水を弾く魔法の葉とビタミンカラーのナスタチウム 初夏を彩るアレンジメントアイデア3選!
5月の柔らかな光が溢れる頃、ひときわ鮮やかに、そして自由に茎を伸ばして咲く花「ナスタチウム」。パッと明かりが灯ったようなビタミンカラーの花々に、ハスの葉を思わせる丸いグリーンの葉を持ち、古くからエディブルフラワーとして、また花壇を飾る花として愛されてきました。
そんなナスタチウムは、アレンジメントの素材としても、じつはとても魅力的。プランターでも栽培できるので、自分で育てて部屋に飾る、毎日の小さなぜいたくを楽しめます。フラワー&フォトスタイリストの海野美規さんが、自宅で育てているナスタチウムを主役に、その不思議な葉の秘密や、日常を彩るアレンジメント3タイプのアイデアをご紹介します。
目次
ナスタチウムの特徴

ナスタチウム(和名:金蓮花/きんれんか)は、南米を原産とする一年草。5月から梅雨入り前にかけて、庭やベランダを彩る植物です。
花色は、 オレンジ、イエロー、朱赤といった暖色系が中心。パステル調のアプリコット色や、ベルベットのような深紅などもあり、カラーバリエーションが豊富です。この鮮やかな色が、庭や部屋に、ぱっと明かりを灯したような明るさをもたらしますね。

ナスタチウムのもうひとつの特徴は、自由奔放に伸びる蔓(つる)のような茎。光を求めて気ままにカーブを描くその姿は、生けたときには自然な動きと躍動感を与えてくれます。
また、花だけでなく、丸い葉もかわいらしいです。瑞々しいグリーンは、どんな花とも相性がよく、アレンジにナチュラルな空気感を添えてくれます。
金蓮花(きんれんか)という名前の由来

この花を眺めていると、どこか東洋的な美しさを感じることがあります。それはきっと「金蓮花」という美しい和名のせいかもしれません。
「蓮(はす)」という文字が含まれているように、この名の由来は、水面に浮かぶハスにそっくりな丸い葉の形にあります。蓮のような葉を持ち、そこに黄金色(オレンジや黄色)の花が咲く姿から、古の人はこの花を「陸に咲くハス」に見立ててそう呼んだのでしょうか。

もうひとつ、「ノウゼンハレン」という和名もあります。花がノウゼンカズラに似て、葉がハスに似る、ということから名付けられたそうです。
ナスタチウムのアレンジ3アイデア
① ナスタチウムを「差し色」にしたアレンジ

まずは、ほかの草花と組み合わせて、ナスタチウムの鮮やかな色をアクセントにする楽しみ方です。

今回は、ブルーやホワイトの繊細な「ニゲラ」を合わせてみました。オレンジとブルーは互いを引き立て合う「補色」の関係。ナスタチウムの元気な色が、ニゲラの霧のような優しさに包まれて、ぐっと洗練された柔らかな表情に変わります。

器は、立体的なひだがあるプリーツデザインを使いました。

② ナスタチウムを主役にした竹かごアレンジ

ナスタチウムそのものの美しさを、ダークブラウンの竹かごが引き立てるアレンジです。その横にはガラスの茶器と白い茶筒を、竹のトレイに乗せて置きます。
「シノワズリースタイル」にまとめると、いつもと違う雰囲気に。ナスタチウムの濃い色合いが引き立ちます。

③ 「金蓮花」の名を楽しむ、フローティングキャンドルのアレンジ

名前の由来になった「蓮」の見立てを楽しんでみてはいかがでしょうか。
ガラスの平鉢に水を張り、ナスタチウムの葉を数枚浮かべます。その上に花をそっと乗せ、中央にフローティングキャンドルを灯します。

アレンジの手順

① ナスタチウムを「差し色」にしたアレンジ

ナスタチウムに、ニゲラ、ホタルブクロ、クリサンセマム・ムルチコーレのような小花を合わせました。
1. プリーツの白い器の中にプラスチックの入れ物(落とし)をセットして、水を張ります。

2. ニゲラを器の手前に、縁にもたれるように入れていきます。

3. ナスタチウムの葉を、バランスを見ながら入れます。平面的になるのを避けるため、向きを揃えすぎないようにしましょう。

4. 器のどちらかに寄せるようにナスタチウムの花を入れます。ここでは左側に寄せました。

5. ホタルブクロの枝をナスタチウムと反対側に入れます。

6. 小花を入れます。

出来上がり!


② ナスタチウムを主役にした竹かごアレンジ

ダークブラウンの竹のバスケットにも、同じ要領でアレンジします。

はじめにナスタチウムの葉を入れて、それから花を入れます。


葉の動きを楽しむようにアレンジしましょう。

お好みで白や黄の小花を加えて、出来上がり。

プランターで育てたナスタチウムを使って

今回のアレンジに使ったナスタチウムと合わせた花々は、すべて我が家のプランターで育てたものです。
市販の切り花にはない、不揃いな茎の曲がりや、小さなつぼみ。毎日少しずつ、成長を見守りながら、その時の気分で摘んで部屋に飾ります。ちょっとした日常の贅沢です。
それに、茎をカットすることは、増えすぎた株の風通しをよくして、次の花芽を育てる作業にもなるので、一石二鳥です。
エディブルフラワーとしてのナスタチウム

ナスタチウムといえば、エディブルフラワーとしてもよく知られています。
葉や花は、ワサビのような爽やかな辛味があり、そのままサラダにして食べても美味しいです。
そして何より、色が鮮やかなので、食卓がパッと華やぎますね。
葉の上で輝く、不思議な「ロータス効果」

ナスタチウムが「蓮」の名を冠している理由は、見た目だけではないのです。じつは、科学的にもハスと同じ驚くべき性質を持っています。
それが、「ロータス効果(ハス効果)」と呼ばれる超撥水性です。
雨上がりや水やりの後、ナスタチウムの葉をそっと覗いてみてください。水滴が葉に染み込むことなく、まるでクリスタルの玉のようにコロコロと転がっているはずです。これは、葉の表面にある目に見えないほど微細な凹凸が、水を強力に弾いているからなのだとか。

さらにこの水玉は、単に美しいだけでなく、葉の表面の汚れを一緒に巻き込んで落としてくれる「セルフクリーニング」の役割も果たしているというので、感心してしまいます。「泥中の蓮」という言葉がありますが、泥の中から咲くハスの花や葉が汚れることがないのには、こうした理由があるのですね。
ナスタチウムの葉の上を転がる雨粒。Emvat Mosakovskis/Shutterstock.com
ナスタチウムのアレンジメントを飾る際も、ぜひ仕上げに霧吹きでシュッとひと吹きしてみてください。葉の上に宿った小さな水玉が、初夏の光を反射してキラキラ。空間全体をさらに瑞々しく、清らかに演出してくれます。
バンコクのホテルの鉢植えのロータス(ハス)

タイ・バンコクを訪れると、街の至る所で水盤に浮かぶロータスを目にします。
特に、チャオプラヤ川のほとりに建つ「マンダリン オリエンタル バンコク」で目にした、端正な鉢植えのロータスは忘れられません。

タイにおいて、ロータスは単なる装飾以上の、深い精神的な意味を持っています。
仏教大国であるこの国では、ロータスは「純粋」「神聖」、そして「悟り」の象徴。泥の中から茎を伸ばし、水面で一点の汚れもなく清らかに咲くその姿は、どんな困難な状況(泥)にあっても、心は清らかに(花)保つことができるという仏の教えそのものなのだそうです。
ホテルのエントランスに置かれたロータスは、訪れるゲストに対し、「日常の喧騒を離れ、清らかな時間をお過ごしください」という、静かな、しかし格調高いメッセージのように感じられました。
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 海野美規 - フラワー&フォトスタイリスト -

うんの・みき/フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
- リンク
記事をシェアする
季節のおすすめアイテム
ホースガイド ジョウロ -GARDEN STORY Series-
庭にホースを伸ばして水まきをする際、ホースが大切な植物をなぎ倒してしまうのを防ぎます。地面にスッと差し込むだけで、花壇の縁やアプローチ横など、ホースが通るルートに手軽に設置できます。ジョウロのモチーフが庭の風景によくマッチ!
新着記事
-
ガーデン&ショップ

【盛夏の花咲く8月】宿根草等を使用する都立公園の花壇コンテスト「第4回 東京パークガーデンアワード」夢…
宿根草等を生かした花壇デザインを競うコンテストとして注目されている「東京パークガーデンアワード」。第4回コンテストが、都立夢の島公園(東京都江東区)を舞台に、スタートしています。2025年12月、5人の入賞者…
-
イベント・ニュース

購入者限定の動画レッスン付き!初めてでも迷わず作れる『ハンギング&寄せ植え』バイブルが予約開始
狭い玄関やベランダでも、空間を上手に生かせば豊かで華やかな花景色を作ることができます。 Webマガジン「ガーデンストーリー」の新刊『小さな空間を生かす立体ガーデニング 玄関から始める花のある暮らし』が、8…
-
ストーリー

スイスのレマン湖畔で見つけた、100年前の近代建築の傑作と“心地よい庭”のヒント
美しい景色と豊かな自然が広がる、スイス・レマン湖の湖畔に佇む世界遺産「レマン湖畔の小さな家」。巨匠ル・コルビュジエが両親のために設計した住宅で。わずか64㎡の限られたスペースと庭には、100年経った今も色…


























