【春を知らせる花】ツツジの育て方! 魅力や美しく咲かせる方法をご紹介

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皆さんもきっと街路樹などで目にしたことがあるツツジ。とても鮮やかな花色で、多くの人から愛されている植物です。公共の場で多く植栽されていますが、もちろん自分でも栽培できます。この記事では、ツツジの基本情報から詳しい育て方までを、丸ごとご紹介します!
目次
ツツジについて知ろう!

まずはツツジの基本的な情報や特徴などからご紹介します。
特徴や魅力は?

街中でもよく見かけるツツジは、古くから栽培され、日本人に最も親しまれている花木の一つです。
一部例外もありますが「ツツジ」という名前はサツキを除くヤマツツジの仲間の総称として使われます。
一般には4〜5月中旬に咲くのがツツジ、5月下旬以降に咲くのがサツキとして捉えられています。
ヤマツツジの仲間はアジア東部では約90種類、日本だけでも17種類が生息しています。現在よく見られる園芸品種は、多くが江戸時代中期に作出されました。いずれも日本に自生する野生種をもとに品種改良されているので栽培は簡単で、誰にでもおすすめできる花木です。
ツツジの基本データ

ツツジは、日本や中国などのアジア東部が原産の半常緑性の低木です。樹高は50cmから、大きいものでは2mまでになります。
暑さや寒さにも強く、初心者の方にも育てやすい植物です。低木なので、生け垣として植えるのもおすすめです。
街中でもよく目にする花色は、白やピンク・赤・紫、さらにそれらが合わさった複色のものがあります。開花は4月中旬~5月中旬です。
ツツジの主な品種

ツツジには多くの品種がありますが、ここでは代表的なものをご紹介します。
大紫…公園や道路などによく植えられている丈夫な品種で、大きな赤紫色の花が特徴です。江戸時代中期に作出されました。
白琉球…大きく真っ白な花が特徴です。江戸時代中期に作出され、今なお愛され続けています。
本霧島…真紅の花が枝葉が隠れるほどたくさん咲く品種で、江戸時代から高く評価されています。
麒麟…福岡県久留米市では、久留米ツツジと呼ばれる改良種が多く作られましたが、その代表的な品種です。鮮やかなピンク色の二重の花が咲きます。作出は江戸時代末期です。
花言葉と花名の由来

ツツジの花言葉は複数あります。まず、ツツジ全体の花言葉は「節度」「慎み」です。
さらに花の色ごとの花言葉もあります。赤いツツジは「恋の喜び」、白いツツジは「初恋」です。「恋の喜び」の由来は、まばゆいほどの赤い花を一斉に咲かせることから。「初恋」の由来は、真っ白な花に純白の花嫁の清純さを重ね合わせたものといわれています。
西洋のツツジはアザレア(Azalea)という名前で、西洋で用いられる花言葉には「temperance:節制、禁酒」「take care of yourself for me:私のために体を大切に」「fragility:もろさ、はかなさ」などがあります。
ツツジ(躑躅)の花名は、花が筒状になっていることからきているといわれています。また、花が次々に連なって咲いている様子から、「続き」が語源であるという説もあります。
栽培スケジュール

ツツジの開花期は4月中旬~5月中旬です。
植え付けや植え替えは、開花期を除く3~6月上旬または9月下旬~10月に行います。
肥料を与える適期は、地植え・鉢植えともに、花が終わった5~6月と育ち盛りの9月下旬、休眠する1月です。
剪定は、花が終わった後の5~6月中旬に行います。
ツツジが元気に育つ栽培環境

ここからは、ツツジを元気に美しく育てるための適切な栽培環境について詳しく解説します。
日当たり

ツツジは日本に自生している樹木なので、基本的には日本の普通の自然環境下で育てることができます。
ツツジを育てるには、日光がよく当たる風通しのよい場所が最適です。しかし真夏の強い日差しでは葉焼けすることもあるので、夏は午後からは日陰になるような明るい場所が適しています。西側に落葉樹がある場所は、秋から春先までは終日よく日が当たり、夏は午後からの強い日ざしを避けられるので理想的です。
水の管理

ツツジは水を好む植物なので、できるだけ水を切らさないように管理します。特に、庭に地植えして自然の雨のみで育てる際は、建物やほかの樹木の陰に隠れてしまう場所では水不足になりやすいため注意が必要です。
一方で、蒸れに弱くジメジメした環境では根腐れを起こしやすい性質もあります。
用土

ツツジはやや酸性の土壌を好みます。
日本は雨が多く、土中のカルシウムなどが流亡して酸性になりやすいので、地植えする場合は基本的には問題ありません。しかし、近くに植えたほかの植物にアルカリ性の肥料を与える場合は注意が必要です。特に、ヨーロッパ原産の酸性土壌を好まない植物を植え付け、石灰などを施している場合には気をつけましょう。
鉢植えする場合は、赤玉土小粒4、鹿沼土3、ピートモス2、バーミキュライト1などの酸性用土に植え付けします。
ツツジの基本的な育て方

ここからは、知っておきたいツツジの水やりと肥料についてご紹介します。
水やり

夏場も、地植えの場合は基本的に自然に降る雨のみで育ちます。しかしツツジは水を好む植物なので、晴れた日が続いて地面が乾きすぎると弱って枯れてしまいます。雨の少ない時期には地面をよく観察して、もし乾燥していたら水をたっぷりと与えましょう。
鉢植えの場合は、地植えよりも乾燥しやすいため、こまめな水やりが必要です。土が完全に乾く前に、鉢底から流れ出すまでしっかりと水やりをします。
冬場は気温が下がって生育が鈍るため、夏に比べて必要な水の量が少なくなります。しかし、土が乾いた場合はきちんと水やりをしましょう。気温が低くなる日には、夕方に水やりをすると夜の間に水が凍る恐れがあるので、晴れの予報が続く日の、気温の上がりやすい朝方に水やりをします。
また、冬場に葉を落とす落葉性のツツジの場合、冬の時期は休眠しています。休眠している間は根が水を吸わないので、水をやりすぎると根腐れの原因となります。落葉性の品種は、冬場の水やりを控えて乾燥気味に管理しましょう。
肥料・追肥

ツツジは生命力が強いので、特に肥料などの栄養分を与えなくても枯れることはありません。
しかし、栄養の少ない土で育てると花付きが悪くなるので、花を多く咲かせるためには適量の肥料が必要です。
肥料は、骨粉や油かす、化学肥料のどれでもかまいません。
ツツジは根が土の表面近くに張っているため、根元近くに肥料をまくと肥料やけを起こして根を傷めてしまいます。どのタイプの肥料でも、根元から離れた場所にまきます。
肥料は年に3回与えます。1度目は冬場の1月頃、2度目は花が終わった後の5~6月、3度目は育ち盛りの9月頃に与えます。9月の肥料は、猛暑が過ぎた下旬頃から与えるようにしましょう。
ツツジを長く楽しむために

ここからは、さらに長い期間ツツジを楽しむためのお手入れ方法についてご紹介します。
植え替え・植え付け・種まき

植え替えや植え付けをする時期は、春~初夏、秋口がおすすめです。特に、花を全て落とした後に行うとよいでしょう。
植え替え方法は普通の植物と同様です。まず根を傷つけないよう注意しながら株を掘り起こし、古い土を丁寧に払い落とします。そして、古くなった根や枯れた根は切り落としてから、新しい場所に植えます。
ツツジは浅く根が張る植物なので、植える際も浅く植えるのがポイントです。
地植えのツツジは、いきなり植え替えると根を傷めて株が弱ることがあります。植え替えをする前の年の5月中旬〜6月中旬、9月下旬〜10月中旬に、その株の周りを軽く掘り起こす「根回し」をしておくと、翌年までに株のそばに新しい根がたくさん出て、植え替えをしやすくなります。
増やし方

ツツジを増やしたい場合は、挿し木で増やすのがおすすめです。方法は次の通りです。
6~7月頃に、新しい枝を探して切り落とします。切り落とした枝は1時間ほど水に浸けて水あげをします。
水あげが終わったら、切り口にルートンなどの発根促進剤をつけて、清潔な水はけのよいピートモスや、挿し木・タネまき用土などに挿します。
ある程度根が出たら定植して育てます。鉢に植える場合は、必ず新しい用土を使いましょう。
病気・害虫

ツツジがかかりやすい病気や害虫のなかでも代表的なものについて、原因と対策を詳しく解説します。
うどんこ病はカビが増殖することによって引き起こされます。対策としては、通気性がよくカビが繁殖しにくい環境を作ること、土を乾燥させすぎないことが重要です。もし病気になってしまったら、その葉をすぐに取り除きましょう。適応する薬剤を株全体に散布するのも有効です。
ハダニは葉の栄養を吸い取る害虫で、植物は白っぽく変色し枯れてしまいます。対策としては、バロックフロアブルなどの殺虫剤を用います。ハダニは乾燥しすぎていると増えるので、雨が少ない夏場や、軒下などのあまり雨が当たらない環境に置いている場合などは、時々株全体に水をかけたり葉水をしたりするのもよいでしょう。
ツツジグンバイは、ハダニと同様に葉の栄養分を吸い取ってしまう害虫です。こちらはどんな殺虫剤でも有効です。
ベニモンアオリンガは、ツツジの花芽を食い尽くしてしまう害虫です。オルトラン水和剤がよく効きます。
美しいツツジを育ててみよう!

この記事では、ツツジの魅力や詳しい育て方を解説しました。
ツツジは多くの日本人に愛される可愛らしい植物で、日本の気候で育てやすい植物です。ぜひ庭に取り入れてみてはいかがでしょうか?
Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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