マーガレットに似た、黄色い花を咲かせるユリオプスデージーをご存じでしょうか? 冬から初夏までと開花期間が長く、大変花つきがよく次々と花が上がってくるのが特徴です。輝くような花色は、寂しくなりがちな冬の庭に華やかな彩りを与えてくれます。枝葉はさわやかなシルバーグリーンで、花がない時期にはカラーリーフプランツとして重宝する、優秀な植物。この記事では、ユリオプスデージーにスポットを当て、その魅力や特性、育て方まで、詳しく解説していきます。

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ユリオプスデージーとは

ユリオプスデージー
Santi Wiwatchaikul/Shutterstock.com

ユリオプスデージーは、キク科ユリオプス属の常緑低木です。幼苗のうちは草花のように見えますが、じつは樹木であり、数年育てていると大きく育ってゴツゴツとした太い幹のようになっていきます。樹高は90〜100cmほどで、低木に分類されています。

原産地は南アフリカで、暑さや寒さにはほどほどに耐える性質です。

日本にユリオプスデージーが伝わったのは戦後で、1970年代。比較的新しい花で、当初は鉢花として販売されてきました。比較的暑さ寒さに耐え、暖地では地植えにしても越冬できるため、次第にガーデニングの素材として注目されるように。現在では一般的な認知度も高くなり、庭植え、鉢植えともに人気の花となっています。

ユリオプスデージーの開花期は11〜5月で開花期が長く、しかも冬でも咲いてくれるのが最大の美点。マーガレットのようなキク科らしい花を次々と咲かせて、寒々としがちな冬の庭に華やぎをもたらしてくれます。花色は黄色のみで、花姿は一重咲き、八重咲きなど。花のサイズは3〜4cmほどで、花茎を10〜15cm伸ばした頂部に花を咲かせます。

それから、枝葉をよく見てみてください。レースのような繊細なフォルムが魅力的なうえ、明るいシルバーグリーン。常緑のためカラーリーフとしても一年中観賞でき、開花期間以外もほかの草花の引き立て役として活躍します。シルバーグリーンに見えるのは、枝葉に細かな産毛が密生しているから。そのため枝葉に水がかかると乾きにくく、蒸れやすくなるので、水やりの際には株全体を濡らしたりすることなく、株元の土のみに与えることが大切です。

ユリオプスデージーの主な品種

ユリオプスデージー
Enid Versfeld/Shutterstock.com

ユリオプスデージーが属するユリオプス属は北アフリカを中心に、95種類ほどが確認されているようです。日本でユリオプスデージーとして普及しているのは、学名ではEuryops pectinatus(ユリオプス・ペクチナータス)といいます。ユリオプスとは、ギリシア語で「大きな目を持つ」という意味があり、花姿を指して付けられたようです。ユリオプスデージーの代表的な園芸品種には‘ティアラミキ’があります。花弁が多数重なる八重咲きで、豪華な雰囲気を持つ花です。

また、同じユリオプス属にはユリオプス・バージネウス‘ゴールデン クラッカー’という品種があり、ユリオプスデージーよりも花は小ぶり。枝葉は明るいグリーンで松葉のようなユニークな姿をしています。

ちなみにユリオプス属には、ユリオプスデージーによく似たマーガレットコスモス(Euryops chrysanthemoides)があり、両者はよく混同されがちですが、別の種類です。

ユリオプスデージーの育て方

ここまで、ユリオプスデージーのプロフィールについて、詳しくご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、適した環境や植え付け方、水やりや施肥、病害虫対策や剪定など日頃の管理、増やし方などについて解説していきます。

栽培環境

ユリオプスデージーの育て方
J Need/Shutterstock.com

日当たりのよい場所を好みます。庭に地植えしても、鉢栽培にしても健やかに生育します。乾燥には強い反面、多湿の環境が苦手なので、水はけのよい土壌づくりをするのがポイント。斜面を利用したり、やや盛り土をしたりして工夫するとよいでしょう。冬に凍結する環境でなければ、戸外でも越冬します。

植え付け・植え替え

土壌
Peter Kniez/Shutterstock.com

ユリオプスデージーの苗の植え付け適期は、3〜5月、9月下旬〜10月です。この時期に限らず、花苗店で開花株を購入した場合は、早めに定植しましょう。

【庭植え】

腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入してよく耕し、土づくりをしておいた場所に、苗を植え付けます。複数の株を植え付ける場合は、60〜80cm以上は間隔を開けましょう。植え付け後は、たっぷりと水やりします。

寒さが厳しい地域では、冬前に鉢に植え替えるとよいでしょう。日当たりがよく、霜の降りない暖かい場所などへ移動して管理します。

【鉢植え】

草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。鉢の大きさは、入手した苗よりも1〜2回り大きなサイズを目安にするとよいでしょう。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。ユリオプスデージーの苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

根の伸びが旺盛で、株が大きく育って込み合うと弱ってくるので、1年に1度は植え替えましょう。1〜2回り大きな鉢にサイズアップして植え替えてもいいですし、あまり大きくしたくない場合は根鉢をくずし、半分くらいまでの高さを目安に深く切り戻して同じ鉢に植え替えます。

水やり

水やり
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ユリオプスデージーの枝葉がシルバーグリーンに見えるのは、全体が白いうぶ毛に覆われているためです。そのため、水やりの際に株全体にかけると、蒸れて株が弱ってしまう原因になります。ジョウロのはす口をはずして、株元の地面を狙って与えるようにしてください。

真夏に水やりする場合は、気温が上がっている昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになってしまいます。すると株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。

また、真冬に水やりする際は、夕方に水やりをするとその後どんどん気温が下がって凍結する場合があり、植物にダメージを与えることがあります。十分気温が上がってきた昼間に水やりすることがポイントです。

【地植え】

植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

肥料

肥料
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ビギナーの場合、緩効性化成肥料と速効性のある液肥を常備しておくのがおすすめです。植物への汎用性が高く、においがしないため扱いやすいのがメリット。開花期に与える液肥は、開花促進を目的とした配合の製品を選ぶのがおすすめです。

庭植え、鉢栽培ともに、真夏と真冬を除いて、定期的に緩効性化成肥料を株の周囲にまいて株の勢いを保ちます。鉢栽培の場合は、花茎が上がってきた頃から開花が終わるまで、10日に1度を目安に液肥を与えるとよいでしょう。夏の高温期に肥料成分が残ると株が弱ることがあるので、夏は肥料を切らして管理するのがポイントです。

花がら摘み

花殻摘み
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「花がら摘み」とは、咲き終わって株に残った花を摘み取ることをいいます。枯れた花は、早めに摘み取って見映えよく保ちましょう。株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして養分をそちらに回すことで株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうことにもつながります。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。

病害虫対策

アブラムシ
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成長期の4〜10月には、アブラムシがつきやすくなります。早期の対策が大切で、植え付け・植え替えの際に土中に混ぜる粒剤タイプの薬剤を使うと効果的です。使用の際は、用法・用量を守って使うようにしましょう。

雑草が繁茂していたり、花がらや枯れ葉をそのまま放置したりしていると、病害虫が発生しやすくなります。こまめにメンテナンスをして、株周りを清潔に保ちましょう。また、成長とともに茎葉が茂って込み合いすぎると、風通しが悪くなって病害虫が発生しやすくなるので、適宜枝葉を間引いてスマートな姿を保つことも予防のポイントです。

夏越し・冬越し

ユリオプスデージーの葉

【夏越し】

多湿の環境を嫌うので、鉢栽培の場合は日当たりのよい軒下などに移動して管理するとよいでしょう。地植えの場合は、そのままでかまいません。

【冬越し】

寒さに弱いわけではありませんが、戸外で越冬できるのは関東以南の地域です。真冬に凍結する寒冷地では、地植えにしている場合は鉢に植え替えて冬越ししましょう。霜などの当たらない、日当たりがよく暖かい場所で管理します。

剪定

ガーデンツール
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ユリオプスデージーの剪定適期は、5〜6月か9月下旬〜10月です。生育旺盛でよく茂るので、樹形が乱れているようであれば、丈の半分くらいまでを目安に深く切り戻してスッキリさせましょう。

ユリオプスデージーは草花のように見えますが、実際は樹木なので、数年経つと木らしくなって幹がゴツゴツとしてきます。樹木らしい姿になると花が咲きにくくなるので、挿し木苗をつくって、植え替えるのも一案です。

増やし方

種まきトレイ
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ユリオプスデージーは、挿し木で増やすことが可能です。挿し木の適期は4〜6月か9月下旬〜10月。まず、勢いのある枝葉を約5cmの長さで切り取り、水を張った容器に1時間ほど挿して吸水させておきましょう。市販の草花用培養土を育苗用トレイなどに入れて、吸水させた枝葉(挿し穂)を挿します。摘芯したり、切り戻す際に切り取った茎葉を使ってもOKです。水切れしないように管理すると、しばらくして発根するので、黒ポットなどに植え替えて育苗しましょう。株が大きくなったら、植えたい場所に定植します。挿し木のメリットは、採取した株のクローンになることです。

ユリオプスデージーの花が咲かない原因とは?

ユリオプスデージーの花
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ユリオプスデージーは、マーガレットに似た黄色い花が魅力です。しかし、まれに「株は大きく育ったのに花があまり咲かない」というケースがあります。その原因としては、根詰まりを起こしていることが考えられます。

ユリオプスデージーは、根の生育が旺盛で、鉢で栽培をしている場合は根詰まりを起こしやすい植物です。鉢で栽培している場合は、毎年植え替えて根が張りやすい環境に整えることがポイント。根が回っていたら、古い根があれば切り取り、ほぐして新しい培養土を使って植え直しましょう。根を整理して小さくした分、地上部も切り戻し、根からの吸水と葉からの蒸散のバランスをとることも大切です。

また、ユリオプスデージーは、多湿を嫌うという性質も把握しておいてください。動物が毎日エサを欲しがるのとは違って、植物は毎日水を与えればいいというものではありません。特にユリオプスデージーは乾燥を好む性質をもっているので、毎日水を与えると多湿になってたちまち弱ってしまいます。鉢栽培の場合は、「表土が白く乾いたのを見計らってから、鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと与える」ことを目安にしてください。雨が続く日もあれば、日照りが続くこともあるので、天候状況に応じた水分管理が大切です。

華やかな黄色が魅力のユリオプスデージーを育ててみよう!

ユリオプスデージー
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ユリオプスデージーは、枝葉をこんもりと茂らせ、冬から初夏までと開花期間が長いのが魅力です。鮮やかな黄色い花は、冬の庭を明るく彩ってくれるので、1株は欲しくなる人気の植物。ここでは、その特性から育て方まで、幅広くご紹介してきました。ビギナーでも育てやすいユリオプスデージーを、ぜひ庭やベランダに迎え入れてみてはいかがでしょうか。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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