ビデンスは明るい色合いで元気になれる花! 特徴や育て方のポイントを詳しく解説

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ビデンスはパッと開いたビタミンカラーの花が明るく可愛らしい、キク科の植物。ウィンターコスモスと呼ばれることもあり、丈夫で育てやすく初心者にもおすすめの花です。この記事では、ビデンスの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、種類、育て方のポイントについて詳しくご紹介します。
目次
ビデンスの基本情報

植物名:ビデンス
学名:Bidens
英名:bidens
和名:ビデンス
その他の名前:ウィンターコスモス
科名:キク科
属名:センダングサ属
原産地:メキシコを中心とする世界各地
分類:宿根草(多年草)、一・二年草
ビデンスは、キク科センダングサ属の植物の総称です。センダングサは、秋から冬に枯れた草むらを歩くと種子がくっつくことで知られる野草ですが、ビデンスもその仲間です。種類によって一・二年草や多年草があり、草丈も10~100cmと幅があります。世界中に広く分布していますが、特にメキシコには多くの種があります。また、ビデンスの一部の品種はウィンターコスモスと呼ばれることもありますが、コスモスの一種というわけではなく、別種です。
ビデンスの花の特徴

園芸分類:草花
開花時期:5~翌年1月(品種により異なる)
草丈:10〜100cm
耐寒性:やや弱い
耐暑性:強い
花色:黄、白、ピンク、複色
ビデンスの開花時期は種類によって異なり、夏に咲くグループと秋から冬に咲くグループがあります。ウィンターコスモスと呼ばれるのは、このうち秋から冬に咲く種類です。花色は白、ピンク、黄、その複色などさまざまです。
ビデンスの花の形は、5~8枚の舌状花(ぜつじょうか)の中心に筒状花(つつじょうか)があり、コスモスによく似ています。舌状花とは、舌のような形になっている花弁のことで、筒状花とは、筒状になっている花弁のことです。舌状花と筒状花があるのは、キク科の花の特徴です。
名前の由来や花言葉

ビデンスという名前は、ラテン語の2を意味する「ビ」と歯を意味する「デンス」を組み合わせた言葉に由来します。これは、ビデンスの実に見られる突起部分が人間の歯に似ているためです。この突起が洋服や動物の毛に引っかかってくっつくため、「引っ付き虫(beggartick)」とも呼ばれます。
ビデンスの花言葉は「淡い恋」「もう一度愛します」「調和」「真心」など。「淡い恋」や「もう一度愛します」は、花の咲き方に由来し、「調和」や「真心」は花の形が似ているコスモスに由来します。
ビデンスの系統

園芸用として栽培されているビデンスは、大きく次の2種類の系統があります。
フェルリフォリア種

ビデンス・フェルリフォリア(Bidens ferulifolia)は、メキシコ原産のビデンスの1種です。這い性のものと立ち性のものがあり、コスモスに似た5枚の花弁(舌状花)を持つ黄色い花を咲かせます。
ラエビス種

ビデンス・ラエビス(Bidens laevis)は、フロリダやテキサス原産のビデンスの1種です。5~8枚の舌状花を持つ黄色い花を咲かせます。
秋から冬にかけて、コスモスに似た花を咲かせるため、ウィンターコスモスとも呼ばれています。もともとラエビスをウィンターコスモスと呼んでいましたが、最近ではフェルリフォリアもウィンターコスモスの名前で流通するようになっています。
ビデンスの代表的な品種

ビデンスにはさまざまな品種があります。ここでは代表的な品種をいくつかご紹介します。
ゴールデンエンパイア

‘ゴールデンエンパイア’はよく分枝し、こんもりと丸まった草姿になる品種です。直径3~4cmと、やや大きめのゴールデンイエローの花を咲かせます。ビデンスの中でも特に暑さに強い品種です。
イエローサンシャイン

‘イエローサンシャイン’は草丈が20cm前後と小さめな品種。花付きが非常によく、コンパクトにまとまります。明るい黄色の花を咲かせます。
「キャンプファイヤー」シリーズ

「キャンプファイヤー」シリーズは、草丈が30~45cmのややコンパクトな品種です。従来のビデンスよりも連続開花性が強く、真冬を除いてほぼ周年で花が楽しめます。
ビデンスの栽培12カ月カレンダー
開花時期:5〜翌年1月(品種により異なる)
植え付け・植え替え:3〜6月
肥料:鉢植えのみ適宜
種まき:9~10月、3~4月
ビデンスの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日当たりと風通しのよい場所で管理します。
【日当たり/屋内】基本的に屋外で管理します。冬越しさせる場合、寒冷地域では凍らないよう室内に取り込むとよいでしょう。
【置き場所】水はけがよければ土質は選びません。また、秋まきで育てる場合は、冬は南向きの日向に置くなど防寒対策をするとよいでしょう。
耐寒性・耐暑性
耐寒性はやや弱いですが、多年草タイプは凍らなければ戸外での冬越しも可能です。寒冷地、または秋まきの場合は、冬は室内に取り込むか南向きの日なたに置くなど、防寒対策をするとよいでしょう。
ビデンスの育て方のポイント
用土

水はけがよければ、土質を問わずよく育ちます。鉢植えの場合は、市販の草花用の培養土などを利用するとよいでしょう。
水やり

地植えの場合は、下から水が上がってくるので水やりはほとんど不要です。鉢植えの場合は、表土が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう。冬は水やりを減らし、乾燥気味に管理します。
肥料

やせた土地でも育ち、肥料はあまり必要としないため、地植えの場合は施肥しなくてもかまいません。鉢植えの場合は、春秋の生育期に緩効性肥料を施しておくとよいでしょう。
注意する病害虫

【病気】
気をつける病気は特にありません。
【害虫】
春から秋にかけて、アブラムシやハダニに注意が必要です。アブラムシは植物の汁を吸って生育を阻害するだけでなく、ウイルス病を媒介することがあります。ハダニは、葉の裏について汁を吸い、株を弱らせます。どちらも発生した場合は、薬剤などで駆除しましょう。鉢植えの場合は、オルトランなどの浸透移行性の薬剤を土にばらまいておくとアブラムシの発生予防になります。ハダニは高温で乾燥した環境を好むため、水やりの際に葉裏にも水をかけてやると発生予防になります。
ビデンスの詳しい育て方
苗の選び方
苗を購入する際は、葉色がきれいでつぼみが多く、株元がぐらついていないしっかりしたものを選びましょう。
植え付け・植え替え

ビデンスの植え付けに適した時期は3~6月です。複数の苗を植える場合は、20~30cmの間隔をあけましょう。
多年草タイプのビデンスを鉢で育てている場合は、繁殖力が強いため、春に株分けを兼ねて植え替えします。地植えの場合は、植え替える必要はありません。
日常のお手入れ

ビデンスは生育が旺盛でよく伸びるので、蒸れ防止や姿を整える目的で、夏になったら20cmほど刈り込みます。また、日常から咲き終わった花をこまめに摘み取るようにしましょう。
増やし方

ビデンスは種まきや挿し木、株分けなどの方法で簡単に増やすことができます。
【種まき】

種まきの適期は、9~10月と3~4月です。花後に花がらを摘み取らなければ種子ができ、採取することができます。
種まきの際は育苗トレーなどに種まき用の土を入れ、水で十分に湿らせてから種子をばらまきして覆土します。発芽したら適度に間引き、本葉が3~4枚くらいになったらポットに植え替えて育苗します。
【挿し木】

挿し木の適期は、5~6月です。茎を先端から10cmほど切り、水揚げして挿し木用の土を入れた鉢に挿します。土を乾かさないように注意して管理することが大切です。
【株分け】

株分けは、4~5月の植え替えの際に行うと株の負担が減ります。
掘り上げた株の根の周りの土を落とし、清潔なハサミやスコップなどで株をカットします。分けた株を、それぞれ別々に植え付けます。
ビデンスの育て方を知り美しく咲かせよう

ビデンスは鮮やかなビタミンカラーが美しく、寒冷地での冬の寒さに注意すれば初心者の方にも育てやすい、おすすめの植物です。花の色や模様も豊富なので、ぜひお気に入りの品種を見つけてご家庭で育ててみてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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