性を見る4月の「ショーアップ審査」と、梅雨を経て猛暑に向けて植栽と耐久性を見る7月の「サステナブル審査」の2回です。 今回は「ファイナル審査」を含めた全3回の結果を踏まえ、「植物個々の特性・魅力がしっかり見せられていたか」、「葉や花の組み合わせがデザイン的に美しいか」、そして「今回のテーマ=武蔵野の“くさはら”、が表現されているか」などが総合的に審査され、最終的な評価として、グランプリ・準グランプリ・特別審査委員賞も決定しました。※年によって気象条件が変わるため、開花の時期がずれていても評価に影響しません。 11月の審査時期を迎えた5名の授賞ガーデンと一年の振り返りコメントをご紹介 コンテストガーデンA 【グランプリ】Grasses and Leaves, sometimes Flowers ~草と葉のガーデン〜 【日向のエリア】 開花期を迎えていた植物 ルドベキア ‘タカオ’、フロックス‘ブルーパラダイス’、清澄白山菊、サルビア‘ファイヤーセンセーション’ 【日陰のエリア】 開花期を迎えていた植物 シュウメイギク 【今回の庭づくりを振り返って】 日向・日陰どちらの庭も、イメージ図に近い形で育ってくれたので、思い描いていたものから大幅に離れることなく庭づくりができたと思います。日向はグラス類が多めの植栽で、私なりに「華やかさのあるくさはら」をつくりました。切り戻しで花数や株の大きさを調整することで、開花リレーをほぼ途切れることなく続かせることができました。日陰の庭に関しては、アスチルベのシードヘッドがきれいに残ってくれたため、花がない時期でも見どころを提供でき、1年を通して比較的ローメンテナンスですみました。 リーフやグラスで魅せるガーデンに見応えを出してくれたのは、季節感を演出してくれた球根植物。春先のクロッカス、スイセンとバイモ、秋のタマスダレやコルチカムは花が少ない時期に彩りを与え、初夏のアイリス、夏のユリが華やぎを添えてくれました。 病気や読みの甘さから一部枯れ込んだ部分もありましたが、日向と日陰それぞれの環境を活かした美しい庭を提案できました。 コンテストガーデンB 【入賞】花鳥風月 命巡る草はら 【日向のエリア】 開花期を迎えていた植物 コレオプシス‘レッドシフト’、オミナエシ、アスター‘ジンダイ’、ルドベキア‘ゴールドスターム’、ルドベキア‘ブラックジャックゴールド’、ルレリア‘パープルシャワー’、ノコンギク‘夕映え’、ミューレンベルギア・カピラリス 【日陰のエリア】 開花期を迎えていた植物 ホトトギス‘江戸の花’、ホトトギス‘松風’、清澄白山菊、青花フジバカマ、ノコンギク‘夕映え’、ツワブキ、ヒヨドリバナ 【今回の庭づくりを振り返って】 宿根草と球根による「イエロー&ブルー」のカラーコンビネーションを様々なパターンで年間通して計画通り表現することができました。開花が少ない時期はあったものの、途切れることなく何かしらの開花が見られました。また、蜜源や食草を意図的に取り入れたので、スミレに産卵するツマグロヒョウモンの幼虫が日陰の庭の黒葉スミレに何匹もおり、秋には成虫が飛んでいたので、タイトル通り命を巡らせることができました。 想像以上に生育旺盛で、イメージと異なる姿になったりしましたが、切り戻しや間引きなどメンテナンスで何とかカバー。品種ごとに、切り戻しをタイミングよく行うことで倒伏させず、開花を保ちながら株姿をコントロールできました。ほとんどの植物が、株が消えずに残っています。酷暑の夏でしたが、何年も先まで植えっぱなしでこのまま継続維持でき、生きものの住処にもなる、ロングライフ・ローメンテな庭を提示できたと思います。 コンテストガーデンC 【準グランプリ】草原は、やがて森へ還る。 【日向のエリア】 開花期を迎えていた植物 アスター‘アポロ’、ガウラ‘クールブリーズ’、ガイラルディア‘グレープセンセーション’、ルドベキア‘ブラックジャックゴールド’、エキナセア‘ファタルアトラクション’、ノコンギク‘夕映え’、ハゴロモフジバカマ、白花フジバカマ、アオチカラシバ、メリニス‘サバンナ’ 【日陰のエリア】 開花期を迎えていた植物 アガスターシェ‘ブラックアダー’、アスター‘アイデアル’、アスター‘リトルカーロウ’、ヒメケマンソウ、バーベナ‘・オフィシナリス‘ハンプトン’、ミズヒキ 【今回の庭づくりを振り返って】 土中での空気や水の流れ、微生物や菌類の活性化を考え、環境づくりに力を入れたので、想定外のこともありましたが、乾燥や高温等による枯損等もなく初期段階から順調に育ちました。 共通テーマ“武蔵野のくさはら”の私の解釈は、平地ではなく山を背景に広がりさまざまな草花が風に揺れる草原でしたが、今回、自分のタイトルからも関連づけて“武蔵野の森”とも解釈。優しくてノスタルジックで、ジブリ的な世界観をどこかに感じる景色をイメージしました。大小の起伏をつけることで奥行と立体感を出し、その環境に応じた適地適草(木)の配植をしたため、作為的に造られた感が少ない、連続性のあるナチュラルな風景を演出できました。日本在来種を要所に入れつつ多種多様なプランツを組み合わせ、植物たちのドラマティックな「競争」と「協奏」を表現しました。色彩や形重視のデザインプランティングというより、物語を感じる風景ガーデンとして見てほしいと思います。 コンテストガーデンD 【入賞】feeling garden ~伝え感じる武蔵野の新しい風景づくり~ 【日向のエリア】 開花期を迎えていた植物 ヘリオプシス‘ブリーディングハーツ’、アスター‘ジンダイ’、ダンギク、ソバ 【日陰のエリア】 開花期を迎えていた植物 シュウメイギク‘クイーンシャルロット’、ホスタ、ユーパトリウム‘チョコレート’ 【今回の庭づくりを振り返って】 温暖化する都市環境に耐えられる在来種と、日本の草原・里山の雰囲気をもったポップな印象を与える植物を組み合わせました。春~初夏にかけてかわいらしかったガーデンが、夏~秋にかけてだんだん落ち着き侘びていくよう、四季を通して移ろうように計画しています。アスター‘ジンダイ’や麦・蕎麦などで地域らしさを出して、植物に興味のない方や子供たちにも興味を持って見てもらえました。 虫や蝶などの生き物を呼ぶことができ、ガーデン内に生態系が生まれました。その反面、食害にあった植物がありましたが、真夏前に花をつけている株を含め切り戻したことで、株が大きなダメージを受けず秋まで宿根草の見栄えを保つことができ、三番花まで咲く種類もありました。とくに日陰側では、低木を骨格にしてツワブキやシダなどのオーナメンタルな宿根草を用いたことで、葉の形や色の重なりを表現できた上に、ローメンテナンスな管理ですみました。 コンテストガーデンE 【審査員特別賞】武蔵野の“これから”の原風景 【日向のエリア】 開花期を迎えていた植物 ハギ、カライトソウ、タムラソウ、シラヤマギク、ヒヨドリバナ 【日陰のエリア】 開花期を迎えていた植物 キバナノアキギリ、ヒヨドリバナ 【今回の庭づくりを振り返って】 武蔵野の“くさはら”の昔の風景を取り入れ、そこに思いを馳せることで、過去と未来をつなぐ新たな視点を提案しました。都市緑化では生物多様性を意識し、都の「在来種選定ガイドライン」に基づいた植栽が数多く計画されていますが、草原のような景観はあまり重視されていないのが現状です。私の理想は、風景の中で目立つ存在ではなく、背景として人々や生き物が共存できる空間を作ることと、それらに愛着を持ちともに語らう人々が増えること。今回、日本の野草の魅力を語る場を設けられたことは、ひとつの成果だと捉えています。 コンセプトを重視して初めて育てる植物を多数導入したため、配置や密度の調整が難しく、イメージ通りの景観を作ることができなかった場所も多くありましたが、メンテナンスは月1回と、計画通りにローメンテナンスで管理できました。これからも東京の風景を模索し続けたいです。
-
ガーデンデザイン

庭や寄せ植えで主役になる赤い花! 贈り物にもぜひ使いたい華やかな赤い花を季節ごとにご紹介
ガーデニングや寄せ植えで育てるのにおすすめの赤い花 ガーデニングで色合わせを楽しみたいときに、育てやすく周囲の景色とも調和しやすい赤い花をピックアップしました。鮮やかな深紅からピンクやオレンジを帯びた赤まで、さまざまな色調の赤い花を、季節ごとにご紹介します。中には季節をまたいで長く咲き続けてくれるものもありますよ! 春に見頃を迎える赤い花 【チューリップ】 Lautaro Soto/Shutterstock.com ユリ科チューリップ属の球根植物で、開花期は3月下旬〜5月上旬。花色が豊富で、赤のトーンもブライトトーンからダークトーンまで多彩。草丈は10〜70cm。花茎を伸ばした頂部に花を咲かせるため、足元に背丈の低い花を植えて、配色の妙を楽しむのもおすすめです。 【アネモネ】 Fabrizio Guarisco/Shutterstock.com キンポウゲ科イチリンソウ属(アネモネ属) の球根植物で、開花期は2〜5月上旬。草丈は10〜50cmで、はかなげな薄い花びらが特徴です。 【ラナンキュラス】 Mami Nozaki/Shutterstock.com キンポウゲ科キンポウゲ属(ラナンキュラス属)の球根植物で、開花期は3〜5月。草丈は30〜50cmで、薄い花弁を多数重ねる華やかな雰囲気が魅力です。 【ゼラニウム】 Ihor Hvozdetskyi/Shutterstock.com フウロソウ科テンジクアオイ属(ペラルゴニウム属)の多年草で、開花期は3月〜12月上旬と、非常に長く楽しめるのも魅力です。草丈は20〜100cm。多肉質の葉を持ち、多湿を嫌うので、寄せ植えにするなら同じような環境を好む植物でまとめるのがおすすめ。 【ポピー】 Roschetzky Photography/Shutterstock.com ケシ科ケシ属の一年草・多年草で、開花期は3〜5月。草丈は30〜100cm。花径は8〜10cmとやや大きめなので、主役として存在感を放ちます。群植しても素敵です。 【アマリリス】 Bonnie Taylor Barry/Shutterstock.com ヒガンバナ科アマリリス属(ヒッペアストルム属)の球根植物で、開花期は4月下旬〜6月。草丈は40〜80cmで、太い茎を立ち上げた先端に花径10〜20cmもあるラッパ形の花を咲かせます。 【デージー】 Phill Thornton Photo/Shutterstock.com キク科ヒナギク属の一年草で、開花期は12月下旬〜5月上旬。草丈は15〜40cmとやや低いので、チューリップなどのように株元が寂しくなりがちな草花と合わせるのにおすすめです。 【ストロベリーキャンドル】 Ordasiphoto/Shutterstock.com マメ科シャジクソウ属の多年草で、開花期は4〜5月。草丈は20〜50cm。暑さに弱く、夏を乗り越えられないことが多いので、日本では一年草扱いです。クローバーの仲間で、花茎の先端に細長く愛らしい花を咲かせます。ベニバナツメクサ、クリムゾンクローバーとも呼ばれます。 夏に見頃を迎える赤い花 【バーベナ】 Suchart Boonyavech/Shutterstock.com クマツヅラ科クマツヅラ属(バーベナ属)の一年草・多年草で、開花期は5月中旬〜11月中旬と秋まで楽しむことができます。草丈は20〜150cmで、種類により異なります。種類は多様ですが、国内で最もポピュラーなのは宿根バーベナの‘花手毬’シリーズなどで、ビギナーでも容易に育てられます。 【インパチェンス】 yod67/Shutterstock.com ツリフネソウ科ツリフネソウ属(インパチェンス属)の一年草。開花期は5月〜11月上旬で、草丈は15〜40cm。半日陰の環境でも育つのが特徴。生育初期に摘心を繰り返すと、こんもりと茂ってたくさんの花を咲かせます。 【サルビア】 Yui Yuize/Shutterstock.com 種類が多岐にわたるサルビアのうち、美しい赤い花が人気の代表的なものはスプレンデンス種で、一年草です。開花期は6〜11月で、草丈は20〜50cm。夏の暑さにも負けず、秋まで長く咲きます。 【ダリア】 badbatsumaru/Shutterstock.com キク科テンジクアオイ属(ダリア属)の球根植物。開花期は6月中旬〜7月、8月中旬〜11月で、草丈は20〜200cm。種類が多様で、花のサイズは大輪〜小輪が揃い、花姿も一重咲き、八重咲き、ポンポン咲きなどがあって、選ぶ楽しみがあります。 【グラジオラス】 natalia bulatova/Shutterstock.com アヤメ科トウショウブ属(グラジオラス属)の球根植物。開花期は6〜10月で、草丈は60〜150cm。花穂を長く伸ばし、ラッパ形の大きな花を連ねる様子は、見応えがあります。 【カンナ】 LeoDeKol/Shutterstock.com カンナ科ダンドク属(カンナ属)の球根植物。開花期は6月〜10月中旬で、草丈は40〜160cm。真夏の暑い中でも負けずに開花。花茎を伸ばした先端に、5〜10cmの大きな花を連ねます。 秋に見頃を迎える赤い花 【ビガンバナ】 Oranget/Shutterstock.com ヒガンバナ科ヒガンバナ属(リコリスぞく)の球根植物。開花期は9月下旬〜10月上旬で、草丈は30〜50cm。葉を出すよりも先に花茎を立ち上げ、花弁がくるんと反り返って咲く愛らしい花姿が魅力。放任してもよく育ちます。 【ネリネ】 Alison Bellringer/Shutterstock.com ヒガンバナ科ヒメヒガンバナ属(ネリネ属)の球根植物。開花期は10月中旬〜12月中旬で、草丈は30〜40cm。花弁をよく見ると、ラメのようにキラキラと光っています。切り花としても人気。 【コスモス】 Ivanova Tetyana/Shutterstock.com キク科コスモス属の一年草。開花期は10〜11月で、草丈は50〜120cm。強健な性質で、日当たり・風通しのよい環境であれば、放任して育てても可。群植すると見応えがあります。 【キク】 Nancy Salmon/Shutterstock.com 多様な種類があるキクのうち、ガーデニングで一般に利用しやすいのは、洋ギクのポットマムで、キク科デンドランセマ属の多年草。開花期は9〜11月で、草丈は10〜50cm。大変花つきがよく、秋を彩る草花の代表的な存在です。 【カトレア】 AimurK/Shutterstock.com 洋ランの一種で、ラン科カトレア属の多年草です。種類が多様ですが、秋咲き種の開花期は9〜11月で、草丈は20〜60cm。肉厚な葉を持ち、花茎を伸ばした頂部に優美な花を咲かせます。 冬に見頃を迎える赤い花 【シクラメン】 Africa Studio/Shutterstock.com サクラソウ科シクラメン属の球根植物で、冬の花鉢として人気です。開花期は10〜3月で、草丈は10〜70cm。花のサイズは大輪系、中輪系、小輪系があるほか、八重咲きや花弁にフリルが入るタイプなどもあります。 【カランコエ】 PhotoLife_Style/Shutterstock.com ベンケイソウ科カランコエ属の多年草です。開花期は1〜5月で、草丈は10〜50cm。室内の明るく暖かい場所で管理します。多肉質の厚い葉が特徴的。開花期が長く、花が少なくなる冬も明るく彩ってくれます。 【クリスマスローズ】 Alex Manders/Shutterstock.com キンポウゲ科クリスマスローズ属の多年草です。開花期は1〜3月で、草丈は10〜50cm。耐寒性が強く、半日陰の環境でも育ちます。ブリリアントな赤というよりは、黒赤のシックな色調が魅力です。 【シャコバサボテン】 Elena_Gr/Shutterstock.com サボテン科カニバサボテン属の多年草です。開花期は11〜3月で、草丈は15〜40㎝。肉厚な葉を持つ多肉植物の一種で、冬用の花鉢として好まれています。冬は室内の暖かく明るい場所で管理しましょう。 【ポインセチア】 ZoomTravels/Shutterstock.com トウダイグサ科トウダイグサ属(ユーフォルビア属)の低木ですが、主に鉢花として流通しているためこちらでご紹介します。観賞期は12月~翌年2月で、草丈は10~60cm。小さな花の周囲を飾る鮮やかな苞が美しく、冬の鉢花として親しまれています。メキシコ原産で寒さは苦手なので、冬は室内の暖かく明るい場所で管理しましょう。 庭に華やかな雰囲気を与えてくれる赤い花が咲く木 大きく育った樹木が、赤い花を爛漫に咲かせるシーンは大変見応えがあります。見栄えのよいおすすめの花木を、開花の季節ごとにご紹介しましょう。 春に赤い花が咲く木 【バラ】 toriru/Shutterstock.com バラ科バラ属の落葉性の低木またはつる性植物です。開花は5月中旬〜6月上旬が最盛期で、四季咲き種を選べば秋まで繰り返し咲きます。樹高は品種によって異なり、20cmほどのミニサイズから8〜10mまでつるを伸ばすものもあります。品種が多様で、花色のトーンのほか、花のサイズや花姿など、選ぶ楽しみがあるのも魅力です。 【ハナモモ】 Charlotte Bleijenberg/Shutterstock.com バラ科スモモ属の落葉性高木です。開花期は11月〜翌年3月で、樹高は5〜8m。花を観賞するために作出された花木で、爛漫に咲く姿は大変見応えがあります。 【ウメ】 Steve Jangs/Shutterstock.com バラ科サクラ属の落葉性高木です。開花期は1〜3月で、樹高は5〜10m。奈良時代から栽培されてきたとされる、馴染み深い花木です。 【ツツジ】 Just dance/Shutterstock.com ツツジ科ツツジ属の常緑性または落葉性の低木です。開花期は4月中旬〜5月中旬で、樹高は50〜200cm。満開時には枝葉を覆い尽くすように咲き、色の塊となって美しいシーンを作り出します。 【サツキ】 topimages/Shutterstock.com ツツジ科ツツジ属の常緑性または落葉性の低木です。開花期は4月中旬〜5月中旬で、樹高は50〜200cm。葉や花が比較的大きいツツジに対し、サツキはやや小さめでツツジから遅れて咲くことが多いとされますが、品種によってはこの特徴に当てはまらないものもあります。日本が原産地のため、環境に馴染みやすく育てやすい花木です。 【アセビ】 濃いピンク花のアセビ‘バレーバレンタイン’ Maria Papworth/Shutterstock.com ツツジ科アセビ属の常緑性低木です。開花期は2月下旬〜4月上旬で、樹高は150〜250cm。花径6〜8mmで壺形の花を、鈴なりに咲かせます。アセビの花は、白や桃色が一般的ですが、赤花種と呼ばれる種類もあります。生育するスピードは穏やかで、樹形は自然にまとまります。 【ブラシノキ】 Opachevsky Irina/Shutterstock.com フトモモ科カリステモン属の常緑性低木です。開花期は5月頃で、樹高は110〜300cm。名前のとおり、ブラシのようなユニークな花姿が楽しめます。 【アザレア】 AnnaNel/Shutterstock.com ツシジ科ツツジ属の常緑性低木です。開花期は4月下旬〜5月中旬で、樹高は10〜150cm。日本産などのツツジが西洋に持ち込まれて品種改良され、再び日本に伝わった花木です。西洋ツツジとも呼ばれ、華やかな雰囲気を持っています。 夏に赤い花が咲く木 【ハイビスカス】 marcociannarel/Shutterstock.com アオイ科フヨウ属の常緑性低木です。開花期は5〜10月で、樹高は50〜200cm。夏を代表する花木の1つです。熱帯性の植物で寒さに弱いため、冬は鉢上げして室内で管理します。 【デイゴ】 topimages/Shutterstock.com 日本でよく栽培されているのは、アメリカデイゴ。マメ科デイゴ属の落葉性高木です。開花期は6〜9月で、樹高は5〜7m。寒さに弱いですが、関東以西の暖地なら地植えで栽培できます。 【アジサイ】 ヤマアジサイ scott mirror/Shutterstock.com アジサイ科アジサイ属の落葉性低木です。開花期は6〜7月で、樹高は1.5〜2m。半日陰の環境を好み、花色は土壌酸度に影響を受けますが、近年では品種改良により、条件にかかわらずきれいに発色するものも多くなっています。梅雨時の曇天下、満開の株姿は圧巻です。 【サルスベリ】 Passakorn Umpornmaha/Shutterstock.com ミソハギ科サルスベリ属の落葉性中高木です。開花期は7〜10月で、樹高は10mくらい。暑さに強く、真夏も長く開花し続けます。近年はブロンズ色の葉をもつカラーリーフ種が人気。 【キョウチクトウ】 lialina/Shutterstock.com キョウチクトウ科キョウチクトウ属の常緑性中高木です。開花期は6月下旬〜8月で、樹高は3〜6m。暑さに強く、夏の庭を彩ってくれます。樹液に触れるとかぶれやすいので、剪定などの作業の際には注意を。 秋から冬にかけて赤い花が咲く木 【ツバキ】 traction/Shutterstock.com ツバキ科ツバキ属の常緑性高木です。開花期は11〜12月、2〜4月で、樹高は5〜10m。日本が原産なので、環境に馴染みやすく放任してもよく育ちます。品種が多様に揃うので、お気に入りを探すのも楽しいものです。 【サザンカ】 High Mountain/Shutterstock.com ツバキ科ツバキ属の常緑性中高木です。開花期は10〜12月(サザンカ系)、11〜3月(カンツバキ系)、12〜4月(ハルサザンカ系)。樹高は2〜6m。花姿は一重咲き、八重咲き、ラッパ咲きなどがあり、品種はバラエティーに富んでいます。 【ボケ】 Kabar/Shutterstock.com バラ科ボケ属の落葉性低木です。開花期は11〜12月(秋咲き種)、3月中旬〜5月上旬(春咲き種)、樹高は2〜3m。ウメに似た花が枝を覆うほどに咲き、見事な景色を作り出します。 贈り物にも! 花束やフラワーアレンジメントに向く赤い切り花 Maksym Fesenko/Shutterstock.com フラワーアレンジに人気の高い、赤い花をピックアップしました。これらの花をベースにブーケを作ってはいかがでしょうか。 【バラ】 Anett/Shutterstock.com 「花の女王」と称されるほど、色も花姿も美しく、主役として選ばれることがほとんど。バラを好む方は多く、贈り物の定番となっています。 【カーネーション】 lapandr/Shutterstock.com 母の日の贈り物としてポピュラーな花です。カーネーションを主役に、脇役として小花やカラーリーフを選ぶとよいでしょう。 【グロリオサ】 SKY Stock/Shutterstock.com 反り返った花びらが特徴で、個性的なアレンジメントにしたいならおすすめ。つる植物のため、動きを生かして仕上げると素敵です。 【アンスリウム】 ISEN STOCKER/Shutterstock.com 光沢のあるハート形の仏炎苞が特徴です。サイズが大きく、ビビッドな色彩はインパクト大の仕上がりを期待できます。 【ガーベラ】 RDLLD/Shutterstock.com 太い花茎を伸ばした先に、やや大きめの花を咲かせる人気の花。その佇まいは、1輪だけでも十分絵になります。一重咲きのほか、八重咲きなども人気。 【ダリア】 Africa Studio/Shutterstock.com 豪華な花姿が魅力のダリアは、大輪、中輪、小輪とサイズが多様なうえに、一重咲き、八重咲き、デコラティブ咲き、カクタス咲きなど、花姿もさまざま。贈る相手のイメージに合わせて選ぶのもいいですね。 赤い花と合わせるなら何色がいい? 配色に気を配ろう 赤い花を植えたり、フラワーアレンジメントを作ったりするとき、ほかの草花と組み合わせるにはどのような点に配慮したらよいのでしょうか? ここでは、配色のポイントについてご案内します。 同系色でまとめると失敗が少ない! satit_srihin/Shutterstock.com 赤は、暖色系に分類される色です。暖色とは暖かみを感じる色のことで、赤、オレンジ、黄色などがこれに属します。これらの色調でまとめると自然に統一感が出るので、ビギナーさんならこの組み合わせからチャレンジしてはいかがでしょうか。同じ暖色系でも鮮やかな色調のビビッドカラーと、淡くて優しい印象のパステルカラーを組み合わせるとメリハリをつけることができます。また、赤い花とグリーンの葉は反対色(補色)の関係にあるので、ガーデニングでは特に、赤い花1色だけでもインパクトを出しやすいという一面もあります。 寒色を差し色に加えてインパクトを出す! nnattalli/Shutterstock.com 暖色系と対照的なのが寒色系です。冷たさや寒さを感じる色のことで、青、青緑、青紫などがこれに属します。前項のように暖色系でまとめた中に、これらの寒色を差し色として取り入れると、インパクトが出て互いの魅力を引き出すことが可能です。印象の異なる色同士を同じ割合にすると、ケンカしてちぐはぐな印象になることがあるので、あくまでもアクセント程度に留めるとよいでしょう。 慣れてきたら、類似色や3色の組み合わせも試してみよう! stifos/Shutterstock.com 花色によるカラーコーディネートを考えるのは楽しい作業です。慣れてきたら、多色の組み合わせに挑戦してみましょう。同系色、反対色、ビビッドカラー、パステルカラーを組み合わせ、メリハリのある庭の景色やブーケができれば上級者です。色を調和させる役割を果たしてくれるのは、白い花や、斑入りやグリーン系のカラーリーフプランツなどです。ほかに黒い花、黒赤花、黒系やブロンズ系のカラーリーフなどは、差し色として少量でも強いインパクトを発揮してくれます。 華やかな赤い花! 季節に合わせて楽しもう Photo/LeManna/shutterstock.com 赤い花は、茎葉の緑色と反対色(補色)にあたるため、数輪だけでも目立って存在感を放ちます。大輪の花は主役として魅力を発揮し、小輪の花でも華やかな雰囲気をもたらすことでしょう。オレンジやピンク、黄色などの暖色系と相性よくまとまりますが、多色づかいでカラーコーディネートの妙を楽しむのもいいですね。ぜひ赤い花を庭やフラワーアレンジメントに取り入れてはいかがでしょうか。
-
ガーデニング

ガーデニングをするなら知っておきたい「すす病」! 原因や治療方法は?
すす病とはどんな病気? かかりやすい時期と症状 Kazakov Maksim/Shutterstock.com すす病は、植物が黒い粉で覆われ、葉や枝がまるですすをかぶったように見える病気です。この黒い粉はカビの胞子です。すす病の原因菌は多数ありますが、主にカプノデウム科に属する糸状菌(しじょうきん)の一種が繁殖して発生します。春から秋にかけて発生しやすく、最初は黒いすす状の斑点が現れます。対処が遅れると、斑点は葉から茎など全体に広がっていきます。すす病は見た目を損ねるだけでなく、葉の表面を覆って光合成を阻害するため、植物の生育が抑制されてしまいます。 すす病になる原因は「腐生性」と「寄生性」の2つ! yuri of yuriyuri/Shutterstock.com すす病の原因はカビで、そのカビが発生する原因には「腐生性」と「寄生性」の2つがあります。腐生性というのはアブラムシやカイガラムシ、コナジラミなどの排泄物に菌が繁殖することです。これらの排泄物には糖分が含まれ、それを養分にして菌類が繁殖します。一方、寄生性は植物に菌が直接付着して繁殖することです。 ガーデニングで問題となるすす病は多くが腐生性で、植物自体が病気にかかっているわけではないことが大きな特徴。植物に付着した排泄物にカビが生えた状態、つまり汚れが葉や幹に付着しているような状態なので、発生初期であればきれいに拭き取ることができ、痕も残りません。 すす病が発生しやすい植物 BearFotos/Shutterstock.com すす病は野菜、果樹、観葉植物など、植物の種類を問わず発生する可能性があります。果樹では、ミカンやレモン、ユズなどの柑橘類に多く見られますが、ブドウやカキ、リンゴなどでも発生します。花木や庭木では、ツバキやサザンカ、オリーブ、サルスベリなどに発生しやすい傾向があります。また、ナスやピーマンなどの野菜や観葉植物にも発生します。 すす病が発生した植物は人体への影響がある? Lesogor_Tatyana/Shutterstock.com すす病にかかった葉や茎、実などには黒いすすのようなものが付着しますが、すす病の原因菌は人体へ影響を及ぼすことはなく、感染した植物に触れても人体には問題ありません。また、果実などは見栄えが悪くなるため商品としての価値は低くなりますが、洗ったり取り除いたりすれば食べることができます。 すす病にかかったときの対処方法や治療方法は? tynyuk/Shutterstock.com 育てている植物がすす病にかかってしまっても、適切に対処すれば治すことができます。 ここでは、すす病の対処方法や治療方法について解説します。 すす病を見つけたときはまずカビの除去を Dikushin Dmitry/Shutterstock.com 症状が軽い段階であれば、まずは黒いすす状の部分を拭き取るか、洗って取り除きます。すす病が出ている葉が少なければ、葉を摘み取るか、病変が広がった部分を剪定します。この作業を行う際は、カビが他の部分に移らないように注意が必要です。摘んだり切ったりした葉や枝はそのままにせず、ビニール袋などに入れて捨てましょう。 殺菌剤や殺虫剤などの薬剤を散布する Federico Magonio/Shutterstock.com 症状が広範囲に出ている場合は、すす病に効果のある殺菌剤として、例えば「トップジンMゾル」や「ベンレート水和剤」などを散布します。殺菌剤の使用により、症状は一時的に治まることが多いですが、薬剤は対症療法的なものなので、再発する可能性があります。また、害虫が原因である場合は、害虫の駆除も必要となります。害虫への対処方法については、後ほど詳しく説明します。 木酢液や竹酢液など無農薬で対処する Iuliia Pilipeichenko/Shutterstock.com できるだけ農薬を使いたくない場合は、木酢液や竹酢液を使うのも一つの選択肢です。木酢液は、炭を製造する過程で発生した煙を冷却して得られる水溶液で、竹を原料としたものは竹酢液と呼ばれます。 これらの液を希釈し、葉や茎に散布することで、カビへの殺菌効果や防虫効果が期待できます。製品によりますが、通常は300~1,000倍程度に薄めて使用します。ただし、化学薬剤に比べると効果はゆるやかです。 すす病にならないための環境を整えるポイント2つ Yganko/Shutterstock.com すす病は高温多湿の環境で発生しやすいため、発生を予防するには、栽培環境や管理方法を見直すことが重要です。すす病の発生を防ぐには、特に次の2つのポイントに注意するとよいでしょう。 1.風通しよく栽培する 植物の病気を予防するためには、風通しよく管理し、菌の繁殖しやすい環境を作らないことが重要です。株の間隔を十分に取って植え付け、風通しや日当たりをよくしましょう。枝を適宜剪定して過密を防ぐことも大切です。また、肥料過多によっても枝葉が込み合い、病気に弱い軟弱な株に育ちやすくなるため、適切な量を与えるよう心がけましょう。 2. アブラムシやカイガラムシなどを防除する すす病の多くは、アブラムシやカイガラムシなどの排泄物に菌が繁殖することで発生します。そのため、原因となる害虫を早期に発見し、駆除することが非常に重要です。アブラムシやカイガラムシなどの害虫の駆除については、次に詳しく解説します。 すす病を予防するためには害虫の駆除が大事! Macrovector/Shutterstock.com 先に解説したとおり、すす病は害虫の排泄物が原因となる場合が多いため、害虫の早期発見・駆除が予防に重要です。ここでは、すす病の原因となるアブラムシとカイガラムシの駆除方法について、それぞれ解説します。 とにかく繁殖力が強いアブラムシの対処方法は? meechai39/Shutterstock.com アブラムシは繁殖力が非常に強く、気がつくと葉の裏などにびっしり付いていることもあります。すす病の原因となるだけでなく、さまざまな病気やウイルスを媒介したり、植物の汁を吸うため、大量に発生すると株を弱らせてしまいます。 アブラムシが発生したら、薬剤を散布して対処するのが手軽で効果的です。有効な殺虫剤は、スミチオン乳剤、オルトラン水和剤、アクテリック乳剤などです。ただし、同じ殺虫剤を使い続けると、抵抗性を持った個体が新たに出現する可能性があるため注意が必要です。 また、アブラムシは黄色に集まる性質を持っているため、黄色いバケツや粘着テープなどを利用して駆除する方法もあります。ほかに光の乱反射を嫌う性質を利用して、キラキラするものを株元に敷くなど、薬剤を使わない方法も併せて取り入れてみるのもおすすめです。 殺虫剤が効きにくいカイガラムシの対処方法は? ViktoriaIvanets/Shutterstock.com カイガラムシは成虫になると硬い殻を持つようになり、殺虫剤が効きにくくなります。成虫になる前であれば、オルトラン水和剤やアクテリック乳剤などの殺虫剤が効果的です。また、卵や幼虫はブラシなどで擦って落とすことが可能ですが、成虫になるとこれが難しくなります。そのため、できるだけ卵や幼虫の段階で駆除することが望ましいです。成虫に対しては、マシン油乳剤(97%)が効果的とされています。カイガラムシは風通しの悪い場所の枝葉などに発生しやすいため、予防としては、適切に剪定をして風通しよく管理することが大切です。 菌に対する予防効果のある殺菌剤を使うのも効果的 KPG-Payless/Shutterstock.com すす病に効果のある薬剤は、すでに発生したすす病に対してだけでなく、予防効果を持つタイプもあります。例えば、「トップジンMゾル」や「ベンレート水和剤」などがその一例です。これらの薬剤は低濃度でも使用可能で、植物への薬害も少ないとされています。ただし、薬剤を散布する際は、手袋やマスクなどを着用しましょう。 冬の間も気を抜かずにしっかり管理しよう Wichitra.W/Shutterstock.com すす病が発生しやすいのは、気温や湿度が上がり、害虫も発生しやすい春から秋の間で、冬になるといったん収まることが多いです。しかし、害虫が越冬している可能性もあるため、冬の間も注意が必要です。温度が安定している室内に置いている観葉植物などは、特に注意しましょう。また冬の間に薬剤を散布しておくと、すす病の予防にも効果的です。 すす病にならないように気をつけて元気な植物を育てよう! ben bryant/Shutterstock.com すす病は放置すると植物の生育不良にもつながるため、葉の剪定や薬剤の散布など適切な対処が必要です。アブラムシやカイガラムシなどが媒介することもあるので、害虫にも目を光らせておく必要があります。 できるだけ病気にならないように栽培環境を整えて、すす病の発生を予防し、元気な植物を育てましょう。



















