【プロが解説】玄関をパッと華やかに! ハレの日の寄せ植え5実例

寄せ植えはさまざまな花を組み合わせるため、ブーケのように華やかながら、日々植物が生育して姿を変えていくのが大きな魅力です。1鉢で華やかな寄せ植えの作り方を、花のスペシャリスト、エム・アンド・ビー・フローラの難波良憲さんに教えていただく連載「1鉢で華やか! 寄せ植えブーケ」。第2回目は、お客様をお迎えする玄関にぴったりなハレの日の寄せ植えです。
目次
防犯効果も!寄せ植えで玄関を華やかに演出しよう

玄関はその家の印象を決める大事なエリアです。季節の寄せ植えで、いつも明るく美しくしておきたいもの。来客はもちろん、家人にとっても、きれいな風景がいつも目の端に入る暮らしは、心の保養にもなります。それに、玄関が草花で美しく彩られていると、防犯効果があることも国内外のいくつもの実例で示されています。
年末年始は家族だけでなく、親戚・友人の帰郷などお客様も増えるので、美しい玄関でお迎えしましょう。冬の寒さのなかで可愛い花を咲かせてくれるシクラメンを主役にした寄せ植えの実例を5つご紹介します。
「シンメトリー植え」の寄せ植えで格調高い雰囲気を演出

正方形の鉢に対称的(シンメトリー)に植物を配置した寄せ植えです。「シンメトリー植え」は整った印象があり、フォーマルな雰囲気をつくるのに最適。同じ鉢で同じ内容の寄せ植えを2つ作り、門や玄関扉の手前、左右に置くと、格式高い雰囲気を演出できます。
「きれい」のポイントは花の間に挟んだリーフ

植物の配置は、上の図のようになっています。まず、主役となるシクラメンを植えます。シクラメンは3種2株ずつ、中央と4隅に配置します。シクラメンはグリーンのフリルやピンクの八重咲き、ミニサイズなど、それぞれに異なる個性があります。その個性を際立たせるために必須なのが、リーフ類です。

長方形で示した部分はリーフ。花と花の間に挟み込むように入れます。個性的で華やかな花同士が隣り合うと個性が相殺されますが、間にリーフを入れることで、それぞれの花の個性を活かすことができます。仮に、長方形の箇所がすべて花、例えばシクラメンやパンジーだったりすると、個性が渋滞して見所がどこなのか分からなくなってしまいます。

主役を決め、それを引き立たせる脇役をキャスティングするのが、見応えのある寄せ植えのコツ。ブーケを作るときにも、お花屋さんは花だけでなく葉っぱを入れますね。寄せ植えのリーフ類もそれと同じで、リーフはいわば主役の花を引き立てる名バイプレイヤー。リーフ使いが上手になれば、寄せ植えの名手になれます。
ハードとソフトの融合

リーフといっても緑色だけではありません。発光するようなライムイエローやパープル、キャラメル色、シルバー、斑入りなど、「カラーリーフ」「オーナメンタルリーフ」と呼ばれる魅力的なリーフ類が膨大にあります。その代表的なものが、アイビー。アイビーはつる性で、茎が長く伸びる性質があります。その性質を生かして鉢の縁に配置すると、直線的な鉢(ハード)のラインを隠して、有機的なラインの植物(ソフト)を融合し、寄せ植えの完成度を格段に上げてくれます。ここではアイビー‘白雪姫’を鉢縁に配置しています。アイビーはまるで白と緑の2種類が入っているように見えますが、‘白雪姫’は株元が緑で葉先が斑入りになる品種。気温が低くなると、葉色が白っぽいクリーム色になります。


「アシンメトリー植え」の寄せ植えで躍動感を演出

対称に対し、非対称(アシンメトリー)の寄せ植えは、ある一点を際立たせて躍動感のある雰囲気を演出できます。ここではワインレッドのシクラメンの存在感が際立ちます。シクラメンの色に合わせて、ビオラ、ハボタン、セイヨウイワナンテンを。クリーム色の鉢に合わせて、ネメシア、アイビー、斑入りのへーべをセレクトしています。紫と黄色は補色の関係で相性がよいため、その色の延長線上にあるワインレッドとクリーム色も好相性。色テーマは一鉢に2〜3色くらいにすると組み合わせもしやすいです。
立てかけても使えるDIY「ラインフラワープランター」

このプランターはDIYで作ったものです。フラワーアレンジメントで、テーブルセンターのようにライン状に花を装飾する方法がありますよね。それから発想を得て、寄せ植えプランターバージョンを作ってみました。名付けて「ラインフラワープランター」。地面から咲いているような自然な雰囲気で、いつもとは違う表情が楽しめます。デッキなどに置くと、身近で花が眺められますよ。


4列の板材のうち、1列を植栽升としてあけ、そこに土を入れるスペースとしてシートのままの鉢底網をコの字状にはめ込んでいます。板材には屋外木材用の防腐剤を塗って仕上げているので、通常通りに水やりができます。

立てかけると板が額縁のような効果を発揮し、花を際立たせて見せてくれます。中央にシクラメンを配置し、リーフ類を加えてほぼシンメトリーに植えています。赤い実のチェッカーベリーもアクセントに。

立てかけたときに土がこぼれないように、植栽後は土表面に水苔をギュッと詰めています。
ご覧いただいたように、同じシクラメンを主役にしても、シンメトリーで植えるか、アシンメトリーにするか、また植え込む鉢によっても雰囲気の異なる寄せ植えが作れます。ぜひ、リーフ類を上手に使って、冬の寄せ植えを楽しんでみてくださいね。
協力/株式会社エム・アンド・ビー・フローラ
Credit
寄せ植え制作&アドバイス / 難波良憲

八ヶ岳にある種苗メーカー「エム・アンド・ビー・フローラ」に勤務。膨大な植物の知識を生かし、花の個性を生かしたブーケのように華やかな寄せ植えが好評。同社のショップ(現在はクローズ)での店長を担当しつつ、寄せ植え教室を開催。現在は、同社インスタグラムを通じて、季節毎の華やかな寄せ植えの紹介や、水やりなどガーデニングの基本知識や様々なお役立ち情報の発信を行っている。気になる方はぜひアカウントを覗いてみてください。
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取材&文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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