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雨上がりの奇跡! ゼフィランサス(レインリリー)が夏に咲き誇る秘密と種類・品種の魅力

雨上がりの奇跡! ゼフィランサス(レインリリー)が夏に咲き誇る秘密と種類・品種の魅力

Sasako1445/Shutterstock.com

雨上がりの庭で、はっと目を引く美しい花を咲かせるゼフィランサス。その英名が「レインリリー」と呼ばれるように、雨を合図に咲き誇る姿はまさに奇跡のようです。夏の暑さにも負けずに長期間花を咲かせ続ける丈夫さで、近年ますます注目を集めています。豊富な花色に加え、八重咲き品種も登場し、その魅力は尽きません。この記事では、初心者でも育てやすいゼフィランサスが夏に咲き誇る秘密と、種類や品種を幅広く紹介し、育て方についても栽培のプロが解説します。

ゼフィランサスの基本情報

ゼフィランサス
Apple_Mac/Shutterstock.com

植物名:ゼフィランサス
学名:Zephyranthes
英名:レインリリー
科名:ヒガンバナ科
属名:タマスダレ属
原産地:熱帯~亜熱帯アメリカ
形態:多年草

ゼフィランサスは小型の球根植物で、中央~南アメリカの熱帯~亜熱帯地域が原産です。雨が降った後に花が咲きやすいので、近縁のハブランサスとともにレインリリーの英名があります。

白い花を咲かせるタマスダレ(Zephyranthes candida)が代表種です。以前からよく親しまれているので、ゼフィランサスの属名で流通することがあります。初夏から秋まで長期間開花し、葉は常緑です。寒さに強く放置気味でよく育ち、空き地などで野生化していることがあります。

ピンクの花が咲くサフランモドキ(Z. grandiflora)もよく育てられます。タマスダレ以外は寒さに弱い種類が多く流通し、霜には当てないようにします。タマスダレ以外にもモモイロタマスダレ(Z. taubertiana)のように寒さに強い種類や、比較的耐寒性のある品種がありますが、入手は難しいようです。

近年は流通する種類や品種が増えています。花色は、白やピンク、黄色、オレンジ、赤色など豊富で、八重咲きの花もあります。

風に揺れるピンクのゼフィランサスを訪れるミツバチ。Oolite Photography/Shutterstock.com

ゼフィランサスの特徴・性質

ゼフィランサス
Nitavin/Shutterstock.com

園芸分類:球根、草花
草丈:10~30cm
開花時期:6~10月(種類・品種による)
耐寒性:強い~やや弱い(種類・品種による)
耐暑性:強い
花色:白、赤、ピンク、オレンジ、黄色

花は上向きに咲き、よく目立ちます。環境適応性が高く、日当たりが多少悪い場所でも花が咲きます。花の少ない夏も暑さで弱らず、よく開花します。梅雨の多湿のほか、夏の高温乾燥に耐えるので、初心者でも育てやすいです。いろいろな場所で育てることができ、長期間花を楽しめます。

開花時期は、種類や品種、栽培環境により変わります。地植えで植えっぱなしのタマスダレは6月から長く咲き、その他の種類は夏から秋に開花することが多いです。

交配が容易で、ハブランサスとの属間交配も可能です。海外で育種が盛んに行われています。インドネシアで赤色やオレンジ、八重咲き、バイカラーなどの素晴らしい品種が多数作られ、徐々に日本で流通するようになっています。

全草に毒があるので、ノビルやニラなどと間違って食べないようにしてください。畑などに植えると危険です。また野生化している場合もあるので、注意してください。ノビルやニラは、特有のネギ臭があります。

ゼフィランサスの種類・原種

タマスダレ  Zephyranthes candida

タマスダレ
zzz555zzz/Shutterstock.com

アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ原産で、川沿いや湿地などによく自生します。6~10月まで断続的に長期間開花します。放置気味で育ちますが、生育期間中に土壌が完全に乾燥するのは嫌います。

サフランモドキ Zephyranthes grandiflora(=Z. minuta 

ゼフィランサスモドキ
shofiphoto/Shutterstock.com

メキシコ、グアテマラ原産で、比較的よく流通する種類です。ピンクの花は直径6cmほどで、やや大きいです。寒さにはやや弱いですが、丈夫で育てやすいです。世界の熱帯では野生化しており、国内でも暖地では野生化した株が見られます。

ゼフィランサス・キトリナ Zephyranthes citrina

ゼフィランサス・キトリナ
Snehalata/Shutterstock.com

メキシコから中央アメリカ原産で、明るい黄色の花を咲かせます。寒さには弱いですが、実生で増やすことができます。

ゼフィランサス・ロゼア Zephyranthes rosea

ゼフィランサス・ロゼア
Binturong-tonoscarpe/Shutterstock.com

コロンビア、ペルー原産で、寒さにやや弱いです。サフランモドキに似たピンクの花を咲かせます。サフランモドキより花はやや小さく、色が濃いです。

ゼフィランサスの園芸品種

八重咲きの品種の流通は、国内でも今後徐々に多くなると予想されるので注目です。

‘プライド・オブ・シンガポール’ Zephyranthes. ‘Pride of Singapore’

ゼフィランサス‘プライドオブシンガポール’
Cheng Wei/Shutterstock.com

インドネシアで作出された美しい園芸品種で、よく目立つ赤色の花を咲かせます。

‘エイジャックス’ Zephyranthes ‘Ajax’

ゼフィランサス‘エイジャックス’
Cheryl Ann Meola/Shutterstock.com

淡い黄色の花を咲かせる交配種で、19世紀に最初に作られた園芸品種とされます。タマスダレとの交配なので比較的耐寒性があり、丈夫です。

‘リリー・パイ’  Zephyranthes ‘Lily Pies’

ゼフィランサス‘リリーパイ’
M4N4S4/Shutterstock.com

ピンクに中央が白色の大きな花は明るく華やかで、午後に開きます。

‘マダム・バタフライ’ Zephyranthes ‘Madam Butterfly’

ゼフィランサス‘マダムバタフライ’
Nitavin/Shutterstock.com

八重咲きのピンクの花が美しい品種で、目を引きます。

‘フィデリティ・ チャーム’ Zephyranthes ‘Fidelity Charm’

ゼフィランサス‘フィデリティチャーム’
Pomme Home/Shutterstock.com

ピンクの八重咲き品種です。緑に浮き立って、優しい印象。

‘アプリコット・キング’ Zephyranthes ‘Apricot King’

ゼフィランサス‘アプリコットキング’
Sasako1445/Shutterstock.com

花びらが細く花形が素朴な、アプリコット色の八重咲き品種です。

ゼフィランサスの栽培12カ月カレンダー

開花時期:6~10月
植え付け・植え替え:4月中旬~5月(タマスダレは3~4月)
肥料:4月中旬~9月(タマスダレは3~4月、10月)

ゼフィランサスの栽培環境

ゼフィランサス
PreechaB/Shutterstock.com

適した環境・置き場所

日なたから半日程度日光が当たる半日陰が適します。環境適応性が高いので、明るい日陰でも育ち花を咲かせます。

生育温度

20~30℃くらいが最も生育が盛んになります。夏に暑さで弱ることもありません。

冬越し

多くの種類は熱帯から亜熱帯原産の球根植物で、寒さに強くありません。寒冷地や霜がよく降りる地域は鉢植えにして室内で越冬させます。

タマスダレは寒さに強く、霜よけなどの対策は必要はありません。

ゼフィランサスの育て方・日常の手入れ

ゼフィランサス
ama k’rom/Shutterstock.com

水やり

生育期に乾燥すると花が小さくなり、生育も悪くなります。乾燥しやすい鉢植えは注意してください。

鉢植えは、鉢土の表面が乾いたら水やりします。夏の晴れた日は、毎日水やりしてください。夏に高温乾燥が厳しい時は、朝夕2回の水やりが必要な場合があります。

庭植えでは、夏などに雨が降らず土壌が乾燥したら、水やりしてください。

肥料

4月中旬から9月に、肥料の3要素であるチッ素(N)・リン酸(P)・カリ(K)が等量の緩効性化成肥料を規定量与えてください。

タマスダレは3~4月に3要素が等量の緩効性化成肥料を規定量、10月は規定量の半分程度与えてください。

病害虫

問題になる病害虫は、ほとんど発生しません。

ゼフィランサスの作業

栽培
iKatoon/Shutterstock.com

植え付け

開花時にボリュームが出るよう、密植気味に植え付けます。植え付けの適期は、寒さに弱い多くの種類は4月中旬~5月、タマスダレは3~4月です。

地植えする場合は、間隔を3~5cm、5~10cmの深さで植えます。鉢植えで育てる場合は、5~6号鉢に7球、3cm程度の深さで植えます。作業後にたっぷり水やりしてください。

植え替え

球根が増えて混みすぎると、生育が衰えます。鉢植えは1~2年に1回、地植えは3~4年に1回くらいを目安に植え替えてください。作業の適期は、植え付けと同様です。

用土

適度に保水性があり、水はけのよい用土が適します。草花に広く使える一般的な培養土か、赤玉土小粒7と腐葉土3を混ぜた用土などを使います。

増やし方

植え替え時に分球して増やします。

ゼフィランサスの栽培ポイント

ゼフィランサス
Sasako1445/Shutterstock.com
  • 霜に当たると枯れる種類が多いので注意
  • タマスダレは植えたままで問題ない
  • 生育期の強い乾燥に注意
  • 明るい日陰でも花が咲く

ゼフィランサスは花色が豊富になり、人気が高まっています。霜の降りにくい暖地なら、簡単な霜よけ程度で地植えしたままで越冬します。比較的場所を選ばず育つのも魅力的です。ゼフィランサスを育てて、パステルカラーの美しい花をたくさん咲かせてください。

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