ジャム作りはいつの時代もキッチンのお楽しみ。季節の味覚をジャムにして、瓶に詰めれば長期保存可能で、いつだって楽しめる大昔からの暮らしの知恵です。今回ご紹介するのは、ニンジンをベースにリンゴを加えて、カルダモンとオールスパイスを効かせた、「キャロットケーキジャム」。その名の通り、キャロットケーキ味のジャムで、とっても簡単に仕上がるご馳走ジャムの作り方を、神奈川県葉山で植物を身近に暮らしながらアンティークバイヤーとして活動するルーシー恩田さんに教えていただきます。
目次
あると嬉しい定番野菜「ニンジン」

冷蔵庫の定番野菜の1つ「ニンジン」は、困った時の彩りにも大活躍。いつの時代も「子供たちの嫌いな野菜」にランクインしている不憫なニンジン。最近では種類が増え、独特の香りが控えめなものもあります。しかも、黄色や紫、黒などカラフル。定番野菜でありながら、オシャレ野菜としても人気です。

ニンジンは春夏秋と、ほとんど一年中栽培が可能。ニンジンの種子は発芽率が低いので、発芽さえすれば、成功したのも同然。大船に乗った気持ちで成長を見守りましょう! 7〜8月にかけて「夏まき」しておくと、11月頃には収穫が可能です。

本来なら遅くても8月中に播くのが一般的ですが、なんせ今年の「猛暑」。少し遅く、私は9月に入ってから種子を播きました。ご存じのようにニンジンは地中で育つので、成長の様子がミステリアス。

収穫時に引っこ抜いて綺麗なニンジンがポーンっ! と出てきた時の喜びは、感慨もひとしお。保育園の時に初めてのサツマイモ掘りが、非日常で楽しかったのを覚えていますか? あの感じです。地面の中から大きくて綺麗なものが急に出てくる、なんだか宝探しみたいで、とにかく驚きと嬉しさで胸が踊ります。

もしもアナタが今、対人関係に悩んでいるのなら、小さな鉢でもいいから、何かを育ててみてください。言葉の通じない植物を相手にすることで、相手に期待しても無駄なことを学び、落ち着いた心を手にいれることができるかも? しれません。
育てている途中に上手くいかなかったとしても、言葉も通じない相手(植物)に文句を言っても無駄だもの。
先ほども書いたように、ニンジンは育てやすいので、仲良くするにはおすすめ。あまり気を使わず、いい距離感で関係を築ける野菜かもしれません。深めのプランターでも栽培できますから、ぜひ。
キャロットケーキにはスパイスが欠かせない!

今では日本でも市民権を得た「キャロットケーキ」。キャロットケーキは、ヨーロッパや欧米ではとってもポピュラーなお菓子。カフェやスーパーでも必ず見かけるケーキの一つです。
日本ではつい10年ほど前まではあまり知名度のないケーキでしたが、最近では菓子店やパン屋さんの人気メニューです。本来は家庭的なお菓子なので、絶対コレ! といったレシピはなく、使うスパイスはさまざまで、ココナッツを入れたり、リンゴを入れたりと、お好みでアレンジできる楽しいケーキなのです。

私のキャロットケーキレシピの原形は母から受け継いだもの。生地には缶詰のパイナップルを加え、上にのせるクリームにはクリームチーズとサワークリームを使います。私はスパイスの主張が強めのキャロットケーキが好きなので、生地にはカルダモンとオールスパイスを使います。
トップノートにはカルダモンの爽やかで柑橘の香り、ひとくち噛めば重厚でどっしりとした香りのオールスパイスが口の中に広がります。
シナモンなどは使わずに、カルダモンとオールスパイスだけなので、どことなく大人っぽいキャロットケーキに仕上がります。
カルダモンとオールスパイス

私のキッチンで主役ではないけど、ここぞ! という時によく使うのが「オールスパイス」。この連載でも何度も紹介しているスパイスです。シナモンの香りをもっと複雑にした雰囲気の香りで、シナモン、クローブ、ナツメグの代用にも使える、一人三役こなすスマートな子。爽やかだけど重め、甘くほろ苦い香りで、まるで「大人の青春」♡ 照

そして私のキッチンの定番「カルダモン」。サフラン、バニラに次いで高価なスパイスです。爽やかな清涼感を持ちながら、温かみがあり刺激的で、スモーキー。嗅げば嗅ぐ程にうっとり、高揚感のあるセクシーな香りです。別名「スパイスの女王」とも呼ばれているのも納得♡

大型スーパーのスパイスコーナーに行けば、パウダーとホールどちらも並んでいます。
パウダーで売っている物を使っても十分ですが、もし興味があればホールのスパイスを買って、乳鉢でゴリゴリして自家製パウダーを作ってみてください。擦りたては香りがとにかく段違い! とっておきの料理を出す時にも、必殺技で使えます。胡椒も胡麻だって、いつもの香りとの違いに驚くでしょう。
スパイス好きなら、乳鉢があれば料理がさらに楽しくなるはず。乳鉢の素材は、木製、大理石、金属などバリエーションがありますが、私のおすすめは大理石のもの。手入れも簡単、匂い移りもないし、なにより本体が重いので擦りやすいのです。
カレーやチャイにはもちろんですが、ケーキやクッキーなどのお菓子、砂糖やレモンと合わせてフルーツサラダを作ったり、我が家では出場頻度高めのスパイスです。
人間が食べる種子の中では一番高価! カレーなどでは莢ごと煮込むこともありますが、普通は莢を除き、中の黒い種だけを粉にして使います。
まるでキャロットケーキな「キャロットケーキジャム」

キャロットケーキ味のジャムなんて、想像しただけでもヨダレが出ちゃう。パンケーキやワッフル、アイスクリームにも♡ ヨーグルトにも合うし、クリームチーズと合わせてトーストに塗れば、もう最高なパラダイス時間。
ニンジンはグレーターですりおろすのがおすすめ。余分な水分が出ないし、火の通りもよいです。なければ細かーく刻めば大丈夫。スライサーなども活用して上手くやってください。煮る時間も短めなので、あっという間に出来上がる、ごちそうジャムです。
■ 材料

- ニンジン 1本
- リンゴ 半個
- パイナップル缶 小1缶 ※スライスが4枚ほど入っている小さい缶
- グラニュー糖 200g
- レモン 半個
- カルダモン 小さじ1/2〜 ※ホールからする場合は香りが強いので少し控えめに
- オールスパイス 小さじ1/4〜 ※ホールからする場合は香りが強いので少し控えめに
- ペクチン 10g
■ 作り方
① ニンジンをグレーターですりおろす。

② リンゴは小さめの角切りにする。
※今回使ったリンゴは酸味の強い「ブラムリー」。煮くずれるリンゴがおすすめです(紅玉やジョナゴールドなど)。

③ パイナップルは繊維に沿って細かく切る。 ※缶に残ったシロップは捨てない

④ 鍋に、ニンジン、パイナップル、砂糖、レモン汁、スパイスを入れて15〜20分煮込む。

⑤ 1度火を止めて、残ったパイナップル缶のシロップにペクチンを溶かして、④の鍋に少量ずつ加えながら混ぜ、強火で2分ほど煮立てる。
⑥ 冷めたら瓶などに移してよく冷やして召し上がれ!

カルダモンとオールスパイスの他には、シナモン、クローブ、ナツメグなどがおすすめです。スパイスはちょっと多いかな? くらいにビシっとバシっと! 使いましょう。クリームチーズなどと合わせたいので、多少スパイスの香りが強いくらいがいいなぁ♡
とは言え、好みってのは人それぞれなので、私のレシピは参考までに。自分好みの味を探求してみてください。
初めてのモノを作るとき、3回作ると自分の味が見えてきます。1回目はレシピ通りに、2回目は自分の色をだしてみて、3回目には着地点がクリアに見えるでしょう。これは料理だけに限りません。1回目がイマイチだったからと諦めないで、とりあえず3回やってみて。成功とは失敗の延長線上にあるのだ! さぁて、今日という日のお祝いに、アイスの上にキャロットケーキジャムをのせて食べよーっと。
Credit
写真&文 / ルーシー恩田

ルーシー・おんだ/アンティークバイヤー/IFA認定アロマセラピスト/ITEC認定リフレクソロジスト。20代に訪れたタイ・チャン島でのファスティング(断食)経験から、心・体・生活環境などを全体的にとらえることにより、本来の自然治癒力を高め病気に負けない体づくりを学び啓発される。会社員としてデザインの仕事をしながら英国IFAアロマセラピストの資格を取得。退職後は更なる経験と知識の向上のためイギリスへ渡り、英国ITEC認定リフレクソロジストの資格を取得。現在は家業のイギリスアンティークの買付と販売をしながら、アロマセラピスト的な視点で自家栽培の野菜とハーブを使ったお料理教室やワークショップを開催している。
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