亀甲竜、オトンナ、チレコドンなど、冬に成長期を迎える「冬型塊根(コーデックス)」の魅力を徹底紹介! 人気の代表種から育て方、管理のコツまで、多肉植物専門家の関さんがプロの視点で解説します。この冬、とっておきの1株に出会えるかも。
目次
冬型塊根とは?|夏に眠り、冬に目覚める不思議な植物たち

昨今、園芸マニアを熱狂の渦に巻き込んでいる多肉植物。
その中でも、イカついボディが魅力の塊根植物(コーデックス)が特に注目を浴びています。
今回は、寒い冬に彩りを添える冬型塊根植物(以下冬型塊根)について、お馴染み世田谷区・九品仏で多肉・観葉植物専門店「gadintzkiplants (ガディンツキー・プランツ)」を営む園芸家・関ヨシカズさん(以下関さん)に解説してもらいました。

冬型塊根(コーデックス)の特徴と生態

冬型塊根の多くは、南アフリカやナミビアなどの乾燥地帯を原産としています。
“冬型”とは、原産地の冬が成長期であるという意味で、日本の冬に強いということではありません。
代表的な種類にはペラルゴニウム、オトンナ、チレコドンなどがあり、どれも地中や地表近くに塊根(かいこん)と呼ばれる貯蔵器官を持ち、その中に水分や養分を蓄えて生きています。

気温が下がり空気が乾燥するこの時期に新芽を伸ばし、多種多様な葉を広げたり、可愛らしい花を咲かせたりと、静かな季節にこそ存在感を放ちます。
活動期は冬から春にかけてで、気温が上がり始めると次第に葉を落とし、塊根だけを残して休眠に入ります。
このように、「寒い時期に育ち、暑い時期に眠る」という逆転したサイクルが、冬型塊根の最大の特徴です。
夏型との違いを知ろう

塊根植物には、主に「夏型」と「冬型」の2タイプがあります。
名前のとおり、夏型は夏に成長し、冬に休眠します。対して、冬型は冬に成長し、夏に休眠するのが大きな違いです。
夏型塊根(例:パキポディウム、アデニウム、アデニアなど)は、マダガスカルなどの熱帯・亜熱帯の乾燥地帯を原産とし、強い日差しと高温を好みます。
気温の高い時期に枝葉を一気に伸ばし、秋以降に気温が下がると休眠に入ります。
一方、冬型塊根(例:オトンナ、チレコドン、ペラルゴニウムなど)は、南アフリカなどの「冬に雨が降る地域」に適応したタイプ。
これらの植物は、日本では気温の低い冬から春にかけて成長期を迎え、夏の高温期には葉を落として休眠します。
つまり、原産地の気候によって生活リズムが正反対となるわけです。

見た目にも違いがあり、夏型は塊根が太く力強い印象なのに対し、冬型は造形的なものが多いのが特徴。
また、栽培環境も異なり、夏型は屋外での強光と高温下での管理、冬型は暖かい室内でのLED管理が基本となります。
原産地と気候から見る“冬に育つ理由”
冬型塊根が冬に成長する理由は、原産地の気候と密接に関係しています。
まずは、原産地である南アフリカ周辺の地理的な位置を確認してみましょう。

上の衛生写真はアフリカ大陸南部を拡大したものですが、矢印で示した赤く塗ったエリアが冬型塊根の主な原産地です。
同じ縮尺で日本列島を重ねてみると、この地域がいかに広大であるかが分かります。
また、この辺りは南緯30度前後に位置しており、気候帯としてはオーストラリア西部のパース周辺と同じ緯度帯に属します。
さらに衛生写真右端には夏型塊根の原産地であるマダガスカルがあり、南アフリカ、日本、マダガスカルのサイズ感を比べることで、それぞれがまったく異なる気候環境にあり、植物の成長時期が大きく違うことが視覚的にも理解できます。
冬型塊根植物の故郷であるこの赤いエリア、南アフリカのケープ地方やナミビア南部は、独特の「冬雨型気候」に属します。
ここでは冬に雨が降り、夏は乾季のため極端に乾燥するという、日本(特に太平洋側)とはまったく逆の季節パターンとなっています。

冬の日中は暑く夜間は冷え込み、降水が適度にありつつ、強い日差しにも恵まれるという、日本とは異なる冬の環境が続きます。
しかし、これこそが冬型塊根にとって理想的な生育条件であり、この気候に適応する過程で特徴的な塊根の姿へと進化してきたのです。
一方で夏は風も強く、降水量も激減するため、植物たちは葉を落とし、塊根に貯えた水分と栄養だけで耐える休眠モードに入ります。これが、冬型塊根植物が持つ“生きるための戦略”です。

Photo courtesy of Dennis Van-Hettenn/Botanisch Onderzoeksinstituut Leiden
つまり彼らにとっての冬は“生きるための活動期”であり、夏は“命を守るための静寂の時間”なのです。
日本では季節が真逆になるため、日本の冬=原産地の雨季という関係になります。
そのため、日本でも冬から春にかけて活発に成長し、夏は自然に葉を落として休眠するわけです。
では、実際にどんな種類がこの“冬成長サイクル”を持っているのでしょうか。ここからは、個性豊かで魅力あふれる代表的な冬型塊根たちを紹介していきます。
冬型塊根の代表的園芸品種10種を紹介|造形美と個性が際立つ名作たち
⚠️:ボタンのある項目は、クリックするとポップアップ画面が開きます。
ディオスコレア属/Dioscorea
エレファンティペス/Elephantipes

🏛️【学名】: Dioscorea elephantipes (L’Hér.) Engl.
🌏【通称/和名】:Elephant’s foot yam(象の足のヤム芋)/亀甲竜
🪴【特徴】 : 南アフリカ北東部〜モザンビーク原産。亀の甲羅のような巨大な塊根と、冬に伸びるツルとハート形の葉が強い印象を残す冬型塊根の代表種。
💪🏻【栽培難易度】:★★☆☆☆
冬型塊根としては比較的容易に育てられますが、夏の管理を誤ると以降の成長に影響します。
特に日本の夏の強い直射日光を塊根部に当てると焼けてしまい、それが原因で枯れる恐れがあるため注意が必要です。
🤑【市場価格帯】:2,000〜50,000円(個体の大きさや状態により変動)
大きなものは見た目もかなりスパルタンで、価格も10万円くらいするものもありますが、gadintzkiplantsによると3.5寸くらいの手乗りサイズ(7,480円)が価格的にも人気。
オトンナ属/Othonna
ヘレー/ herrei Pillans

🏛️【学名】: Othonna herrei Pillans
🌏【通称/和名】:Richtersveld Othonna(リヒターズフェルトのオトンナ)/蛮鬼塔
🪴【特徴】:南アフリカ・リヒターズフェルト山脈原産。鬼の顔のような奇怪な塊根から放射状に多肉質の葉を広げ、秋には小さな黄色い花を咲かせる人気種。
💪🏻【栽培難易度】:★☆☆☆☆
塊根植物初心者にもおすすめの育てやすさ。
🤑【市場価格帯】:2,000〜20,000円(個体の大きさや状態により変動)
オトンナ属としては最も手に入れやすい。
ユーフォルビオイデス/Euphorbioides

🏛️【学名】:Othonna euphorbioides Hutch.
🌏【通称/和名】:spiny othonna(トゲトゲオトンナ)/黒鬼城
🪴【特徴】:南アフリカ北ケープ州原産。生姜のように剥ける塊根からトゲと多肉質の葉を伸ばし、黄色い小花を咲かせる独特な姿が印象的。
💪🏻【栽培難易度】:★★☆☆☆ 塊根植物初心者にもおすすめの育てやすさ
🤑【市場価格帯】:2,000〜30,000円(個体の大きさや状態により変動)
チレコドン属/Tylecodon
レティキュラーツス/Reticulatus

🏛️【学名】: Tylecodon reticulatus (L.f.) Toelken
🌏【通称/和名】:Butterbush/万物想
🪴【特徴】:南アフリカ〜ナミビア原産。剥けた塊根と、花後に残る網目状の花柄が絡み合う独特のフォルムで、冬型塊根を象徴する存在。
💪🏻【栽培難易度】:★★★☆☆
やや中級者向け
🤑【市場価格帯】:10,000〜50,000円(個体の状態により変動)
ペアルソニー/Pearsonii

🏛️【学名】: Tylecodon pearsonii (Schönland) Toelken
🌏【通称/和名】:白象
🪴【特徴】:南アフリカ〜南西ナミビア原産。低重心でどっしりとした塊根と、落葉後に際立つ無骨な造形美が魅力のチレコドン。
💪🏻【栽培難易度】:★★★☆☆
レティキュラーツスよりは難易度が高いため経験者向け。決して難物というわけではないが、レティキュラーツスで慣らしてからがおすすめ。
🤑【市場価格帯】:6,000〜60,000円(個体の大きさや状態により変動)
ペラルゴニウム属/Pelargonium
トリステ/Triste

🏛️【学名】: Pelargonium triste (L.) L’Hér
ちなみに、「ペラルゴニウム」を検索すると、フウロソウ科の一般的な花が多くヒットします。
その中で、太い根(塊根)を持つタイプが、本種をはじめとする“塊根性ペラルゴニウム”と呼ばれるグループです。
🌏【通称/和名】:Night-scented Pelargonium
🪴【特徴】:南アフリカ・ケープ地方原産。古木のようなコルク質の塊根と銀白色の葉、夜に甘く香る可憐な花を併せ持つ名品。
💪🏻【栽培難易度】:★★★☆☆
経験者向け。決して難物というわけではないが、オトンナなどで経験を積んでからがおすすめ。
🤑【市場価格帯】:10,000〜50,000円(個体の大きさや状態により変動)
ミラビレ/Mirabile

🏛️【学名】: Pelargonium mirabile Dinter
🌏【通称/和名】:Admirable Stork’s-bill(イケてるコウノトリのくちばし)
🪴【特徴】:南アフリカ・ナミブ砂漠地域原産。サンゴのように分岐する硬質な枝を広げ、小さな葉と可憐な花を添える独特の樹形が魅力。
💪🏻【栽培難易度】:★★★☆☆
🤑【市場価格帯】:8,000〜50,000円(個体の大きさや状態により変動)
流通しているものの多くは現地球で、上の写真のようなものだと数万円。
数千円で流通しているものの多くは、下の写真のような、現地球の大株から輸送途中で枝折れしたものを挿し木し発根させたもの。
モンソニア属/Monsonia
ムルチフィダ/Multifida

🏛️【学名】: Sarcocaulon multifidum E.Mey. ex R.Knuth
🌏【通称/和名】:月界
🪴【特徴】:南アフリカ〜南西ナミビア原産。横に広がる低木状の樹形と銀白色の裂け葉、淡いピンクの花が盆栽的な趣を感じさせる小型塊根。
💪🏻【栽培難易度】:★★★☆☆
経験者向け。決して難物というわけではないが、オトンナなどで経験を積んでからのほうがおすすめ。
🤑【市場価格帯】:10,000〜40,000円(個体の大きさや状態により変動)
パキポディウム属/Pachypodium
ナマクアナム/Namaquanum(光堂)

🏛️【学名】: Pachypodium namaquanum (Wyley ex Harv.) Welw.
🌏【通称/和名】:Elephant’s Trunk(象のトランク)、Halfmens(半人間)/光堂(“こうどう”、または、”ひかりどう”)
🪴【特徴】:南アフリカ〜南西ナミビア原産。巨大に肥大する幹と神々しいボトル型の樹形を持ち、原産地では「Halfmens(半人間)」の名でも知られる異色のパキポディウム。
💪🏻【栽培難易度】:★★★★★
昨今の日本の気候ではかなり繊細な管理が求められる。
塊根上級の手腕を以てしても、夏に上部から腐敗させる例が多く、かなりの難物。
関さん曰く「栽培方法の答えが見つかっていない植物。ゆえに最もチャレンジし甲斐がある。」
🤑【市場価格帯】:9,000〜50,000円(個体の大きさや状態により変動)
ケラリア属/Ceraria
ピグマエア/Pygmaea

🏛️【学名】: Ceraria pygmaea (Pillans) G.D.Rowley
🌏【通称/和名】:Portulacaria pygmaea(旧分類の名称), Pygmy Porkbush
🪴【特徴】:南部アフリカ原産。異形の塊根と可憐な葉が同居する、静かで神秘的な存在感を放つ小型塊根。
💪🏻【栽培難易度】:★★★☆☆
見た目に反して育てやすいが、とても日光を好むため、成長期は直射日光、あるいは近距離でのLED照射を推奨。
🤑【市場価格帯】:15,000〜40,000円(個体の大きさや状態により変動)
流通しているのはほぼ現地球。塊根部が丸みを帯びるほど高価になる傾向がある。
関さんおすすめ!ガディンツキープランツの冬型塊根セレクション
⚠️掲載商品は取材当時のものです。在庫は直接店舗にDMにてお問い合わせください。
ディオスコレア・エレファンティペス(亀甲竜)

扱いやすいサイズ感ながら、亀甲模様の隆起が非常に美しく、まさに“THE 亀甲竜”と呼びたくなる端正な一株です。
手に収まるコンパクトさも魅力で、環境が整えば将来的にはぐっと風格のある美株へと育っていく高い可能性を秘めています。
ペラルゴニウム・トリステ

コンパクトサイズながら、塊根の膨らみとフォルムのバランスが非常によい一株です。
トリステは極度に成長速度が遅いため、購入時の株選びが重要とされますが、その点においてもこの株は初めて挑戦する方にとって理想的なスタートになるでしょう。
ペラルゴニウム・ロバツム

このロバツムは、塊根部がきれいな卵形にまとまった美しい株です。
そこから伸びるロバツム特有の大きめの葉も愛らしさを引き立てています。
美形株を探している方にも自信をもっておすすめできる、バランスのよいロバツムです。
チレコドン・レティキュラーツス(万物想)

今年入った万物想の中でも特にフォルムが整った一株を選びました。
詰まり気味に展開する分枝や、しっかりと残る太めの花柄が存在感を際立たせています。メリハリのあるシルエットで、良型の万物想を探している方にはぜひ手に取っていただきたい株です。
オトンナ・へレー

冬型塊根の中で特に育てやすいことで知られるへレーの中でも、本株は幹にしっかりと厚みがあり、どっしりとした安定感が魅力です。
花付きもよく、開花期には交配親としてもGoodなパフォーマンスを見せてくれます。
初めての冬型塊根にもおすすめできる、扱いやすさと存在感を兼ね備えた一株です。
オトンナ・ユーフォルビオイデス

冬型オトンナの入門株として人気の高いユーフォルビオイデスですが、その中でもこの株は全体のバランスがよく、まとまりのあるシルエットが魅力です。
花柄(トゲ)の付き方もしっかりしており、見応えのある姿に仕上がっています。
初めて冬型を育てる方にも安心しておすすめできる一株です。
オトンナ・カカリオイデス

当店でも冬型塊根の中で特に人気の高いカカリオイデスは、その愛らしい姿から女性のファンも多い種類です。
この株は手に取りやすい価格帯で、初めての冬型にもぴったり。
コンパクトながら存在感があり、冬の棚にちょっとした彩りと癒やしを添えてくれる1株です。
オトンナレ・レトロルサ

レトロルサは当店でも人気の高い種類で、もさもさとした白い綿毛が雪をまとったように見える、この季節ならではの魅力があります。
この綿毛は古くなった葉が変化したものですが、株全体の雰囲気を柔らかくしてくれる存在です。
ほどなく可愛らしい葉が展開するので、クリスマスオーナメントと並べて飾ると冬の棚が一気に華やぐ楽しいアクセントになります。
ケラリア・ピグマエア

今年入荷したピグマエアは全体のまとまりがよく、中でもこの株は珍しいまん丸のフォルムが魅力的です。
葉に隠れていますが枝ぶりも整っていて、探している方にはぜひ手に取っていただきたい仕上がりです。
良型のケラピグをお探しの方に、一見の価値がある1株です。
モンソニア・ムルチフィダ


花が美しいM.ムルチフィダは、毎年「今年は入らないの?」というお問い合わせを多くいただく人気種です。
取材当時は葉が成長途中でしたが、現在はモシャモシャとパセリのような葉が茂っており、幹のフォルムも非常によいため、全体としてかなり美しい樹形に仕上がっています。
関さんが語る「冬型塊根を育てる楽しみと奥深さ」

冬型塊根の魅力は、園芸的に物寂しくなりがちな冬の時期に、独創的な姿を見せてくれたり、時にはその外観からは想像もつかないような可憐な花を咲かせたりと、一般的な草花とはまったく異なる世界観を楽しめる点にあります。
さらにLEDライトを用いた完全室内栽培が可能で、環境を管理しやすい分、むしろ初心者にとっては育てやすいのも嬉しいポイントです。
塊根植物としては、比較的花が咲きやすい品種が多いため、交配にも向いています。
同一品種が複数株あれば、交配を行い、自分が生み出した実生株を育てる楽しみも広がります。
「見てよし、育ててよし、増やしてよし」と3拍子が揃った冬型塊根は、塊根植物ビギナーにこそ楽しんでいただきたい世界です。
冬型塊根の育て方|水やり・日照・温湿度管理のポイント
日照(成長期の管理)

冬型塊根植物を育てるうえで、最も重要なポイントとなるのが☀️日照です。
夏型は多くの品種が屋外放置でも問題なく成長しますが、冬型はそうはいきません。
日中に日差しがあっても、夜間にそのまま屋外へ置いておくと低温で枯死するリスクがあります。
冬型塊根の多くは日光を好むため、理想的な管理方法は、日中に3〜4時間ほど直射日光と自然の風に当て、夕方までに屋内へ取り込み、18時頃までLEDを照射し、その後消灯するというリズムです。
ただ、これは生活スタイル的に実行が難しい方も多いので、基本はLED下で管理し、晴天の日中で時間があるときだけ直射日光に当てるという栽培方法でも十分です。

風(成長期の管理)

植物が健康に成長するためには、風による適度な空気循環が欠かせません。
自然界では常に風が吹いているため問題ありませんが、室内管理の場合は、サーキュレーターを使って同じ環境を人工的に作ってあげる必要があります。
サーキュレーターは株に直接風を当てるのではなく、室内全体の空気をゆるやかに循環させる目的で運用します。

空気が停滞すると、蒸れやカビ、病害のリスクが高まるため、軽く空気が動いている状態を作るだけでも十分に効果があります。
温湿度管理(成長期の管理)

🌡️【温度管理】
冬型塊根は夜間に気孔を開いてCO₂を取り込み、日中に光合成へ利用する CAM型光合成を行う植物です。
この代謝が正常に働くには、☀️光量・🌡️温度・💧湿度の3要素が揃うことが必須です。
特に🌡️温度は代謝の鍵を握っており、
・10℃を大きく下回る環境が長時間続く
・急激な冷え込みが繰り返される
といった状況では、夜間の代謝がうまく作動せず、体内でのエネルギー処理が滞ります。
それにより、根の吸収力低下や葉のダメージ、成長の停滞などが起きやすくなります。
そのため冬型塊根植物は、基本的に5℃以下の環境に長く晒さないことが重要です。
冬でも晴れた日は日中の気温が18℃くらいまで上がることがあるので、そんな時は迷わず屋外に出して、直射日光 × 十分な温度 × 自然の空気という、“冬型が最も喜ぶ条件” を与えてあげましょう。
💧【湿度管理】
代謝のリズムを支えるため、適切な湿度も大切です。
湿度が高すぎると根への酸素供給が妨げられ、逆に乾燥しすぎると夜間に気孔を開くCAM植物特有の活動に負荷がかかります。
室内管理では、湿度40〜50%程度を目安に、乾きすぎず蒸れすぎない環境を意識すると、日中・夜間の代謝が安定しやすく、株もストレスを受けにくくなります。
水やり(成長期の管理)

成長期である秋(10月下旬)〜翌春(4月上旬)までは、用土表面が乾いたタイミングで、鉢底穴から勢いよく水が流れ出るまでしっかりと与えます。
この“勢いよく流れる”ことがとても重要で、底穴から水が抜ける際に根の代謝で生じた有機酸などの老廃物を洗い流す「リーチング効果」が期待でき、鉢内環境を清潔に保ち、根腐れの防止にもつながります。
用土の乾き具合は、慣れれば目視や触った感覚で判断できるようになりますが、初心者の方は鉢の縁に竹串を挿し、30秒ほど置いてから抜いたときの土の付着具合で状態を判断すると失敗しにくいでしょう。
湿った土がしっかり付いていれば水やりはまだ不要で、乾いた土がうっすら付く程度であれば水を与えるタイミングです。

4月中旬を過ぎた頃からは株の様子をこまめに観察し、落葉が目立ち始めたら徐々に水やりの間隔を空けて、夏季休眠へと誘導します。
ただし、休眠に入るタイミングは環境や個体によって差があります。
さらに近年は異常気象の影響もあるため、季節の変わり目は気温と株の状態をしっかり観察しながら水やりの量と頻度を調整することが大切です。
施肥(成長期の管理)

冬型塊根には、『微粉ハイポネックス』を薄めて使う方法がおすすめです。
微粉タイプは液体タイプと比べてカリ(K)の含有量が非常に高く、株をしっかり締めながら健康的に育てるのに向いています。
カリは細胞を強くし、幹や塊根が締まって太りやすくなるほか、徒長を抑え、根のストレス耐性を高める働きがあります。
そのため、形を崩さずに育てたい冬型塊根との相性は抜群です。
微粉はわずかな量で十分に効くため、溶かす量は、市販の500mlペットボトルに対して、ハイポネックス微粉を0.2g(約0.2ml)ほど。
これで塊根系にとって安全な2500倍の希釈濃度になります。
これは0.1ccの計量スプーンだとすり切り2杯。写真にある商品に付属の緑色の計量スプーンを使用する場合は、小さい1g計量のほうで、かさ高3mmくらいです。
これを成長期に月1〜2回ほどあげるとよいでしょう。
休眠期(夏)の管理(断水のコツ)
休眠期である7〜9月は基本的に断水で管理しますが、完全断水すると細根が枯れ、秋の立ち上がりが遅れて冬にずれ込む場合があります。
さらに、根が乾燥しすぎることで根ジラミが発生し、最悪は枯死に至ることもあります。
これを避けるために、休眠中も月に1回は用土表面が軽く湿る程度の水を与えておくと安心です。

の大きさによって調整するとよい。塊根にはできるだけかからないように。
休眠中の管理場所は、直射日光を避けた室内の涼しい環境が基本。
暑さで株が傷むリスクが高いため、真夏はLEDのみで十分です。
ちなみに最もストレスが少ない環境は以下のとおりです。
- 室温:22〜28℃
- 湿度:40〜60%
- 弱い空気循環(サーキュレーターで室内の空気が緩やかに動く程度)
冬型塊根にとって近年の日本の夏は原産地よりも過酷といわれます。
真夏の直射日光下では、組織のタンパク質変性が起こり、根が完全に活動をストップし、一気に枯死する危険さえあります。
このため、株の防御力の弱まる休眠中は、屋内で丁寧に“眠っている我が子”を見守るように管理するのがベストですこうして夏を無事乗り切ったら、10月に入った頃に徐々に芽吹きはじめるので、緩やかなペースで灌水量を増やしていきます。

“かりんとう”みたいな物体から、産毛をまとったミントグリーンの可愛らしい葉が次々に展開されていく様子には心底感動させられる🥹。
よくあるトラブルと対処法
葉が急に落ちる(落葉)
冬型塊根は休眠前後に自然と葉を落としますが、秋〜冬のオンシーズン中に、温度低下(特に10℃以下)や光量不足、過湿が原因で落葉する場合もあります。
初春〜初夏の時期で、ほかに異常がなく落葉した場合は休眠と判断して問題ありませんが、それ以外で落葉が著しい場合は、用土が濡れているならしっかり乾かし、気温は15〜20℃を保つようにします。
秋〜冬はLED補光で光量を確保し、夜間の冷え込みに注意しながら水やりの頻度も控えめにしましょう。
塊根(幹)がシワシワになる
休眠中の水分不足や、断水しすぎによって細根が枯れると、塊根が“シワ寄り”することがあります。
前述したように、休眠期でも完全断水は避け、月1回は表面が湿る程度で軽く水を与えると回復しやすくなります。
夏は高温で細根が傷むこともあるため、真夏は涼しい室内(23〜28℃)で管理し、乾燥のしすぎも避けるようにしましょう。
塊根(幹)が黒く変色する/柔らかくなる
過湿や低温下での水分滞留が原因で根腐れが起きると、塊根が黒くなったり柔らかくなる症状が出ます。
また、真夏の高温によるタンパク質変性や病原菌がこの原因になることもあります。
軽度なら黒い部分を削って、『STダコニール1000』など殺菌剤を用いて殺菌し、根腐れが疑わしい場合は抜き上げて傷んだ根を除去し、乾燥させてから植え直します。
冬の“濡れた用土&10℃以下”や、夏の“直射日光”はガチで避けましょう。
夏にぐったりする(夏バテ・高温障害)
冬型塊根は高温に極端に弱く、真夏の直射日光下では鉢内温度が40〜50℃に達して瞬時にダメージを受けることがあります。
ぐったりとしているようであれば、すぐに涼しい場所(23〜28℃)に移し、用土が濡れていれば完全に乾かします。
葉が焼けても塊根さえ硬ければ、復活する可能性は十分にあります。6〜10月は基本的に直射日光を避け、LEDライトのみで管理し、前述のように月1回の軽い水やりで細根を維持するとよいでしょう。
冬型塊根を楽しむ人たち|SNSから広がり、暮らしへと根付く育成スタイル
ここでは、SNSをきっかけに出会った俳優・岩男海史さんと、筆者の身近な地域でオリジナルジュエリーショップを営む久我雅俊さんという、異なるフィールドに身を置きながらも冬型塊根に魅せられたお二人をご紹介します。
岩男海史 Love’s ケラリア・ピグマエア

まずご紹介するのは、俳優の岩男海史さん。
2022年の「鎌倉殿の13人」(平知盛役)と、現在放送中の「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」(仙太役)と、NHK大河ドラマの話題作に出演されている今注目の若手俳優でもあり、自ら「MONSTROUSA」という服飾ブランドも手がけるなど、マルチな才能を発揮しています。
写真は、岩男さんが念願だったケラリア・ピグマエアを大阪で迎え入れた時のもの。
長い間、さまざまなショップでチェックしながら、ようやく巡り会えた株なのだとか。
極太の塊根、バランスよく伸びる枝ぶり、そして株全体に密に茂る多肉質の葉。
その姿は、まるで「岩男さんの子になれてうれしい!」と語りかけているようにも感じられます。植物との出会いを喜びとともに語る岩男さんの言葉から、ピグマエアへの強い愛情が伝わってきます。
久我雅俊 Love’s 亀甲竜

次に紹介するのは久我雅俊さん。世田谷公園近くでジュエリーブランド「GAJU」を展開するオーナーデザイナー。
三宿通り沿いにある工房兼ショップは、入口に多肉や観葉植物が溢れているのは近隣でも有名な話。
看板がなければ園芸店と見間違えるほどの“プランツアトリエ”となっています。
ジュエリーデザイナーであると同時に、久我さんがビザールプランツという底なし沼の住人であることが、写真の中の満面の笑みからも伺えます。
そんな久我さんが唯一大切に育てている冬型塊根が、手にされている亀甲竜。
塊根の亀甲模様(凹凸)がとても美しく、造形としての完成度が高い一株を大事にされています。
日頃から“形”や“質感”を扱うジュエリー制作に携わる久我さんが亀甲竜に魅了されるのも、どこか必然のように感じられます。
GAJUへのアクセス
まとめ|冬にこそ出会いたい、塊根植物の静かな生命力
冬型塊根植物は、気温が下がる季節にそっと動き始め、静かに力を蓄えながら成長していきます。
冬の棚に並ぶ彼らを眺めていると、落ち着いた“癒やし”の時間が流れ、翌朝ふと芽が伸びているだけで心が“ワクワク”するような、小さな喜びが積み重なっていきます。
趣深い姿がゆっくりと変化していく時間に寄り添うことで、冬ならではの魅力を深く味わうことができます。
さらに、塊根植物の中には、原産地の野生個体が絶滅危惧種に指定され、国際的に取引が禁止・規制されているものも多く存在します。
そのため、国内で合法的に流通している園芸用の種苗を大切に育てていくことは、貴重な植物を次世代につなぐ大切な行為でもあります。
冬の成長期をゆったり見守りながら、“癒やし”と“ワクワク”を感じられる日々を、この小さな命とともに楽しんでいきたいものです。
(L’Hér.) Engl.は、1789年にこの種を初めて発表・記載したフランスの植物学者Charles Louis L’Héritier de Brutelleと、1908年に記載を改訂したドイツの植物学者Adolf Englerに由来。
冬型塊根のアイコン的存在、ディオスコレア・エレファンティペスは、日本では「亀甲竜」という名でお馴染みです。
巨大でゴツゴツとした塊根が特徴で、まるで亀の甲羅のような模様をしていることから、日本ではこの名が付けられました。
海外では、この塊根が“象の足”に見えるとされ、Elephant’s foot や elephant’s foot yam(象の足のヤム芋)と呼ばれます。
学名の elephantipes もラテン語で「象の足」を意味しています。
確かに象の足にも見えますが、亀の方が私たち日本人にはめでたい印象がありますよね。
塊根には水分と養分がたっぷり蓄えられており、冬になると成長点から芽を伸ばします。
その芽はやがてツル状に伸び、ところどころに可愛らしいハート型の葉を広げます。
このハート型の葉は、下の写真のように塊根径3cmにも満たない幼苗でもあらわれるため、小さな株でも可愛らしさを堪能できるのも魅力です。
そしてこの長く伸びたツルをどのように仕立てるかも、亀甲竜を楽しむ醍醐味のひとつ。
SNS映えも抜群で、Instagramでは多くの方が独自の仕立てを披露しています。
大きく育つと存在感も増し、インテリアグリーンとしても、コレクションとしても人気です。
原産地は南アフリカ北東部のリムポポ州やエスワティニ周辺、モザンビークの乾燥地帯。
これらの地域は冬雨型気候であるため、亀甲竜はこの環境に適応して進化してきました。
意外にも現地では、塊根部が地中に埋まっている個体が多いといわれています。
Pillansは、この品種を1934年に初めて発表・記載した南アフリカの植物学者Neville Stuart Pillansに由来。
オトンナ・ヘレーは南アフリカ、リヒターズフェルト山脈原産の冬型塊根植物です。
属名の「Othonna」はギリシャ語で「小さなもの」を意味し、種小名の「herrei」は発見者であるヘンリー・ヘア氏に由来します。
和名「蛮鬼塔(ばんきとう)」は、塊根のゴツゴツとした形状が鬼の顔や塔のように見えることから名付けられたと考えられています。
この奇怪な塊根から放射状に伸びるヘラ状で多肉質の葉は、触ってみるとスベスベとした感触で、グレーグリーンの色彩もとても綺麗。
また秋〜晩秋にかけて小さな黄色い花を咲かせます。
花序は、上の写真ようなカピトゥラ(capitula)と呼ばれる形状をしており、これは多数の小さな花が短い軸の先端に密集していて、一つの花に見えるような構造を指します。
成長とともに塊根や葉の姿が奇怪に変化する様子は観賞価値が高く、でも可憐な花を咲かせるという、このギャップ萌えにやみつきになる方が多く、とても人気の品種です。
オトンナ属の多くがそうですが、開花のタイミングさえ合えば交配もしやすいので、増やす楽しみも味わえます。
Hutchはこの品種を1917年に初めて発表・記載した英国の植物学者John Hutchinsonに由来。
オトンナ・ユーフォルビオイデスは、南アフリカ北ケープ州原産で、乾燥した花崗岩で形成された岩場に自生しており、太く膨らんだ塊根は成長と共に表皮が剥け、どこか生姜にも似た独特の姿をしています。
最も特徴的なのは、その塊根から伸びるトゲと葉と、小さく黄色い花のコンビネーション。
トゲは花後の花柄が残ったもので、ユーフォルビアの一部の品種(バリダやステリスピナ)がこのような特性があるため、ユーフォルビオイデス(ユーフォルビアみたいな、の意味)の名の由来の一つとして考えられています。
放射状に伸びるヘラ状で多肉質の葉も可愛らしく、その間を縫うようにカピトゥラ状の黄色い花を咲かせる様子は、まるで鬼が花を携えているよう。
ゆえに、黒鬼城なんて和名が付いたのでしょうね。
※(L.f.) Toelkenは、1782年にスウェーデンの植物学者リンネ(息子の方)が最初のこの種を発表・記載し、1978年にTylecodon 属を設立した南アフリカの植物分類学者Helmut R. ToelkenによってTylecodon属へ再分類されたことを意味しています。
チレコドン・レティキュラーツスは、南アフリカからナミビアの乾燥地帯に自生する冬型の塊根植物で、独特なフォルムに魅了されるファンが多い“冬型塊根の代表的存在”です。
表皮がところどころ剥けた力強い塊根から複数の枝が伸び、枝先には青緑色で厚みのある多肉質の葉が密生します。
秋から冬にかけては、小さなベルのような花を咲かせ、その後に残る枝分かれしたトゲ状の花柄が複雑に絡み合い、独特の網目模様を作り出します。
学名はこの網目模様(=reticulata)に由来したラテン語です。
こうして残った網目状の花柄こそチレコドンのトレードマークともいえる特徴で、網目の密度が高く、なおかつ枝が短く全体的に締まった姿のものは「良型」とされ、高値で取引されます。
価格はさておき、この摩訶不思議なフォルムは、いつまで眺めていたくなります。
和名の「万物想」とは、よく名付けたものです。
Photo by Valentino Vallicelli/llifle.com
(Schönland) Toelkenは、1730年に南アフリカの植物学者Selmar Schönlandが最初のこの種を発表・記載し、1978年にTylecodon 属を設立した南アフリカの植物分類学者Helmut R. ToelkenによってTylecodon属へ再分類されたことを意味しています。
Pearsoniiという種名は南アフリカの植物分類学に貢献したピアソン(HW.Pearson)氏に由来。
チレコドン・ペアルソニーは、南アフリカのノーザンケープ州やウエスタンケープ州、そして南西ナミビアの乾燥地帯に分布しています。
標高300〜1100mほどの岩場や砂礫地に自生しています。
地際には肥大した塊根を持ち、同種のレティキュラーツスよりはどっしりと低重心な印象で、同様に成長はとてもゆるやかです。
野生種は最大のものとなると地上部は高さ30cm、塊根直径は12cm前後まで肥大しますが、園芸品種として流通しているものは、塊根の直径が3〜4cm、枝幅が10cm程度のものが主流。
細長い多肉質の葉はレティキュラーツスよりも明るい灰緑色で、落葉後に淡いクリーム色の花を咲かせますが、レティキュラーツスのように花柄は残りません。
ゆえに、”さっぱりとしたレティキュラーツス”、という印象ですが、夏の落葉後の花崗岩のような無骨な造形美こそがペアルソニーの醍醐味であり、愛好家の心を惹きつける理由といえるでしょう。
(L.) L’Hérは、1753年にスウェーデンの植物学者Carl Linnaeus(カール・リンネ)がこの種を正式に記載し、1789年にフランスの植物学者Charles Louis L’Héritier de Brutelle(ルイ・レリティエ・ド・ブルテーユ)によりPelargonium属へ再分類されたことを意味しています。
ペラルゴニウム・トリステは、南アフリカのノーザンケープ州やウエスタンケープ州の岩や石の多い乾燥地帯に自生しており、1632年に英国で発表されたとき、自生地以外の地で紹介された最初のペラルゴニウム種とされています。
古木のようなコルク質の塊根を持ち、塊根の上部から生える茎からはニンジンの葉のような細かい葉をつけ、葉の表面は銀白色の微毛で覆われ、光を反射するような独特の質感を持っています。
花は小さな星形で、傘状に集まった花序を形成し、淡い黄色や薄いピンク色の花弁に暗赤色の斑点が入ることもあります。
夜間に甘い芳香を放つことから「Night-scented Pelargonium (夜香のペラルゴニウム)」とも呼ばれており、丁寧に育てれば長年にわたりその個性的な姿と香りを楽しむことができます。
ちなみに、トリステは塊根の形によって見た目の印象が大きく変わるため、フォルム選びにこだわる愛好家が多い印象です。
というのもトリステは成長速度が極めて遅く、10年かけても数mmしか太らないことから、購入後に塊根の形が変化することはほぼありません。
そのため、最初の形選びがとても重要になります。
Dinterは、この種が1926年にドイツの植物学者Moritz Kurt Dinterにより発表・記載されたことに由来。
ペラルゴニウム・ミラビレは、南アフリカのナミブ砂漠地域が原産。
最も特徴的なのは、サンゴのように複雑に分岐した枝の構造です。
このため、塊根植物というよりは「灌木」にカテゴライズされることもあります。
主幹は非常に短く、直径は最大で約4cm程度であり、そこから細くて硬い枝が放射状に広がり、全体で直径約60cmに達することもあります。
枝は赤褐色から灰褐色で、表面にはワックス質の物質が含まれています。
この枝、現物を見ただれもが”かりんとう”を連想するようです。
葉はとても小さく、長い葉枝を持ち、表面はグレーグリーンで柔らかく、両面に微毛が生えていて、これがまた可愛らしい🥰。
開花株になると、初夏の休眠に入る前に小さな花を咲かせます。
花は、白〜薄ピンク色の花弁の中央にチェリーレッド色のドットをまとった、とても可愛らしい見た目で、まるでサンゴが花を咲かせたような印象。
E.Mey. ex R.Knuthは、この学名をドイツの植物学者E. Meyerが1835年に提案し、ベルリン植物園の植物分類学者R. Knuthによって1912年に正式に発表されたことに由来。
モンソニア・ムルチフィダは、南アフリカのノーザンケープ州および南西ナミビアとの国境となるオレンジ川沿いや、その沿岸砂漠帯といった海霧の掛かる乾燥地域に局地的に分布している小型の塊根性半低木です。
粗い砂礫や岩間の隙間といった、極めて水はけの良い過酷な環境に適応し、地際から太く短い主幹を伸ばし、その幹がやがて地表に近いところで水平に枝を広げて、直径20~25 cm程度までに展開することもあります。
幹の色は灰褐色〜薄茶色で、表面には短く毛が密生し、独特の質感を呈します。
晩秋になると枝の至る所からまるでパセリのような葉を展開し、その葉が多方向に裂けるように見えます。
この特徴がラテン語による学名「multifidus=多裂」の由来となっています。
また葉全体は、白~銀の細毛に覆われ、光を浴びると葉そのものが美しく際立ち、横に広がる樹形と相まって盆栽的な趣を感じさせます。
さらに、桜を彷彿とさせる花も大きな魅力の一つです。
花期になると、枝先から花茎を僅かに伸ばし、直径2.5~3 cmほどの淡いピンク色の花を咲かせるのですが、花弁の根元に赤いマーキングが入ることにより花の存在感が増し、この花見たさにムルチフィダを求める方も多くいます。
Wyleyの表記は、1850年代後半にこの植物を最初に発見し、新種として認識した英国の地質学者Andrew Wyley(アンドリュー・ワイリー)を指します。
ただし、Wyley自身はこの植物を学名として正式に発表していません。
ex Harv.という表記は、Wyleyの標本と記述をもとに、1863年に正式な新種記載を行ったアイルランドの植物学者William Henry Harvey(ウィリアム・ヘンリー・ハーヴェイ)を指します。
exは、「前者が記述し、後者が正式に発表した」ことを意味します。
Welwの表記は、その後、本種の形態や分類学的位置づけが再検討し、1869年に現在の Pachypodium属に移した、オーストリアの植物学者Friedrich Martin Josef Welwitsch(フリードリヒ・ウェルウィッチ)を指します。
パキポディウム属のほとんどの品種はマダガスカル原産の夏型塊根ですが、パキポディム・ナマクアナムは南アフリカ原産のため、日本では冬型塊根と同じサイクルで栽培され、このカテゴリーに位置付けられています。
日本では「光堂」という名で知られていますが、この名称は中国で付けられたもので、光り輝く堂(建物)のような姿に見えることから、そう名付けられたとされています。
原産地は南アフリカ共和国ノーザンケープ州および南西ナミビアの乾燥した岩山地帯、Richtersveld(リフターズフェルド)周辺です。
この地域をナマクアランドと呼ぶため、それが学名の由来となりました。
幹は基部が非常に太く、園芸個体でも直径が最大で約25 cmまで肥大する例があります。
自生地では成長すると高さが4〜5 mに達することもあり、かなり大きくなる植物です。
幹は上部に向かって細くなり、成熟時には典型的な「瓶(ボトル)型」や「クラブフット(太い足)型」のフォルムとなります。
現地で野生株を見た人々は、その姿を「神々しい」と表現するほどです。
トゲは上部ほど密集し、基部に行くほど突起が目立つ構造をしています。
また、幹の先端部分が“北向き”に傾くこともあり、この現象は、強烈な日差しや風を避けるための適応の一環と考えられています。
この姿が”人が頭を垂れている”ように見えることから、現地のサン族(San people)からは「Halfmens(半人間)」と呼ばれ、この種にまつわるさまざまな伝説が語り継がれています。
花は他のパキポディウムとは一線を画すほど大変美しく、縦長の筒状で、内側は赤味を帯び、外側は黄緑など淡色をしています。
ただし栽培難易度は、あらゆる塊根植物の中でも1〜2を争うほどの難物で、塊根上級者以外にはおすすめできません。
(Pillans)G.D.Rowleyは、この種が1928年に南アフリカの植物学者Neville Stuart Pillansにより、Portulacaria pygmaeaとして発表・記載され、1996年にゴードン・ダグラス・ローリーによりCeraria属へ再分類されたことに由来。
ケラリア・ピグマエアは、南アフリカ北ケープ州とナミビア南部の乾燥地帯に自生しています。
まるで古木のような塊根が特徴で、そこから太く短い枝を不規則な方向に伸ばし、全体的に小型の低木のような姿になります。
成長期には厚く丸みのあるグレーグリーンの多肉質の葉が多数展開し、異形な塊根とその可愛らしい葉のミスマッチが、まるでおとぎの国に誘われたかのような感覚を覚えます。
このファンタジーな見た目こそがピグマエア最大の魅力。
成長しても高さはおよそ20cm前後とコンパクトで、成長速度はとても遅いです。
ピグマエアは雌雄異株(雄株と雌株が別々)のため、オス株の花は緑がかった白、メス株の花は淡いピンク色の小さな花と、雌雄で色が異なる花を咲かせます。
古木のような風格は和鉢などで合わせると盆栽的な造形美を楽むこともでき、それも魅力の一つです。
野生個体が極めて少なく、保全の面からも大切にされている希少種であり、その神秘的で静かな佇まいが、多くの愛好家を惹きつけています。
ただ、塊根の形によって見た目の印象がまったく変わるため、理想のフォルムに出会えるまで徹底して妥協しない愛好家が多い印象です。
これは前述のペラルゴニウム・トリステ同様、本種も数年規模ではほとんど形が変化しない超極遅の成長速度ゆえに、最初の“形選び”がとても重要になるからです。
ちなみに名前の由来ですが、属名のCerariaは塊根から生える枝が動物の角に見えることからギリシャ語で角をあらわすkeras(ケラス)、種名のPygmaeaはラテン語で小人を意味するpygmaeus(ピグミウス)に由来するとされています。
LEDライトで特に気をつけたいのは、光源からの距離です。
距離が離れすぎると徒長の原因になるため、塊根植物の栽培で使用されることの多い植物育成LEDライト「AMATERAS」や「TSUKUYOMI」
ただし、製品によって照射角度・光量・PPFDなどのスペックが異なるため、使用するライトのメーカー推奨値を必ず確認してください。
•植物育成LEDライトの詳しい情報は👉🏻コチラ
エアコンでは空気は循環できないのか? という質問をよくいただきますが、エアコンとサーキュレーターでは”空気の動かし方”が根本的に異なります。
まずエアコンは、基本的に室内の温度を調整することを目的とした機器です。
そのため吹き出し口付近だけ風量が強く、風の向きも一定、またはわずかにスイングする程度に限られます。
部屋全体の空気を均一に動かすようには設計されていないため、温度自体は変化しても、室内には必ず“空気が滞留する場所”が残ってしまいます。
特に塊根植物を置きやすい棚の上や部屋のコーナー、窓際などは、もともと空気が動きにくい“デッドスペース”になりがち。
エアコンの風は、こうした細かなスペースまで十分に届かないことが多く、株の周囲だけ湿気や熱がこもる原因になり、空気の停滞が根腐れやカビの発生、病害虫の誘発にもつながります。
一方でサーキュレーターは 「空気そのものを攪拌し、循環させること」 を目的とした機器です。
エアコンの風との大きな違いはその風の質にあります。
サーキュレーターは直線的で強い風を壁や天井に向けて送り、室内に大きな空気の流れ(循環ループ)を作り出すことで、部屋全体の空気をまんべんなく撹拌します。
この空気循環により、株の周囲や植物棚の上に生じやすい「空気のよどみ(=蒸れ・湿度の偏り)」
を効果的に防ぐことができます。
塊根植物にとっては、エアコンだけでは不十分で、サーキュレーターを併用して“空気を混ぜる”ことが非常に重要になります。
ちなみに一般的な扇風機は人体用に設計されているため構造的に風を拡散させてしまい、室内空気の循環には不向きです。
•サーキュレーターの詳しい情報は👉🏻コチラ
見た目が酷似している「メキシコ亀甲竜」という夏型の塊根植物があり、区別するために本種を「アフリカ亀甲竜」と呼ぶこともあります。
野生種は、南アフリカ国立植物研究所(SANBI)の公開している「南アフリカ植物レッドリスト」において、VU(Vulnerable=準・深刻な絶滅危惧種)として評価されています。
2023年4月25日付けのCITES(ワシントン条約)通知(Notification to the Parties 2023)において、同年2月23日にCITES付属書III (Appendix III=国際取引規制対象)に追加されたことが記述されています。
ただし、人工的に繁殖された園芸個体は規制対象外。
2023年5月21日よりCITES(ワシントン条約)付属書III (Appendix III=国際取引規制対象)に追加されたことが記述されています。※P67参照。
ただし、人工的に繁殖された園芸個体は規制対象外。
2023年4月25日付けのCITES(ワシントン条約)通知(Notification to the Parties 2023)において、同年2月23日にCITES付属書III (Appendix III=国際取引規制対象)に追加されたことが記述されています。ただし、人工的に繁殖された園芸個体は規制対象外。
野生種は、南アフリカ国立植物研究所(SANBI)の公開している「南アフリカ植物レッドリスト」において、LC(Least Concern=軽度な絶滅懸念種)として評価されています。
2021年5月にIUCN(国際自然保護連合)により「Least Concern (軽度の絶滅懸念)」に指定。
南アフリカ国立植物研究所(SANBI)の公開している「南アフリカ植物レッドリスト」では、野生種はCR(Critically Endangered=絶滅寸前種)に指定。
CITES(ワシントン条約) 附属書II(Appendix II)に掲載されているため、種の保全のため国際取引には許可証(CITES許可証)が必要。ただし、人工的に繁殖された園芸個体については規制の対象外。
野生種は南アフリカ国立植物研究所(SANBI)の公開している「南アフリカ植物レッドリスト」において、EN(Endangered=深刻な絶滅危惧種種)として評価されています。
2023年5月21日よりCITES(ワシントン条約)付属書III (Appendix III=国際取引規制対象)に追加されたことが記述されています。※Appendices参照。ただし、人工的に繁殖された園芸個体は規制対象外。
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 編集部員K - ライター・エディター -

フリーランスのロックフォトグラファーの傍ら、サボテンを愛し5年、コーデックスに魅せられ3年を経て、2022年4月にガーデンストーリー編集部に参加。多肉植物関係の記事を中心に、精力的に取材&執筆を行う。飼い猫「ここちゃん(黒猫♂6歳)」に日々翻弄されている。
記事をシェアする
おすすめアイテム
壁掛け時計&温度計(GARDEN STORY Series)
優雅な曲線とリリーモチーフで飾られた、デコラティブな壁掛け時計&温度計。片面は時刻を読みやすいステーションクロック、もう片面は植物の管理に役立つ温度計になっています。アンティークな外観は、フェンスや壁のデザインポイントとなるアイテムとしても。
新着記事
-
ガーデン&ショップ

「第4回東京パークガーデンアワード夢の島公園」ガーデナー5名の“庭づくり”をレポート
2025年12月中旬、第4回目となる「東京パークガーデンアワード」の作庭が、夢の島公園(東京・江東区)でスタートしました。 作庭期間の5日間、書類審査で選ばれた5人の入賞者はそれぞれ独自の方法で土壌を整え、吟…
-
樹木

【冬の花】日本が誇る花木「椿(ツバキ)」初心者でも失敗しない植え付けから剪定、チャドクガ対策まで徹…
冬から春にかけての庭を華やかに彩る、日本原産の「椿(ツバキ)」。万葉の昔から愛されてきたこの花木は、丈夫で日本の気候にも合いやすく、初心者にもおすすめの植物です。しかし、美しい花を長く楽しみ樹形を保…
-
イベント・ニュース

冬に咲くチューリップ!? 今だけ見られるアイスチューリップの名景色、特徴、入手方法を一挙紹介
冬の澄んだ空気の中、思いがけず出会うチューリップの花。枯れ色の多い季節に、春のような色彩がふっと現れる――それが「アイスチューリップ」です。冬にもかかわらず、色鮮やかな花を咲かせるアイスチューリップが…
.png)



























