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- 狭い庭を有効活用! ベテラン園芸家が語る【つる性植物】の魅力と落とし穴
「狭い庭だから…」と庭づくりを諦めていませんか? つる性植物は、壁や空間を利用して庭を立体的に彩る強い味方です。ただし、人気の植物にも“思わぬ姿に化ける”要注意な落とし穴が隠されています。30年近い園芸経験を持つガーデンプロデューサーの遠藤昭さんが、魅力あふれるつる性植物の活用法はもちろん、“植えて後悔”した話も交えながら、失敗しないための選び方や管理のポイントを本音で語ります。あなたの庭を素敵に変えるヒントを見つけてください。
目次
バリエーション豊かなつる植物

一口に「つる性植物」といっても、じつにたくさんの植物がある。美しい花で人気のつるバラやクレマチスに始まり、ノウゼンカズラ、藤などの花木類から、アサガオ、ゴーヤなどの一年草、さらにはクズ、ヘクソカズラなどの厄介な雑草まであり、数えきれない。そんな多彩な植物グループであるがゆえに、その活用方法も魅力に溢れており、また逆に注意点も多い。
私は30年近い園芸生活で、限られたスペースの狭い庭ではあるが、じつに多種多様なつる植物を育ててきた。その経験から、魅力と注意点について振り返りながら書いてみたいと思う。
つる植物をどう仕立てるか

つる植物の最大の魅力は、長いつるを上や横へ広げて伸ばして育てることができるので、狭い庭を立体的かつ効率的に活用できることだ。壁面利用、空間利用は、狭い庭づくりには欠かせない。
壁面利用は、擁壁や建物の壁面を利用するわけだが、建物の壁面の場合、10年に1度程度、ペンキの塗り替えがあるので、そのようなケースが想定できる場所にはおすすめできない。
空間利用は、アーチ、オベリスク、トレリス、フェンス、支柱仕立て、カーテン仕立てなどなど、構造物を用意することで仕立て方や見た目が変わる。さて、それぞれの仕立て方に対して、どんな植物が適しているだろうか?
壁面利用に適したつる植物

我が家の場合、庭は道路面よりやや高台にあり、コンクリート擁壁の広い壁面がある。西日の当たるエリアだが、歩道との間数十センチの部分はコンクリート仕上げになっており、植物は植えられない。そのため、上の庭からフェンスに絡ませると同時に下に垂らすことになる。
30年の間に、じつにいろいろな植物を「壁面緑化」に活用してきた。
壁面緑化に使う植物の条件は、常緑であることや、早く緑化したいので成長が早いこと、丈夫であることなど。これらをポイントに、植物を選んだ。
① ナニワイバラ

白い一重の花が清楚な薔薇である。期待に応えて、すくすく成長してくれた。しかし、数年経つと、かなり暴れ者の様相を示し、つるも太く、トゲも太い。もしも台風が来た際にこの塊が歩道に落ちたら……と心配になって処分した。

丈夫さと美しさ、成長の速さでは優等生だったのだが、庭に植えて垂らした状態で、きちんと壁面に固定できなかったのが失敗の要因だったと反省。下方の地面に植えて、太くトゲのある硬いつるをしっかり壁面に固定し、きちんと管理できれば、広いスペースにはおすすめの品種だ。
② クレマチス・アーマンディ

上記のナニワイバラの次に育てようと思いついたのは、色合いの似た、クレマチス・アーマンディ。成長が早く、トゲや太いつるかどうかの点で心配はなかったので植えてみた。かれこれ20年くらい経つが、未だに健在。3月の中旬から一斉に開花し、芳香を放ち、通りがかる人に、「この花、なんですか?」とよく尋ねられる。

上写真が15年前。下が今年2025年の写真。

20年くらい、元気に育ち続けている要因は、思い切った剪定だと思う。1年で2~3mは伸びる暴れ者ではあるものの、花後に新芽が伸びたタイミングでバッサリ剪定すればよいだけだ。高枝バサミで比較的楽に切れる。
③ ツルハナナス

ツルハナナスは、比較的早い時期、つまりナニワイバラとほぼ同時期に植えて、今も健在。丈夫で長もちで、最近の暖冬では、なんと真冬にも咲いてくれる優等生だ。

その後、斑入りの品種も植えたら、明るい印象になった。ただし、斑入り品種は白花で、花はやはりブルーのほうが明るく感じるかな? 成長は早いが、枝が細いので簡単に剪定でき、管理は楽な植物だ。
壁面利用に適さないNG植物
NG① プミラ(フィカス・プミラ)

初心者向けの寄せ植えで、よく使用されるアイビーとプミラだが……。
ハッキリ言って失敗したのが、写真の寄せ植えに使用されている、左縁の可愛いプミラ!
寄せ植えのギフトに入っていたプミラを、コンクリート擁壁が醜いので這わせることを試みた。数年は斑入りの葉が美しく成長し、コンクリートを徐々に覆っていった。

ところがその後、斑模様がだんだん無くなってグリーンの葉のみに変化した。
翌年には、壁面を這っていたはずのプミラのつるが、壁面から一斉に空に伸び始めているではないか! ボサボサで、はっきり言って汚らしい!

オマケに、この伸び始めたつるの葉はやたらデカイ。このまま放置すると大変なことになりそうなので、養分を断つために壁に張り付いている根元の幹をノコギリで切った。1cmの間隔で切り取って、断面を観察したところ、信じられないが、この木の正体があのミニ観葉のプミラなのだ。

なにしろ、伸びたつるはコンクリート面にべったりと吸盤のような根で張り付いているので、これで枯らすことができるか判らないが、まずは絶滅作戦スタートだ。アイビーなどでも予定外のところにつるが伸びるとややこしいことになるが、プミラも同様。モルタルの上にペンキ塗装している我が家の塀の部分にも伸びて、剥がすと汚らしくなる。つる植物は用心しないとイケナイ。
なぜ厄介なことになったか? 原因は3説考えられた。
原因① 園芸種なので、先祖返りした。
原因② 台木に使われていたオオイタビが暴れたのではないか。
ネットでオオイタビを調べたら、どうやら園芸種であるプミラの母種のようである。当時で10年前に流通していたプミラなので、オオイタビを台木にした接ぎ木苗だったのだろうか。
原因③ プミラは、株が小さい頃につく幼葉と、成熟した株につく成葉の2種あり、普段観賞しているのは幼葉。例えば、マルバユーカリなども幼木は丸い葉の幼葉で、成木になると長い葉のユーカリになる。株が成熟して成葉になったのかもしれない。
NG② ヘデラ(アイビー)

上記のプミラと共に、よく「植えてはイケナイ植物」で取り上げられがちなアイビー。寄せ植えには重宝するし、葉は可愛いものの、地植えにすると大変なことになる。この擁壁にもかなり距離のある他所から侵入して、未だに駆除に苦労している。

つる性植物でも、バラやクレマチスはつるから根が出て壁に付着することはないが、ヘデラやプミラはコンクリートでも木の幹でも付着するので厄介だ。この写真は剪定に行った知人宅の様子。ハナミズキの木に登ってしまい、その幹に付着して、なかなか取れずに、そぎ取るのに半日もかかってしまった。アイビーは余程広いスペースに植えるか、あるいは鉢植えで楽しむのが無難だ。
アーチ&トレリスに適したつる植物
① つるバラとクレマチスの組み合わせ
我が家でも、多種のつるバラとクレマチスをアーチで育ててきたが、特に思い出に残っているシーンとともに、育ててきた品種をご紹介しよう。

‘コーネリア’のアーチ仕立て(写真右)。つるが柔らかく作業がしやすい。

‘バロン・ジロン・ドゥ・ラン’とクレマチス。

クレマチス‘ワルシャワ・ニキ’とつるバラ‘ロジャー・ランベリン’。
② モッコウバラ
アーチやトレリスは、植物が成長すると隠れて見えなくなってしまう。高価な製品を使用するのはもったいない気もするが、とても重宝するガーデニングアイテムだ。

ベンチの後方に見事に咲くモッコウバラ。

花後は、伸びると隣家に迷惑なので、剪定する。そうすることでアーチに絡めているのが分かるようになる。モッコウバラは成長が早く、常緑で、目隠しにもなるので、フェンス仕立てよりアーチにするほうが収まりがよい。

その後、こんなに巨大に育って見事になったものの、後方にある隣家へやたら侵入して手に負えなくなったため処分。モッコウバラは、しっかり剪定しよう。
③ ハーデンベルギア

オージープランツで、日本にもすっかり定着したハーデンベルギア。早春に咲いてくれて、常緑で、比較的育てやすい植物。

そもそもはフェンスに絡めていたのだが、成長力旺盛で、数年後には1年で数メートルも伸び、いろいろな所で咲いてくれる楽しみがある。なんにでも絡みつく性質なので、暴れるといえば暴れるが、つるが細く手でもちぎれる程度なので、花後に剪定すれば、比較的管理しやすい。

雨どいとケーブルテレビの配線に絡みついたハーデンベルギア。まあ、開花中はきれいだが、花後には配線を一緒に切らないようにしっかり処理しよう(昔、切った経験あり!)。

一度伐採してから1年後。さらに今年の春もケーブルと雨どいを隠すほど盛大に茂り、見事な花を1カ月ほど楽しませてくれた。10日ほどで散り始めたので、配線に絡まるつるを伐採。この手入れのサイクルを覚えていれば、うまく付き合っていける。
フェンスに適したつる植物
① トケイソウ

最近、温暖化のせいか、日本でも越冬する様子を見かけるようになったトケイソウ。時計のような花でインパクトがある。夏から秋にかけて、たくさんの花を咲かせる。

トケイソウの素晴らしい所は、成長の早さだ。広い面積のフェンスの緑化には最適。上写真は4月に草丈10cm程度の苗を植え付けたもの。9月には幅5m以上にまで成長。毎年、たくさんの花を咲かせてくれる。

② ワイヤープランツ

昔、メルボルンの住宅街でワイヤープランツを金属ネットに絡めてきれいに刈り込んでいる塀を見たことがあった。とても美しかった。

我が家でもフェンスに絡めてみた。数年はよかったが、ある年に爆発したように変貌し、恐ろしくなって処分した。処分する作業中に、こんな可愛い花が咲いているのを発見。

こまめにトリミングする自信のある方にはおすすめだが、「爆発」に要注意。
しかし、プミラもワイヤープランツも、ポット苗は可愛いのに、いきなり化けるので驚く。
緑のカーテンに適したつる植物
① ゴーヤ

一昔前に、緑のカーテンが大流行したが、我が家では毎年、緑のカーテンといえばゴーヤだ。西向きの部屋があり、近年のような猛暑には欠かせない。毎年、プランター2個に植えているが、適度に収穫もできて、ゴーヤチャンプルーを楽しんでいる。緑のカーテンには、雲南百薬とか、フウセンカズラとかも試したことがあるが、やはりゴーヤが丈夫な緑のカーテンができるのでおすすめ。
② アサガオ

アサガオも、古くから日本で緑のカーテンに利用されてきた。綺麗だが、単独ではやや弱く、最近はゴーヤとミックスで使用している。
番外編 やっかい⁉︎可愛い⁉︎ つる性の雑草
「雑草という草はない」と、牧野富太郎先生はおっしゃっておられます。最後に、やっかいだが意外と可愛い花のつる性植物を!

可愛い花ですね。でも、油断していると、数日で3mくらいあるボトルブラシの上まで伸びて花を咲かせている。可哀そうな名前のヘクソカズラ。

これも綺麗な花を咲かせるが、15m以上にも伸びるクズ(葛)。1週間で1mは伸びて、侵入してくる。恐ろしい生命力。

あまり見かけないが、これも暴れ者のつる性雑草のマルバルコウソウ。
つる性植物を生かして「狭い庭」を緑豊かに!

このように、つる性植物にはじつにたくさんの種類があり、それぞれに個性がある。狭い庭でも壁面や空間を立体的に活用し、緑豊かな美しい景観を作り出す魅力がある一方で、予想外の成長や管理の手間といった落とし穴も潜んでいる。私の園芸生活30年を振り返ってみても、つる性植物の力を借りて多くの楽しみを得てきたと同時に、その特性を理解することの重要性を痛感している。
私自身も改めてつる性植物と向き合うことで、また新たな活用法やアイデアが浮かんできた。ぜひ皆さんも、つる性植物の多様な特性をよく知った上で上手に庭に取り入れ、新たな空間の広がりやガーデニングの楽しみを見つけてください。
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 遠藤 昭 - 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー -

えんどう・あきら/30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。
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