家庭で育てる果樹のなかで人気NO.1のブルーベリーは、秋が苗木の植えどきです。実をつけさせるのに通常2品種以上を必要とするため、スペースの問題で育ててみたいけど、諦めていた方に朗報! この秋、エム・アンド・ビー・フローラから、1株で実がなるコンパクトなブルーベリーのブランド「ブッシェル・アンド・ベリー」が新登場。ベランダでの鉢植えやハンギングでも育てられる画期的なブルーベリーをご紹介します。
目次
コンパクトで1株で実がなるブルーベリー「ブッシェル・アンド・ベリー」シリーズ

一般的なブルーベリーの樹高が1~3mなのに対し、「ブッシェル・アンド・ベリー」シリーズは樹高30~90cmほどとコンパクトなのが特徴です。また、通常は実をつけるのに2本以上必要ですが、「ブッシェル・アンド・ベリー 」シリーズは1本でたくさんの実をつけてくれます。もちろん、コンパクトなので複数品種を育てて楽しむこともできます。コンテナ栽培やベランダでの栽培に最適で、這性特徴を持った品種はハンギングでも楽しめます。
ブッシェル・アンド・ベリーのブルーベリーを育てるのに必要なもの
●苗木(9月24日から限定発売中。販売店情報はエム・アンド・ビー・フローラのインスタグラムをご参照ください)
●コンテナ栽培の場合は直径30〜40cm・深さ25cm以上の鉢
●酸性土壌。ブルーベリー専用用土があると便利
育てればこそ得られる完熟ブルーベリーの驚きの美味しさ

スーパーに行けば一年中冷凍ブルーベリーが手に入りますが、栽培をおすすめする理由の一つは完熟果実にしかない風味。さまざまなお菓子やデザートに利用されるブルーベリーですが、ブルーベリー農家がおすすめする最も美味しく贅沢な食べ方は、完熟摘みたてを10粒、口のなかに放り込んでブルーベリージュースにする方法。驚くほどの果汁がジュワッと口いっぱいに広がり、喉へ流れ込むと同時に豊潤な香りが鼻をぬけ、頭がスッキリ爽快になる感覚は、これまでのブルーベリーの概念をくつがえす体験です。樹上で完熟させた果実ならではの甘さは、育てた人だけの特権。もちろん、そんな完熟ブルーベリーで作ったデザートは絶品です。

生のブルーベリーの魅力は栄養価にもあります。ブルーベリーはビタミンCや骨の健康を支えるビタミンKが豊富なフルーツ。特に抗酸化物質の一種であるアントシアニンが多く含まれることは有名で、目の健康や肌の老化防止に役立つとされています。新鮮なフレッシュブルーベリーなら、より効果的に栄養を得られることが期待できます。
ブルーベリーは花も可愛く紅葉も楽しめる優秀なガーデンプランツ

ブルーベリーの魅力はおいしい果実だけではありません。春にはスズランによく似た白やピンクの小さなぷっくりとした花がたくさん咲き、庭を明るく彩ってくれます。

夏に実る果実の様子も可愛らしく、ブルーベリーが青い服の坊やの妖精として描かれる絵本『ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん』(エルサ・ベスコフ作・絵)は世界中で愛されています。

そして、秋は真っ赤な紅葉が楽しめるのもブルーベリーの大きな魅力。紅葉するガーデンプランツは限られており、中でもベランダで簡単に育てられるものは数少ないですが、ブルーベリーは見事な紅葉で秋の風情を演出できるおすすめの植物です。
「ブッシェル・アンド・ベリー」の魅力的な4品種
この秋発売された「ブッシェル・アンド・ベリー」シリーズは4品種。それぞれに個性があり、実の風味も異なります。
4種の中で一番コンパクトな‘ジェリービーン’

樹高30〜60cmと4種のなかで一番コンパクトな株姿ながら、甘く大きめの果実がたわわに実ります。ジェリービーンの名の通り、ゼリーのようにプルプルとした食感の果肉が特徴。ベランダでの鉢植え栽培に最適です。
ハンギングバスケットでも楽しめる‘サファイアカスケード’

樹高45〜60cmほどで這性の特性があり、ハンギングバスケットでも楽しめます。甘く中ぐらいの実が夏から秋まで比較的長く収穫できます。
葉色が美しくトロピカルな甘さの‘ピーチソルベ’

樹高45〜60cmほどでピンクやオレンジ色の葉が入り混じり葉姿も美しい品種。トロピカルな風味でジューシーな果実が特徴。
銀葉が美しく爽やかな甘さの‘シルバーダラー’

樹高60〜90cmほどで銀色がかったユーカリに似た葉が美しい品種。ほのかに香る爽やかな甘さの実が夏から秋まで比較的長く収穫できます。
失敗しないブルーベリー栽培のコツ
1. 酸性土壌を用意する
ブルーベリーはpHが4.5〜5.5の酸性土壌を好みます。すでに調整された市販の「ブルーベリー用土」を使うか、土にピートモスを混ぜるとよいです。
2. 日当たりと風通しを確保する
ブルーベリーは日光を十分に浴びる場所で育てることで、甘い果実が実ります。たわわに実をならせるには、少なくとも1日6時間の日照が必要です。明るい日陰でもOK。寒さにはとても強く寒冷地でも屋外で容易に冬越し可能ですが、夏の暑さや夕方の強い西日は苦手なので、風通しを確保し、移動可能な鉢植え栽培のほうが育てやすいかもしれません。
3. 定期的な水やり
ブルーベリーは表土に近いところに根を張る性質があり、乾燥に弱いです。季節によって生育のスピードが異なるので、それに合わせて水やりの頻度も変えますが、特に春先の芽出しの頃から実がなるまでは、水切れに注意する必要があります。基本的には土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るまでしっかりと水を与えます。
4. 肥料の管理
毎年春に肥料を与えるのが最も効果的です。酸性肥料や、粒状肥料、液体肥料を好みます。堆肥は植物を傷めるので避けましょう。コーヒーかすは、土壌を酸性化するのに役立つ安価な自家製ブルーベリー肥料です! 時々、使い終わったコーヒーかすを土の上にまくのもおすすめです。
5. 剪定
ブルーベリーの苗木を毎年剪定することで、樹形を保っておいしい実をたくさん収穫することができます。ブルーベリーは1〜2年経った枝に花を咲かせ、実をつけるので、買ったばかりの株は剪定の必要はありません。若い株の場合も枯れた枝を春に落とす程度で十分です。株が3年以上経過したら、毎年休眠中に剪定します。剪定する枝は以下の通りです。
- 内向きの枝の剪定/木の中心に向かって伸びる枝や下に向かって伸びる枝は、風通しや日光を遮るため、剪定します。
- 弱い枝、枯れ枝の除去/枯れ枝や細く弱い枝は、剪定して木全体の活力を高めます。
- 高さの調整/高く伸びすぎた枝は、実がなりにくいので枝先から1/3程度を剪定します。
- 古い枝の剪定/株が混み合ってきたら、5年以上経過した古い枝は、根元から切り落とします。若い枝の発生を促し若返りを図るためです。
6. 植え替え

買ってきた直後、休眠期や休眠期に向かう時期であれば必ずしも植え替える必要はありません。春になると生育を開始するので、生育を開始する前の2月下旬、一回り大きな鉢に植え替えるとよいでしょう。鉢植えの場合、3年目以降は2〜3年に1回植え替えるようにしましょう。根を整理して、根詰まりを防ぐためです。
ブルーベリーの一年の生育サイクル
ブルーベリーは休眠期と生育期があります。それぞれの時期で手入れを変えることが上手に育てるコツ。ブルーベリーの一年の生育サイクルを知っておきましょう。
1. 冬(休眠期)
ブルーベリーは落葉樹のため、冬には葉が落ちて木は休眠期に入ります。この時期は植物の成長が止まり、エネルギーを蓄えて春の成長に備えます。ただし、近年は暖冬気味で完全には落葉しない地域もあります。
【この時期の手入れ】
■剪定/ この時期に古い枝や病害虫に侵された枝を剪定することで、春に新しい健康な枝が育ちやすくなります。
■マルチング/寒冷地では根元にマルチングをすることで、霜や寒さから根を保護することができます。
■水やり/休眠期は根から吸い上げる水の量も減るので、1週間に2回程度が目安です。
*落葉しない地域ではこの時期に施肥をすると中途半端に芽が動いてしまうことがあるので控えます。
2. 春(発芽・開花期)
冬が終わり気温が上昇すると、ブルーベリーの木は休眠から覚め、芽吹きが始まります。3月頃から新芽が出て、4〜5月にかけて白や淡いピンク色の小さな花が咲きます。
【この時期の手入れ】
■施肥/春に新しい成長が始まるため、適量の肥料を与えることで、健康な成長と実のつきを促進します。特にブルーベリー専用の酸性土壌に適した肥料が効果的です。
■水やり/芽が出始めると盛んに水を吸い上げるようになります。乾きに注意して表土が乾いたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷり水やりをしましょう。
3. 夏(結実・収穫期)
花が咲いた後、6月頃から果実が徐々に成長し始めます。果実は最初緑色をしていますが、徐々に青紫色に変化し、完熟すると鮮やかなブルーム(白い粉)が現れます。
【この時期の手入れ】
■収穫/ 7月〜8月がブルーベリーの主な収穫期です。完熟の見極めは、色が濃い青紫になり、軽く触れただけで果実が自然にポロッと取れるタイミングです。
■水やり/夏は乾燥しやすいので、ブルーベリーの木がしっかりと水分を保てるよう、定期的な水やりが必要です。表土の乾きに弱いので、根圏環境を整えるバイオマイスターなどの土壌資材をマルチング材として用いるのもよいでしょう。
■剪定/伸びすぎた枝を枝先から1/3程度剪定します。
4. 秋(紅葉)
秋になるとブルーベリーの葉は紅葉します。気温が下がることで、植物の成長がゆっくりになり、一部の品種では、9〜10月まで果実が残ることもあります。甘さが増すため、最後の収穫を楽しむことができます。
【この時期の手入れ】
■水やり/生育がゆっくりになり暑さも和らぐため、水やりの頻度も夏より控えめにします。

このようにブルーベリーの栽培はとても簡単で、一年を通して魅力にあふれた果樹です。コンパクトで1株で実る「ブッシェル・アンド・ベリー」シリーズの登場で、より誰もが身近に育てられるようになったブルーベリーを自宅で楽しんでみませんか。
写真協力/エム・アンド・ビー・フローラ
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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