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ユリオプスデージーとは? 育て方をはじめ、基本情報を理解しよう

ユリオプスデージーとは? 育て方をはじめ、基本情報を理解しよう

BOULENGER Xavier/Shutterstock.com

マーガレットに似た、黄色い花を咲かせるユリオプスデージーをご存じでしょうか? 冬から初夏までと開花期間が長く、大変花つきのよい常緑低木です。次々と花が上がり、その輝くような花色は、寂しくなりがちな冬の庭に華やかな彩りを与えてくれます。枝葉は爽やかなシルバーグリーンで、花がない時期にはカラーリーフプランツとして重宝する、優秀な植物。この記事では、ユリオプスデージーにスポットを当て、その魅力や特性、育て方まで、詳しく解説していきます。

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ユリオプスデージーとは

ユリオプスデージー
Santi Wiwatchaikul/Shutterstock.com

ユリオプスデージーは、キク科ユリオプス属の常緑低木です。幼苗のうちは草花のように見えますが、じつは樹木であり、数年育てていると大きく育ってゴツゴツとした太い幹になります。樹高は90〜100cmほどで、低木に分類されています。

原産地は南アフリカで、暑さや寒さにはほどほどに耐える性質です。

日本にユリオプスデージーが伝わったのは、1970年代。比較的新しい花で、当初は鉢花として販売されていました。暖地では地植えにしても越冬できるため、次第にガーデニングの素材として注目されるように。現在では一般的な認知度も高くなり、庭植え、鉢植えともに人気の花となっています。

ユリオプスデージーの開花期は11〜5月と長く、しかも冬でも咲いてくれるのが最大の美点。マーガレットのようなキク科らしい花を次々と咲かせて、寒々としがちな冬の庭に華やぎをもたらしてくれます。花色は黄色のみで、花径は3〜4cm。花姿は一重咲き、八重咲きなど。花茎を10〜15cm伸ばした頂部に花を咲かせます。

枝葉はレースのような繊細なフォルムが魅力的なうえ、明るいシルバーグリーン。常緑のためカラーリーフとしても一年中観賞でき、開花期間以外もほかの草花の引き立て役として活躍します。シルバーグリーンに見えるのは、枝葉に細かな産毛が密生しているから。そのため水がかかると乾きにくく、蒸れやすくなるので、水やりの際には株元の土のみに与えることが大切です。

ユリオプスデージーの主な品種

ユリオプスデージー
Enid Versfeld/Shutterstock.com

ユリオプスデージーが属するユリオプス属は、北アフリカを中心に、95種類ほどが確認されているようです。日本でユリオプスデージーとして普及しているのは、学名ではEuryops pectinatus(ユリオプス・ペクチナータス)といいます。ユリオプスとは、ギリシア語で「大きな目を持つ」という意味があり、花姿に由来するようです。ユリオプスデージーの代表的な園芸品種には‘ティアラミキ’があります。花弁が多数重なる八重咲きで、豪華な雰囲気を持つ花です。

また、同じユリオプス属には、ユリオプス・バージネウス‘ゴールデン クラッカー’という品種があります。ユリオプスデージーよりも花は小ぶりで枝葉は明るいグリーン、松葉のようなユニークな姿をしています。

ちなみにユリオプスデージーによく似たマーガレットコスモス(Euryops chrysanthemoides)も、ユリオプス属。両者はよく混同されがちですが、別の種類です。

ユリオプスデージーの育て方

ここまで、ユリオプスデージーのプロフィールについて、詳しくご紹介してきました。では、ここからはガーデニングの実践編として、適した環境や植え付け方、水やりや施肥、病害虫対策や剪定など、日頃の管理、増やし方などについて解説していきます。

栽培環境

ユリオプスデージーの育て方
J Need/Shutterstock.com

日当たりのよい場所を好み、地植でも、鉢栽培でも健やかに生育します。乾燥には強い反面、多湿が苦手なので、水はけのよい土壌作りをするのがポイント。斜面を利用したり、やや盛り土をしたりして工夫するとよいでしょう。冬に凍結する環境でなければ、戸外でも越冬します。

植え付け・植え替え

土壌
Peter Kniez/Shutterstock.com

ユリオプスデージーの苗の植え付け適期は、3〜5月、9月下旬〜10月です。この時期に限らず、花苗店で開花株を購入した場合は、早めに定植しましょう。

【地植え】

腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入してよく耕し、土作りをしておいた場所に、苗を植え付けます。複数の株を植え付ける場合は、60〜80cm以上は間隔をあけましょう。植え付け後は、たっぷりと水やりします。

寒さが厳しい地域では、冬前に鉢に植え替えるとよいでしょう。日当たりがよく、霜の降りない暖かい場所などへ移動して管理します。

【鉢植え】

草花用培養土を利用すると便利です。鉢の大きさは、入手した苗より1〜2回り大きなサイズが目安。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。ユリオプスデージーの苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

根の伸びが旺盛で、株が大きく育って込み合うと弱ってくるので、1年に1度は植え替えましょう。1〜2回り大きな鉢にサイズアップしてもいいですし、あまり大きくしたくない場合は、根鉢をくずし、半分くらいまでの高さを目安に深く切り戻して同じ鉢に植え替えます。

水やり

水やり
cam3957/Shutterstock.com

ユリオプスデージーの枝葉がシルバーグリーンに見えるのは、全体が白い産毛に覆われているから。そのため、水やりの際に株全体にかけると、蒸れて株が弱ってしまう原因になります。ジョウロのはす口を取り、株元の地面を狙って与えるようにしましょう。

真夏に水やりする場合は、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまいます。

逆に、真冬に水やりをする場合は、十分気温が上がってきた昼間に行いましょう。夕方に水やりをすると、その後どんどん気温が下がって凍結し、植物にダメージを与えることがあります。

【地植え】

植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチして対応することが、枯らさないポイントです。

肥料

肥料
Singkham/Shutterstock.com

ビギナーの場合、緩効性化成肥料と速効性のある液肥を常備しておくのがおすすめです。植物への汎用性が高く、においがしないため扱いやすいのがメリット。開花期に与える液肥は、開花促進を目的とした配合の製品を選びましょう。

庭植え、鉢栽培ともに、真夏と真冬を除いて、定期的に緩効性化成肥料を株の周囲にまいて株の勢いを保ちます。鉢栽培の場合は、花茎が上がってきた頃から開花が終わるまで、10日に1度を目安に液肥を与えるとよいでしょう。夏の高温期に肥料成分が残ると株が弱ることがあるので、夏は肥料を切らして管理するのがポイントです。

花がら摘み

花殻摘み
aaelrahman89/Shutterstock.com

「花がら摘み」とは、咲き終わって株に残った花を摘み取ることをいいます。枯れた花は早めに摘み取って、見映えよく保ちましょう。株周りを清潔に保つことが、病害虫の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうことにもつながります。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。

病害虫対策

アブラムシ
muroPhotographer/Shutterstock.com

成長期の4〜10月には、アブラムシがつきやすくなります。早期の対策が大切で、植え付け・植え替えの際に土中に混ぜる粒剤タイプの薬剤も効果的です。用法・用量を守って使うようにしましょう。

雑草が繁茂していたり、花がらや枯れ葉をそのまま放置したりしていると、病害虫が発生しやすくなります。こまめにメンテナンスをして、株周りを清潔に保ちましょう。また、成長とともに茎葉が茂って風通しが悪くなると、病害虫が発生しやすくなります。適宜枝葉を間引いてスマートな姿を保つことも予防のポイントです。

夏越し・冬越し

ユリオプスデージーの葉

【夏越し】

多湿の環境を嫌うので、鉢栽培の場合は日当たりのよい軒下などに移動して管理するとよいでしょう。地植えの場合は、そのままでかまいません。

【冬越し】

寒さに弱いわけではありませんが、戸外で越冬できるのは関東以南の地域です。真冬に凍結する寒冷地では、地植えにしている場合は、鉢に植え替えて冬越ししましょう。霜などの当たらない、日当たりがよく暖かい場所で管理します。

剪定

ガーデンツール
mihalec/Shutterstock.com

ユリオプスデージーの剪定適期は、5〜6月か9月下旬〜10月です。生育旺盛でよく茂るので、樹形が乱れているようであれば、丈の半分くらいまでを目安に深く切り戻して、すっきりさせましょう。

ユリオプスデージーは草花のように見えますが、実際は樹木なので、数年経つと木らしくなって幹がゴツゴツとしてきます。こうなると花が咲きにくくなるので、挿し木苗を作って、植え替えるのも一案です。

増やし方

種まきトレイ
Montana Isabella/Shutterstock.com

ユリオプスデージーは、挿し木で増やすことが可能です。挿し木の適期は4〜6月か9月下旬〜10月。まず、勢いのある枝葉を約5cmの長さで切り取り、水を張った容器に1時間ほど挿して吸水させておきましょう。市販の草花用培養土を育苗用トレイなどに入れて、吸水させた枝葉(挿し穂)を挿します。摘心したり、切り戻したときの茎葉を使ってもOKです。水切れしないように管理すると、しばらくして発根するので、黒ポットなどに植え替えて育苗しましょう。株が大きくなったら、植えたい場所に定植します。挿し木のメリットは、採取した株のクローンになることです。

ユリオプスデージーの花が咲かない原因とは?

ユリオプスデージーの花
anystock/Shutterstock.com

ユリオプスデージーは、マーガレットに似た黄色い花が魅力です。しかし、まれに「株は大きく育ったのに花があまり咲かない」というケースがあります。その原因としては、根詰まりを起こしていることが考えられます。

ユリオプスデージーは根の生育が旺盛なので、鉢栽培の場合は毎年植え替えて根が張りやすい環境に整えることがポイント。根が回っていたら、古い根を切り取り、ほぐして新しい培養土を使って植え直しましょう。根を整理して小さくした分、地上部も切り戻し、根からの吸水と葉からの蒸散のバランスをとることも大切です。

また、ユリオプスデージーは、多湿を嫌うという性質も把握しておいてください。動物が毎日エサを欲しがるのとは違って、植物は毎日水を与えればいいというものではありません。特にユリオプスデージーは乾燥を好むので、毎日水を与えると多湿になってたちまち弱ってしまいます。鉢栽培の場合は、「表土が白く乾いたら」を目安に、鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと与えるようにしましょう。雨が続く日もあれば、日照りが続くこともあるので、天候状況に応じた水分管理が大切です。

華やかな黄花が魅力のユリオプスデージーを育ててみよう!

ユリオプスデージー
ibrahim kavus/Shutterstock.com

ユリオプスデージーは、枝葉をこんもりと茂らせ、冬から初夏までと開花期間が長いのが魅力です。鮮やかな黄色い花は、冬の庭を明るく彩ってくれるので、1株は欲しくなる人気の植物。ここでは、その特性から育て方まで、幅広くご紹介してきました。ビギナーでも育てやすいユリオプスデージーを、ぜひ庭やベランダに迎え入れてみてはいかがでしょうか。

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