梅雨の部屋がパッと華やぐ。マリメッコのマグカップに「小さくカラフル」に花を生ける贅沢
憂鬱になりがちな梅雨の季節だからこそ、お部屋の中に「心地よい空気」と「鮮やかな色彩」を呼び込んでみませんか?
フラワー&フォトスタイリストの海野美規さんが提案するのは、誕生から62年を迎えてもなお世界中で愛され続けるマリメッコの「ウニッコ(Unikko)」を舞台にした、“カラフルな花を小さく活ける”アレンジ。初心者もチャレンジしやすい小さなカップなら、思い切った色遊びもポップなアートに早変わりします。強いエネルギーを持つ器だからこそ映える、失敗しない色合わせのコツや、初夏の花を使った3つのアレンジヒントをお届けします。
雨音をBGMに、自分を癒やすための贅沢なひとときを始めてみましょう。
目次
憂鬱な雨の日に
窓の外を眺めれば、しとしとと降り続く雨。6月特有の重たい湿気に、つい気分まで沈んでしまいそうになる日もありますよね。でも、そんな季節だからこそ、室内には「心地よい空気」を呼び込んでみたくなります。

大きな花束を豪快に飾るのも素敵ですが、この時期は、あえて小さな器の中に、自分だけの景色を凝縮させてみてはいかがでしょうか。
ふらりと立ち寄った花屋さんで、その日の直感で選んだ一輪を。あるいは、ベランダで静かに香りを放つラベンダーのひと枝を。そんな、ささやかな素材と向き合う時間が、慌ただしい日常に心地よい「余白」を生んでくれます。

雨音をBGMに、お気に入りのマグカップを花器に見立ててみる。
それは、誰のためでもなく、自分を癒やすための贅沢なひとときです。
今月は、マリメッコのウニッコを主役に、そんな「小ぶりな贅沢」を楽しむ初夏の花アレンジのヒントをお届けします。
ウニッコのマグカップにアレンジ

マリメッコのウニッコ柄を見るたび、その大胆な色彩に心が弾みます。この強いエネルギーを持つ器に、あえて小さな花を合わせることで、どんよりした雨の日の部屋にも、心地よい「風」が吹き抜けるような気がするのです。
今回使ったのは、200mlサイズの小さなマグカップ。
決して大きな器ではありませんが、部屋の中でパッと目を引く存在感はさすがの一言。いつ見ても「やっぱりかわいい!」と、使うたびに心がときめきます。
いわゆる「ちゃんとした花瓶」ではなく、マグカップに花を生ける。そんな気取らない自由さが、私は大好きです。

私が子供の頃、母はいつも、ガラスのコップや手近なマグカップに、庭で摘んだ花を1輪2輪、無造作に、大雑把に活けていました。でも、それはそれは瑞々しくて、軽やかで。
「花って、こんなふうに自由に飾っていいんだ」
そんなふうに感じた花の活け方は、今の私の原点になっている気がします。
88歳になった今でも、母は相変わらずキッチンのカウンターに花を活けています。
母のラフな花を思い出しながら、私も今日は大好きな器に花を活けてみる。何気ない小さな継承が、今日の暮らしを少しだけ豊かにしてくれるようです。

カラフルに小さく活ける

ウニッコのような、それ自体が完成されたアートのような器は、どこか花を活けるにはハードルが高いように思えるかもしれません。「柄が強すぎて、花が負けてしまうのでは?」と迷ってしまうこともありますよね。
でも、小さなマグカップだからこそ、思いっきり「色遊び」を楽しめるのです。
大きな花瓶に何十本も活けるのは、色のバランスを考えて、少し緊張してしまいます。でも、カップという小さなステージなら、失敗しても、あるいは少しやりすぎなくらい派手な色を選んでも、それがそのまま「ポップなアート」として成立してしまいます。
例えば、マグカップの柄から一色を拾って花の色とリンクさせたり、あるいは、あえて全く違う色をぶつけてみたり。
「小さく活ける」ことは、視覚的な面積が限られているからこそ、思い切った選択が許されると思います。さあ、肩の力を抜いて、いつもと違う色合わせに挑戦してみませんか。
カラフルな器に花を活けるコツ アレンジ3選

カラフルな柄のある器に花を活ける時は、器との色合わせも楽しみの1つ。今回は、器の特徴を生かした花選びで作るアレンジを3種ご紹介します。
①<色を拾う>
器の色とリンクしたアレンジ

柄の中から1色を選んで、花とリンクさせましょう。
ここでは、花のデザインの内側のオレンジ色に注目。
オレンジ色のカラーリーフを合わせてあります。

②<色相のコントラストを楽しむ>
反対色を使ったアレンジ

デザインのメインカラーの赤よりのピンクに対して、寒色系を合わせることで、お互いを引き立てるコントラストが生まれます
ここでは明るめの紫のガクアジサイを合わせました。

③<彩度を揃える>
同系色でまとめたアレンジ

同系色で揃えるのは、一番まとまりがよいかもしれません。
小さなシャクヤク(ラズベリーチャーム)を選びました。

葉ものや実ものを合わせるとしたら、明度を揃えるのがおすすめ。明るめのグリーンを選んで合わせると、まとまりがよく見えます。
ここで使ったのは、ヒペリカム、タラスピ(西洋ナズナ)など。


同系色をメインに花材をプラスすると、ぎゅっとまとまりつつ、より華やかなアレンジになりました。


マリメッコというブランド

最近、雑誌を開くと目に飛び込んでくるマリメッコの鮮やかな色彩。2026年、マリメッコは創業75周年という節目を迎えました。
戦後のフィンランドで生まれたこのブランドには、時代を超えて愛される明確なミッションがあるそうです。それは、色彩やデザインの力で人々の日常に喜びをもたらし、一人ひとりが自分らしくいられるよう応援すること。
「マリメッコ(Marimekko)」は、フィンランド語で「マリーちゃんのドレス」を意味します。創業者のアルミ・ラティアが目指したのは、着飾るだけの服ではなく、行動する女性のための服。形と機能を融合させ、動きやすく、かつ心まで明るくしてくれるようなデザインです。
当時としてはまだまだ数少ない女性の起業家として、新しい時代の空気を作ってきました。女性の従業員が多くを占める職場環境で、アルミは「日常をデザインすること」の尊さを伝えてきました。その姿勢には、現代の私たちも心動かされるものがあるのだと思います。
そんな歴史を知ると、手元のこのマグカップが少しだけ違った表情に見えてきます。
ウニッコの花モチーフ

創業者のアルミ・ラティアは自由な精神を何よりも尊重していましたが、唯一「花のデザイン」だけは長く禁じていました。
「花ほど美しいものは、自然にしか創れない」
でも、そんな彼女が、あの大胆な花のモチーフ「ウニッコ」を世に送り出しました。
ウニッコが発表されたのは1964年。ケシの花を大きく単純化し、力強い曲線で描き出したそのデザインは、決して本物の花と競うことはありませんでした。自然界の花を模写するのではなく、その「生命のエネルギー」だけを抽出したような存在感。だからこそウニッコは、どこに飾ってもその場をパッと華やかにし、私たちの気持ちもうきうきとさせてくれるのです。
62年もの時を経てもなお、ウニッコが少しも古びず、見るたびに元気と勇気を与えてくれるのは、そのデザインの中に、時代を超越した「強さ」とやはり「愛らしさ」が宿っているからだと思います。

じつは、私も1964年生まれ。ウニッコと同じ年に生まれました。
このことに気づいたとき、なんだかこのマグカップが、昔からの友人みたいに思えてきました。
雨の日は、お気に入りのマグカップに花を一輪。
これからも、このウニッコと一緒に、日々の暮らしを色鮮やかに彩っていけたらいいなと思っています。
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 海野美規 - フラワー&フォトスタイリスト -

うんの・みき/フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
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