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ニンジン(人参)を自分で栽培したい! ニンジンの基本的な栽培方法や注意点などをご紹介

ニンジン(人参)を自分で栽培したい! ニンジンの基本的な栽培方法や注意点などをご紹介

Ekaterina Kondratova/Shutterstock.com

ビタミンAを豊富に含むニンジンを、家庭で栽培してみませんか? 自分で育てた甘くて香りのよいニンジンは、一層美味しく感じられることでしょう。また、市販されることはありませんが、ニンジンの葉はセリ科独特の清涼感のある香りで、天ぷらやお浸しにすると、とても美味しいんです! この記事では、ニンジンの基本情報と育て方について、幅広くご紹介していきます。

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身近だけど意外と知らない! ニンジンってどんな野菜?

ニンジンは根菜類に分類され、根の収穫を目的に栽培します。スーパーなどでは一年中手に入る馴染みの野菜ですが、「旬はいつ?」「どんな種類がある?」などと問われれば、もやっとしてうまく答えられないのではないでしょうか。ここでは、ニンジンの基本情報について詳しく解説します。

ニンジンの基本情報

ニンジン
Val Weston/Shutterstock.com

ニンジンは、セリ科ニンジン属の根菜類で、原産地は中央アジアです。細長い東洋系品種と、太くて短い西洋種があります。

東洋系ニンジンは、16世紀頃に中国経由で日本に伝わりました。お正月に縁起食としても食べられる金時ニンジンが有名で、甘みが強くて臭みが少なく、和食によく合います。根が長く成長するため家庭菜園には向きませんが、日本では古くから栽培されてきました。

一方、西洋ニンジンはトルコで栽培されるようになり、12〜13世紀にヨーロッパに伝わったとされています。日本へは19世紀初頭にもたらされました。東洋系に比べて根が太くて短いのが特徴です。戦後の日本で急速に普及し、ニンジンといえば東洋種だったのが逆転して、現代では西洋種のほうがポピュラーになっています。

家庭菜園で栽培されるのはほとんどが西洋ニンジンで、より育てやすいもの、食味のよいものをと、品種改良が進んでいます。おすすめの品種は、初心者でも育てやすい‘向陽二号’、揃いがよく尻詰まりもいい‘恋むすめ’、低温下での生育と太りに優れる‘いなり五寸’、甘くて栄養価に優れる‘Dr.カロテン5’などです。コンテナで栽培するなら、ミニニンジンの‘ピッコロ’、‘ベビーキャロット’などが向いています。変わり種を育ててみたいなら、紫ニンジンの‘パープルスティック’、‘ダークパープル’などもありますよ!

ニンジンの栄養

ニンジン
Kovaleva_Ka/Shutterstock.com

ニンジンは緑黄色野菜の一つで、カロテンを多く含んでいます。「カロテン」という言葉がニンジンの英名である「キャロット」に由来していることからも分かるように、カロテンの含有量は他の食材の比ではありません。ほかにもビタミンC、カルシウム、葉酸、食物繊維、鉄分なども含む栄養豊富な野菜です。

ニンジンは細かく刻んでサラダに利用できるほか、きんぴらやかき揚げ、煮込み料理、漬物にと汎用性が高く、常備野菜の一つとなっています。キャロットケーキやキャロットゼリーなど、スイーツにもアレンジできますよ!

旬ってあるの? おすすめの栽培時期は?

ニンジン畑
teatian/Shutterstock.com

ニンジンは、年に2回栽培することができます。

一般地では春まきが3月下旬〜5月上旬で、順調に生育すれば6月下旬〜8月中旬頃に収穫できます。夏まきは6月下旬〜7月中旬で、収穫は9月下旬〜2月頃です。寒冷地や暖地では、種まきや収穫のタイミングが少しずれるので、購入したニンジンの種袋をよく確認して、適期に播くとよいでしょう。

年に2回栽培できますが、同じ場所で連作すると土壌のバランスが崩れてネコブセンチュウなどの病害虫が発生しやすくなります。必ず輪作を心がけるようにしてください。

ニンジンの畑の準備

土づくり
Sleepyhobbit/Shutterstock.com

ニンジンを栽培する際には、栽培場所の準備が大切です。同じ科の野菜を続けて同じ場所で育てると、連作障害が出て生育が悪くなるので、前作にセリ科の植物を栽培していない場所を選びましょう。また、土の中に硬いものや土の塊など、異物が混入している場合は取り除いて、十分耕すことがポイント。ニンジンの根が成長する際に異物に触れると、股根になるなど変形してしまうからです。

種まきの2〜3週間以上前に、苦土石灰を1㎡当たり約100g散布し、よく耕して土に混ぜ込んでおきます。さらに植え付けの1〜2週間前に、1㎡当たり堆肥約500g、化成肥料(N-P-K=8-8-8)約100gを全面に散布し、よく耕して平らにならしておきましょう。土作りをして時間をおくことで、分解が進んで土が熟成します。

種まき

ニンジンのタネ
Sadasiba sb/Shutterstock.com

【菜園】

ニンジンの種まきの適期は、一般地で春まきが3月下旬〜5月上旬、夏まきが6月下旬〜7月中旬。発芽適温は15〜20℃です。

根菜類に分類されるニンジンは、直根性で移植を嫌います。そのため、種まきからスタートするのが鉄則です。

幅60cm、高さ5〜10cmの畝を作ります。畝の長さは作りたい量や広さに応じて自由に決めてかまいません。畝の中央に、園芸用の支柱などを押し当てて深さ7〜8mmのまき溝をつけます。そのまき溝に、1cm間隔でニンジンのタネを播いていきましょう。溝の両側から土を寄せて薄くタネにかぶせ、軽く手のひらで押さえます。ニンジンは好光性種子といって、発芽に光を必要とするので、「覆土は薄く」を心がけてください。

タネを播いた後、保湿のために不織布を畝全体にかけ、風で飛ばされないように土を盛るか、Uピンなどの金具でしっかり固定しておきましょう。最後に、ジョウロにはす口をつけて、柔らかい水流になるように高い位置から水やりをします。

ニンジンは、種まきから発芽までが難しい野菜です。タネは保水力がないので、発芽までは毎日水やりをして乾燥させないように管理しましょう。種まきから発芽までは、7〜10日ほどかかります。

【コンテナ栽培】

コンテナで普通サイズのニンジンを育てるのは難しいのですが、ミニニンジンの品種を選べば、十分に栽培可能です。種まきの適期は、3月下旬〜5月、7月中旬〜9月上旬です。

標準サイズのコンテナを準備。底穴にネットを敷き、底が見えなくなるくらいまで鉢底石を入れ、その上に野菜用にブレンドされた培養土を入れます。水やりの際にあふれ出さないように、ウォータースペースを鉢縁から2〜3cm残しておきましょう。園芸用支柱などを使い、手前と後ろに10〜15cmほどの間隔をあけて2本のまき溝をつけます。溝の深さは5mmほどが目安です。ミニニンジンの種を1cm間隔でまき、溝の両側から土を寄せて薄くタネにかぶせ、表土を軽く手で押さえます。最後にジョウロにはす口をつけて、底穴から流れ出すまでたっぷりと水やりしましょう。発芽までは乾燥させずに管理することがポイントです。

生育中のポイント

ニンジンは「種まきから発芽までが難しい」とよくいわれる野菜です。しかし発芽がしっかり揃えば、後は管理が楽な野菜ともいえます。ここからは、日頃のケアについてご紹介していきます。

水やり

水やり
Osetrik/Shutterstock.com

【菜園】

根づいた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、真夏に雨が降らずに乾燥が続く場合は水やりをして補いましょう。真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。

【コンテナ栽培】

日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサインです。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチすることが、枯らさないポイント。特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝夕の涼しい時間帯に行うことが大切です。

間引き

ニンジンの苗
Inga Gedrovicha/Shutterstock.com

ニンジンは「共育ち」と表現され、苗が幼い時は隣同士の茎葉が触れるほどの密植状態で育てます。ニンジンの葉をよく見てみましょう。葉には細かく切れ込みが入っていますね。そのため、葉が重なっても光が届きやすくなっていて、苗同士の生存競争が穏やかなので、急いで間引きをする必要のない野菜です。勢いのある苗を残すように見定め、徐々に株間を広げていくようにしましょう。また、ニンジンは初期生育が遅く、周囲に雑草が生い茂ると負けてしまい、生育が悪くなります。間引くタイミングで、周囲に雑草があれば抜き取っておくとよいでしょう。

間引いた苗は、間引き菜として利用できるので捨てないで! 柔らかくてセリ科独特の風味があります。お浸しや天ぷら、味噌汁の具などに利用するのがおすすめです。ニンジンの葉は傷むのが早いので、販売はされていないのですが、抜きたては柔らかく、美味しく食べられます。これぞ家庭菜園の醍醐味ですね。

【菜園】

1回目の間引きは、本葉が1〜2枚展開した頃に行います。ひょろひょろと長く徒長している苗や弱々しい苗を選び、苗が3〜4cm間隔になるように間引きましょう。残す苗の根を傷めないように、株元を押さえて抜き取り、残した苗には周囲の土を寄せて倒れないようにしておきます。

2回目の間引きは、本葉が5〜6枚ついた頃を目安にしましょう。最終株間が10〜12cm間隔になるように間引いていきます。

【コンテナ栽培】

発芽して双葉が揃ったら、3cm間隔になるように間引きます。また、2週間ほどしたら、5〜6cm間隔になるように間引きます。残す苗の根を傷めないように、株元を押さえて抜き取り、残した苗には周囲の土を寄せて倒れないようにしておきましょう。

追肥

肥料
Vaakim/Shutterstock.com

【菜園】

2回目の間引きの際に、化成肥料(N-P-K=8-8-8)1㎡当たり約30gを株の周囲にばらまいて軽く耕します。周りよりも少し高めになるように、株にしっかりと土を寄せておきましょう。

【コンテナ栽培】

2回目の間引きから2週間ほど経ったら、化成肥料(N-P-K=8-8-8)約10g(ひとつかみほど)を株の周囲に均一にばらまき、土になじませて株に土寄せをします。その後は2週間に1度を目安に、同様に追肥をします。

病害虫

アゲハの幼虫
JimCochrane1/Shutterstock.com

ニンジンは、比較的病害虫に強い野菜です。しかし、キアゲハの幼虫がつきやすいので注意しましょう。日頃からパトロールしてキアゲハが発生していないか確認を。気づかないでいると、食欲旺盛なため茎葉を丸裸にされてしまうことも。派手な縞模様の幼虫は体長4〜5cmと大きく、一見ギョッとしますが、ひるまずにニンジンを守ってあげましょう。見つけるのは簡単なので、すぐに捕まえて処分します。

人参の収穫方法

ニンジン
LedyX/Shutterstock.com

【菜園】

品種にもよりますが、種まきから約90日ほどが収穫のタイミングです。根の直径が5〜7cmになり、肩の部分が張り出しているような株から収穫していきます。地際の茎を持って、一気に抜き取りましょう。収穫が遅れると、実割れすることもあるので、適期を逃さずに。とはいえ、実割れして品質は落ちても食べることはできます。

【コンテナ栽培】

種まきから11〜12週間後が収穫のタイミングです。根が充実したものから順に収穫していきましょう。

人参にありがちな生育不良など

【股根になっている】

ニンジンの根が、1本ではなく数本に分かれてしまうことを「股根」「岐根」などといいます。ニンジンは直根性の植物で、1本の根がまっすぐ伸びる性質があるため、タネを播いた後に移植をすると、股根になってしまいます。ですから、植え替えは厳禁です。また、土中に石や未熟な堆肥などがあると、成長する時に根が当たって分かれてしまうことがあります。土作りの際にはしっかり耕して、異物があれば取り除いてふかふかの土にしておきましょう。

ただし、股根になっているからといって、食べられないわけではありません。食味が落ちるわけでもなく、きれいにできた1本の根と同様に調理して食べられます。思いがけず面白い形をしたニンジンができるのも、けっこう楽しいものです。

【ニンジンの肩が変色している】

生育中に、ニンジンの根元が緑色になっていることがあります。これは、土寄せが足りずに肩が表土から出てしまい、日光が当たったことが原因です。ニンジンの根は太陽の光が当たると、光合成を始めて緑色に変色してしまいます。追肥の際に、しっかりと土寄せをしておくのがポイントです。

ニンジンが緑化しても腐っているわけではなく、ジャガイモのように食中毒を起こしやすくなるわけでもありません。緑化していないニンジンと同様に食べることができます。ただ見栄えが悪いというだけなので、捨てずに普通に調理してかまいません。

収穫した人参の保存方法

ニンジンの保存
Africa Studio/Shutterstock.com

収穫後は、すぐに根の際で葉を切り取り、土を洗い流しましょう。水気をしっかり切り、1本ずつキッチンペーパーなどにくるみ、密閉できる袋に入れて冷蔵庫で保存します。細切りやイチョウ切りなど、調理方法によって切り方を変え、1回の調理に使う分量ごとに小分けにして密閉袋に入れ、冷凍してもOKです。

また、掘り上げたニンジンを20cmほどの穴を掘って埋め戻しておくと、長期間保存しておくことができます。

病気や生育不良に注意しながらおいしい人参を育てよう!

この記事では、ニンジンの基本情報や栄養素、種類、菜園やコンテナでの栽培方法について、掘り下げてご紹介してきました。ニンジンは発芽さえうまくいけば、ほぼ成功といわれる、比較的育てやすい野菜です。ぜひ家庭での栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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