ヒマワリはどんな花? 特徴や花言葉、育て方について

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元気で明るいイメージの夏の花といえば、ヒマワリ。群植すると一斉に同じ方角を向いて花を咲かせる姿は見応えがあり、雄大なひまわり畑をつくって観光名所にしているケースもよく見かけますね。ヒマワリは痩せ地でもよく育ち、ビギナーにも簡単に栽培できることでも有名です。この記事では、ヒマワリの特性や種類、育て方などを取り上げていきます。
目次
ヒマワリの特徴について
ヒマワリはどんな花姿で、どんな特性を持っているのでしょうか。ここでは、花姿のバラエティーやおすすめの品種、花名の由来や花言葉、ヒマワリのライフサイクルなどについてご紹介します。
ヒマワリの見た目と特徴

ヒマワリはキク科ヒマワリ属の一年草で、原産地は北アメリカ。1茎に1花が咲き、草丈は2〜3mに達する姿が最もポピュラーです。近年は品種改良が進み、背丈がやや低めの中高性種やコンパクトにまとまる矮性種など、草丈が30〜150cmの品種も多く出回るようになりました。しかも1茎1花ではなく、よく分枝して小さめの花を多数咲かせる品種も多くなり、狭い庭や鉢栽培でも楽しめるヒマワリの人気が高まっています。
また、ヒマワリは黄色というイメージが強い花ですが、花色はオレンジ、赤、白、複色もあり、花心も黒のほかにグリーン、黄色などがあります。花弁が多数重なる八重咲きの品種もあり、こちらは豪華な咲き姿が魅力です。
ヒマワリの代表的な種類

ガーデニングで人気の高いヒマワリの品種は、「サンリッチ」シリーズです。バラエティー豊富で、種まきから45日(草丈80〜120cm)ほどで開花が始まる早咲き種のほか、50日(草丈90〜140cm)、55日(草丈100〜170cm)で咲くタイプがあり、それぞれ草丈が異なるので、スペースに合わせて選べるのもメリット。花色は黄色、オレンジ、複色、花心も黒、緑、オレンジがあります。花弁が多数重なる八重咲きを育ててみたいなら、‘サンキング’、‘オレンジサン’がおすすめ。庭に個性を演出したいなら、赤花の‘F1ルビー’、白花の‘ホワイトライト’をセレクトしてはいかがでしょうか。
ヒマワリのタネについて

ヒマワリは、タネの収穫ができるのもメリットですね。1cmほどのタネが1輪から500個以上も採取できます。ヒマワリのタネを食用として収穫したいなら、‘ロシア’や‘タイタン’などの品種を選ぶとよいでしょう。ヒマワリのタネにはオレイン酸やリノール酸、葉酸、ビタミンEなどが含まれ、ナッツとしても利用できます。
ヒマワリの別名

ヒマワリは、漢字で「向日葵」と書きます。太陽の方向に向かって咲く花という意味です。他にも「日車(ひぐるま)」「日輪草(にちりんそう)」「天蓋草(てんがいそう)」「天蓋花(てんがいばな)」「天竺葵(てんじくあおい)」「日向葵(ひゅうがあおい)」「照日葵(しょうじつき)」「西蕃葵(さいばんき)」「羞天花(しゅうてんか)」などがあります。いずれも太陽が煌くような花姿や、光や天に向かって顔を上げて咲く姿などをイメージして名付けられたようです。英名では「サンフラワー」と呼ばれています。
ヒマワリの花言葉

ヒマワリの花言葉には「憧れ」「あなただけを見つめている」「愛慕」「熱愛」などがあります。いずれも光の差す方角や天に向いて咲く姿が由来となっているようです。
ヒマワリの開花時期と見頃

ヒマワリのライフサイクルは次の通りです。4〜6月頃にタネを播くと、1週間ほどで発芽。茎葉を広げて旺盛に生育し、開花期は7〜9月です。花が終わると枯死してしまうので、抜き取って処分しましょう。半年ほどで生命を終える、ライフサイクルの短い一年草です。
ヒマワリの育て方
ここまで、ヒマワリのプロフィールや特性、種類、ライフサイクルなどについて細かくご紹介してきました。ここからはガーデニングの実践編として、ヒマワリの育て方について詳しく解説していきます。
適した栽培環境

日当たり、風通しのよい場所を選びます。日当たりの悪い場所では花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとか弱い茎葉が茂って草姿が間のびしたりするので注意。水はけ、水もちのよい土壌を好むので、地植えする場合は植え付け前に有機質資材を投入してよく耕し、ふかふかの土づくりをしておくとよいでしょう。
土づくり

【地植え】
丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材を植え場所に投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておくとよいでしょう。土づくりから植え付けまで時間をおくことで、分解が進んで土が熟成します。
【鉢植え】
草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。
種まき

ヒマワリはこぼれダネでも増えるほど強健な性質で、ビギナーでも種まきから育てられますよ! 種まきからスタートするメリットは、輸送などによる苗への負担がかからず、環境に馴染みやすいことです。敷地が広くてたくさんの苗が欲しい場合には、コストカットにもなりますね。
ただし、ヒマワリの苗は初夏から花苗店に出回ります。手軽に始めたいなら、苗の植え付けからのスタートがおすすめです。「1〜2株あれば十分だから、苗の植え付けから始めたい」という方は、次項に進んでください。
ヒマワリの発芽適温は20〜25℃くらい。種まきの適期は、4〜6月頃です。ヒマワリは移植を嫌う性質があるので、育てたい場所に直まきするのがおすすめです。しかし、植える場所を決めていない場合は、黒ポットにタネを播いて育苗してもかまいません。
【直まき】
土づくりをしておいた場所に、周囲よりも少し高く土を盛って水はけのよい環境に整えます。ヒマワリの性質が高性種であれば30〜40cm、中高性種、矮性種であれば約20cmの間隔を取り、穴をあけて種を2〜3粒ずつ播きます。1cmほど土をかぶせ、手のひらで押さえましょう。はす口をつけたジョウロを使い、高い位置からやわらかな水流でたっぷりと水を与えます。
【ポットまき】
3号の黒ポットに草花用にブレンドされた市販の培養土を入れます。中央に穴をあけて種を2〜3粒ずつ播き、1cmほど土をかぶせましょう。最後にたっぷりと水を与え、日当たりのよい場所で管理します。発芽までは水を切らさないように注意しましょう。
間引き

【直まき・ポットまきともに】
タネまき後、1週間ほどすると発芽します。本葉が出始めた頃に、勢いがあって元気のよい苗を1本のみ残し、ほかは間引きましょう。ヒョロヒョロと伸びて弱々しい苗や葉が虫に食われている苗、葉が黄色くなっている苗などを選んで間引きます。
ポットまきの場合は、定植まで3週間ほど育苗します。
苗の植え付け

花苗店で苗を購入する際は、節間が短く茎ががっしりと締まって丈夫なものを選びましょう。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗をポットから出して根鉢を崩さずに植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、ヒマワリの性質が高性種であれば30〜40cm、中高性種や矮性種であれば約20cmの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。
【鉢植え】
鉢の大きさは、草丈が高くなる高性種では7〜8号鉢、中高性種や矮性種では5〜7号鉢を準備しましょう。
用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。ヒマワリの苗を鉢に仮置きし、高さを決めます。苗をポットから出して根鉢を崩さずに植え付けましょう。水やりの際にすぐあふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。矮性種であれば、寄せ植えの素材として大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。
摘心
【地植え・鉢植えともに】
1茎に1花が咲くタイプのヒマワリには、不要な作業です。
中高性種や矮性種の多花性タイプのヒマワリを育てる場合は、本葉が4枚ほどついた頃に、その上に出ている新葉2枚ほどをつけた茎の下で切り取る「摘心」を行います。するとわき芽が出て、姿よくまとまり、花数も多くなります。
支柱の設置

【地植え・鉢植えともに】
1茎に1花が咲くタイプの高性種のヒマワリを育てる場合は、強風による倒伏を防ぐために、早めに支柱を設置して茎を誘引しておきましょう。支柱は地中深く差し込んで、しっかり支えられるようにしておくことが大切です。
水やり

株が蒸れるのを防ぐために株全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。
【地植え】
しっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。成長期を迎えてぐんぐん茎葉を広げるようになると、水を欲しがります。気候や株の状態に適した水やりを心がけましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。
肥料

【地植え】
やせ地でもよく育つので、十分に土づくりをしてあれば不要です。開花期に株の勢いがない場合には、液肥を与えて様子を見るとよいでしょう。チッ素成分を多く含んだ肥料を施すと、茎葉ばかりが茂ってあまりよい花が咲かなくなるので、開花を促す成分配合の液肥を選ぶようにします。
【鉢植え】
2週間に1度を目安に、液肥を与えます。チッ素成分を多く含んだ肥料を施すと、茎葉ばかりが茂ってあまりよい花が咲かなくなるので、開花を促す成分配合の液肥を選ぶようにします。
花がら摘み

1茎に1花が咲くタイプの高性種のヒマワリで、タネを採取したい場合は、不要な作業です。
中高性種や矮性種の多花性タイプのヒマワリを育てる場合は、次から次へと花が咲くので、終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株周りを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながりますよ! また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。
切り戻し

1茎に1花が咲くタイプの高性種のヒマワリで、タネを採取したい場合は、不要な作業です。
中高性種や矮性種の多花性タイプのヒマワリを育てる場合は、ある程度花が咲き揃って株姿が乱れてきたら、草丈の半分くらいまで切り戻すとよいでしょう。再び茎葉を伸ばして盛り返し、開花も充実します。
病気や害虫など注意点

【病気】
ヒマワリの栽培ではそれほど病気の心配はありませんが、ベト病が発生することがあります。
ベト病は、長雨が続いて多湿の環境で発生しやすくなります。主に下葉から発症しやすく、淡い黄色の斑点から始まり、症状が進むと黄褐色の病斑が全体に広がります。庭植えの場合は多湿にならないように少し土を盛って高畝をつくり、植え付けるとよいでしょう。また、表土にバークチップなどのマルチングを施しておくと、降雨時の泥の跳ね返りによる土壌からの感染を防ぐことができます。病気の兆候が見られたら、早期に適応する殺菌剤を散布しておきましょう。
【害虫】
ヒマワリの栽培で注意したい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、発生すると茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目にも悪いので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。
ハダニは、乾燥が続くと発生しやすい小さな虫で、葉裏などについて吸汁します。大発生すると株が弱るので、葉の表や裏にシャワーを勢いよくかけましょう。小さな虫なので、水の勢いで押し流すことができます。
タネの採取

涼しくなって茎葉が黄色く枯れ込み始めてきた頃に、花を切り取って日当たりと風通しのよい場所に置いて乾燥させます。茶色くなって十分に乾いたら、揉みしだいてタネを取り出しましょう。保存袋などに入れて、翌年の種まき適期まで冷暗所で保存します。
家庭でヒマワリを育ててみよう

ヒマワリは人気の高い花だけに品種改良が進んで、コンパクトにまとまる品種や、たくさんの花を次々と咲かせる品種、赤や白の花色、八重咲きの個性的な品種などが登場し、バラエティー豊かになっています。「どんな品種を植えようかな」と選ぶ楽しみがあるのもヒマワリの魅力です。わが家にぴったりの雰囲気のヒマワリを選んで、ぜひ育ててみてください。
Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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